ASTROM通信バックナンバー

月別アーカイブ

2018.07.13

【共有設備内の交叉汚染に関するPIC/S備忘録】ASTROM通信<150号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~ 

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

蒸し暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、PIC/Sより以下の新しい文書が発出され、2018年7月1日から発効となりました。 
・共有設備内の交叉汚染に関するPIC/S備忘録(PI043-1) 
・ヒト用医薬品の添加剤に関する適切なGMP(Good Manufacturing Practice)を確認するための様式化 
 されたリスクアセスメントのPIC/Sガイドライン(PI045-1) 
・共有設備内の異なる医薬品の製造におけるリスク確認に用いる、健康に基づく暴露限度の設定に関する 
 PIC/Sガイドライン(PI046-1) 
・ヒト用医薬品に用いる活性物質に関するGDP(Good Distribution Practice)の原則に関するPIC/Sガイド 
 ライン(PI047-1)

そこで、今回は、1つ目の共有設備内の交叉汚染に関する備忘録を見ていきたいと思います。 
この文書は、GMP査察官が共有設備内の交叉汚染のリスクを評価するために提供されたものです。

同じタイミング(2018年7月1日)で施行された改訂版のPIC/S GMPガイドライン3章、5章も交叉汚染防止の 
要件が追加されていることからもわかるように、交叉汚染の防止は昨今の重要なテーマとなっていますので、 
自社の交叉汚染防止のために是非参考にしていただければと思います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
備忘録:共有設備の交叉汚染 本分(抜粋) 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
■目的 
・この文書の目的は、共有設備の交叉汚染による製品へのリスクアセスメントにおいて、GMP査察官を手助けし、 
 GMP査察官の査察の準備や実施におけるアドバイスを提供することにある。 
・この備忘録は異なるPIC/Sメンバ国間の製薬産業内の共有設備の査察の調和したアプローチにも寄与するはず 
 である。 
・この備忘録は、査察官の教育にも使えるかもしれないが、それは意図した使用目的ではなく、査察官の教育や 
 知識の代わりと見るべきではない。 
■範囲 
・この備忘録は特に医薬品の製造を対象とし、リスクベースドアプローチを奨励している。 
・この備忘録は、共有設備内で製造されたより高度のハザードの出発原料を含む製品の査察に焦点を合わせて 
 いる。低度なハザードの製品用のエリアは重視しないことが必要になるだろう。 
・この文書内で使用されたハザード及びリスクのコンセプトと定義はPIC/S GMPガイドラインのAnnex20にあて 
 はまる。製造業者により規定され承認されたリスクのレベルは交叉汚染の可能性に関係すると認識されるが、 
 査察官は、有害性に適切に取り組んでいることを保証するために、製造所で扱われる原料の有害性の状態に 
 おけるリスクマネジメントの手順や管理を考慮することが重要である。品質リスクマネジメントのプロセス 
 の取り組み、手続きや文書化のレベルは、有害性により引き起こされるリスクのレベルに一致すべきである。 
 有害な原料のリスクの適切な評価に関する科学的エビデンスが不足している場合は、共有設備の使用を避け 
 るべきである。 
・査察官は、この備忘録に記録された点に加え、地域及び/または国の要求を考慮すべきである。例えば、専用 
 設備の要件に関する地域の違い(例:ベータラクタム製品)により、この備忘録にあるいくつかの質問は、 
 変更するか除外することが必要かもしれない。 
・この独立した備忘録の存在は、交叉汚染の管理システムの特別な査察の実施を勧めるものではない。この 
 備忘録の要素は査察の一部を形作ることが期待されるが、交叉汚染に関する査察の時間と深さは、製造される 
 製品の性質と、それが引き起こす有害性に釣り合っているべきである。 
■備忘録 
・査察中、交叉汚染のリスクマネジメントに注意が払われるべきであるが、査察に割り当てる時間は、微粒子の 
 有害性のレベル、扱う製品のタイプと数、どの設備が分離され専用と証明されているかの程度による。 
・交叉汚染の可能性のある作用が考慮され、リスクに基づきふさわしい査察時間が割り当てられることが重要 
 である。主要な作用には、これに限定されないが下記のものが含まれる。 
 ●面 対 面 
 ・洗浄/装置の設計の失敗または不十分な設計により不十分に洗浄された共有装置/ツールから生じるもの 
