ASTROM通信バックナンバー
月別アーカイブ
2018.12.28
【PIC/Sデータ・インテグリティ関連ガイドラインドラフトについて(2)】ASTROM通信<161号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
平成最後の年の瀬となってまいりましたが、いかがお過ごしでいら
今回は、前回に引き続き、2018年11月30日にPIC/Sか
インテグリティに関する適正管理基準のガイドラインのドラフト(
見ていきたいと思います。
非常に長いガイドラインなので、本日は8章に書かれている紙ベー
を取り上げます。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
出典
https://www.picscheme.org/en/n
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
PIC/S GMP/GDP環境でのデータ管理とインテグリティに関する適正
GOOD PRACTICES FOR DATA MANAGEMENT AND INTEGRITY IN REGULATED GMP/GDP ENVIRONMENTS PI 041-1 (Draft 3)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
8章 紙ベースのシステム固有のデータ・インテグリティの留意事項
8.1 医薬品品質システム(PQS)の体制と、ブランクフォーム/テン
8.1.1 紙ベースの文書の効果的な管理は、GMP/GDPの重要な要素で
に合うように設計され、文書や記録のインテグリティが維持される
である。
8.1.2 紙の記録は、データのライフサイクルを通じて管理され、帰属性、
完全性、一貫性、耐久性、利用可能性(ALCOA+)が維持さ
8.1.3 適正な文書管理基準の概要を述べた手順と文書管理の手筈は、PQ
これらの手順は、データ・インテグリティの手順がいかにデータ
かについて、以下のことを含み詳細に記述すべきである。
・文書と手順の原本が、使用するために、いかに作られ、レビュ
・データを記録するために使用されるテンプレートの生成、
・記録に関する復旧と回復の手順
・文書のコピーの保証に特に重点を置いた、通常使用する文書の生
が、管理され、トレース可能な方法で、発行され、照合される
・いかに個々のオペレータがデータ入力フォーマットを特定するか
か、完成した文書が、正確性、信頼性、完全性に関し、いかに決
詳しく記述した、紙ベースの文書の完成に関するガイドライン
・記録のファイリング、検索、保持、アーカイブ、廃棄の手順
8.2 記録の管理の重要性
8.2.1 GMP/GDPの作業にとって記録は重要であり、以下のことを保
・実施された活動のエビデンス
・GMP/GDP要件と会社のポリシー、手順、作業指図の遵守の
・医薬品品質システム(PQS)の効果
・トレーサビリティ
・手順の信頼性と一貫性
・製造された医薬品の正しい品質特性のエビデンス
そして
・苦情や回収の場合、記録は調査目的で使用できる
・逸脱や試験の不合格の場合、記録は、効果的な調査の完了のた
8.3 テンプレートの記録の生成、配布、管理
8.3.1 記録の原本の管理
記録の原本の管理は、誰かの不適切な使用や、‘通常の方法による
使用を必要としない)記録の偽造が、許容可能なレベルまで減らさ
次章の期待は、品質リスクマネジメントアプローチを使い、リスク
実施されるべきである。
8.4 記録の生成、配布、管理の期待
<生成>
1-期待
・全ての文書は、ユニークな識別番号(バージョン番号を含む)を
日付がつけられなければならない。
・管理されていない文書の使用は、部門の手順で禁止されるべきで
廃棄)は禁止すべきである。
1-期待を満たさない場合の潜在的なリスク/チェック項目
・管理されない文書の増加は、トレーサビリティがなく、これらの
なデータの削除や紛失の可能性を増す。さらに、管理されていない
ために設計されていないかもしれない。
・管理されていない記録を偽造することはより簡単だろう。
・記録の手順の一次的な使用は、データの削除につながる可能性が
明確に記述されていない。
・もし、記録が管理なく作成され、アクセスされたら、イベントの
・バージョンの管理や発行の管理がされていなければ、廃止された
2-期待
・文書のデザインは、手書きのデータ入力のために十分なスペース
2-期待を満たさない場合の潜在的なリスク/チェック項目
・手書きのデータは、もし、データの入力のためのスペースが十分
かったりする可能性がある。
・文書は、コメント(例:記述エラーの場合、エラーの取り消しを
スペースがあるべきである)のための十分なスペースを提供するた
・もし、文書の完成のために、文書に追加のページが加えられたら
と参照が明確に文書化されサインされなければならない。
・ページの裏側は通常はコピーの時に省略される可能性があるので
3-期待
・文書のデザインは、どのデータが入力されるものかを明確にする
3-期待を満たさない場合の潜在的なリスク/チェック項目
・不明確な指図は、一貫性のない/不完全なデータの記録につなが
・全ての重要なデータが記録されることの保証
・明確で同時性と耐久性(消せない/長持ちする)のある入力の保
・文書は、重要なデータがうっかり省略されるリスクを最小化する
情報が記録されるように構築されるべきである。
4-期待
・文書は適切なバージョン管理を保証する状態で保管されるべきで
・原本とコピーを区別するために、原本のコピーは目立つマークを
ための色のついた紙やインクの使用)
・原本のコピー(コンピュータファイルでの写し)は、許可のない
・例えば電子的に保管されているテンプレートのコピーについて、
-テンプレート原本へのアクセスは管理されるべきである。
-バージョンの作成と更新に関する手順の管理は、明確で、実用的
-文書の原本は、許可のない変更を防ぐ方法で保管されるべきであ
4-期待を満たさない場合の潜在的なリスク/チェック項目
・不適切な保管場外は、許可されていな修正、期限切れやドラフト
可能性がある。
・実施前の適切な教育による手順の実施と効果的なコミュニケーシ
<配布と管理>
1-期待
・更新されたバージョンは、タイミングよく配布されるべきである
・廃止された文書の原本やファイルは、保管庫に保管され、それら
・全ての発行済で未使用の物理的文書は検索されたり照合されたり
・品質部門により許可された場合、文書の回収されたコピーは破棄
コピーは保管されるべきである。
