ASTROM通信バックナンバー

2016.10.31

【日欧規制当局の情報共有 及び 中国のデータの完全性への取り組み】ASTROM通信<109号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

今年の残りもあと2ヶ月になってしまいましたが、いかがお過ごしですか?

さて、今回は、次の2件の話題を取り上げたいと思います。
1)ヨーロッパと日本のGMP査察情報等の共有の強化について、
2)中国CFDAがリリースしたデータ管理基準ガイドラインドラフトの概要

最後までお付き合いいただければ幸いです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ヨーロッパと日本のGMP査察情報等の共有の強化について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EDQM(European Directorate for the Quality of Medicines:欧州医薬品品質部門)は、
ヨーロッパと日本で共通の治療的製品に関する情報共有を向上し、ヨーロッパと日本の薬局方の
協力を強化することにつき、日本の当局と合意した。

2016年9月13日、日本の厚生労働省(MHLW)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と、EDQMは、
公開されていない情報の機密性に配慮しつつ、組織間のコミュニケーションをいかに強化して
いくかを詳しく述べた書簡を交換した。情報の共有は、主に、ヨーロッパと日本にとって興味の
ある、原薬の製造所のGMP査察の結果に関係する。

さらに、EDQMと厚生労働省は、ヨーロッパと日本の薬局方の間の協力を強化するための具体策を
定義した5年間の協力の覚書にサインをした。これは、検証している承認基準と方法の開発に
関する経験と情報を共有するため、二国間協議、ワークショップ、ヨーロッパ・日本の薬局方と
さまざまな日本の各地域/国の規制機関の間の実務研修)を企画するオプションを含む。この
目的のために、EDQMと厚生労働省は、関連する専門家及びEDQMと日本の規制機関のスタッフを
含む特別な技術ワーキンググループを設けることにも合意した。

この強化された関係は、各国や地域の人々の健康と安全を守り促進するために、厚生労働省、
PMDA、EDQMの能力を高めるだろう。パートナーの持続する目的は、ヨーロッパと日本の安全で
効果的で高い品質の製品へのアクセスの増加を促進するだろう。

出典:
https://www.edqm.eu/en/news/edqm-enhances-sharing-information-japanese-regulatory-authorities-and-strengthens-collaboration


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
中国CFDAがリリースしたデータ管理基準のガイドラインドラフトの概要
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2016年10月10日、中国の国家食品薬品監督管理総局(CFDA)は、薬のデータ管理基準に関する
ガイドラインのドラフトをリリースした。ドラフト文書は、医薬品の開発、製造、販売に関わる
組織が、正確で、タイムリーで、追跡可能なデータ記録を保持することを助けるために設計され
ている。

ドラフト文書は、データ・インテグリティ(データの完全性)を重んじる文化を育てる経営陣
の必要性から、CFDAの標準を満たすための技術面のシステムが必要とするものまでをカバーして
いる。CFDAは、従業員が問題に気付いた時に届け出ることを奨励するオープンで透明な文化だけ
でなく、組織レベルで、会社がデータの完全性のリスクを特定する体制や手順を持つことを推奨
している。会社は、逸脱の対処手順に従って、潜在的な違反を調査し、品質や安全性に影響する
問題をCFDAに報告しなければならない。

CFDAは、データの完全性を重視することは、会社が行う他の優先事項と衝突するかもしれない
ことに気付いているようである。当局は、データの信頼性を保証するために、商業的、政治的、
財政的、組織的な圧力が、作業に影響を及ぼしてはならないと述べている。前述の品質文化は、
CFDAは、会社がこの目的を達成することのできる1つの方法と考える。他の推奨事項としては、
十分な数の人と技術的資源を配置し、GXPに関与する全ての職員がデータの信頼性について訓練
されていることを保証することを含む。

ドラフト文書は、個人がデータの完全性を損なう可能性を最小化するシステムを制定することも
含んでいる。CFDAは、誰がデータを作り、修正したかを特定するために、署名の使用を会社に
求めている。データの修正の場合、システムは、変更が承認され、修正の理由のログが残されて
いることを要求するべきである。これは、トレーサビリティにフォーカスした要求の一部である。
存在しているコンピュータ化システムがCFDAの要求に達しない場合、会社は規制に適合するため
に、代わりの方法を導入しなければならない。
CFDAは2016年10月31日までドラフトについてのコメントを受け付けている。

出典:
http://raps.org/Regulatory-Focus/News/2016/10/18/26018/Asia-Regulatory-Roundup-CFDA-Releases-Draft-Guidance-on-Data-Management-18-October-2016/?utm_source=Email&utm_medium=Informz&utm_campaign=Informz%2DEmails


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
1つ目の、日本とヨーロッパの規制当局の情報共有の話について。
2014年に日本がPIC/Sに加盟して以来、すでに、ヨーロッパ規制当局との情報共有はされている
と思いますが、それが今後更に強化されていくようです。
具体的にどのような影響があるかはわかりませんが、ヨーロッパの規制当局が査察した製薬会社
のGMP不適合情報をスピーディに入手できるメリットが生じる可能性がある反面、日本の規制当局
が査察してみつけた日本の製薬会社のGMP不適合情報もスピーディに拡散するかもしれません。

2つ目の、中国規制当局がデータの完全性に関するガイドラインのドラフトを作成したことについて。
ご存知の通り、昨今 “データの完全性”が非常に重要視されていて、FDA査察でもEU GMP査察
でも、データの完全性に関する指摘が多くなっています。そのような状況で、今回の中国規制
当局によるガイドラインのドラフト版リリースは、グローバルな規制動向に対応した素早い動き
といえるのではないでしょうか。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、11/15(火)に配信させていただきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★弊社サービスのご案内
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=3.926.430

★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=1.926.430
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=2.926.430
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合
は前日)に配信いたしております。

今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを
お願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子