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2018.08.31

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<153号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~ 

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

まだまだ暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

今回も、これまでも何回か取り上げているFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から最近出た 
ウォーニングレター(4件)について見ていきたいと思います。 
この4件の中には、日本の原薬製造所のデータ・インテグリティについての指摘も含まれています 
ので、是非参考にしていただければと思います。


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最近のウォーニングレターの概要   
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。 
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■WL:320-18-60 中国の製造所の査察(2017/8/15~2017/8/18)でみつかった医薬品製造における 
重大なCGMP違反に関する2018/6/26付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、出荷前に、医薬品の各ロットについて、各有効成分の同一性、力価を含む最終の規格 
  を十分に満たすかどうか、試験室の判断を行うことを怠った。 
貴社は、子供向けOTC医薬品の受託製造業である。貴社は、OTC医薬品の複数ロットについて、同一性、 
力価を含む規格に一致することを裏付けるデータなしに出荷した。 
貴社は回答の中で、最終製品について貴社が実施した試験は、有効成分の同一性、力価に関する試験 
を含んでいないが、貴社の顧客が、貴社が製品ロットを出荷した後にこの試験をしているかもしれ 
ないと述べた。また、貴社は1年に1回、貴社の最終製品について外部試験機関同一性と力価の試験を 
受けるよう調整するつもりだと述べた。 
貴社は、最終製品の規格をXXの同一性と力価を含むように改訂したが、リリース条件としては出荷前 
に同一性や力価に関する試験を行うことを試験要件に含めなかったので、貴社の回答は不十分である。 
貴社は、アメリカに販売した医薬品の品質を保証するために、保管サンプルの有効成分の同一性と 
力価の試験結果を提出しなかった。 
この文書への回答の中で下記の情報を提供せよ。 
・ロットの引き渡し判断の前に、貴社の各OTC医薬品の分析をするために用いられる全ての化学及び 
 微生物試験の方法と規格 
・アメリカに販売された使用有効期限内の全てのOTC医薬品の保管サンプルの試験から得られた試験 
 結果のサマリ 
 これらの試験結果には、有効成分の同一性と力価、その他の化学及び微生物の品質特性を含むべき 
 である。 
2.貴社は、製品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。 
  貴社は、適切な間隔で供給者の試験結果のバリデーションを通じた試験を実施せず、貴社が頼っ 
  ている成分の供給者の分析の信頼性の証明を怠った。 
貴社は、XXを含む入荷した成分の同一性に関する試験を怠り、代わりに、適格性が評価されていない 
供給者の分析証明書(COA)に頼った。 
貴社は回答の中で、有効成分XXを含む入荷した成分の同一性試験を実施していないことを認めた。 
また貴社は、有効成分の各ロットの同一性試験を実施できる試験機関を探すつもりであると述べた。 
貴社は、他の成分の試験計画や、全ての入荷原料のロットの同一性試験を始めるためのタイムライン 
を示すことを怠ったので貴社の回答は不十分である。また、貴社の回答は、もし貴社が成分の精度を 
評価するために供給者の分析証明書を使用する場合、供給者の信頼性をどう証明するかについて示す 
ことも怠った。 
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。 
・全ての入荷原料の品管のリリース規格と、各ロットに関し貴社が実施する試験 
・各原材料の製造業者から得た分析証明書をバリデートするための、全ての入荷原料の完全な試験 
 から得られる試験結果のサマリ 
・貴社が製造したOTC医薬品を試験する契約施設の適格性を評価し監督するための貴社の手順のサマリ 
・各供給者から得た全ての容器、蓋、原料が適切に確認され、適切な有効期限または再試験の日付が 
 割り当てられ、不適切な容器・蓋・成分の使用を防ぐために、入荷した原材料のロット管理が適切 
 かどうかを判断するための原材料システムの包括的で独立したレビュ 
3.貴社は、医薬品の安定性を評価し、その結果を適切な保管条件や使用有効期限を決定するのに 
  使用するための文書化された試験プログラムを制定し、それに従うことを怠った。 
貴社は、貴社の製品の化学及び微生物学的特性が、ラベルに表示された使用期限内に、許容可能な 
状態にあることを示すための適切な安定性試験を持っていなかった。貴社はXXロットの安定性データ 
に基づきXXの使用有効期限を12ヶ月とした。貴社は、有効成分の含有量に関する分析をしなかった。 
貴社は回答の中で、貴社の安定性試験の手順により、最終製品のサンプルの36ヶ月の安定性をテスト 
するつもりであると述べた。しかし、貴社の手順は、有効成分の含有量を含む化学的な試験を含んで 
いないので、貴社の回答は不十分である。 
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ。 
・これに限定されないが、各安定性試験の工程の中で、有効成分の含有量に関する試験の追加を含む 
 改訂され継続した安定性試験のためのSOP 
・アメリカに出荷された使用期限内の全ての製品について、規格を満たすことを判断するための安定 
 性を示す方法を使った、安定性試験の結果 
 もしOOS(Out-of-Specification)の結果があったら、貴社がとろうとしている是正処置を示せ。 
4.貴社は、製造された医薬品の各ロットの製造及び管理に関する情報と一緒に、ロットの製造指図 
  記録を作成することを怠った。 
貴社は、各ロットの製造記録に関する完全な情報が不足していた。例えば、貴社は、成分の各ロット 
や製造に使用する製造装置の識別を怠った。貴社は、出荷した製品に関し、ユニークなロットもしく 
は管理番号を持っていなかった。貴社は、この基本的な情報が欠けた2017年に製造されたXX以上の 
ロットのリストを我々査察官に提出した。 
貴社は回答の中で、貴社の新しいロット附番システムと、いかに貴社の製造記録を改訂したかを 
述べた。また、貴社は、改訂された製造記録のコピーも提出した。 
●受託製造業者としての責任 
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が、製造設備、 
試験機関、包装業者、ラベル業者などの独立した受託業者を使用していることを知っている。 
FDAは、受託業者を製造業者の延長としてみなす。 
貴社には、プロダクトオーナーとの契約があるかどうかに関わらず、受託設備として、貴社が製造 
した医薬品の品質に関する責任がある。貴社には、医薬品が連邦食品・医薬品・化粧品法に従って 
製造されたことを保証することが求められる。 
●品質システムのガイダンス 
CGMPの法令の要件を満たすために、最新の品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装する 
助けとして、FDAのガイダンス文書である“Quality Systems Approach to Pharmaceutical 
CGMP Regulations”を見よ。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル 
タントを雇うことを強く勧める。第三者が貴社のCGMPを遵守に関し、貴社の作業における各システム 
を包括的に監査するべきである。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務 
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する 
責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年2月14日、貴社に輸入警告措置をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm612483.htm