1-期待を満たさない場合の潜在的なリスク/チェック項目
・もし、廃止されたバージョンが使用可能な状態の場合、誤って使
2-期待
・発行は、以下の条件を含む文書化された手順により管理されるべ
-誰が、いつコピーを発行したかの詳細
-安全なスタンプの使用、または、作業場所で利用不可能という紙
-現在承認されているバージョンのみが使用可能であることを保証
-発行されたそれぞれのブランク文書にユニークな識別子を割り当
-すべての配布された文書へのナンバリング(例:コピー2/2)
-ブランクのテンプレートの追加コピーを再発行する場合、再発行
全ての配布されたコピーは保管され、追加のコピーの必要性の正当
例:オリジナルのテンプレートの記録が痛んだ。
-全ての発行された記録は記録の正確性と完全性を保証するために
2-期待を満たさない場合の潜在的なリスク/チェック項目
・安全な方法が使用されないと、記録のテンプレートのコピーやス
改ざんをされるリスクがある。
・廃止されたバージョンが意図的または間違って使用される可能性
・変則のデータ入力により記入された記録は、新しく書き直された
可能性がある。
・全ての未使用のフォームは、理由が報告され、表面を汚してボツ
れるべきである。
8.4.1 全ての承認された文書(SOP、フォーム、テンプレート及び記録
システムの中で保持されなければならない。このインデックスは、
レートの記録のタイプ毎に述べられなければならない:
ロケーション(例:文書のデータベース、発効日、次回のレビュ
8.5 使用場所での記録の使用と管理
8.5.1 記録は、使用場所でオペレータが利用可能であり、これらの記録を
いなければならない。これらの管理は、記録の損傷や紛失を最小
するために実行されなければならない。必要な場合、汚れ(例:
ことから記録を守るための方法がとられなければならない。
8.5.2 記録は、これらのエリアの中で、文書化された手順に従って、指定
管理されなければならない。
8.6 記録の記入
8.6.1 以下に挙げられた項目は、記録が適切に記入されていることを保証
<記録の完成>
1-期待
・手書きの記入は、業務を実行した人により作成されなければなら
・文書内の未使用の空欄は、斜線を入れ、日付とサインがされなけ
・手書きの記入は、明瞭で判読できるようにされなければならない
・日付欄の記入は、製造所で定義されたフォーマットでされなけれ
(例:dd/mm/yyyyまたはmm/dd/yyyy)
1-チェックされるべき特定の要素/期待を満たさない場合の潜在
・手書きは、同じ人物により一貫して記入されていることのチェッ
・記入が判読でき、明瞭であることのチェック(例:はっきりして
例えば前と同じ(“)の記号)
・記録された日付の完全性のチェック
・記録の正しいページ数と、全てのページの存在のチェック
2-期待
・操作に関する記録は、同時に完成されるべきである。
2-チェックされるべき特定の要素/期待を満たさない場合の潜在
・記録が、それらが使用されるエリア周辺内で利用可能であること
作業場所で一連の記録がされることを期待するべきである。もしフ
作業者が発生時に記録を作成する余地はないだろう。
3-期待
・記録は耐久性(消去できない)がなければならない。
3-チェックされるべき特定の要素/期待を満たさない場合の潜在
・手書きされた記入がインクであり、(保持期間中)消せず、ぼけ
・記録がペンの使用の前に鉛筆で書かれていないことをチェックせ
・ある種の、システムから紙への印刷物は、時間と共にあせること
消せないサインと日付が書かれた印刷物のコピーが作られ、オリジ
4-期待
・記録は、作成者に帰属可能なユニークな識別子を使い、サインと
4-チェックされるべき特定の要素/期待を満たさない場合の潜在
・標準的な印刷された文書だけでなく、記録が管理され、最新でユ
いることを確認せよ。
・極めて重要な入力は、手順が時間と共に発生する場合、ページや
と共にサインされ、日付が書かれていることを保証せよ。
・個人の印鑑の使用は一般的には勧められないが、もし使用する場
個人と個人の印鑑のトレーサビリティを明確に示す記録がなければ
日付が書かれ、許容できると判断されなければならない。
8.7 記録の訂正
記録の訂正は、トレーサビリティが完全に維持される方法でされな
1-記録はどのように訂正されるべきか?
・変更されるものの1本線による取り消し
・適切な場所に、訂正の理由が明確に記録され、重要な場合は検証
・変更を行った人のイニシャルと日付
1-記録をレビュした時にチェックされるべき特定の要素
・オリジナルのデータが読めて、不明確になっていないことをチェ
なくされていないこと。上書きは認められない)
・重要な入力データに変更がされた場合、変更の正当な理由が記録
であることを確認せよ。
・記録の中の、説明のつかない記号や入力をチェックせよ。
2-記録はどのように訂正されるべきか?
・訂正は、消えないインクで行われなければならない。
2-記録をレビュした時にチェックされるべき特定の要素
・手書きされた記入がインクであり、(保持期間中)消せず、ぼけ
・記録がペンの使用の前に鉛筆で書かれていないことをチェックせ
8.8 記録の検証(第二のチェック)
1-いつ、誰が記録の検証を行うべきか?
・A-重要な工程のステップの記録(例:ロットの記録の中の重要
-作業が行われた時に、指名された職員によりレビュされ署名され
また
-品質保証部門に送られる前に、製造部門内のオーソライズド・パ
-製造されたロットがリリースまたは出荷される前に品質保証部門
(例:オーソライズド・パーソン/クオリファイド・パーソン)
・B-重要でない工程のステップのロットの製造記録は、一般的に
よりレビュされる。
・C-試験のステップに関する試験室の記録は、試験の完了後に、
レビュされること。レビュ者は、全ての入力、重要な計算をチェッ
従って試験結果の正確さの適切なレビュを行うことが期待される。
この検証は、製造関連の業務や作業の後に実施されなければならな
サインされるか、頭文字が記され、日付が書かれていなければなら
部門のSOPには、文書のレビュのための手順が記述されていなけ
1-記録のレビュ時にチェックされるべき特定の要素
・関連する活動が実施された時に関連する記録が的確な職員により
に、製造エリア内での製造記録の取扱に関する手順を検証せよ。
・作業中に行われたいかなる第二のチェックも、適切に資格要件を
を検証せよ。
・文書が製造部門の職員によりレビュされ、それから、作業の完了
ことをチェックせよ。
2-記録はいかに検証されるべきか?
