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2014.08.15

【アメリカの医薬品不足プログラムについて】ASTROM通信<56号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

お盆休みの真っ只中ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

前々回・前回のメルマガで、FDA(米国食品医薬品局)のウォーニングレターを取り上げて
きました。
それらのウォーニングレターの中に、製薬会社に対し、しばしば、”製造する最終医薬品
または原薬の数を減らそうと考えている場合は、FDAの医薬品評価センター(CDER)の医薬品
不足プログラムにすぐに連絡せよ。”という文言があり、気になったため、今回は、FDAの
医薬品不足プログラムについて調べてみました。


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アメリカの医薬品不足について
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FDAのウォーニングレターに書かれていた医薬品不足プログラムをインターネットで検索すると、
FDAの該当ページに容易にたどりつくことができます。
http://www.fda.gov/Drugs/drugsafety/DrugShortages/default.htm

アメリカでは以前から医薬品の不足が問題になっており、2011年10月31日にはオバマ大統領が
医薬品不足に対応するための大統領命令を出すなど、この問題に本格的に取り組んでいます。
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2011/10/31/executive-order-reducing-prescription-drug-shortages

■アメリカの昨今の医薬品不足の状況
アメリカの処方箋薬の不足は、2005年から2010年の間に3倍になったそうです。
また、FDAに報告された医薬品不足は、2010年で178件(うち132件は、無菌注射剤)、2011年で
251件(うち183件は、無菌注射剤)、2012年で117件(うち84件は、無菌注射剤)となっています。
後述の製造業者からの不足情報の早期通知が増えたことにより、医薬品不足の発生件数が減り
つつあるようですが、古い無菌注射剤の不足は続いています。

■医薬品不足の原因について
医薬品不足の原因として、品質や製造の問題、製造の遅れ、原材料の供給者から製薬会社への
納品遅れ、医薬品の販売中止等があります。
原材料の納品遅れは、原材料供給者の持つ生産設備の能力の問題で、供給できる量が限られて
いることによることがあるようです。
また、古い薬は、しばしば、製薬会社が、より新しい、利益を生む薬を作るために製造を中止
することにより不足しがちです。とりわけ、無菌注射剤を作ることのできる製造ラインは限られ
ているので、古い無菌注射剤を作り続ける製薬会社はわずかしかないため、古い無菌注射剤の
不足が発生しやすい状況にあります。
1社の製造が中止になった時、他の会社が迅速に製造量を増やすことは難しいのも、医薬品不足
の原因となっています。


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FDAの医薬品不足への取り組み
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FDAは、医薬品不足が製造や品質の問題によるものであれば、製薬会社と一緒に問題解決に取り
組んでいます。
製造や品質の問題には、ローリスク(包装パッケージへの誤った使用期限の印字)のものから
ハイリスク(製品への微粒子の混入 または 無菌の問題)のものまでありますが、患者に重大
なリスクが及ぶことを防ぐために、規制・監督により対応します。

また、不足を起こしている医薬品を製造している製薬会社が生産を増やすことを望んでいる場合、
もし製薬会社が、生産を増やすために、新しい製造ラインの承認や原材料の新しい供給先の承認
を必要としていれば、FDAは、承認のためのレビュを急ぎ、医薬品の不足解消を助けることも
行います。

また、不足が発生した時に製薬会社が使用期限の迫った、もしくは、既に使用期限の切れた在庫
を持っている場合、もし、製薬会社が、在庫の使用期限を延長することを後押しするデータを
持っていれば、FDAはデータをレビュし、使用期限の延長を承認し、新しい製造が出来るまで
供給量を増やすことも行います。

さらに、アメリカの製薬会社がすぐに不足を解消できず、しかも、アメリカの患者が必要とする
重大な薬が不足している場合、FDAは、不足を解消するために、アメリカの市場に医薬品を出荷
変更してくれる製薬会社を探すことも行います。

しかし、FDAは、製薬会社が製造を中止したいという薬の製造を継続することを要求したり、
製造を中止する会社に代わって他の製薬会社に製造を増やすように要求したりすることはでき
ません。

そのため、製薬会社からの、供給の混乱に結び付くかもしれない問題や、供給の混乱が続くかも
しれないという情報の早期の提供は、医薬品の不足を防いだり緩和したりするために重要です。
そこで、製薬会社には、FDAに対し、医薬品の不足に関する情報、不足の理由、予想される不足
期間をFDAのウェブサイト上で報告することが求められています

