ASTROM通信バックナンバー

2017.09.15

【英国のEU離脱について】ASTROM通信<130号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

日暮れが早くなったなと実感するこの頃ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
さて、今回は、英国のEU離脱に関する話題を3件取り上げたいと思います。
1つ目はEMA本部の移転に関する話題、2つ目は英国のEU離脱に関するEUとEMAの考え方の違い、
3つ目は英国のEU離脱に関しEMAが発表したQ&A集についてです。
EU地域の拠点を英国に置いている製薬会社様には大きな影響がありますし、英国経由でEU向け
に輸出している製薬会社様にも変更手続が発生しますので、影響の有無や影響の度合いを確認
する意味で目を通していただければと思います。
最後までお付き合いいただければ幸いです。


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1.EMA本部の受入の申し出について(2017年8月22日発)
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欧州医薬品庁(EMA : European Medicine Agency)は、EU内の薬の科学的評価、監督、安全性の
モニタリングについて責任を負う。そのEMAは、英国の欧州からの離脱により移転する必要がある。
移転先として、EMAに対し19の申し出があった。
2017年8月1日時点でEMAの受入を申し出ている都市は以下の通りである。
オランダ・アムステルダム/ギリシア・アテネ/スペイン・バルセロナ/ドイツ・ボン/
スロバキア・ブラティスラバ/ベルギー・ブリュッセル/ルーマニア・ブカレスト/
デンマーク・コペンハーゲン/アイルランド・ダブリン/フィンランド・ヘルシンキ/
フランス・リール/マルタ/イタリア・ミラノ/ポルトガル・ポルト/ブルガリア・ソフィア/
スウェーデン・ストックホルム/オーストリア・ウィーン/ポーランド・ワルシャワ/
クロアチア・ザグレブ
委員会の評価は、2017年9月30日にネット上で公表され、欧州理事会(EC : European Council)は、
評価に基づき2017年10月に総務会で政治的な考察を行う。投票は無記名で、27の加盟国により実施
される予定である。
最終決定は、総務会で行い、2017年11月20日に発表される。
評価は以下の項目を含む6つの基準に基づく。
・運用上の保証(適切なオフィスが利用できること)
・場所のアクセスのしやすさ(フライトの接続の頻度と時間)
・EMAの職員の子供たちのための学校(多言語の学校の利用可能性を含む)
・職員の家族のための労働市場と医療施設の利用(非常に有能なスタッフを維持し引き付けるため)
・地理的分布
受入の申し出国の公開に加え、EMAはその事業継続計画の一環として、一時的にいくつかの活動を
停止すると言った。
新しい公に利用可能なEU内の全ての医薬品市場のオンラインの情報源の開発
・申請者に、安全で効率的な方法でヒト用及び動物用の薬の許可申請に関連する文書の電子的提出
 を認めるe-submissionプロジェクトへのEMAの寄与
・EMAの今後の透明な手段を提示するロードマップの開発
2018年以後のEUの医薬品規定当局がベンチマーキングに参加すること

■出典
 https://www.gmp-publishing.com/en/gmp-news/gmp-aktuell/ema-application-headquarters.html


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2.英国のEU離脱について(2017年9月5日発)
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英国医薬品庁(MHRA : Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)は、英国のEU離脱後
に物事が正しい方向に動くために、EU国民投票の結果に対処している。
2017年8月21日、MHRAにより、企業や消費者のいかなる混乱も防ぎ、EUから円滑で秩序だった脱退を
するための願いを明確に述べた
政策方針書“Continuity in the availability of goods for the EU and the UK”(EUと英国の
商品の入手可能性の継続性)が発行された。英国の規制当局によれば、将来最も自由な経済関係へ
移行することを目標としている。
目標を達成するために、英国は、政策方針書の中で4つの提案をしている
1.EU離脱の日に、追加の要件または制限なしに、EUと英国の市場において商品の入手可能性を保証
  するために、離脱前に単一市場にある商品は英国とEU内を自由に循環され続けなければならない。
2.離脱前に法令を順守している企業は、離脱後に、英国及びEU市場で商品を販売するために、重複した
  不要な活動を要求されるべきでない。これは、離脱前の承認、証明、登録の有効性の認めることを含む。
3.流通している商品が法律に従い続けることを保証し、市場の監督官庁が法令に準拠していない製品に
  関しては必要な行動がとることを保証できるよう、協定は製品の継続的な監視を促進しなければならない。
4.商品がサービスと一緒に提供される場合、商品の協定を損ねるようなサービスの提供の制限をする
  べきでない。