・現在の承認されたテンプレートを使って、全ての欄が正しく完成
がじっくりと対比されているかをチェックせよ。
・8.6章のチェック項目1,2,3,4と、8.7章のチェック
2-記録のレビュ時にチェックされるべき特定の要素
・査察官は、手順の適格性を判断するために、マニュアルで入力さ
レビュすべきである。
・第二のチェックの必要性と範囲は、品質リスクマネジメントの原
である。
・データの第二のレビュが使用された全ての式の計算検証を含んで
・正しいデータが計算のために複写されていることを確認するため
8.9 電子システムからの直接の印刷
8.9.1 いくつかの非常にシンプルな電子システム(例:秤、pH計)は、
システムのこれらのタイプと記録は、(再)加工や電子の日付/
に影響を与える機会が限定される。これらの状況では、オリジナ
ロットナンバーなどのトレーサビリティを保証するために、記録
が書かれるべきである。これらのオリジナルの記録は、ロットの
8.9.2 これらの記録の耐久性を保証するために検討がされるべきである。
8.10 真正なコピー
8.10.1 オリジナルの紙の記録のコピー(例:分析サマリレポート、バリデ
例えば異なる場所で作業をする会社間で、コミュニケーションの目
の記録は、そのライフサイクルの間、適切な場合は、別の場所(例
データが“真正なコピー”として保持されているか、または、“真
(例:複雑な分析データのサマリ)は、サマリレポートとして使用
されなければならない。
8.10.2 静的な記録はオリジナルデータの完全性を保持していると正当化さ
ローデータが、紙やPDF形式で保管されていることがありうる。
品質に直接、または非直接影響がある全ての活動に関する全てのデ
なければならない。(例:次の内容を含む分析記録:ローデータ、
結果ファイル、各分析実行時の特定のソフトウエア/システムの構
の再構築に必要な全てのデータ(方法と監査証跡を含む) 印刷された記録が正しいことを検証するために、
文書化された方法も要求されるだろう。このアプローチは、GMP
管理の点で厄介になるだろう。
8.10.3 多くの電子記録は、データの連携を可能にするために、動的なフォ
データは、インテグリティや後の検証のために、重要な場合は、動
長いデータが動的なフォーマットで保存されるべきか、またいかに
するためにリスクマネジメントの原則が利用されるべきである。
8.10.4 記録を受け取る場所では、これらの記録(真正なコピー)は、紙ま
管理されているかもしれないが、承認された品質保証の手順に従っ
8.10.5 文書が、手書きと電子署名の使用を通じて適切に”真正なコピー“
ために注意が払われるべきである。
1-“真正なコピー”はいかに発行されて管理されるべきか?
・紙の文書の“真正なコピー”の生成
真正なコピーを発行する会社で:
-コピーされるために文書の原本を得よ。
-原本のコピーからいかなる情報も失われていないことを保証する
-コピーされた文書の信頼性を確認し、新しいハードコピーに“真
-“真正なコピー”は直ちに対象の受領者に送ることができる。
・電子文書の“真正なコピー”の生成
-電子記録の“真正なコピー”は、全ての必要なメタデータを含ん
によって生成されるべきである。
からの出力と同じなので、勧められない。
-“真正なコピー”は直ちに対象の受領者に送ることができる。
-発行された全ての“真正なコピー”(ソフト/ハード)の配布リ
1-記録をレビュした時にチェックされるべき特定の要素
・“真正なコピー”を生成するための手順を検証し、生成方法が適
・発行された真正なコピーがオリジナルの記録と識別可能(完全で
・コピーされた記録は、スキャンされた画像の改ざんがないことを
チェックされるべきである。
・スキャンされた、もしくは、保存された記録がデータ・インテグ
をチェックせよ。
・紙の記録のスキャンと”真正なコピー“の生成の検証の後、スキ
オーナーによって、記録のそれぞれの保持期間の間、保持されてい
2-“真正なコピー”はいかに発行されて管理されるべきか?
・真正なコピーを受け取る会社において
-紙の版、スキャンされたコピーまたは、電子ファイルは、レビュ
され、ファイルされるべきである。
-文書は、それが真正なコピーであって、オリジナルの記録ではな
2-記録をレビュした時にチェックされるべき特定の要素
・受領した記録はチェックされ、適切に保持されていることをチェ
・“真正なコピー”の信頼性を検証するために、システムが整って
当事者の検証)
8.10.6 “真正なコピー”の生成と伝達に関する責任と、データ・インテグ
品質協定が整っているべきである。“真正なコピー”の発行と管
しっかりしていて、データ・インテグリティの原則に合うことを
により監査されるべきである。
8.11 サマリレポートのリモートレビュの制限
8.11.1 サマリレポート内のデータのリモートレビュは一般的に必要である
の適切な管理を可能にするためにリモートのデータレビュの制限は
8.11.2 データのサマリレポートはしばしば、離れた製造所、製造販売業者
間で物理的に提供される。しかし、サマリレポートは、重要な裏付
おらず、よってオリジナルデータはレビュができないという性質上
べきである。
8.11.3 サマリレポートは、転送データの一要素が評価されるもので、利害
サマリレポートのデータだけをあてにはしないということが重要で
8.11.4 サマリデータの承認の前に、品質リスクマネジメントを背景に、重
品質システムとデータ・インテグリティの原則の遵守の評価が行わ
よって生成されるデータの正確さを保証し、サマリデータと報告の
メカニズムのレビュを含むべきである。
8.11.5 サマリデータは、合意された手順に従って準備され、レビュされ、
与えられた職員によってレビュされなければならない。サマリには
述べたオーソライズド・パーソンによる宣言の署名が添付されない
生成・転送・検証の取り決めは、品質/技術協定の中で取り組まれ
8.12 文書の保持(記録の保持の識別要件と、アーカイブした記録)
8.12.1 記録の各タイプの保持期間は、GMP/GDP要件により指定され
いけない。より長い保管期間を規定しているかもしれない他の地域
8.12.2 記録は、内部的に、または、規制の対象となる外部のストレージサ
保持されることができる。保持するシステム/設備・サービスが適
いることを証明するために、リスクマネジメントが利用可能なはず
1-どこで、どのように記録がアーカイブされるべきか?
