ASTROM通信バックナンバー

月別アーカイブ

2016.04.28

【2020年度末迄に医療用医薬品新バーコード表示必須化!】ASTROM通信<97号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

明日からゴールデンウィークが始まりますがいかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて今回は、1)医療用医薬品の新バーコード表示が2020年度末迄に必須化される件
2)2016/4/5に厚生労働省より公表された平成26年の薬事工業生産動態統計調査の結果
について取り上げたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
1)医療用医薬品の新バーコード表示が2020年度末迄に必須化される件
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
4月15日の厚生労働省の医療用医薬品の流通改善に関する懇談会にて、現在任意表示になって
いる販売包装単位及び元梱包装単位のバーコード表示項目について、原則2020年度末までに
必須化(メーカー側の事情で例外的に延長する場合でも2022年度末までに必須化)することが
決まりました。
メーカー側の事情とは、製造ライン改修に伴う工場建屋増設の工事が必要であったり、委託製造
品目で受託メーカーの製造ライン改修が必要であったりして間に合わない場合等をさします。
今年の6月までパブリックコメントを募集し、8月あたりに通知を改正する模様です。

確認のため、現在発効しているバーコード表示の課長通知の内容をチェックしておきます。
■新バーコード表示について
平成 24 年6月 29 日付け医政経発 0629 第2号・薬食安発 0629 第2号厚生労働省医政局
経済課長・医薬食品局安全対策課長連名通知「 「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」
の一部改正について」により平成27年7月(特段の事情(※1)のあるものは28年7月)以降製造販売
業者から出荷される医療用医薬品については、すべての製品の調剤及び販売包装単位、特定生物
由来製品及び生物由来製品の元梱包装単位に新バーコード(※2)による表示が行われることとなり、
併せて、現在、販売包装単位に新バーコードとともに任意で併記されているいわゆるJANコード
及び元梱包装単位に任意で併記されているいわゆるITFコードが表示されなくなりました。
※1:特段の事情とは、年1回しか製造していない物等をさします。
※2:新バーコードとは、日本工業規格X0509 に規定するGS1 データバー又は日本工業規格X0504
   に規定するコード128をさします。

(1)調剤包装単位
  特定生物由来製品
   商品コード:必須 有効期限:必須 製造番号または製造記号:必須
  生物由来製品(特定生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意
  ●内用薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意
  注射薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意
  ●外用薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意
    ●:特段の事情があるものについては28年7月以降に出荷されるものに表示
(2)販売包装単位
  特定生物由来製品
   商品コード:必須 有効期限:必須 製造番号または製造記号:必須
  生物由来製品(特定生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:必須 製造番号または製造記号:必須
  内用薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意
  注射薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意
  外用薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意
(3)元梱包装単位
  特定生物由来製品
   商品コード:必須 有効期限:必須 製造番号または製造記号:必須 数量:必須
  生物由来製品(特定生物由来製品を除く)
   商品コード:必須 有効期限:必須 製造番号または製造記号:必須 数量:必須
  内用薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:任意 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意 数量:任意
  注射薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:任意 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意 数量:任意
  外用薬(生物由来製品を除く)
   商品コード:任意 有効期限:任意 製造番号または製造記号:任意 数量:任意

必須表示以外のデータについては、今後の表示状況及び利用状況を踏まえ、可能な製造販売業者
から新バーコード表示に順次取り組むことが求められています。

■2015年9月時点の対応状況
元梱包装単位の有効期限表示は、内用薬で70.5%、注射薬で63.3% 、外用薬で58.3% 、
また、販売包装単位の有効期限表示は内用薬で14.2% 、注射薬で30.7% 、外用薬で3.5%に
とどまっているようです。

出典:
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002kclz-att/2r9852000002kcs0.pdf
 2016年4月20日付 薬事日報


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2)平成26年薬事工業生産動態統計調査の結果について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2016年4月5日に厚生労働省より平成26年薬事工業生産動態統計調査の結果が公表されました。
1.生産金額について
平成26年の国内の医薬品最終製品の生産金額は6兆5,898億円で、前年と比べると
3,042億円(4.4%)の減少となりました。平成24年から3年連続の減少です。
増減の内訳を見てみますと、医療用医薬品は-5.2%、配置用家庭薬は-9.6%でしたが、一般用
医薬品は3.4%の増加となっています。
医薬品薬効別大分類別で見てみますと、そもそも生産金額が減っていることもあり、25の
大分類のうち18の分類で減少していました。特に前年に対して減り方が多いのは、抹消神経系
用薬 -17.7%、呼吸器官用薬 -17.2%、アレルギー用薬 -15.1%、診断用薬(対外診断用医薬
を除く) -10.0%、血液・体液用薬 -9.7%、生物学的製剤 -9.5%となっていました。
逆に、増え方が多いのは、その他の治療を主目的としない医薬品 97.8%、放射性医薬品 22.8%、
感覚器官用薬 9.1%となっていました。
生産金額の多い医薬品(薬効別大分類)は、1位 循環器官用薬、2位 中枢神経系用薬、
3位 その他の代謝性医薬品、4位 消化器官用薬、5位 血液・体液用薬となっていました。