 ・汚染された洗浄済装置との接触により生じるもの 
 ・職員の着衣から生じるもの 
 ●浮遊するもの 対 空気/表面 
 ・塵埃、ガス、蒸気、スプレー、微生物の不適切な管理による意図的でない環境への放出後の製品の接触面 
  への汚染の定着によるもの 
 ・封じ込めがないことにより生じるもの 
 ・濾過が不十分なエリア間の空気処理システムにおける再循環 
 ・不十分に管理された排出 
 ・空中での長時間の滞留により、高度のリスクが生じた揮発性の微粉化されたパウダーや原料 
 ●工程または装置の不具合から生じる直接または非直接の汚染 
 ・廃棄物システムまたは真空システムからの逆流 
 ・装置の技術的問題 
 ・流出や漏出 
 ●職員、材料または装置または部品の取り違えから生じるもの


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
備忘録:共有設備の交叉汚染 査察プロンプト(抜粋) 
※【】内:関連する最新のPIC/S GMP ガイドラインPart1及びAnnexを示しています。 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
●交叉汚染のハザードの評価とリスクマネジメント 
査察の前に査察官は、製造所の製品の範囲を知っていなければならない。共有設備/装置で扱われる製品の 
ハザードレベルの考察がされるべきである。 
サイトマスタファイル内で既に提供されていない場合は、設備の設計図と工場や工程のブロック・フロー図、 
ユーティリティの識別、装置、原料フロー、廃棄物フロー、汚れたまたは洗浄された移動型装置のフロー、 
圧力差、気流、人の動きの情報が、査察前または査察中に必要となるだろう。 
査察官は、査察中特別な注意が必要となる高度に有害とみなされた製品がどれかを判断するために、優先順位 
決定方法が必要かもしれない。 
製造所で実施された品質リスクマネジメントプロセスの結果は、どの施設や装置が、特定の製品の専用に 
すべきかの判断の根拠にされるべきである。 
査察官は、特に、より高度のハザードの製品を製造している場合、査察前に、上記情報のレビュによって、 
準備時間に適切な時間を割り当てるべきである。 
1.1 施設/装置/ユーティリティ等の共有のレベルに応じて、リスクを評価するために査察に割り当てる時間を 
   要求しているか?【Part1 3.6】 
1.2 査察されている設備または建物は、近くの施設や建物によりハザードが生じることはあるか? 
  (例:空気処理ユニット(AHU)の排気口や吸気口の場所は?)【Part1 3.6】 
1.3 製造所には、製造する、または、製造が計画されている製品に関連したハザードに反映する交叉汚染の 
   管理の実施に関する文書化されたポリシーや方策があるか? 
  ・ポリシーや方策は、製造所で製造するまたは製造を除外する製品の分類について述べ、どのハザードの 
   製品が製造されるもとでの状況かを明確にしているか?【Part1 4 原則, 5.18】 
1.4 新製品の導入において、交叉汚染に関する適切な管理がされているか? 【Annex15_11】 
1.5 装置/設備のリタイアまたは再設定において、交叉汚染を考慮した適切な管理がされているか? 
  【Part1 3 原則】 
1.6 製造所で最近製造された製品、近年製造された過去の製品、医薬品以外の製品を含む全ての製品が特定 
   されているか?【Part1 5.18】 
1.7 共有設備で製造された製品は、交叉汚染を生じさせる可能性のある重大なハザードをもたらすか? 
  【Part1 3.6】 
1.8 製品に関連したハザードは適切に特定されているか?【Part1 5.18, Annex15_10.6】 
1.9 製造業者の製品知識の範囲や信頼性は、以下のハザードに釣り合っているか? 
   ・市販用の製品 
   ・治験薬(IMP)/臨床試験用の新薬(IND)と、臨床開発のどのフェーズにあるか 
   ・市販用の製品と共通のエリアで製造された研究開発用化合物か 
   ・動物用の新しい医薬品か 
   受託製造業者に関し、交叉汚染が適切に管理されることを保証するために、彼らが製造所で製造する 
   製品について十分な知識があるか?【Part1 5.8, Annex13_5, Annex15_10.6】 
1.10 適切な方法でハザードが確認されているか?(例:PDE(Permitted Daily Exposure:1日最大摂取許容量)、 
   ADE(Accepted Daily Exposure:1日曝露許容量)アプローチ、または他の適切なコンプライアンス/安全性 
   の参照) 【Part1 5.8, Annex15_10.6】 
1.11 ハザードの評価に関する科学的な根拠があるか? 
   ・ハザード評価をする職員は適切な教育・訓練・経験を積んでいるか? 
