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2019.03.15

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<166号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
株式会社プロス
太田和宏様

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

早咲きの桜の開花の話も聞かれるようになってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回は、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から、製薬会社向けに出されたウォーニングレター(4件)に
ついて見ていきたいと思います。
ウォーニングレターに挙げられている指摘内容には、どこの会社様にも起こりうることが含まれていますので、
是非参考にして頂ければと思います。


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最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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■WL:320-19-02 中国の製造所の査察(2018/4/23~2018/4/27)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反
に関する2018/11/27付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に、各有効成分の同一性、含量を含む最終規格に一致するかどうか
  について試験室の判断を怠った。
貴社は、最終製品の品質試験を実施せずに、アメリカ市場にOTC医薬品を出荷した。貴社は、貴社のXXに関する
試験報告を契約研究所から2018年3月23日に受け取った。この試験は、わずかなロットで実施された。貴社はXXの
ロットXXの出荷のために、この報告結果を使用した。
貴社の記録は、貴社がロットXXの製造を、契約研究所の報告の1週間以上後の2018年4月2日に始めたことを示して
いる。さらに、この報告は、微生物の計数結果を含んでいるが、分析試験の結果は含んでいない。
この文書への回答の中で、貴社は、手順を改訂し、製造を終え全体的な調査の後にロットを出荷するつもりである
と述べた。しかし、貴社は、サンプルを使って必要とされる全ての最終製品の試験を終えた後にのみ最終製品を
出荷するかどうかについては示さなかった。
この文書への回答の中で、改訂された最終製品の出荷手順を提出せよ。手順に、製造と出荷前の製品の品質試験の
完了を含めるべきである。統計的に適切な間隔で実施される最終製品のサンプルの適切なリリース試験を明記すべ
きである。
さらに、出荷前に制定された品質の基準を満たしていたかどうかを示すために、使用期限内のアメリカに出荷され
た各最終製品について、CGMPの適格性がある独立した研究所による試験結果を提出せよ。出荷前に制定された品質
の基準を満たさなかった製品に関し、顧客への通知または製品の回収を含む詳細な是正処置を提出せよ。
2.貴社は医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件や使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用する
  ように設計された文書化された試験プログラムを制定してそれに従うことを怠った。
貴社は、貴社の医薬品の使用期限を裏付ける長期の安定性試験データを持っていない。貴社は、3ヶ月の加速試験
のみを使用期限の基準に用いていた。安定性の加速試験は、試験されるロット数、サンプリングして試験される
単位数、保管条件、試験の間隔、分析結果を含む重要な品質基準を正当化する理由を持っていなかった。
貴社は回答の中で、2年前に製造された製品から保管サンプルを試験する計画を立てると述べた。貴社は保管サン
プル試験が、分析結果を含む全ての重要な特性の試験を含むつもりであると示さなかった。
貴社は査察中、試験用サンプルをどこから得るつもりであるか説明しなかった。さらに、貴社の回答では、長期の
安定性試験を含む文書化された安定性試験の手順を制定し実行する計画を提出しなかった。貴社は、貴社の顧客と
サードパーティの研究所が貴社の製品の安定性プログラムを決定すると述べた。しかし、貴社は顧客やサードパー
ティの試験の研究所との契約に関わらず、安定性試験プログラムを含む貴社の医薬品の品質に関する責任を持って
いる。
この文書への回答の中で、貴社の安定性プログラムの適切性を保証するために包括的な評価とCAPA(是正処置・
予防処置)の情報を提出せよ。貴社のCAPAには、これに限らないが、安定性プログラムについて述べた、改訂
された標準操作手順、安定性を示す方法、出荷許可前に容器の密閉システムを保証するための製品の安定性の研究、
