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2014.11.28

【英規制当局発表、過去5年の重度/中程度GMP要件不備TOP5』】ASTROM通信<63号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

日に日に寒さが厳しくなってきましたが、いかがお過ごしですか?

今回は2014年10月15日にイギリスの医薬品・医療製品規制庁MHRA
(Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency)が発表した2013年のGMP査察に
おける要件不備のレポートについて取り上げたいと思います。

このレポートは、2013年の査察結果だけでなく、過去5年のGMP査察におけるにおける重度
(critical)・中程度(Major)の要件不備のランキングが載っていて、なかなか興味深いです。

MHRAの査察を直接受ける機会はないかもしれませんが、EUの加盟国であるイギリスの規制当局が
査察時にどのような点に注目しているのかを確認してみていただければと思います。

出典:http://www.mhra.gov.uk/home/groups/pl-a/documents/websiteresources/con464241.pdf


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レポートの要旨
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-過去5年間の査察においてみつかったGMP要件不備の内容は 、“化学的/物理的汚染(あるいは
 汚染の可能性)”を除き特に変化していませんが、“化学的/物理的汚染(あるいは汚染の可能
 性)”は著しく増加しています。
-品質システムに関する不備は、査察中、群を抜いて多くみられます。
-この5年間の査察で見られること:
 ・各査察における中程度の不備の割合は、比較的変わっていない
 ・2013年までは、各査察の重度の不備の割合は一定だったが、2013年は、公衆衛生に潜在的に
  影響を与える”データの完全性”に関する問題が群発している
 ・各査察の重度の不備の件数は、他の地域(大陸)に比べアジアが高い


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2013年のGMP査察状況
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MHRAが2013年に630のGMP査察を実施した結果、イギリス国内で174件、国外で42件の中程度または
重度の不備がみつかっています。
件数を見ると、イギリス国内でGMPが多く発生しているように見えますが、査察あたりの不備件数
を大陸別に見ると、アジアの査察でみつかった件数が多いことがわかります。
<大陸別の重度及び中程度のGMP不備の平均件数>
   アジア:重度 0.19件 、中程度 1.00件
  イギリス:重度 0.04件 、中程度 0.52件
 北アメリカ:重度 0.00件 、中程度 0.35件

<不備の内訳>
■重度の不備:29件
630の査察のうちの3%にあたります。
1つの査察サイトで、最大で3件の重度の不備がみつかりました。
■中程度の不備:403件
630の査察のうちの31.6%にあたります。
1つの査察サイトで、最大で7件の中程度の不備がみつかりました。


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過去5年間の不備の傾向
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査察において、重度の不備の発生割合は、2009年が2.27であるのに対して、2013年は1.87となり、
減少しています。
一方、中程度の不備の発生割合は、2009年から2012年まではほぼ一定だったのに対して、2013年に
増加しています。この増加は、”データの完全性”に関する不備によるものです。

2013年にデータの完全性の不備が発生している背景には、MHRAがEU GMPガイドラインに則りデータ
の完全性を重要視しつつあることが原因と思われます。
現に2013年12月には、医薬品の製造業者・輸入者・契約研究所に対し、自己点検の一環として自社
の管理システムのデータの完全性とトレーサビリティを保証するように求め、2014年の査察からは
より一層この分野を重視していく姿勢を示しています。


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過去5年の重度・中程度の不備のトップ5
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★1位 異常の調査
-いつ、どのように逸脱の基準を定めるかの明確なスコープがない。その結果、定めた逸脱を
 無期限に使用することを可能にしてしまっている。
-偏差が適切であったために、傷んだ/使い古した備品がそのまま使われた。設備が傷んだ原因
 に関する調査は行われなかった。重大な備品であるにも関わらず交換できるスペアがなく、製品
 が潜在的に危険な状態にさらされ続ける状態で製造が許された。
-返品手順の中で、過去の原料の影響に関する考察がなされなかった。
-多数の調査が1年以上保留の状態で、大量の調査がタイムリーに完了されていなかった。
 ある調査は15か月間保留になっていた。
-製品ボトル上のラベル欠落に関する苦情につき、根本原因を特定するために徹底的に調査されな
 かった。
-逸脱の調査期間中、根本原因の適切なレベルの分析が実施されなかった。
-遭遇した問題が重大な逸脱なのか、それとも軽微なレベルの出来事なのかを判断するための製品
 への影響評価とそれに関連する論理的根拠が正式に文書化されていなかった。
-不良の錠剤に関する苦情の調査において、苦情の結果下された判断と、とられた手段が文書化さ
 れていなかった。文書の記述に、根本原因も是正措置も予防措置も見当たらなかった。
 繰り返し発生する問題として気づいていたにもかかわらず、他のバッチにも起こりうる結果が
 文書化されておらず、調査プロセスの中に適格者(Qualified Person)が関与していたかも明ら
 かでなかった。