2012年7月9日に署名されたFDAイノベーション法(FDASIA)では、製薬会社の強制的な報告要件が
リスト化されると共に、FDAが医薬品不足に取り組みやすくするために、FDAに対して新しい権限
を与えています。たとえば:
・今までは、1社で医薬品を製造している製薬会社にのみ適用された潜在的製造停止の早期通知
 が、全ての製薬会社に適用されるようになりました。
・製造停止が永久的/一時的にかかわらず、製造停止を報告しなければならなくなりました。
今までは報告要件から除外されていた生物学的製剤の不足についても報告が義務付けられま
 した。
・救急医療や手術中に使用する薬に、通知要求が適用されることが明確になりました。
・医薬品不足を通知する要求に応じない製薬会社に対し、FDAは不遵守レターを出すことになり
 ました。

FDAは、製薬会社から提供された情報に基づき、医薬品の不足に関する情報を、FDAのウェブサイト
上で、伝達します。

製造中止の原因として、FDAが製薬会社に送るウォーニングレターの存在も大きいと思いますが、
FDAは、医薬品不足に関するQ&A集の中で、その点について自ら触れています。
それによると、“FDAは、ウォーニングレターを送ることによる影響は考慮していますが、患者を
害する品質の重要な問題があれば、医薬品の不足を避ける方法はありません。しかし、FDAは可能
な限り、製薬会社と一緒に、品質の問題で患者に害を与えることがない薬を提供できるよう潜在
なリスクに取り組みます。“とのことでした。

更にQ&A集の中で、FDAが承認をしていないが、医学的に必要な薬の不足についても取り上げて
いました。
それによると、FDAは、承認していない薬についても、通常の手順で、製薬会社と不足解消に
取り組み、同時に、FDAの承認を得るように勧めていくそうです。

出典
 http://www.fda.gov/drugs/drugsafety/drugshortages/default.htm
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/DrugShortages/ucm050796.htm
http://aspe.hhs.gov/sp/reports/2011/DrugShortages/ib.shtml


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FDAの医薬品不足データベース
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FDAの医薬品不足データベース(Drug shortage Database)を見ると、【現在不足中/不足解消済】
というタグがあり、タグをクリックすると、薬の名前と不足の状況(現在不足中/不足解消済み)
が一覧表示されます。
薬の名前をクリックすると、薬の供給者(複数の供給者がある場合は、複数の会社)とその連絡先、
供給力と推定不足期間、不足の情報と不足の理由が表示されます。

不足の理由欄には、製薬会社の製造遅れ、出荷遅れ、原薬の供給停止とさまざまな原因が書かれて
います。

薬の推定不足期間は、薬を頼りにしている患者には非常に役立つ情報なのではないでしょうか。
加えて、不足の理由が表示されていることで、薬の不足が一時的なものなのか、長引く可能性の
ある深刻なものなのかを判断しやすいように思います。

医薬品不足データベース
 http://www.accessdata.fda.gov/scripts/drugshortages/default.cfm


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まとめ
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医薬品は、需要が増えても、原薬の調達・製造設備の増設と、それに関わる承認の問題等により、
すぐに供給量を増やすことが出来ません。不足に対応するために、在庫を持つしかないのでしょう
が、使用期限が短いため、大量在庫を持つことも難しいという、かなり特殊な商品だと思います。
日本とアメリカの薬事行政に違いはありますが、医薬品の特殊性という意味で、医薬品の不足に
対するFDAの取り組みは、日本でも参考になるのではないでしょうか。

FDAは、法的権限の範囲内で、医薬品不足の防止・緩和のために、製薬会社や製薬会社の供給元で
ある原薬メーカと密接に連絡をとりあって、不足情報を把握・公表し、製薬会社の医薬品の供給力
を回復させるために積極的に動いているようです。

昨今、厚労省は、ジェネリック医薬品の使用促進の一環として、品切れ対策に力を入れています
が、そうは言いつつ、ジェネリック医薬品の初収載薬価に関するルール(先発品の0.6掛け/
10社以上が収載を希望する品目は0.5掛け、グループ別薬価)の適用により、今後の
ジェネリック医薬品の品不足が懸念されます。
日本ジェネリック製薬協会の“ジェネリック医薬品情報提供システム”により、代替製品を調べる
ことはできますが、アメリカのように不足の詳細情報まではわかりません。
日本にも、FDAのような行政からの医薬品不足の情報提供があるといいのではないでしょうか。

今回アメリカの医薬品不足について調べる中で、FDAが、自らの査察により製薬会社の製造停止を
引き起こす可能性を意識しつつも、患者の生命を守るために品質維持にこだわろうとする姿勢が
印象的でした。
その一方で、緊急時は、品質に問題がなければ、使用期限を延長するという柔軟な対応をする
用意があることにも驚かされました。
皆様はいかが思われましたか?

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、9/1(月)に配信させていただきます。


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2014.08.01

【(前回にひき続き)最近のFDAウォーニングレター】ASTROM通信<55号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

うだるような暑い日が続いていますが、お元気でいらっしゃいますか?