保管期間が正当であるか判断するために製品の代表ロットが毎年追加される継続的なプログラム、各工程で試験
される指定された特性について含めるべきである。
3.貴社は、同一性と、純度、含量、品質に関して文書化された規格への一致に関し、各成分のサンプルを試験
することを怠った。
貴社は、同一性、純度、含量、その他の品質特性に関し、入荷した原材料の試験をすることを怠った。貴社の最終
製品を製造するために使用されたXXが、微生物の規格を含む適切な品質特性に一致するという保証がない。査察中、
貴社は、不活性な成分XXの同一性やそのほかの品質特性に関する試験をせず、貴社の供給者の分析証明書(CoA)
に基づく試験結果を受け入れていると述べた。
貴社は回答の中で、貴社の最終製品を製造するために使用されるXXの微生物試験を実施するためにサードパーティ
の研究所を使用するつもりで、不活性な成分の試験をサードパーティと一緒に実施するつもりだと述べた。しかし、
貴社は、(1)XXの試験の頻度を裏付ける科学的な論理的根拠の提出(2)貴社が試験しようとしているXXの特性の明記
(3)いつ試験を開始するかの宣言(4)いつ不活性な成分の試験を実施するかの宣言の提出をしなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。
・全ての関連する手順と施行日を含む、貴社の製造作業で使用される水の品質を保証するための詳細の計画
 この計画には、貴社が選択した試験の頻度に関する科学的な正当性を含めるべきである。
・入荷した成分の各ロットの、純度、含量、品質に関する全ての文書化された規格への一致を試験するために貴社
 がいかに計画しているか詳細を述べよ。もし、貴社が、純度、含量、品質に関して各成分のロットを試験する
 代わりに、供給者の分析証明書を受け入れるつもりであれば、定期的な間隔でこれらの属性に関する供給者の
 試験結果に関する信頼性を貴社がいかに証明するかの計画を述べよ
 分析証明書の検証に関する貴社の計画に関わらず、同一性に関し、全ての入荷した成分のロット(活性/不活性
 成分の両方)の試験をするという誓約を含めよ。また、これらの不備を改善する改訂された手順と、実施のため
 のタイムラインを提出せよ。
●受託業者としての責任
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が、製造設備、試験機関、包装
業者、ラベル業者などの独立した受託業者を使用していることを知っている。FDAは、受託業者を製造業者の延長
としてみなす。
貴社には、プロダクトオーナーとの契約があるかどうかに関わらず、受託設備として、貴社が製造した医薬品の
品質に関する責任がある。貴社には、医薬品が安全性、同一性、含量、品質、純度に関し、連邦食品・医薬品・
化粧品法(FD&C Act)に従って製造されたことを保証することが求められる。
●品質部門の権限
貴社の調査の履歴は、貴社の品質部門が、その権限・責任を完全に実施できていないことを示している。
貴社は、品質部門に対し、その責任を果たし、医薬品の品質を一貫して保証するために、適切な権限、十分な
リソースと職員を提供しなければならない。
●複数製造所での繰り返しの違反と逸脱
2016年7月18日~21日付の過去の査察において、FDAは類似の所見を挙げた。これらの繰り返される不備は、貴社
の設備の監督や、医薬品の製造の管理が不十分であることを示している。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝いを
するために21CFRの211.34章に示す適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
また、我々は、貴社が、FDAと共にCGMP状態を遵守しようとする前に、適格性のあるサードパーティが、CGMPの
遵守に関し貴社の全ての作業の包括的な監査を実施し、貴社が実施した是正処置及び予防処置の完了と効果を
評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、
全ての違反を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を
防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2018年9月28日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としての
いかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm630081.htm

■WL:320-19-05 中国の製造所の査察(2018/7/16~2018/7/20)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反
に関する2018/11/30付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に、各有効成分の同一性、含量を含む最終規格に一致するかどう
