ASTROM通信バックナンバー

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2022.12.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<255号>

 

こんにちは。

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

今年も残すところあと一ヶ月となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

 

さて今回は、久々に、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国外の製薬会社向けに出した

ウォーニングレター2件を見ていきたいと思います。

FDAがどのような点を問題視して指摘しているかをご確認いただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

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Warning Letter 320-22-24

2022216日~218日のドイツの製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に

ついて発した202299日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとうたわれている同一性、濃度、品質、純度を持って

いることを保証するために設計された製造や工程管理についての文書化された手順を制定することを

怠った。貴社は、装置の洗浄及びメンテナンスのための文書化された手順を制定しそれに従うことも

怠った。(21 CFR 211.100(a)211.67(b))

<指摘1詳細>

〇プロセスバリデーションの欠如

貴社は、貴社のOTC医薬品の製造工程がバリデートされていることを示すためのデータを提出する

ことを怠った。査察中、貴社は、製造された各OTC医薬品が、予め定められた品質要件を一貫して

確実に満たすことを裏付けるための文書を提出できなかった。また、貴社は所定の製造工程が

管理状態にあることを保証するために実施された活動の記述を伴う、制定された合格基準が満たす

ことを示す適格性評価のプロトコル、報告、検証文書が欠けていた。

さらに、プロセスバリデーションが不足しているために、貴社のバッチレコードには、重要な製造の

情報が含まれていないので不適切である。例えば、ロットXXXXXXXXに関するバッチレコードは、

XX回、XX、工程内の確認やサンプル等のXX工程の情報が欠けていた。査察中、貴社は、全てのXX装置

には、製造中にオペレータによって手動で調整される可変のXXがあるが、操作XXは貴社の製造記録に

文書化されていないと述べた。

貴社は回答の中で、プロセスバリデーションを支援するための第三者を雇うと約束した。また貴社は、

貴社の製造記録書を改訂するつもりであると述べた。

貴社の回答は不十分である。貴社は、さまざまな製造工程のバリデーションのための工程性能プロト

コルと、ばらつきの全ての原因を特定するために実施されるアクションの詳細を提出することを

怠った。

さらに、貴社は、XXのバルクのホールドタイムに従っているが、バルクのホールドタイムの検証が

不足していた。貴社は回答の中で、貴社の設備で製造される医薬品のバルクのホールドタイムを

バリデートすると約束した。貴社は貴社の医薬品の品質を保証するために製造段階でいかに時間の

制限を制定するかの十分な情報を提供することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。さらに、

貴社は、バルクのホールドタイムの検証の不足が貴社の医薬品の安定性や品質特性に与える可能性

の影響を判断するための製造作業の回顧的評価を含めなかった。

〇洗浄バリデーション

XXXXを含む医薬品XXXX等の貴社のOTC医薬品は、軟膏、XXXXを含むかもしれないXX等の非医

薬品を製造するために使用されるのと同じ装置で製造されている。

貴社は、洗浄の対象の最悪の物質としてXXを特定した。XXに関する安全データシートは、その物質

を、飲み込んだら有害であると記載している。貴社の医薬品はXX用であり、意図しない摂取の危険

があることに注意せよ。貴社の医薬品の洗浄バリデーションプログラムに関して提出された情報は

不十分である。非医薬品を製造するために使用しているのと同じ装置を使って医薬品の製造を続け

ることは、CGMP上受け入れられない。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・製品のライフサイクルを通して、管理状態を保証するためのバリデーションプログラムの関連

 手順を添えた、詳細なサマリ

 工程性能の適格性評価と、継続的な管理状態を保証するためのロット内及びロット間のばらつき

 の継続的なモニタリングに関する貴社のプログラムについて述べよ。

・販売されている貴社の各製品についての、工程性能適格性評価(PPQ)の実施に関するタイムライン

・工程性能プロトコル、装置及び設備の適格性評価に関する文書化された手順を提供せよ。

・継続的な管理状態を保証するための、ロット内及びロット間のばらつきの慎重なモニタリング

 を含む、貴社の各製造工程の設計、バリデーション、メンテナンス、管理、モニタリングに

 関する詳細なプログラムを提供せよ。また、貴社の装置及び施設の適格性評価に関する

 プログラムも含めよ。

・非医薬品と共有された装置で以前に製造された全ての医薬品のリスクアセスメント

 各製品について、共有装置による潜在的な汚染のリスクを評価し、まだ販売中の全ての製品に

 ついて、回収の可能性や市場からの撤退を含む、製品品質や患者の安全性のリスクに対処する

 ための計画を提出せよ。

・貴社の設備の、医薬品及び非医薬品の両製造に関する貴社の計画

 もし貴社が、貴社の設備で医薬品及び非医薬品の両製造を継続するつもりであれば、医薬品

 製造のための専用製造装置を維持するエリアを分離するための計画と、工業用製品の製造作業

 についての情報を提供せよ。

・新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順を

 述べよ。

・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に

 重点を置いた洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善

 改善には、これに限定されないが以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:

 〇より高い毒性を持つ医薬品

 〇より高い有効性を持つ医薬品

 〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品

 〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品

 〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所

 〇洗浄前の最大ホールドタイム

 さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられる

 べき手順を述べよ。

・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されて

 いることを保証する最新の標準操作手順(SOP)のサマリ

・洗浄手順と実務の適切な改善、完了までのタイムラインを含む、貴社の洗浄プログラムの

 回顧的なアセスメントに基づくCAPAの計画

 装置洗浄のライフサイクル管理に関する貴社の手順の脆弱性の詳細を提出せよ。洗浄効果の

 増大、全ての製品と装置に関する適切な洗浄の実施の継続的な検証の改善、その他全ての

 必要とされる改善を含む、貴社の洗浄プログラムの改善について述べよ。

貴社には、プロセスバリデーションのプログラムが欠けている。プロセスバリデーションは、

ライフサイクルを通じて、工程の設計の安定性と管理状態を評価する。製造工程の各重要な

段階は、適切に設計され、投入される原材料、工程内原料、最終製品の品質を保証しなければ

ならない。工程の適格性評価は、初期の管理状態が定着しているかどうかを判断する。

商用の販売の前に、工程の適格性評価の達成が必要である。その後、製品のライフサイクルを

通じて、安定した製造作業を維持していることを保証するために、工程の性能と製品品質の

継続的で慎重な監視が必要である。

 

●指摘2

貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、工程内原料、ラベル、医薬品が、同一性、濃度、品質、純度

の適切な標準に従っていることを保証するために設計された、科学的に妥当で適切な規格、標準、

サンプリング計画、試験手順を含む試験の管理を確立することを怠った。(21 CFR 211.160(b))

<指摘2詳細>

貴社は、貴社のXXシステムがUSPモノグラフ規格の最小値を一貫して満たし、医薬品の製造に

適した適切な微生物の限度を管理していることを証明することを怠った。例えば、2021年に、

貴社のXXに関するXX試験の結果はUSP基準を超えた。さらに貴社は、XXの規格を持たず、XX

XX試験を実施していない。

貴社が、意図した目的に合うXXを一貫して製造するためにXXシステムを設計することが不可欠

である。貴社は回答の中で、確実にUSPの標準を満たすために、XXの供給を外部委託する意向

を述べた。不適切なXXシステムを使って製造されリリースされた医薬品のリスクアセスメント

を含んでいなかったので、貴社の回答は不十分である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・このシステムが、貴社の各製品の使用目的に合ったXXを製造しているかどうかをモニタする

 ための微生物総数の限界

XXシステムで見つかった不具合が、現在アメリカに流通しているか、使用期限内のすべての

 医薬品のロットの品質に与える潜在的な影響に対処するための詳細なリスクアセスメント

 リスクアセスメントに応じて、貴社がとろうとしている、顧客への通知や製品の回収と

 いったアクションを明記せよ。

・システムが、XXUSPモノグラフ規格や微生物の限度を満たすXXを一貫して製造することを

 保証する、継続的な管理、メンテナンス、モニタリングに関する貴社のプログラムを管理

 する手順

XXシステムの設計、管理、メンテナンスに関する包括的な改善計画

XXシステムのバリデーション報告

 システム設計及び継続的な管理とメンテナンスに関するプログラムに対してなされた全ての

 改善のサマリを含めよ。

 

●指摘3

貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを

怠った。(21 CFR 211.84(d)(1))

<指摘3詳細>

貴社は、貴社の医薬品を製造するのに使用される、入荷した有効成分の同一性を判断するための

試験を実施することを怠った。我々査察官は、XXの同一性試験をせずに、製造で使用するために

原薬XXをリリースしているのを見た。各成分のロットの同一性試験は、医薬品の製造に使用する

前に必要であり、適切な間隔で供給者の試験結果をバリデーションすることで、その他の成分の

属性に関する分析証明書(COA)を信頼できる。

貴社は回答の中で、貴社は、XXの同一性試験を実施するための装置を持っていないと述べた。

また、貴社は、サードパーティのラボにて、使用された原薬の保存検体の試験を実施することを

約束した。

貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の原材料システムの包括的な改善、既にリリースされ

出荷された製品のアセスメント、サードパーティの試験の完了のタイムラインに関する情報を

提出しなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・成分、容器、蓋の全ての供給業者が、それぞれ適格であり、原材料には適切な使用期限または

 リテスト日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で

 独立したレビュ

 レビュには、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために入荷した原材料の管理が適切かどう

 かを判断することも含むべきである。

・入荷した成分の各ロットを製造に使用するために試験しリリースするのに貴社が使用している

 化学及び微生物学上の品質管理の規格

・同一性、濃度、品質、純度の全ての規格への一致について、入荷した成分の各ロットを貴社が

 いかに試験するつもりかの記述

 もし貴社が濃度、品質、純度に関し各成分を試験する代わりに、供給者の分析証明書(COA)

 結果を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、

 いかに確実に供給者の分析結果の信頼性を確認するかを明記せよ。さらに、入荷した成分の

 各ロットについて、少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。

・成分の各製造業者から得たCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られた

 結果のサマリ

 このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社のSOPも含めよ。

 

●指摘4

貴社は、許可された職員のみが製造指図記録書原本やその他の記録の変更を行えることを保証

するために、コンピュータまたは関連システムに対し適切な管理を実施することを怠った。

(21 CFR 211.68(b))

<指摘4詳細>

貴社は、フーリエ変換赤外分光計(FTIR)システムの適切な管理を行うことを怠った。例えば、

貴社は、各分析者のユニークなユーザ名やパスワードを設定しなかった。さらに、このFTIRは、

日常的に原材料や最終製品試験に使用されているにもかかわらず、監査証跡機能が無効に

なっていた。

貴社の品質システムは、貴社が製造する医薬品の安全性、有効性、品質を裏付けるデータの

正確性と完全性を適切に保証していない。CGMPに則ったデータ・インテグリティの手順の制定

と遵守のアドバイスとして、

FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。

我々は、貴社が、貴社の作業を監査し、FDAの要件を満たす手助けをするためのコンサルタント

を使っていることを認識している。我々は、貴社の改善を手助けする適切なコンサルタントを

雇うことを強く勧める。この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

A.アメリカに販売された医薬品のデータレビュの結果を含む、記録及び報告データの不正確さ

  の範囲の包括的な調査

  貴社のデータ・インテグリティの欠如の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。

B.発見された不具合が貴社の医薬品の品質に与える潜在的な影響の現在のリスクアセスメント

  貴社のアセスメントは、データ・インテグリティの欠如の影響を受けた医薬品のリリース

  による患者へのリスクの分析と、継続的なオペレーションによってもたらされるリスクの

  分析を含めるべきである。

C.全体的な是正処置・予防処置の計画の詳細を含む貴社の経営戦略

  詳細な是正処置計画は、微生物データ、分析データ、製造記録、FDAに提出される全ての

  データを含む貴社で生成された全てのデータの信頼性と完全性をいかに保証するつもりか

  を記述すべきである。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、

違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を

確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留

するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために

再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/system-kosmetik-produktionsgesellschaft-fur-kosmetische-gmbh-632727-09092022

 

 

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Warning Letter 320-23-01

2022411日~415日の中国の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に

ついて発した2022105日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを

怠った。また貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性をバリデートし確証

することを怠った。(21 CFR 211.84(d)(1)211.84(d)(2))

<指摘1詳細>

貴社は、アルコール75%手指の除菌用ローションとXXを含む、OTCの手指の除菌用ローション

の医薬品を製造している。貴社は、医薬品を製造するために成分を使用する前に、入荷した

成分の同一性について試験することを怠った。さらに貴社は、適格性評価がされていない供給者

から得た成分の規格に関する分析証明書(COA)を信頼した。同一性、純度、濃度、品質について

成分を分析しないことにより、貴社は入荷した成分が規格を満たすことを保証することを怠った。

貴社は回答の中で、貴社の手指の除菌用ローションの製造で使用されている2つの有効成分で

あるXXとエタノールに関する試験方法を提出した。また貴社は、メタノールが検出できない

レベルの2つの除菌用ローションの保存検体の試験結果も提供した。

貴社は、貴社の試験方法が、USPの方法と同等か、USPより良いということを示す、有効成分及び

成分の関連する試験方法に関する詳細を提供しなかったので、貴社の回答は不十分である。

さらに貴社は、どのように貴社の供給者のCOAの試験結果の信頼性を確認し定期的にバリデート

するか検討しなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・現在アメリカ市場にあり使用期限内の医薬品の同一性、純度、濃度、品質、安全性に対する、

 入荷成分の試験の不足の影響の回顧的リスクアセスメント

・入荷した成分のロットを製造に使用するために試験してリリースするのに使用している化学

 及び微生物学上の品質管理の規格

・各成分のロットの同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致をいかに試験する

 つもりかの記述

 各成分のロットの濃度、品質、純度に関して試験する代わりに、供給者のCOAの結果を受け

 入れるつもりであれば、初期のバリデーションと定期的再バリデーションを通じて、供給者

 の分析結果の信頼性をいかに慎重に確証するつもりかを明記せよ。さらに、入荷した成分の

 ロットについて、少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。

・各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られた結果の

 サマリ

 このCOAのバリデーションプログラムを述べた貴社の標準作業手順書(SOP)を含めよ。

・貴社が製造する医薬品を試験する契約設備の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムの

 サマリ

・成分、容器、蓋の全ての供給業者が、それぞれ適格であり、原材料には適切な使用期限または

 リテスト日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で

 独立したレビュ

 レビュには、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために入荷した原材料の管理が適切かどう

 かを判断することも含むべきである。

 