・システムは記録のアーカイブに関するさまざまな段階の記述が整
(アーカイブボックスの確認、ボックスによる記録のリスト、保持
・アクセスや、記録の再生はもちろん、記録のストレージでの管理
・システムは、全てのGMP/GDP関連の要件を満たして、期間
1-記録をレビュした時にチェックされるべき特定の要素
・アーカイブされた記録を検索するために実装されているシステム
チェックせよ。
・記録が規則に従った方法で保存され、簡単に識別可能かどうかを
・記録が規定された場所にあり、適切に保護されていることをチェ
・保管された記録の完全性を保証するために、アーカイブされた文
パーソンに限定されていることをチェックせよ。
・アクセスした記録の存在と記録の返却についてチェックせよ。
・使用される保管方法は、必要な時に効果的な文書の検索が可能で
2-どこで、どのように記録がアーカイブされるべきか?
・全ての品質記録のハードコピーは下記のようにアーカイブされる
-損害や紛失を防ぐために安全な場所
-簡単にトレースできて、検索できる方法
-記録がアーカイブ期間中、耐久性があることを保証する方法
2-記録をレビュした時にチェックされるべき特定の要素
・外注したアーカイブ作業に関して、品質協定が整っているか、ま
チェックせよ。
・文書が、全てのアーカイブ期間中、判読可能で利用可能であるこ
メントがあることを保証せよ。
・印刷物が永久的でない(例:熱転紙)場合、非永久の原本と一緒
保持されなければならない。
・使用される保管方法は、必要な時に効果的に文書の検索が可能か
3-どこで、どのように記録がアーカイブされるべきか?
・全ての記録は、下記の原因による損失や破壊から保護されなけれ
-火事
-液体(例:水、溶剤、緩衝液)
-ネズミ
-湿度 など
-記録を修正、破壊、差し替えるかもしれない権限のない職員のア
3-記録をレビュした時にチェックされるべき特定の要素
・記録を保護するためのシステムがあるかチェックせよ。(例:害
注:スプリンクラーシステムは、文書への損害を防ぐために設計さ
(例:文書が水から保護されていること。例えば、文書をプラスチ
4-どこで、どのように記録がアーカイブされるべきか?
・災害復旧の戦略
4-記録をレビュした時にチェックされるべき特定の要素
・システムが災害時の記録の復旧に関して準備が整っているかにつ
8.13 記録の原本の廃棄
8.13.1 記録の廃棄に関する文書化された手順は、定められた保持期間後に
ることを保証するために準備が整っていなければならない。システ
破棄されないことと、過去の文書がうっかり現在の記録の中に戻る
記録と混同/混合する)ことがないことを保証すべきである。
8.13.2 記録/登録が、方針に従って適切にタイムリーにアーカイブまたは
ために、利用可能でなければならない。
8.13.3 間違った文書を消去するリスクを減らすための手段が整えられてい
が許されたアクセス権限は数人の職員に限定されるべきである。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
データ・インテグリティというと、コンピュータを使用する場合の
記録を管理する場合でもこれだけたくさんのことを考慮しなければ
次回は、コンピュータ化システムを使った場合のデータ・インテグ
思います。
末筆になりましたが、1年間メールマガジンをお読みいただき、誠
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
☆次回は、年明けの1/15(火)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/
★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
◆ プロス橋本のブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。
本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日
配信いたしております。
今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信
hashimoto@e-pros.co.jp
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2018.12.14
【PIC/Sデータ・インテグリティ関連ガイドラインドラフトについて】ASTROM通信<160号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
一気に寒くなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいます
今回は、2018年11月30日にPIC/Sから発出された、「
に関する適正管理基準のガイドラインのドラフト(PI 041-1 (Draft 3))」について見ていきたい
と思います。
データ・インテグリティとは、データがライフサイクルを通じて完
本文を参照してください)というもので、日本でもデータ・インテ
や規制当局の査察においてチェックされることが増え、昨今ホット
話を戻して、本ガイドラインの目的は、査察官がGMP/GDP施
グリティに関し、調和したアプローチを促進することにあり、この
から2019年2月28日までコメント募集がされています。
これはドラフトなので、すぐにそのまま施行されることはありませ
インテグリティの状態についてどのような点をチェックすることが
皆様のデータ・インテグリティ対策に役立てて頂ければと思います
量が多いため、数回に分けて確認していきます。最後までお付き合
出典
https://www.picscheme.org/en/n
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
PIC/S GMP/GDP環境でのデータ管理とインテグリティに関する適正
ドラフト
GOOD PRACTICES FOR DATA MANAGEMENT AND INTEGRITY IN REGULATED GMP/GDP ENVIRONMENTS
PI 041-1 (Draft 3)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
1章 文書の履歴
省略
2章 序論
2.1 PIC/Sに参加する当局は通常、GMP及びGDPの原則の遵守
の製造業者及び販売業者の査察を行っている。これらの査察は、通
が、文書のエビデンスの評価は、リモートもしくはオフサイトで行
リモートのデータレビュのケースの制約が検討されるべきである
2.2 これらの査察プロセスの効果は、査察官に提供されるエビデンスの
なデータのインテグリティにより判断される。査察官が、提出され
と完全性について判断でき、信頼できる査察プロセスが重要である
