ASTROM通信バックナンバー

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2015.12.28

【気になる国内ニュース】ASTROM通信<89号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

年の瀬も押し迫ってまいりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
いよいよ、今回が2015年最後のASTROM通信となりました。
お忙しい時期かと思いますので、今回は、国内のニュースを2点取り上げて短く切り上げます。
最後までお付き合いいただければ幸いです。


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2016年度薬価改定
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2015年12月16日、厚生労働省は、2016年度の薬価改定のたたき台を中央社会保険医療協議会の
薬価専門部会に示しました。その中で、後発品の初収載薬価は、先発品の0.5がけ(内用薬10品目
以上0.4がけ)とすることが確定しました。
その他、バイオ後続品は0.7がけを維持、後発品は長期収載品を基準に3価格帯を維持すること、
長期収載品は、特例引下げの対象となる後発品の置き換え率を「30%未満」「30%以上~50%未満」
「50%以上~70%未満」に引き上げること、基礎的医薬品については薬価を維持する試行的取り組み
を開始すること、新薬創出等加算の試行を継続すること等が固まっています。
出典:2015年12月18日薬事日報より

現在、後発品の初収載薬価は先発品の0.6がけですが、来年度から0.5がけとなることが決定しまし
た。0.5がけにした場合、採算は見込めるのでしょうか?
厚生労働省は後発品のシェアアップをめざしていますが、後発品を作ろうとする会社が減ってしま
わないか心配になります。


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軽減税率
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2015年12月12日、自民党と公明党は、2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時に導入する
軽減税率について、生鮮食品と加工食品を含めた食品全般(酒類、外食を除く)を対象とすること
で合意しました。
現時点で医薬品は軽減税率の対象となっていないので、消費税率は10%となりますが、健康食品は
軽減税率の対象となると思われます。

医薬品と健康食品の両方を製造・販売している製薬会社様は結構おいでになると思いますが、
軽減税率が導入されると、品目によって消費税の計算が異なるため、営業部門・経理部門の業務が
かなり複雑になることが予想されます。
2017年4月というとまだ1年以上先のことではありますが、今お使いのシステムで軽減税率の対応が
可能なのかを早めに調査しておいたほうがよいかと思います。


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まとめ
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2016年度の薬価改定で後発品の初収載薬価を先発品の0.5がけにすることが確定しました。
0.5がけになった場合、後発品メーカは採算が見込めるのだろうかと心配になります。
後発品に限った話ではないですが、製造原価を正確に把握し、薬価が下がっても利益が確保できて
いるかを確認していく必要があると思います。

それから、軽減税率の話は、健康食品の扱いが非常に気になります。
前回、税率が5%から8%に上がっただけでもバタバタした記憶がありますが、今度は、品目に
よって税率が変わるとなると、相当な混乱が予想されます。
早めの準備が必要ではないでしょうか。

もう1点。上の記事にはないお話ですが、昨今、PIC/S等の海外の規制動向の影響もあって、日本で
も、GDP(Good Distribution Practice)の運用が求められつつあります。
来年には、国内でもGDPガイドラインが発出されると言われていますので、そのあたりの対応が
必要になってくるのではないでしょうか。

来年もいろいろ忙しい年になりそうです。

今年1年、ASTROM通信をお読みいただき、誠にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

それでは皆様、どうぞよいお年をお迎えください。

☆次回は、1/15(金)に配信させていただきます。


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【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子
info@e-pros.co.jp

2015.12.15

【続 最近のFDAウォーニングレター】ASTROM通信<88号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

今年も残すところあと15日となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて、今回は、前回に引き続き、FDAの製造及び製品品質オフィスから発行されたウォーニング
レター(Warning Letter)について見ていきたいと思います。
※文中の“XX”は、ウォーニングレター中でマスキングされている文言です。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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ウォーニングレター(1)
WL:320-16-01 2015年10月22日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
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2014年8月25日~29日 及び 2014年8月12日~28日にインドの2ヵ所の製造所で行われた査察に
おいて、最終医薬品の製造に関し、CGMPからの重大な逸脱が確認され、2014年9月19日、9月22日
付の貴社の回答の是正処置が不十分であった。その後の回答も同様だった。