2.都道府県別生産金額について
47都道府県のうち22都道府県が前年と比較して増加していました。
増加額が最も大きいのは東京都で626億円(18.9%)、減少額が最 も大きいのは静岡県で
1,374億円(-22.1%)でした。
生産金額の多い都道府県は、1位 埼玉県、2位 富山県、3位 大阪府、4位 静岡県、
5位 東京都となっていました。

余談ですが、私の住む静岡県はいつも上位にランキングされていたのに、いつの間にか4位に
なっていたことにショックを受け、同じタイミングで発表された平成27年12月単月の生産金額
を確認したところ、1位 静岡県、2位 富山県、3位 大阪府、4位 神奈川県、5位 東京都で
埼玉県は6位となっていました。
ちょっと安心しました。
生産金額のランキングは結構変動が激しいのかもしれません。

それにしても、年々医薬品の生産金額が減少しているのは気になるところです。人口は増えて
いないのに薬価が引き下げられているので、生産金額は今後もますます減少していくと思われ
ます。

統計調査の結果を見ても、変動の原因をつかむことはできないのですが、たまに目を通して
みるのも面白いです。

ご興味がおありの方は、下記から詳細をご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/yakuji/2014/nenpo/


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新バーコードの話、いかがでしたでしょうか。
いろいろな製薬会社様とお話させていただく機会がありますが、現時点で任意項目の表示に
ついて完全に対応されている会社様は少ないように思います。
2020年度末までに原則必須化されるとなると、多くの会社様にとって、非常にインパクトが
あるのではないでしょうか。
任意項目(有効期限、製造記号または製造番号、数量)のうちのどの項目が必須化されるの
かも気になるところです。
パブリックコメントの結果も含め、今後の動きについてこのメールマガジンでも随時取り上げ
ていきたいと思います。

さて、ここで1つおしらせがあります。
今年も医薬品・化粧品・洗剤 研究開発・製造技術国際展インターフェックスジャパン(会場
:東京ビックサイト)の時期が近づいてきました。今年は2016年6月29日(水)~7月1日(金)
の3日間の開催となります。
弊社も例年通り出展させていただきます。ブースの位置はITソリューションゾーンの2-45
となります。来場される方は是非弊社ブースにもお立ち寄りください。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

☆次回は、5/13(金)に配信させていただきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★弊社サービスのご案内
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=3.822.430

★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=1.822.430
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=2.822.430
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合
は前日)に配信いたしております。

今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを
お願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子
info@e-pros.co.jp

2016.04.15

【課長通知:医薬品リスク管理計画書の概要の作成について】ASTROM通信<96号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ゴールデンウィークが待ち遠しいこの頃ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて今回は医薬品のリスク管理計画に関する話題を取り上げたいと思います。
具体的には、平成28日3月31日付の薬生安発0331第13号・薬生審査発0331第13号厚生労働省医薬
・生活衛生局安全対策課長・審査管理課長連名通知「医薬品リスク管理計画書の概要の作成及び
公表について」を見ていきたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
医薬品リスク管理計画とは
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
平成28日3月31日付で薬生安発0331第13号・薬生審査発0331第13号厚生労働省医薬・生活衛生局
安全対策課長・審査管理課長連名通知「医薬品リスク管理計画書の概要の作成及び公表について」
が発出されました。

通知発出の背景には、平成24年4月11日付け薬食安発0411第1号・薬食審査発0411第2号厚生労働省
医薬食品局安全対策課長・審査管理課長連名通知「医薬品リスク管理計画指針について」 及び
平成24年4月26日付け薬食審査発0426第2号・薬食安 発0426第1号厚生労働省医薬食品局審査管理
課長・安全対策課長連名通知「医薬品リスク管理計画の策定について」(以下「策定通知」と
いう。)があります。

医薬品リスク管理計画(RMP : Risk Management Plan)とは、医薬品の開発から市販後まで一貫
したリスク管理を一つの文書に分かり易くまとめ、調査・試験やリスクを低減するための取り
組みの進捗に合わせ、または、定期的に確実に評価が行われるようにするためのもので、医薬品
の製造販売業者又は製造販売承認申請者が策定することになっています。