   ・ハザード評価を実行するために適切で利用可能なリソースがあるか? 
   ・ハザード評価が外部委託の場合、適切に管理されているか?【Part1 2.1, 2.10, 2.11, 5.18, 7, 
Annex15_10.6】 
1.12 製造所にはハザードの評価手順があり、それは関連する職員によって承認されているか?【Part1 4.1】 
1.13 ハザードの評価は適切に文書化され、手順に従って実施されているか?【Part1 4.3, 4.8】 
1.14 評価文書において、ハザードのレベルや結論を裏付けるために記述のレベルは適切か? 
   注意:査察官は、自身の組織内の毒物学の専門家に照会する必要があるかもしれない。【Part1 1.12, 
    1.13, 3.6】 
1.15 汚染リスクの特定と管理のために適切な品質リスクマネジメントのアプローチがあるか?手順があり、 
   適切に文書かれているか? 
   ・品質リスクマネジメントプロセスは以下のことを含むか? 
    *評価(確認、分析、評価) 
    *管理 
    *コミュニケーション 
    *レビュ 
    *製造業者のアプローチは、安定していて、科学的に妥当で、製品により生じるハザードに適切 
     に取り組んでいるか? 
   注意:査察官は、PIC/S QRMの備忘録PI-038を参照すべきである。【Part1 1.12, 1.13, 3.6】 
1.16 設備が分離されグループ化された製品を製造している場合、どのように交叉汚染のリスクは管理され 
   ているか? 
   グループ内(例:同じ設備内の、ホルモン医薬品または細胞毒性薬)で、製品のグルーピングや、 
   エリア内で実施されている管理に科学的な論理的根拠はあるか? 
   グループ/エリアの外への影響の可能性に取り組むためにリスク管理は適切か?【Part1 5.19】 
1.17 リスク管理のスタディは、潜在的な不具合の管理に適切に取り組んでいるか? 
   製造業者は、以下に限定されないが下記の不具合に取り組むための適切な方策を持っているか? 
   ・人的ミスを予想しているか?(特に手動で実施される作業) 
   ・装置の故障   
   ・封じ込めの不具合 
   ・空調機に影響する電力の供給停止 
   ・製品/原料をこぼすこと 
   ・予想外の暴露 
   ・キャンペーン製造計画と同期していない再処理/再加工【Part1 1.12, 1.13, 3.6】 
1.18 製造業者は、共有設備内で問題になっている製品を製造するためのスキル、知識、能力、管理(装置、 
   設備の設計、人のスキル、組織を含む)を持っていることを示すエビデンスを見せたか?【Part1 2.1, 
   2.10, 2.11】 
1.19 リスクが、全ての関連する職員に適切に伝えられているか?【Part1 1.12, 1.13】 
1.20 もともとのハザードの分析がまだ妥当かを判断するために、新たに利用可能なデータの定期的レビュの 
   頻度は適切か? 
   ・医薬品安全性対策のデータ分析に従うことを保証するしくみがあるか? 
   ・新しい科学的知識を考慮しているか?【Annex15_11.1, Annex15_11.7】 
1.21 ハザード分析の使用をレビュする時、製品ラインの変更は考慮されているか? 
   (より弱い患者グループへの導入、外用から内用といった投与経路の変更、点滴医薬品の導入、粒子の 
   サイズの変更、新しい種を対象にする等の製品の導入を含む。)【Annex15_11.1, Annex15_11.7】 
1.22 交叉汚染の事象(例:交叉汚染が苦情やOOSが原因の可能性かもしれないと考えた場合)の検知と識別 
   を保証するための管理システムは安定しているか?【Part1 1.1】 
1.23 継続的な安定性を保証するためのリスク評価について規定された管理の定期的なレビュはあるか? 
   製造工程/インフラ/装置/ユーティリティ/等に対する変更は、交叉汚染の潜在的な影響を考慮して 
   いるか?【Part1 1.12, 1.13, Annex15_11.4, Annex20_31, Annex20_32】 
●技術的方法-装置と設備の設計 
設備を歩く間に査察官は装置や建物の設計の適合性の高度な見解を取得しなければならい。一般に、査察官は、 
装置や設備が製造される製品のハザードを反映した設計かどうか検討すべきである。 
表面の粉や、封じ込めの欠陥などのサインに注意せよ。 
設備(建物、部屋、製造ライン等)内の専用のレベルを考慮せよ。 
特に空気処理ユニット(AHU)のゾーン分けや分離に重点を置いて、建物、ユーティリティ、装置の図面をレビュ 
せよ。 
部屋の分類や、隣接しているエリア間の圧力差や、製造エリアの製造活動を示したレイアウトとフローチャート 
をレビュせよ。 
職員、装置、原料のフローチャート、各製造工程の一般的なフローチャートを検討せよ。 
製造エリアの内外で独立して存在している装置(特に移動型ではないが、工程のニーズにより異なる部屋に位置 
している装置)を検討せよ。倉庫や保管エリアのレイアウトも検討せよ。高度に有害な原料の保管と取扱いのため 
の特別なエリアの必要性について検討せよ。 
〇施設 
2.1 施設について、交叉汚染を防止するために設計の方法は適切か?設計の方法は、品質リスクマネジメント 
   プロセスと一致しているか? 