2.3 データの正しい管理基準は、製造業者により生成され報告される全
ので、これらの基準は、データが帰属性、判読性、同時性、原本性
耐久性、利用可能性のあることを保証しなければならない。この文
GMP/GDPの期待に関わるが、例えば、原薬や医薬品の管理戦
書類一式に含まれるデータのように、より広いデータの正しい管理
である。
2.4 データ・インテグリティとは、ライフサイクルを通じて全てのデー
であることと定義され、医薬品が求められる品質であることを保証
おいては基本的なことである。貧弱なデータ・インテグリティの基
の品質をむしばみ、最終的には医薬品の品質をむしばむだろう。
2.5 データの正しい管理基準は、医薬品品質システムの全ての要素に適
テム・紙ベースのシステムで生成されたデータに等しく適用される
2.6 データの管理とインテグリティの正しい管理に関する責任は、査察
にある。彼らは、データ管理システムの潜在的な脆弱性に関する評
ティが維持されることを確実にするための正しいデータガバナンス
義務を負う。
3章 目的
3.1 この文書は、下記の目的で書かれた:
3.1.1 正しいデータ管理に関するGMP/GDPの要件を解釈して査察を
ラインを提供すること
3.1.2 現在の業界の手順とグローバル化されたサプライチェインのもとで
ラインに記述された通りに、データのインテグリティと信頼性に関
ることを可能にするための、リスクベースの管理戦略に関する統合
を提供すること
3.1.3 GMP/GDP査察の決められた計画と実施において、効果的な正
促進すること、調和したGMP/GDP査察の道具を提供し、デー
査察の品質を保証すること
3.2 このガイドラインにより、備忘録などの査察団の資産と共に、査察
と、査察中のデータ・インテグリティ要素の最適な評価を可能にす
3.3 このガイドラインは、適正なデータ管理基準に関するリスクベース
である。
3.4 正しいデータ管理は、いつもGMP/GDPの一部と考えられてき
定められたことに追加で法的負荷を課すことを意図していない。む
手順に関し、存在するGMP/GDPの要件の解釈のガイドを提供
3.5 データ管理とインテグリティの原則は、紙ベース、コンピュータ化
のハイブリッドシステムに等しく適用し、開発や新しい概念や技術
でない。ICH Q10の原則により、このガイドラインは、継続的な改善を通じて
適用を促進すべきである。
3.6 “医薬品品質システム”という表現は、品質目標を管理し達成する
メントシステムを表現するために、この文書の中の大部分に使用さ
は、GMPの規制により使用されるが、この文書の目的のために、
システム“という表現にも置き換え可能とみなされるべきである。
4章 範囲
4.1 ガイドラインは製造(GMP)・販売(GDP)の活動を行ってい
てきた。このガイドラインの原則は、製品のライフサイクルの全て
である。ガイドラインは、査察中に考慮されるべき分野の非包括的
である。
4.2 このガイドラインは、データガバナンスシステムの評価に限定され
販売(GDP)の活動を行っているサイトのリモート(デスクトッ
オンサイトの評価には通常、データの検証と操作手順の遵守のエビ
4.3 この文書は上述の範囲で書かれているが、ここに書かれている適正
たくさんの原則は、規制のある製薬及びヘルスケア産業のその他の
4.4 このガイドラインは、犯罪科学の特別知識が必要とされる分野の、
ティの脆弱性の発見を受けての “理由付きの”査察に関する特別なガイドを提供することは意図
していない。
5章 データガバナンスシステム
5.1 データガバナンスとは?
5.1.1 データガバナンスとは、データ品質の保証を提供する手筈をいう。
生成され、記録され、処理され、保持され、検索され、使用された
技術に関わらず、データのライフサイクルを通じて記録の帰属性、
正確性、完全性、一貫性、耐久性、利用性を保証するだろう。
5.1.2 データのライフサイクルは、いかにデータが、生成され、処理され
意思決定のために使用され、保持され、保管期間の終わりに最終的
向ける。製品やプロセスに関するデータはライフサイクルの中で様
しれない。これは、紙ベースとコンピュータ化システムの間、また
即ち、内部(例:製造と、QC及びQA)と外部(例:サービスプ
受託者)でのデータ転送を含むかもしれない。
5.2 データガバナンスシステム
5.2.1 データガバナンスシステムは、PIC/S GDP/GMPに述べられた医薬品品質システムに不可欠なもの
でなければならない。データガバナンスシステムは、ライフサイク
注意を向け、デザイン、プロセスの操作とモニタリング、意図的ま
含むデータ・インテグリティの原則に従うためのシステム、情報の
5.2.2 データガバナンスシステムは、データのライフサイクルを通じて、
原則にふさわしい管理を保証すべきである。これらの管理には以下
●組織的
〇手順 例:記録の完了の指図と、完成した記録の保持
〇作業員の教育と、データ生成及び承認の文書化された権限付与
〇いかにデータが生成され、記録され、処理され、保持され、使用
が効果的に管理されているかを考慮したデータガバナンスシステム
〇所定のデータ検証
〇定期的な監督 例:データガバナンスシステムの効果を検証するために自己点検手
●技術的
〇コンピュータ化システムのバリデーション、適格性評価と管理
〇自動化
5.2.3 効果的なデータガバナンスシステムは、適切な組織の文化と行動の
データの重要性、データのリスク、データのライフサイクルの理解
効果的なデータガバナンス手順に対する深い関与を示すだろう。障
と改善の機会を保証する、組織内の全てのレベルの人員に対して期
エビデンスも存在すべきである。これは、データの偽造、改ざん、
5.2.4 データガバナンスに関する組織の手筈は、医薬品品質システムの中
レビュされるべきである。
5.3 データガバナンスに対するリスクマネジメントアプローチ
5.3.1 管理監督者は、システムの実装とデータ・インテグリティの潜在的
の手順、未解決のリスクの特定、ICH Q9の原則を使用することに責任を負う。契約の委託者は、
供給者の保証プログラム(10章参照)の一環として、受託者のデ
のレビュを実施すべきである。
5.3.2 データガバナンスに割り当てられた努力とリソースは、製品品質の
他の品質のリソースの要求ともバランスがとれていなければならな
規制された全ての存在(これに限定されないが、製造業者、分析研
卸売業者を含む)は、データの品質リスクに基づき満足できる管理
裏付けと共に完全に文書化されたシステムを設計し、運用すべきで
5.3.3 望ましい管理状態を達成するための長期的な方法が確認される場合
中間的な手段が実施され、効果がモニタされるべきである。中間的
付けが要求される場合、未解決のデータ・インテグリティのリスク
レビュ状態におかれなければならない。自動化・コンピュータ化シ
に立ち戻っても、データガバナンスの必要性を取り除きはしないだ
アプローチは、管理上の負担とデータリスクを増やしやすく、3.