■WL:320-18-61 中国の製造所の査察(2017/9/11~2017/9/15)でみつかった原薬製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/6/27付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.OOSの結果を、手順に従って適切に調査し文書化することを怠った。 
貴社のOOSの調査のレビュで、貴社にはOOSの結果を調査し、結果を無効にする科学的に正当な手順が 
不足していることを発見した。 
〇分析のOOS結果 
貴社はXXのロットXXに関する、規格より著しく低いOOSの分析結果の調査を開始した。また貴社は、 
規格より低い結果の出たXXのロットXXのOOSの分析結果の調査も開始した。 
両方のケースにおいて、貴社の大まかな調査では異常は見つからず、貴社は、サンプルのガラス容器 
が十分に洗浄されていなかった可能性があるとだけ述べた。貴社は、試験室のエラーを確認せず、 
科学的な正当性にも欠けていたが、OOSの結果を無効とし、両ロットを、合格の再試験結果に基づき 
リリースした。 
試験室のエラーとみなしたうえでの合格の再試験結果の受容は、もともとの不合格結果を無効とし、 
調査を終了するには不十分である。 
実際の溶液、試験ユニット、ガラス容器の再分析は、試験室のエラーが発生したかどうかを判断する 
ために不可欠である。再試験が根本原因を明らかにしていないという仮説の評価は、原因となる試験 
室のエラーがあったかどうかを判断するのに役に立つ。試験室の調査で、試験室のエラーの根本的な 
証拠が不足している時はいつでも、製造の潜在的な原因の徹底的な調査にまで広げることが絶対必要 
である。 
貴社は、根本原因を評価または証明する科学的正当性も調査もなかったことを認めた。 
我々の査察後、貴社は、原薬がガラス容器の残留の洗浄剤の存在で品質が低下したかもしれないと 
いうことを示したと述べた。しかし、貴社の回答は、貴社の調査データを含んでいなかった。 
〇残留溶媒によるOOSの結果 
貴社は、原薬XXロットXXに関し、残留溶媒XXの試験(規格:XXppm未満)のOOSの結果について 
調査P201611001を開始した、調査は、試験室の試験の異常を示さなかった。貴社は、他のサンプルを 
3回試験し、規格の上限に非常に近い結果を得た。貴社は、統計的分析は最初の値と再試験の結果の 
間に大きな違いを示したと述べて、最初の不合格の結果を無効化した。貴社の調査は、不合格の結果 
の根本原因について更なる評価をすることが欠けていた。 
貴社は、そのロットを、原薬XXロットXXの社内生産において中間体として使用するためにリリース 
した。 
原薬の試験結果を無効にするために“棄却検定”を使用することは適切ではない。そのような統計的 
な処理は、極端な試験結果の原因を特定せず、単なる情報の利用にすぎない。この場合、貴社は、 
もともとのOOSの結果に似て上限値に近かった複数の再試験の結果も調査に含むべきだった。 
さらに、貴社のOOSの調査手順Q0100012.001は、オリジナルのサンプルの再試験の必要性に対処せず、 
新しいサンプルが試験されるべき場合について詳細に述べているので、不適切である。 
この文書への回答の中で 
・アメリカ市場にある製品で得られ、無効化された全てのOOSの結果の回顧的レビュを提出せよ。 
 科学的な正当性とエビデンスが決定的かどうかを評価せよ。最終的に試験室が根本原因とされた 
 調査に関し、是正処置及び予防処置(CAPA)の計画の妥当性を判断し、同じ根本原因に対して 
 脆弱な他の試験方法が改善の対象とされていたことを保証せよ。試験室で結論が出ていない、 
 または、根本原因が特定されていないOOSの結果について、ロットの製造記録、製造ステップの 
 妥当性、工程の能力、逸脱の記録、ロットの不具合の履歴を含む製造の徹底的なレビュを含めよ。 
 各調査おいて製造の潜在的な根本原因であると確認したもののCAPA計画を提出せよ。 
 必要に応じて、工程の改善を含めよ。 
・OOSの結果を無効化するために統計的な棄却検定が使用された全ての事例について評価せよ。 
 医薬品の品質に対する潜在的な影響を判断せよ。 
・貴社のOOSの結果を調査する総合的なシステムを評価せよ。OOSの調査の質を向上させるための 
 CAPA計画を提出せよ。貴社のCAPAは、貴社の改訂されたOOSの調査手順が試験室の調査を監督し、 
 試験室の管理の傾向の悪化を特定し、試験室の原因が最終的に確認できなかった場合、潜在的な 
 製造の原因を調査する品質部門の改善を含むことを確実にすべきである。 
・貴社の逸脱、不具合、苦情、OOS結果、不合格の調査に関する総合的なシステムの包括的で独立 
 した評価をせよ。貴社のCAPAは、これに限定されないが、調査の能力、根本原因の分析、文書化 
 された手順、品質部門の監督を改善することを含むべきである。また、CAPAの効果を評価する 
 手順を含めよ。 
2.品質部門が重大な逸脱が調査され、解決されることを確実にすることを怠った。 
貴社は、回顧的レビュから見つかった2015年2月からの分析用クロマトグラフィデータの異常 
(例:データ削除、サンプルのトライアル注入、監査証跡の紛失)について、適切に調査しな 
かった。貴社は重大なデータ・インテグリティの欠陥を発見した時、レビュの範囲をより大きな 
データセットに広げなかった。また、重要なデータのインテグリティの逸脱の再発を防止するため 
の是正処置を怠ったので、貴社の調査は不十分である。我々査察官は、貴社が回顧的調査の数か月 
後に実施されたロットリリースの試験中に、原薬XXロットXXの初期のクロマトグラフの注入データ 
を消したことを発見した。 
貴社は回答で、分析用クロマトグラフィデータの更なる回顧的レビュ(手順SD-Q0100011.000)を 
実施し、不適切な積分と残留溶媒の結果、関連する溶液の非連続的な注入を示しているシステム 
適合性試験データ、連続注入のデータを発見したと述べた。貴社は最初の試験結果の妥当性を確認 
したことを示す詳細を含んでいないので、貴社の回答は不適切である。詳細には、再試験の 
サンプル試験日付と結果、再試験とオリジナルのデータの比較、評価に含まれるロットの“包括的 
なレビュの記録”が含まれているべきである。貴社の回答は、データ・インテグリティの違反の 
根本原因の評価と、規格に合わなかった全ての製品に関する是正処置も不足している。 
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。 
・我々の指摘に応えて開始された逸脱調査GOV-2017001のコピー 
・関連する付属書類も含んだ、貴社の回顧的レビュ(手順SD-Q0100011.000)の全ての段階の報告 
〇無菌工程に関する更なる懸念 
我々査察官は、事前承認査察の一部として評価された無菌製造作業に関する不完全なデータを発見 
した。例えば、貴社は、貴社が無菌の粉末を製造している作業場XXのグレードAエリアの除染サイ 
クルを記録した電子データの保管を怠った。貴社は、電子データを上書きし、いい加減に文書化 
された記録のみを保管した。 
貴社は、製造エリア内の生育不能な粒子のモニタリングに関する電子データの信頼性を保証しな 
かった。我々査察官は、貴社は無菌原薬が製造された2017年8月の少なくとも2日間、作業場XXと 
XXのグレードAとグレードBのエリアにおける生育不能な粒子のモニタリングシステムの電子監査 
証跡機能を無効にしたことを発見した。また、粒子数を含むデータファイルは、誰が何を変更した 
かの表示もなく修正されていた。 
貴社は回答の中で、これらの指摘についてのレビュを提出した。貴社は、2015年3月の前回のFDAの 
査察以後の全ての不適当な生育不能粒子のモニタリング記録の製品への影響を評価すると約束した。 
貴社は貴社の結論を裏付ける十分なデータの提供や、データシステムの完全性を評価するための 
より包括的なCAPAの実施の約束をしなかったので、貴社の回答は不十分である。 
我々の査察は、不十分な無菌処理作業も明らかにした。この文書への回答の中で、以下の情報を 
提出せよ。 
・製造中の適切な無菌業務とクリーンルームの作業を保証するための貴社の計画 
 全ての製造ロットを定められた通りに監督者が監視することを確実にするための詳細の手順を 
 含めよ。 
 また、無菌作業中とその他の作業の品質保証部門の監視の頻度を述べよ。 
・貴社の無菌工程、装置、設備に関わる全ての汚染の危険の包括的な確認 
 ISO 5エリアの全ての人の相互作用、装置の配置と人間工学、ISO 5エリアとその周辺の部屋の 
 空気の品質、設備のレイアウト、人の流れ、原理材料の流れを含むリスクアセスメントを提出 
 せよ。また、汚染の危険のリスクアセスメントで見つかったことに対応するための詳細なCAPA 
 の計画をタイムラインと共に提出せよ。 
●データ・インテグリティの改善 
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・ 
完全性を適切に保証していない。この文書への回答において、次の情報を提供せよ。 
A.アメリカに販売された薬のデータのレビュの結果を含む、データ、記録、報告の不正確さ 
  の範囲に対する包括的な調査 
B.貴社の薬の品質で発見された不具合の潜在的な影響についての現在のリスクアセスメント 
  アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こさ 
  れた患者のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。 
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略 
  詳細なCAPAの計画では、貴社により生成される試験データ、製造記録、FDAに提出された 
  データを含む、全てのデータの信頼性と完全性を貴社がいかに保証するつもりかの詳細を 
  述べるべきである。 
  このCAPAの計画の一部で、貴社のコンピュータシステムの設計と管理(構成設定、管理者 
  権限、監督等)における脆弱性の改善にも焦点があてられるべきである。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した逸脱の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル 
タントを雇うことを強く勧める。また、適格な第三者が、貴社のCGMP遵守(データ・インテグリティ 
を含む)に関し、貴社の作業のシステムの包括的な監査をし、貴社の是正処置と予防処置の完了と 
効果を評価することを勧める。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社 
の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
この文書で言及した逸脱は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの逸脱の調査、 
原因の特定、再発の防止、その他の逸脱の防止に責任を負う。 
貴社が全ての逸脱を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、FDAは 
いかなる新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm612885.htm