設備の適格性評価は、交叉汚染対策の方策と設計の指針を裏付けているか?【Part1 1.12, 1.13, 3.1, 3.6, 
3.7, 5.19】 
2.2 装置の位置を含む施設の設計は、扱う製品/原料のタイプに関連して、封じ込めを容易にしているか? 
【Part1 3.6, 3.7, 3.8, 3.14】 
2.3 エアロック、エアシャワー、分離された、または、改良された更衣/脱衣エリアのような、構造上の設計は 
   期待される効果に一致し満たしているか?【Part1 5.19】 
2.4 施設は、洗浄や除染を容易にするために設計されているか?(例:洗浄が難しい粉末の収集点の最小化) 
【Part1 3.9】 
2.5 トイレが交叉汚染や再汚染のリスクにならないよう適切に設計されているか?【Part1 3.7】 
2.6 必要に応じて、空気処理ユニット(AHU)、水システム、圧縮空気/ガス、廃液/廃棄物の流れのような専用 
   ユーティリティが、異なる製品のために組み込まれているか? 
   ユーティリティ内の逆流は、交叉汚染のリスクを引き起こしうるか?【Part1 5.19】 
2.7 ゾーン分けの設計や関連する空気処理ユニット(AHU)、圧力のカスケード、気流は適切か?【Part1 3.12】 
2.8 設計された気流は、局部的な排出操作、真空供給システムやドアを開けることなどを考慮しているか? 
  【Part1 3.12】 
2.9 発生源で塵埃/蒸気の発散を管理するための局部的な排出または封じ込めの機能があるか?【Part1 3.12, 
3.14】 
2.10 空気処理ユニット(AHU)の再循環が用いられる場所で、空中の汚染が取り除かれることを確実にするために 
   濾過システムが整っているか? 
   AHUシステムの濾過の信頼性は、生じるハザードに関して適切か?【Part1 3.12, 5.21】 
2.11 製造所が通常時間外に、低電力モードまたはAHUをオフにして稼働する場合、交叉汚染の管理の点で、 
   これは評価され、正当化され、(ハザードの範囲により)効果があると示されているか? 
   ・電力の出力減少や出力増加、または不具合中の影響の検討はされているか? 
   ・意図しない何らかの結果(例:封じ込めの喪失や圧力の逆転)が発生しうるか? 
   ・企業は、一度電力が切れる/電力減少後、電力が切り替えられ、清浄な状態に戻るために必要な時間に 
    関する評価を文書化していたか?【Part1 3.12】 
2.12 特に、高度なハザードの製品が製造される場所で、コントロールのしくみの不具合(例:AHU不具合)を検知 
   するための適切なメカニズムがあるか?【Part1 4 原則】 
〇装置 
2.13 装置に関し、適切な設計の手段が交叉汚染の防止のために整い、品質リスクマネジメントのスタディ結果 
   と一致しているか? 
   装置の適格性評価は、交叉汚染管理の方策と設計の指針を裏付けているか?【Part1 3.34, 1.6 Annex15_3】 
2.14 専用/単一使用の使い捨て装置、及び/または、使い捨て部品が適切に使用されているか?【Part1 5.21】 
2.15 封じ込めの使用に重点がおかれているか? 
   封じ込めが使用される場合、目的にあっているか?【Part1 3, 3.1, 3.6, 3.14, 3.34】 
2.16 オープン処理が用いられる場合、管理と論理的根拠は適切か?【Part1 3.34, 5.20, 5.21】 
2.17 装置は、洗浄や清浄度の確認を容易にするように設計されているか?(例:目視検査、拭き取り) 
   洗浄度が確認できない場合、専用の装置や部品の使用が検討されているか?【Part1 3.36, 5.21】 
2.18 CIP(Clean In Place)またはCOP(Clean Out of Place)システム(例:導管の洗浄用機械、部品の洗浄マシン
   が利用される場合、それらは適切に設計されているか? 