★2位 品質マネジメント
-自己点検が過去に実施されていないし、現在も実施の計画がない。
-研究所の薬の品質システムが、安定性のサンプルの管理について明らかにしていない。企業は、
 R&Dの手順は、実施の準備ができていると述べているが、かなりの数の手順が延び延びになって
 いることがわかっている。また、企業は、自己点検を通じてR&Dの機能を監督していなかった。
-品質リスクマネジメントの手順がない。
-PQR(Product Quality Review)の中に重大な品質問題を含めていなかった。
-苦情、エラー、例外手順の管理が、次の点で弱い:
 ・苦情の問題の他のバッチへの影響の推測、影響を受ける可能性のあるバッチの分析や、苦情の
  傾向の分析の手順が正式なものになっていなかった。さらに、その手順が現在の苦情処理プロ
  セスに反映されていなかった。
 ・影響評価や根本原因の分析を行うことに関する例外手順があいまいだった。
-品質リスクマネジメントの手順は、GMP Part3(ICH Q9)に基づいてはいるものの、リスクマネ
 ジメントをいかに事前対策及び回顧的に行うかに関する詳細の記述が欠けていた。
-品質システムが、次の点で維持されていない:
 ・PQR(Product Quality Review)が、義務付けられている期間中に終えられていなかった。
 ・かなりの数のSOPがレビュ期日を過ぎており、複合的な変更管理が6ヶ月以上保留にされ、多数
  の苦情の対応が完了していなかった。
 ・品質マネジメントレビュが手順に従って実施されていなかった。
 ・2つの原薬に関する原薬査察が計画通りに実施されていなかった。原薬供給者との取引継続を
  正当化する手順がなかった。
 ・定めた期間内に、計画した自己点検の3分の1が終わっていなかった。

★3位 CAPA
-CAPAのレビュ中、下記の問題がみつかった。
 ・CAPA活動がどのように問題の根本的原因と関連づいているかが明らかでなかった。
 ・CAPAの完了予定日がなかった。
 ・CAPAの効果を測定し、その効果を示す仕組みが無かった。
請負業者により製造された原薬にみつかった外部問題の調査について、原料の最終的な処理や、
 例えば、供給者への返品や再処理という、実施を要したアクションに関する詳細の記述を怠った。
規制当局の査察を含む様々な仕組みから発生するCAPA活動が時間内に漏れなく完了したことを
 保証する手順がなかった。
-CAPAシステムは、前回の査察の後、医薬品許可機構に対して作成したコミットメントが、記載し
 た通りに完了されていることを保証していなかった。
原薬供給者に関して起きたCAPAにおいて容認できないと決定された原薬供給者を医薬品販売承認
 許可から除外する活動を含んでいなかった。

★4位 汚染・化学的/物理的汚染(あるいは汚染の可能性)
-製造所に取り込まれた新しい分子が、毒性分子と相溶性がなく、設備内で作られたものではない
 ことや、洗浄の手順がリスクに対して適切であることを保証するための適切な文書化された手順
 がなかった。
-作業場のローラー式圧縮機が白い粉で覆われていた。設備は6ヶ月間そこにあったにもかかわら
 ず、粉の正体が特定されていなかった。
-製造通路の床の上や、エリア内のパレットの上に正体不明の白い粉があることに気づいていた。
-洗浄バリデーションは、綿棒で採取した個々の標本の結果に関する評価や基準を含んでいなかっ
 た。従って、標本全体の平均は許容限度内であっても、個々の標本は許容限度を超えていたかも
 しれない。
-洗浄バリデーションが必要な洗浄工程において、洗浄効果を裏付けるための設備の最大ダーティ
 ーホールドタイムを設定していなかった。
-キャンペーン方式で稼働するつもりはなく、特別な封じ込めの手段もとられていなかった。さら
 に、適用されている洗浄システムは、共用設備内で天然物を扱うことを考慮していなかった。
-同じ造粒部屋の中で、複数バッチ(または異なる製品)の製造を行うことに関する正当な根拠や
 リスク分析がなかった。