さて今回も、前回に引き続き、最近CDER(FDA医薬品評価センター)の製造及び製品品質オフィス
から発行されたウォーニングレター(Warning Letter)を取り上げ、FDAが製造所査察において
どんな点を指摘しているか確認していきたいと思います。

今回もかなり長いですが、どうか最後までお付き合いください。

出典
http://www.fda.gov/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/EnforcementActivitiesbyFDA/WarningLettersandNoticeofViolationLetterstoPharmaceuticalCompanies/ucm380323.htm

※文中のXXは、ウォーニングレターの中でマスキングされている文言です。


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WL: 320-14-09 2014年6月10日 中国の原薬メーカに対して(一部抜粋)
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2013/11/23~2013/11/27の製造所査察において、FDA査察官は、貴社が用いる手法・設備・管理・
製造・包装・保管に関し、CGMPからの逸脱を見つけた。
我々は貴社の回答についてレビュを実施し、十分な是正措置が行われていないことに気付いた。

1.原薬製造で使用される設備の洗浄とその使用に関する文書化された手順の遵守の不履行
及び主要設備の使用に関する適切な記録の保管の不履行
 貴社は、従業員が設備XXを使用後に十分に洗浄することを徹底していなかった。
 査察中、XXの製造場において、原薬製造に使用される設備XXの内部に様々なレベルの汚染とペン
 らしきものを含む異物を発見したが、従業員は、この設備に洗浄済のラベルを付けた。
 貴社の製造システムは、設備のログや、その他の各設備で行われた製造作業を記録した文書を
 保管していなかった。
 貴社の製造作業の管理者及び品質部門は、これらの不十分な洗浄業務を見つけて是正することを
 怠った。
 このレターに対する回答の中で、貴社は、これらの不十分な業務の再発を防ぐために是正処置
 計画を準備して実施しなければいけない。

2.中間体または原薬の製造や管理に影響するかもしれない全ての変更を評価するための適切な変更
管理の不履行
 a. 貴社は、製造のいくつかの変更の確認、文書化、評価、承認を怠った。具体的には、XX原薬の
   製造に関するドラッグ・マスター・ファイル(DMF)のフローチャートに書かれた設備が、実際
     に使用されている設備と異なった。
   貴社の職員は、この原薬製造で、もうXXを使用していないと述べた。貴社は、この変更による
     製品品質の影響や、変更結果の評価に基づいて適切な変更だったかどうかを評価していなかっ
     た。さらに変更管理の調査や、変更管理SOPが求める製造工程の重大な変更についての文書化
     を行っていなかった。

 b. 貴社は、貴社の変更管理SOPが求める変更管理の調査や、XXシステムの重要な変更の文書化を
     行っていなかった。原薬XXの製造に使用されるXXシステムにおいて、貴社は、XXをホース経由
     で、システム配管のポートに接続した。さらに、米国薬局方収載XXの製造に使われるXXシステ
     ムにおいて、貴社はXXタンクの場所を移動し、設備全体の配管システムを変更し、XXユニット
     を追加した。また、両システムの図面は最新ではなかった。
     貴社の回答の中で、貴社は、2012年6月20日に手順書を改訂し、それを実行したと述べた。
     貴社は、従業員にこの手順で教育を行ったが、上の例は、それを遵守していないことを示して
     いる。
     貴社の回答は、貴社が手順の遵守をいかに保証するかの詳細を含んでいない。さらに、改訂
     された手順は重大な変更が適切な変更管理をせずに行われた既存の設備に遡って適用しないと
     述べている。
     このレターへの対応の中で、全てのXXとXX原薬の製造における設備や手順に実施された変更
     関し、回顧的な評価を実施すべきである。この評価と、製品品質への変更の影響についての
     報告を提出せよ。また、変更管理のしくみの欠陥をどう是正し、今後、その実施と遵守をどう
     保証するかを述べよ。

3.逸脱のレビュと調査の不履行
 査察中、XX工程で使用されるXXの製造場において、いくつかの設備XXの底に、粒状物質、XX液、
 プラスティックのチューブ(見たところではペンの一部)が見つかった。これらの設備には、
 洗浄済のラベルが貼られていた。
 残留物から採取されたサンプルは、XX段階の複合混合物であったにも関わらず、サンプルは、
 最終原薬の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の分析テストだけであり、HPLCの分析後、それ以上
 のテストを行なわず、サンプルを処分した。

 貴社の回答の中で、貴社は、これらの問題に対処するため、逸脱の手順書を改訂したと述べたが、
 これらの問題の範囲について述べていないし、取り組んでいないので、貴社の回答は不十分であ
 る。
 このレターへの対応の中で、貴社は、逸脱のしくみについて評価すべきである。全ての逸脱に対し
 て適切な調査が実施されることを保証するための是正処置の計画を提供せよ。提出する計画には、
 調査を行う適格な職員の採用、訓練プログラムの拡充、十分な人数の職員の維持、タイムリーな
 改善の実施、逸脱調査手順の強化を含めよ。