■WL:320-18-62 インドの製造所の査察(2017/7/27~2017/8/4)でみつかった医薬品製造における 
重大なCGMP違反に関する2018/7/5付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、ロットがすでに販売されたかどうかに関わらず、ロットやその成分の規格への説明の 
  つかない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。 
貴社は、適切な調査や科学的な正当性もなく、OOSの結果を無効化した。例を示す。 
a.2017年1月に、貴社は、ロットXXの安定性試験中にXXの不純物に関するOOSの結果を得た。 
  貴社のOOS報告で、クロマトグラフィの異常はなく、システムの適合範囲を満たしていたが、 
  仮定される原因は、不十分なカラム効率(column efficiency)のせいであると述べた。 
  査察中、貴社の試験室のマネージャは保持時間、クロマトグラフィの理論段数、テーリング 
  ファクタは適切で、特定の根本原因は示さなかったと述べた。貴社は分析を繰り返し、合格 
  結果を得て、OOSの結果を無効化した。 
  2017年3月、貴社はロットXXの安定性試験中にXXの不純物に関するOOSの結果を得た。貴社は、 
  分析者がHPLCのバイアルを不適切にすすいだとことを疑った。新しいサンプルを用意し、 
  オリジナルのカラムと新しいカラムの両方を使い、第二の分析者により試験を行い、古い 
  バイアルも新しいバイアルもOOSの結果を得た。貴社は十分なエビデンスが不足していたが、 
  貴社の調査は、OOSの結果はサンプルのバイアルの汚染によると結論づけた。 
  貴社は保管サンプルの試験から合格結果を得た後、OOSの結果を無効化した。 
  貴社は、調査の結論を出した後、徹底的な分析と安定性試験中に得た全ての結果により、 
  医薬品XXの5ロットの自発的な回収を開始した。 
  貴社はFDAに、XXの分析の不合格の明らかな根本原因はXXからの過度のXXであると述べた。 
  しかし、調査は、XXの影響を受けた可能性がある使用期限内のアメリカ市場に販売された 
  他の全てのロットの適切な評価に欠けていた。 
b.安定性の加速試験下での、XXのロットXXの、XX規格に関するOOSの調査も不十分だった。 
  貴社はOOSの結果を得た。試験室内で突き止められる根本原因を証明できなかったが、貴社は、 
  繰り返しの分析中に合格結果を得て、Phase IIの製造の調査をせず、OOSを無効化した。 
  調査の後、貴社は徹底的な分析と安定性試験中に得た結果により、8ロットを回収した。 
  XXを越えることを許す、基準を満たさないXXの使用が不具合の原因となったが、貴社の回答 
  には、根本原因と、この大きな問題の影響範囲に関する十分な情報が欠けていた。 
  上記の2つの例において、貴社は、潜在的な製造の原因に取り組むためのタイムリーなOOSの 
  調査への拡張を怠った。調査で試験室のエラーとする決定的なエビデンスが欠けている 
  場合、潜在的な製造の原因の徹底的な調査が実施されなければならない。証明されていない 
  仮説に基づく新しいサンプルの試験から得られる合格結果の採用は、調査を終えるには 
  不十分である。 
  貴社は、貴社のOOS管理手順を改訂し、OOS調査の回顧的レビュを実施すると回答したが、 
  根本原因の確認や効果的な是正処置と予防処置(CAPA)の実施が欠けているので、貴社の 
  回答は不十分である。また、貴社が供給者から受け取ったXXの不適当な点や、供給者は貴社 
  による使用が適切なのかどうかについて取り組むことをしていない。 
  貴社には、基準を満たしていないことによるXXの回収という気がかりな経歴がある。 
  2017年、貴社は、繰り返すXXの苦情により非経口医薬品XXを回収した。2010年には、XXの 
  完全性と無菌性の喪失により4つの非経口薬の全ロットのClass Iの回収を実施した。 
  更に、貴社は、XXに関する是正処置としてXXを加える検討をしたが、原材料の容器の密閉 
  またはXXの製造の品質に関する継続した問題を解決しようとしていなかった。貴社の非経口 
  の容器密閉システムの耐久性と品質は、XXを一時的に保管し、使用前に設備内を移動し、 
  臨床設備で投与されるまで、堅牢性を保証するために重要である。貴社の回答は、原材料 
  の容器の密閉と、XXの製造工程の脆弱性に関し、XXの信頼性を徹底的にレビュするという 
  コミットメントが欠けている。 
この文書への回答の中で下記の情報を提供せよ。 
・アメリカ市場向け製品(工程及び最終製品試験)で得られ、無効化された全てのOOSの結果の 
 回顧的で独立したレビュ 
 科学的正当性とエビデンスが決定的なものかどうか評価せよ。最終的に試験室に根本原因が 
 あるとされた調査に関し、CAPAの適切性を判断し、同じ根本原因に対して脆弱な他の試験方法 
 が改善の対象とされていることを保証せよ。試験室で、結論が出ていない、または、根本原因 
 が特定されていないOOSの結果について、製造の徹底的なレビュ(例:ロットの製造記録、 
 製造ステップの妥当性、原材料、工程の能力、逸脱の記録、ロットの不具合の履歴)を含めよ。 
・使用期限内にある製品の全てのOOSの調査の回顧的レビュをまとめたレポートを提出せよ。 
 製造の根本原因が特定され、意味のある改善が指示されているCAPAの計画を含めよ。製品の 
 名前、もともとの結果の日付、最初とリテストのOOSの結果、OOSの結果を無効化した論理的 
 根拠、詳細な評価の結果を含めよ。また、回顧的レビュにより、貴社がはじめようとしている 
 市場への追加のアクションも含めよ。 
・これに限定されないが、最終的に根本原因が試験室でないと確認された場合、製造作業に 
 調査を拡大することを保証する、完全に修正されたOOSの調査の手順 
・XXの増加の原因につながる容器の密閉システムの不具合の根本原因の最新の調査 
・過度のXXに関連するXXの供給者(すなわち、原材料の製造業者)を使った、アメリカ市場に 
 ある使用期限内の全ての製品のロットの保管サンプルの試験 
・全ての原材料の容器の密閉の品質と、XXの製造を行う全ての製造所の適切性の包括的で独立 
 した評価 
 この詳細な評価には、原材料の容器密閉の供給者と、XXとXXの製造者の適格性評価プログラム 
 の適切性の評価を含めよ。 
・XXとXXに関する原材料XXの調達手順とXXの製造工程の完全な記述 
 XXのサプライチェインと製造に関係する全ての部署の役割と責任を含めよ。特に、2015年 
 7月1日以降に製造されたXXの全てのロットに関し、原材料XXのために貴社が使用する全ての 
 供給者と製造業者と、ベンダのロット番号を提供せよ。誰がXXの構成、製造、最終の仕上げ 
 (XXを使用した作業等、工場内の作業の特異性を含めよ)を実施したかについて述べよ。 
 原材料の供給や製造に関係する下請業者や組織を含めよ。 
・ベンダが作成した分析証明書(COA) 
・逸脱、不具合、苦情、OOSの結果、不合格に関する調査のための全般的なシステムの評価 
 貴社のCAPAの計画には、これに限定されないが、逸脱、不合格、結果の原因になりうる作業 
 のばらつきの原因のレビュの改善や、CAPAの効果を保証するための貴社の能力の広範囲の 
 改善を含めよ。 
2.貴社は、製造された医薬品の各ロットの製造及び管理に関する情報と一緒に、ロットの 
  製造指図記録を作成することを怠った。 
我々査察官は、作業者が信頼できないデータを記録していることを発見した。具体的には、 
2017年7月27日に、査察官は、貴社の作業者が、作業が完了した1日後に、XXの注入に関する 
XXラインの外観検査のデータを入力しているのを発見した。文書は、2017年7月26日に外観検査 
を実施したと示していた。一致するデータなしに、いかに文書の一部が完成されたかという 
我々の質問に対し、貴社の製造所のシニアマネージャは説明ができなかった。 
我々は、SOPを改訂し職員を再教育する貴社の努力を認める。しかし、データが正確に、 
または、同時に報告されていない可能性のある事象に回顧的な評価を実施しなかったので、 
貴社の回答は不十分である。 
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。 
・外観検査の文書に限定されないが、報告されたデータの完全性、一貫性、正確性を判断する 
 ための製造記録の包括的で独立したリスクアセスメント 
 製品をリリースするために使用したデータが、帰属可能で、判読可能で、同時に記録され、 
 原本または真正なコピーであり、正確であることをいかに判断したかを示せ。保管サンプル 
 の再試験を含めよ。 
・文書作成の手順が不適当か判断するために、貴社の製造・試験作業を通じて使用される 
 文書作成システムの完全な評価を提出せよ。文書作成手順を包括的に改善する詳細のCAPAの 
 計画に含めよ。また、貴社が完全で同時に作成された正確な記録を保持することを保証せよ。 
3.貴社は、製品の製造、加工、包装、または保持で使用される建物を、良い修理状態で維持 
  することを怠った。 
我々査察官は、貴社の設備内の、そった天井のパネルや、水の流れた跡、水シミを含む、水で 
ぬれて傷んだ重大なエビデンスを発見した。例えば、XXの上、天窓、通気口、最終製品の包装 
エリアの上の天井、品質管理試験室の外側の職員廊下で明らかだった。 
更に、我々査察官は、建物のプレナム室から滅菌後のエリアに空気が侵入することを許す、 
密閉されていない職員廊下の上の天井パネルとXXを発見した。 
貴社の設備管理部門は、医薬品製造の継続的な適合性を保証するために設備を良い修理状態に 
保つことが不可欠である。 
貴社は、水による傷みを査察の数日前に降ったモンスーンの雨のせいにした。しかし、いくつか 
のケースでは、発見されたしみや、さびたパイプ、そった壁や天井のパネルは、長期の水及び 
湿気の存在を示していた。貴社の回答は、水漏れの修理と、いくつかの予防策の改善に集中して 
いる。しかし、設備のダメージと、湿度の問題が存続している設備内の潜在的な菌の汚染に 
速やかに取り組むという製造管理の日々の責任に適切に対処していない。 
この文書への回答の中で、下記の情報を提供せよ。 
・貴社の設備と装置のための予防保全プログラムと、その効果を保証するためのCAPA計画の 
 包括的で独立したレビュ 
 計画には、これに限定されないが、降雨で予想される季節変動に関する不測の事態も含むべき 
 である。 
・問題の迅速な検知、修繕の実施、その他の適切なアクションを保証するために、設備の状態の 
 繰り返しの慎重な監視を正式に実施するCAPAの計画 
・貴社の過去の製品の回収にも関係がある、菌類やその他の微生物の汚染による重大な環境の 
 問題を防ぐために設備内の湿度のレベルをモニタし管理する計画 
・貴社の環境の適格性の戦略を含む、水による傷みを改善した後の設備の再適格性評価の計画 
●データ・インテグリティの改善 
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・ 
完全性を適切に保証していない。この文書への回答において、次の情報を提供せよ。 
A.アメリカに販売された薬のデータのレビュの結果を含む、データ、記録、報告の不正確さの 
  範囲に対する包括的な調査 
B.貴社の薬の品質で発見された不具合の潜在的な影響についての現在のリスクアセスメント 
  アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こ 
  された患者のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。 
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略 
  詳細な是正処置の計画には、貴社により生成される微生物及び分析のデータ、製造記録、 
  FDAに提出されたデータを含む、全てのデータの信頼性と完全性を貴社がいかに保証する 
  つもりかの詳細を述べるべきである。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル 
タントを雇うことを強く勧める。また、適格な第三者が、貴社のCGMP遵守に関し、貴社の全ての 
作業の包括的な監査をし、貴社の是正処置と予防処置の完了と効果を評価することを勧める。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の 
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●設備での繰り返される違反とFDAとの会議 
FDAは2010年の11月1日付のウォーニングレター(WL320-11-003)でも同様のCGMP違反を挙げた。貴社 
は回答の中で、これらの違反に関する明確な改善を提案した。貴社の製造所で繰り返される重大な 
違反は、貴社の製造所の医薬品の製造の監督と管理が不適切であることを示す。 
特に、我々のウォーニングレターは、これに限定されないが、非無菌薬XXの明らかな汚染、完全性を 
失ったエビデンス、最も最近の分析に関する品質の問題、不純物、XXを含む、貴社の販売された医薬 
品の繰り返される重大な欠陥の履歴について検討している。これらの問題は、迅速な確認と適切な 
改善の欠如により悪化してきた。そして、ほとんどの場合、適切に調査し、欠陥製品を流通から 
取り除くために、FDAの介入が必要だった。 
FDAはB社が査察開始と同じ日にこの設備を買収したことを知っている。規制当局のミーティングを 
計画するために、このレターを受領後5日以内にFDAに連絡をとることを求める。この設備に関する 
B社の包括的な改善計画を論じるために準備をせよ。 
●結論 
この文書で言及した違反は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの違反の調査、 
原因の特定、再発の防止、その他の違反の防止に責任を負う。 
貴社が全ての違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、FDAは 
いかなる新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm613538.htm

■WL:320-18-63 日本の製造所の査察(2017/11/13~2017/11/17)でみつかった原薬製造における 
重大なCGMP違反に関する2018/7/17付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、貴社の原薬が制定された規格や標準に従うことを保証するために実施された全ての 
  試験室の試験から得られる完全なデータを保持することを怠った。 
貴社は、原薬の試験から得られたデータが正式なロットの記録に含まれ、品質部門によりレビュ 
されていることを保証していない。例えば、貴社は2015年7月28日にXXで分析が開始されたXXの 
ロット#XXの関連物質の試験に関し合格の結果を報告した。しかし、我々査察官は、同じ日のより 
早い時間に収集された同じロットのOut-of-Specification(OOS)を含んだ、報告されていない 
分析結果と、次の日に報告された結果を発見した。貴社は、ロットのリリース前に品質部門に 
よってレビュされるデータに、このデータを含めなかった。我々査察官は、アメリカ市場向けで 
ない他の製品で同じパタンがあることを記録した。 
貴社は回答の中で、この”トライアル分析“は、HPLCの調整のために、サンプルの溶液を使って 
実施されたものだと説明した。しかし、貴社の説明は、なぜ、標準の溶液の代わりにサンプルの 
溶液を使って”トライアル分析“が実施されたか、また、なぜ、USP<621>で示された通りに 
クロマトグラフィのシステムは適切であることを確認するシステム適合性試験に加えて、この 
余分な分析を実施したかに触れなかった。 
貴社はこの査察の後に実施した回顧的レビュで、オリジナルのロットの記録には報告されて 
いない電子データの事例を他にも発見したことを認めた。貴社のレビュは、実験室のデータ 
のみを評価し、CGMP情報が生成され保持される製造設備内の作業の全ての部分の評価をしなかった。 
さらに、貴社は、貴社のレビュの基準と方法の詳細を提出することを怠った。 
●データ・インテグリティの改善 
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・ 
完全性を適切に保証していない。我々は、貴社の改善を支える適格性のあるコンサルタントを 
雇うことを強く勧める。 
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。 
A.データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査 
  調査には下記を含めよ。 
  ・調査手順と方法論の詳細:アセスメントの対象となる全ての試験室・製造作業・システム 
   の概要、貴社が除外を検討している作業の正当性を示す理由 
  ・データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の 
   面接 
   我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。 
  ・貴社の設備におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント 
   データの省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定を 
   せよ。 
   貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての設備の操作を述べよ。 
  ・貴社の作業を通じたデータ・インテグリティの欠陥の性質についての包括的で回顧的評価 
   我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識をもった適格な第三者が、すべての 
   データ・インテグリティの欠陥について評価することを推奨する。 
B.貴社の薬の品質で発見された問題に関する影響の可能性についての現在のリスクアセスメント 
  アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされ 
  た患者のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。 
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略 
  貴社の戦略には下記のことを含めよ。 
  ・分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの 
   信頼性と網羅性を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた是正処置計画の 
   詳細 
  ・現在の行動計画の範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合う 
   ことを示すエビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述 
   データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データ 
   に依然影響を与えるかどうかを示せ。 
  ・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラムへ 
   のロットの追加、薬の申請の活動、苦情のモニタリングの強化のような、患者を保護し、 
   貴社の薬の品質を保証するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を 
   述べた暫定的な手段 
  ・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、 
   システム、経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の改善)の強化を述べた長期的手段 
  ・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告 
●結論 
この文書で言及した逸脱は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの逸脱の調査、 
原因の特定、再発の防止、その他の逸脱の防止に責任を負う。 
貴社が全ての逸脱を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、FDAは 
いかなる新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm614609.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
まとめ 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
いかがでしたでしょうか。 
2017年の査察で、2015年の記録や、アメリカ市場向けでない製品の記録までチェックされるのは 
厄介な話ですが、これからFDAの査察を受ける予定のある会社様は、是非、査察準備の参考にして 
いただければと思います。

