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2014.02.28

【サイトマスターファイル(2013年版GMP事例集)とは?】ASTROM通信<45号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

花粉症のシーズンとなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

今回は、2013年版GMP事例集にも登場し、医薬品のGMP適合性調査申請時に提出すべき調査用
資料の代わりに提出することが可能とされている“サイトマスターファイル”について取り
上げたいと思います。

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サイトマスターファイル(SMF)とは
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サイトマスターファイルは、PIC/S GMPガイドラインPart1 「4章 文書化」な中で、要求
されるGMP文書の1つとして挙げられています。具体的には、製造所のGMPに関連した作業
活動を記述した文書と定義されています。

サイトマスターファイルに関する記述はPIC/Sだけではなく、平成25年12月2日付独立行政
法人医薬品医療機器総合機構 品質管理部の事務連絡の中でも、定期適合性調査申請の際、
適合性調査権者が必要とする資料の代わりに、これと同等以上の記述があればサイトマスター
ファイル(英語又は日本語)の提出をもって代えることが可能とあります。

また、2013年版GMP事例集GMP0-13には、“製造所の品質システムを含む活動概要を端的に
示すことができ、有用である。 PIC/Sの解釈覚書(“EXPLANATORY NOTES FOR PHARMACEUTICAL
MANUFACTURERS ON THE PREPARAT10N OF A SITE MASTER FILE" PE 008-4 1 Annex1 January
2011)を参照すること”とあります。

PIC/Sの解釈覚書 2章概要
2.1
 サイトマスターファイルは製薬のメーカーによって準備されるもので、品質マネジメントの
 ポリシー、サイトの活動内容、サイトで実施されている製薬の製造作業に関する生産管理
 及び(または)品質管理に関する具体的情報を含んでいなければいけない。
 もし製薬の作業の一部がサイトで行なわれているのであれば、サイトマスターファイルは
 それらのオペレーション(例えば分析、パッケージングなど)についてだけ記述する必要がある。

2.2
 提出されたサイトマスターファイルは、監督機関に、製造業者のGMP関連の活動に関する明確
 な情報を提供し、製造業者の監督や、GMP査察の効率的な計画や取り組みに有益なはずである。

2.3
 サイトマスターファイルは適切な情報を含んでいるべきだが、可能な限り、25-30ページ+
 付録程度の簡潔なものであり、付録も含めA4用紙に印刷して読めるものでなければならない。

2.4
 サイトマスターファイルは、製造業者の品質管理システムに属する文書の一部であり、
 従って最新の状態に更新されていなければならない。
 版番号、発効日、定期的なレビュ期限を持ったうえで、現在の活動を示した内容であること
 を保証するために定期的にレビュされなければならない。
 各付録は、個々に発効日を持ち、個々に更新可能にしておく必要がある。

<出典>
PIC/Sの解釈覚書
 http://www.picscheme.org/publication.php?id=15
平成17年3月30日発出厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知(薬食監麻発第0330001号)
 http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/iyaku/file/jimu_20131202.pdf


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サイトマスターファイルに必要な情報
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2013年版GMP事例集GMP0-14より
質問:サイトマスターフアイルに記載すべき事項は何か。また、記載する各々の事項について、
   どの程度記載すべきか。
回答:一概に決められるものではないが、PIC/Sのサイトマスターフアイルに規定した事項を
   参照し、製造所の活動が記載内容から容易に理解できる内容を記載すること。― 概に
   決められるものではないが、PIC/Sのサイトマスターフアイルに規定した事項を参照し、
   製造所の活動が記載内容から容易に理解できる内容を記載すること

