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2017.11.15

【最近の海外製薬企業におけるGMP関連指摘事項】ASTROM通信<134号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

いつの間にか天気予報に雪マークが登場するようになってきましたが、いかがお過ごしで
いらっしゃいますか。

先日、日本製薬団体連合会の第37回医薬品GQP・GMP研究会に参加しました。
予想通り、データの完全性(Data Integrity)の話題が多かったですが、それ以外に、
GDPガイドラインの話題が興味深かったです。
数年前から出る、出ると言われ続けてきたGDPガイドラインですが、ついに2017年度中に発出
されるそうです。当面は自主基準となるようですが、偽造医薬品防止の観点から今後も検討は
進むようで、封緘ルール(例:無印の封緘テープの禁止)や返品について規制強化の動きも
あるようです。また、海外の動きに呼応し、全製品にシーケンス番号を付ける案なども出て
いるようです。
どれも実際に施行されれば非常に影響の大きな話となりますので、今後の動きには注目して
おく必要がありそうです。

前置きが長くなりましたが、今回は、
1.ASTROM通信129号(9/1発信)で取り上げた後に発行されたEUのノンコンプライアンス
  レポート(Non-Compliance Report)2件
2.ASTROM通信131号(9/29発信)で取り上げた後発行されたFDAのウォーニングレター4件
について取り上げ、当局が製薬企業に対し、どんなGMP上の指摘をしているのかを確認して
いきたいと思います。


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1.EUのノンコンプライアンスレポート
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このASTROM通信でも何度か取り上げているノンコンプライアンスレポートですが、製造所の
査察において、EU GMPに不適合と判断される不備が見つかった場合に発行されるもので、
3部構成になっています。
Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所等、Part2にノンコンプライアント
な製造オペレーション、Part3に不備の内容、EUの対策等が書かれています。
査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ていますが、ウォーニングレターに
比べて、指摘の内容があまり詳しくありません。
いつもの通り、Part3部分をみていきたいと思います。

■Report No.UK GMP 43979 Insp GMP 43979/11316477-0004 NCR インドの製薬会社を
イギリスの当局が2017/8/31に査察
●ノンコンプライアンスの種類
机上査察において、データ・インテグリティ、QC実験室の機能、交差汚染、経営陣の管理の
不足、品質システムの不履行に関するクリティカルな不備を確認した。これは以下のオンサイト
の査察で裏付けられた。
製造の職員が承認なしに製造の方法を変えた。
不合格の中間材料が次のバッチに投入され、余りが包装の際に捨てられた。
不良の錠剤、カプセル、カートンの中の添付文書とブリスターを含む市販品で交差汚染があった。
QCの職員が、QC管理者の指示のもと、全てのバッチに関するデータを提供するために、キャンペーン中
の全バッチではなく1バッチから1サンプルを使った。
QCの実験室の不十分なリソースのせいで、安定性試験はスケジュールより著しく遅れ、複数の時点が
省略された。
リスクアセスメントは、記録されたデータのみに基づいて実施された。
GMP関連作業の全てがバッチの記録に残されていなかった。
●とられた/提案された行動
・出荷済バッチの回収
 公衆衛生に必須とみなさない医薬品の回収が検討中である。バッチが関連する承認に従って製造され
 試験されたことの保証がないので、全てのGMP記録の完全性は損なわれている。さらに、安定性試験の
 実施の不足は、流通した製品が安全である保証を弱める。
・供給禁止
 ノンコンプライアンスの状態中の必須でない製品の今後のバッチは、EUへ供給されない。
出典:http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=44401

■Report No.2017090955 デンマークの製薬会社をデンマークの当局が2017/9/21に査察
●ノンコンプライアンスの種類
GMPとGDPの原則を順守しようとする全体的な姿勢や能力に欠けている。
不順守の例:
職員と経営者を監督し十分に作用する当局と同意した通りのクオリファイドパーソン(QP)が
社内にいない
品質保証部門の人員不足
前回の査察以後の、是正処置及び予防処置の不十分なフォローアップ活動と履行
逸脱や苦情への不十分な対応
医薬品の受領後の輸送中の偽造や温度の逸脱に関する不十分な管理
輸送車/運送業者の適格性評価手順の不備
●とられた/提案された行動
・製造承認No.34525の一部停止
 他のEU市場からの医薬品の購入を含め、製造活動を実施してはいけない
 但し、保管サンプルを含む医薬品は隔離保管され、苦情の対応及び市場からの回収に関する
 活動は行う
・出荷済バッチの回収
 リスクアセスメントの結果及び、不順守の問題の一般的な性質により、当局は現時点では
 既に市場にある医薬品の回収は推奨しない
・供給禁止
 この企業で購入された医薬品は、この企業及びその委託製造業者によって再包装されてはならない
 既に再包装された医薬品は出荷されたり販売されたりしてはならな
・その他
 2017年3月8日後に発行されたGMP証明書は引き下げられた
出典:http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=44638