☆次回は、9/14(金)に配信させていただきます。

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【発行責任者】 
株式会社プロス 
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2018.08.15

【最近の話題&ウォーニングレター】ASTROM通信<152号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~ 

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

お盆の真っ只中ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

今回は、医薬品の規制に関するグローバル化が一層進んでいることを実感する2つの話題と、 
これまでも何回か取り上げているFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から最近出たウォーニング
レター (3件)について見ていきたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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1.ICH(医薬品規制調和国際会議)のメンバ拡大と調和活動の前進について 
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ICH(医薬品規制調和国際会議)は2018年6月2日~7日に神戸で開催された会合にて、中国のCFDA、 
シンガポールのHAS、韓国のMFDS、中華民国台北のTFDA、国際ジェネリック・バイオシミラー医薬品 
協会(IGBA)、バイオテクノロジーイノベーション協会(BIO)をメンバに、また、モルドバのMMDA、 
マレーシアのNPTA、アルメニア、トルコのTiTCKをオブザーバとして加えることを決定しました。 
さらに、ICHは、今後、次の3つの新しいトピックスについて作業を進めていくことを合意しました。 
・ICH Q2(R1)分析法の開発と改訂、分析法バリデーション(ICH Q2(R2)/Q14) 
・連続生産(ICH Q13) 
・臨床電子構造化調和手順(‘CeSHarP’)(ICH M11) 
出典: 
http://www.ich.org/fileadmin/Public_Web_Site/News_room/B-Press_Releases/ICH_Press_Releases/ICH36Kobe_PressRelease_Final_2018_0621.pdf
<コメント> 
1990年に日本・米国・ヨーロッパの三極の医薬品規制当局と業界団体から発足したICHが、グローバル化 
していること、また、バイオ医薬品が浸透してきていることを感じる話題です。


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2.医薬品製造業者の査察におけるEUと日本の協力の強化について 
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2018年7月18日、欧州連合(EU)と日本は、お互いの製造所の査察を受け入れる医薬品の範囲を広げること 
で合意しました。 
現在のEUと日本の間の相互承認協定(MRA)は、2004年5月29日から運用されていて、監視官がお互いの 
担当地域内のGMP査察を信頼し、査察や品質の不具合の情報を共有することを認めています。この協定の 
おかげで、EU及び日本の規制当局は、双方の担当地域を重複して査察することを減らすことによって 
査察リソースをより有効に活用することができます。 
今回、このMRAが14年間ではじめて改訂され、その範囲は下記をカバーするように広げられました。 
・化学医薬品 
・ホメオパシー医薬品(日本で医薬品として、GMP要件の対象とみなされる限り) 
・ビタミン・ミネラル・植物薬(両当局が医薬品とみなす場合) 
・ワクチン及び免疫医薬品を含むある種の生物学的医薬品 
・上のカテゴリに関する原薬 
・上のカテゴリに属する無菌製剤 
これは、EUと日本の当局が、医薬品製造業者の査察に関し同等の規制と手順のフレームワークを持って 
いると同意したことを意味します。
出典: 
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Press_release/2018/07/WC500252183.pdf
<コメント> 
日本がPIC/Sに加盟して4年がたち、EUと日本のGMPの整合性がますます取れてきていることを感じます。


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3.最近のウォーニングレターの概要   
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。 
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■WL:320-18-57 フランスの製造所の査察(2017/9/18~2017/9/22)でみつかった医薬品製造における 
重大なCGMP違反に関する2018/6/8付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、出荷前に、医薬品の各バッチについて、各有効成分の同一性、力価を含む規格を十分に 
  満たすかどうか、試験室の判断を行うことを怠った。 
貴社は、有効成分XXとXXの同一性や力価の試験を実施せずに、貴社のOTC医薬品XXを出荷した。この 
テストを実施せずに、貴社の医薬品が規格に従うことを判断することはできない。 
貴社は、今後のバッチについて、有効成分の試験をすると回答した。貴社は、貴社が第三者を使用する 
つもりかどうかも含め、今後のバッチの試験に関する十分な情報を提供しなかったので、貴社の回答は 
不十分である。貴社はまた、バッチの同一性、力価、その他の品質特性の試験が欠けていて、現在 
アメリカ市場にあるかもしれない貴社のOTC医薬品に関する回顧的な評価の実施も怠った。 
この文書への回答の中で、下記の情報を提供せよ。 
・バッチの引き渡し判断の前に、貴社の各OTC医薬品の分析をするために用いられる全ての化学及び 
 微生物試験の方法と規格 
・米国薬局方(USP)<61>、<62>に従った、修正された微生物試験の方法(すなわち、微生物の総数、 
 好ましくない微生物) 
 これらの方法は、製品の意図した使用を考慮して、バイオバーデン内に好ましくないものがあるかを 
 判断するために、全ての微生物の確認に有効でなければならない。 
・アメリカに出荷された有効期限内の、全てのOTC医薬品の保管サンプルの試験から得られた試験結果の 
 概要 
これらの試験結果には、有効成分の同一性、力価、その他の品質特性を含むべきである。 
2.製品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。貴社は、 
  適切な間隔で供給者の試験結果のバリデーションを通じた試験を実施せず、貴社が頼っている成分 
  の供給者の分析の信頼性の証明を怠った。 
貴社は、XXを含む入荷した原材料について、同一性、純度、力価、その他の品質特性に関する試験を 
実施することを怠った。代わりに、貴社は、適格性が評価されていない供給者の分析証明書(COA)を 
信頼した。貴社がOTC医薬品に使用するXXは、有効成分XXを含む。 
貴社は、“在庫している原材料は、分析のためにサンプリングされ、10月27日より前に特性評価の 
ために送られるだろう”と述べた。貴社は、試験に関して第三者を使用するかどうかを含む、これら 
の原材料の十分な情報を提供しなかったので、貴社の回答は不十分である。 
この文書への回答の中で下記の情報を提供せよ。 
・全ての入荷した成分の品質管理のリリース規格と、各ロットに関して貴社が実施する試験 
・各原材料の製造者から得た分析証明書が正当であることを確認するために、全ての入荷した成分の 
 全ての試験から得られた試験結果のサマリ 
・貴社が製造したOTC医薬品を試験する契約試験機関の適格性を評価し、適切さを監督するための 
 貴社の手順のサマリ 
・各供給者から得た容器、蓋、原料が適切に確認され、適切な有効期限または再試験の日付が割り 
 当てられ、不適切な容器・蓋・成分の使用を防ぐために、入荷した原材料のロット管理が適切か 
 どうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ 
3.貴社は品質管理部門に適用可能な文書化された責任と手順を制定することを怠った。 
貴社は、品質部門の多数の機能に関する文書化された手順を制定することを怠った。例えば、以下の 
製造作業に関する手順がなかった。 
・逸脱の調査 
・年次製品品質照査の実施 
・OOSの結果の調査 
・返品製品の対応 
・再加工及び再処理 
・ラベルの照合 
・製造記録の作成と、製造記録原本の発行 
・製造記録の承認とバッチのリリース 
貴社は、“品質サービスの責任を記述した手順は11月の終わりまでに起草される予定である“と回答 
したが、貴社の回答は不適切である。貴社は、堅固な品質システムを制定し維持することをいかに 
保証するかを記述することを怠った。 
この文書への回答の中で、貴社が適切な権限、責任及びリソースを持った効果的な品質部門を制定する 
ことを保証するための包括的な評価と、是正処置・予防処置の計画を提出せよ。貴社の回答には、 
修正された品質部門の責任を述べた詳細手順も含むべきである。 
4.貴社は、製品の安定性を評価するための文書化された試験プログラムを制定しそれに従うこと、 
  適切な保管条件と使用有効期限を決定するために安定性試験の結果を使用することを怠った。 
貴社は、貴社製品の化学及び微生物的属性がラベルに印字された使用期限を通して許容可能であること 
を示すための適切な安定性のデータを持っていなかった。例えば、貴社は、XXのロットXXの加速度 
安定性試験を実施したが、この試験中に分析や不純物に関する試験をしなかった。 
貴社は、安定性試験を再スタートさせることを約束したが、貴社は、どの試験を実施するか、試験に 
第三者を使うか、試験中どこに製品が保管されるかを含む貴社の安定性試験プログラムに関する詳細 
情報を提供しなかったので、貴社の回答は不十分である。 
この文書への回答の中で、貴社の継続的な安定性プログラムを述べた標準操作手順書(SOP)を提供せよ。 
また、貴社からアメリカに出荷された各OTC医薬品が、その使用期間を通して全ての規格を満たすことを 
示す安定性データを提出せよ。 
5.貴社は、貴社が製造した製品が、それが有するとされている同一性、力価、品質、純度を持つこと 
  を保証するための、製造と工程管理に関する文書化された手順を制定しなかった。 
貴社は、貴社の製品を製造するために使用する工程をバリデートしていなかった。例えば、貴社は、工程 
の性能適格性評価を実施せず、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するため工程管理の 
モニタリングに関する継続的なプログラムも欠けていた。 
貴社の回答の中で、貴社はXXシステムの適格性評価、洗浄および製造のバリデーション手順のタイム 
テーブルを提供したが、適格性評価とバリデーションを記述した詳細を提供しなかったので、貴社の回答 
は不十分である。 
この文書への回答の中で、貴社のバリデーション及び適格性評価の活動の手順を提出せよ。また 
バッチのばらつきを最小化し、一貫した製品品質を保証するために、医薬品のライフサイクルを通じて、 
貴社がいかに作業のばらつきの原因をモニタするかを述べよ。顧客への通知や、市場からの撤退も含め、 
販売中のOTC医薬品に関する製品品質と、患者の安全性のリスクに取り組む計画を提出せよ。 
●品質部門の権限 
この文書での重大な指摘は貴社の品質部門がその権限と責任を完全に果たすことができないことを示して 
いる。貴社は、品質部門がその責任を果たし、一貫して製品品質を保証するための適切な権限と十分な 
リソースを品質部門に提供しなければならない。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル 
タントを雇うことを強く勧める。また、我々は、適格な第三者が、品質保証システム、原材料システム、 
設備及び装置のシステム、試験システム、製造システム、包装及びラベル貼付システムを含むCGMP順守 
のための全ての作業の包括的な監査を実施することを勧める。システムの改善を確実に行うことを助ける 
ために、貴社のコンプライアンス状態の解決をする前に、貴社のCAPA(是正処置・予防処置)は第三者に 
よって評価されるべきである。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の 
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年1月17日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm610849.htm