 さらに、貴社は、分析証明書(COA)を適切に管理していなかった。貴社の外国の貿易事務所の職員
 が貴社製品のCOAを作成し発行していた。そして、品質部門は、COAの管理や記録の保管を行って
 いなかった。たとえば、米国薬局方収載原薬XXのバッチXXは、貴社が保管している記録と異なる
 COAと共に、米国に輸入された。貴社は、この重大な記録保管の欠陥を調査し、貴社の製品に関し
 て貴社が発行した全てのCOAの管理を確実にしなければいけない。貴社の文書がCGMPに従って適切
 に管理され、保管されていることを保証するのは貴社の責任である。

 貴社の重要な製造設備に関する不適切な適格性評価もまた懸念事項である。具体的には、貴社は、
 XXまたは、XXやXX原薬の製造に使われる製造設備の最新の技術図面を保持していなかった。さらに
 これらXXの適格性評価文書は、構造材、容積容量、XX、XXの機器構成/配置、XXの材料のような、
 重要な設置検証のパラメータを含んでいなかった。貴社は、製造設備の接触面が、貴社の製品の
 品質に影響を与えることを防ぐために、限界値を超えて、反応性・相加性・吸収性のないことを
 保証しなければならない。

 経営管理とは、貴社の工場で製造される製品の品質、安全性、完全性を保証する責任を負ってい
 る。この責任の基本部分には、欠陥のある製品が販売されるのを防ぐために、タイムリーな調査
 及び問題の解決が含まれる。FDAはCGMPの遵守を保証するために、貴社の経営管理が製造作業の
 グローバルな総合評価をすぐに受けることを勧める。その一貫として、堅牢な品質システムを
 構築し、業務と品質の適切な経営監視を保証することが不可欠である。

 我々は、貴社の製造する原薬が、適切な同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証するために、
 貴社の設備、手順、作業、システムを評価するために、貴社がCGMPの専門知識を持った第三者の
 コンサルタントを雇うことを勧める。

 ICH Q7(原薬GMPのガイドライン)にも注意せよ。ガイドラインは、全ての原薬が、品質、純度
 に関する基準を満たすことを保証するのを助けることを意図している。

 更に、貴社は、FDAに提出するドラッグ・マスター・ファイル(DMF)中の情報へのいかなる追加、
 削除、変更も提出しなければいけないということを思い出してほしい。

 このレターで言及した逸脱は、貴社の工場に存在する全ての逸脱のリストではない。貴社には、
 上記の逸脱の原因を調査・特定し、再発や別の逸脱の発生を防ぐ責任がある。

 このレターを受け取った結果、もしくは他の理由により、貴社が、貴社の設備で製造する最終
 医薬品または原薬の数を減らそうと考えている場合は、FDA医薬品評価センター(CDER)の医薬品
 不足プログラムにすぐに連絡せよ。我々は、貴社の業務が法律に従うために最も効果的な方法で
 貴社と一緒に働くことができる。
 医薬品不足プログラムに連絡をとることは、貴社の薬の製造の中止を報告する義務を果たすことに
 なり、FDAが、貴社の製品の不足を避け、貴社の製品を頼りにしている患者の健康を保護するため
 に必要なアクションを、出来るだけ早く検討することが可能である。
 適切と思われた場合は、供給を中断せず、または、中断期間を短縮して是正措置をとることができ
 るかもしれないので、それにより、薬の不足が避けられるか最小限にとどめられるだろう。

 是正処置が完了し、FDAが逸脱の是正と、貴社のCGMP遵守を確認するまで、FDAは、いかなる
 新しい申請や、医薬品製造業者または原薬製造業者としての補足収載の承認を保留するだろう。
 さらに、これらの違反や逸脱の是正の不履行があれば、中国の貴社で製造された物の承認をFDAが
 拒絶し続けることになるだろう。
 このレターを受け取って15営業日以内に、逸脱の是正と再発の防止のために貴社がとった措置を
 文書で知らせ、それを裏付ける文書のコピーを提供せよ。15営業日以内に是正処置を終えること
 ができない場合は、遅れの理由と、いつまでに是正処置を終えられるかを述べよ。さらに、未解決
 で原薬の製造または販売をしない場合は、製造を止めた日付と理由を教えよ。


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WL: 320-14-11 2014年6月16日 インドの会社に対して(一部抜粋)
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2014/1/27~2014/1/31の製造所査察においてCGMPの重大な逸脱を発見した。
我々は貴社の回答について詳細なレビュを実施し、十分な是正処置が不足していることに気付いた。