★5位 供給者及び請負業者の監査
-製造所が供給者のリストに加えられた時、供給者の監査報告書をみることができなかった。その
 ため、承認された製造業者が、それを受けて同時に供給者として決定されているというエビデンス
 が存在しなかった。
承認された原薬供給者のファイルにある供給者の製造所の住所が、最近の監査報告書にある住所
 と異なっていた。
原薬に関する監査報告書は実際に何を監査したか明らかではなく、製造所の手続き要件に違反し
 ていた。
-4ヵ月前の監査で、供給者を承認しないと明記していたにも関わらず、承認された供給者として
 供給者リストに載っていたことからわかるように、承認された供給者のリストのメンテナンスと
 管理がしっかり行われていない。
-監査の頻度は、リスクアセスメントにより決められるように記述されていたが、多くの場合、
 リスクアセスメントに基づいた最長の期間が記述されているものはなかった。
-品質保証協定において、委託者の担当者名は、閉鎖された製造所にいた人物の名前だった。
 また、協定は原薬の輸送条件、即ち、原薬は3~8℃で輸送しなければいけないということについて
 十分に記述していなかった。
-承認された供給者のリストに多数の誤りがあった。例えば、行方不明の供給者が載っていたり、
 リストに載っているいくつかの供給者は、リストに載せるべきでない供給者であったりした。
-供給者監査SOPは、原薬の供給者に関する監査について書かれておらず、サービスに関する手順も
 曖昧だった。
-供給者に関する監査報告書では、監査した製造所はGMP問題により原薬の供給にふさわしくないと
 いう結論となっていた。しかし、前述のサイトで製造された原薬の在庫は、隔離されたり不合格に
 されたりせず、アクションが不十分だった。


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今後の注目分野
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見つかった不備のレビュ、GMP関連法の今度の変更、他の当局から受け取った情報に基づき、MHRA
では次の分野を優先対象としました。

-データの完全性(DI)
 データの完全性の問題につき、まずい作業の結果によるものから非常に軽い故意の不正行為に
 いたるまで、全ての地理的位置や産業部門を通して調査をしました。それをもとに、今後、査察
 中、この分野に焦点をあてることになるでしょう。
 加えて、MHRAは、データ保全性と追跡可能性が維持されることを保証するために、会社が管理
 システムについて、所定の有効性レビュを実施するように連絡しました。
-偽造薬指導(FMD:Falsified Medicine Directives)
 ・FMD法が2013年8月にイギリス国内で施行された時、次のようなたくさんの要求事項が導入され
  ました:
  *原薬の製造業者、輸入業者、販売業者はMHRAに登録しなければならない。製造業者/輸入業
   者のライセンス(MIA)保有者は、原薬供給者の登録状況を確認しなければならない。
  *第三国から輸入された原薬は、第三国の当局によるEU GMPとの同等性確認の書面の添付、また
   は、指導46(b)に書かれた権利放棄をしなければならない。
  *イギリス国内の医薬品の最終製品の仲介業者はMHRAに登録しなければならない。
-”異常の調査”は、過去5年間にわたり、査察時、もっとも不備が多い状態のままです。
  したがって、”異常の調査”は引き続き査察の焦点となるでしょう。
-潜在的汚染
 ・潜在的汚染の分野は、次の理由により、査察の焦点となるでしょう:
  *汚染・化学的/物理的汚染(あるいは汚染の可能性)に分類される不備が、過去2年間、著し
   く増加している。
  *原薬は潜在的汚染が高まる傾向にあり、製品品質に対しより大きな影響が予想される
  *「専用設備」に関するEU GMPの3章及び5章の変更


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まとめ
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これまで、PIC/SやFDAの話題を中心に取り上げてきましたが、今回はEU加盟国であるイギリスの
規制当局の情報を取り上げてみました。
MHRAが不備と判断した項目が理解でき、イギリスと日本の規制にギャップがないように思え、これ
がPIC/S効果かと思ってしまいましたが、皆様はいかがでしたでしょうか?
今後、MHRAは自己点検、データの完全性を重要視する方向にあるようですので、我々もこのあたり
にも十分注意を払っていく必要があるのではないでしょうか?