■WL:320-18-58 中国の製造所の査察(2017/12/11~2017/12/14)でみつかった原薬製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/6/12付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社の品質部門は、品質関連文書のレビュと承認を怠った。 
我々の査察官は、貴社の製造作業のオフィスのオープンキャビネットの中に、多数のブランクの製造記録 
を発見した。それらの中には、“工場出荷許可”という赤い品質保証のリリーススタンプがついた製品の 
リリース文書の複数のブランク用紙があった。査察官は、オープンキャビネットに、バッチとページ数に 
関する2つの記録発行スタンプも発見した。 
貴社の標準操作手順書は、貴社の品質部門がブランクのCGMPの記録のリリースに関する責任を負うと述べ 
ているのに、これらのブランクの記録とスタンプは管理されていなかった。貴社の品質部門は、これら 
のフォームに入力された情報が正確で信頼できることを保証するために、これらの記録を管理することを 
怠った。品質部門のレビュと承認もない管理されていない記録の使用は、データ・インテグリティや製品 
品質の適切な保証に対するリスクをもたらす。もしブランクフォームを使用するのであれば、FDAは、 
品質部門または別の文書管理の方法により管理されることを勧める。 
貴社は回答の中で貴社の製品のリリースフォームは、貴社製造所から“リリースと製品保管の便利のため 
に先にスタンプされていた”と述べた。また、貴社は、品質部門の記録管理者は、記録やスタンプを入れ 
ているキャビネットの“壊れた鍵のリスクを理解していなかった”と述べた。 
我々は、貴社がSOPを改訂し、品質部門の職員の再教育をしたことに気づいている。しかし、貴社の 
従業員が、業務を実施するのに適格で、訓練されているという保証を提出していないので、貴社の回答は 
不十分である。 
2.貴社の原薬が制定された規格や基準に従うことを保証するために実施された全ての試験から得られた 
データを完全に保持することを怠った。 
貴社はXXの機器(FK030111)をXXとXXを含む複数の原薬の安定性試験に使用した。その後、貴社は工程内 
の分析試験を行うために同じ機器とソフトウエアを使用した。我々査察官は、この機器の監査証跡を 
レビュし、ソフトウエアが“プレビュー実行”機能の連続使用と、前回の実行結果の繰り返しの上書きを 
許すために設定されていることを発見した。各プロジェクトフォルダには、最後の“プレビュー実行” 
だけが保持されていた。 
監査証跡のレビュで、複数の異なるXXが実施され、それぞれのXXの長さは、何も記録されていない時間、 
サンプルの時間、標準的XXに必要な時間と一致していることを示していた。CGMPの作業を再現できる 
ことを保証し、必要に応じてレビュするために、ローデータの保持は不可欠である。 
貴社は回答の中で、ソフトウエアが“データ以外のXXの収集結果”の検索を許さないし、プレビュー 
実行データの保持が必要であると理解していなかったと述べた。我々は、貴社が影響のあるXXの機器を 
交換しようとしていることに気づいた。しかし、新しい機器の調達、新しいアップグレードされたデータ 
収集ソフトウエアの設置、ソフトウエアの様々な機能を有効にすることだけでは十分ではない。もし貴社 
が、貴社の品質部門が、原薬が制定された工程試験及び安定性試験の基準に従っているかどうか評価 
するために製造管理データ及び関連する監査証跡をレビュできるよう要求通りにデータを保持している 
ことを保証する目的で適切な手順とシステムを実行しているのであれば、これらのステップは、効果的で 
ある。 
●データ・インテグリティの改善 
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を 
適切に保証していない。我々は、貴社がFDAの要件を満たすことを手伝うためのコンサルタントを使用する 
ことを約束したと認識している。この文書への回答において、次の情報を提供せよ。 
A.データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査 
調査には下記を含めよ。 
・調査手順と方法論の詳細:アセスメントの対象となる全ての試験室・製造作業・システムの概要、 
 貴社が除外を検討している作業の正当性を示す理由 
・データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接 
 我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。 
・貴社の設備におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント 
 データの省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。 
 貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての設備の操作を述べよ。 
・試験及び製造のデータのインテグリティの欠陥の性質についての包括的な回顧的評価 
 我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識をもった適格な第三者が、すべてのデータ・インテ 
 グリティの欠陥について評価することを推奨する。 
B.貴社の薬の品質で発見された問題に関する影響の可能性についての現在のリスクアセスメント 
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた患者 
のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。 
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略 
貴社の戦略には下記のことを含めよ。 
・分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性と 
 網羅性を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた是正処置計画の詳細 
・現在の行動計画の範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合うことを示 
 すエビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述 
 データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データに依然 
 影響を与えるかどうかを示すこと。 
・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラムへの 
 ロットの追加、薬の申請の活動、苦情のモニタリングの強化のような、患者を保護し、貴社の薬の 
 品質を保証するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段 
・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、システム、 
 経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の改善)の強化を述べた長期的手段 
・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告 
●結論 
FDAは2018年3月29日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm611369.htm

■WL:320-18-59 中国の製造所の査察(2017/10/23~2017/10/27)でみつかった原薬製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/6/22付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社の原薬が、制定された品質と純度の基準に従うことを確実にするために、全ての規格と試験手順 
  が科学的に合理的で適切であると保証することを怠った。 
貴社は、アメリカ向けに販売される原薬の残留溶媒の試験の実施を怠った。 
たとえば貴社は、試験結果が合格レベル内にあるかどうかを判断するための、中間体または最終原薬の 
残留溶媒の試験をしなかった。 
貴社は、この原薬を共有設備で製造する。複数の原薬がこの設備で製造され、Class 2の溶媒であるXX 
を含む、他の溶媒を使用する。Class 2の溶媒は、固有の属性により制限され、副作用の可能性から患者 
を保護するために管理されている。 
貴社は回答の中で、ICHのガイドラインのとおりに、残留溶媒の分析方法を制定しバリデートすること、 
アメリカ国内に販売されたXXの全てのバッチの残留溶媒を試験すること、その結果をFDAに提出すること 
を約束した。この文書の日付時点では、貴社はアメリカ向けに販売された医薬品の残留溶媒の試験結果 
をまだ提出していない。 
この文書への回答の中で下記の情報を提供せよ。 
・アメリカ国内に販売された、残留溶媒の試験を受けていない全てのXXの包括的なリスクアセスメント 
 アメリカに販売されたバッチに関する保管サンプルの試験結果をまとめよ。適切な規格を越えて残留 
 溶媒を含むバッチが見つかった場合、顧客への通知や回収の実施を含めた、貴社がとるつもりの行動を 
 詳細に述べよ。 
・完了した分析方法のバリデーション、貴社のXXに関するUSP(アメリカ薬局方)に一致するアップデート 
 された試験方法と規格 
・貴社の設備で使用された全ての残留溶媒のリストと、Class 1及び2の溶媒を厳しく制限するため 
 (または使用の打ち切り)のリスクベースの計画 
 製造及び清掃作業で原薬に使用される全ての残留溶媒に関する規格を含めよ。 
2.設備の洗浄および保全に関する文書化された手順を適切にバリデートすることを怠った。 
貴社は、非専用の製造設備の洗浄手順が交叉汚染を防ぐために適切であることを示すための洗浄バリデー 
ションの検証の実施を怠った。 
貴社は、洗浄バリデーションにおけるチャレンジ生産として、貴社の製造所で製造される原薬の1つで 
あるXXのみ選んだ。 
原薬XXは、XX機の製造設備のうちの11機でだけ製造されていた。貴社は、洗浄手順が異なる中間体や 
原薬の交叉汚染を再現性よく防ぐことを保証するために残りの共有設備XXの洗浄バリデーションを実施 
しなかった。 
また、貴社は、製造工程の中で、Class 2及び3の複数の溶媒を使ったが、貴社の洗浄バリデーションは、 
1つの薬から別の薬へ残留溶媒がキャリーオーバされる可能性に対応しなかった。 
貴社は回答の中で、洗浄手順を改訂し、洗浄バリデーションプログラムを再バリデートし、追加の検証を 
実施すると約束したが、貴社は、アメリカ向けに販売した原薬に対して、さまざまな原薬、中間体、溶媒 
の交叉汚染の可能性を判断するための包括的なリスクアセスメントを含めなかったので、貴社の回答は 
適切ではない。 
この文書への回答の中で、次の情報を提出せよ。 
・貴社の製造所内の、全ての重複使用設備用のアップデートされた洗浄バリデーション 
 薬のキャリーオーバの量、検知された残留溶媒またはその他の不純物、各不純物の許容限界、検証に 
 おいてワーストケースとして選んだ薬の正当性、洗浄剤の選択の論理的根拠、貴社の洗浄手順の効果を 
 添付して、洗浄バリデーションの報告の概要を含めよ。 
・不適切な洗浄の、アメリカ向けに販売された使用期限内のXXのバッチに対する影響を判断するための 
 包括的なリスクアセスメント 
3.原薬の安定性をモニタし、適切な保管条件やリテスト期限または使用期限を確認するために使用する 
  ための、文書化した継続的な安定性試験プログラムの作成を怠った。 
査察中、貴社は原薬XXの使用有効期限を裏付けるデータを提供できなかった。 
貴社は回答の中で、異なる局方を使って保管サンプルの試験をし、そのデータは薬が安定していること 
を示していると述べた。しかし、貴社は、貴社の方法がUSPと異なっているかもしれないので、 
“おそらく試験結果は同じでない”と述べた。貴社は、USPモノグラフに従い、原薬がXX以上の保管後も 
規格を満たすことを確認するために、XXの保管サンプルを試験すると約束した。 
貴社は、貴社の原薬の安定性試験プログラムを開発すること、または、貴社の方法がUSPの表示を満たす 
と示すことを約束せず、貴社の試験方法の確実性も示さなかった。 
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。 
・アップデートされた安定性プログラム 
 確実な方法で、品質の低下をひき起こす可能性のある原薬の外見の変化を検知する方法 
・アメリカ市場に販売された使用期限内にあるXXの全てのバッチ保管サンプルの試験データ 
4.不正アクセスやデータの変更を防ぎ、データの削除を防ぐ適切な管理機能を持ったコンピュータ化 
  システムの十分な管理の実施を怠った。 
製品のリリースや安定性試験に関するXXの分析結果を計算するために、貴社はバリデートされていない 
エクセルのスプレッドシートを使った。我々の査察官は、このスプレッドシートはパスワードによる 
保護が不足し、ロックされていない間違った計算式を含んでいることを発見した。 
査察中、貴社のQCマネージャは、分析結果を計算するために使用されるスプレッドシードの計算式が 
正しくないことを認めた。これらの間違った計算式により、複数の分析証明書(COA)に不正確なデータ 
が含まれていた。 
貴社は回答の中で、スプレッドシートが計算した安定性試験結果が実際にOOSであった事例を含む、 
間違って計算されたリリース用分析結果を持つ複数のバッチを確認した。 
貴社は、これらのOOSの結果に適切に取り組まず、貴社の品質部門による不完全なデータのレビュ手順 
に取り組むことを怠ったので、貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社のエクセルのスプレッド 
シートをバリデートすると約束したが、どのスプレッドシートの管理が、データへの不正なアクセスや 
修正、削除を防げるのか特定することを怠った。貴社の回答には、CGMP作業で使用されている全ての 
コンピュータ化された試験システムで生成された全てのデータの包括的なアセスメントや回顧的な 
レビュが欠けていた。 
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。 
・他に不完全な箇所がないかを判断するための、貴社の製造及び試験作業で使用されるデータレビュ 
 システムの包括的な評価 
 品質部門の監督を含む、不完全なデータレビュに取り組むためのシステム的な修正と一緒に、是正 
 処置・予防処置(CAPA)の詳細な計画を含めよ。CAPAには、これに限定されないが、改訂された手順、 
 教育、全てのCGMPの記録の完全性を保証するために実施されたシステム的な措置を含むべきである。 
・不正確な式やその他の不備等の間違いの確認と調査のための、CGMP作業を支えるために使用される 
 全てのエクセルのスプレッドシートの評価 
 気づいた不備への対応や再発防止のための詳細なCAPAの計画を含めよ。 
・修正や削除を防ぐための十分な管理が不足したコンピュータ化システムを使ってアメリカに販売された 
 使用期限内の原薬の全ての試験データの回顧的レビュとリスクアセスメント 
 もし、このアセスメンに基づいてOOSの結果をみつけたら、顧客への通知・回収の開始を含む貴社の 
 アクションプランを示せ。 
・逸脱の調査、標準に合致しない出来事、苦情、OOSの結果、不具合に関する、貴社の総合的なシステム 
 の包括的で独立したアセスメント 
 貴社のCAPAは、これに限定されないが、調査能力の向上、根本原因の分析、文書化された手順、 
 品質部門の監督を含むべきである。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した逸脱の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル 
タントを雇うことを強く勧める。また、我々は、適格なコンサルタントが、CGMP順守に関する貴社の 
全ての作業の包括的な監査を実施することと、貴社がコンプライアンス状態の解決をする前に、貴社が 
実施した是正処置・予防処置の完了と効果の評価をすることを進める。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の 
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年3月22日、貴社に輸入警告措置をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm612389.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
まとめ 
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いかがでしたでしょうか。 
ウォーニングレターの3件目に、バリデートされていないエクセルのスプレッドシートに関する指摘 
が含まれていました。 
査察する箇所はたくさんあるはずなのに、FDAはよくエクセルシートまで見るものだと感心すると 
同時に、エクセルシートのバリデーションは大丈夫だろうかと気になりました。