   システムは交叉汚染の可能性がないことを確認されているか?【Annex15_3】 
2.19 CIP/COPサイクルが明記され、モニタされ、記録され、レビュされているか?【Part1 3.38, 4.8】 
2.20 製造業者は、装置の洗浄が難しい部分を適切に特定し、適切な正統的根拠により裏付けられているか? 
   特定のための明確な手順があるか?【Part1 3.38, 4.1】 
2.21 IPC及びサンプル(装置、職員の保護具/着衣、道具及び変更部品を含む)の保管は、汚染管理の一部として 
   考えられているか? 
   必要な場合、管理方法が実施されているか?【Part1 5.21】 
2.22 製造業者は、洗浄プロセスまたは汚染物質に関連した製品の洗浄のための場所、装置、管理された手順 
   を持っているか?【Part1 5.21】 
●組織的方法-一般的な組織の管理、キャンペーン製造の組織、装置の洗浄と検査、装置のバリデーションと 
検証、職員 
組織的方法は、交叉汚染を防ぐために施設や装置の設計を補う。この章では、査察官は、これらの手段がリスクの 
低減と存在するハザードの管理をするために、安定していて十分であることまでを調査する。 
より高度のハザードの製品には、組織的管理に加え、封じ込めの方法により重きをおくべきである。 
一般に、より大きなハザードの原料には、単一の管理の不具合が患者への重大な危機につながらないような冗長な 
手段が期待される。 
組織的方法は、設備や装置の不十分または不適切な設計の代用とみるべきではない。 
洗浄バリデーションは洗浄のスタディの結果であり、方法が着実に適用され、効果的であることを請け合う。 
洗浄バリデーションのスタディ中、洗浄の検証が実施されるべきである。洗浄の検証も、洗浄バリデーション後 
の洗浄度を保証するための継続的なプログラムの一部として必要とされるかもしれない。 
洗浄の検証中に使用されるいかなる分析方法もバリデートされ、拭き取りの要件は、承認された文書内で定義され 
なければならない。 
継続的な洗浄の検証の一部として生成される全ての質的及び量的データの定期的レビュが実施されるべきである。 
〇一般的な組織の管理 
3.1 関連がある場合、リスクアセスメントの中で特定されたリスクに取り組むために、適切な組織の管理が実施 
   されているか?【Part1 1.6, 5.19】 
3.2 汚染された/汚れた装置は、一般的な洗浄エリアに移動される前に、事前に洗浄されるか、保護されるか? 
  【Part1 3.8, 3.14】 
3.3 移動可能、もしくは、固定された装置/付属品が識別されていて、装置の状態が明確で、混同を防ぐために 
   保護されているか? 
   その手順は、適切に文書化されているか?【Part1 3.8, 5.13】 
3.4 専用の装置/部品は明確にラベルがつけられ、適切に管理されているか?【Part1 3.8, 5.13】 
3.5 ハザードのレベルは、定期的な表面及び浮遊するもののサンプルの検討で正当化されているか? 
   サンプリング計画は、封じ込めの方法が効果的であることを検証するために、管理エリアからの発散を検知 
するのに適切か? 
   定期的なモニタリングが必要とされた場合、汚染が確認された際はそれに対処するためにとられるアクション 
とともに、サンプリングがうまく実施されるか? 
   試験方法は、目的にあっているか?【Part1 1.12, 1.13, 3.12, 5.21, 6.15】 
3.6 ハザードのレベルに基づいた廃液/廃棄物の流れの管理とモニタリングは、交叉汚染や廃棄物の流れからの 
   再汚染のリスクを管理するために適切か?【Part1 1.12, 1.13, 5.21】 
3.7 製品または出発原料は、いつでも、交叉汚染を防ぐために環境への曝露が適切に管理されているか? 
   【Part1 5.20, 5.21】 
3.8 原料の保管や取扱いの方法は、交叉汚染を防ぐために適切で、原料のハザードを反映しているか? 
   ・原料は、使用時点まで適切に封印されて保管されているか? 
   ・容器の外側は、交叉汚染を防ぐために清潔にされているか? 
   ・サンプリングのツールは適切に洗浄され、専用もしくは使い捨てになっているか? 
   ・原料がサンプリングもしくは分配されるエリアは適切に洗浄されているか?(または、専用になっている 
か?) 
   ・保管のための整頓がハザードに関して適切か? 