●指摘2

貴社は、装置の洗浄及びメンテナンスの文書化された手順を制定して遵守することを怠った。

(21 CFR 211.67(b))

<指摘2詳細>

貴社は、XXXX等の非医薬品の工業製品を製造するために使用しているのと同じ装置を使って

医薬品を製造している。洗浄中の製造装置からの不十分な残留物の除去は、非専用装置で続いて

作られた医薬品の汚染につながる可能性がある。

貴社は回答の中で、製造装置の洗浄と殺菌に関する貴社の手順の概要を述べた文書を提供した。

工業用製品の製造に使用するのと同じ製造装置を使って医薬品製造を続けることは、交叉汚染の

リスクによりCGMP上受け入れられない。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・工業製品と共有している装置で以前に作られた全ての製品のリスクアセスメント

 各製品について、共有された装置による汚染の可能性のリスクを評価し、まだ流通中の製品の

 品質と患者の安全のリスクに対処するための、回収や市場からの撤退の可能性を含む、貴社の

 計画を提出せよ。

・貴社の施設で医薬品と非医薬品の両方を製造することに関する貴社の計画

 もし貴社が、貴社の設備で医薬品及び非医薬品の両製造を継続するつもりであれば、医薬品

 製造のための専用製造装置を維持するエリアを分離するための計画と、工業製品の製造作業に

 ついての情報を提供せよ。

・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのためのプログラムが実施されることを

 確実にする改良したSOPのサマリ

 

●指摘3

貴社は、有害な微生物が含まれていないことが求められている医薬品の各ロットについて、必要

に応じて、ラボの適切な試験を実施することを怠った。(21 CFR 211.165(b))

<指摘3詳細>

貴社のバッチレコードは、貴社の手指の除菌用ローションの最終製品の微生物試験を実施しなかっ

たことを示している。各ロットのリリース前の試験を実施しないので、貴社には、全ての医薬品

のロットが適切な微生物の品質規格に従っているという科学的なエビデンスがなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・ロットの処遇の判断をする前に医薬品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を

 含む化学及び微生物の規格のリスト

 〇この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカ向けに出荷された医薬品の全てのロットの

  品質を判断するために、保存検体の全ての化学及び微生物の試験を実施するためのアクション

  プランとタイムライン

〇使用期限内の各ロットの保存検体の試験から得られた全ての結果のサマリ

 もしそれらの試験で医薬品の基準以下の品質が明らかになった場合、顧客への通知や製品の

 回収などの是正措置を迅速に実施せよ。

 

●指摘4

貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとうたわれている同一性、濃度、品質、純度を

持っていることを保証するために設計された製造や工程管理についての文書化された手順を制定

することを怠った。 (21 CFR 211.100(a))

<指摘4詳細>

貴社は、OTCの手指の除菌用ローションの製造工程のバリデーションを怠った。例えば貴社は、

これに限定されないが、XXや時間を含む重要な製造の変数を十分に特定していなかった。貴社は、

均一な特性と品質の医薬品を一貫して製造できるように製造工程が管理されていることを証明

しなかった。

貴社は回答の中で、2022418日以降に実装されるOTCの手指の除菌用ローションの製造工程の

手順を提出した。

貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用する工程をバリデート

するかどうかについて言及していない。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・製品のライフサイクルと通して管理状態を保証するための、関連手順も添えた貴社のバリデー

 ションプログラムのサマリ

 工程の性能適格性評価、継続的な管理状態を保証するためのロット内及びロット間のばらつき

 を継続的にモニタリングするための貴社のプログラムについて述べよ。

・医薬品の出荷前に適切なバリデーションの実施を確実にする方法を含む、販売されている貴社

 の各製品の工程性能適格性評価を実施するためのタイムライン

 FDAがプロセスバリデーションの要素と考える一般原則とアプローチについて、

 FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。

 

●指摘5

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関して制定

された規格を満たすことを保証するためにその責任を果たすことを怠った。(21 CFR 211.22)

<指摘5詳細>

貴社の品質部門(QU)は貴社のOTC医薬品の製造を適切に監督しなかった。例えば:

・貴社のバッチレコードは、医薬品のリリースの日の情報がなく、QUによって署名されていなかった。

・貴社のQUは貴社の電子システム内でラボの試験結果を見つけることができず、電子データのバック

 アップが不十分だった。

XXに関するラボノート内に記録された試験結果は判読できず、記録は帰属可能でなかった。

・我々査察官がXXに関すCOAを要求した時、貴社は査察官に食品グレードのCOAを提出した。

医薬品の品質を一貫して保証するために、全ての製造作業のQUによる適切な監督が必要である。

貴社は回答の中で、QUの責任、記録の管理手順、製造記録書のフォーム、XXの記録フォーム、製造

記録の管理システムを説明したいくつかの文書を提出した。

貴社は、これらの不備につながった貴社のQUの根本的な欠陥に対応することを怠ったので、貴社の

回答は不十分である。貴社の回答は、製品品質を保証するために、適切な運用プログラム、システム、

データガバナンス、関連手順を制定していることを示す文書と十分な記述が不足していた。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための

 包括的なアセスメントと改善計画

 アセスメントには、これに限定されないが以下のことを含めるべきである:

 ○貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断

 ○適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定

 ○QUによるロットの処遇の判定前の、各ロット及びそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ

 ○調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUのその他

  の業務の遂行

・文書手順が不十分かどうかを判断するための、貴社の製造及び試験作業を通して使用されている

 文書システムの完全なアセスメント

 貴社が貴社の業務を通して、帰属可能で、判読可能で、完全で、原本性があり、正確で、同時性

 のある記録を保持していることを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細な

 CAPAの計画を含めよ。

貴社の品質システムは不十分である。CGMPの規制の21 CFR Part 210,211の要件を満たすために、

品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装する助けとして、

FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。

 

●データ・インテグリティの改善

貴社の品質システムは、貴社が試験した医薬品の安定性、有効性、品質を裏付けるデータの正確性

と完全性を適切に保証していない。CGMPに従ったデータ・インテグリティの手順を制定し遵守する

ための助けとして、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance with Drug CGMPを見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

A.アメリカに販売された医薬品のデータレビュの結果を含む、記録及び報告データの不正確さの

  範囲の包括的な調査

  貴社のデータ・インテグリティの欠如の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。

B.発見された不具合が貴社の医薬品の品質に与える潜在的な影響の現在のリスクアセスメント

  貴社のアセスメントは、データ・インテグリティの欠如の影響を受けた医薬品のリリースに

  よる患者へのリスクの分析と、継続的なオペレーションによってもたらされるリスクの分析を

  含めるべきである。

C.全体的な是正処置・予防処置の計画の詳細を含む貴社の経営戦略

  詳細な是正処置計画は、微生物データ、分析データ、製造記録、FDAに提出される全てのデータ

  を含む貴社で生成された全てのデータの信頼性と完全性をいかに保証するつもりかを記述すべ

  きである。

 

●未承認の新薬と虚偽表示の違反

省略

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向け医薬品の製造を再開するつもり

であれば、貴社は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために21 CFR 211.34に記載されて

いる適格性のあるコンサルタントを雇うべきである。また適格性のあるコンサルタントは、CGMP

遵守について貴社の製造作業全体の包括的な監査を実施し、FDAと共に貴社のコンプライアンス状態

の解決を達成しようとする前に、コンサルタントが貴社の是正処置・予防処置の完了と効果を評価

するべきである。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを遵守するための貴社の義務を軽減する

ものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP遵守を保証するために、全ての不備とシステムの

欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反

を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

FDA202281日に輸入警告措置66-40をとった。

全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認

するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろ

う。

我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかも

しれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/beijing-xinggu-lvsan-technology-co-ltd-formerly-known-beijing-lvsan-technology-co-ltd-633904

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

今回は2件ともデータ・インテグリティに関する指摘が含まれていました。

1件目は、データを生成するコンピュータの管理に問題があり、データ・インテグリティが保証

出来ない状態でした。

また、2件目は、文書作成手順の問題で、データがALCOAの原則を満たしていない状態でした。

耳にタコが出来そうなデータ・インテグリティですが、今一度、自社のデータ管理に不備が

ないか注意してみるのもよいかもしれません。

2022.11.15

【EU GMP/GDPノンコンプライアンスレポート】ASTROM通信<254号>

こんにちは

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

秋も深まり紅葉が美しいこの頃ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて、今回は、EUGMP及びGDPのノンコンプライアンスレポート(Non-Compliance Report)を

取り上げたいと思います。

ウォーニングレターに比べて指摘の内容が詳しくないのですが、EUの規制当局がどんな点を指摘

しているのか、参考にしてみていただければと思います。

 

 

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1.EU GMPノンコンプライアンスレポート  

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EU GMPノンコンプライアンスレポートは、EUの当局による製薬会社の製造所の査察において、

EU GMPに不適合と判断される問題が見つかった場合に発行されるもので、3部構成になっています。

Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所等、Part2にノンコンプライアントな

製造オペレーション、Part3に不適合の内容、EUの対策等が書かれています。

査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ていますが、前述の通り、ウォーニング

レターに比べて、指摘の内容があまり詳しくありません。また、不適合を、クリティカル(Critical)、

メジャー(Major)、その他(Others)に分類して、クリティカルとメジャーが何件あったかを明記

しているという特徴があります。Part3の不適合の内容をみていきたいと思います。

 

Report No.BE/NC/2022/02

ベルギーの当局が2022/5/19にトルコの製薬会社を査察し、2022/5/31付で以下のノンコンプライ

アンスレポートを発行した。

●ノンコンプライアンスの性質

クリティカルな欠陥:危険な製品の交叉汚染のリスク管理の不履行

●当局によりとられた/提案された行動

GMP証明書の取り消し

 現在有効なGMP証明書の制限

・既に出荷されたロットの回収

 潜在的な品質不良と供給制限のアセスメントにより回収を検討

・供給禁止

 EU市場に供給されるロットは他になし

 

Report No.IT/NCR/API/1/2022

イタリアの当局が2022/5/27にイタリアの製薬会社を査察し、2022/10/26付で以下のノンコンプライ

アンスレポートを発行した。

●ノンコンプライアンスの性質

査察中、メジャー13件、その他1件の不備がみつかった。メジャーの不備は、不十分な医薬品品質

システムと建物及び装置のメンテナンスに関するものだった。

具体的には、

1)査察中、許可されていない製造や装置の記録が見つかった。

製造施設内でみつかった記録は、GMP文書に記録されていないロットや装置の製造作業や装置の

使用/メンテナンスに関する非GMP文書だった。

2)建物や装置のメンテナンス・使用・洗浄作業の欠陥

ほとんどの施設は汚れており、使用目的のために適切に設計されておらず、装置は適切に洗浄も

メンテナンスもされていない。

その他に関連する調査結果は、原材料の管理、ユーティリティ、文書管理で見つかっている。

AIFA(イタリア医薬品庁)は会社の要請により、製造所を一時停止とした。市場からの回収は実施

されていない。査察した会社で製造されている原薬を含む医薬品は重要で、医薬品の不足が真の

リスクと考えられる。

●とられた/提案された行動

・現在有効なGMP証明書の取り消し

・要求された製造承認の変更

 関連する各当局は、MAHと共同で医薬品の回収が必要か評価を実施する必要がある。

・供給禁止

 評価には、代替の供給者がいるかと、医薬品の不足の潜在的なリスクを考慮する必要がある。

 AIFAの査察時点で既にリリースされていたが、まだ出荷されておらず、会社から情報が提供され

 ているロットのリテスト結果に基づき、査察した会社で製造された原薬を含む重要な医薬品の

 不足の真のリスクを考慮し、販売を許可するだろう。

・その他

 この会社は、新規/進行中の申請が承認されるべきでない。関連する各当局は、この会社が現在

 の製造承認から削除する必要があるかどうか評価する必要がある。会社は、929日に、製造所

 での製造作業の復活要求を提出した。AIFAの評価は進行中である。

 

Report No.2022052722

デンマークの当局が2022/6/2にトルコの製薬会社を査察し、2022/9/2付で以下のノンコンプライ

アンスレポートを発行した。

●ノンコンプライアンスの性質

会社は、無菌状態で調製または最終的に滅菌された小容量の無菌医薬品を受託製造している。

会社は、1つのカプセルと国内またはDCP(Decentralized Procedure)/MRP(Mutual Recognition

Procedure)で許可されたその他の製品を含む多数の原薬と賦形剤を取り扱っている。

2022530日から62日に実施されたオンサイトの査察で、メジャー7件を含む47件の指摘が

あった。

7件のメジャーのGMPの不備は、製品の品質と安全性にリスクをもたらす可能性があると考えられ、

2022617日に監督リスクアセスメントのドラフトとノンコンプライアンスレポートのドラフト

が発行された。それ以来、会社は、査察の指摘事項で挙げられた懸念に対処する機会を得た。

会社は、いくつかのメジャーの不備の今後のアプローチについて許容可能な回答を提出した。

しかし、EU GMPに準拠しない状態で製造され、現在EU/EEA市場にある製品に関していまだに大きな

懸念が残っている。これらの懸念は、ノンコンプライアンスレポートを発行する必要があるレベル

の懸念であり、市場に対応を起こさせる可能性がある。特に、多目的装置の洗浄プロセスの不十分

な管理から生じる交叉汚染のリスクは、このノンコンプライアンスレポートの根拠となっている。

ノンコンプライアンスレポートの根拠となるその他の残りのリスクは、手作業の目視検査の不十分

な管理と、継続的な工程の検証の不足から生じる不十分なプロセスバリデーションの管理である。

これらの不備は、使用されている充填技術(BFS(成形同時充填), PFS(プレフィルドシリンジ),

バイアル、アンプル))に関わらず、製造される全ての製品にあてはまる。メジャーの不備の詳細

なリストは、監督リスクアセスメント内で見ることができる。

●とられた/提案された行動

・現在有効なGMP証明書の取り消し

・既にリリースされたロットの回収

 品質不良の可能性と、製品の重要性及び供給制限の可能性に関する当局のアセスメントに従い、

 会社が製造した医薬品の全てのロットの回収の検討が推奨される。

・供給禁止

 品質不良の可能性と、製品の重要性及び供給制限の可能性に関する当局のアセスメントに従い、

 会社が製造した医薬品のロットの更なる流通とクオリファイド・パーソンによる認証の停止の

 検討が推奨される。

・その他

 当局は、契約提供者と受託製造業者の間の契約上の責任が明確で、両当事者により遵守されている

 ことを確実にするために、影響を受ける医薬品販売承認取得者/契約提供者と連絡をとることを

 推奨している。

 