皆様がGMP/GQP業務で使用しているエクセルシートは、バリデートされているでしょうか?また、 
パスワードの設定等によって不正アクセスを防止する対策は取られているでしょうか。

コンピュータ化システム適正管理ガイドラインが施行された当時は、エクセルシートのバリデーション 
にも相当気を使いましたが、あれからかなり時間がたちました。 
作業効率UPのために作ったエクセルシートを、ついついバリデートしない状態で使ってしまっていると
いうことはないで しょうか。

この機会に、今一度エクセルシートのバリデーション状況を確認してみるのもよいかもしれません。

☆次回は、8/31(金)に配信させていただきます。


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今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールをお願いいたします。 
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】 
株式会社プロス 
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2018.08.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<151号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~ 

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

猛暑が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回は、これまでも何回か取り上げているテーマですが、最近FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局 
から出たウォーニングレター(3件)を見ていきたいと思います。

アメリカ市場に輸出がありFDAの査察を受ける機会のある会社様はもちろん、それ以外の会社様も、どんな 
ことでGMP上の指摘を受ける可能性があるのかをご確認いただき、参考にしていただければと思います。


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最近のウォーニングレターの概要   
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。 
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■WL:320-18-54 オーストラリアの製造所の査察(2017/12/11~2017/12/13)でみつかった医薬品製造に 
おける重大なCGMP違反に関する2018/5/18付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、出荷前に、医薬品の各バッチについて、各有効成分の同一性、力価を含む規格を十分に満たす 
  かどうか、試験室の判断を行うことを怠った。 
貴社は、XXクリームの有効成分XXとXXの同一性と力価の試験を行わずに出荷した。 
貴社は回答の中で、“試験方法が利用できれば、今後、全てのアメリカ向けの医薬品は、有効成分に関し 
て分析されるようになるだろう。”と述べた。また、貴社は、貴社の顧客XXが、“適切な外部試験機関 
と、出荷時、最終製品に含まれる2つの有効成分の分析の可能性について協議するつもりである”とも述 
べた。 
貴社は、全ての製品の同一性や力価を含む品質特性について、出荷前に各バッチの試験を行うことを明確 
に約束していないので、貴社の回答は不十分である。貴社は、出荷前に、OTC医薬品の各バッチが全ての 
化学及び微生物の規格を満たすことを保証しなければならない。 
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。 
・貴社の製品の化学的及び微生物的特性の適切な規格 
・アメリカ市場向け製品の各ロットについて、同一性、力価、品質、純度に関して貴社が試験をするため 
 に使用する全ての試験方法の制定とバリデーションに関する手順とタイムライン 
・実際に使用する前に、サードパーティの試験機関と契約される今後のいかなる試験方法も、それが使用 
 される前に適切に移管され、バリデートされることを確実にするための貴社の手順 
 貴社に代わってサードパーティの試験機関によって実施される分析と、これらの分析に関する調査の 
 妥当性の管理を確実にするための貴社の手順 
・有効成分の同一性、力価を含む適切な試験をせずに事前に出荷され、使用期限内のアメリカ向け医薬品 
 の品質を判断するために貴社がとった行動 
2.貴社は、各成分のサンプルが、同一性、純度、力価、品質に関して適切に文書化された規格と一致 
  するかを試験することを怠った。 
貴社は、XXクリームの製造に使用する、入荷した有効成分及びその他の成分について、各成分が規格を 
満たすことを保証するための試験を実施することを怠った。貴社は、入荷した成分の同一性について、 
同一性試験を実施せず、供給者の分析証明(COA)を当てにした。 
貴社は回答の中で、今後の成分のロットは、同一性に関し、製品の製造に使用する前に、契約試験機関が 
試験をすると述べた。 
貴社は、供給者の分析証明書の信頼性を証明する約束をしていないので、貴社の回答は不十分である。 
この文書への回答の中で、貴社は、各成分が同一性、力価、品質、純度に関する全ての文書化された規格 
に一致することをいかに試験することを計画するかの詳細な記述を提出せよ。もし貴社が試験をする代わ 
りに貴社の供給者のCOAの試験結果を信頼することを計画しているのであれば、定期的バリデーションも 
含め、供給された成分の製造の使用前にいかに供給者の試験の信頼性を証明する計画をしているか詳細に 
述べよ。最後に、不適切に試験され管理された成分から製造されアメリカ国内に販売された使用有効期限 
内の全ての医薬品に関するリスクアセスメントを提出せよ。 
3.貴社、貴社が製造する医薬品が、それらが持つとされている同一性、力価、品質、純度を持つことを 
  保証するために設計された工程管理に関する文書化された手順を制定することを怠った。 
貴社は、XXクリームの製造工程についてバリデートしていなかった。貴社は2016年にXXをアメリカに出荷 
した。 
貴社は、R1のXXの充填機の装置としての適格性評価を実施していなかった。 
貴社は回答の中で、次のバッチの製造と一緒にプロセスバリデーションを開始し、R1のXXの充填機の装置 
としての適格性評価を実施すると述べた。 
貴社は、工程の性能適格性評価の手順とバリデートされた工程の維持を確実にするための全体的なプログ 
ラムを提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。 
貴社は、プロセスバリデーションのプログラムが欠けている。プロセスバリデーションは、設計の安定性 
とライフサイクルを通じた工程の管理の状態を評価するものである。製造工程の各重要な段階は、投入 
する原材料、仕掛品、最終製品の品質を保証するために設計されなければならない。性能適格性評価の 
検証は、初期の管理状態が定着したかどうかの判断に使う。商品流通の前に性能適格性評価の検証の達成 
が必要である。したがって、製品のライフサイクルを通じて安定した製造作業を維持することを確実に 
するために、工程の性能と製品の品質の継続的で慎重な管理が必要である。 
この文書への回答の中で、継続的な管理状態を保証するためのバッチ内及びバッチ間のばらつきの慎重な 
モニタリングを含む、各製造工程の設計、バリデーション、維持、管理とモニタリングに関する詳細な 
プログラムを提供せよ。また、貴社の装置及び設備の適格性評価のプログラムも提供せよ。 
4.貴社は、製品の安定性を評価するために設計された文書化された試験プログラムを制定することを 
  怠った。 
貴社のXXクリームに関するXXヶ月の有効期間は貴社の顧客の以前の受託製造業者から得た安定性試験 
データに基づいていた。処方は同じままだったが、製造所、装置、原材料、密閉容器は異なる。 
さらに、貴社の顧客の以前の受託製造業者により実施された安定性試験は、24ヶ月では有効で36ヶ月で 
は低い粘度を持つXX成分を含むOOS(Out-Of-Specification)の結果を含んでいた。 
貴社は、次のバッチで実時間の安定性試験を開始すると回答した。 
貴社の安定性試験データは、製品のラベルにあるXXヶ月の有効期間を立証していない。適切な安定性 
プログラムもなく、貴社は、貴社の製品がラベルに印字された有効期間を通じて、制定された規格を 
満たすことを確認できない。 
この文書への回答の中で、現在アメリカに販売されている製品の保管サンプルの分析データを提出せよ。 
改訂された安定性試験プログラムも提出せよ。ラベルに印字された保管条件と有効期間を立証するため 
の、安定性を示す方法と化学及び微生物試験の各合格基準を述べよ。 
●受託業者としての責任 
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が、製造設備、試験 
機関、包装業者、ラベル業者などの独立した受託業者を使用していることを知っている。FDAは、受託 
業者を製造業者の延長としてみなす。 
貴社と貴社の顧客XXは、OTC医薬品XXクリームの製造に関する品質協定を結んでいる。貴社には、 
プロダクトオーナーとの契約があるかどうかに関わらず、受託設備として、貴社が製造した医薬品の 
品質に関する責任がある。貴社には、医薬品が連邦食品・医薬品・化粧品法に従って製造されたことを 
保証することが求められる。 
●品質部門の権限 
この文書内の重大な指摘事項は、貴社の品質部門がその権限と責任を完全に果たしていないことを示して 
いる。貴社は、品質部門がその責任を果たし、一貫した医薬品の品質の保証をするために、品質部門に 
適切な権限と十分なリソースを提供しなければならない。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル 
タントを雇うことを強く勧める。また、我々は、適格なサードパーティが、品質保証システム、原材料 
システム、設備及び装置のシステム、試験システム、製造システム、包装及びラベル貼付システムを含む 
CGMP順守が求められる全ての作業の包括的な監査を実施することを勧める。システムの改善を確実に行う 
ことを助けるために、貴社のコンプライアンス状態の解決をする前に、貴社のCAPA(是正処置・予防処置) 
はサードパーティによって評価されるべきである。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営 
陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年3月8日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm608717.htm