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2.ウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です
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■WL:320-17-48 韓国の製造所の査察(2016/11/3~2016/11/11)でみつかった医薬品製造における
重大なCGMP違反に関する2017/8/31付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.無菌とされている製品の微生物汚染を防ぐために、全ての無菌工程・滅菌工程のバリデーションも
  含め、適切に文書化された手順を制定しそれに従うことを怠った。
貴社は無菌工程が貴社の製品XXの微生物汚染を防ぐことができると証明することを怠った。
<不適切な培地充填>
貴社の培地充填計画は不適切である。シミュレーションは十分な頻度で実施されず、最悪のケース
の製造条件を表していなかった。貴社の職員は、余分な洗浄が培地充填の前に実施されたと報告した。
アルコールが増殖培地に加えられた。貴社の商業生産では、重要な手作業の介入を必要とし、およそ
XXの間にXX単位以上の充填を行うのだが、貴社の培地充填はXXより少ないXX単位だけで構成されていた。
培地充填プログラムは、製造ライン上で行われる無菌状態への介入(計画された、または、計画外の)や、
室内にいることの許された最大人数をシミュレートするために設計され文書化されていなかった。
さらに貴社の培地充填の最低限の記録に、培地充填に参加した作業者を含む基本的な情報が不足していた。
貴社は、貴社の無菌工程が製品XXの汚染を防ぐことを示さなかった。適切な培地充填の研究は、実際の
製造中に直面しうるいかなる介入も考慮した無菌製造ラインの活動と状態を正確にシミュレートしなけれ
ばならない。これらの研究は、各無菌製造ラインが管理し続けられ、患者の使用に適した無菌薬を確実に
製造されるかどうかを評価するために、少なくとも半年ごとに(各シフトに関し)実施されるべきで
ある。
貴社の回答の中で、貴社は、品質部門が2017年1月16日に承認した“無菌製造シミュレーションに関す
る培地充填バリデーション手順”を新しい培地充填の結果と共に提出したが、汚染に関する充填単位の
介入や試験の文書(例:培地充填のバッチの記録)が欠けており、貴社の回答は不十分である。
<不十分な煙の研究>
我々の査察で、軟膏XXの無菌製造ラインの上に一方向流が存在するかを評価するための貴社の煙の研究
が欠けていることを発見した。
貴社は、動的な気流の研究を完了したと述べ、3本のわずかな煙の研究のビデオを提供した。これらの
研究は動的な状態のもとで実施されたと述べているが、我々は、作業の状態や無菌状態への介入
(例:チューブやキャップの再装填、XXの充填)の評価がまだ欠けていることに気づいた。さらに、
無菌工程ゾーンの視界は遮られ、煙の連結管は十分な時間固定されていなかった。
<不十分な滅菌>
貴社の薬を滅菌するための安定した工程が欠けている。我々の査察管は、貴社が、XXのためのXXのため
に、配合タンクの中の軟膏XXのXXにXXを使用していることを発見した。これらの状態は、最小の致死
率を提供する。査察中に提供されたバッチの記録は、流通する前に軟膏XXを滅菌するためのXXが欠けて
いた。
この文書に対する回答の中で、
商業生産の最悪ケースの状態の適切なシミュレーションを保証するために、培地充填プログラムの
 包括的なレビュと、是正処置・予防処置(CAPA)を提出せよ。また、どのように増殖の状態を調べ、
 バッチの生産量の調整を実施したかの詳細を述べよ。
・各無菌製造ラインにおいて、培地充填を半年ごとに実施するために、貴社の改訂プログラムがXXを
 必要とするかどうかを述べよ。
・2015年1月1日以降に実施した全ての培地充填について、製造ライン、培地充填日、実施した単位数、
 試験数、発見された潜在的に汚染された単位数を含む概要を提供せよ。
・XX製品の完了した無菌試験の履歴を提供せよ。(その後に無効とされたかどうかに関わらず、
 全ての無菌性が陽性のものを含めよ)
・無菌充填前にいかに適切に製剤を滅菌するつもりか述べよ。滅菌サイクルの設定値、バリデーション
 手順、バリデーション報告、工程の致死率、無菌性の保証レベルを提出せよ。
・貴社のXXの容器と蓋がどのように滅菌されたか述べよ。滅菌手順、バリデーション手順、全てのXXの