Report No.IT/NCR/API/02/2022

イタリアの当局が2022/9/1にイタリアの製薬会社を査察し、2022/10/7付で以下のノンコンプライ

アンスレポートを発行した。

●ノンコンプライアンスの性質

製造されたほとんど全ての原薬は、社内で注射剤を製造するのに使用されていたが、登録ファイル/

販売承認は、どの医薬品販売承認取得者からも提出されていなかった。

以下の懸念が生じる:HVACシステムの欠如による、ウイルス不活性化活動の前と後の交叉汚染の

リスク。さらに、同じ装置が、ウイルス不活性化活動前後のステップで仕様されていた。

ウイルス不活性化活動前の汚染管理の不備:一部の作業は、密閉システム内で実施されていなかった。

洗浄活動の管理の不備:不活性化剤(NaOH 1M)の接触時間は、装置の接触部品についてバリデートされ

ていなかった。不活性化活動の前後、仕上げ段階で使用された装置の洗浄や、洗浄された装置の保管

で使用できる洗浄室は1つだけだった。

供給者のバリデーション管理の不備:供給者は監査されたことがなかった。有効成分の製造に関する

リスク評価のための、ウイルスの安全性に関すリスクアセスメントは実施されなかった。最終的な

不定の化学物質を特定するための分析試験は業務用ロットでは行われず、試験室での試験のみが実施

された。2021921日に、製造許可が停止された。

●とられた/提案された行動

・現在有効なGMP証明書の取り消し

・既にリリースされたロットの回収

 原薬は医薬品製造用に出荷されていなかった。原薬は、社内で注射剤を製造するために使用された。

 

出典:

 http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do

 

 

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EU GDPノンコンプライアンスレポート 

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EU GDPノンコンプライアンスレポートは、EUの当局による医薬品卸売販売業者の査察において、

EU GDPに不適合と判断される不備がみつかった場合に発行されるもので、3部構成になっています。

Part1に確認した当局の名前、卸売販売業者の名前、卸売販売業者の住所等、Part2にノンコンプライ

アントな作業、Part3に不備の内容、当局の対策等が書かれています。

Part3の不備の内容をみていきたいと思います。

Report No.2022_NCS_001

フランスの当局が2022/1/6にフランスの卸売販売業者を査察し、2022/6/16付で以下のノンコンプライ

アンスレポートを発行した。

●1.ノンコンプライアンスの性質

欠陥のある品質システム、安全対策が実施されておらず、コールドチェイン製品の管理されていない

保管条件(温度)、シリアルナンバリングの不履行

●2.当局によりとられた/提案されたアクション

卸売販売業許可の差し止め

 

Report No.24.05.17-07-0030

ドイツの当局が2022/1/12にドイツの卸売販売業者を査察し、2022/1/18付で以下のノンコンプライ

アンスレポートを発行した。

●1.ノンコンプライアンスの性質

必要とされる専門知識を持った責任者の不在

-卸売販売業者が、法令で規定された適切な業務が遵守されていることを保証することができない

-供給者と顧客の適格性評価がない

-卸売販売許可に含まれない医薬品の取引

●2.当局によりとられた/提案されたアクション

-卸売販売業許可の差し止め

●3.追加コメント

-顧客はドイツのみに存在する

 

Report No.G3-5423/dubrau-roge_20220601

ドイツの当局が2022/5/2にドイツの卸売販売業者を査察し、2022/6/1付で以下のノンコンプライ

アンスレポートを発行した。

●1.ノンコンプライアンスの性質

・医薬品品質システムが使用できない

・責任者の不在

●2.当局によりとられた/提案されたアクション

-卸売販売業許可の差し止め

 

Report No. NCD/012/RO

ルーマニアの当局が2022/6/8にルーマニアの卸売販売業者を査察し、2022/8/16付で以下のノン

コンプライアンスレポートを発行した。

●1.ノンコンプライアンスの性質

会社が行った活動がGDPを遵守していなかった。(例:卸売販売活動を許可されていない事業体

からの調達)

●2.当局によりとられた/提案されたアクション

-卸売販売業許可の差し止め

●3.追加コメント

最新の査察中に得られた情報によれば、会社はルーマニアの顧客にのみ医薬品を供給した。

 

Report No. DE_BW-03_: WDA_2018_0012_2022_07_12

ドイツの当局が2022/7/7にドイツの卸売販売業者を査察し、2022/7/12付で以下のノンコンプライ

アンスレポートを発行した。

●1.ノンコンプライアンスの性質

卸売販売業に関する責任者の不在

●2.当局によりとられた/提案されたアクション

卸売販売業許可の差し止め

 

Report No. BE/NC/2022/03

ベルギーの当局が2022/10/7にベルギーの卸売販売業者を査察し、2022/10/21付で以下のノンコン

プライアンスレポートを発行した。

●1.ノンコンプライアンスの性質

輸入許可の無い医薬品の輸入/許可されていない団体への医薬品の販売/許可されていな部屋での

医薬品の保管/原薬の登録のない原薬の販売/責任者の適切な職務の不履行

●2.当局によりとられた/提案されたアクション

卸売販売業許可の差し止め

 

Report No. 32973

アイルランドの当局が2022/10/11にアイルランドの卸売販売業者を査察し、2022/11/2付で以下の

ノンコンプライアンスレポートを発行した。

●1.ノンコンプライアンスの性質

これに限定されないが、会社は、サプライチェインの完全性と、供給された医薬品の安全性を

保証するために、医薬品の調達、保持、供給に関し、以下のことを含む、適切な管理を証明する

ことを怠った。

・許可されていない施設での医薬品の保管

・責任者が卸売販売業者の管理のもとで発生する活動の管理と、GDPの記録の正確性や品質を証明

 することを怠った。

・許可されていない施設での調達及び供給活動の実施

・卸売販売業者の敷地で、卸売販売業者の管理のもとで実施された卸売販売活動に関連する記録が

 ない。

・現場で品質マネジメントシステムが維持されいない、もしくは、使用されていない。

・卸売販売業者の施設が厳重に警備されておらず、医薬品が保管されているエリアは目的に適して

 いない。

●2.当局によりとられた/提案されたアクション

卸売販売業許可の即時差し止め

●3.追加コメント

N/A

 

出典:

http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/view/gdp/viewGDPCertificate.xhtml

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

GDPノンコンプライアンスレポートの1件目(Report No.2022_NCS_001)に、シリアルナンバリング

の不履行の指摘が含まれていました。

シリアルナンバリングは、偽造医薬品対策の一貫として20192月を期限にEUが導入した、医薬品

のパッケージに製品コード、シリアル番号、ロット番号、有効期限を印字する制度で、日本から

EUに輸出する際にも適用されるのですが、現時点で徹底されていないケースがあるようで興味深い

です。

2022.11.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<253号>

 

こんにちは。

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

今年も残すところ2ヶ月となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて今回は、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国外の製薬会社向けに出したウォーニング

レター2件を見ていきたいと思います。

FDAがどのような点を問題視して指摘しているかをご確認いただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

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CMS#624255

2021111日~1118日のオランダの製造所の査察でみつかった原薬製造の重大なCGMP違反に

ついて発した2022614日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

潜在的な交叉汚染を避けるために、適切なCGMPのもとで原薬の再包装を実施していなかった。

<指摘1詳細>

テストステロン、エストラジオール、ベタメゾン、タモキシフェン、オピオイドなどの非常に

強力な医薬品を含む原薬の再包装及び再ラベル貼付作業中、貴社は、非専用キャビン(製造室)

洗浄手順が、潜在的な交叉汚染を防ぐために適切である事を示すための洗浄バリデーションを

実施することを怠った。

例えば貴社は、現在の洗浄手順を裏付ける完了した洗浄バリデーションを提出することが出来な

かった。

査察中、貴社は、2008年の洗浄バリデーションの検証は現在の洗浄手順を表しておらず、貴社の

洗浄手順は再バリデートする必要があることを認めた。潜在的なキャリーオーバーに関して

ワーストケースのシナリオであると判断されたキャビンXX2020年の洗浄バリデーションプロトコル

のリスク評価を提出した。採取場所は、汚染のリスクレベルに基づいて決定された。貴社は、

我々査察官に、許容可能な規格を著しく超えたキャリーオーバーレベルのナイアシンと

プロゲステロン(強力な化合物)の残留物に関する予備試験の結果を提出した。貴社は、補足的な

バリデーションを実施中であると我々査察官に知らせた。

貴社は、貴社の装置が十分に洗浄されていると保証することを怠った。例えば、査察中、

プロゲステロンの再包装に続いて、洗浄が完了したと文書化された後、我々査察官は、

非専用装置(格納フードのXX)上に目に見える粉末の残留物を発見した。また、査察官は、洗浄活動

が開始されていなかったにも関わらず、リドカインHClの再包装中にキャビンXXの洗浄ログはXX

あることを発見した。後で貴社は、従業員が洗浄ログを破棄し、我々査察官にコピーを提供でき

ないと述べた。

貴社は回答の中で、ナイアシンのふき取りサンプルのキャリーオーバーのみ評価し、最初の洗浄

バリデーションに含まれていたプロゲステロンについては評価していない、フォローアップの

洗浄バリデーション報告を提供した。貴社が査察官に提出した誤った残留物の結果を考えると、

プロゲステロンXXの考慮の欠如は、許容できないレベルのプロゲステロンの交叉汚染をもたらす

ことになるかもしれない。さらに、貴社は、現在のバリデーションに含まれていない他の

製造エリアで許容レベルを超える医薬品の残留物を検出していたにもかかわらず、貴社が提出した

ナイアシンのサンプルデータは、容器XXの表面のみに限定されていた。また貴社は、細胞毒性

化合物の破壊工程を含む洗浄手順の改訂中であると述べた。また貴社は、追加の洗浄バリデー

ション活動の実施をコミットしていて、特定の部屋で再包装された特定の原材料の分離を評価する

つもりであると述べた。

貴社の洗浄手順が再包装された原薬の交叉汚染を防ぐために適切であるという証明を怠っている

ので、貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社が販売している様々な原薬の交叉汚染の可能性

を評価するための包括的なリスクアセスメントを実施していなかったし、洗浄の再バリデーション

を実施しながら貴社の装置が適切に洗浄されたことを保証するための暫定的な計画の詳細を説明

しなかった。

洗浄中の製造装置からの有効成分や残留物の不十分な除去は、貴社の原薬の交叉汚染につながる

可能性がある。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・交叉汚染の危険の範囲を評価するための貴社の洗浄効果の包括的で独立した回顧的アセスメント

 残留物、不適切に洗浄されていたかもしれない他の製造装置の特定と、交叉汚染された製品が

 販売のためにリリースされたかどうかの情報を含めよ。

 アセスメントは、洗浄手順と業務の不備を特定し、複数製品を製造するために使用されている

 製造装置の各部品を網羅すべきである。

・貴社の洗浄プログラムの回顧的なアセスメントに基づく貴社の洗浄手順と業務の適切な改善と、

 完了までのタイムラインを含んだ、是正処置・予防処置(CAPA)の計画

 装置洗浄のライフサイクルマネジメントに関する貴社の手順の脆弱性の詳細なサマリを提出

 せよ。

 洗浄効果の向上、全ての製品と装置に関する適切な洗浄の実施の検証、その他必要とされる

 全ての修正を含む、貴社の洗浄プログラムの改善について述べよ。

・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に

 重点を置いた洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善

 改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきで

 ある:

 〇より高い毒性を持つ医薬品

 〇より高い有効性を持つ医薬品

 〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品

 〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品

 〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所

 〇洗浄前の最大保持時間

 さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられる

 べき手順を述べよ。

・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されて

 いることを保証する最新の標準操作手順(SOP)のサマリ

・強力な化合物の交叉汚染に関する各ロットの保管サンプルから得られた全ての結果のサマリ

 もしそれらの試験で基準を下回る品質の医薬品が見つかった場合、顧客への通知や製品の回収

 などの迅速な是正措置をとること。

 

●指摘2

規格外の結果を適切に調査・文書化し、適切な是正処置を実施することを怠った。

<指摘2詳細>

貴社の規格外(OOS)の試験結果の調査は不十分である。貴社はOOSの結果の調査や、適切なCAPA

実施を怠った。例えば貴社は貴社の精製水システム(医薬品の成分として使用)のバイオバーデン

の総数のOOSについて調査を開始しなかった。貴社の試験手順には、アクションには過去のデータ

XXのサンプリングと試験の頻度のレビュ、微生物の特定、最後に合格の試験結果が出た日以降

に使用された装置と製造された医薬品の隔離を含めるべきであると述べている。202065日、

製造XXのバイオバーデンの約XX CFU/mLの総数は、XX CFU/mL以下というアクションリミットを

超えている。貴社は調査を開始しなかった。

貴社は回答の中で、CAPA(XXの調査を含む)XXであると認め、結果の回顧的な分析を実施し

適切なアクションを決定するつもりであると述べた。貴社は、潜在的な根本原因を評価し、患者の

安全性と製品品質のリスクを評価し、不具合の範囲と重大さを判断し、CAPAを実施し効果を検証

するために、不適合な結果を調査することを怠った。

不十分な調査は、不適合の根本原因の特定や緩和につながらず、安全で有効な医薬品の一貫した

製造を保証しない。

不具合、OOS、傾向外、その他の予期しない分析結果の取り扱いや、調査の文書化に関する更なる

情報について、

FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification (OOS) Test Results for Pharmaceutical Production

を見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・この文書の日付時点で使用期限内かつアメリカ市場にあるアメリカ向け製品について、全ての

  無効化したOOS(工程内試験、リリース試験、安定性試験を含む)の結果の回顧的で独立したレビュ

 と、各OOSに関する下記の情報を含む分析結果をまとめたレポート

 〇無効化されたOOSの結果に関する科学的な正当化の理由とエビデンスが、断定的もしくは

  非断定的でも、原因となる試験のエラーを示しているかどうかの判断

 〇試験の根本原因が最終的に確認された調査について、論理的根拠を提出し、同じまたは類似の

  根本原因に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。

・回顧的レビュで、試験室にて決定的な根本原因がみつかっていない、または、根本原因が特定

 されていない全てのOOSについて、製造の徹底的なレビュ(例:バッチ製造記録、製造ステップの

 適格性、装置/設備の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロット

 の不具合の履歴)を含めよ。各調査について、潜在的な製造の根本的原因と、製造作業の改善の

 サマリを提出せよ。

・貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善の計画

 CAPAには、これに限定されないが、以下のことへの対応を含めるべきである:

 〇試験の調査の品質部門の監督

 〇有害な試験管理の傾向の特定

 〇試験のばらつきの原因の解決

 〇試験の原因が決定的に特定できない場合は、製造の潜在的な原因の徹底的な調査の開始

 〇各調査の適切な範囲の決定とそのCAPA

 〇これら及びその他の改善を伴う、OOSの調査手順の改訂

 

●指摘3

品質部門は、施設で製造される原薬がCGMPに従っていることを保証する責任を果たしていなかった。

<指摘3詳細>

貴社の品質部門(QU)は、貴社が再包装し販売している原薬がCGMPの要件を満たしていることを保証

するための重要ないくつかの機能を果たしていなかった。例えば、査察官は、CGMP関連の試験装置

につなげられたコンピュータが、制限なしで医薬品のリリースを裏付けるために生成されたデータ

の変更や削除が許されていることを発見した。

さらに査察中、貴社は貴社のQUがリソースの問題で、製品リリースを裏付けるために貴社が使用

している契約試験機関の適格性評価をしていなかったことを認めた。これは、2017年の査察の

繰り返しの指摘事項である。

貴社は回答の中で、CGMP関連の作業で使用されている装置を評価し、21 CFR Part11に従っている

ことを保証するために必要なアクションを実施するつもりであると述べた。我々は、貴社の

契約試験機関の適格性評価を実施、供給者の適格性評価をサポートするために追加のQUの職員を

すぐに雇うという貴社の約束を認識している。

試験装置の不備に対する単純な対応では、全体的なCGMP遵守を達成するには不十分であるため、

貴社の回答は不適切である。これらのステップは、貴社が、貴社のQUがロットのリリース作業の

一貫として、全ての製造と管理データとそれに関連する監査証跡をレビュすることを確実にする

適切な手順とシステムを確立してそれに従う場合に限って有効である。さらに貴社は、上記の

欠陥がどのように医薬品の品質に影響したかを評価し、追加の職員がいかに適切にQUの不備を

改善するかを特定することを怠った。

適切なQUが全てのCGMP作業を監督することは、一貫した製品品質を保証するために必要である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを確実にするための、

 包括的で独立したアセスメントと改善計画

 アセスメントは、これに限定されないが、以下の情報を含むべきである:

 ○貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断

 ○適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定

 ○QUによるロットの処遇の判定前の、各ロット及びそれに関連する情報の完全で最終的な

  レビュ

 ○調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QU

  その他の業務の遂行

 〇また、経営陣が、これに限定されないが、新たな製造/品質の問題に積極的に対処し、継続的

  な管理状態を保証するためのリソースのタイムリーな提供を含む品質保証と信頼可能な作業を

  いかにサポートするかについて述べよ。

・貴社の試験の業務、手順、包装、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント

 このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。

・成分、容器、蓋の全ての供給業者が、それぞれ適格であり、原材料には適切な使用期限または

 リテスト

 日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立した

 レビュ

 レビュには、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために入荷した原材料の管理が適切かどうか

 を判断することも含むべきである。

・入荷した成分の各ロットを製造に使用するために試験してリリースするために貴社が使用して

 いる化学及び微生物学上の品質管理の規格

・同一性、濃度、品質、純度の全ての規格への一致について、入荷した成分の各ロットを貴社が

 いかに試験するつもりかの記述

 もし貴社が濃度、品質、純度に関しXXを試験する代わりに、供給者の分析証明書(COA)の結果を

 受け入れるつもりなら、初期のバリデーションとXXの再バリデーションを通じて、いかに

 確実に供給者の分析結果の信頼性を確認するかを明記せよ。さらに、入荷した成分のロットの

 XXについて、特定の同一性試験をXXで常に実施するという約束を含めよ。

・成分の各製造業者から得たCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られた

 結果のサマリ

 このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社のSOPも含めよ。

・貴社が製造した医薬品を試験する契約試験機関の適格性評価と監督のためのプログラムの

 サマリ

 

●追加の原薬CGMPのガイダンス

FDAは、原薬がCGMPに則って製造されたかどうかを判断する際、ICH Q7に概説されている期待を

考慮する。

FDAのガイダンス文書Q7 Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredients

を見よ。

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した逸脱の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために

コンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するため

の貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、

全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた逸脱は、貴社の施設に存在する逸脱の包括的なリストではない。貴社には、

逸脱を調査し、原因を判断し、再発やその他の逸脱の発生を防止する責任がある。

この文書内の逸脱を速やかに是正せよ。これらの逸脱の即座の是正の不履行は、制限のない

差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながる

かもしれない。未解決の逸脱は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

逸脱への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての

逸脱に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者

としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての正処置を

完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/fagron-group-bv-624255-06142022

 

 

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CMS#629115(320-22-20)

2022131日~24 日のスペインの製造所の査察でみつかった原薬製造の重大なCGMP違反に

ついて発した2022630日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社の中間体及び原薬の品質特性のばらつきを引き起こす可能性のある製造ステップの進捗を

モニタし性能を管理するための文書化された手順を制定することを怠った。

<指摘1詳細>

貴社は、USP原薬XXのリワークしたロットに関し適切なモニタリングと管理を達成すること

を怠った。2020年と2021年、USP原薬XXの約23ロットが、微生物規格外、XXの高度の不一致、

クラス3の残留溶媒の含有量により、貴社の産業用XX内でリワークされた。産業用XXの使用は、

USP原薬XXに関して確認されたプロセスバリデーションに含まれていなかった。査察官は、

このXXが、合格の結果が得られるまでXX回からXX回、複数のロットをリワークするために

使用されたことを記録した。このリワークのステップの有効性を確認するための検証は実施

されていなかった。さらに貴社の産業用XXは、XXの性能をモニタするための、リアルタイムの

XXモニタリングや、XXサマリを装備していなかった。

貴社のリワークの作業が一貫した医薬品の品質を維持できることを保証するために工程管理の

モニタリングに関する継続的なプログラムは不可欠である。貴社が製造しているUSP原薬XXは、

XXを治療するための医薬品を製造するために使用されている。これらの製品の治療域の狭さに

より、適切な混合、プロセスバリデーションを通じて適切に評価された製品の製造は、患者の

不十分または過剰な投薬を防ぐために不可欠である。

貴社は回答の中で、XX工程の不十分な管理とモニタリングがあったことを認めた。さらに、

貴社は、微生物汚染減数工程のバリデーションを実施することを約束した。

貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、実行された追加のXXは再処理であると繰り返

し説明した。しかし、バリデートされた製造工程にない装置の使用はリワークとみなされる。

さらに貴社は、バリデーションが実施できるまで、貴社の製造工程が適切に微生物汚染と

XX含有量を低減できることを保証するための暫定的措置をとることを怠った。また貴社は、

リワーク中に使用された産業用XXに関し、工程管理の欠如に対処するための是正処置をとる

ことも怠った。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社の製造工程が適切な規格と製造標準を一貫して満たすような、全てのばらつきの原因

 を特定し監視する、データ駆動型の科学的に妥当なプログラムが存在することを保証する

 ための、実施されたリメイク作業を含む、USP原薬XXの製造工程のアセスメント

 アセスメントは、これに限定されないが、装置の使用目的への適合性の評価、貴社のモニタ

 リング及び試験システムの検出可能性の十分性、投入原材料の品質、製造工程の各ステップ

 の信頼性と管理、貴社の製造工程の再バリデーションの必要性を含む。

・管理状態が適切に完全に確認されずに販売されている医薬品のための改善された工程の

 性能適格性評価の完了のタイムライン

・貴社の製造作業の、詳細で徹底的な全ての微生物の危険性のレビュを含む、設計と管理の

 包括的で独立したアセスメント

 

●指摘2

リワークされた原材料が、元の工程で製造されたのと同等の品質であることを示すために、

リワークされたロットが適切な評価と安定性試験を受けていることを保証することを怠った。

<指摘2詳細>

リワークされたUSP原薬XXは、安定性試験を受けていなかった。2020年と2021年に、

USP原薬XXの約23ロットは、バリデートされた製造工程でない産業用XX内でリワークされた。

これらのロットは、微生物規格外や、XXの結果の高度の不一致によりリワークされた。

リワークされたロットのいずれも、バリデートされた工程で製造されたのと同等の品質である

ことを保証するための安定性試験を受けていなかった。

貴社は回答の中で、不純物プロファイルパラメータと安定性を示す分析方法を開発すると約束

した。

しかし貴社は、貴社が提案したアクションが完了するまでの暫定的な手段をとることを怠った。

さらに現在販売されているリワークされたロットの安定性は評価されていない。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・是正処置・予防処置が完了するまでに実施される暫定手段

・貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的で独立しアセスメントとCAPA

 計画

 貴社の修正されたプログラムは、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:

 〇出荷許可前の、市販の容器施栓システムの中のリワークされたUSP原薬XXの安定性の検証

 〇うたわれている品質保証期限が妥当かどうかを判断するために、各製品の代表的なロット

  が毎年プログラムに追加されていくような継続的なプログラム

 〇各ステーション(タイムポイント)で試験される特定の属性の詳細な定義

・貴社の改善された安定性プログラムのこれら及びのその他の要素を述べた全ての手順

・バリデートされた工程との同等性を判断するために、リワークされたロットをどのように

 評価するかを述べたリワークの手順

 

●工程管理

貴社は、安定した製造作業と一貫した製品品質を保証すために、工程管理をモニタリングする

ための適切な継続的プログラムを持っていない。

FDAがプロセスバリデーションの適切な要素とみなす一般的な原則とアプローチについて、

FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した逸脱の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するため

にコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守する

ための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証する

ために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた逸脱は、貴社の施設に存在する逸脱の包括的なリストではない。貴社には、

逸脱を調査し、原因を判断し、再発やその他の逸脱の発生を防止する責任がある。

この文書内の逸脱を速やかに是正せよ。全ての逸脱に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMP

遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を

保留するだろう。

我々は、貴社が全ての正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/bioiberica-sau-629115-06302022

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

今回は2件とも原薬製造に関する指摘事項でした。

再包装時の洗浄の管理、リワーク時の管理など、通常と違って手順があいまいになりがちな

部分の指摘が含まれていて興味深かったです。

是非参考にしていただければと思います。

2022.10.15

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<252号>

 こんにちは。

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

あっという間に日が暮れてしまうようになってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

 

さて今回も、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国内の製薬会社向けに出したウォーニングレター2

を見ていきたいと思います。

FDAがどのような点を問題視して指摘しているかをご確認いただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

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CMS#622546

2021105日~1019日のミズーリ州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に

ついて発した2022523日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、ラベル、医薬品が、同一性、濃度、品質、純度の標準に

従っていることを保証するために、科学的に理にかなった適切な規格、標準、サンプリング計画、試験

手順を含む試験管理を設計し制定することを怠った。(21 CFR 211.160(b))

<指摘1詳細>

貴社の試験のサンプル計画と試験方法は科学的に理にかなっていなかった。貴社は貴社の精製水システム

の品質を示さないサンプルを収集した。貴社の精製水システムの水は、貴社の局所用のOTC医薬品の製剤

に使用されている。特に、査察中に提出された貴社の精製水システムのモニタリング手順は収集する

サンプリングの数、場所、頻度について説明されていない。貴社は我々査察官に、通常、成分XXの近く

の単一の場所から、精製水システムXXのサンプルを採取すると述べた。サンプリングの頻度と、ユース

ポイントを含まないサンプリング場所は、システムのばらつきを迅速に検知するために実質的なデータ

を提供するのに適切でない。

さらに、水の分析に使用されている貴社の微生物試験は不十分である。貴社は、貴社の試験方法が貴社の

医薬品への意図した使用を考慮して水の品質を判断するために適切であると示さなかった。また、貴社に

は、貴社の精製水システム内のセパシア菌の存在を検出するための適切な限界値、所定の試験またはバリ

デートされた方法に欠けていた。貴社の微生物試験は、貴社の精製水システムが使用目的に合っていると

保証するには不十分である。

さらに、貴社の精製水システムから収集したサンプルを使ったFDAの分析は、複数の微生物総数の試験で、

数えきれない微生物数の結果を得た。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社の精製水システムの設計、管理、メンテナンスの包括的で独立したアセスメント

・適切な精製水システムを設置して運用するための徹底的な改善計画

 改善されたシステムがXX水に関するUSP(アメリカ薬局方)モノグラフの規格と適切な微生物の限界値を

 順守した水を一貫して製造すること保証するための、安定した継続的な管理、メンテナンス、モニタ

 リングプログラムを含めよ。

・みつかった精製水システムの不具合が、現在アメリカに流通中、または、使用期限内の、全ての医薬品

 のロットの品質に与える潜在的な影響に対処した詳細なリスクアセスメント

・改善されたシステムが、XX水に関するUSPモノグラフの規格と適切な微生物の限界値を順守した水を

 一貫して製造することを保証する、継続的な管理、メンテナンス、モニタリングのための貴社のプロ

 グラムを管理する手順

・貴社により製造される医薬品の各ロットにXX水を使用する妥当性を保証するために、XX水の定期的な

 微生物試験を規定した、貴社の精製水システムのモニタリングのための手順

・貴社の精製水システムとその部品の図

 精製水システムの全てのユースポイント(POU)、それらの位置と試験の頻度のリストを含めよ。

・貴社の精製水システムで使用されている総菌数と好ましくない微生物に関する現在のアクション/

 アラートの限界値

貴社のXX水が、貴社で製造される各製品の使用目的を考慮して、総菌数の限界に関し適切に厳格である

ことを保証せよ。

 

●指摘2

貴社は、そのロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、ロットやその成分の、説明のつかない規格と

の不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。(21 CFR 211.192)