取り組みを阻む。
5.3.4 全てのデータや処理ステップが、製品品質や患者の安全性に同じ重
リスクマネジメントは各データや処理のステップの重要性を判断す
ある。データガバナンスに対する以下のような効果的なリスクベー
だろう:
・データの重要性(意思決定や製品品質への影響)
・データリスク(データの変更と削除の機会と検知の可能性/製造
による変更の視認性)
この情報から、リスクに比例した管理方法が実施されうる。
5.4 データの重要性
5.4.1 判断に対してデータが与える影響は、データの重要性により異なり
影響も変わるだろう。データの重要性に関する検討のポイントには
・データが影響するのはどの判断か?
例:出荷判定の判断をする時、重要な品質特性への一致を判断する
の清掃記録よりも大きな重要性を持つ。
・製品の品質や安全性に対するデータの影響は何か?
例:経口錠剤に関する原薬の分析データは、一般的に錠剤の摩損度
や安全性への影響が大きい。
5.5 データのリスク
5.5.1 データのリスクアセスメントは、無意識の変更、削除、紛失、改造
に対するデータの脆弱性や、それらのアクションに対する発見の可
災害の場合には完全なデータの復帰を保証することも考慮すべきで
視認性/検出性を増す管理方法は、リスクの軽減活動として使える
5.5.2 データの不具合のリスクを増す要素の例は、無制限で主観的な結果
ないプロセスを含む。一貫性があり十分に定義され客観的であるシ
軽減につながる
5.5.3 リスクアセスメントは、ビジネスプロセス(例:製造、品質管理)
と、データの生成や処理の方法を評価すべきで、ITシステムの機
ない。考慮すべき要素は下記のことを含む:
・プロセスの複雑さ(例:複数ステージの処理、処理やシステム間
データ処理)
・データの生成・処理・保管・処分の方法や、データの品質とイン
・プロセスの一貫性(例:生物学的製剤の製造工程または分析試験
多様性を示すかもしれない)
・自動/人の相互作用の度合い
・効果/結果の主観性(例:無制限のプロセス 対 十分に定義されたプロセス)
・電子的なシステムのデータと手動で記録されたイベントの比較結
だろう。(例:分析報告とローデータの収集時間の明らかな相違)
5.5.4 コンピュータ化システムに関し、ITシステムとの手動の連携は、
で検討されるべきである。特に、もしユーザがバリデートされたシ
に影響を与えることができ、システムバリデーションがこの文書の
取り組まなければ、独立したコンピュータ化システムのバリデーシ
ティのリスクが低いという結論になるかもしれない。人の介在を許
最小に減らす、構成設定がされ、完全に自動化されバリデートされ
テグリティのリスクを減らすものとして好ましい。技術的な理由で
適切な手続きの管理がされ検証されているべきである。
5.5.5 管理とレビュの手順が効果的に望ましい結果を生んでいるかを判断
批判的思考の技術が用いられるべきである。データガバナンスの成
優先順位付けをする組織的理解と、未解決のリスクの受容である。
不具合のリスクはないと信じる組織は、データライフサイクル内で
の適切なアセスメントをしないだろう。だから、データのライフサ
アプローチ、重要性、リスクは、詳細に調査されるべきである。こ
潜在的な不具合の状態を示すかもしれない。
5.6 データガバナンスシステムのレビュ
5.6.1 データ・インテグリティの管理方法の効果は、自己点検(内部監査
レビュ・プロセスの一部として、定期的に評価されるべきである。
を通して、管理が意図した通りに動作していることを保証するはず
5.6.2 所定のデータの適格性のチェックに加え、自己点検活動は、次のこ
広範囲のレビュに拡張されるべきである:
・患者の保護という背景のもとで、適正なデータ管理基準に関する
チェックと、品質や問題のオープンな報告に焦点が置かれた職場環
(例:適正なデータ管理基準と期待に基づく連続的な教育のレビュ
・ローデータの入力に対し、報告されたデータ/結果の一貫性のレ
・バリデートされた“例外報告“、コンピュータ化システムのログ
サンプルにより、GMPの活動に関連する情報が正確に報告された
決められたコンピュータ化システムのデータがレビュされる状態
※例外報告:予め“異常”と定められたデータまたは操作を特定し
された検索ツールで、データのレビュ者による更なる注意や調査を
5.6.3 効果的なレビュ・プロセスが、組織や技術的な管理と共に、会社の
関する理解を示すだろう。データガバナンスシステムのレビュの結
れ、未解決のデータ・インテグリティのリスクのアセスメントに用
6章 良好なデータ・インテグリティの管理における組織の影響
6.1 全般
6.1.1 組織の行動に関する査察結果の引用を報告することは適切でないし
いかに行動が
(i)データの修正、削除または改ざんの動機
(ii)データ・インテグリティを保証するために設計された手順
に影響を与えるかの理解は、さらに調査されるであろうリスクの有
ことができる。
6.1.2 査察官は組織の行動の文化の影響に敏感であるべきであり、適切な
書かれた原則を適用すべきである。効果的な品質文化とデータガバ
方法により異なるかもしれない。文化により、組織の管理方法は下
・オープンになる(組織の階層に部下が異議を唱え、システムまた
報告がビジネス上の期待となる場合)
・クローズドになる(報告の不具合や階層への挑戦が文化的に難し
6.1.3 オープンな文化での適切なデータガバナンスは、従業員の権限によ
通じて問題を特定し報告するために促進されるかもしれない。クロ
望ましくない情報の伝達の文化的なバリアにより、同等な管理レベ
大きな管理の強調と第二のレビュが必要とされるかもしれない。こ
の秘密の上申プロセスの有効性がより重要かもれしれない。また、
積極的に支持され奨励されることを明確に示すべきである。
6.1.4 データ・インテグリティに関する経営者の知識と理解の範囲は、組
の管理の成功に影響しうる。経営者は、データ・インテグリティの
するために、自分たちの法的及び道徳的義務(即ち、義務と権力)
経営者は、紙とコンピュータ化された(ハイブリッドと電子)ワー
インテグリティのリスクの視認性と理解を持つべきである。
6.1.5 データ・インテグリティの欠落は、不正と改ざんに限定されない。
可能性がある。データの信頼性を損なうことの可能性は、適切な管
るべきである。直接の管理は、通常、文書化されたポリシーと手順
への非直接的な影響(例えば工程の能力を超えた生産の誘発)も理
6.1.6 データ・インテグリティの違反は、いつでも、どの従業員によって