ということで、PIC/Sの解釈覚書に書かれているサイトマスターファイルのコンテンツを確認
していきたいと思います。

<サイトマスターファイルのコンテンツ>
1.製造業者の一般的情報
 1.1 製造業者の連絡先情報
 1.2 サイトで認可された製薬の生産活動
 1.3 サイトで実施されている他の生産活動(あれば非製薬の生産活動)
2.製造業者の品質マネジメントシステム
 2.1 製造業者の品質マネジメントシステム
 2.2 最終製品の出荷手順
 2.3 供給者及び契約者の管理
 2.4 品質リスクマネジメント
 2.5 製品品質レビュ
3.人事
4.施設と設備
 4.1 施設
  4.1.1 暖房、換気およびエアコンディショニング(HVAC)システムの簡潔な記述
  4.1.2 水のシステムの簡潔な記述
  4.1.3 蒸気、圧縮空気、窒素等の他の関連ユーティリティの簡潔な記述
 4.2 設備
  4.2.1 主要製造設備及び実験設備のリスト
  4.2.2 掃除及び衛生
  4.2.3 GMPの重要なコンピュータ化システム
5.文書
6.製品
 6.1 製品のタイプ
      ヒト/動物用製品の剤型、治験薬の剤型
      毒性/有害物質の取り扱い 等
 6.2 プロセスバリデーション
 6.3 原材料の管理と倉庫管理
7.品質管理
8.流通、苦情、製品欠陥 及び 回収
  8.1 流通
  8.2 苦情、製品欠陥 及び 回収
9.自己点検
付録1.有効な製造許可書のコピー
付録2.剤型のリスト
付録3.有効なGMP証明書のコピー
付録4.契約した製造業者や研究所のアドレス、連絡先情報を含むリストと、これら外部
    委託先のサプライ・チェーンのフローチャート
付録5.組織表
付録6.材料と人の流れを含む製造エリアのレイアウト、剤型別製造工程の一般的なフロー
付録7.水システムの設計図
付録8.主要製品と実験設備のリスト


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まとめ
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2006年版GMP/QMS事例集には記述のなかったサイトマスターファイルが、2013年版GMP事例集
に登場したため、サイトマスターファイルを作成する必要があるのかと迷われている製薬
会社様も多いことと思います。

2013年版GMP事例集GMP0-13後半には、“なお、海外当局からの査察等の際、この概念に相当
する文書の提示を求められる可能性があることから、海外当局による査察等を受ける可能性
のある製造業者は、可能な限りこの用語に対応する文書を準備しておくことが望ましい。”
という一文があります。

作成する/しないは製薬会社様の判断に委ねられていますが、1つの文書にまとまっていた
ほうが、管理も査察時の説明もしやすいのではないでしょうか。
但し、作成後は、PIC/Sの解釈覚書2.4章にもある通り、レビュ期限を定めて定期的に
文書の記載内容をレビュし、常に最新化することを忘れないようにしないといけません。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、3/14(金)に配信させていただきます。

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2014.02.14

【考察、Form483!ランバクシーに対するFDAからの指摘事項】ASTROM通信<44号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

先週は信じられないほどの大雪が降りましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

本日は、FDAが2014年1月にインドのランバクシー・ラボラトリーズ社トアンサ工場を査察した
際に発したForm483を読み、査察時にどのような点が指摘事項となったかを確認してみたいと
思います。


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Form483とは
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薬事関連のニュースでも取り上げられていますが、FDAは、2014年1月11日から15日にかけて、
原薬製造を行いアメリカにも輸出をしているインドのランバクシー社トアンサ工場を査察し、
8つの指摘事項を記載したForm483を提示しました。

このForm483とは、指摘事項が詳細に書かれた文書ですが、あくまで査察官の所見であり、
FDAの最終決定ではありません。
Form483を受領した企業は、15営業日以内に、反論、もしくは、同意と是正のスケジュールを
提出することができます。
期間内の適切な回答は、公的措置を免れる助けになりますが、万が一FDAが法規制に対する
重大な違反があると決定した時は、ワーニングレターの発行・製造承認の保留・工場の操業
停止等が講じられることになります。

では、ここから、実際にForm483に記載された8つの指摘事項を確認していきたいと思います。


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指摘事項1
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規格不合格や、その他の疑い(例えばOOT(許容差はずれ))がみつかった原材料、中間体、
最終原薬は、合格の結果が得られるまでリテストされている。
これらの不合格や、疑いある結果は、報告されていない。

具体的には
A)アーカイブしたデータベース及びシステムの監査証跡から、一連のサンプル試験に関し、
 合格の結果が得られるまで、電子生データに上書きが行われたことを確認した。
 このデータ上書きにより、SOPで規定されたOOS調査が開始されなかった。
 我々は、約5ヶ月間のデータから抽出したアーカイブデータのレビュで同様の例を多数見つけた。
 例えば、
 1回目のサンプルは、2013/5/6 09:25pmに実施され、”MAY_0604”というファイルに保存された。
 クロマトグラフィー分析の純度は??%(規格=NLT??%)
 2回目のサンプルは、2013/5/6 09:52pmに実施され、”MAY_0604”というファイルに保存され、
 先のサンプルデータは上書きされた。クロマトグラフィー分析の純度は??%(規格=NLT??%)
 3回目のサンプルは、2013/5/6 10:18pmに実施され、”MAY_0604”というファイルに保存され、
 先のサンプルデータは上書きされた。クロマトグラフィー分析の純度は??%(規格=NLT??%)
 ※??:数値がマスキングされていました。
 この他にもデータの上書きの実例が挙げられていました。