医薬品の適正使用を図り、ベネフィット・リスクバランスを適正に維持するために、個々の医薬
品ごとに、安全性検討事項を特定し、これを踏まえて、医薬品安全性監視計画及びリスク最小化
計画を策定し、必要に応じて有効性に関する製造販売後の調査・試験の計画を策定します。

医薬品リスク管理計画は、製造販売側の管理レベルを向上させるだけでなく、管理計画を公表する
ことで、医療関係者が市販後のリスク管理の内容を広く共有し、市販後の安全対策の強化を図る
効果も期待できます。

管理計画の作成は、平成25年4月1日以降製造販売承認申請する新医薬品及びバイオ後続品、
平成26年8月26日からは後発医薬品にも適用されました。

詳細について
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/items-information/rmp/0002.html


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今回の医薬品リスク管理計画書の概要作成について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
医薬品リスク管理計画書の策定通知により、これまでにたくさんの医薬品リスク管理計画書が
作成・公開されました。
しかし、残念ながら、公開された医薬品リスク管理計画書がわかりにくいという意見が医療現場
からあがっていました。
そのため、厚生労働省は平成28年3月31日に医薬品リスク管理計画の提出の際、A4サイズの概要を
添付することを求める課長通知を発出しました。

作成ルールは下記の通りです。
1)販売名、有効成分、製造販売業者、薬効分類及び提出年月については、医薬品リスク管理
  計画書(以下、RMP )の1頁目から抜粋して記載すること。
2)「1.1.安全性検討事項」、「1.2.有効性に関する検討事項」、「2.医薬品安全性
  監視計画の概要」、「3.有効性に関する調査 ・試験の計画の概要」及び「4.リスク最小
  化計画の概要」については、それぞれ RMP に記載された全ての検討事項及び活動の名称を
  抜粋して記載すること。
3)上記2の全ての検討事項及び活動の名称に、Adobe Acrobatのリンクツールを利用し、クリック
  により RMPの該当箇所に移動するようにリンクを設定すること

原則として A4 サイズ1枚に収まるよう作成することが求められています。

本通知は、平成28年5月9日から適用されます。

課長通知について
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160405I0020.pdf


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今回作成することになった概要は、医薬品リスク管理計画本体に比べると非常にシンプルな構成
となっており、基本的には1ページに収まっているので、医療機関は今よりも情報を活用しやす
くなると思われます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

☆次回は、4/28(木)に配信させていただきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★弊社サービスのご案内
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=3.814.430

★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=1.814.430
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=2.814.430
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合
は前日)に配信いたしております。

今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを
お願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子
info@e-pros.co.jp

2016.04.01

9 / 約 135 件 すべて印刷 新しいウィンドウで開く 【インドの製造所に対する最新のFDAウォーニングレター】ASTROM通信<95号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

今日から平成28年度が始まりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて今回は、3月3日にFDAの製造品質オフィスよりインドの製薬会社に出されたウォーニング
レターについて取り上げたいと思います。
ここ最近取り上げてきたウォーニングレターは、コンピュータの記録に関して指摘している
ものが多かったのですが、今回は設備や運用に関する指摘が多くなかなか興味深いです。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウォーニングレター
WL:320-16-08 2016年3月3日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2015年1月27日から2月4日にインドの製造所で行われた査察において、最終医薬品の製造に関し、
CGMPからの重大な逸脱が確認された。

1.無菌とうたっている医薬品への微生物混入を防ぐための適切な文書化された手順を作って
  それに従うことを怠り、また、全ての無菌および滅菌工程のバリデーションを怠った。

■注射製剤の無菌処理技術の不足
a. オペレータは、ISO 7エリア(グレードB,10,000クラス)で汲んだ水をISO 5エリア
  (グレードA,100クラス)の充填ラインにおいてピストン駆動部の部品を湿らせるのに
  使用した。
b.オペレータは、無菌充填作業中に、充填ラインの下の床を手と膝で這った。
c.オペレータは、開いているバイアルの上に、手でバイアルを移動させた。
d.セットアップ時、オペレータは、袋に入っていない滅菌済道具を、ISO 7エリアから
  ISO 5エリアの充填エリアの閉栓装置の近くに動かした。
e.ISO 7エリアでの荷卸中、オペレータは滅菌済蓋を容器から床に落としたが、そのまま
  拾って容器に戻した。
f.充填室にて、無菌充填作業前に無菌製剤をセットアップ中、オペレータはゴーグルを額に
  つけ、肌をさらした。
g.オペレータは、ラインのバイアルを調整または取り除くために、
  RABS(Restricted Access Barrier Systems)を使用する代わりに素手でラインの覆いを
  開いた。
h.オペレータは、保護されていない滅菌済RABSをISO 5エリアからISO 7エリアに運び、
  その後、可動式のエアーフローをISO 5エリアに運んだ。
貴社のクリーンルーム内の行動および無菌作業の手順は、オペレータが床に触ったり、開いて
いるバイアルの上に寄ったりすることを禁止しているが、オペレータはそれらのことを行って
いる。