   ・原料の取り違えを防ぐためにラベルが適切に管理されているか? 【Part1 3.1, 3.18, 3.22, 3.24, 5.9, 
5.11】 
3.9 特により高いハザードの製品に関し、こぼすことに関する管理が決定し、職員は訓練されているか? 
【Part1 5.4, 5.11】 
3.10 製造業者は、こぼすことや、その他の普通でない、交叉汚染につながりうる出来事を検知し、記録し、 
   事態の影響を評価するための適切なシステムを持っているか?【Part1 1.4viii】 
3.11 装置、設備は、潜在的な交叉汚染を防ぐために、予防保全を行っているか? 
   例えば、他のエリアを汚染するかもしれないダクト工事や移送ラインで漏れはあるか?【Part1 3.1, 
   3.2, 3.8, 3.10】 
3.12 有害な物質を取り込む可能性のある受託サービス(例:受託試験、契約清掃サービス、他のマーケット 
   用の受託生産)はあるか? 
   ・もしある場合、それらは管理され、評価され、管理されているか? 
   ・受託サービス提供者は、使用している製造業者により、管理方法に関して適切に訓練されているか? 
    【Part1 7 原則】 
3.13 内部の洗濯の手順や設備は、保管の製品との交差汚染を防ぐために管理されているか? 
   外部の洗濯契約者は、他の製造業者の製品との交差汚染を防ぐための適切な管理を行っているか? 
   必要に応じて、除染手順が適用され、それは効果的か?【Part1 2.18, 7 原則, 7.3, 7.4, 7.6, 7.9】 
〇キャンペーン製造の組織 
3.14 共有設備内でのキャンペーン生産に関する製造業者の総合的な方策は交叉汚染を防ぐために適切か? 
   【Part1 5.20, 5.21】 
3.15 製造業者は製造エリア内の装置の交叉汚染の機会を最小化しているか? 
   ・キャンペーン製造のために製造エリア内から装置を取り外す必要はないか? もし、装置の移動が 
    必要な場合、動かそうとしている場所は、清潔で、装置の以前の使用と相性はいいか? 
   ・装置の移動ができない場合、製造業者は、適切に保護しまたは後で再洗浄するか? 
   ・装置の付属品(例:IPC試験装置)や原料のキャンペーン間やエリア間での移動は適切に管理され 
    ているか?【Part1 1.12, 1.13, 3.34, 5.21】 
3.16 製品の接触した装置の洗浄は、非接触表面(例:装置の外側、壁、床等)の洗浄を含むキャンペーン 
   変更の詳細な手順はあるか?【Part1 3.1, 3.2, 3.7, 3.9, 4.1】 
3.17 電話、椅子、消火器、コンピュータのキーボードのような製品と非接触の装置の洗浄について述べた 
   手順があるか?【Part1 3.1, 3.2, 3.7, 3.9, 4.1】 
3.18 必要な場合、除染を指示する手順はあるか?【Part1 3.1, 3.2, 3.7, 3.9, 4.1】 
〇装置の洗浄と検査 
3.19 適切な評価、詳細記述、エビデンスを必要とする装置の洗浄方法の開発に関する手順があるか? 
   (例:装置の図面、装置の製造業者のマニュアルの使用や装置の物理的検査の実施が明記されている 
   か?)【Part1 4.1, 4.3, 4.4】 
3.20 再汚染を防ぐために、装置の洗浄はエリアの洗浄と連動しているか?【Part1 3.1, 3.2】 
3.21 洗浄の指示の詳細さのレベルは、ハザードレベルや装置の複雑さを反映しているか?例えば: 
   ・全ての変数が詳細に明記されている? 
   ・適切な洗浄の化学物質が選択されているか? 
   ・洗浄の化学物質の濃度や接触時間などの関連するパラメータが明記されているか? 
   ・洗浄が難しいエリアははっきりと明記されているか? 
   ・清掃装置の管理や清掃装置の再利用(例:モップの取っ手)が明記されているか? 
   洗浄の記録は求められる管理のレベルを反映して適切か?【Part1 1.12, 1.13, 4.3, 4.4, 
   Annex15_10.5】 
3.22 洗浄のマニュアル、COP(Clean Out of Place)及びCIP(Clean In Place)の手順は、一貫した適用の 
   ために、装置の準備/分解のレベルまで定義しているか?【Part1 1.12, 1.13, 4.3, 4.4, Annex15_10.4】 
3.23 洗浄の一貫性とエラー防止のために、分解された装置を描写した略図や写真が使用されているか? 