 容器と蓋に関するバリデーション報告を含めよ。
・適切に滅菌されずに製造され、アメリカに販売された使用期限内の貴社の軟膏XXに関する顧客へ
 通知と回収を含む、是正処置の実施に関するアクションプランとタイムラインを述べよ
・貴社の環境及び職員のモニタリング手順を述べよ。モニタリングの場所、頻度、アクションリミットが
 正当である根拠を示せ。
・無菌状態への介入に関する、視界がさえぎられていない状態での徹底的で完全な評価を含む動的状態の
 もとでの煙の研究を提出せよ。また、静的な煙の研究も含めよ。
2.貴社は、バッチが既に出荷されたかどうかに関わらず、バッチやその成分の規格からの説明のつかない
  相違や不具合を十分に調査することを怠った。
貴社は、顧客の苦情を徹底的に調査することを怠った。2016年、貴社はアメリカ市場向けの薬に関する
32件の顧客からの苦情を受け取った。これらの苦情は軟膏XX及びXXを使用後のXXの刺激、火照り、痛み、
分泌を含んでいた。
我々の査察管は、XX軟膏に関する3件の調査レポートをレビュした。各調査は、保管サンプルのテストと、
貴社の従業員を”被験者“とした少なくとも3つの苦情に関係したロットの薬の使用からなっていた。
貴社の調査は、根本原因の決定を助ける決定的な要素にかけいていた。例えば、3つの調査は、製造工程
と関連する記録の評価に欠けていた。貴社は、全ての関連する品質特性(例:無菌性)について、苦情の
あったロットを規定通りに試験しなかった。決定的な要素を見落としたにも関わらず、関連するロットに
ついて、“問題はない”と結論づけた。徹底的な調査もなく、貴社の品質部門は、根本原因に関して信頼
できる判断を下し効果的なアクションをとるための十分な情報が不足していた。
貴社の回答の中で、品質部門は、貴社が無菌試験のバリデーション、苦情サンプルの微生物の分析、安全性
と有効性の試験、製造環境のレビュをするように注意するだろうと述べた。貴社は、“プロセスを通じて、
我々は原因を見つけ出すつもりである”と述べた。
上で述べた苦情が適切に調査されることを保証するために製造工程(原材料を含む)を完全に評価するか
どうかが不明確であるため、貴社の回答は不十分である。また貴社は、貴社の苦情調査システムが修正
されていることを示さなかった。
この文書に対する回答の中で、
貴社の苦情調査プロセスを包括的に修正するためにとった行動を要約して述べよ。そこに貴社の改訂した
 調査手順と、貴社の職員がこれらの手順に従うことを保証するために貴社がとっている行動を含めよ。
・2016年1月以降に受け取った薬の品質に関する苦情に関し、改訂した手順を使った調査で発見したものを
 要約して述べよ。各要約には、全てのテスト結果、根本原因、アメリカ市場に販売された関連バッチ、
 CAPAを含めよ。
3.貴社は、成分、製品の容器、蓋、中間材料、ラベル、製品が、同一性、含量、品質、純度の適切な基準
  に従うことを保証するために設計された、科学的に理にかない適切な規格、基準、サンプリング計画、
  テスト手順を含む、実験室の管理手段を制定することを怠った。
貴社は、入荷したXXのロットをテストするための確認試験の手順を制定することを怠った。
韓国薬局方(KP)に基づく貴社のテスト手順は、XXと類似化合物の化学的構造を識別するのに不十分である。
XXに関する米国薬局方の基準は、確認のための赤外分光法を使った適切な試験を含む。
この文書に対する回答の中で、
全てのバッチを損なう可能性のあるものに対する適切な確認方法を使った遡及効果のある確認試験の
 を達成するための加速されたタイムラインを提供せよ。全ての結果について速やかに回答せよ。
 もし、貴社のデータが、アメリカ市場内に欠陥品があると示した場合、製品の回収を明言せよ。
・原材料・中間材料・最終製品をテストするために用いられる全ての手順が、米国薬局方及び
 国民医薬品集(USP-NF)を使用しているかどうかを判断し、もし使用していなければ、同等または
 それよりよい方法を採用せよ。確認されたいかなる不適切な方法にも対処するCAPAを提供せよ
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント
を雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減する
ものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
出典: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm575436.htm

