ASTROM通信バックナンバー

2018.06.01

【最近のEUのノンコンプライアンスレポート】ASTROM通信<147号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~ 

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

まだ5月だというのに暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回のメールマガジンでは、下記2件の話題を取り上げたいと思います。 
1.イギリス議会のビジネス・エネルギー・産業委員会が発表したEU離脱に関するレポート 
2.2018年に発行されたEUのノンコンプライアンスレポート(Non-Compliance Report)3件

EUのノンコンプライアンスレポートは、FDAのウォーニングレターに比べて指摘の内容が詳しくは 
ありませんが、どんな点がEU GMP上不備と判断されたかを確認し皆様の業務の参考にしていただけ 
れば幸いです。


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1.イギリス議会のビジネス・エネルギー・産業委員会が発表したEU離脱に関するレポート 
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イギリス議会のビジネス・エネルギー・産業委員会は“イギリス政府は、EU離脱後、EUと可能な限り 
友好な薬事規制関係の協力を確保し、EUとの摩擦や患者を害するリスクや医薬品業界におけるリーダ 
としての立場を失うリスクを最小化して、製薬業界の取引を守らなければならない”と、述べている。 
委員会は、イギリスのEU離脱による製薬業界への影響について、業界の合意締結なしにEUを去る場合、 
119億ポンド(約1兆7850億円)の輸出と、EU内の4億4600万人以上の潜在患者と消費者を含んだ市場 
へのアクセスを減少させるだろうと報告した。 
医薬品の輸入の約4分の3がEUからであるイギリスの患者の薬へのアクセスも危険な状態になるかも 
しれない。 
報告は、イギリス規制当局の欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)からの離脱は、 
製薬会社が製造設備と役割をイギリスとEUに二重に持つ必要があることを意味するかもしれないので、 
業界にとって大きな懸念であるとまとめている。医薬品のコストは大いに影響を受けるかもしれない。 
別々の管理体制は、新製品の発売毎に、4万5000ポンド(約675万)の余分なコストが課され、イギリス 
は新しい革新的な医薬品にとって魅力のない市場になるかもしれない。

<コメント> 
5月24日付のタイムズ紙は、イギリスのメイ首相が2019年3月末に英国が欧州連合(EU)を離脱した後、 
激変緩和策として2020年末まで設ける「移行期間」について、2023年までの延長を求めることを検討 
していると報じています。 
イギリスのEU離脱は、製薬業界にも少なからず影響があるため、当面目が離せません。

出典: 
https://www.parliament.uk/business/committees/committees-a-z/commons-select/business-energy-industrial-strategy/news-parliament-2017/pharmaceutical-report-published-17-19/ 
http://www.news-digest.co.uk/news/news/uk-news/17689-2018-05-25.html


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1.EUのノンコンプライアンスレポート   
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このASTROM通信でも何度か取り上げているノンコンプライアンスレポートですが、製造所の査察に 
おいて、EU GMPに不適合と判断される不備が見つかった場合に発行されるもので、3部構成になって 
います。 
Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所等、Part2にノンコンプライアントな 
製造オペレーション、Part3に不備の内容、EUの対策等が書かれています。 
査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ていますが、ウォーニングレターに比べて、 
指摘の内容があまり詳しくありません。また、不備を、クリティカル(Critical)、メジャー(Major)、 
その他(Others)に分類して、クリティカルとメジャーが何件あったかを明記しているという特徴が 
あります。いつもの通り、Part3部分をみていきたいと思います。

■Report No.MT/001NCR/2018  
インドの製薬会社をマルタの当局が2018/3/11に査察し、以下のノンコンプライアンスレポートを 
発行した。 
●ノンコンプライアンスの種類 
査察中、クリティカル1件、メジャー6件、その他11件の不備が報告された。クリティカルの不備は、 
文書の改ざんの証拠に関するもので、メジャーの不備は、不適切な医薬品品質システムと文書管理、 
交叉汚染の管理の不足、製造活動、クオリフィケーションとバリデーションの活動、供給者の承認 
に関するものだった。 
●とられた/提案された行動 
当局は、このサイトでの医薬品販売承認申請または、現承認に対する医薬品販売承認一変申請を 
認めるべきでないと提言する。 
●追加コメント 
今回が当サイトに対するEU/EEA当局の最初の査察だったため、現在、EU GMP適合証明はない。 
当サイトは現在EU/EEA市場のヒト用医薬品に関する申請も販売承認もないので、EU/EEA市場の 
いかなる製品にも影響はない。 
出典: 
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=47625