一方、EMAは、英国のEU離脱について異なる絵を描いて準備をしている。
“Notice to marketing authorisation holders of centrally authorised medicinal products for
  human and veterinary use”(ヒト及び動物用医薬品に関し中央に認定された医薬品市販承認取得者への
通知)において、英国は2019年3月30日から“第三国”になると明確に述べられている。これは、ECにより
発行されたQ&Aに書かれ、EMAも承認している:英国のEU離脱後は英国で製造された医薬品及び原薬は輸入
されたものとみなされる。また、バッチの出荷判定は、EU内に設置された場所に移動しないといけない。

■出典
 https://www.gmp-publishing.com/en/gmp-news/gmp-aktuell/mhra-industry-brexit.html


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3.EMA発出「集中化手続の枠組内におけるヒト及び動物用医薬品に関する英国の
EU離脱についてのQ&A」の抜粋
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2017年5月2日、ECおよびEMAは、
“Notice to marketing authorisation holders of centrally authorised medicinal products for
 human and veterinary use”(ヒト及び動物用医薬品に関し中央に認定された医薬品市販承認取得者への
通知)を発行した。そこでは次のことを述べている:英国は2017年3月29日にEUから離脱する通知を提出した。
離脱の合意において別の日を設定するかECが期限を延期しない限り、2019年3月20日00:00から、英国にEUの
法律を適用することは終わり、英国は“第三国”になるだろう。
この観点で、ヒト及び動物用医薬品に関し中央に認定された医薬品市販承認取得者に、適時考慮される必要の
ある法的影響を知らせる。英国のEU離脱の影響に準備することは、ヨーロッパや国の統治に関する問題だけで
なく、民間の団体にも関係する問題である。
Q&Aの最初のリストは、ECとEMAにより合同で起草され、欧州経済地域(EEA)内で制定された要求に関する情報
をテーマとしている。Q&Aは近い将来さらに改訂され完成されるだろう。
1.自社が英国内の医薬品市販承認取得者だったらどうなるか?
EC規則No.726/2004の2条によると、医薬品市販承認取得者はEU内に設置されないといけない。EEAの協定を
通して、協定はノルウェイ、アイスランド、リヒテンシュタインも含むよう拡大される。
中央に認定された医薬品市販承認取得者は、通常、その承認をEEAに移さなければいけない。これは販売承認の
決定の住所を、新しい住所に変えることを意味する。
2.自社が英国内の(ヒト用医薬品の)稀少疾病医薬品の指定取得者だったらどうなるか?
EC規則No.141/2000の2条によると稀少疾病医薬品の指定出資者がEEA内に設置されないといけない。指定された
稀少疾病医薬品の指定取得者はその指定をEEA内に設置された指定取得者にするか、設置場所をEU加盟国または
EEA内に変更し、稀少疾病医薬品の指定取得者の名前及び/または住所変更の文書を提出する必要がある。
3.自社が、稀少利用・稀少種向け/限定市場(MUMS : Minor Use Minor Species / limited market)の
  動物用医薬品の製品を持つ英国企業だったらどうなるか?
出資者/申請者が英国にいるならば、英国のEU離脱の日からインセンティブは適用されず、第三国に設置された
出資者/申請者であるとして、EEAにおけるMUMS/限定市場の分類を求めたり受けたりすることはできない。
しかし、MUMS/限定市場の分類は製品/表示と結びついているので、製品と一緒に移動可能である。
移動を正式に認めるために、EMAは、MUMS/限定市場の分類製品とMUMS/限定市場の分類が、元の出資者/申請者
からEEA内の出資者/申請者に移転されたことを、元の出資者/申請者からEMAに対して公式に知らせる文書を
求めている。この文書では、MUMS結果文書の参照番号を明らかにしなければならない。
すでに認可されているMUMS/限定市場の動物用医薬品に関し、販売承認の移転は、別の手続きなので、
MUMS/制限指定の移転は含まないことに注意することが重要である。
したがって、認可済のMUMS/限定市場の動物用医薬品に関し、市販承認取得者は、販売承認の移転の移転と、
それとは別にMUMS/限定市場分類の移転を行う必要がある。
4.自社のファーマコビジランスのためのクオリファイドパーソン(QPPV : Qualified Person for
  Pharmacovigilance)が英国内に住んで自身の業務を行っている場合どうなるか?