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、12/15(月)に配信させていただきます。


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【発行責任者】
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ASTROM通信』担当 橋本奈央子
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2014.11.14

【FDAガイダンス『医薬品査察の遅延、拒否、制限、拒絶に相当する状況』】ASTROM通信<62号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

今年も残すところ1ヶ月半。だんだん気忙しくなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃ
いますか?

2014年10月21日、FDA(米国食品医薬品局)は、『医薬品査察の遅延、拒否、制限、拒絶に相当
する状況』と題する業界向けガイダンスの最終版をリリースしました。
このガイダンスは、FDAが査察の遅延、拒否、制限、立ち入りもしくは査察の拒絶にあたると考え
る行動、無行動、状況について定義しています。

FD&C Act(連邦食品・医薬品・化粧品法)の新しい章である501(j)は、査察の遅延、拒否、制限、
拒絶を行っていると判断された設備で製造・保管されている薬は、不良医薬品とみなすとして
いるため、注意が必要です。

そこで今回は、ガイダンスを読んで、どのような行動が査察の遅延、拒否、制限、拒絶とみなさ
れるのかを確認していきたいと思います。


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査察の遅延
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遅延は、いろいろな理由で発生し、そのうちのいくつかはコントロールできないものかもしれま
せん。しかし、設備の所有者、運営者、代理人が査察の遅延を引き起こす場合、FD&C Actの501(j)
に基づき、遅延は薬に不純物の混入をもたらすかもしれないとみなします。

A.事前に通知された査察の遅延
FD&C Actは、FDAに査察の事前通知を求めていません。したがって、FDAは、正当な理由があり、
所定の査察である場合、事前通知しません。しかし、査察官が査察サイトに到着する前に、事前
に承認を得て、会社に連絡をとるのが一般的な手順であり、医薬品を製造している海外の設備の
ほとんどの査察では事前通知を実施しています。この事前通知は、要求はされていませんが、
査察を容易にし、適切な記録や人員が利用できることを保証します。
FDAは、天候や治安情勢、休日や非営業日といったローカルな事情や、製造期間を考慮して査察
を計画します。事前通知した査察スケジュールの遅延に関する次の例は、FD&C Actの501(j) に
基づき、薬に不純物の混入がもたらされるかもしれないとみなします。遅延の判断は、この例に
限定されません。
・提案された査察開始日に同意せず、その合理的な説明をしない
・査察のスケジューリングをした後に、合理的な説明をせずに、開始日を遅らせることを要求する
・FDAの連絡に回答しない
合理的と思われる次のような例の場合は、薬に不純物の混入をもたらすとはみなされないかも
しれません。
例えば月に1度しか製造されていないために製造が行われていないため、FDAが提案したのとは
  別の日を提案する

B.査察中の遅延
FDAの査察は、設備が法律や規則に従っていることをレビュすることを可能にします。FDAは、
薬に不純物が混入されていないか、不当表示されていないか、または、FD&C Actに違反していない
かを査察するために広範囲の権限を持っています。査察現場で、合理的な方法で査察を行うFDAの
査察官を邪魔する設備の所有者、運営者、代理人の行動は、査察の遅延とみなされるかもしれま
せん。
FDAは、現場に行くことが、設備の従業員に多少の混乱や不便をもたらすかもしれないことは
わかっています。FDAの要求に従うための努力から生じる小さな遅れは、不当とはみなさないで
しょう。
FD&C Actの501(j)に基づいて、薬に不純物の混入をもたらすかもしれないとみなす遅延は次の
通りです。ただし、遅延の判断はこの例に限定されません。
・そのエリアが使用可能で、FDAが査察する権限を持った査察サイトのエリアであるにもかかわら
  ず、合理的な説明なしに、特定の日付までFDAの査察官が、アクセスすることを許可しない
・FDAの査察官を、必要な文書や責任者にアクセスさせることなく、不合理な長さの時間、会議室
 に残して査察を妨げる
合理的と思われる次のような説明があれば、薬に不純物の混入をもたらすとみなされないかも
しれません。
・文書化された更衣の手順に適合するまで、FDA査察官に無菌処理エリアへのアクセスをさせない