<指摘2詳細>

貴社の品質部門(QU)は、貴社の発泡性水無し手の除菌用ローションのLot#713588魚のような臭い

に関して受け取った苦情の適切な調査の実施を怠った。貴社の調査は、“倉庫の在庫をチェックし、顧客

が苦情を言った臭いに気が付いた。在庫は貯蔵品から取り除かれた。”と述べた。貴社は、“問題の製品

の臭いを軽減するために”、古い製品の一部を新しいロットに再加工することを判断した。

我々査察官は、この製品に関する規格として、“アルコール/無臭と示された分析証明書(COA)を収集

した。この苦情は、販売された医薬品の嫌な臭いについて述べているので、貴社のQU21 CFR 211.198

従ってこの苦情の徹底的な調査を行うべきだった。代りに、貴社の生産管理は、非常に限定的な調査を

実施した。この苦情に関する解決策は、従業員が“XX水を大桶に入れる前に、XXタンクを洗浄すること

を確実にすることだった。調査は、XX水が臭いの原因であったことを示したが、貴社は、どうして製剤

の水に嫌な臭いがあるのかについて対処するのを怠った。さらに、貴社の調査は、再発を防ぐための

有意義な是正処置・予防処置(CAPA)に欠けていた。

不十分な調査は、根本原因の不特定、効果のないCAPA、安全て有効な製品を製造する能力を損なう問題

の再発につながりかねない。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・逸脱、不一致、苦情、規格外(OOS)の結果、不具合の調査に関する貴社のシステム全体の包括的で独立

 したアセスメント

 このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提供せよ。貴社のアクションプランは、

 これに限定されないが、調査能力、調査の範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質部門の

 監督、文書化された手順の大幅な改善を含むべきである。調査の全ての段階が適切に実施されている

 かをどのように保証するかについても検討せよ。

・独立したアセスメントと貴社のCAPAプログラムの改善計画

 プログラムが根本原因の効果的な分析を含み、CAPAの効果を保証し、調査の傾向を分析し、必要に

 応じてCAPAプログラムを改善し、品質部門の最終の判断を実装し、それが経営陣によって完全に

 サポートされているかどうかを評価したレポートを提出せよ。

QUが効果的に機能するための権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的なアセス

 メントと改善計画

 アセスメントにはこれに限定されないが、以下のことも含むべきである:

○貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断

○適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定

QUのロットの処遇の判定前の、各ロット及びそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ

○調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUのその他の業

務の遂行

 

●指摘3

貴社は、好ましくない微生物が含まれていないことが求められている医薬品の各ロットについて、

必要に応じてラボの適切な試験を実施することを怠った。(21 CFR 211.165(b))

<指摘3詳細>

貴社は、重要な微生物の属性(例:総菌数、好ましくない微生物がいないこと)に関する適切な試験を実施

せず、医薬品をリリースした。リリース前に各ロットの試験をしなかったので、貴社は全ての医薬品のロ

ットは、使用目的の観点で有害な微生物の汚染がないという科学的証拠を持っていなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・ロットの処遇を判断する前に、貴社の製品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を含む

化学及び微生物の規格のリスト

・この文書の日付時点で使用有効期限内にある、アメリカに出荷された医薬品の全てのロットの品質を

判断するために、保管サンプルの化学及び微生物の全ての試験を実施するためのアクションプラン

とタイムライン

・各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ

 もし、それらの試験で医薬品の基準以下の品質が明らかになった場合、顧客への通知や製品の回収な

どの迅速な是正処置をとること。

・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント

 このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善するための詳細な計画と、その効果の評価を提出せよ。

 

●指摘4

貴社は、公的またはその他の制定された要件を超えて、製品の安全性、同一性、濃度、品質、純度を変え

る誤動作や汚染を防ぐために適切な間隔で装置や器具を洗浄、維持、また医薬品の性質により必要に応じ

て、消毒・滅菌することを怠った。(21 CFR 211.67(a))

<指摘4詳細>

貴社は、貴社の洗浄及び消毒の手順が、貴社の局所用OTC医薬品だけでなく家庭用の洗剤を製造するため

に共有されている装置から汚染を除去するために適切であると示すことを怠った。貴社は装置の洗浄方法

をバリデートしていなかったが、貴社は、貴社の施設で、風呂用洗剤XXを含む多数の洗剤を製造するた

めに使用しているのと同じ装置を使って局所用OTC医薬品を製造することを続けた。

この洗剤には、“注意:刺激性”と、”敏感肌の方は、家庭用ゴム手袋をしてください“と述べたラ

ベルが貼付されている。

工業用のグレードの洗浄製品を製造するために使用しているのと同じ装置を使って医薬品の製造を続ける

ことは、CGMPとして受け入れられない。さらに、これらの製品の潜在的な毒性は、交叉汚染や原材料の

取り違えの逸脱が発生した場合に、リスクを増大させる。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・交叉汚染の危険の範囲を評価するための、洗浄の効果の包括的で独立した回顧的アセスメント

 残留物の特定、不十分に洗浄されていた可能性のあるその他の製造装置、交叉汚染された製品が販売の

 ためにリリースされたかどうかのアセスメントを含めよ。アセスメントは、洗浄手順や実務の不備を

 特定し、複数製品を製造するのに使用されている製造装置を網羅すべきである。

・洗浄と消毒の手順と実務の適切な改善、完了までのタイムラインを含む、貴社の洗浄・消毒プログラム

 の回顧的なアセスメントに基づくCAPAの計画

 装置の洗浄と消毒のライフサイクル管理に関する貴社の手順の脆弱性の詳細を提出せよ。洗浄効果の

 増大、非医薬品製造からの医薬品製造の分離、全ての製品と装置に関する適切な洗浄と消毒の実施の

 継続的な検証の改善、その他全ての必要とされる改善を含む、貴社の洗浄プログラムの改善について

 述べよ。

・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を

 置いた洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善

 改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:

 〇より高い毒性を持つ医薬品

 〇より高い有効性を持つ医薬品

 〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品

 〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品

 〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所

 〇洗浄前の最大保持時間

 さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順を

 述べよ。

・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されていること

 を保証する最新の標準操作手順(SOP)のサマリ

 

●指摘5

貴社は、医薬品の各成分の同一性を検証するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。

(21 CFR 211.84(d)(1))

<指摘5詳細>

貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用される入荷した成分の適切な同一性試験が不足していた。

例えば貴社は、クエン酸とカルボマーの医薬品の成分の各ロットに関し、少なくとも1つの特定の同一性

試験が実施されたことを保証することができなかった。さらに、グリセリンとエチルアルコールの成分の

貴社の同一性試験の方法は、毒性化学物質であるジエチレングリコールとメタノールをそれぞれ検出する

のに不十分であった。

同一性に関する、入荷した成分の各ロットの不十分な分析により、貴社は、入荷した成分は医薬品の製造

に使用するために適切な品質であることを保証するのを怠った。

貴社は、グリセリンを含む複数の医薬品を製造している。DEGで汚染されたグリセリンの使用は、世界中

の人にさまざまな致命的な中毒事件をもたらしてきた。

グリセリンを含む医薬品を製造する際にCGMP要件を満たすための助けとして、

FDAのガイダンス文書Testing of Glycerin for Diethylene Glycolを見よ。

貴社は、エタノールを含む複数の医薬品も製造している。メタノールで汚染されたエタノールの使用は、

世界中の人にさまざまな致命的な中毒事件をもたらしてきた。

エタノールを含む医薬品を製造する際にCGMP要件を満たすための助けとして、

FDAのガイダンス文書Policy for Testing of Alcohol(Ethanol) and Isopropyl Alcohol for Methanol, Including During the Public Health Emergency(COVID-19)

を見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・製造に使用するために入荷した成分の各ロットの試験とリリースに使っている化学及び微生物の品質

 管理の規格

・同一性、濃度、品質、純度に関する適切な全ての規格への一致に関して、成分の各ロットをいかに試験

 するつもりかの記述

 もし成分の各ロットの濃度、品質、純度の試験をする代わりに貴社の供給者のCOAから得た結果を受け

 入れるつもりならば、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、貴社の供給者の

 結果の信頼性をいかに確実に証明するつもりか明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、

 少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。

・成分の各製造業者から得たCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得た結果のサマリ

 このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社のSOPを含めよ。

・貴社が製造する医薬品を試験する契約設備の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ

・貴社の医薬品を製造するために使用されているグリセリンの全てのロットの保管サンプル内のジエチ

 レングリコール(DEG)とエチレングリコール(EG)に関する試験の結果

・グリセリンを含み、アメリカ市場内にある使用期限内の医薬品の完全なリスクアセスメント

 迅速な是正処置と予防処置をとること。また、貴社の供給者の適切な選択、サプライチェインの継続的

 な精査、入荷したロットの適切な管理を保証するための今後のアクションの詳細を記述せよ。

 

●未承認新薬と虚偽表示の違反

省略

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するためにコンサル

タントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を

軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステム

の欠陥を解決する責任が残る。

 

●好ましくない微生物

セパシア菌群と非滅菌の水性医薬品のその他の好ましくない微生物の汚染の重要性に関する更なる情報

について、2021FDA77日に掲載されたFDAの勧告通知を見よ。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反を調査

し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、

強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の

違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に

完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての

新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了

したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/aire-master-america-inc-622546-05232022

 

 

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CMS#620779

202167日~820 日のテキサス州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について

発した2022610日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、そのロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、ロットやその成分の、説明のつかない規格と

の不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。(21 CFR 211.192)

<指摘1詳細>

貴社は、医薬品の成分と医薬品の両方の規格外(OOS)の結果を適切に調査することを怠った。

貴社は、限定的で不十分な調査に基づき、微生物のOOSの結果を無効化した。例えば、貴社は、XXXX

を含む、いくつかの水性ベースの医薬品内にセパシア菌群(BCC)が検知されたとき、追加サンプルの試験

を実施し、その後の合格の結果に基づきロットをリリースした。

20189月から201910月にわたるこれらのOOSの結果についての貴社の調査は、一貫して、装置の

不適切な洗浄に言及した。しかし、根本原因は不明なままである。貴社は、BCC汚染の再発を防ぐために

適切な是正処置・予防処置(CAPA)を適切に実施することも怠った。

さらにXXXXに関し、貴社は、再試験の合格の結果は製品の防腐剤の有効性の証明であると結論づけた。

貴社の結論は不適切である。USP(アメリカ薬局方)<51>によると、抗菌防腐剤は、GMPの補助のために使用

されたり、非滅菌医薬品の生存可能な微生物の個体数を減らすためだけに使用したりすべきでない。研究

結果は、初期の試験中に微生物が回収されなかったとしても、一部の医薬品の有効期間が過ぎた時点で

BCCは保存状態に適合し、急速に増殖することを示している。初期のリリース試験の結果は、重要な品質

管理情報を提供するが、それらの試験結果で特定のロットの微生物品質を完全に理解したり、安定性を

予測したりできない可能性がある。

さらに汚染はシステム内に均一に分布していない可能性があり、サンプルは、ロットの他の個々の

ユニットに存在するかもしれない汚染のタイプやレベルを表していない可能性がある。従って、合理的な

科学的正当性と原因とする試験のエラーを明確に立証するエビデンスもなしに、再試験の合格が最初の

OOSの結果を無効化するには十分ではない。さらにデータがシステムや工程の問題を示している場合、

タイムリーな調査が不可欠である。

不適切な調査の追加の例には以下のものがある:

・貴社の新旧の精製水システムXXの微生物の限界外の複数の結果の徹底的な調査の不具合

 貴社は、BCC汚染の有害なパタンが201911月から20215月の間に発見された際、潜在的な根本

 原因に適切に対処することも怠った。この期間中に多数の水性ベースの医薬品が製造され、リリース

 された。

・微生物汚染の調査を、他の影響を受けている可能性のある製品に拡大することの不履行

 例えば、202133日、311日、427日にチューブフィラーXXから採取した綿棒サンプル内に

 BCCが検出された際、調査は、BCCが検出された前後に製造された医薬品の評価を含まなかった。

・安定性試験中にOOSの結果が得られた際の調査の開始の不履行

 例えば、スルファセタミドナトリウム(10%)と硫黄(5%)の洗顔クリームのロット19FP1146 18ヶ月の

 安定性試験のOOSの分析結果や、尿素クリーム40%のロットFP697の複数の安定性試験のOOSの粘度の

 結果に対して、調査が開始されなかった。貴社は、安定性の不具合に迅速に対処し、ラベルに表示

 された使用期間中、販売された全てのロットが品質特性を維持することを保証するための適切な改善

 アクションをとることを怠った。

貴社の回答は不十分である。例えば貴社は、使用期限内にありFDA調査者により指摘された特定の医薬品

のロットの保管サンプルについてのみ、査察後にBCCの試験を実施した。貴社は、安定性サンプルの化学

試験の不具合や水の微生物汚染の不具合に対処すること怠り、システム的な是正処置・予防処置(CAPA)

実施することも怠った。

貴社の対応は、調査がタイムリーに実施され、包括的に潜在的な根本原因が調査され、同じ製品の他の

ロットや特定の不具合や不一致に関連している可能性のある他の製品に調査を広げることを怠った。

不具合、規格外、傾向外、その他の予期しない化学試験の結果と調査の文書化の取り扱いについての

更なる情報はFDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production

を見よ。

非滅菌の水性医薬品のBCC及びその他の好ましくない汚染の重大性に関する更なる情報については、

202177日のFDAの勧告通知を見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・以下のことを含む微生物汚染がある販売された医薬品によりもたらされる危険に対する詳細なリスク

 アセスメント:

 〇過去3年の微生物汚染に関連していた可能性のある精製水システムの不具合、ロットの不具合、

  不合格のロット、返品された医薬品、苦情、逸脱の回顧的な独立したレビュ

 〇使用期限内にある、水が調合された医薬品の全てのロットの品質を判断するための、保管サンプル

  の完全な微生物試験

  各ロットの試験は、この文書の30日以内に完了させるべきで、微生物の総数と、BCCに限定され

  ないが、総数やBCCを含む好ましくない微生物を検知するためのバイオバーデンの特定を含める

  べきである。

  試験結果やリスクアセスメントが貴社の医薬品の基準以下の品質を示した場合、顧客への通知や

  製品の回収などの迅速な是正処置をとること。

・全てのOOS(無効化されたOOS、工程内のOOS、リリース/安定性試験を含む)の結果の回顧的で独立した

 レビュと、各OOSに関する以下のことを含む分析で発見したことをまとめたレポート:

 〇無効化されたOOSの結果に関連する科学的な正当化の理由とエビデンスが、決定的または不確定に

  試験のエラーが原因であることを証明しているかどうかの判断

 〇決定的に試験の根本原因を立証した調査に関し、論理的根拠を提出し、同じまたは類似の根本原因

  に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。

 〇回顧的レビュで試験の根本原因が不確定または根本原因がないとわかった全てのOOSの結果について、

  製造(ロットの製造記録、製造ステップの妥当性、装置/設備の適合性、原材料のばらつき、工程の

  能力、逸脱の記録、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)の徹底的なレビュを含めよ。各調査に関し、

  製造の潜在的な根本原因と、製造作業の改善のサマリを提出せよ。

・貴社のOOSの結果の調査システムの包括的なレビュと改善計画

 CAPAは、これに限定されないが、以下のことへの対処を含むべきである:

  〇試験の調査の品質部門の監督

 〇有害な試験管理の傾向の特定

 〇試験のばらつきの原因の解決

 〇試験の原因が決定的に特定できない場合は、製造の潜在的な原因の徹底的な調査に開始

 〇各調査の適切な範囲の決定とそのCAPA

 〇これら及びその他の改善を伴う、OOSの調査手順の改訂

 

●指摘2

貴社は、医薬品の製造、加工、包装または保管において、適切な設計と適切なサイズで、使用目的と洗浄

及びメンテナンスの作業を容易にするために適切に配置された機器を使用することを怠った。(21 CFR

211.63)

<指摘2詳細>

貴社の医薬品の製造に使用される精製水システムと製造装置は適切に設計され、洗浄され、メンテナンス

されていない。例えば:

・数日間、貴社の精製水システムの複数のユースポイント(POU)で収集された水のサンプルは、多すぎて

 数えきれない(TNTC)微生物数の結果をもたらした。

201911月~20211月に、貴社の以前の精製水システムXXXXのモニタリングと試験で、およそ

 101のサンプルでBCCを検出した。

・特にBCC20212月に設置された新しい精製水システムについて、7日にわたって同じPOUから

 採取された2つのサンプルから検出された。他の微生物も20212月から6月の間に、いくつかの

 POUの口で多数回検出された。このシステムで製造されたXX水は、システムが意図した通りに動作して

 いるという保証もなく、医薬品の製造に使用されてきた。

202133日、311日、323日、427日に、洗浄されたXXのチューブフィラーポンプXXと部品から

 採取された綿棒サンプルからBBCが見つかった。2021713日にホッパーXXから採取された綿棒サンプル

 から黄色ブドウ球菌が、また、2021525日にXXルームのホースから採取された綿棒サンプルから

 カビが見つかった。

201628日に洗浄された包装XXのフィラーノズルXXとホースから、また、2021719日にフィラー

 XXから採取された綿棒サンプル内でBBCが発見された。

貴社は回答の中で、新しい精製水システムの性能適格性評価のプロトコルが多くの面で不十分であること

を認め、新しいプロトコルを開発し実行する計画を共有した。貴社は、装置の微生物汚染に対処し、貴社

の製造装置の洗浄バリデーションを実施するために、貴社の製造手順を改訂するつもりであるとも述べた。

貴社の回答は適切ではない。貴社の医薬品の製造を始める前に適切なシステムと手順が整っていることを

保証するのは貴社の責任である。貴社の回答は、貴社の精製水システムXXの設計、管理、メンテナンス

を徹底的に改善するためのリスクアセスメントを含んでいなかった。貴社は、装置の洗浄バリデーション

の完了に関するタイムラインを提出しなかった。我々は、好ましくない微生物の持続的な発見により、

貴社の精製水システムと装置の設計、管理、洗浄、メンテナンスについて未だに懸念している。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社の精製水システムの設計、管理、メンテナンスの包括的で独立したアセスメント

・適切な精製水システムを設置して運用するための徹底的な改善の計画

 改善されたシステムがXX水に関するUSPモノグラフの規格と適切な微生物の限界を順守した水を一貫

 して製造することを保証するための、安定して継続的な管理、メンテナンス、モニタリングプログラム

 を含めよ。流れない、または、水のたまり場が存在する可能性のあるエリアを最小化するように適切に

 設定されていることを保証するために、貴社のシステムのアセスメントを含めよ。

 適切な化学及び微生物の許容限度を伴った、貴社の洗浄手順の妥当性のレビュ

 また、製品、工程、装置のための洗浄手順の検証とバリデーションに関する適切なプログラムが実施

 されていることを保証する、改訂されたSOPの概要も含めよ。

・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を

 置いた洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善

 改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:

 〇より高い毒性を持つ医薬品

 〇より高い有効性を持つ医薬品

 〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品

 〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品

 〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所

 〇装置に関連する微生物リスク、洗浄手順、洗浄前の最大保持時間

 さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順を

 述べよ。

・全ての微生物の危険の詳細で徹底的なレビュと、設計と管理への改善を述べたCAPAの計画も伴った、

 貴社の製造作業の設計と管理の包括的で独立したアセスメント

 

●指摘3

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された

規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。(21 CFR 211.22)

<指摘3詳細>

貴社の品質部門(QU)は、貴社の医薬品の製造に関する適切な監督を行っていなかった。例えば:

・規格を満たさない多数の医薬品がリリースされた。

・多数の非滅菌の水性医薬品について、制定された規格毎に要求されるBCCに関する試験が実施されな

 かった。

・ロットの製造記録は定着されておらず、再加工については遵守されなかった。

・微生物ノート、ログブック、BCC関連の微生物試験調査報告書(MLIRs)のようなCGMPの記録が欠落して

 いて、調査が開始されていなかった。

貴社のQUは、その権限・責任を果たす責任がある。さらに、作成、変更、加工、保持、アーカイブ、

検索、送信、データの保持期間終了後のデータの廃棄を含む、CGMPデータのライフサイクルを通じた

データ・インテグリティは重要である。

貴社は回答の中で、貴社の前の品質保証(QA)と研究開発(R&D)の幹部は経験が浅く、混乱と品質の不備を

生んだと述べた。貴社は、改訂された品質のマニュアル、手順、製品の規格を提出した。また貴社は、

MLIRsの欠落についての調査を開始し、欠落しているMLIRsに関連するリリースされた製品のリスク

アセスメントを実施すると約束した。

我々は貴社がハイドロキノンUSP4%クリームのロット21FP1731と、スルファセタミドナトリウム10%

ウォッシュのロット21FP1737, 21FP1728を含む、規格を満たさない使用期限内の全てのロットの回収を、

査察中に行ったことを知っている。また、貴社は、我々査察官によって指摘されたロット内のBCC

ついて、保管サンプルを試験したことも知っている。

貴社は、根本原因を特定し、CGMPの不備と製品品質(配送中のロットを含む)に関連するリスクの全ての

範囲と影響を評価することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを確実にするための、

 包括的で独立したアセスメントと改善計画

 アセスメントは、これに限定されないが、以下の情報を含むべきである:

 ○貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断

 ○適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定

 ○QUのロットの処遇の判定前の、各ロット及びそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ

 ○調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUのその他の

  業務の遂行

 また、経営陣が、これに限定されないが、新たな製造/品質の問題に積極的に対処し、継続的な管理

 状態を保証するためのリソースのタイムリーな提供を含む品質保証と信頼可能な作業をいかに

 サポートするかについて述べよ。

・医薬品の再加工がいつ発生し、医薬品のロットが影響を受けたかを示すために、調査及びその他の

 CGMPの記録の包括的で独立したレビュの結果を提出せよ。このリストには、製品のロットがリリース

 されたか、それがまだ使用期限内にあるのかないのか、またリリースされ使用期限内であれば、製品

 品質への影響と患者への潜在的な危険のリスクアセスメントに注意すべきである。

 

●指摘4

貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件と使用期限を判断するために安定性試験の結果を

使用するために適切な文書化された試験プログラムを設計して制定し従うことを怠った。

(21 CFR 211.166(a))

<指摘4詳細>

貴社は適切な安定性プログラムを制定し、適切な使用期限を決定することを怠った。例えば:

・貴社のラベルに表示された使用期限は、査察中に提供された安定性データにより裏付けされていない。

 例えば、スルファセタミドナトリウム(10%)と硫黄(5%)の洗顔クリームについて、ラベルに表示されて

 いる使用期限は18ヶ月で、安定性試験に登録されている最初のロットは、18ヶ月の分析試験で不合格

 になった。

 査察中に提出された貴社の安定性のデータは、尿素クリーム40%について18ヶ月、硫化セレン2.25%

 シャンプーについて24ヶ月とラベル表示されている使用期間中に、複数の試験間隔で粘度が不合格を

 示した。

・再加工された医薬品は、貴社の安定性プログラムに登録されていなくて、ライフサイクルを通じて

 制定された規格に従っているという保証がない。

 貴社は回答で、裏付けデータに基づいて使用期限をレビュし改訂し、再加工されたロットが安定性

 プログラムに登録されるよう手順を改訂するという計画を述べた。

 貴社の回答は不十分である。例えば、使用期限がデータによって裏付けられていることを保証する

 ための計画されたレビュの範囲は、我々査察官により指摘されたロットのみに限定され、貴社により

 製造され販売された全ての製品を含まなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するために、包括的で独立したアセスメントと是正処置・

 予防処置(CAPA)の計画

 貴社の改訂された安定性プログラムはこれに限定されないが以下のことを含むべきである:

 〇安定性を示す方法

 〇出荷許可前の、市販の容器施栓システムの中の貴社の各製品の安定性の検証

 〇うたわれている品質保証期限が妥当かどうかを判断するために、各製品の代表的なロットが毎年

  プログラムに追加されていくような継続的なプログラム

 〇各ステーション(タイムポイント)で試験される特定の属性の詳細な定義

 〇全ての容器施栓システムを含む、貴社の全ての製品の使用期限

・貴社の改善された安定性プログラムのこれら及びのその他の要素を述べた全ての手順

・使用期限内の市場にさる再加工されたロットを含む、貴社の医薬品の全てのロットの安定性を評価

 するための包括的な計画

 

●未承認の新薬の違反

省略

 

●品質部門の権限

この文書内の重要な査察結果は、貴社のQUがその権限と責任を完全に果たしていないことを示している。

貴社は、QUに、その責任を果たし、一貫して製品品質を保証するために適切な権限と十分なリソースを

提供しなければならない。

 

●受託業者としての責任

医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者は、製造設備、試験

機関、包装業者、ラベル貼付業者のような独立した受託業者を使用していることを認識している。FDA

は、受託業者を製造業者の延長とみなす。プロダクトオーナーとの契約に関わらず、貴社は貴社の医薬品

の品質に責任がある。貴社は、安全性、同一性、濃度、品質、純度を保証するために、医薬品がFD&C

Act 501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証する必要がある。

FDAのガイダンス文書:Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。

 

●データ・インテグリティの改善

貴社の品質システムは、貴社が製造する医薬品の安全性、有効性、品質を裏付けるデータの正確性と

完全性を適切に保証していない。CGMPに準拠したデータ・インテグリティの手順を制定し順守するための

ガイドとして、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・販売された医薬品のデータレビュの結果を含む、データ記録と報告の不正確な範囲の包括的な調査

 貴社のデータ・インテグリティの欠如の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。

・見つかった不具合の貴社の医薬品の品質への潜在的な影響の現在のリスクアセスメント

 貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠如の影響を受けた医薬品のリリースにより引き

 起こされる患者へのリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきで

 ある。

・貴社の全体的な是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社の経営戦略

 詳細の是正処置の計画は、微生物や分析データ、製造記録、FDAに提出される全てのデータを含む、

 貴社で生成される全てのデータの信頼性と完全性を貴社がどのように保証するつもりかを述べるべきで

 ある。

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために21 CFR

211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタント

の使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的な

CGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反を調査

し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、

強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の

違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に

完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての

新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を

完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/monarch-pcm-llc-620779-06102022

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

まとめ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

いかがでしたでしょうか。

 

今回も

・手順の制定や遵守の不履行

OOSなどの不具合の調査の不履行

・リリース前の試験の不履行

・安定性試験の不備

・洗浄の不備

等、いつもウォーニングレターで指摘される内容ばかりでしたが、それだけありふれたことを徹底

するのが難しいということなのだと思いました。

 

☆次回は、11/1(火)に配信させていただきます。

 

 

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今後メルマガが必要ない方は、お手数ですが下記まで配信停止依頼のメールをお願いします。

hashimoto@e-pros.co.jp

 

【発行責任者】

株式会社プロス

ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2022.10.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<251号>

 こんにちは。

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

さわやかな季節になってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて今回も、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国内の製薬会社向けに出したウォーニングレター

2件を見ていきたいと思います。

FDAがどのような点を問題視して指摘しているかをご確認いただければ幸いです。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

CMS#622534

2021927日~1015日のカリフォルニア州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反

について発した2022330日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに準拠し、同一性、濃度、品質、純度に関して制定

された規格を満たすことを保証する責任を果たさなかった。(21 CFR 211.22)

<指摘1詳細>

貴社は、日焼け止め、痛み止め、にきび治療のようなOTC局所医薬品を製造している。貴社の品質部門

(QU)は、貴社のOTC医薬品の製造に関し適切な監督を行っていなかった。例えば、貴社のQUは、以下の

ことを保証するのを怠った:

・医薬品の各ロットについて、リリース前に微生物試験が実施されレビュされていること。

 (21 CFR 211.165(b))

OOS(Out-of-Specification)の結果の適切な調査と、徹底的な調査を実施するための文書化された

 手順(21 CFR 211.192)

・変更の適切な文書化とアセスメント(21 CFR 211.100(a))

・適切で継続的な安定性プログラムの確立(211 CFR 211.166(a))

・適切な製品年次照査の実施(211 CFR 211.180(e))

貴社は回答の中で“自社は微生物試験の結果なしに製品をリリースすることは滅多にない。引用された

事例では、最終報告を受け取る前に、微生物ラボへの電話で、品質管理(QC)は口頭の結果を受け取って

いた”と述べた。全ての試験結果(分析証明を含む)を受け取る前に医薬品をリリースすることは容認

できず、1つ以上の品質属性を満たさない医薬品が消費者に出荷されるリスクをもたらしている。また

貴社は“以前の品質部門の職員は有能ではなく、自分たちの職務を遂行することを怠っていた”が、

彼らはもはや会社にいないと述べた。さらに貴社は追加で品質職員を雇うつもりであると述べた。

貴社は、上記の不備が医薬品の品質にどのように影響したかを評価することを怠ったので、貴社の回答

は不十分である。また貴社は、追加の品質スタッフがこれらの不備を適切に改善することをいかに保証

するかも明らかにすることを怠った。

一貫した医薬品の品質を保証するために、全てのCGMP業務を監督する適切なQUが必要である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的な