EC指令2001/83の8条及び2001/82の74条によれば、ファーマコビジランスのためのクオリファイドパーソンは、
EEA内に住み、業務を実施しないといけない。従って、QPPVはEEA内に居住地を変えて業務を実施するか、
EEA内に住み業務を実施する新しいQPPVが任命される必要がある。ヒト用医薬品の連絡先の詳細(電話番号、
FAX番号、住所、メールアドレス)を含むQPPVの変更は、57条のデータベースを通じてのみ更新できる。
動物用医薬品の変更は、変更手続(変更ガイドラインC.I.9)を通じで更新さればければならない。
5.ヒト用医薬品のファーマコビジランスシステムのマスタファイル(PSMF : Pharmacovigilance System
  Master File)が英国内にある場合どうなるか?
委員会の実施規則(EU)No.520/2012によれば、PSMFはEEA内になければならない。ファーマコビジランスの
監督官庁は、ファーマコビジランスシステムのマスタファイルがある加盟国の所轄官庁である。従って、
市販承認取得者は、PSMFの場所をEEAの加盟国に変更する必要があるだろう。PSMFの場所の変更(通り、町、
郵便番号、国)は57条のデータベースを通じてのみ更新できる。
6.原薬の製造所が英国内にある場合どうなるか?
英国のEU離脱の日から英国内で製造された原薬は輸入原薬とみなされる。
EC指令2001/83及び2001/82は、出発原料に関するGMPの詳細ガイドラインに従って製造された原薬のみ
出発原料として使用することが義務づけられていると述べている。
さらに、EC指令2001/83の46b(2)によれば、ヒト用医薬品に使われる原薬は、EEA内で輸入されたものか、
工場のGMPの標準や管理がEEA内の工場と同等であると確認した、第三国の輸出国の所轄官庁から得た
確認書が添付されたものに限らなければならない。
7.自社の最終製品の製造所が英国内にある場合どうなるか?
英国のEU離脱の日から英国内で製造された医薬品は輸入医薬品とみなされる。
EEAの所轄官庁は、第三地域から輸入された医薬品が、EC指令2001/83の40(3) 及び2001/82の44(3)に従って、
承認の対象となることを保証しなければならない。EC指令2001/83の41条・42条、2001/82の45条・46条に
定義されたたくさんの条件(例:EEA内のクオリファイドパーソンの使用、GMP査察)を満たした時、承認される。
中央に認定された医薬品に関し、市販承認取得者は、EEA内に設立され承認された輸入者を定め、対応する
変更書(変更ガイドラインB.II.b.2)を提出する必要がある。
さらに、EC指令2001/83の51(1)(b)及び2001/82の55(1)(b)に従い、承認取得者は、各製造バッチをEEA内へ
輸入の際、製造販売許可要件に従い医薬品の品質を保証するために、少なくとも全ての有効成分の定性分析、
定量分析、その他の全ての必要な試験やチェックを受けられるバッチ管理サイトを定める必要がある。
中央に認定された医薬品に関し、市販承認取得者は、現在の英国にあるバッチ管理サイトの場所を、EEA内に
設置された場所に変更し、対応する変更書(変更ガイドラインB.II.b.2)を提出する必要がある。
8.英国内に出荷判定サイトがある場合どうなるか?
EC指令2001/83の51(1)条及び2001/82の55(1)条によれば、製造及び輸入許可取得者のクオリファイドパーソン
はEEA市場に出す目的の医薬品の各バッチがEU GMP要件及び製造販売承認承認要件に従って製造されたことを
証明する責任がある。中央に認定された医薬品に関し、市販承認取得者は、英国にある出荷判定サイトを
EEA内に設置された場所に移し、対応する変更書(変更ガイドラインB.II.b.2)を提出する必要がある。
9.自社は、英国にある中小企業(SME)だが、委員会規則(EC)No.2049/2005(SME規則)に従って、
  財政及び行政の援助をまだ利用することはできるか?
財政及び行政の援助の適格者であるために、会社はEEA内に設立され、SMEの定義を満たさなければならない。

■出典
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Other/2017/05/WC500228739.pdf


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
EMAの職員は待遇がいいのだなと感心してしまいましたが、それはさておき、英国のEU離脱により、英国に
拠点を置いている製薬会社様には大きな影響があることがわかります。
EMAから近いうちにQ&Aの最終版が発出されるそうですので、関係する製薬会社様は確認されたほうがよいと
思われます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、9/29(金)に配信させていただきます。


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