■WL:320-17-49 中国の製造所の査察(2017/3/6~2017/3/10)でみつかった医薬品製造における
重大なCGMP違反に関する2017/9/7付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、貴社が製造する薬が、それらがうたう、または、有していると説明している同一性、含量、
  品質、純度を持つことを保証するための製造と工程管理に関する文書化された手順を制定することを
  怠った。
貴社は、無菌医薬品XXを製造するために用いられた工程の適切なバリデートを怠った。査察中、貴社は
PQのバッチの記録や、品質管理試験の文書を提供できなかった。貴社は、手順と概要報告のみを不十分な
データと共に提供した。市販用製品のバッチの記録もまた、全ての重要なプロセスパラメータ(例:XX時間)、
成分の追加順、サンプリングの頻度、サンプル数を文書に記録することを怠った。貴社は、中間材料や
最終製品が、所定の製造や品質の要件を満たす保証に欠けていた。
バリデーションの目的は、一貫したバッチの均一性、完全性、薬の品質を保証するために、貴社の工程が
制定されたパラメータ内で動作することを判断するためのものである。信頼できて、文書で十分に裏付け
られたバッチの作業は、工程管理と薬の品質を保証するために必須である。
この文書に対する回答の中で、下記の情報を提供せよ。
貴社の製造や包装工程が適切なパラメータを一貫して満たすよう、ばらつきを識別し、全ての既知の
 原因をコントロールするデータ駆動型で科学的に理にかなったプログラム。
 これには、意図した使用に関する装置の適合性の評価、投入する原材料の品質の保証、各製造工程の
 能力と信頼性の判断と管理を含まれるが、これだけに限定されない。
工程管理のモニタリングや製品のライフサイクルを通じたばらつきの検知に関するプログラムを制定
 するための改訂された手順
・各重要な製造工程を完全に記録するため、特定の処理の詳細の記録を必要とする無菌医薬品XXの製造
 に関する、改訂されたバッチの記録の原本
2.貴社は、成分、製品の容器、蓋、中間材料、ラベル、製品が、同一性、含量、品質、純度の適切な
  基準に従うことを保証するために設計された、科学的に理にかない適切な規格、基準、サンプリング計画、
  テスト手順を含む、実験室の管理手段を制定することを怠った。
貴社は、落下菌・バイオバーデン・無菌の試験用に準備した微生物の増殖培地の増殖促進試験を実施
しなかった。さらに、貴社は、準備した培地が品質と純度の適切な規格を一貫して満たすことを保
するための文書化された手順を持っていない。
この文書への回答の中で、落下菌・バイオバーデン・無菌の試験に用いられる培地が、一貫して準備され、
微生物の増殖を促進するものであることを保証するための手順を提出せよ。
3.貴社は、薬局方に準拠した要求、または、その他の要求を超えて、薬の安全性、同一性、含量、品質
  または純度を変える誤動作や汚染を防ぐために、適切な間隔で、装置や器具を洗浄し、保持し、
  消毒または/及び殺菌をすることを怠った。
2017年3月7日、我々の査察官は、貴社が装置の保管室に、蓋のない容器に入れ、XXの洗浄済の管を保管
しているのを発見した。露出したチューブの端は、ほこりや、最終的に無菌の医薬品を汚染から守るために
カバーされていなかった。貴社は、汚染から防ぐためにこのチューブを保持し、洗浄し、消毒するための
手順が欠けていた。
この文書への回答の中で、貴社の薬の製造に使用される全ての装置の保持、洗浄、殺菌に関する手順を
提供せよ。
4.貴社は主要な装置の保持に関する文書化された適切な記録を保持することを怠った。
査察中、貴社は査察官にXXループのXXの消毒に関する記録文書を提出した。2017年1月から3月の間の
記録は、2人の従業員によりサインされ、この期間に消毒が完了しその検証が完了していることを示して
いた。しかし、査察官は、これらの作業は実際に実施した時には記録されず、査察の2日目である
2017年3月7日に記録が作られ完成されたことを発見した。
貴社の回答は、このデータの完全性の問題を認め、いくつかの改善に踏み出したとことを示している。
この文書への回答の中で、以下のことを述べよ。
A.データの記録と報告の不正確な範囲の総合的な調査。
  省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の不備を明らかにせよ。貴社が
  発見したデータの完全性の欠落があった貴社設備内の作業の全てを述べ、データの完全性の不備
  の性質の評価を提供せよ。
B.発見された不具合の貴社の薬の品質への潜在的な影響の、現在のリスクアセスメント。
C.グローバルな是正処置・予防処置の詳細を含む貴社の管理戦略。
  貴社の戦略には次のことを含めるべきである:データの完全性の欠落の根本原因の総合的な記述、
  患者を保護し、改善の実施中に薬の品質を保証するためにとった、または、とろうとしている暫定措置、
  貴社のデータの完全性を保証するためにとろうとしている長期の対策。既に進行中または完了した
  上記の活動のステイタスレポートを含めよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント
を雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減する
ものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm575785.htm