1.設定した仕様や標準に合っていることを保証するために実施した全てのラボのテストから得ら
れるデータの保管の不履行
 貴社には、貴社から出荷された原薬のバッチに関するラボのローデータが不足している。査察に
 おいて、貴社では合格結果が得られるまでバッチのサンプルのリテストを行っていることが明らか
 になった。さらに、貴社の品質管理ラボは、QCのテストシートにデータを記載することを怠った。
 不合格や特殊なテスト結果は公式のラボの記録に含めず、報告も調査もしなかった。例えば
 ・米国薬局方収載XXのバッチXXに関する2013年7月13日のガスクロマトグラフの電子記録のレビュ
  で、報告のされていない規格外試験検査結果(out-of-specification:OOS)の結果が明らか
  になった。しかし、QCテストデータシートには、2013年7月14日と2013年7月15日のサンプルテス
  トから得られた合格結果が記載されていた。査察の記録では、貴社はOOSの結果に関するサンプ
  ル調製のローデータは廃棄されたとなっていたが、貴社は、クロマトグラフの電子データと計量
  ログブックは、査察の間、利用しレビュ可能だったと回答した。しかし、OOSもしくは無視され
  たテスト結果の計算に用いられたローデータとサンプル調製の情報は実際には利用もレビュも
  できなかった。
 ・XXのバッチXXに関する2013年7月3日の高速液体クロマトグラフ(HPLC)の電子記録のレビュで、
  許容差はずれ(out-of-trend:OOT)が明らかになった。サンプル調製のローデータは廃棄され
  報告されていなかった。QCの分析者は、クロマトグラフの特徴にいくつかの小さな余分のピーク
  が検出されたのと、予想外に高い分析結果が得られたためこれらの結果が廃棄されたと述べた。
  QCテストデータシートには、2013年7月4日と2013年7月5日に異なるHPLCを使ってテストされた
  サンプルから得られた2つの新しい結果が報告されていた。
 ・ヨーロッパ薬局方収載XXのバッチXXに関する2013年11月21日のカールフィッシャー滴定の電子
  記録のレビュで、報告のされていないOOSの結果が明らかになった。データシートに報告された
  合格のテスト結果は、OOSの結果が得られた1時間後にテストされた別のサンプルから作成されて
  いた。
  査察中のラボの分析者のインタビュによると、テスト結果が合格の場合のみ、分析を完了させ、
  サンプル調製データを記録するのが通常の手順だった。テスト結果が特殊な場合は、新しい
  サンプルが準備され分析され、もともとのサンプルのテストは記録されなかった。

2.規格外試験検査結果(OOS)の調査及び文書化の不履行
 たとえば、
 ・米国薬局方収載原薬XXのバッチXXについて、HPLCテスト中、結果に未知のピークが見つかった。
  レビュ担当者は、“最終製品レビュデータ報告”ワークシートにて、未知のピークは、バイアル
  の汚染によるものと気づいたと報告した。電子記録は、2013年8月20日に、規格外となった分析
  が行われたことを示す。サンプルは2013年8月21日に再分析され、その時は、規格内となり、
  その結果が記録された。
 ・貴社のソフトウエアから得たデータの調査から、追加テストが実施されても、ラボ記録に適切
  に文書化されていないことを確認した。この調査は、2013年8月という短期間の、HPLCという
  1タイプの分析機器に限られていた。FDAの査察において、品質管理責任者は、自身が他のラボ
  の業務で忙しいため、リスク評価は2013年8月に限って実施したと説明した。
 ・査察中に調査した2013年12月26日から2014年1月21日までの一連の電子メールは、バッチXX,XX,
  XXの残留溶媒テストの中でみつかった予期しない未知のピークについて議論されていた。
  しかし、品質管理責任者は、この件は、未知のピークで、不合格と判断されなかったので、
  調査及び問題の解決は行わなかったと述べた。

3.苦情調査の適切な文書化の不履行
 貴社は、分析結果の不合格により、米国薬局方収載XXのバッチXXに関する苦情を受けとった。
 2013年3月29日に承認された最初の調査では、苦情は、2013年2月26日に受け取ったと書かれてい
 た。しかし、我々査察官は、バッチXXの保管サンプルに関するHPLC分析結果が不合格であるという
 テスト記録をみつけた。貴社のForm-483に対する回答では、苦情/質問が実際には、2013年1月8日
 に受け取ったものであると示されていた。

4.行った活動をその時点で記録することの不履行
 具体的には貴社の職員は、“最終製品レビュデータ報告”ワークシートを、実際のテストが行われ
 た数日後に重要なラボ情報を記録するために使用した。ワークシートは、貴社の第二のレビュ担当
 者に報告され、それらの記録とは別に、分析者はこれらのテストを“正”とした。これらのワーク
 シートのレビュから、分析者は、ラボの記録と同時にデータを記録していないことが明らかになっ
 た。例えば、
 ・2013年9月18日付で、米国薬局方収載XXのバッチXXのワークシートには、“サンプルが誤って取
  られた”と報告された。しかし、このロットの安定性データの訂正によれば、サンプルの測定
  は、2013年8月10日に実施されたように見える。
 ・2013年9月19日付で、米国薬局方収載XXのバッチXXのワークシートには、“全てのテストは完了
  したが、外観検査は報告されていない”と報告された。しかし、テスト記録の訂正によれば、
  テストは、2013年9月15日に実施されたことになっている。