経営者は、問題の調査を可能にし、是正処置・予防処置を実施する
警戒を怠らず、もし発見した時は、データ・インテグリティの欠落
がある。
6.1.7 データ・インテグリティの欠落には、患者の安全性への直接的な影
信頼性の弱体化を含む、さまざまな利害関係者(患者、規制当局、
これらの結果に関する従業員の認識と理解は、品質が優先事項であ
なりうる。
6.1.8 経営者は、データ・インテグリティの欠落を予防し、検知し、評価
データ・インテグリティを保証するために、それらの管理を意図し
6.2章から6.7章は、経営者がデータ・インテグリティを成功
を述べている。
6.2 道徳とポリシーの規約
6.2.1 価値観と道徳の規約は、品質文化に合わせたポリシー(即ち、行動
品質に対する経営者の信条を反映すべきである。価値観と道徳の規
安全と製品の品質を保証するために責任を負うという信頼の環境を
ある。
6.2.2 経営者は、人員にデータの品質を保証する役割の重要性を気づかせ
の保護を保証するための活動を実施しなければならない。
6.2.3 行動規約のポリシーは、公正といった道徳的行動の期待を明確に定
全ての人員に伝達され、十分に理解されなければならない。伝達は
限定されるべきではなく、なぜそれらが制定され、要求事項を満た
を知るべきである。
6.2.4 データの改ざんの検討、許可されていない変更、データの破壊、そ
る行為のように望まれない行動は、迅速に対処されるべきである。
会社の行動規約に文書化されるべきである。しかし、とられる行動
るべきで、それに続く調査を妨げない。同調する行動は適切に評価
6.2.5 行動規約に違反の可能性のある出来事を、従業員が何の影響もなく
を促進する会社のポリシーと手順により支持された秘密の上申プロ
管理監督者による行動規約への違反の可能性が認識され、そのケー
ニズムが利用可能であるべきである。
6.3 品質文化
6.3.1 経営者は、たとば、人員がデータの信頼性の潜在的な問題を含む、
ことを促し、是正処置・予防処置をとることができる、透明でオー
品質環境)を創るつもりでなければならない。組織の報告構造は、
情報の流れを許可しなければならない。
6.3.2 品質文化は、経営者、チームリーダ、品質部門、及び全て人員の価
して示された蓄積で、データの品質とインテグリティを保証するた
寄与する。
6.3.3 経営者は品質文化を以下のことにより育成できる:
・期待の気づきと理解を確実にすること(例:道徳規則や行動規約
・例を使った導き 経営者は、彼らに期待する行動を示すべきである
・特に任せられた活動について、行動と判断が説明可能であること
・ビジネスの運用の中に連続的かつ積極的に含まれていること
・従業員に与えるプレッシャーの限度を考慮し、現実的な期待が設
・期待に見合うリソースが割り当てられること
・データ・インテグリティを保証する正しい文化的な態度を促進す
・組織に学んだ知識が適用されるために、規制動向を意識すること
6.4 医薬品品質システムの近代化
6.4.1 現在の医薬品品質システムに、近代的な品質リスクマネジメントの
基準を適用することは、複雑なデータの生成を伴う課題に対応する
るのに役立つ。
6.4.2 会社の医薬品品質システムは、データ・インテグリティの欠陥につ
やプロセスの弱点を防ぎ、検知し、是正することができるべきであ
サイクルを知り、生成されたデータが有効で完全で信頼できるよう
手順を組み込まなければならない。特にそのような管理と手順の変
だろう。
・品質リスクマネジメント
・調査プログラム
・データのレビュ手順(9章)
・コンピュータシステムのバリデーション
・ITのセキュリティ
・供給者/委託者の管理
・データガバナンスとデータガバナンスのSOPへの会社のアプロ
・外部委託したデータ保管活動を含む、完成されたデータの保管と
・データ・インテグリティの期待を満たすために設計された要件を
の購入の適切な管理
・データの品質とインテグリティを含めた自己点検プログラム
・業績評価指標(品質測定)と、管理監督者への報告
6.5 業績評価指標(品質測定を含む)の定期的なマネジメントレビュ
6.5.1 迅速な方法で重大な問題が特定され、上申され、対処されるような
関連の事項を含む定期的な業績評価指標のマネジメントレビュがあ
指標(KPI)が選択される場合は、うっかりデータ・インテグリ
ないよう、注意が払われるべきである。
6.5.2 管理監督者がいかなる問題にも気づき、それに対処するためのリソ
出来るよう、品質部門長は直接リスクを伝えることができるための
手段を持っているべきである。
6.5.3 経営者は、定期的にシステムと管理の効果を検証する独立した専門
6.6 リソースの割り当て
6.6.1 データの生成や記録の保管に責任を負う者の業務負荷とプレッシャ
テグリティを意図的に傷つける機会を増やす可能性がないように、
インテグリティ管理を支え、維持するために、適切なリソースを割
6.6.2 品質、管理監督、ITサポート、調査の実施、教育プログラムの管
見合う十分な人数がいるべきである。
6.6.3 問題になっているデータの重要性に基づき、必要性に合った装置、
ウエアを購入するための準備がされているべきである。会社は、A
データの品質とインテグリティの弱点を和らげる技術的なソリュー
ない。
6.6.4 人員は、正しい文書化手順を含む適切に分離された自身固有の職務
教育されていなければならない。例えば、電子的なデータレビュの
教育の効果のエビデンスがあるべきである。適正なデータ管理手順
リングの分野を含むGMPの役割を果たす全ての機能的な部門に適
6.6.5 データの品質とインテグリティは、全ての人になじみが深いはずだ
(SME(主題専門家)、管理者、チームリーダ)から集めたデー
サポートし、システムのギャップを特定し、改善の推進するために
よい。
6.6.6 データの管理人、最高コンプライアンス責任者のような正しいデー
新しい役割の導入が検討されてもよい。
6.7 内部的にみつかったデータ・インテグリティの問題への取り組み
6.7.1 データ・インテグリティの欠落が見つかった場合、それらは、医薬
逸脱として取り扱われるべきである。問題の範囲と根本原因を特定
全ての範囲で問題を是正し、予防手段が実施されることが重要であ
の弱点を特定するためのギャップのアセスメントを含む、追加の専
第三者の使用も含むかもしれない。
6.7.2 製品への影響を検討する際、導き出されたいかなる結論も、合理的
よって裏付けられなければならない。
6.7.3 是正は、製品の回収、顧客への通知、規制当局への報告が含まれる