C.記録の作成の遅延
FDAの査察準備や査察の重要な方法として、薬に不純物が混入されていないか、不当表示されて
いないか、または、FD&C Actに違反していないかを確認するために、ハードコピー、電子記録、
ファイル、紙のレビュと収集があります。たとえば、法令準拠を確認するために記録がレビュ
されますが、エビデンスを作成する必要もあるかもしれません。
記録が異なるサイトに保管されている場合、要求された記録を作る為に合理的に十分な時間が
必要であることをFDAはわかっていますが、合理的な説明なしに記録の作成が遅れる場合査察の
遅延とみなされるかもしれません。
記録の作成の遅延に関する次の例は、FD&C Actの501(j) に基づき、薬に不純物の混入がもたら
されるかもしれないとみなします。ただし、遅延の判断は、この例に限定されません。
・査察中、FDAの査察官は、特定の合理的な期間内に査察に必要な記録を要求するが、合理的な
 説明なしに要求された期間内に要求された記録を作らない
・FDAはFD&C Actの704(a)(4)に準ずるレコードを要求するが、合理的な説明なしに、タイムリー
 に要求された記録を作らない
合理的と思われる次のような説明があれば、薬に不純物の混入をもたらすとみなされないかも
しれません。
・FDAの査察官が記録の英語への翻訳を要求し、翻訳が間にあわない
・要求された記録が、進行中である製造作業に使用されているため、その時に利用可能でない
・要求された記録のボリュームが大きく、編集するために相当の時間がかかる
記録の作成が遅れる合理的な説明がある場合、遅延が合理的な期間であることを保証すべきです。


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査察の拒絶
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
FDAは、FDAの正式代表者が査察を実施することを妨げる、または、FDAの査察を完遂することを
妨げるための、設備の所有者、運営者、代理人による積極的なふるまいを含む拒絶について解説
しています。
これは、発言、査察を妨げるための物理的な活動、間違った方向への誘導、欺き、査察官の邪魔
を含みます。
FD&C Actの501(j)に基づいて、薬に不純物の混入をもたらすかもしれない拒絶につながるふるまい
の例は次の通りです。ただし、拒絶の判断は、この例に限定されません。
・事前に通知された査察を計画するFDAの試みを拒絶する
・施設に到着時、FDAの査察官が査察を開始することを許可しない
・合理的な説明なしに、職員が存在しないことを理由にFDAの査察官が査察することを認めない
・設備で薬の製造、処理、包装、保管を行っていないと偽りの主張をし、FDAの査察官が査察する
 ことを認めない
・その日スタップを家へ帰し、FDAの査察官には、いかなる製品も製造していないと言う
合理的と思われる次のような説明があれば、薬に不純物の混入をもたらすとみなされないかもしれ
ません。
・事前に通知されていない査察のはじめには、適切な職員がFDAの査察官の質問に適切に答える
 適切な人員がすぐには用意できない
・FDA査察官が事前に通知せず到着したが、設備が、計画された設備メンテナンスにより閉じている


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査察の制限
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法律で認められた査察を実施しようとするFDAの正式代表者を止めようとする設備の所有者、運営
者、代理人は、FD&C Actの501(j)に基づき、査察の制限とみなされるかもしれません。下記は、
FD&C Actの501(j)に基づき、FDAが、薬に不純物の混入をもたらすかもしれない査察の制限と
みなすふるまいの例です。

A.設備または製造工程へのアクセスの制限
FDAの代表が査察の権限を与えられたサイトのあるエリアに合理的にアクセスすることを妨げる
ことは、査察の制限とみなされるかもしれません。これは、製造工程の開示や監視の拒絶を含み
ます。下記はその例ですが、これ以外でも査察の制限とみなすことがあります。
・合理的な説明もなく、FDAの査察期間中、全ての製造の停止を命じる
・製造工程の全て、または、一部の監視を、不当に短い時間に制限し、FDAの査察を妨げる
・合理的な説明なしに、製造工程の監視を制限する
・合理的な説明なしに、不当に設備の特定の部分に立ち入ることを制限する
・査察の完了前にFDA査察官を設備から去らせる
薬に不純物の混入をもたらすとみなされない合理的と思われる説明は次の通りです。
・文書化された更衣の手順に適合するまで、FDA査察官に無菌処理エリアへのアクセスをさせない
特定のエリアに入る前に職業安全衛生管理局によって指定された教育が必要であり、FDAの
 査察官がその教育を終えていない