   【Part1 1.12, 1.13, 4.3, 4.4】 
3.24 洗浄過程で出る廃液や廃棄物は、交叉汚染や再汚染を許さない方法で管理されているか?【Part1 5.21】 
3.25 装置の清浄度の目視試験の手順は適切に管理され、明確か? 
   閉鎖された工程の装置で、洗浄のタイミング毎に目視試験が不可能な場合、装置や移送ラインの洗浄度 
   は、バリデーション中に適切に証明されていたか?【Part1 4.3, 4.4, Annex15_10.2】 
3.26 目視検査の過程で、必要な場合、潜在的な汚染が見つけられる方法が明記され、実施されているか? 
   製造業者は、目視検査が実施できない場合の正当な理由を持っているか?【Part1 4.3, 4.4, 
   Annex15_10.2】 
3.27 目視検査が実施される場合、再組立ての前に、装置は乾き、検査されることを求めているか? 
   【Part1 4.3, 4.4, Annex15_10.2】 
3.28 一貫した方法で目視検査を実施するために、職員がスキル、知識、能力を持っていることは証明されて 
   いるか?【Part1 2.10, 2.11, Annex15_10.2, Annex15_10.5】 
3.29 手順で定義された目視試験によって残留物を検知することを助けるための方法やツールが、使用されて 
   いるか?(例:ライトや鏡の使用)【Annex15_10.2, Annex15_10.5】 
3.30 最終の目視試験を実施する職員は、洗浄作業から独立しているか?【Part1 1.4iii】 
3.31 潜在的な交叉汚染源が取り除かれたことを保証するために、ラインクリアランスは効果的に確認されて 
   いるか?【Part1 4.18c, 4.19f】 
3.32 製造業者は、以下のような洗浄の不具合を記録するためのシステムを持っているか? 
   ・装置の洗浄の画像により定められた洗浄指図の実行を怠っているとわかった場合 
   ・独立した職員による目視試験により、装置が清浄でないとわかった場合 
   ・拭き取り/すすぎのサンプルで不具合が発生した場合【Part1 1.4viii, 1.4x】 
〇装置のバリデーションと検証 
3.33 洗浄の手順はバリデートされ、定期的に適切な方法で検証され、実施の頻度はハザードで決められて 
   いるか?【Annex15_10.4, Annex15_10.10, Annex15_10.15】 
3.34 洗浄バリデーション/検証について 
   ・バリデーション手順は、洗浄バリデーションを行うために適切に構造化されたアプローチを規定して 
    いるか? 
   ・各洗浄作業後に、洗浄の検証が行われる場合、次の、または、現在の洗浄バリデーションプログラム 
    の一部で、装置が次の使用の前に洗浄されたことが証明されたという保証はあるか? 
   ・毒物学的評価に基づいて、製品の残留物のキャリーオーバーの上限が制定され、リスクアセスメント 
    により正当化されているか? 
   ・手動の洗浄が実施される場合、この方法が職員により一貫して適用されることがバリデーションで 
    示されているか? 
   ・洗浄手順が手動の場合、洗浄手順の信頼性と効果は、定期的な検証を通じて確認されているか?  
    注意:これは、より高度なハザードの製品については、各洗浄のタイミング毎になるかもしれない。 
   ・自動洗浄作業の一貫性や効果の適格性評価がされ、方法には、サイクルのパラメータと正しい 
    サイクルの選択に関するオペレータの検証を含むバリデートされた自動化の方法を含まれているか? 
   ・バリデートされた自動化洗浄方法の全ての変数と誤動作(故障モード)の条件は、確認され、モニタ 
    され、不具合は軽減されているか? 
 ・手動の洗浄と検証の全ての変数と不具合の条件が確認され、モニタされ、不具合は軽減されている 
    か? 
   ・再バリデーションのタイプまたは継続的な検証の頻度は適切で、妥当で科学的な論理的根拠が適用 
    されているか? 
   ・洗浄に関する全ての逸脱は調査され、洗浄バリデーション/検証の定期的レビュ中に考慮されている 
    か? 
   ・洗浄手順のいかなる変更も適切に評価され、洗浄バリデーション/検証に対する影響が記録されて 
    いるか?【Part1 1.4viii, Annex15_10.1, Annex15_10.3, Annex15_10.4, Annex15_10.6, 
    Annex15_10.11, Annex15_10.15】 
3.35 装置または装置の部品の目視検査(例:閉鎖システムまたは配管工事)を洗浄のタイミングで日常的 
   に行うのが不可能な場合、製造業者は、バリデートされたすすぎの方法等で、洗浄度を保証する別の 
   方法を持っているか?【Part1 1.12, 1.13, Annex15_10.1, Annex15_10.2】 
3.36 製造業者は装置の複雑さや残留物をためる可能性に応じて、目視試験を実施しているか? 