■WL:320-17-51 中国の製造所の査察(2017/5/8~2017/5/10)でみつかった医薬品製造における重大な
CGMP違反に関する2017/9/12付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、制定された規格や基準に従うことを保証するために必要な全ての試験から得られるデータを
  含む実験室の記録を保証することを怠った。
貴社の経営陣はアメリカ向けのXX(ロットXX)の出荷の判断を裏付けるために使用される分析試験結果
を偽造したことを認めた。
2.貴社は、全ての成分、製品の容器、栓、中間材料、包装材料、ラベル、製品の合格・不合格の判定を
  行うための責任と権限をもった適切な品質管理部門を制定することを怠った。
貴社の実験室の分析結果は、XXのロットXXは通常より効果が薄いことを示した。しかし、提供された分
析証明書(CoA : Certificate of Analysis)は、それが規格内であると示した。バッチは実際に不合格
であるのに、なぜCoAが合格の結果を報告したのかをたずねた時、貴社の品質部門の責任者は、“私がミ
スをした”と述べた。
3.貴社は、薬局方に準拠した要求、または、その他の要求を超えて、薬の安全性、同一性、含量、品質
  または純度を変える誤動作や汚染を防ぐために、適切な間隔で、装置や器具を洗浄し、保持し、
  消毒または/及び殺菌をすることを怠った。
我々の査察官は、貴社の設備に設置されたXXの製品に触れる表面上に、さびて腐食したねじ、XXの液体や
破片、金属製の網の素材が見えているのを発見した。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm576500.htm