B)2014/1/5のQCラボの査察において、バッチ#??に関する2014/1/2のカール・フィッシャー滴定
 結果における水分含有量のプリントアウトの結果は、規格文書の規格範囲からはずれていた。
 我々は、このバッチに関するQCデータ一式の提示を求めたところ、データは2014/1/3に訂正され
 2014/1/2のテスト結果は記録されていなかった。


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指摘事項2
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サンプルが、定められたテスト手順に従って分析されていない。

具体的には、アーカイブしたデータベース及びシステムの監査証跡から、公式なサンプル検査
に先立ち、単一のマニュアル注入検査を実施していることを確認した。
我々は、約5ヶ月間のデータから抽出したアーカイブデータのレビュで同様の例を多数見つけ
たが、データが大量で、件数の特定はできなかった。
これらの単一のマニュアルのサンプル注入検査の実施手順に関する文書化された手順はなく、
その結果も報告されていなかった。
これらの注入は、“DEFAULTB”として、”DEFAULT”データフォルダに保管されていた。我々
は、単一注入と公式報告データの間に重大なクロマトグラフィー分析の差異を見つけた。
証拠書類の欠如により、これらの差異に関するいかなる説明もされなかった。
例えば、
A)原材料についての、計5回の“DEFAULTB”注入が、04:28am開始の公式記録付サンプル
 試験に先立ち、2013/5/4の01:17amから03:24amに実施されていた。5回の“DEFAULTB”の
 結果は報告されていなかった。5回の注入試験の結果には、公式QCデータ一式にて報告され
 ているものとは重大な違いがあった。
 一例として、2013/5/4 02:08amに実施された3/5回目の注入において、規格値を超えていた。
B)最終原薬についての、2013/7/10のリテストに先立ち、2013/7/8の02:14amに不適格なデータ
 がセットされた後、計2回の“DEFAULTB”注入が、2013/7/8の04:19pmから04:50pmに実施
 されていた。特に2013/7/8の2回目の“DEFAULTB”注入において、不純物が検出されていた
 が、公式QCデータ一式の結果においては、検出されていなかった。


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指摘事項3
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コンピュータ化システムに適切な管理が行われていない。
これは、前回2012年12月のFDA査察から繰り返されている所見である。

特に、スタンドアロンのコンピュータ化システムは、許可されていなアクセス、データ変更、
データファイルやフォルダの削除を防ぐための十分な管理がされていない。
システムの監査証跡のレビュにおいて、我々は、電子のデータアーカイブ内のローデータ
ファイルが欠如していることが示す通り、標準及びサンプルの注入に関するローデータ
ファイルを消したり、テストの全てのエビデンスが移動したりできることを確認した。
例えば、
A)2011年1月の監査証跡のレビュの中で、2011/1/6のOOS調査に関して、少なくとも1回の注入が
 実施されていることを確認した。電子記録のアーカイブのレビュでは、この注入の記録は
 保管されていなかった。


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指摘事項4
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記録が作業と同時に完成されていない。

具体的には、
A)2014/1/5のQCラボの査察において、ある分析者が2014/1/4の日付でサインした。我々が
 バックデートの記録について理由をたずねたところ分析者は”2014”と記入しただけだ
 と答えた。
B)2014/1/5のQCラボの査察において、SOPではテストが実施された時に完成されるべきと
 されている文書のうちの6つが、部分的にしか完成されていないことを確認した。
C)2014/1/5のQCラボの査察において、原材料の製造工程や完成品のテストエリアで保管され
 ているQCデータ一式に付けられた多数の付箋を確認した。これらの付箋は、ローデータに
 なされるべき是正指示であることがわかった。われわれは、記録の確認欄にサインと日付
 が記入されているにも関わらず、これらの是正が実施されていないことを確認した。
 例えば、2014/1/5にサンプル準備に用いられたバッファの名前の変更指示を含む付箋が確認
 された。しかし、その記録は2014/1/2付で確認欄にサインがされていた。
D)2014/1/5のQCデータ一式のレビュにおいて、 カール・フィッシャー水分含有量試験が
 2014/1/2と2014/1/3に実施されたことを確認したが、分析ローデータシートのレビュでは、
 サンプルの準備と試験結果のローデータの入力がまだされていなかった。