 我々の査察で、貴社製品のテスト及び製造に直接関係するCGMPの記録を選択的に破棄していること
 を明らかにした。貴社は、貴社で生成されたデータの正確性と完全性に責任がある。
 会社は、テスト、製造の間に生成された、グラフ、図表、スペクトルを含む全てのローデータを
 保管しなければならない。貴社は、出荷承認されたバッチが、バリデートされたパラメータに
 従って製造され、適切にテストされ、出荷規格を満たしていることを確認しなければならない。
 貴社の経営管理において、貴社の製品の品質と安全性を保証しなければならない。データの破棄
 とラボのデータの改竄を防ぐために適切な管理を行い、システムを実装することは、経営管理の
 責任の根幹である。

 このレターに対する対応の中で、貴社は、記録の破棄・削除・破壊の範囲の総合評価、製品品質
 への潜在的な影響に関するリスク評価、包括的な是正処置・予防処置について回答せよ。回答に
 は、紛失・不正確・信頼性の低いテスト結果についての調査概要を含めよ。これらの出来事や、
 同様の出来事が、貴社の原薬を使った医薬品に与える影響を評価し、今後、データの完全性や、
 経営監視の不履行をさけるために貴社が取る措置について述べよ。

 データの破棄や既存データへ許可されていない変更を防ぐための管理を保証せよ。データへの
 いかなる変更も、許可された手順に従って厳密に行うべきであり、変更した日付、変更した人物、
 変更の理由は、常に必ず記録されるべきである。貴社は、苦情、OOSの結果の取り扱い、逸脱や
 OOS結果の調査後に行った是正処置の効果の保証に関する手順を改善する必要がある。

 従って、このレターに対する回答で、堅固な品質システムを実装するための計画の詳細な記述を
 すべきである。この改善計画では、この設備の品質や、運転機能を直接、かつ効果的に監視する
 ことを保証するための手順について述べる必要がある。このシステムは、データの改竄や記録の
 破壊、削除を防ぐための基本的な機能を含み、持続可能なCGMPの遵守を保証するものでなければ
 ならない。

 貴社は、データの完全性を保証するための誓約、手順、活動、管理についての計画を述べなけれ
 ばならない。この計画の中で、データの完全性の欠如やデータの改竄を検知するために、全ての
 部長、管理者、および品質部門の職員が適切に訓練されていることを保証するために実施する
 是正処置ついて述べよ。調査の中で、貴社の品質部門が適切なテストの実施を保証していない
 他のいかなる出来事についても詳細な説明を提出し、貴社のラボの職員により生成された全ての
 テスト結果の回顧的レビュを含めなければならない。

 ICH Q7(原薬GMPのガイドライン)にも注意せよ。ガイドラインは、全ての原薬が、品質、純度
 に関する基準を満たすことを保証するのを助けることを意図している。

 貴社が、評価とCGMPの全面的な遵守のために、データの完全性の問題を検知する経験を持った
 第三者の監査人を雇うことを認める。コンサルタントは下記のことをすべきである:
 1.過去に貴社の設備で生じた不正確なデータの報告期間の特定
 2.活動、システム、手順、管理手法を確認するために、その期間の、前・最中・直後に雇われ
   た現従業員の特定とインタビュ
 3.その期間の前・最中・後に退職した元従業員の特定と、不正確なデータ報告に関連する情報
   を持っているかを判断するインタビュをするための努力
 4.他のエビデンスが、インタビュ中に集められた情報を裏付けるかの判断、及び 他の設備が
   不正確なデータ報告に関係、もしくは影響を受けたかの判断
 5.不正確なデータ報告が行われた時の部長を特定するための組織図及びSOPの使用 及び
   データ改竄に関与または気づいていたトップや中間管理職の範囲の特定
 6.上で確認された各部長が、今も、CGMPもしくは提出した申請に関するデータの完全性に影響
   を与える地位にいるかの判断 及び 不正確なデータ報告に関係、もしくは影響を受けた
   他の設備への内部インタビュをするための手順の確立
 7.貴社のラボのデータ完全性の包括的な監査の一部として、貴社の監査者は、データまたは
   承認された申請(ドラッグ・マスター・ファイルを含む)と実際の結果、方法、当局に提出
   されたテスト条件の間にあるいかなる相違も報告すべきである。全ての相違の影響のついて
   の説明も含めよ。当局に提出された申請または今後の申請に含まれるデータの完全性を保証
   するために貴社が実施するであろう手順、活動、管理について記述した是正処置計画を提出
   せよ。