■WL:320-17-52 韓国の製造所の査察(2017/1/23~2017/1/26)でみつかった医薬品製造における重大な
CGMP違反に関する2017/9/22付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、出荷前に、製品の各バッチの最終的な規格への十分な適合について、各有効成分の同一性
  と含量の判断を含む適切な実験室の判断を実施することを怠った。
貴社は、各有効成分の同一性と含量をテストせずにXXクリーム(ロットXX)を含むXXを出荷した。
また、XXが制定したレベルに達することをテストせずにXXを含む製品を出荷した。
貴社は回答の中で、“ラベルに印字された成分とXXの含有量は、最終製品試験で実施する予定である”
と述べ、貴社の手順を提供した。
貴社の手順は、各バッチを試験するために用いるテストの特性や方法のリストといった詳細が不足して
いるので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、次のことを述べよ。
・品質管理試験の方法と、バッチの出荷判定前に行う各医薬品のバッチの分析に使用される規
安定性プログラムの一環として現在使用している全ての品質管理試験と規格(化学と微生物の両方)
 のリスト
アメリカ市場内の使用期限内の全ての薬の有効成分の同一性と含量とXXの含有量を判断するために
 実施する保管サンプルの試験の実施計画とタイムライン
 もし、そのような試験が基準以下の品質を示した場合、顧客への通知や製品の回収を含む、貴社の
 計画する是正処置を提供せよ。
2.貴社は、成分、製品の容器、蓋、中間材料、ラベル、製品が、同一性、含量、品質、純度の適切な
  基準に従うことを保証するために設計された、科学的に理にかない適切な規格、基準、サンプリング
  計画、テスト手順を含む、実験室の管理手段を制定することを怠った。
貴社の製品XXに存在する微生物を検出するための微生物のリミット試験が適切であることを示すことを
怠った。方法の適合性試験にて製品が微生物の成長や検出を阻害しないことを示す必要がある。
貴社は、適合性試験を実施すると回答したが、詳細や、是正処置のエビデンスを提供しなかったので、
貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、下記のことを述べよ。
・各製品の適合性試験の実施手順とタイムライン。
 もしそれらの試験が不十分な方法であることを明らかにした場合、CAPAの計画を提出せよ。
・手順、実践、試験、職員の能力を含む実験室の管理の妥当性の総合的なレビュ
3.貴社は、貴社が製造する薬が、それらがうたう、または、有していると説明している同一性、
  含量、品質、純度を持つことを保証するための製造と工程管理に関する文書化された手順を制定
  することを怠った。
<製造工程の管理の不足>
貴社は医薬品XXを製造するために使用される工程をバリデートしていなかった。貴社は、工程の
性能適格性の検討をせず、安定した製造作業と薬の品質を保証するための工程管理のモニタリングの
継続的なプログラムも不足している。
<XXシステムの不十分な管理>
貴社は、XXの米国薬局方の基準と適切な微生物限界を満たすXXを一貫して製造することを保証するため、
効果的に維持し、消毒し、モニタリングし、管理できているかを評価するためのXXシステムの適格性の
検討を実施しなかった。貴社は、このバリデートされていないシステムから、医薬品XXの成分として
XXを使った。
さらに、このシステムで製造されたXXの試験が不足していた。薬剤XXは、意図した使用に適していな
ければならないし、化学及び微生物学上の適切な属性に継続的に一致することを保証するために、十分な
頻度でテストされなければならない。
貴社はXXシステムをバリデートする予定であると回答したが、詳細や是正処置のエビデンスを提供しな
かったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、下記に示す詳細のタイムラインと共に実行計画を提出せよ。
・医薬品XXに関し、工程の性能適格性評価のタイムラインと、バッチ内と中間バッチのばらつきの
 定期的なモニタリングに関する貴社のアプローチの概要
・XXシステムのバリデート、維持、管理、モニタリングの詳細の手順
貴社システムで製造されたXXの試験に関して制定された微生物の分析方法の不十分さを判断するための
 徹底的な評価
試験に使用される適切な分析方法の完全な改善計画を含めよ。
4.貴社は、成分の規格への準拠に関する同一性試験を含む、各ロットの試験を実施することを怠った。
貴社は、品質部門が薬の製造用にグリセリンの使用を許可する前に、供給者から得たグリセリンの原材料
の分析を怠った。グリセリンは貴社が製造する多数の製品の原料である。
貴社は、ジエチレン・グリコール(DEG)またはエチレン・グリコール(EG)が存在するかを判断するための
各ロットの試験を行わなかった。DEGの薬へのコンタミネーションは、世界中の人が死に至るさまざまな
中毒事件を引き起こす。
貴社の回答はグリセリンに関し、米国薬局方(USP)の規格に従ってDEGとEGのリミット試験を実施する
予定だと述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社は、DEGとEGに関し、アメリカ市場に販売した薬の全てのロットを
試験したかどうか回答しなかった。
この文書への回答の中で、グリセリンの全てのロットのDEGとEGの試験の実施に関する最新情報を提供せよ。
また、アメリカ市場内の使用期限内のグリセリンを含む製品について、詳細のリスクアセスメントを提供せよ。
さらに、保持している全ロットのサンプルのDEGとEGの試験をせよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント
を雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減する
ものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm577650.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2通のノンコンプライアンスレポートと4通のウォーニングレターを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