A.Kalwe製造所(最終調剤製造所)
1.製造、加工、包装、バッチの保存といった製造の重要手順を完遂したという文書を含む製造
及び管理の記録を作成していなかった。
 2014年8月28日、FDA査察官はバッチの製造活動が同時に文書化されていないことに気付いた。
 2つの正式に管理されていないEXCELのスプレッドシートが、品質の不一致の記録と、ある工程
 内の品質データの記録に用いられた。バッチの製造記録に、このデータは、最初はなかったが、
 後でバックデートで入力した。
 2014年2月22日の貴社の回答において、貴社はバッチの記録のレビュ中に気づいた不一致は、
 スプレッドシートに記録することを認めていた。そして、バッチの記録になかったデータは、
 バックデートで追加されていた。CGMPのバックデートの記録は許されない。貴社は、製造所を
 横断して文書を監査し確認するために監査・コンプライアンスグループを作ったと言った。
 しかし、この実践がいかに広がっているかを貴社は示さなかった。
2.主要な装置の保守に関する、適切に文書化された記録の保管を怠った。
 2014年8月25日、査察官は、ゴミ袋の中に予防保守作業指示の原本を見つけた。
 予防保守作業中にみつかった装置の状態に関する手書きの記録を含む部分的に完成した文書が
 ゴミ箱からみつかった。しかし、これに該当する正式な記録に同じ情報はなかった。
3.製造、加工、包装、保管に携わる各職員が、任命された職務を実行するために、教育、訓練を
受け、経験があること、CGMP教育の訓練が、適格な人により実施されていることを保証することを怠った。
 面談中、他の契約社員を教育する契約社員は、提出を求められた教材について説明することが
 できなかった。更に、契約社員の多くは、英語を話せないにも関わらず、英語の教材のみが提供
 されていた。
 公式ファイルでは合格となっていた従業員の不合格の訓練評価フォームがゴミの中にあった。
 貴社の方針によれば、不合格のスコアの職員は再訓練しなければならないが、貴社は従業員の
 公式記録の中で、再訓練のエビデンスを提供できなかった。
4.仕様との説明のつかない不一致または不合格のバッチまたはバッチの成分について、十分に
調査することを怠った。
 貴社はOOS(out-of-specification)の不純物の結果について調査を怠った。これらの結果の完全
 な調査をする代わりに、結果を“実験用”として分類した。
 更に、貴社の職員はFDAに不具合の報告をしたが、薬事関連業務部門は、製品が承認されるまで
 不具合の報告をしないことを決定した。貴社の情報を知らせないという判断は重大な懸念を生む。
5.権限を与えられた人のみが主要な製造及び管理の記録の変更をすることを保証するための
コンピュータや関連システムの適切な管理を怠っている。
 2014年8月25日、試験や原材料や工程内の製造品の使用許可に使われている機器によって生成され
 た実験室のデータにアクセス制限がないことを発見した。貴社のコンピュータシステムはデータ
 の改竄を防ぎ、データの不正アクセスを検知するために必要な管理が欠けている。
 貴社が新しい機器の適格性評価を行っている最中であると認識している。しかし、貴社の回答は
 未だに不適切である。貴社は、管理されていないシステムによって生成された使用許可判定に
 使われるデータが改竄された場合の影響を評価していない。

B.Turbhe製造所(原薬及び最終調剤製造所)
貴社がTurbhe製造所を閉鎖または売却する計画をしていることを知っているが、それでも、無菌
工程の管理でいくつかのCGMP違反があり、それはWarning Letter 320-12-05の違反と似ていたた
め、Warning Letterを発行した。
1.無菌の医薬品に微生物の汚染を防ぐための文書化された適切な手順を作り、それに従うことを
怠った。手順には、無菌工程及び滅菌工程のバリデーションを含む。
 a.貴社は、殺菌した最終製品を作るために使用される無菌充填ラインの単向性の空気の流れの
   適切な検証を怠った、査察官により照査されたビデオに納められた煙検証は、手動介入中の
   空気の流れのパタンを適切に文書化していなかった。いくつかのケースにおいて、空気の
   流れは観察も評価もされていなかった。不十分な煙検証と少ないカメラのアングルは単向性
   の空気の流れを測定することを不可能にした。
 b.貴社は、介入、定期的調整、セットアップ、充填終了後のユニットの取り外し手順を作る
   ことを怠った。
2.貴社は、無菌工程エリアの環境条件をモニタリングする適切なシステムを作ることを怠った。

出典:
http://www.fda.gov/iceci/enforcementactions/warningletters/2015/ucm474013.htm


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ウォーニングレター(2)
WL:320-16-02 2015年11月5日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
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2014年11月17日~21日 及び 2015年1月26日~31日、2015年2月26日~3月6日にインドの3ヵ所の
製造所で行われた査察において、医薬品の最終品の製造に関し、CGMPからの重大な逸脱が確認され、
2014年12月15日、2015年2月19日、2015年3月27日付の貴社の回答の是正処置が不十分であった
その後の回答も同様だった。