B.写真撮影の制限
写真は、その時の設備の状態を客観的に示すので、FDA査察の不可欠な部分です。
写真によって実証される状態や手順の例は次の通りです:げっ歯動物あるいは昆虫の侵入の証拠、
設備や施設の不完全な構造やメンテナンス、製品の保管状態、製品ラベルとラベル付け、原材料
または完成品の一目瞭然の汚染
FDAの査察官の写真撮影に対する邪魔や抵抗は、写真が査察を効果的に行うために必要であると
判断される場合は、写真撮影の制限とみなされるかもしれません。
薬に不純物の混入をもたらすとみなされない合理的と思われる説明は次の通りです
・工場で製造される製品の化学的特性が、写真撮影により製品品質に悪影響を及ぼす

C.記録へのアクセスまたはコピーの制限
“記録の作成の遅延”の部分で述べたように、記録へのアクセスやコピーは、FDAの査察の重要な
方法です。FDAの正式代表が記録にアクセスすることを許されなかったり、法律に基づき査察する
権限を持つFDAが記録にアクセスしたりコピーすることを許されなかったり、記録を提供されない
場合は、査察の制限とみなされるかもしれません。
記録の制限の例は次の通りです。ただし、これ以外でも記録の制限とみなされることがあります。
・FDAが査察する権限を持つ出荷記録について、FDA査察官のレビュを拒む
・FDA査察官が要求した、FDAが査察する権限のある記録を一部しか提供しない
・FDA査察官が要求した、FDAが査察する権限のある記録について、不当に編集されたものを提供する
・704(a)(4)に準拠してFDAが要求した記録の提供を拒む、または、不正に編集された記録を提供する


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サンプル収集の制限または妨害
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
サンプルの収集はFDAの査察にとって重要であり、規制に基づく活動です。
FD&C Actの702(a)は調査を実施し、サンプルを収集する権限を与えています。FDAの正式代表が
法的に認められたサンプルを収集することを妨害することは、査察の制限とみなされるかもしれ
ません。
FDAが次のサンプル収集をしようとすることを断ったり邪魔したりすることは、サンプル収集の
制限の例です:環境のサンプル、最終製品のサンプル、原材料のサンプル、中間材料のサンプル、
生物学的同等性・生物学的分析用の保管品のサンプル


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
立ち入りまたは査察の拒絶
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
FDAは、設備の所有者、運営者、代理人による能動的なふるまいだけではなく、受動的なふるまい
や、何もしないことによって、FDAの正式代表が設備に立ち入ることが出来なかったり、査察を十分
に行えなかったりすることも、立ち入りまたは査察の拒絶にあたるとしています。
このガイダンスの目的は、設備の所有者、運営者、代理人が、工場、倉庫、その他の施設の査察を
許可する措置を講じなければ、立ち入りや査察を拒絶したとみなすということを示すことにあり
ます。
下記は、立ち入りまたは査察の拒絶の例を示していますが、これ以外でも立ち入りまたは査察の
拒絶とみなすことがあります。
・合理的な説明なしに、例えば、開錠しなかったり、査察官によるアクセスを許可する必要な
 アクションを取らなかったりすることで、施設または施設の特定のエリアにFDA査察官が立ち
 入ることを禁じる
査察を計画するために指定された担当者にコンタクトをとろうとするFDAに対し、回答しない
・明らかに工場にいるのに、FDAの査察官の呼び出しに応じない

出典
http://www.fda.gov/downloads/regulatoryinformation/guidances/ucm360484.pdf


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FDAのデータ・ダッシュボード
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このガイダンスに関連し、FDAは、データ・ダッシュボードという形で、査察結果の情報を公開
しています。興味のある方は是非一度ご覧ください。