2通目のノンコンプライアンスレポートは、デンマーク当局が自国の製薬企業に対して発行したものでしたが、
厳格な対応をしていて印象的でした。詳細は不明ですが、GDPの不順守を指摘している点も興味深かったです。

4通目の韓国の製薬企業に対して出されたワーニングレター内のグリセリンに関する指摘事項は、2017/7/28付で
フィリピンの製薬企業向けレター(WL:320-17-42)でもあがっていました。どちらの企業も管理が杜撰だったのだ
とは思いますが、立て続けに指摘として登場していますので、グリセリンを含む製品をアメリカ市場に輸出されて
いる製薬会社様は、指摘内容を確認されておいたほうがよいと思われます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、12/1(金)に配信させていただきます。

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【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2017.11.01

【昨今の国内の話題】ASTROM通信<133号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

だんだん寒くなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて今回は、
1.2017年10月5日に発出された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する
  法律施行規則の一部を改正する省令等の施行について」
2.製薬業界におけるAI(人工知能:Artificial Intelligence)の活用
について取り上げたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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1.「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部
を改正する省令等の施行について」(薬生発1005第1号 平成29年10月5日)
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平成29年1月に発生したC型肝炎治療薬ハーボニー配合錠の偽造品の流通事件の対応策として、
平成29年10月5日に、以下の規則や省令を変更する省令が交付されました。
1.「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正
   する省令」(平成29年厚生労働省令第106号。以下「改正施行規則」という。)
2.「薬局等構造設備規則の一部を改正する省令」(平成29年厚生労働省令第107号。以下「改正構造
   設備規則」という。)
3.「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令の一部を改正する省令」
  (平成 29年厚生労働省令第 108号。以下「改正体制省令」という。)

主に下記の内容が、平成30年1月31日から施行されます。
・薬局開設者、店舗販売業者、配置販売業者及び卸売販売業者が医薬品の譲受時及び譲渡時におけ
 書面記載事項の追加(品名、数量、購入等の年月日、購入者等の氏名又は名称、住所又は所在地、
 及び電話番号その他の連絡先等)
高度管理医療機器販売業者等の高度管理医療機器等の譲受時及び譲渡時における書面記載事項の
 追加(購入した年月日及び購入者の氏名及び住所)
複数の事業所について医薬品の販売または授与の許可を受けている事業者が、移転先及び移転元の
 それぞれの事業所ごとに、医療用医薬品(対外診断用医薬品を除く)の移転を記録すること(品名 、
 数量 、移転先及び移転元の場所並びに移転の年月日)
・医薬品を開封して分割販売する場合の記載事項の追加(分割販売を行う者の氏名又は名称並びに
 分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地)
・卸売販売業者の医薬品の販売または授与の業務について、医薬品の貯蔵に関する業務を含むことを
 明確化すること
・薬局、店舗販売業者の店舗及び卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける
 区域が他の区域から明確に区別されていることを追加すること
・薬局及び店舗販売業の店舗において、医薬品の貯蔵設備を設ける区域に立ち入ることができる者を
 特定すること
・薬局開設者、店舗販売業者、配置販売業者及び卸売販売業者は、偽造医薬品の流通防止に向け、
 業務手順書の作成等の必要な措置を講じること
薬局開設者及び医薬品販売業者が実施する従事者に対する研修に、偽造医薬品の流通防止に必要な
 対応に係る内容を含むこと
・薬局等の管理に関する帳簿に、在庫異常の調査結果や廃棄した医薬品の記録を含むこと
・薬局等の管理者は、偽造医薬品の流通防止に向けた適切な管理が求められること

また、下記の内容については平成30年7月31日から施行されます。
・薬局開設者の医療用医薬品(対外診断用医薬品を除く)譲受時及び譲渡時の書面記載事項に、
 ロット番号と使用の期限を追加すること。(一般用医薬品等も記載が望ましい)
・卸売販売業者の医療用医薬品(対外診断用医薬品を除く)譲受時及び譲渡時の書面記載事項に、
 ロット番号と使用の期限を追加すること。(一般用医薬品等も記載が望ましい)
複数の事業所について医薬品の販売または授与の許可を受けている事業者が、移転先及び移転元
 のそれぞれの事業所ごとに、医療用医薬品(対外診断用医薬品を除く)の移動の記録に、
 ロット番号と使用の期限を記載すること。(一般用医薬品等も記載が望ましい)