A.Unit V1設備
1.仕様や基準に合っていることを保証するために実験室で実施する試験から得られるデータの
保持を怠った。
 貴社の実験室の記録は、貴社の工場で製造される原薬のバッチに関する各テスト中に生成される
 全てのローデータを含んでいなかった。査察官は、バッチサンプルが不合格または標準に合致し
 ない場合、いつもきまって、合格結果が得られるまで再試験をしていることをみつけた。また、
 不合格や標準に合致しない結果は調査されず、公的なラボの管理記録には含まれていなかった。
 査察中、管理されていない“顧客QC実験室”(CQC)の存在は、査察チームに発見されていなかっ
 た。
 この実験室の存在はFDAに前もって知らされていなかった。貴社のQCアソシエイトディレクター
 は、CQC実験室が2012年からアメリカ向けの輸出用原薬のCGMP分析を行っていると認識していた。
 これは、査察終了の1日前にわかった。CQCで生成された高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の
 電子記録の中で下記の問題を見つけた。
 a.2012年1月23日にHPLCを使ってバッチXXのある物質に関する化学分析を実施した。サンプル
   は純度に関し仕様の限界値からはずれて不合格となった。この不合格結果は文書化も報告も
   されなかった。2012年1月24日に再度分析をし、不合格になった。再び、不合格結果は文書化
   も報告もされなかった。2012年1月25日に3回目の分析を実施し、3回目の最後の試験で得られ
   た合格の記録のみが記録された。
 b.2012年1月27日にHPLC を使って、純度の試験を実施したがこのサンプルは不合格となった。
   しかし、文書化も報告も不合格の調査もしなかった。QCデータパッケージには同日に行った
   試験で得た合格の結果を記録し、最初の不合格の結果は含めなかった。
 c.2012年2月10日にHPLCを使った最初のサンプルの分析が2回実施された。このサンプルを使っ
   た2回目の分析で余分なピークがあった。サンプルの準備に関する情報は文書化されておら
   ず、余分なピークのテスト結果は報告されなかった。Drug Master Fileを保証するために
   使われるQCの記録には、2012年2月11日に実施した分析結果のみが記録された。
 d.HPLCを使った最初のサンプルの化学分析は2012年1月14日に実施された。サンプルは、既知
   及び未知の不純物により、規格の限界を超えて不合格になった。同じ日に実施された2つ目
   のサンプルを使った分析でも既知及び未知の不純物が規格の限界を超えて不合格になった。
   2012年1月14日の3回目のテストでも既知及び未知の不純物が規格の限界を超えて不合格に
   なった。3回目の不合格結果だけがQCデータパッケージに報告された。1回目と2回目のサン
   プルについての情報は文書化されなかった。
   2014年の12月15日の貴社からの回答に、試験を繰り返し実施したことに関する説明があるが、
   いかなる説明も記録を保持しないことや、試験結果が不合格の場合、試験を繰り返すことを
   正当化することにはならない。
2.データへの不許可のアクセスや変更を防ぐことをしていない。データの削除を防ぐための適切
な管理がされていない。
 査察中、製品開発実験室(PD Lab)でデータ生成するために使われている電子システムへの
 不許可のアクセスを示す例を見つけた。
 a.貴社のHPLCは、ログインする際にパスワードを要求されないように構成設定されている。
   認証情報を確認できない。システムにアクセスした誰もが、管理者権限でソフトウエアを
   使うことができる。つまり、データの改竄を防ぐための電子的または手続き上のコントロ
   ールがない。
 b.貴社のHPLCはデータの変更や削除を防ぐためのアクセスコントロールがない。さらにHPLCの
   ソフトウエアは、クロマトグラフ分析に関係する全ての活動を記録するための監査証跡の
   機能が不足している。この欠陥により、品質部門も実験室の職員もHPLCの記録の正当性を
   示すことができない。彼らは、データの変更や削除が無かったと証明することもできない。
 c.分析者の1人が、未確認の人間が分析者の権限を使ってシステムにログインしたと述べた。
   この未知の人間が、分析者の知らないところで、試験や削除を実施した。
 2014年12月15日の貴社の回答によれば、PD Labの装置とシステムをnon-CGMPの試験のために使用
 したことになっている。しかし、多くの試験はCGMPの目的で実施している。また、廃棄の最終
 判断は、PD Labで行う管理されていない試験に基づいている。
3.活動を行った時に記録をすることを怠った。
 職員は、バッチの製造や管理の記録を、活動を行った直後に完成しない。QAのレビュ者がバッチ
 記録に入力が無いと気づいた時、彼らは、管理されていない紙片に、全ての記録のない品目の
 リストを別に作っていて、製造マネージャに提供した。データは業務が終わってからCGMP文書に
 入力された。
 2014年11月17日、8つの製品の記録に、製造に使用された原料の重さ、確認のサイン、付属品の
 使用、社内バッチ番号、追加数量、製品ラベルのデータが空欄だった。収率のシートと、バッチ
 のサマリーシートも未完成だった。
 欠けていた情報は、公式な記録の代わりに、管理されていない紙のシートに記録されていた。
 従業員はバッチの記録に存在しないデータがあることをマネージャに気付かせるために紙のシート
 に書いていると答えた。2014年12月15日の回答では、この方法をとっているのは、XXの有効成分
 の製造に関する記録だけで、重さの入力が欠けていたのは製造装置の不備によるものであるとし
 た。
 これらの説明は、CGMPに関するデータを管理されていない紙に記録したことを正当化するものでは
 ないし、イベントと情報を同時に文書に残していないことを正当化するものでもない。逸脱が重大
 であろうとなかろうと、製造工程の逸脱を記録するために、管理されていない紙を使うことも受け
 入れられない。手順からの重大でない逸脱でも、中間体や原薬のリリースの前に文書化され、説明
 され、照査され、品質部門に承認されなければならない。
4.改訂履歴のメンテナンスと共に、全ての文書の発行、改訂、廃止、撤回を管理していない。
 a.貴社のSOP“文書化手続き”によれば、すべての管理文書は完成されアーカイブされることと
   されている。しかし、2014年11月17日、査察官は、一部使用、及び、未使用のバッチの記録、
   分析ローデータ、分析結果、訓練記録、洗浄バリデーションの手順のコピーを廃棄物エリア
   でみつけた。これらの管理文書は、SOPに従って完成されておらず、アーカイブもされていな
   かった。
 b.査察中、査察官は品質部門の管理下にあるべきバッチ記録が製造エリアにあることを見つけ
   た。また、製造職員が品質部門の文書管理印をもっていることを見つけた。貴社のForm483
   に対する回答で、貴社は、改訂したSOPでは、文書管理印は品質部門の職員のみが持っている
   べきであると確認したことになっている。
   我々は、貴社が改訂した手順で従業員を再教育すると約束したことを知っている。しかし、
   SOPの改訂と職員の再教育における包括的な評価を提出していないので、対応は不十分であ
   る。