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指摘事項5
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ラボのサンプルは、取り違えを防ぐための適切な管理がされていない。

具体的に、
A) 2014/1/5のQCラボの査察において、我々は、“2”と“3”というラベルのついた2つの
 HPLCバイアルがサンプルを入れる冷凍庫#10105211から取り出させるのを確認した。
 2014/1/6にラボに戻った際、バイアルの識別・内容物について確認するために査察の依頼を
 したにも関わらず、2つのバイアルは捨てられていた。査察の間、これらのHPLCバイアルの
 識別・結末は確認できなかった。
B)製造部門に対しGMPテスト結果を提供する開発工程ラボの査察において、我々は、引出の中
 に白紙のラベルがついた最終原薬の3つのサンプルの存在を確認した。引出の中に白紙ラベル
 のサンプルが保管されている理由についての説明はなかった。
C)稼働中の通常保管場所の査察において,“安定性試験用(-)-??”のラベルがついた容器の存在
 を確認した。この管理されていない”安定性試験用“の容器に関する正当化理由や文書は
 なかった。
D)2014/1/6にGCラボ内で、入ってくるサンプルに関する“サンプル受領記録”のログブックを
 レビュしている間に、2014/1/2に受領し、保管中とされる2つの通常サンプルの外観検査を
 依頼したが、査察の間、これらの2つの通常サンプルの場所や結末は確認できなかった。


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指摘事項6
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適切なラボの設備が維持されていない。

具体的に、
A)QCの分析及び微生物ラボの査察において、設備が重大に破損している。
 器具類(例HPLC)の部屋の中のラボの窓は閉じることができない。サンプル準備室全体に
 数え切れないほど大量のファイルがある。ラボの試薬/装置/文書の保管棚は、壊れて閉じ
 られない。
B) 2014/1/5のQCラボの査察において、2-8℃が維持されている通常保管場所の冷蔵庫の直下
 に水たまりを見つけた。この冷蔵庫を開ける際、水たまりを作る原因となっている解けた
 氷が積上がっているのを確認した。

この所見は、前回2012年12月のFDA査察の完了ミーティングで経営者と議論されている。


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指摘事項7
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製造設備のメンテナンスに関する記録が完成されていない。

具体的に、
2014/1/8の製造区画の査察において、文書室に現在保存されている保守作業許可の記録を
レビュし、約55の記録のうち43は、SOPに記載された、責任者による“完了”、“満足の
いく業務の実施”のサインがされていなかった。


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指摘事項8
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分析装置のキャリブレーション、適格性評価がされていなかったり、適切にメンテナンスされ
ていなかったりする。

具体的には、製造部門に対しGMPテスト結果を提供する開発工程ラボにある分析装置は、
1)適格性評価が行われてない
2)定期的なキャリブレーションが行われていない
3)定期的なメンテナンスが行われていない
その中には、このラボ設備内にあるpH計、カール・フィッシャー水分計、化学てんびんが
含まれる。


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まとめ
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非常に細かく具体的な指摘内容がオープンにされているので、驚いた方も多いのではないで
しょうか。

今回、ランバクシー社に出されてForm483の中味は以下の場所から確認できます。
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/EnforcementActivitiesbyFDA/UCM382514.pdf

この指摘を見ると、査察官が、システムの監査証跡、試験のローデータ、QCの記録一式を
細かく突合せていることがわかります。
ここまで突合せされるとなると、悪意がなくとも何らかのシステムトラブルでたまたま記録
が欠如してしまっていて、それが査察で見つかった場合、大変な事態になることがわかります。
コンピュータ化システムによるデータ管理には細心の注意が必要でしょう。

EUも既に、この逸脱がヨーロッパの医薬品市場に与える影響を評価するためにFDAの査察結果
に注目しているようです。
http://www.gmp-publishing.com/en/gmp-news/gmp-aktuell/EU-Ranbaxy-FDA-findings.html

一応、査察官の所見にすぎないと言われるForm483ですが、ひとたび指摘を受ければ、その
情報はグローバルに広がることも十分理解しておく必要があります

それにしても、分析者はなぜFDAの査察官がいる横で、バックデートのサインをしてしまった
のでしょうか。。。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、2/28(金)に配信させていただきます。

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