■Report No.UK GMP Insp GMP 19756/12954-0009 NCR  
インドの製薬会社をイギリスの当局が2018/3/14に査察し、以下のノンコンプライアンスレポート 
を発行した。 
●ノンコンプライアンスの種類 
査察中、3件のクリティカルの不備をみつけた。 
1.GMP記録のデータの改善の証拠があった。 
2.記録、予期しない事象に関する調査と行動の完了に関し、医薬品品質システムが非効果的 
  だった。 
3.査察官に対し、虚偽や誤解を与える発言があった。 
●とられた/提案された行動 
・現在有効なGMP適合証明No.UK GMP 19756 Insp GMP 19756/12594-0008の取り消し 
 GMP適合証明No.UK GMP 19756 Insp GMP 19756/12594-0008の取り消し 
 ノンコンプライアンスのステートメントの発行と、国の所轄官庁により医学的に重要な製品の 
 継続的な製造と試験または継続的な供給が許可された場合に限るGMP適合証明 
・出荷済バッチの回収 
 製品に対する影響のエビデンスがないため、査察官は製品の回収は勧告しない 
・供給禁止 
 ノンコンプライアンス状態中は、重要でない製品については、いかなるバッチもEU市場には供給 
 さ れない。 
●追加コメント 
国の所轄官庁はこの製造所から供給されている製品の重要性について評価し、重要であれば継続的 
供給を保証する手段を制定すべきである。医薬品市販承認取得者は、国の所轄官庁に対し、その 
国内で公衆衛生上、製品が医学的に重要で、それゆえ、ノンコンプライアンスのステートメントの 
スコープ外にあるかどうかを確認するために連絡を取る必要がある。 
出典: 
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=47642

■Report No.UK GMP 34886 Insp GMP 34886/1148567-0005 NCR  
台湾の製薬会社をイギリスの当局が2018/3/15に査察し、以下のノンコンプライアンスレポート 
を発行した。 
●ノンコンプライアンスの種類 
メロペネム及びメロペネム/炭酸ナトリムの混合を行う無菌工程に関し、クリティカルな不備が 
みつかった。不備は、無菌工程や、そこにあるオートクレーブ・乾熱滅菌装置の技術的知識の不足、 
VHP(過酸化水素ガス滅菌)の不適切な負荷パターンの設計と適用、培地充填と環境モニタリング 
に関するものだった。 
●とられた/提案された行動 
・現在有効なGMP適合証明No.UK GMP 34886 Insp GMP 34886/1148567-0005の取り消し 
 GMP適合証明No.UK GMP 19756 Insp GMP 19756/12594-0008の取り消し 
 ノンコンプライアンスのステートメントの発行と、国の所轄官庁により医学的に重要な無菌原薬 
 の継続的な製造と試験または継続的な供給が許可された場合に限るGMP適合証明 
・出荷済バッチの回収 
 製品に対する影響のエビデンスがないため、査察官は製品の回収は勧告しない 
・供給禁止 
 ノンコンプライアンス状態中は、重要でない製品については、いかなるバッチもEU市場には供給 
 されない。 
●追加コメント 
国の所轄官庁はこの製造所から供給されている無菌原薬を使用する製品の重要性について評価し、 
重要であれば継続的供給を保証する手段を制定すべきである。医薬品市販承認取得者は、国の 
所轄官庁に対し、その国内で公衆衛生上、製品が医学的に重要で、それゆえ、ノンコンプライアンス 
のステートメントのスコープ外にあるかどうかを確認するために連絡を取る必要がある。 
出典: 
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=47896


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まとめ 
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イギリスのEU離脱問題は、イギリス国内でも準備があまり進んでいないようで、いつから完全な 
離脱状態になるのかがはっきりしていません。 
しかし、今回の3件のノンコンプライアンスレポートのうち2件がイギリスの規制当局から発行されて 
いることからもわかるように、イギリスのヨーロッパの規制動向や製薬業界に果たす役割・影響力は 
大きく、今後のイギリスの動向には十分な注意が必要と思われます。

☆次回は、6/15(金)に配信させていただきます。


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おしらせ 
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弊社は、今年も、6月27日(水)~6月29日(金)に開催される医薬品・化粧品・洗剤 研究・製造 
技術展インターフェックスジャパン(会場:東京ビッグサイト)に出展します。 
ブースは、東1ホールのITソリューションゾーン【E18-30】となりますので、是非お立ち
寄りください。
お待ちしております。


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