なお、店舗販売業者や配置販売業者の一般用医薬品等の譲受時及び譲渡時の書面記載事項にも、
ロット番号と使用の期限を記載することが望ましいとされています
注)ロットを構成しない医薬品については、製造番号又は製造記号とされています。

詳細は、通知の原文や変更された条文をご確認いただくことをお勧めします

■出典
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000180257.pdf


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2.製薬業界におけるAI(人工知能:Artificial Intelligence)の活用
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将棋や囲碁の世界で、AI(人工知能:Artificial Intelligence)が人間に勝ったという話題を
耳にされたことのある方も多いと思いますが、昨今、AIの活用場面がどんどん広がってきています。
製薬業界も例外ではなく、既にAIを使った創薬がはじまっています。
また、創薬以外の業務にAIを活用しようとする動きも出てきています。
そこで今回は、創薬以外の活用に関する事例のいくつかを見ていきたいと思います
●事例1
2018年10月6日、第一三共株式会社は、製品に関する患者や医療関係者からの問い合わせに対する
照会対応業務を行っている製品情報センターにおいて、IBM WatsonのAIを利用したコールセンター
支援システムを導入すると発表しました。
既にエドキサバン(製品名:リクシアナ錠)の製品Q&Aを用いた検証を終え、2018年4月から全ての
製品Q&Aを対象とした照会対応業務への活用を開始するそうです。
具体的には、AIが、①顧客の問い合わせ内容を音声認識②質疑の意図・意味を解釈③関連性の高い
Q&Aを検索④最適な回答案 を画面を通じて照会対応者に提案します。
照会対応者により回答案が最適でないと判断された場合は、その結果をフィードバックすることに
より認識率を向上させていくことも可能です。
 出典:http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006733.html
    薬事日報2017年10月18日
    ミクスOnline 2017年10月10日

●事例2
バイオ医薬品企業であるセルジーン社は、ファーマコビジランス(PV)業務にIBM WatsonのAIを使用
するためのパイロット試験を欧米にて実施中で、日本での導入も検討中です。
具体的には、臨床試験データと実臨床試験データをAIに学習させ、早期に副作用の徴候となる
安全性シグナルを検出したり、有害事象を発見したりすることで、副作用の早期発見や対応に
つなげていこうとしています。
 出典:薬事日報ウェブサイト https://www.yakuji.co.jp/entry61015.html

●事例3
田辺三菱製薬株式会社は、MR(医薬情報担当者)の営業活動にAIを活用する方針です。
MRの訪問履歴や情報提供のメールを医師が読んだ時刻や問い合わせ内容を蓄積してAIで解析する
ことにより、MRの効率的な活動パターンを導き、販売促進につなげることをめざして、2018年度に
かけて運用を始めるそうです。
 出典:日刊工業新聞 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00431529

現時点で、AIは、単独で業務をこなすツールというより、人の業務を補助するツールとして活用
されようとしているので、人が業務を行っているという見方ができると思います。
しかし、今後AIを人の代わりに業務に活用することを考えた場合、コンピュータ化システムバリデー
ション(CSV)をどのように行うかが問題になってくるのではないでしょうか。


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まとめ
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●「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する
省令等の施行について」について
  施行までにあまり時間がないので、手順書の改訂やそれに関連した教育の実施のこと等も考えます
  と、かなり急いで対応する必要があるように思います。
  それから、これは必須ではありませんが、店舗販売業者や配置販売業者の一般用医薬品等の譲受時
  及び譲渡時の書面記載事項に、ロット番号と使用の期限を記載することが望ましいとされています
  ので、関係のある会社様は実施の検討をされることをお勧めします。
  今回の改正により、今よりも確実に作業が増えることになりますが、偽造品の流通防止と、万が一
  何かが起こった時の迅速な対応のためには、今回の規制強化は必要不可欠なことのように思います。

●AIの活用について
  AIは、今はまだ身近な仕組みとはいえないかもしれませんが、高齢化に伴う労働力人口の減少、
  薬価引き下げに伴うコスト削減の必要性から、今後間違いなく製薬業界にも普及していくと思います。
  その前に、人に代わって答えをだしてくれるAIの適格性をどう評価するかを今から考えておく必要が
  あるのではないでしょうか。人の適格性評価も難しいですが、AIの適格性評価も相当難しいのでは
  ないかという気がします。。。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、11/15(水)に配信させていただきます。

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