処置計画とその実施は記録されモニタされなければならない。
6.7.4 更なるガイドラインは、この12章にある。
7. データ・インテグリティの一般的な原則と成功要因
7.1 医薬品品質システム(PQS)は、原薬や医薬品のライフサイクル
され、科学的でリスクベースのアプローチの使用が促進されなけれ
7.2 意思決定のために情報が正しく通知されることを保証し、情報が信
検証するために、それらの決定に対して通知されたイベントや活動
である。例えば、適正な文書化手順(Good Documentation Practices:GDocPs)は、データ・イン
テグリティを保証するための鍵であり、正しく設計された医薬品品
ある。(6章参照)
7.3 GDocPsの適用は、データを記録するために使用される媒体(
により変わるかもしれないが、原則はどちらにも適用可能である。
紹介し、次の章(8章、9章)では、紙ベースと電子ベースの記録
これらの原則を探る。
7.4 GDocPsのいくつかの鍵となるコンセプトは、ALCOAとい
ALCOA :Attributable(帰属性)、Legible(判読性
Original(原本性)、Accurate(正確性)
次の属性がリストに追加されることがある。Complete(完
Enduring(耐久性)、Available(利用可能性) (ALCOA+).
これらの期待は、イベントが適切に文書化され、データは判断を
ることを保証する。
7.5 紙及び電子システムの両方に適用可能な基本的なデータ・インテグ
●Attributable(帰属性)に対する要件
記録された仕事を実行した個人またはコンピュータ化システムを特
である。誰が仕事/機能を実施したかを文書化する必要性は、機能
実施されたことを示すための一部である。これは、記録に対してな
等)にも適用する。
●Legible(判読性) に対する要件
全ての記録は判読可能でなければならない ー 情報は、いかなる使用のためにも読めなければ
ならない。これは、オリジナルの記録や入力を含む完全とみなされ
に適用する。電子データの動的性質(検索、照会、動向分析ができ
重要で、適切なアプリケーションを使ってデータと対話する能力は
である。
●Contemporaneous(同時性)に対する要件
活動、イベント、または判断のエビデンスは、それが行われた時に
文書は、何がされたか、または、何がなぜ決められたか、すなわち
かの正確な証明として役立つべきである。
●Original(原本性)に対する要件
オリジナルの記録は、紙(静的)または電子的(システムの複雑さ
あっても、情報の“最初の保存”として説明されることができる。
情報は、その状態のままで利用可能でなければならない。
●Accurate(正確性)に対する要件
結果と記録が正確であることの保証は、強固な医薬品品質システム
される。これは、以下のことからなる。
・適格性評価、キャリブレーション、維持管理、コンピュータバリ
関連した要素
・手順の要件の遵守を検証するためのデータレビュ手順を含む活動
ポリシーと手順
・根本原因の分析、影響評価、CAPAを含む逸脱管理
・続く手順や、活動や判断の文書化の重要性を理解した訓練され適
これらの要素は、製品の品質について重大な決定をするために使用
の正確性を保証することをめざす。
●Complete(完全性)に対する要件
イベントを再現するために重要は全ての情報は、そのイベントを理
情報に求められる詳細さのレベルは、完全であると考えられるよう
(5.4 データの重要性を参照)による。電子的に生成された完全なデータ
メタデータを含む。(9章参照)
●Consistent(一貫性)に対する要件
適正な文書化手順は、プロセスの実施中に発生するかもしれない逸
プロセスに適用されるべきである。これは、データになされた全て
●Enduring(耐久性)に対する要件
記録は、それが必要とされるだろう全ての期間中、存在するような
ない。これは、記録の保持期間を通して、消去できない/耐久性の
アクセス可能であり続ける必要があることを意味している。
●Available(利用可能性)に対する要件
記録は、求められる保持期間を通して、繰り返されるリリース判断
監査、査察に関わらず、レビュの責任を負う全ての該当する人員が
利用可能で、読むことの可能なフォーマットでアクセス可能でなけ
7.6 もしこれらの要素が、医薬品品質システムの他の要素と共に、GM
の適用可能な分野に適切に適用された場合、医薬品の品質に関する
される情報の信頼性は、適切に保証されなければならない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
・ライフサイクルを通じて全てのデータが完全で一貫性があり正確
リティ)
・データの管理には、リスクベースのアプローチが推奨されている
・データの管理は、紙・電子に関わらず求められ、そこにはALC
は、このガイドラインでおさえておくべき基本だと思います。
それ以外のこととして、データガバナンスについて、リモート・オ
がある(2.1章、4.2章)という記述に驚きました。
ファイルの初回作成時刻や作成者、編集履歴などの細かい情報が、
少々恐ろしい気がしませんか。
道徳とポリシーの規約(6.2章)、品質文化(6.3章)の記述
チェックするのかと衝撃を受けると共に、多少の抵抗感も覚えまし
品質問題を考えると、ここまでしなければデータの管理は正しく行
ません。
次回は8章以降を見ていきます。
紙ベース、コンピュータ化システムに分けて、データ管理に対する
まとめられていて、道徳やポリシーといった概念的な内容ではない
るかと思います。
☆次回は、12/28(金)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/
★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
◆ プロス橋本のブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。
本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日
配信いたしております。
今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信
hashimoto@e-pros.co.jp
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子