 アセスメントと改善の計画

 アセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:

 〇貴社で使用される手順が安定していて適切であるかどうかの判断

 〇適切な手順の遵守を評価するためにQUが貴社の作業全体を監督するための規定

 〇ロットの処遇を判断する前に貴社の医薬品の各ロットを分析するために使用されている化学及び

  微生物試験の方法と規格のリストと、それに関連する文書化された手順

 〇QUがロットの処遇の判断をする前の各ロットとそれに関連する情報の完全かつ最終的なレビュ

 〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、調査と監督の承認及びQUのその他全て

  の職務の遂行

・逸脱、不一致、苦情、OOSの結果、不具合を調査する貴社の全体システムの包括的で独立したアセス

 メント

 このシステムを改善するための詳細はアクションプランを提出せよ。

 貴社のアクションプランは、これに限定されないが、調査能力、調査範囲の決定、根本原因の評価、

 是正処置・予防処置(CAPA)の効果、QUの監督、文書化された手順の著しい改善を含めるべきである。

 調査の全ての段階が適切に実施されることを貴社がいかに保証するつもりかを述べよ。

・変更管理システムの包括的で独立したアセスメント

 このアセスメントは、これに限定されないが、貴社のQUによって、変更を保証するための貴社の手順

 が正当である根拠が示され、レビュされ、QUにより承認されていることを含むべきである。貴社の

 変更管理プログラムは、変更の効果の判断のための規定も含むべきである。

・貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的で独立したアセスメメントとCAPAの計画

 貴社の改善されたプログラムはこれに限定されないが以下のことを踏むべきである:

 〇安定性を示す方法

 〇出荷許可前に、市販の容器施栓システムの中の各製品の安定性の検証

 〇うたわれている品質保証期限が妥当かどうかを判断するために、各製品の代表的なロットが毎年

  プログラムに追加されていくような継続的なプログラム

 〇各ステーション(タイムポイント)で試験される特定の属性の詳細な定義

 〇貴社の改善された安定性プログラムのこれら及びのその他の要素を述べた全ての手順

 

●指摘2

貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされている、または、持つと表示されている同一性、濃度、

品質、純度を持つことを保証するために設計された製造及び工程管理に関する適切に文書化された手順を

制定することを怠った。(21 CFR 211.100(a))

<指摘2詳細>

貴社には、貴社の医薬品に関する適切なプロセスバリデーションが欠けていた。例えば、貴社は貴社の

痛み止めの医薬品に関するプロセスバリデーションの文書化され承認されたプロトコルを持っていな

かったことを我々査察官に認めた。貴社は、3つの日焼け止め医薬品を組み込んだ文書“配合及び充填の

プロセスバリデーション”を提出したが、その文書には、レビュと承認の署名がなかった。さらに、貴社

には、貴社の充填ラインの装置に関する適格性評価が不足していた。

貴社は回答の中で、貴社の痛み止めの医薬品の回顧的なバリデーションを実施し、貴社のバリデーション

手順を改訂するつもりであると述べた。また、貴社は、文書が適切にレビュされ、文書化されていること

を保証するために文書“配合及び充填のプロセスバリデーション”と、その他のバリデーション文書を

レビュするつもりであるとも述べた。

貴社の回答は不十分である。貴社は、バリデートされていない状態で製造され、出荷された医薬品の適切

なリスクアセスメントを提出しなかった。さらに、貴社は、出荷前に予測バリデーションが実施される

ことを確実にするための是正の詳細を提出しなかった。また、貴社は、各医薬品がその後一貫した管理

状態を維持することを保証する方法についても述べなかった。さらに貴社は、現在の職員の再教育と

新しい職員の採用が、貴社の装置の適格性評価の手順が守られることをどうやって保証するかについても

言及しなかった。

プロセスバリデーションは、ライフサイクルを通して、工程の設定と管理状態の安定性を評価する。製造

工程のそれぞれの重要な段階は適切に設計され、投入される原材料、中間材料、最終製品の品質を保証

しなければならない。工程の適格性評価の検証は、初期の管理状態が確立しているかどうかを判断する。

商用の販売の前に、工程の適格性評価の達成が必要である。その後、貴社が製品のライフサイクルを通じ

て安定した製造作業を維持していることを保証するために、工程性能と製品品質の継続的で慎重な監視が

必要である。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・貴社の製造工程が適切な規格と製造の標準を一貫して満たすように、ばらつきを特定し、全ての原因を

 管理するデータ駆動型の科学的に理にかなったプログラムがあることを保証するための、各医薬品の

 製造工程のアセスメント

 このアセスメントには、これに限定されないが、試験システム(貴社や貴社の契約試験機関で使用され

 る分析方法を含む)、投入原材料の品質、各製造工程のステップと管理の信頼性が含まれる。

・製品のライフサイクルを通じて、管理状態を保証するための貴社のバリデーションプログラムの、関連

 する手順を添えた詳細なサマリ

 継続的な管理状態を保証するために、工程の性能適格性評価のプログラムとロット間およびロット内の

 継続的なモニタリングについて述べよ。

・販売されている貴社の各医薬品の工程の性能適格性評価を実施するためのタイムライン

・装置及び設備の貴社の工程性能のプロトコルと適格性評価の文書化された手順

・継続的な管理状態を保証するためのロット間およびロット内のばらつきの慎重なモニタリングを含む、

 貴社の各製造工程の設計、バリデーション、維持、管理、モニタリングに関する詳細なプログラム

 また、貴社の装置と設備の適格性評価に関するプログラムを含めよ。

・設備と装置の、定期的で慎重な運用管理監督を実装するためのCAPAの計画

 この計画は、とりわけ、装置/設備の性能の問題の迅速な検知、修理の効果的な実行、適切な予防保全

 計画の遵守、装置/設備のインフラストラクチャに対するタイムリーな技術的アップデート、継続的な

 マネジメントレビュのためのシステムの改善を保証すべきである。

 

●指摘3

貴社は、装置の洗浄及びメンテナンスに関する適切に文書化された手順を制定し遵守することを怠った。

(21 CFR 211.67(b))

<指摘3詳細>

貴社は、貴社の設備で製造されるOTC医薬品と医薬品以外の製品間の交叉汚染を防ぐための洗浄手順が

適切であることを示していなかった。貴社は、複数の医薬品と化粧品に共有されている充填装置XX

貴社の医薬品の製造中に利用している。我々査察官は、これらの充填ラインと関連する装置の不十分な

洗浄とメンテナンスに気付いた。

■不十分な洗浄バリデーション

貴社のラインXXのチューブ充填装置XXの洗浄バリデーションのプロトコルは製造部門で使用されて

いる全ての充填機械を代表する”と述べた。しかし、充填ラインXXは、同一の装置を使用せず、ライン

XXのチューブ充填装置XXの洗浄が貴社のその他の充填ラインをどのように代表しているかに関するエビ

デンスや科学的な正当化の理由を提出することを怠った。

また、この洗浄バリデーションのプロトコルは、処方の性質や有効成分の量(すなわち、XX)により、

ワーストケースのシナリオになると考えられると述べて、日焼け止め医薬品XXを包含していた。しかし、

貴社はこれらの製品がどうしてワーストケースとみなされ、貴社で製造される全ての医薬品をいかに代表

しているかに関する科学的な正当化の理由を提出することを怠った。我々は、貴社が有効成分XXのもっと

高い他のOTC医薬品と、他の有効成分を含む他の局所医薬品(たとえば、にきびクリームおよび鎮痛

バームおよびローション)を製造していることに注目している。

貴社は回答の中で、他の充填ラインの洗浄バリデーションを完了し、他の医薬品がワーストケースか

どうかを評価し、要求されれば、追加のバリデーションを実施すると約束した。さらに貴社は、リスク

アセスメントも含め、ラインXXで製造される製品のレビュを実施するつもりであり、代表としてXXを選択

したことに関する正当化の理由を文書化すると述べた。貴社は、是正に関する詳細を提出せず、これらの

是正が完了する前に、医薬品の製造にまだ装置を使用する予定かどうかを議論しなかったので貴社の回答

は不十分である。

■装置の洗浄に関する不適切な文書化とバリデーション

貴社は、貴社の手順で求められているように、使用前に、充填ラインの装置の洗浄について文書化し検証

することを怠った。例えば、貴社のXXのロットXXのバッチレコード上で、貴社の製造職員と品質の担当

者は、XXの前のロットXXについて、関連する充填装置と共に洗浄され、使用できる準備になっている

ことを署名によって確認した。しかし、ロットXXの充填ラインの使用と装置の洗浄を記した装置の

メンテナンスのログシートの入力がなかった。代りに、前の使用と洗浄は、XXのロットXXのためのもの

だったと記されている。

貴社は回答の中で、貴社の査察官により指摘したロットに関する入力がないことを調査し、再教育を実施

すると約束した。貴社は、製造された全ての医薬品が文書化されていることを確認するための調査の拡大

に関する詳細と、全ての関連する装置が適切に洗浄されているかをいかに示すかの詳細を提出しなかった

ので、貴社の回答は不十分である。さらに、貴社は、ログシートの入力がないにもかかわらず、バッチ

レコードのこれらの活動が完了したとして署名した理由について説明していない。

■精製水(PW)システムの消毒の欠如

貴社のPWシステムの消毒手順によれば、貴社のPWシステムはXXに消毒される予定である。しかし、貴社

は、貴社の精製水システムがFDAの査察時のXX以内に消毒されたことを示すためのエビデンスを提出でき

なかった。

貴社は回答の中で、貴社の品質部門がXXベースでPWシステムを消毒し続ける予定であると述べ、品質

部門が適切に消毒の記録をしなかったことについての逸脱処理を開始するつもりであると述べた。貴社

は、期間の間にPWシステムが適切に消毒されたというエビデンスを提出せず、消毒の欠如が貴社の医薬品

の製造と製造装置の洗浄に使用されるPWの品質にどのような影響を与えるかについて議論しなかったので、

貴社の回答は不十分である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・交叉汚染の範囲を評価するための貴社の洗浄の効果の包括的で独立した回顧的なアセスメント

 残留物と不適切に洗浄された可能性のあるその他の製造装置の特定、交叉汚染された製品が出荷のため

 にリリースされたかどうかのアセスメントを含めよ。アセスメントには洗浄の手順と業務の不十分な点

 を特定し、2製品以上の製造に使用される製造装置の部品を網羅すべきである。

・貴社の洗浄プログラムの回顧的アセスメントに基づく、貴社の洗浄手順と業務の改善、完了までの

 タイムラインを含むCAPAの計画

 装置の洗浄のライフサイクル管理に関する貴社の手順の脆弱性の詳細なサマリを提出せよ。

 洗浄効果の向上、全ての製品と装置に関する適切な洗浄の実施の継続的な検証の改善、その他必要な

 全ての改善を含む、貴社洗浄プログラムの改善について述べよ。

・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を

 置いた洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善

 改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:

 〇より高い毒性を持つ医薬品

 〇より高い有効性を持つ医薬品

 〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品

 〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品

 〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所

 〇洗浄前の最大保持時間

 さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順

 を述べよ。

・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されていること

 を保証する最新の標準操作手順(SOP)のサマリ

 

●指摘4

貴社は、ラボの管理メカニズムで必要とされる業務の実行時に文書化することや、必要なラボの管理

メカニズムからの逸脱を記録し弁明することを怠った。(21 CFR 211.160(a))

<指摘4詳細>

貴社は、貴社の医薬品を製造するための構成要素としてPWを使用している。貴社は、XXベースで貴社の

精製水システムの適切なサンプリングの実施や圧力計のモニタリングの定期的な記録を含む、精製水

システムの手順に従うことを怠った。

さらに、我々の査察官によるPWシステムの試験結果のレビュで、貴社の手順で指定された限界値と比べ

て、多数のサンプルのOOSの試験結果を発見した。例えば、貴社の導電率の規格はXXであるが、我々の

レビュで、最大2.30μS/cmの多数のOOSの結果を発見した。さらに、貴社の総有機炭素の規格はXXppm

であるが、我々のレビュで、最大5.12ppmの多数のOOSの結果を発見した。これらのOOSの結果は調査さ

れていなかった。

貴社は回答の中で、PSシステムのXXのサンプリングを実施、XXのチェックを実施すると約束した。貴社

は、適切なログシートにチェックを記録し、これが実行されなかったことの逸脱調査を開始すると約束

した。また貴社は、PWのサンプル漏れの影響のリスクアセスメントを提出した。貴社は水質検査に関し、

OOSの事象はなかったと結論づけた。精製水システムの消毒の欠如、我々のレビュ中にみつかった多数

のサンプルのOOSの結果を考えると、PWシステムのサンプリグの欠如が貴社製品の品質にどれくらい影響

があるかについて適切に取り組んで

いないので、貴社の回答は不十分である。

貴社の製造作業でのPWの広範囲の使用や、貴社の製造した製品の兆候を考慮すると、XXのモニタリング

は不十分である。さらに、貴社は、貴社の手順で記述された最低限度のスケジュールを順守することを

怠っている。定期的な水のモニタリングがなければ、貴社のPWが貴社の医薬品の製造に適した最低限度

の微生物及び化学の標準を満たすという保証が欠如している。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ;

・貴社の精製水システムの設計、管理、メンテナンスの包括的で独立したアセスメント

PWシステムのバリデーション報告

 また、システムの設計や、継続的な管理やメンテナンスのためのプログラムに対してなされた全ての

 改善のサマリを含めよ。

・貴社で製造される医薬品の各ロットに使用するための適合性を保証するために、水の定期的な微生物

 試験を明記した、貴社の精製水システムのモニタリングの手順

・貴社の精製水システムで使用されている、総菌数や好ましくない微生物に関する、現在のアクション/

 アラート限界

・発見された精製水システムの不具合の、現在アメリカに販売されている全ての医薬品のロットの品質

 への潜在的な影響に対処した詳細なリスクアセスメント

 リスクアセスメントに対応して顧客への通知や製品の回収といった貴社がとろうとしているアクション

 を明記せよ。

 

●品質システム

貴社の品質システムは不十分である。CGMPの規制要件を満たすために品質システムとリスクマネジメント

のアプローチを実装するための助けとして、

FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。

 