B.Unit V
1.OOS(out-of-specification)の結果を調査し、適切な是正処置をとることを怠った。
 a.中間体の5バッチは、Drug Master Fileに含まれるHPLCの光学純度試験で不合格になった。
   2015年2月19日の回答によると、2012年以来、11バッチが光学純度試験で不合格になっている
   のを認識しているが、これらの不合格の根本原因を究明することができなかった。全ての
   バッチは、米国薬局方(USP:United States Pharmacopeia)に定められた旋光度試験には
   合格したが、光学純度試験と旋光度試験の相関関係の立証や、根本原因を特定したという
   報告を2015年3月19日まで行わなかった。
   貴社は不合格バッチの中でみつかった不合格の根本原因として特定される条件を示すデータ
   を提供していないので、回答は不十分である。また、貴社は、合格バッチの中に同様の条件
   が存在していたどうかを確認するための評価を行っていない。
 b.中間体の13件で、単一不純物の基準についてOOSがあった。2015年2月19日の回答によると
   2012年以来、この中間体の65バッチが単一不純物の基準を満たさなかった。
   貴社は、この中間体の製造において不具合の率が高いと認識し、特性を明らかにし、不純物
   を特定し、不純物の化学構造を特定し、不純物の形成の最小化に努める努力をした。
   我々はこれらの努力は認めるが、貴社はこの不純物の形成を最小化するための溶解法を見つ
   け、標準に合わないバッチの再処理をする提案をしなければならないので、回答は不十分で
   ある。
2.品質に関する文書を適切に保管していない。
 貴社のSOP“文書管理、保存及び破壊”では、ラベルの画像コピーを認めていないが、査察中、
 ゴミ箱の中から充填前の原薬の、画像コピーされた多数のラベルを見つけた。これらのラベルに
 は、製品の名前、原料コード、バッチ番号、ドラム番号、内容量、バッチ量、サイン及び日付が
 含まれていた。
 2015年2月19日の貴社の回答によれば、ラベルの画像コピーは定められた手順ではない。貴社の
 調査では、これらのラベルは、工程/装置のステイタスの識別のためのもので、工程のステップ
 が終わった後破壊されること、原材料のブレンドの際と包装エリアで使われていることがわかっ
 た。貴社のこの調査結果は、画像コピーされたラベルが、いかに貴社の製造する原薬の品質や
 トレーサビリティに影響を与えるのかを十分に説明しておらず、管理されていない画像コピー
 ラベルの使用を防ぐための手順の実施計画を示していない点で不十分である。
3.データへの不許可のアクセスやデータの変更を防いでいない。
 査察の間、我々はQC実験室の分析者は貴社のコンピュータ化されたSAP在庫管理システムで最終
 製品の出荷許可をする権限を与えられていることに気付いた。最終製品の出荷許可や不許可は
 品質部門の委任不可能な責任であり、実験室の分析者や他の職員により共有することはできない。
 しかし、貴社のSAPシステムは、最終製品の市場への出荷許可と同様、品質部門の監視なしに、
 QC実験室の分析者に中間体の工程から次工程への使用許可を認めていた。
 2015年2月19日の貴社の回答で、貴社はSAPシステムが、QC実験室の分析者に最終原薬の出荷判定
 を含む中間体と原薬のリリースを認めていることを認識していた。しかし、貴社は、SOPに従い、
 SAPを使って最終原薬の実際の出荷判定を行っていないと主張した。また、貴社は、2014年1月から
 12月の間で、QCだけで商用の原薬を1バッチも出荷判定していないことを確かに確認したと述べ
 た。貴社はSAPシステムに追加機能が必要であると認め、SAPの構成設定を修正すると約束した。
 また貴社は、製造所で製造され出荷された全てのバッチについて、QCだけで出荷判定されていな
 いかレビュすることを約束した。
 2015年3月21日、原薬の3バッチは、2013年にQC分析者により商用の出荷判定がされていたと報告
 した。
4.バッチ製造記録において、中間体の保管容器の特定がされていなかった。
 査察中、我々は、貴社が製造中の中間体を保管するために使用するドラムの識別番号をバッチの
 製造記録に記録していないことを見つけた。我々は貴社が取り違えや汚染を防ぐのに必要な管理
 を実施していなかったことを見つけた。
 2015年2月19日の回答によると、貴社はこれらの問題を認め、バッチの記録に、装置の識別情報を
 入力するように改訂し、専用のXXドラムをXXバッグに置き換え、洗浄SOPを改訂した。
 このウォーニングレターへの回答の中で、ドラムの代わりにバッグで中間体を保管することで、
 中間体の品質に影響をあたえないことを示すデータを提供せよ。

