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2016.01.15

【フランス提案ピクトグラムについて】ASTROM通信<90号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

明けましておめでとうございます。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回は少し前になるのですが、2015年の10月にフランスが主張した医薬品に付けるピクト
グラム(絵文字)について取り上げたいと思います。

ヨーロッパに輸出をしていない製薬会社様には直接影響のない話ではありますが、フランスの主張
はなかなか興味深いものがあります。
是非、最後までお付き合いいただければと思います。


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フランスの新ピクトグラムに関する提案について
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フランス政府は、EU及び欧州自由貿易地域(EFTA)内で行われる添加剤の製造業務、有効成分の
製造、製品の製造及び包装を示すピクトグラムの新しいラベル付けを欧州委員会に提案した。

フランスの提案するピクトグラムは、長方形の形で、有効成分、添加剤、製造、包装の4つの
カテゴリに一致するよう4等分される。もし例えば成分がEUまたはEFTA内で製造されていたら、
成分のカテゴリは、青い背景に白い文字で“ヨーロッパ”と書かれ、ヨーロッパ外部で製造され
れば、単に黒い×印が書かれる。

フランスの経済産業財務省によれば、ピクトグラムの目的は、医薬品の品質に対する公衆の信頼
を高めることにある。

フランスの提案は、最近のEU外部で発生するcGMP違反に関するネガティブな報告を考慮すると
理解できる。

EU市民は、医薬品の製造の各段階で適切なチェックを実施するEUの管轄庁を信頼している。
しかし、EUの外部で実施されるチェックは、EU管轄庁が実施するものと同じではないため、
EU市民の多数は第三国の管轄庁を信頼していない。これが、特にジェネリック医薬品の品質に
対する信頼の欠如を生んでいる。

フランスは、ピクトグラムの使用により、医薬品の各製造段階で管轄庁が実施する医薬品の品質
のチェックの情報を市民に提供して透明性を促進する必要があると考えている。

しかし、欧州製薬業団体連合会(EFPIA : European Federation of Pharmaceutical Industries
 and Associations)はこのアイデアを気に入っていない。EFPIAは、医薬品の原産国と品質の
レベルの関連付けは、“非常に間違った方向への導き”を含むという懸念を示している。
EFPIAはEU内で販売される全ての薬が同じEU標準に従っていることを保証する法律制定が、EU内の
薬の安全とよい品質を既に保証しているはずであると信じている。

出典:
http://www.gmp-publishing.com/en/gmp-news/gmp-aktuell/pictogram-france-made-in-eu-medicinal-products.html

http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/tris/en/index.cfm/search/?trisaction=search.detail&year=2015&num=562&mLang=EN

http://www.politico.eu/article/france-made-in-europe-labels-drugs/


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まとめ
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フランスの提案するピクトグラムを使用した場合、医薬品の一部の過程でもEUまたはEFTA外で
製造されると、黒い×印がつけられることになるそうです。
黒い×印がついていたら、患者は、それだけで、薬の品質が悪そうな印象を持ってしまうのでは
ないでしょうか。
日本と比べ偽薬の出回る危険の高いヨーロッパで、薬がどこで作られたかはっきりさせたいと
いうニーズは高いのかもしれませんが、フランスの主張は、ヨーロッパで製造された薬以外は
排除したいという保護貿易主義的なものに思えるのは私だけでしょうか。

また、EFPIAは、原産国から品質を想像するリスクを危惧して反対しているということですが、
これも本当にそれだけの理由なのでしょうか。
ヨーロッパの製薬会社でも、インドや中国などのサプライヤを活用している企業は多いと思い
ますので、このピクトグラムが採用されると不利益を被る製薬会社が結構あるのではないかと
思います。

フランスの主張がどこまで通るのか非常に興味深いところです。

もう1点。薬のグローバル化が進んでいるといえども、ヨーロッパの中に、フランスのような保護
貿易主義的な考えが存在している事も、ヨーロッパに輸出されている製薬会社様は、意識しておく
必要があるのではないでしょうか。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、2/1(月)に配信させていただきます。


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