■WL:320-18-55 オーストラリアの製造所の査察(2017/12/4~2017/12/8)でみつかった原薬及び医薬品 
製造における重大なCGMP違反に関する2018/5/23付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられて 
います。 
●原薬の逸脱 
1.貴社は、OOSの結果を適切に調査して適切な是正処置をとることを怠った。 
貴社は、分析試験の結果からXXのバッチXXを2015年10月23日に不合格にした。貴社は同日に調査を開始し、 
数か月後の2016年3月20日に調査を完了した。貴社は、2016年3月に根本原因を特定したが、不合格から 
2年以上たった我々の2017年12月の査察において、貴社が特定した根本原因に取り組むための是正処置を 
実施していなかった。その間、貴社の品質部門は原薬XXの少なくともXXバッチを出荷した。 
貴社は、この不合格の調査を再開すると回答した。貴社はまた、その後に出荷したXXのバッチは規格を 
満たし、分析傾向は過去に製造したバッチと一致していたと述べた。しかし、貴社はこの供述を立証する 
データを盛り込むことを怠った。 
この文書への回答の中で、貴社の調査の詳細を提出せよ。バッチXXの不合格に関し、貴社が自身の調査 
で根本原因として特定した問題を解決するためのいかなる是正処置も実施していないのにXXバッチを 
製造して出荷した貴社の判断のリスクを評価せよ。貴社の出荷の判断を立証するために2015年10月25日 
から2017年12月の間に貴社が実施したサンプリングと試験の結果を提出せよ。 
さらに、過去3年に実施した貴社の是正処置の包括的な評価のための行動計画をタイムフレームと一緒に 
提出せよ。この評価が、全ての調査と、調査でみつけたことに応じて開始した是正処置と予防処置を確認 
していることを保証し、また、貴社がいかに他の影響を受けた可能性のあるバッチにまで調査を広げる 
判断をしたかを確実に示せ。 
2.貴社の品質部門は、重大な逸脱が調査され解決されることを確実に行うことを怠った。 
貴社の品質部門は、好気性菌の総数がXXより多かったのに、2015年4月30日にXXのバッチXXを出荷した。 
貴社は、アメリカのXX患者を治療するために使用されうる無菌製剤を製造する会社にこのバッチを売った。 
貴社は、2015年4月15日に不合格の結果を発見した時、貴社は、OOSの調査を開始した。貴社が2015年 
4月24日に調査を終わらせた時、貴社は適切なエビデンスもなく、有害物質の保管庫が潜在的な汚染源 
だったとしてバッチを出荷した。 
貴社は、再サンプリングや再試験を明確にするために、OOSの結果の管理に関するSOPを改訂したと述べ 
たが、貴社が特定した根本原因は、科学的正当性に欠けていて、貴社のバッチXXを出荷する判断を裏付 
けるエビデンスを提供しなかった。 
この文書への回答の中で、微生物試験の不合格と、不合格の原因の不十分な調査にも関わらず、バッチ 
XXを出荷するとした貴社の判断のリスクを評価せよ。販売中の全ての医薬品に関し、回収の可能性と 
市場からの撤退を含む、製品の品質と患者の安全性のリスクに取り組むための貴社の計画を提出せよ。 
微生物学的分析の結果に基づいて微生物の規格を定めた最新のOOSの手順を提出せよ。 
●医薬品の逸脱 
1.貴社は、適切な組織的部門により起草され、品質管部門によりレビュされ承認された、変更を含む 
  試験室で必要とされる管理のしくみを制定し、それに従うことを怠った。 
貴社は、XXに使用されるXXシステムに関し、実際のCFUの数が数えきれないほど多い場合、多数の微生物 
試験の結果を“>80CFU”と報告した。貴社は、これらの結果を得た後、再度サンプリングをし、コロニー 
が数えられるまで新しいサンプルを薄めた。薄めたサンプルが合格範囲内の場合、貴社はオリジナルの 
試験結果を無視した。貴社のXXのサンプル収集と試験の方法は、不合格の微生物試験の結果を隠し、 
XXシステムはXXに合っていなかったかもしれない。 
貴社は、各サンプリングで適切な測定を保証するためにサンプルのサイズを修正すると回答した。貴社 
は、貴社のXXシステムに関し、オリジナルの試験結果を無視する手順がいかにデータの信頼性に影響を 
与えたかを評価していないので、貴社の回答は不十分である。 
貴社はこの文書への回答の中で、貴社の修正したサンプル収集及び試験の方法の科学的・論理的根拠を 
提出せよ。さらに、汚染された可能性のあるXXの使用による製品の品質と安全性のリスクを評価せよ。 
2.貴社は試験室の記録が、制定された規格と標準に従うことを保証するために必要な全ての試験から 
  得られた完全なデータを含まれることを保証することを怠った。 
貴社の試験記録に関する我々のレビュは、貴社が貴社の作業の多くの部分で、多くの場合、不適合の 
試験結果の報告を怠っていることを明らかにした。 
〇分析試験 
2016年3月のXXの提出用バッチXXの試験中、3つの連続した同一性試験の不合格が発生した。4件目の 
試験が合格し、貴社は、この合格結果を報告した。貴社は、レビュまたはこの製品の申請提出のために 
品質部門に提出したデータに3つの不合格の結果を含めなかった。貴社は不合格の結果の調査を実施 
しなかった。査察時、貴社は、分析者が、品質部門にレビュ用に不合格の結果を報告していなかった 
ことに気づかなかった。 
貴社は、貴社の手順を改訂し、全てのデータが報告されることを確実にするために分析者を訓練すると 
回答した。貴社は不適合の同一性試験結果を調査することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。 
また、貴社は、その他の報告されていない不適合を特定するために、他のXXの試験結果を評価することを 
怠った。貴社は、販売用に出荷した市販用製品に、報告されていない不適合が存在するかどうかを判断 
することも怠った。 
〇微生物試験 
貴社の洗浄水の微生物試験において2017年11月23日、11月24日、12月1日に収集されたサンプルに関する 
結果が、XXのプレートが破壊される前に報告されなかった。貴社は、インキュベータが不合格の温度解析 
結果を示したので、プレートが破壊されたと説明した。不合格の温度解析結果に関する貴社の調査は、 
プレートの結果は合格だったが、個々のプレートの測定値が記録されていなかったことを示した。貴社は 
回答の中で、2017年の全ての結果をレビュし、それらが完了したと述べた。 
貴社は、貴社のレビュが1年に限定されている論理的根拠を説明しなかったので、貴社の回答は不十分で 
ある。貴社は、貴社の不完全な微生物試験の記録が製品の品質や安全性に与える影響を評価していなかっ 
た。 
3.貴社は、すべての成分、製品容器、蓋、中間材料、ラベル、製品が、合格か不合格を判断する責任 
  と権限、不具合が発生していない、または、不具合が発生したら完全に調査されていることを保証 
  するために製品の記録をレビュする権限を持った適切な品質管理部門を制定することを怠った。 
貴社の品質部門は、出荷判定と貴社の製品XXの安定性の判断のためのHPLC(高速液体クロマトグラフィ) 
の分析データをレビュすることを怠った。 
我々は、貴社のHPLCの電子データのレビュ中、少なくとも100の“テスト”注入を発見した。貴社の分析 
の手順と方法は、“テスト”注入を考察していない。貴社の試験室の管理者は、承認用のデータの提出前 
にこれらの注入をレビュしなかった。貴社は、我々の査察官に対し、貴社の試験室の管理者と品質部門は、 
手順を通じて印刷されたクロマトグラムをレビュするだけで、印刷されたクロマトグラムは分析者により 
提出されると告げた。分析者は“テスト”注入の結果を印刷しないので、試験室の管理者も品質部門も 
これらの注入をレビュしなかった。貴社の手順は、精度や完全性を保証するために、試験室の管理者ま 
たは品質部門による根本的な電子記録または電子データのレビュを必要としていなかった。その結果、 
貴社の品質部門は、バッチのリリースの判断に関し、不完全なデータを信じた。貴社の品質部門は、貴社 
の製品の品質を評価するための手順の妥当性を保証することを怠った。 
我々は、以下のことを含む、貴社の品質部門の適切なデータ管理やレビュ手順に対する不具合について 
の他の例を発見した。 
・貴社の分析者は、いつ手動の積分が許され、どのように実施されるべきかを述べた使用説明書なしに、 
 手動のクロマトグラムの積分を実施した。 
・貴社はフーリエ変換赤外分光または紫外線システムの監査証跡や電子データのレビュに関する手順を 
 持っていなかった。 
●データ・インテグリティの改善 
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を 
適切に保証していない。我々は、貴社の改善を支援する適切なコンサルタントを使用することを勧める。 
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。 
A.データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査 
 調査には下記を含めよ。 
・調査手順と方法論の詳細:アセスメントの対象となる全ての試験室・製造作業・システムの概要、貴社 
 が除外を検討している作業の正当性を示す理由 
・データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接 
 我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。 
・貴社の設備におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント 
 データの省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。 
 貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての設備の操作を述べよ。 
・試験データのインテグリティの欠陥の性質についての包括的な回顧的評価 
 我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識をもった適格な第三者が、すべてのデータ・インテ 
 グリティの欠陥について評価することを推奨する。 
B.貴社の薬の品質で発見された問題に関する影響の可能性についての現在のリスクアセスメント 
 アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた患者 
 のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。 
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略 
貴社の戦略には下記のことを含めよ。 
・分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性と 
 網羅性を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた是正処置計画の詳細 
・現在の行動計画の範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合うことを示す 
 エビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述 
 データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データに依然 
 影響を与えるかどうかを示すこと。 
・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラムへのロット 
 の追加、薬の申請の活動、苦情のモニタリングの強化のような、患者を保護し、貴社の薬の品質を 
 保証するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段 
・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、システム、 
 経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の改善)の強化を述べた長期的手段 
・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告 
●結論 
この文書で言及した逸脱や違反は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの逸脱や 
違反の調査、原因の特定、再発の防止、その他の違反や逸脱の防止に責任を負う。 
貴社が全ての逸脱や違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、 
FDAはいかなる新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm609195.htm