 このレターを受け取った結果、もしくは他の理由により、貴社が、貴社の設備で製造する最終
 医薬品または原薬の数を減らそうと考えている場合は、FDA医薬品評価センター(CDER)の医薬品
 不足プログラムにすぐに連絡せよ。我々は、貴社の業務が法律に従うために最も効果的な方法で
 貴社と一緒に働くことができる。
 医薬品不足プログラムに連絡をとることは、貴社の薬の製造の中止を報告する義務を果たすこと
 になり、FDAが、貴社の製品の不足を避け、貴社の製品を頼りにしている患者の健康を保護する
 ために必要なアクションを、出来るだけ早く検討することが可能である。
 適切と思われた場合は、供給を中断せず、または、中断期間を短縮して是正措置をとることが
 できるかもしれないので、それにより、薬の不足が避けられるか最小限にとどめられるだろう。

 是正処置が完了し、FDAが逸脱の是正と、貴社のCGMP遵守を確認するまで、FDAは、いかなる
 新しい申請や、医薬品製造業者または原薬製造業者としての補足収載の承認を保留するだろう。
 さらに、これらの違反や逸脱の是正の不履行があれば、中国の貴社で製造された物の承認をFDAが
 拒絶し続けることになるだろう。
 このレターを受け取って15営業日以内に、逸脱の是正と再発の防止のために貴社がとった措置を
 文書で知らせ、それを裏付ける文書のコピーを提供せよ。15営業日以内に是正処置を終えること
 ができない場合は、遅れの理由と、いつまでに是正処置を終えられるかを述べよ。さらに、
 未解決で原薬の製造または販売をしない場合は、製造を止めた日付と理由を教えよ。


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WL: 320-14-10 2014年7月7日 イタリアの会社に対して(一部抜粋)
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■2014/1/27~2014/1/29の製造所査察においてCGMPの重大な逸脱を発見した。
我々は貴社の回答の詳細なレビュを実施し、是正処置が不足していることをみつけた。

1.全てのテストから得られるデータの保管の不履行 及び データの保有や管理が設定した仕様
や標準に合っている保証が出来ないこと
 貴社は、貴社の原薬の品質を保証するために実施されたテストの完全なローデータを保管していな
 かった。具体的には、貴社は、米国市場に出荷された全ての原薬のHPLCの電子のローデータを削除
 した。さらに、貴社は、注入シーケンス、テスト方法の保管を怠った。貴社のデータ管理の欠如
 は、貴社のデータの信頼性に対して疑念を生む。
 さらに、貴社のラボの管理者は、分析データのレビュの文書化された手順の詳細を知らず、その
 ため、手順を実施していなかった。
 貴社の回答では、2013年7月以来バックアップシステムについて調査し、2014年の第3四半期までに
 オンラインのバックアップシステムを入れると回答した。貴社は各コンピュータのバックアップ
 データの保管を暫定的に開始したと述べた。しかし、注入シーケンス、テスト方法や監査証跡の
 バックアップには取り組んでいない。さらに貴社の回答は、電子ファイルが各ローカルコンピュー
 タから早まって削除されないことをいかに保証するかについて触れていない。
 このレターに対する回答の中で、包括的な是正処置の計画を提出せよ。器具や設備の完全な電子
 ローデータの保管を保証するために実施されるであろうシステム全体の変更、手順の見直し、
 従業員の適切な再訓練に関する情報も提出せよ。

2.データへの不正なアクセスや変更防止の不履行 及び データ破棄を防ぐための適切な管理の不履行
 貴社は、ラボの電子ローデータの不正な改竄を防ぐための適切な管理を行っていなかった。具体的
 には、貴社のラボシステムは、ローデータの削除や変更を防ぐためのアクセス管理をしていなかっ
 た。査察官は全てのラボの従業員は、コンピュータシステムへのフルアクセス権限を与えられてい
 ることを発見した。
 さらに、2014年1月7日より前のHPLC及びガスクロマトグラフのコンピュータソフトは、オリジナル
 の分析結果、変更した人物や変更時刻を含むデータへの変更を記録する監査証跡機能を持っていな
 かった。
 貴社は、GCシステムとHPLCシステムは、今は監査証跡を持っていると回答した。しかし、そのシス
 テムのデータ処理の監査証跡については述べていなかった。貴社は、早まってデータが削除されな
 いように保証する適切な保護手段なしに、ローカルのハードドライブ上に電子ローデータを保管す
 ることを始めたと回答した。データの保護手段は、2014年の第3四半期まで実装されないであろ
 う。
 このレターに対する回答の中で、電子データの削除や変更を防ぐための是正処置の計画について
 述べよ。さらに、貴社の新しいアーカイブの手順について詳細に述べよ。また、今後、上述された
 失敗の再発を防ぐために、アーカイブの手順が一貫して機能する保証をせよ。
 さらに、貴社の洗浄バリデーション、プロセスバリデーションを裏付ける電子ローデータが不足
 している。
 このレターに対する回答の中で、ローデータによる裏付けの不足を踏まえて、米国へ販売された
 製品に関するテスト方法をレビュするための是正処置の計画を述べよ。