●プロセスバリデーション

FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチについて、FDA

ガイダンス文書Process Validation: General Principles and Practicesを見よ。

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために

21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社の

コンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣

には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反

を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、

強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決

の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反

に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者として

の新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置

を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/verde-cosmetic-labs-llc-622534-03302022

 

 

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CMS#625479

20211129日~121日、2021129日のカリフォルニア州の製造所の査察でみつかった医薬品製造

の重大なCGMP違反について発した2022512日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられ

ています。

 

●指摘1

貴社は、装置の洗浄及びメンテナンスに関する適切に文書化された手順を制定し遵守することを怠った。

(21 CFR 211.67(b))

<指摘1詳細>

貴社は、貴社自身のブランドのXX、顧客のためのXXを含むOTC医薬品を製造している。貴社は多数の

非医薬品である工業製品(例:XXウインドウクリーナーとXXワックス)を製造するために使用している

のと同じ装置を使ってこれらの医薬品を製造している。貴社は、医薬品が非医薬品に交叉汚染されて

いないことを保証するための適切な洗浄手順に欠けている。これは2017年の査察からの繰り返しの指摘

結果である。

XXブランドのXXウインドウクリーナーの安全データシートには急性(即時の)の健康上の危険

“飲み込むと有害かもしれない”、“目の炎症を引き起こす”と記載されている。さらに、XXブランド

XXワックスは製造装置から除去するのが難しく、この共有装置で製造している製品を汚染する可能性

がある。

交叉汚染のリスクにより、危険な工業用グレードの洗浄用製品または他の非医薬品の製品を製造するため

に同じ装置を使って医薬品の製造を続けることは、CGMP上受け入れられない。

貴社は回答の中で、ラボの装置のメンテナンスと洗浄の手順を作るつもりで、共有装置の洗浄バリデーシ

ョンを実施するつもりであると述べた。

貴社は、この共有装置で製造された医薬品のロットの潜在的な交叉汚染のリスクと製品品質への影響を評

価していなかったので、貴社の回答は不十分である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・工業製品と共有されている装置で貴社が以前製造した全ての医薬品のリスクアセスメント

 各製品に関し、共有装置による潜在的な汚染のリスクを評価し、回収の可能性や市場からの撤退を含む、

流通中の製品の製品品質と患者の安全性のリスクに対処するための貴社の計画を提供せよ。

・貴社の製造所の医薬品と非医薬品の両製品の製造に関する貴社の計画

 もし貴社が貴社の製造所で医薬品と非医薬品の両製品の製造を続けるつもりなら、貴社の医薬品の製造

 と工業製品の製造作業のための専用製造装置を保持するエリアを分ける計画を提出せよ。

・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を

 置いた洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善

 改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:

 〇より高い毒性を持つ医薬品

 〇より高い有効性を持つ医薬品

 〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品

 〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品

 〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所

 〇洗浄前の最大保持時間

 さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順を

 述べよ。

・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されていること

 を保証する最新の標準操作手順(SOP)のサマリ

 

●指摘2

貴社は医薬品の各ロットについて、リリース前に、同一性、有効成分の濃度を含む医薬品の最終規格の

一致について適切なラボの判断を行うことを怠り、好ましくない微生物を含まないことを求められている

医薬品の各ロットについて、必要に応じて適切なラボの試験を実施することを怠った。

(21 CFR 211.165(a)(b))

また、貴社は、試験方法の正確性、感度、特異性、再現性を確証することを怠った。

(21 CFR 211.165(e))

<指摘2詳細>

〇製品が分析の規格を満たすと判断する前の医薬品のリリース

貴社は、リリース前に適切な最終製品試験をせずにOTC医薬品である抗菌ハンドソープXXロット#1135

をリリースし出荷した。貴社は、202046日に最終医薬品をリリースし、202048日に顧客に

出荷した。しかし、貴社は、2020418日まで微生物の分析結果と、202057日まで有効成分

PCMX(クロロキシレノール)の分析結果を受け取っていなかった。これは2017年の査察からの繰り返しの

指摘結果である。

〇不適切なバリデーション方法

貴社は、出荷のリリース前に製品の合格を判断するために使用されている分析試験方法の適切なバリ

デーションと検証(米国薬局方(USP)の標準的な方法)が欠けていた。

貴社は、ハンドソープXXロット#2236のリリース試験の基準の1つとしてXXを使用している。貴社は、

XXの合格基準範囲を判断するために使用されている試験方法が、使用目的に合っていることがバリデー

ションによって裏付けられていることを示すための文書の提出を怠った。

分析方法は、使用目的に合っていて、適用されるUSPの標準的な方法と同等かまたはそれ以上であるこ

とを示すためにバリデートされていなければならない。貴社の試験方法の正確性、感度、特性、再現性

の検証は、貴社が製造した医薬品が化学及び微生物の特性に関して制定された規格を満たすかどうか

判断するために不可欠である。

貴社は回答の中で、上の例は今より古いロットからのもので、現在は、出荷の前に全ての最終製品の

分析結果を受け取っていると述べた。貴社は、医薬品のリリースに使用されている試験手順を改訂し、

試験方法XXをバリデートし、合格基準はバリデーションに基づいて正当化するつもりでいる。

貴社は、貴社の最終製品の適切なリリース試験の実施の不履行に対処しなかったので、貴社の回答は

不十分である。また貴社はクロロキシレノールの同一性や濃度に関す貴社の試験方法のバリデーション

や検証に関する十分な情報を提出しなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・ロットの処遇を判断する前に貴社の医薬品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を

 含む化学及び微生物の規格のリスト

 〇この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに出荷された医薬品の全てのロットの品質を

  判断するための、保管サンプルの全ての化学及び微生物試験の実施に関するアクションプランと

  タイムライン

 〇各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ

  もしそれらの試験が、医薬品の基準以下の品質を明らかにした場合、顧客への通知や製品の回収

  のような迅速な是正処置をとること。

・貴社のラボの業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力に関する包括的で独立したサードパーティ

 のアセスメント

 このアセスメントは、これに限定されないが、方法の適合性の基準、試験方法が目的に合っているか

 どうかを判断するためのバリデーション(またはUSP標準方法に関する検証)のレビュを含めるべき

 である。このレビュに基づき、貴社のラボのシステムの改善とその効果の評価をするための詳細な

 計画を提出せよ。

 

●指摘3

貴社は貴社が製造する医薬品が、それが持つとされる、または持つと表示されている同一性、濃度、

品質、純度を持っていることを保証するために設計された製造及び工程管理のための文書化された

手順を制定することを怠った。(21 CFR 211.100(a))

<指摘3詳細>

〇製品が分析の規格を満たすと判断する前の医薬品のリリース

貴社が医薬品を製造し、装置を洗浄するために使用されている水は、貴社がバリデートしていない

システムから得ている。貴社は、精製水システムが、微生物の標準を含むXX水に関するUSP標準に

一致し、医薬品の使用に適した水を一貫して製造するという保証に欠けている。これは2017年の

査察からの繰り返しの指摘結果である。

さらに、貴社は貴社のOTC医薬品のための製造工程がバリデートされていることを示すためのデータ

の提供を怠った。査察中、貴社は、XXまで工程内で保管されている可能性がある抗菌ハンドソープ

に関し、バルクのホールドタイムの検証を提出できなかった。貴社は、検証が存在するか知らなか

ったが、プロセスは長い間実施されており、不具合は発生していなかったと述べた。

FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える

FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles for general principles and approaches

を見よ。

貴社は回答の中で、貴社に精製水システムのバリデーションは進行中で、USPXX水が製造されて

いることを示すためのバリデーションを実施するつもりであると述べた。貴社のバリデーション

計画の一環として、セパシア菌群(BCC)に関する試験を含めよ。BCCは、非滅菌の水性医薬品内に

汚染のリスクをもたらす。医薬品内のBCCの汚染の重大性に関する更なる情報については、FDA

セパシア菌群が非滅菌の水性医薬品内に汚染リスクをもたらすことを医薬品製造業者にアドバイス

している202177日の勧告を見よ。

貴社は、貴社の精製水システムの継続的な管理とメンテナスに関する包括的な提出することを怠った

ため、貴社の回答は不十分である。貴社は、システムが適切に設計されず、バリデートされていな

かった理由に対処することを怠った。さらに貴社の回答は、より慎重でタイムリーな運用の監視を

確実に行うための予防処置に欠けていた。また貴社は貴社の医薬品の製造に使用されている水がその

アクション限界を満たすことを保証するために取ろうとしている暫定的なアクションについて述べ

なかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・精製水システムの設計、管理、メンテナンスの包括的な改善計画

 〇精製水システムのバリデーションレポート

 また、継続的な管理とメンテナンスのために、システムの設計のプログラムに対してなされた改善

 のサマリを含めよ。

・貴社の精製水システムXXに使用されている総菌数と好ましくない微生物に関する現在のアクション/

 アラート限界

 また、各医薬品の処方(成分、組成のパーセント)を含め、リリース試験の一環としてBCCについて

 各ロットの試験をするつもりかについて述べよ。リリース試験の規格は、貴社の水性医薬品にBCC

 含まれていないことを保証するために、ある程度、処方とバリデート済の製造ステップに基づいて

 開発されるべきである。

・使用期限内の現在アメリカで流通中の製品の全ロットに、発見された精製水システムの不具合が

 与える可能性のある影響に対処した詳細なリスクアセスメント

 リスクアセスメントに対応して、顧客への通知や製品の回収など貴社がとろうとしているアクション

 を明記せよ。

 貴社で製造される医薬品の各ロットに使用するための受容性を保証するために水の定期的な微生物

 及び化学試験を明記した貴社の精製水システムのモニタリングの手順

USP標準のXX水の規格と適切な微生物の限界値を満たす水をシステムが一貫して精製できることを

 保証する継続的な管理、メンテナンス、モニタリングに関する貴社のプログラムを管理する手順

・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、貴社のバリデーションプログラムの

 関連する手順を添えた詳細なサマリ

・継続的な管理状態を保証するための、工程の性能適格性評価とロット内及びロット間のばらつきを

 継続的にモニタリングするための貴社のプログラムについて述べよ。

・販売されている製品の工程の性能適格性評価の実施、貴社の精製水システムのバリデーションの

 完了のタイムライン

 貴社のバリデーション活動の完了までに行う暫定的な手段または追加の管理についても含めよ。

 

●指摘4

貴社の品質管理部門は、貴社で製造された医薬品がCGMPに従い、制定された同一性、濃度、品質、

純度に関する規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。 (21 CFR 211.22)

<指摘4詳細>

貴社には適切な品質部門(QU)が欠けていた。例えば貴社のQUは、QUの役割、責任、権限を述べた手順

を制定することを怠った。また、貴社の医薬品の製造作業のQUによる監督は不十分だった。例えば、

貴社のQUは以下のことを怠った:

・同一性、濃度、品質、純度に影響を与える規格の承認・拒絶やレビュ

・変更管理プログラムの制定

・最終製品のラベルの発行と照合の手順

・年次製品照査の実施

さらに貴社は、供給者の適格性評価のプログラムも、貴社の顧客または供給者のCGMP上の役割や責任

の記述も持っていない。

また、貴社は、適切な安定性プログラムも欠けている。査察で、20131218日以来、安定性試験が

実施されていなかったことを発見した。

貴社は回答の中で、アサインされた明確な責任で手順を最新化し、最終製品ラベルの手順を作成する

ことを約束した。また、貴社は変更管理プログラムを実装し、全ての医薬品の記録をレビュするとも

述べるつもりであるとも述べた。貴社はその機能を実施し、不具合の根本原因を特定するというQU

根本的な不具合に対処しなかったので、貴社の回答は不十分である。さらに、使用期限内にある市場

の全ての製品の回顧的レビュとリスク評価や、この評価によりとられるアクションが欠けている。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

QUが効果的に機能するために権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的な

 アセスメントと改善計画

 アセスメントにはこれに限定されないが以下のことも含むべきである:

 〇貴社により使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断

 〇適切な手順の遵守を評価するための貴社作業全体のQUの監督の規定

 〇ロットの処遇を判断する前の各ロットと関連する情報の完全で最終的なレビュ

 〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、調査と監督の承認及びQUのその他

  全ての職務の遂行

  また、これに限定されないが、製造/品質の問題に積極的に対処し、継続的な管理状態を保証する

  ために、タイムリーにリソースを提供することを含む、貴社の経営陣が品質保証と信頼できる

  作業をいかにサポートするかを述べよ。

・貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的なアセスメントと是正処置・予防処置

 (CAPA)

 の計画

 貴社の改善されたプログラムには、これに限定されないが以下のことを含めるべきである:

 〇安定性を示す方法

 〇出荷許可前の、市販の容器施栓システムの中の貴社の各製品の安定性の検証

 〇うたわれている品質保証期限が妥当かどうかを判断するために、各製品の代表的なロットが毎年

  プログラムに追加されていくような継続的なプログラム

 〇各ステーション(タイムポイント)で試験される特定の属性の詳細な定義

・貴社の改善された安定性プログラムのこれら及びのその他の要素を述べた全ての手順

・成分、容器、蓋の全ての供給者がそれぞれ適格で、原材料に適切な使用期限またはリテストの日付

 が付与されているかどうかを判断するための貴社の原材料システムの包括的なレビュ

 レビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かも判断

 すべきである。

 また、これに限定されないが、製造/品質の問題に積極的に対処し、継続的な管理状態を保証する

 ために、タイムリーにリソースを提供することを含む、貴社の経営陣が品質保証と信頼できる作業

 をいかにサポートするかを述べよ。

 

●不正商標表示違反

省略

 

●製造所での繰り返しの指摘

2017720日~21日の前回の査察で、FDACGMPの同様の査察結果を指摘した。貴社は回答の中で、

これらの査察結果に関する具体的な改善を提案した。繰り返しの不具合は、医薬品の製造作業に

対する経営陣の管理監督が不十分であることを示している。

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために

21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社の

コンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣

には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反

を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、

強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決

の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反

に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者として

の新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置

を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/genlabs-corporation-625479-05122022

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

昨今、国内で承認書と異なる手順での医薬品の製造が多数みつかりましたが、ウォーニングレターの

指摘にあがっている、リリース前の品質確認の不足、手順や記録の不備、プロセスバリデーションの

不備、品質部門の責務の不履行といった内容を見ると、適切な手順を制定しそれを順守し続けること

の大変さは万国共通だということをあらためて感じます。

 

☆次回は、10/15(土)に配信させていただきます。

 

 

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