C.Unit VII
1.貴社は、バッチやバッチの構成の不一致や不具合について、バッチが既に出荷されたかどうかに
関わらず、十分に調査することを怠った。
 2015年3月3日、充填工程において、査察官は機械の誤動作を記録した。査察官は、QAのアソシエイ
 トディレクター、リソースマネージャ等に通知したが、SOPに反し、管理者は充填工程を中断せず
 に続けることを許可した。その後も機械の誤動作が続いたが、オペレータはマニュアルで対処し
 た。
 貴社のシニアマネージャは不具合を通知されても装置の誤動作を調査し品質への影響を評価する
 ための故障報告を開始しなかった。
2.貴社は無菌医薬品の微生物汚染を防ぐために作られた文書化された手順に従わなかった。手順に
は、無菌工程及び滅菌工程のバリデーションを含む。
 貴社の培地充填記録文書は、バッチ毎の不合格数とその説明を含んでいなかった。大量の培地充填
 ユニットが説明なしに不合格とされていたが、バッチは合格とみなされていた。

出典:
http://www.fda.gov/iceci/enforcementactions/warningletters/2015/ucm473604.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
前回に引き続き、ウォーニングレターネタが続きましたが、いかがでしたでしょうか。
最近のウォーニングレターを見ていると、リアルタイムでGMPの記録を残していないことに対する
指摘が非常に多くなってきているように思います。
今回のウォーニングレターでも、はじめにEXCELや紙に記録をし、後で正式な記録をバックデート
で作成することを指摘されていましたが、我々の身近でも、このような運用は決して珍しくないの
ではないでしょうか?
“現場では手書きのメモをとり、作業が全て終了してから事務所に戻り、製造記録をまとめて入力
するので、通常は1日、間に休日があると2~3日のタイムラグが発生することがあります”という
話は、アメリカへ輸出をしている製薬会社様はもちろん、国内の製薬会社様でも今後は通らなく
なっていくと思われます。

もう1点、今回のウォーニングレターで興味深かったのは、ゴミ箱やゴミ袋の中から作業指示の原本
や訓練記録、ラベルが見つかって指摘されているケースがあったということです
査察官もそこまでチェックされるのですね。。。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

☆次回は、12/28 (月)に配信させていただきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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