3.従業員が実施する特定の業務について、従業員が適切かつ文書化された訓練を受ける保証の不履行
 貴社は従業員が実施する製造作業の訓練について文書化していなかった。具体的には、合成プラン
 トのオペレータには、彼らが実施する製造作業に関し、文書化された業務上の訓練がなかった。
 さらに貴社の管理者は、関連する分析データのレビュに関する分析証明書の発行についてSOPに
 準拠しなければいけないことを知らなかった。文書化された訓練なしで、貴社の従業員が原薬製造
 の責任を果たせる保証はない。
 貴社は、CGMPの訓練要件に従い、業務上の訓練を含めるため、2013年の7月に訓練SOPを改訂したと
 回答した。しかし、今回の査察では、この手順に従っていないことが明らかになった。
 このレターに対する回答の中で、この不備の範囲を調査し、製造及び品質責任者が、これらの訓練
 の不備を察知できなかったか原因に対処するための是正処置の計画を述べよ。さらに、是正処置
 計画には、従業員がCGMPに従った責任を果たすために適切に訓練されることを保証するための、
 適切な品質管理に関する最新の手順と規定を述べよ。
 今回の我々のレビュは、貴社の品質部門が、完全に責任を果たせていないことを示している。貴社
 は、責任を果たすために、適切な責任者とスタッフの揃った品質部門を準備することが必要で
 る。我々は、貴社のスタッフにCGMPのガイダンスと訓練を行い、ラボデータの完全性を規定する
 資格のあるコンサルタントを雇うことを勧める。

 ICH Q7(原薬GMPのガイドライン)にも注意せよ。ガイドラインは、全ての原薬が、品質、純度
 に関する基準を満たすことを保証するのを助けることを意図している。

 このレターを受け取った結果、もしくは他の理由により、貴社が、貴社の設備で製造する
 原薬の数を減らそうと考えている場合は、FDA医薬品評価センター(CDER)の医薬品不足
 プログラムにすぐに連絡せよ。我々は、貴社の業務が法律に従うために最も効果的な方法で貴社と
 一緒に働くことができる。
 医薬品不足プログラムに連絡をとることは、貴社の薬の製造の中止を報告する義務を果たすことに
 なり、FDAが、貴社の製品の不足を避け、貴社の製品を頼りにしている患者の健康を保護するため
 に必要なアクションを、出来るだけ早く検討することが可能である。
 適切と思われた場合は、供給を中断せず、または、中断期間を短縮して是正措置をとることが
 できるかもしれないので、それにより、薬の不足が避けられるか最小限にとどめられるだろう。

 是正処置が完了し、FDAが逸脱の是正と、貴社のCGMP遵守を確認するまで、FDAは、いかなる
 新しい申請や、医薬品製造業者または原薬製造業者としての補足収載の承認を保留するだろう。
 さらに、これらの違反や逸脱の是正の不履行があれば、中国の貴社で製造された物の承認をFDAが
 拒絶し続けることになるだろう。
 このレターを受け取って15営業日以内に、逸脱の是正と再発の防止のために貴社がとった措置を
 文書で知らせ、それを裏付ける文書のコピーを提供せよ。15営業日以内に是正処置を終えることが
 できない場合は、遅れの理由と、いつまでに是正処置を終えられるかを述べよ。さらに、未解決で
 原薬の製造または販売をしない場合は、製造を止めた日付と理由を教えよ。


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まとめ
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今回のウォーニングレターでも、前回同様、合格結果が得られるまで分析を続ける、不合格結果は
残していない、不合格の発生原因を調査していないという指摘内容が見られました
興味深いのは、こういう問題が、電子ローデータやメールのやりとりから明らかになっている点で
す。FDAが、システムやコンピュータの中味をかなりチェックしていることがわかります。
と同時に、電子記録をチェックすることで、紙ベースでは見えにくかった日付の改竄が白日の下に
さらされるということもよくわかります。
PIC/S GMPガイドラインで、出荷判定をシステムで行う場合、電子署名が求められているように、
電子化の流れは確実に進んでいますが、会社の管理レベルがついていっていないと大変な事態に陥る
ということを十分理解しておかないといけないのではないでしょうか。

それともう一点。社内の力だけでCGMP遵守が難しいと判断された会社に対し、FDAは社外のコンサル
タントを雇うことを勧めている点が興味深いです。
社内のコンプライアンス体制の充実がいかに難しいかということと、そして、そのためには相当専門
的な知識・スキルが必要となってきているということがわかります。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、8/15 (金)に配信させていただきます。


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