■WL:320-18-56 台湾の製造所の査察(2017/9/1~2017/9/11)でみつかった医薬品製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/5/31付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、無菌工程エリア内の環境条件のモニタリングに関し、適切なシステムを制定することを怠 
  った。 
査察中、我々の査察官は、貴社の無菌OTC医薬品XX,XX,XXに関し、下記の問題を発見した。 
〇環境及び職員のモニタリング・アラートの調査 
我々の査察官は、ISO 5(Class A)及びその周辺のISO 8(Class C)のクリーンエリアから収集された、 
アクションリミットを越えたいくつかの環境モニタリングプレートを発見したが、それらに関する調査は 
開始されていなかった。 
2017年9月6日、我々の査察官は、2017年8月30日と31日の環境及び職員の微生物モニタリングサンプルを 
保管している容器を発見した。多数のサンプルには、失われたCFU数やサンプルを収集した職員の情報を 
含む基本的な文書作成が欠けていた。査察官の要求で、貴社はこれらのプレートのCFU数を数えた。 
いくつかのプレートは、アクションリミットを超える数を示したが、貴社は調査を開始していなかった。 
一例として、XXのロットXXに関してとられたサンプルはISO 5エリアで、140CFUの非常に高い値を示した。 
この重要エリアに関するアクションリミットは、<XXCFUである。 
査察官の指摘により、貴社は査察中に、文書化されていない微生物増殖に関する調査を開始した。2017年 
9月7日、貴社は、これらの初期の調査のコピーを提出した。 
査察官から環境モニタリングの限界からの逸脱を全て提供するよう依頼された時、貴社は、査察日より 
前の1年以上の間、限界を超えた結果はないと報告していた。FDAの査察中に、いくつかの環境モニタリ 
ングサンプルは重大な微生物増殖がみつかっていて、これらの結果は、計測も記録もされていないので、 
この環境管理の報告されたレベルは疑わしい。 
報告されていないデータの原因となる貴社の多数の環境モニタリングのプレートの計測の不履行と、 
システムの欠陥の完全な調査の不履行により、貴社で生成されたデータの完全性に関して疑いが生じる。 
〇不十分な表面のモニタリング 
2017年9月6日、査察官は、貴社の微生物の検査助手が2017年9月1日以来、義務付けられている表面 
サンプルの収集をしていなかったことを発見した。さらに、査察官は、XXからXXの間の環境サンプルが 
欠けていることを明らかにした。貴社の経営者は、およそ1~2年の間、これらの製品XXの環境モニタ 
リングの欠損が起きていたことを認めた。 
貴社は回答の中で、貴社の環境モニタリングサンプルを追跡するためのSOP(標準操作手順書)を作成し、 
活動を監督するためにより多くの職員を雇うと約束した。しかし、貴社は、そのSOPを提供せず、貴社の 
環境モニタリングプログラムを完全に修正するための計画を示さなかったので、貴社の回答は不十分で 
ある。我々の査察官により明らかにされた全ての計測されていないサンプルが計測されたかどうか、また、 
リミットを越えた結果に応えて調査とリスクアセスメントが開始されたかどうかを示していない。さらに 
貴社は、これに限定されないが、全ての試験室のデータが正確に報告されることを含む、信頼できる試験 
室の作業を保証するために、全ての試験室の手順と管理の包括的なレビュが実施されたかを示さなかった。 
この文書への回答の中で下記のことを含めよ。 
・はじめは計測されていなかった追加の微生物プレートの詳細と、貴社がこれらのプレートから最終的に 
 得た結果 
 また、XXとXXの十分な環境モニタリングなしに製造された全てのロットについて提出せよ。 
 アメリカ市場へ販売された、影響を受けた可能性のある全ての製品についてのリスクアセスメントを 
 提供せよ。 
・ISO 5及びそのほかのクリーンエリアでアクションリミットからの逸脱の調査 
・貴社の環境モニタリング及び職員モニタリングプログラムの是正処置及び予防処置(CAPA)の徹底的で 
 独立した評価 
 例えば、貴社の改善は、サンプリング手順、培地の適合性、サンプルの説明責任(例:識別、保管、 
 ログ、分析日時)、適切な場所と頻度、警告やアクションリミットへの適切な対応、クリーンルームや 
 職員のサンプルから隔離された微生物の定期的な確認、効果的なプログラムのさまざまな他の要素を含む 
 べきである。 
・貴社の試験室の手順、方法、装置、分析者の能力に関する包括的で独立したレビュ 
 このレビュに基づき、貴社の試験システムの完全な改善のための詳細なCAPAの計画を提出せよ。 
 貴社の計画には、実施したCAPAの効果を評価するために貴社が使用する手順も含めよ。 
・貴社の無菌工程、装置、設備の、全ての汚染ハザードの包括的な確認 
 人とISO 5エリアとの全ての接触、装置の配置と人間工学、ISO 5エリアとその周辺の部屋の空気の品質、 
 設備のレイアウト、職員の流れ、原材料の流れをカバーする独立したリスクアセスメントを提出せよ。 
2.貴社は、製品の安全性を評価するために設計された文書化された試験プログラムに従うことを怠った。 
貴社は、貴社の安定性プログラムが指定する様々な時間間隔でのXXとXXの継続的な安定性試験を実施する 
ことを怠った。例えば、2016年9月、貴社は、XXのバッチXXの12ヶ月の安定性時間間隔の試験を実施する 
ことを怠った。さらに、貴社は、XXのバッチXXについて計画された6ヶ月の安定性試験を、4ヶ月遅れて 
(2017年3月に)実施した。貴社は、実施漏れや実施遅れの試験に取り組むための調査が欠けている。 
貴社は回答の中でSOPを改訂し、全ての今後の安定性試験がタイムリーに行われることを保証すると約束 
した。しかし、貴社は、改訂したSOPの提出を怠り、全ての実施漏れや実施遅れの試験の根本原因を特定 
するための回顧的な分析を怠った。 
この文書への回答の中で以下のことを提出せよ。 
・アメリカ向け製品の使用期間を裏付けるための、全ての実施漏れや実施遅れの安定性試験の回顧的 
 レビュ 
・実施漏れや実施遅れの安定性試験の影響の評価と、アメリカ向け製品の使用期間を裏付ける全ての 
 安定性データの最新のサマリ(すなわち、各試験で得られたデータ) 
・貴社の安定性試験の精度を保証するための包括的な評価とCAP
 CAPAには、これに限定されないが、実施漏れや実施遅れの根本原因の是正、適格な品質管理職員の 
 適切な人数の保証、強化された手順、包括的な職員の訓練を含めよ。 
3.貴社は、少なくとも年1回、製品の規格や製造及び管理の手順の変更の必要性を判断するため品質の 
  基準の評価にデータが使用できるように、記録を文書化して保管することを怠った。 
貴社の年次製品照査(APR)と、関連する逸脱調査は、アメリカに出荷されたバッチのみを含んでいた。 
APRはアメリカ以外の国に出荷されたバッチは含んでいなかったが、同じ条件で製造されていた。 
例えば、貴社の2016年XXmLのAPRはXXバッチと2つの逸脱調査だけだった。しかし2016年、貴社は貴社の 
設備で全市場用にこの製品をXXバッチ製造し、16件の調査を実施し、そのうちの15件は、製品の収率異常 
に関連していた。全てのバッチは、同じ製造作業で製造されているので、意味を持つ傾向を検知すること 
を考慮するために、貴社のAPRにこれらのバッチも含めるべきである。 
貴社は、この違反について十分な回答を提出しなかった。例えば、APRのプログラムを修正したり、 
年次照査の中にアメリカに出荷されていないバッチを含め回顧的にレビュをしたという証拠はなかった。 
この文書への回答の中で、アメリカに販売された製品に関連する製造及び品質データの評価を提出せよ。 
修正された手順と異常を確認するための回顧的な傾向分析を含めよ。また、製造、管理、規格の変更の 
必要性を判断せよ。 
●品質管理部門 
この文書内の重大な指摘事項は、貴社の品質部門がその権限及び/または責任を完全に果たしていない 
ことを示している。貴社は、品質部門がその責任を果たし、一貫した医薬品の品質の保証をするために、 
品質部門に適切な権限と十分なリソースを提供しなければならない。 
●データ・インテグリティの改善 
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を 
適切に保証していない。この文書への回答において、次の情報を提供せよ。 
A.アメリカ市場に販売された薬のデータのレビュの結果を含む、データの記録と報告における不正確さ 
  の範囲に対する包括的な調査 
 貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述も提出せよ。 
B.貴社の薬の品質で発見された不十分な手順に関する潜在的な影響についての現在のリスクアセス 
  メント 
 アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた患者 
 のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。 
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略 
 詳細な是正処置計画には、微生物及び分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータを含む 
 貴社で生成された全てのデータの信頼性と網羅性を貴社がどのように保証するつもりかを述べよ。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル 
タントを雇うことを強く勧める。サードパーティのコンサルタントは、包括的な監査を実施し、これに 
限定されないが、改善をデータ・インテグリティ、環境モニタリング、逸脱の調査、容器密閉の不具合、 
無菌工程、試験システム、品質部門の権限とリソース、装置と設備、その他の貴社の品質システムの 
全ての要素を含む貴社の作業の改善を手助けすべきである。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の 
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
この文書で言及した違反は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの違反の調査、 
原因の特定、再発の防止、その他の違反の防止に責任を負う。 
貴社が全ての違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、FDAは 
いかなる新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm609829.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
まとめ 
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いかがでしたでしょうか。 
今回の指摘は、今まで多くみられた、虫がいた、機器が腐食していた、記録書がごみ箱に捨てられて
いたといったレベル のものではなく、かなり業務に踏み込んだ内容だったように思います。

データ・インテグリティの指摘は相変わらず出ていますが、それに加えて最近は、安定性試験の実施 
状況や、品質部門の体制に関する指摘もよく見かけるように思います。

安定性試験の実施漏れや実施遅れは、現場で起こりがちなミスだと思いますが、使用期限や保管条件 
の根拠の収集という意味で重要な作業であることを再認識する必要があると感じました。

それから、医薬品の品質を保つことや前述の安定性試験をタイムリーに実施することと、品質部門の 
権限やリソースの確保を含めた体制づくりは切っても切れない関係にあると痛感しました。

☆次回は、8/15(水)に配信させていただきます。


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