■滅菌手順不足
貴社のバリデーション報告内で、従うべきRABSの使用パタンについて言及しているが、オペ
レータは従っていなかった。

■設備設計
貴社の設備は、製品に対し更なる汚染リスクがあることを示している。例えば、従業員は、
他の業務をするために、充填機械の下を這っている。装置を円滑に動かすために、充填機械の
下から水を汲むことは、装置の設計や適格性評価についての懸念も引き起こす。

貴社の回答はFDAにより点検されたビデオ記録のレビュに限定されていて、滅菌手順不足と
それに伴うリスクを判断するための全てのビデオ記録の評価を含んでいない。

このレターへの回答の中で、2014年11月から査察終了までに製造したバッチをリストアップし、
それらの記録についてのサードパーティの評価を含めてください。また手順の改訂を述べた
詳細のアクションプラン、従業員の教育、誰がどのようにビデオ記録を評価しているかに
ついても回答してください。

2.薬が同一性、濃度、品質、純度の標準に従うことを保証するための、科学的な検証や適切な
  仕様書、標準、サンプリング計画、テスト手順を含むラボの管理を定めることを怠った。

■信頼できない環境及び人員のモニタリング
貴社の環境モニタリング(Environmental Monitoring : EM)及び人員モニタリング
(Personnel Monitoring : PM)は、原料やEMおよびPMのテスト手順のせいで信頼できない。
これらのプログラムは次のような理由で科学的に検証されていない
a.先行テストで使用した乾燥平板培地は、科学的に検証されてはおらず、検証結果の信頼性を
  損なった。
b.充填エリアのEMデータのサンプリング場所は指定されていなかった。貴社のSOP手順は、個々
  のオペレータがサンプリングする場所を決めることを認めていた。
c.貴社は、無菌操作に関する人員のモニタリングデータを残していなかった。ラボで生成
  する人員のモニタリングに関する文書は、充填作業を行ったオペレータを特定していなかった。
貴社は、オペレータ達は無菌操作の教育を適切に受けているというが、貴社がささいな過ちと
いう手順は、我々からすれば重大な逸脱であり、貴社の製造作業のビデオ記録は、従業員が
適切な無菌手順に則っていないことを明確に示している。

■不適切な外観検査
不適切なEM、PMに加え、貴社の外観検査は信頼できない。貴社のオペレータの資格の評価および
再評価に、製品の欠陥を判定する能力が含まれていなかった。
貴社のバイアルの外観試験のSOPには、検査者が、ガラスの破片のような欠陥を、“クリティ
カル”また“メジャ”と分類することを許しているが、これらの分類の判断に関する客観的な
基準は設けていない。
貴社の回答によれば、貴社は外観試験の資格判断手順を見直し、検査者の再評価をするとの
ことだが、改訂したSOPも、再評価実施のスケジュールも提出していなかった。

このレターへの回答の中で、外観試験の資格評価プログラムの改善の詳細と、検査者に対して
これまで実施し、今後も続ける予定の教育について提出してください。それから、外観試験の
教育プログラムの効果をどう評価するか、欠陥の分類をどう改善するか、そしてもし検査者が
“クリティカル”や“メジャ”の判断を正しく行えない場合、貴社はどうするかについても
回答してください。
さらに、クリティカルな欠陥のあるバッチが市場に出荷されていないことをいかに保証するか
についても示してください。資格を評価されていない従業員によって外観検査され、出荷された
製品のリスク評価を実施し、結果を提供してください。患者がクリティカルな欠陥のある製品
に触れることがないことを保証するために貴社がとる手順を示してください。