   【Part1 1.12, 1.13, Annex15_10.1, Annex15_10.2】 
3.37 手順に従って拭き取りの技術を一貫して適用することを保証するために拭き取りを実施する個人がスキル、 
   知識、能力(記録されたデータや実際の評価)を持っていることが確認されているか? 【Part1 1.8iii, 
   2.10, 2.11】 
3.38 拭き取りのサンプルの量や場所は、ハザードや洗浄が難しいエリアを含む、装置の設計に合っている 
   か?【Part1 1.12, 1.13】 
3.39 製品の残留物が取り除かれたかを確認するための、許容基準に合致した、バリデートされた分析方法 
   があるか? 
   ・拭き取りやすすぎのサンプルの分析用の回収は適切に制定されているか? 
   ・ハザードに対しサンプルの値は適切か? 
   ・回収する値は計算結果を考慮していたか? 【Annex15_10.12】 
3.40 洗浄には以下の状況に左右される時間が含まれ、バリデーション/検証のアプローチの中で制定されて 
   いるか? 
   ・キャンペーンの終了時の洗浄の容易さや、キャンペーン製造の長さ 
   ・装置の最大の汚れ保持時間 【Annex15_10.8, Annex15_10.9】 
3.41 装置の洗浄保持手順と保持時間は洗浄装置の再汚染を防ぐために適切か? 
   洗浄された装置の保管は、使用前の汚染から装置を守り保管を確実にするために適切か? 
   装置の分解、再組み立て、洗浄に利用される道具は、潜在的な汚染源になることを防ぐための適切な 
   管理の対象となっているか?【Annex15_10.8】 
3.42 装置表面の完全性に関し、装置の長時間の繰り返しの使用や、バリデートされた洗浄方法の潜在的な 
   影響について考慮しているか?(使用中の穴や擦り切れ)【Annex15_10.5】 
〇職員 
3.43 職員は適切に訓練され、定期的に交叉汚染や再汚染を防ぐための手順が評価されているか? 
  【Part1 2.10, 2.11】 
3.44 交叉汚染の機会を防ぐために職員に求められる仕事中の行動は手順に明記され、生じるハザードに 
   合っているか? 
   手順は実施され、効果的であることが示されているか? 【Part1 2.10, 2.11, 2.14, 4.1】 
3.45 交叉汚染の機会を防ぐために職員に求められる行動が実施さていることを保証するために製造エリア 
   内に適切な監督または監視があるか? 【Part1 1.4iii, 2.10, 2.11, 2.14】 
3.46 全ての着替え/衣服の条件は製造エリアに出入りする可能性のある職員が交叉汚染を防ぐために適切か? 
   【Part1 3.1, 3.31】 
3.47 保護着の洗濯は交叉汚染を防ぐ意味で管理されているか?【Part1 3.1, 3.31, 3.37, 5.21】 
3.48 職員の保護具の再利用は、再汚染から守り、汚染源になることを防ぐために管理されているか? 
【Part1 5.21】 
3.49 製造エリア間の人の動きは、リスクマネジメントの原則に従って、交叉汚染を防ぐために管理されて 
   いるか? 
   ・製造担当職員 
   ・業務補助職員(例:QC、メンテナンス、エンジニア、請負業者)【Part1 1.12, 1.13, 3.5, 3.27, 
    5.21】


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
まとめ 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
いかがでしたでしょうか。 
交叉汚染の防止は、これまでも重視されていましたが、昨今特に重要なテーマとなっています。 
この機会に、査察プロンプトを活用して、自社や外部の委託先の交叉汚染防止策のチェックに活用してみては 
いかがでしょうか。
☆次回は、8/1(水)に配信させていただきます。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 
★弊社サービスのご案内 
https://drmarketing.jp/cch/73/177/3/426/113532/6ccfa8

★ブログ毎日更新中! 
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ 
https://drmarketing.jp/cch/73/177/1/426/113532/f7afae 
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ 
https://drmarketing.jp/cch/73/177/2/426/113532/76ae19 
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合 は前日)に配信 
いたしております。 
今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを お願いいたします。 
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】 
株式会社プロス 
ASTROM通信』担当 橋本奈央子