データ・ダッシュボードのURL
http://govdashboard.fda.gov/

国別の査察件数や、その国の査察企業の情報が、次のURLから確認できます。
http://govdashboard.fda.gov/public/dashboards?id=140


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ガイダンス『医薬品査察の遅延、拒否、制限、拒絶に相当する状況』に登場する例は、FDAが
査察の準備をしたり実施したりする時に実際に遭遇するケースや、発生が予測されるケースだ
そうです。
記録の準備に時間がかかるといったことは普通にあると思いますが、それが査察妨害ととられ
ないためには、とにかく合理的な説明をすることが重要だと思います。
日本の企業がFDA査察を受ける場合、英語力のせいで説明が不足してしまうこともあるでしょう
が、ひとたび妨害ととられれば、工場で不良医薬品を作っているとみなされる可能性もあるため、
十分注意が必要だと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、11/28(金)に配信させていただきます。


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ASTROM通信』担当 橋本奈央子
info@e-pros.co.jp

2014.11.01

【ICH Q12コンセプトペーパーについて】ASTROM通信<61号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

朝晩すっかり冷え込むようになってきましたが、いかがお過ごしですか?

今回は、ICH(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements
for Registration of Pharmaceuticals for Human Use:日米EU医薬品規制調和国際会議)
で検討されている新しいガイドラインQ12に関する話題を取り上げたいと思います。


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ICH Q12「医薬品のライフサイクル管理に関する技術的および法的考察」
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2014年9月9日にICH運営委員会により、2014年7月28日付ICH Q12の最終コンセプトペーパー
「医薬品のライフサイクル管理に関する技術的および法的考察」が承認されました。

具体的なガイドライン条文はまだ存在していませんが、現時点でわかっていることについて、
コンセプトペーパーの内容をもとにご説明します。

■ICH Q12を作ろうとする背景
ICH Q8、Q9、Q10およびQ11は、科学的かつリスクベースのアプローチの機会を提供していますが、
ライフサイクル全体を通したアプローチが不足しています。
製品ライフサイクルの初期段階(すなわち、立上げ時の開発)は重要視されていますが、
商用生産段階での技術及び規制と調和したアプローチが不足しているために、承認後の運用の
柔軟性は達成されていません。それにより、医薬・バイオテクノロジーのイノベーションや
継続的改善の妨げになっています。
さらに、承認後の変更管理の計画やプロトコルの一貫しない利用があります
結果として、将来を見越したより戦略的な方法で、将来の変更を予め管理するチャンスを
逃しています。
そこで、ICH Q12により、ライフサイクル管理に関する技術的および法的考察に関する調和し
アプローチを提供することで、継続的な品質保証と高品質の医薬品の提供を支援する必要がある
のです。

■ICH Q12の適用対象
ICH Q12は、現在販売されている化学・バイオテクノロジーおよび生物学的製剤を含む医薬品
に適用されることになりそうですが、ジェネリック医薬品をこのガイドラインの範囲に含める
かどうかについては、各規制当局の判断となりそうです。

■ICH Q12への期待
ICH Q12は、ICH Q8~Q11と併用されることが意図され、製品のライフサイクルを通じて、より
予測可能で効率的な方法で、承認後の“化学・製造および品質管理”(CMC)の変更の管理を
容易にするためのフレームワークを提供することになるでしょう。
このガイドラインの採用は、イノベーションおよび継続的な改良を促進し、積極的なサプライ・
チェーンの計画を含む製品の品質保証と信頼できる製品供給を強化するでしょう。
また、規制当局(監査者や査察官)が承認後のCMCの変更の管理に関する製薬会社の医薬品品質
システム(PQS)をより理解することを可能にし、PQSにより多くの確信と信頼を抱くでしょう。