3.仕様や標準に従っていることを示すために必要な全ての試験から得られる完全なデータを
  含むラボの記録を保証していなかった。
査察中、不完全、不正確または偽造されたラボの記録を多数みつけた。
a.無菌充填エリアの空気モニタリングに関するEM記録は、サンプルが実際に収集されていなく
  ても収集されたと報告されたり、CFU=0の合格の検査結果が報告されたりしていた。
  ラボの記録上は空気のサンプルを収集したことになっているが、査察中FDAがレビュした
  ビデオ記録では、EMサンプルは収集されていなかった。
  一人の微生物分析担当者は、EMサンプルは一度も収集されていないと認めた。また二人の
  微生物分析担当者はこれらの手順は日課となっていて、それは仕事のプレッシャによる
  ものだと語った。EMは、サンプルを収集したと偽って報告されたり、CFUの成長がないと
  いう報告されたりしているので、このエリアの無菌充填工程で製造された注射製剤が滅菌
  されている保証はない。

b.2014年1月から9月までのEM記録のレビュにより、充填ラインで対策が必要なレベルを
  超えたサンプルはなかった。しかし我々は、対策が必要なEMの結果を示す12の微生物培地
  をインキュベータで発見した。
  これらのEMの記録は、環境のクリティカルなデータを示している。製品への微生物混入が
  発生する前に、すぐに、混入の可能性のあるルートを特定し、是正処置を実施しなければ
  ならない。

貴社は、管理不行き届きと環境モニタリングプログラムに問題があったと述べた。また、貴社は、
手順を見直し、教育を実施し、2013年3月から2015年1月の記録をレビュしたと回答した
貴社は、調査で、EMのサンプルは収取されず、データは不正だったと確認し、いくつかの是正
処置をとった。しかし、調査前に作られたEMの記録が信頼できて正確であることをいかに保証し、
いくつかのEMデータの偽造が製品の品質にいかに影響したかを示していないので、貴社の回答
は不十分である。

貴社は調査の後、管理を変更し、コンサルタントを雇ったが、貴社の調査は、疑いのある手順
により影響を受ける可能性のあるすべてのシステムとエリアに及んでいなかった。貴社は出荷
された全ての製品が、無菌充填作業中、適切な環境管理のもとで製造されたことを示すのに
十分なデータを提供しなかった。
さらに、データの偽造や改ざん、市場に製品を出荷するために不完全な記録を頼ったことは
度重なる違反である。2014年2月の査察において、同じ製造所で、テスト結果の改ざんと偽造が
報告され、米国市場からの回収につながった。
2014年、貴社は出荷および最終製品の安定性のために実施したテストに関する全てのラボの
電子データおよびハードコピーのデータの総合的な監査を実施するために、サードパーティの
査察官を雇ったが、2015年のFDAの査察において、データの偽造と改ざんがみつかったので、
先の是正措置は効果がなかった。

c.査察官は、製造および工程検査の文書化手順の不足を発見した。
i.  バッチの記録が製造所にいないオペレータにより、確認のチェックがされた。また、
   QA担当者がいない充填室にてQA担当者の確認のチェックがされ
ii.  充填機の消毒は終わっていなかったが、記録上は2014年11月13日に実施されたことに
   なっていた。ビデオのレビュで洗浄の時間は、ビデオ記録とあっていないことがわかった。
iii.  2015年1月29日13:30、オペレータは充填工程において工程内の重量チェックを行ったが、
      14:15まで記録されなかった。さらに、他の重量チェックは査察官がレビュした時に記録
      されていなかった。
iv.  洗浄は完了していなかったが、2014年11月26日の08:57~09:26の洗浄の記録が作られた。
   しかし、ビデオは、洗浄の時間があっていないことを示した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今回のウォーニングレターは、ここ最近取り上げてきたウォーニングレターと異なり、Part11
がらみの指摘がない代わりに、設備や運用に関する指摘が多く興味深かったです。
特に、次の2点は面白かったです。

1つ目は、インドの製造所でビデオ記録を残していること。そして、FDA査察官が、その
ビデオ記録と文書記録を照合してデータの偽造や改ざんを見つけたことに驚きました。
ビデオ記録がデータの偽造や改ざんのエビデンスになってしまうのは残念な話ですが、
作業記録を、文書とあわせてビデオで残すというのは、いい方法だと思います。

2つ目は、記録のタイムラグの話。13:30に行った作業が14:15まで記録されなかったという
指摘があり、FDAは相当なリアルタイム性を要求しているのだなと思いました
現場担当者が作業時にとったメモを、紙や電子上に正式な記録として作るまでに、日本の
製薬会社様でも数時間のタイムラグはあることは多いのではないでしょうか。
記録がないケースもあったからのことだとは思いますが、45分のタイムラグで指摘されて
いるという点にかなり驚かされました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、4/15(金)に配信させていただきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★弊社サービスのご案内
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=3.806.430

★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=1.806.430
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=2.806.430
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合
は前日)に配信いたしております。

今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを
お願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子
info@e-pros.co.jp