■ICH Q12の構想
この新しいガイドラインの開発および実施は、業界、規制当局および患者のために、次のような
利点を提供することを構想しています。
・製品のライフサイクルを通じて、より透明で効率的な方法でCMCの変更を管理するために、
 企業及び規制当局がより利用可能で供給の信頼性につながる変更管理を実現する
・リスクベースの法的管理と監査・査察のための資源の最適化を促進させる
・簡易化し調和したアプローチと、ICHの全地域を通じたガイドラインの期待についての解釈に
 より、業界がガイドラインへの適合を保証するための書類の維持と更新することを支援する。
・予想される変更管理(例:承認済の変更管理(PACM)の計画、PACMのプロトコル/比較可能性
 プロトコル、申請用紙)に関する規定ツールの使用を促進する。
製造や品質問題による医薬品不足を緩和することができる承認後の変更の戦略的管理を可能
 にすることで、供給に関する信頼性の保証を支援する
・製品の品質のバラツキを減らし、製造効率を増す製造工程とコントロール戦略の継続的改良
 を支援する
・製造効率を上げる
・イノベーションとPACMの導入を促進する
プロセスバリデーションライフサイクルコンセプトの実施を支援す
・ライフサイクルのコントロール戦略を可能にする(例:モデルメンテナンス、分析的ライフ
 サイクル)

出典
http://www.ich.org/fileadmin/Public_Web_Site/ICH_Products/Guidelines/Quality/Q12/Q12_Final_Concept_Paper_July_2014.pdf


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ICH Q12がガイドラインとなるまで
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ICH Q12の今後のタイムスケジュールは次の通りです。
 2014年6月             ICH運営委員会の承認によるトピックの採用
 2014年7月31日         コンセプトペーパー及びビジネスプランのIQDG(Informal Quality
                         Discussion Group)による同意
 2014年9月9日              コンセプトペーパー及びビジネスプランの運営委員会による採用
 2014年11月               ポルトガルのリスボンで第1回専門家委員会(EWG)の開催
 2015年6月                第2回専門家委員会(EWG)の開催
 2015年11月               第3回専門家委員会(EWG)の開催
 2016年第2四半期     Step2ドキュメントの採用
 2017年第2四半期     Step4ドキュメントの採用

今はまだコンセプトペーパーが承認されただけの状態ですので、このICH Q12がガイドライン
として成立するには、まだまだ時間がかかりそうです。

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●補足●
ICHのガイドラインは次の5ステップを経て成立します。
Step1:コンセンサス形成
 コンセプトペーパーに書かれた目的に基づいて、専門家委員会(EWG)が会議を行いながら、
 テクニカルドキュメントのドラフトを作成します。ドラフトのコンセンサスが得られると、
 Step2の採用を要求するために運営委員会に提出されます。

Step2a:6部会のテクニカルドキュメントについての6部会の一致の確認
 テクニカルドキュメントについて、6部会で十分な科学的コンセンサスが存在しているか
 を確認します。

Step2b:規制部会によるによるガイドライン案の採用
 テクニカルドキュメントに基づいて、3つのICH規制部会は、ガイドライン案を作るために
 活動します。
 3部会がガイドライン案に署名してStep2bに到達します。

Step3:規制の協議と議論
 段階1:ICHの各地域の規制当局の協議
 段階2:地域の規制当局のコメントの議論
 段階3:Step3の専門家によるガイドライン案のまとめ

Step4:ICHの調和した3者のガイドランの採用
 運営委員会がガイドライン案に十分なコンセンサスが存在していると同意するとStep4に
 達します。

Step5:実施
 Step4に達したらすぐ、実施の最終段階に移ります。
 このステップは、EU、日本、アメリカの中で、各国の手順に従ってガイドラインを実施します。

出典
http://www.ich.org/about/process-of-harmonisation/formalproc.html#step-2


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まとめ
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今回のテーマであるICH Q12は、内容がまだ見えていないので漠然とした内容になってしまい
ましたが、ICH Q12を作ろうとする動きはとても興味深いです。
というのも、これまでのガイドラインは、コンセプトペーパーにも書かれている通り、製品
ライフサイクルを通じた管理をせよと言いつつ、その記述は開発段階に集中しすぎている気が
してなりませんでした。
皆様も、ICHは商業生産段階での記述が薄く、困惑されることもおありだったのではないで
しょうか。

余談ですが、コンピュータ化システム適正管理ガイドラインも、開発フェーズについては
詳しく書かれているのですが、運用フェーズ、廃棄フェーズは記述が薄い気がします。。。

それはさておき、このICH Q12がどのような内容になるのか、とても楽しみです。
効率的な変更管理の手法を示してもらえるとうれしいなと思います

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、11/14(金)に配信させていただきます。


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