  かについて試験室の判断を怠った。また、好ましくない微生物を含まないことが求められる製品の各ロット
  について、必要とされる適切な試験室の試験を怠った。
貴社は、XX中の治療に使用され、XXに適用される薬XXを作っている。XXに適用される薬は、好ましくない微生物
が含まれていてはいけない。しかし貴社は、出荷・販売の前に、総好気性微生物数と好ましくない微生物に関す
る最終製品の試験を怠った。さらに貴社は、出荷・販売の前に、最終製品の各ロットの有効成分の同一性と含量
に関する試験を怠った。試験をせずに、貴社が製造した全ての医薬品のロットが、出荷前に制定した規格を満た
すという科学的な証拠はない。
2.貴社は、同一性や、全ての適切に文書化された純度、含量、品質に関する規格への適合について、各成分の
  サンプルの試験をすることを怠った。
貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用される入荷した原薬やその他の成分の同一性、純度、含量、その他
の適切な品質特性を測定するための試験を怠った。代わりに、貴社は、供給者の分析証明書の確認をせずに分析
証明書に頼ったり、その他の例では、分析証明書の受領をせずに成分を製造に使用したりした。
貴社は、また、医薬品XX内の成分としてグリセリンを使用するが、貴社は、供給者から得たグリセリンの原材料
のロットについて、医薬品の製造に使用するためのリリース前に、ジエチレングリコール(DEG)とエチレングリ
コール(EG)の存在に関する分析を怠った。グリセリン内のDEGの汚染は、世界中の人の死を招くさまざまな中毒
事件を引き起こす。
3.貴社は、医薬品の製造・加工・包装・保持において、適切に設計され、適切なサイズで、その使用目的と
  洗浄やメンテナンスに関する作業を円滑に進めるために適切に設置された設備を使用することを怠った。
貴社は、医薬品を製造するために使用されるXXシステムを適切に設計し、適格性を評価し管理することを怠った。
貴社は、製造に使用する前に、調達元XXやXXを製造前に試験していない。貴社の施設のXXは、XXで害虫、動物の
排泄物、様々な汚染要因物にさらされた外部環境に通じている。
貴社は、貴社のXXシステムが、医薬品の製造目的で、適切な品質のXXを持続的に製造することができることを保証
するための据付・運用・性能の適格性評価に欠けている。さらに、貴社は、XXを好ましくな
い微生物の侵入や増殖から保護していない。
4.貴社が製造した医薬品が、それが持つとされている同一性、含量、品質、純度を持つことを確実にするために
  設計された製造と工程管理に関する文書化された手順を制定することを怠った。
貴社は、貴社の医薬品の製造に使用される工程をバリデートしていなかった。また、重要な工程パラメータの定義
や特定をしていなかった。安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための工程管理のモニタリングに
関する継続的なプログラムに欠けている。
●不十分な回答と回収の開始
FDAの査察結果に対する2018年8月3日の回答は不十分だった。貴社は、アメリカに販売された使用期限内の医薬品の
品質と安全性の管理不足の影響を評価することを怠った。さらに、すぐにアメリカ向けの医薬品の製造と出荷を
止めるという回答にもかかわらず、FDAは、貴社がアメリカに出荷を続けていることを示す輸入記録をレビュした。
我々は、貴社の設備でFDAと貴社が話し合った後、2018年11月9日に、貴社がアメリカ市場内の使用期限内の全ての
製品を回収することに同意したと認識している。
●CGMPコンサルタントの推奨
もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりならば、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いを
する、21CFRの211.34章に示す適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAとコンプ
ライアンス状態の解決に着手する前に、適格性のあるサードパーティが、CGMPの遵守に関し貴社の全ての作業の
包括的な監査を実施し、貴社が実施した全ての是正処置及び予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
もし貴社がアメリカ向けの医薬品の製造と出荷を再開するつもりならば、貴社は、製造作業に関する全てのXXシス
テムの全体的な評価と改善だけでなく、最終製品、原材料、ラボの試験、プロセスバリデーション、及び上に
リストアップした違反に関するシステムの改善を含む包括的な是正処置の情報を提出しなければならない。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、
全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を
防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2018年11月26日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としての
いかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm628119.htm

■WL:320-19-07 韓国の製造所の査察(2018/8/6~2018/8/9)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反
に関する2018/12/13付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は医薬品の各成分の同一性を検証するために少なくとも1試験を実施することを怠った。貴社は、成分の
供給者の分析試験を適切な間隔でバリデーションして信頼性を確認することを怠った。
貴社は、OTC医薬品のシャンプーの製造に使用される有効成分や成分を含む、入荷した原材料の同一性、含量、
その他の適切な品質特性に関する試験が不足していた。代わりに貴社は、適切なバリデーションを通じて、供給者
の分析の信頼性を確認することなく、供給者の分析証明書を信頼した。
貴社は回答で、自社で原材料の中に含まれる成分を直接分析できるよう、試験装置を購入して改善するつもりで
あると述べた。
貴社は、原材料の試験の実施に関する詳細の手順や、導入の目標期日、それまでのアクションプランを提供しな
かったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、下記の情報を提出せよ。
・製造に使用する入荷した成分の各ロットのリリースを承認するために貴社が使用するつもりの化学的・微生物
 的品質管理の規格
・分析証明書のバリデーションプログラムに関わらず、入荷した成分の各ロットの特定の同一性試験を少なくとも
 1つ、どのように実施するかの記述
・含量、品質、純度に関する全ての規格への一致について、各成分のロットをいかに試験するかの記述
 もし貴社が、各成分のロットの純度、含量、品質の試験をする代わりに供給者の分析証明書の試験結果を受け
 入れるつもりなら、初期のバリデーション(定期的な再バリデーションが続く)を通して、これらの属性に関
 する供給者の試験結果の信頼性と一貫性をいかに確認するかの計画を詳細に述べよ。
 この分析証明書のバリデーションプログラムを述べた貴社の標準操作手順書を含めよ。
・アメリカ市場に出荷された使用期限内の貴社製品の製造に使用された有効成分のロットの保管サンプルの完全
 な試験から得られた試験結果のサマリ
・各供給者から得た全ての容器、蓋、部品の適格性が評価され、適切な使用期限とリテスト日が与えられている
 かどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
 また、貴社の入荷した原材料のロットの管理が、不適切な容器、蓋、部品の使用を防ぐのに適切かどうかを
 判断せよ。
2.貴社は、試験方法の精度、感度、特異性、再現性を定め、文書化することを怠った。
貴社は、出荷のためのリリース前の製品内の有効成分の分析に使用される分析試験方法をバリデートしなかっ
た。貴社のノートとHPLCのレポートは、同じ有効成分の分析に関して異なる計測用パラメータを含んでいた。
例えば、HPLCのレポートには、ビオチンの流量と注入量はXXmL/XXとXXμLだったが、ノートでは、これらのパラ
メータはXXmL/XXとXXμLと記録されていた。
貴社は回答で、主要な成分、主要成分以外のその他の成分については量的分析を行い、質的分析は外部の分析
機関で行うつもりであると述べた。
貴社は、バリデーション完了の時間枠や、どの分析をサードパーティが実施するかを含む、試験方法のバリデ
ーションに関する十分な情報を提供していなかったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で下記の情報を提供せよ。
・貴社の試験方法が適切な指図、方法の適合性の基準、方法が目的に合っているかどうかを判断するための
 バリデーション(またはUSP公定書収載の試験方法に関する検証)を持っていることを保証するための貴社に
 より使用されている全ての試験方法の独立したアセスメント
・アメリカ向けに出荷される医薬品に関して使用される全ての分析試験方法についてのバリデーション
(またはUSP公定書収載の試験方法に関する検証)を完了するためにアクションプラン
・貴社の試験システム全体の包括的で独立したレビュと、試験業務の完全な改善を確実にする是正処置・予防
 処置
 たとえば、貴社の試験システムのレビュには、これに限らないが、全ての試験装置の適合性、十分に改善さ
 れたキャリブレーションプログラム、職員の能力、監督者による監督、データシステム、そのほかの試験室
 のコントロールの要素を含めるべきである。
・貴社が製造した医薬品を試験する契約施設の適格性評価と適切性の監督に関する貴社の手順のサマリ
・貴社の使用期限内の医薬品の全ロットの保管サンプルの試験から得られた試験結果のサマリ
 貴社は、これに限らないが、最終製品の同一性、含量、純度を含む全ての品質特性について試験すべきで
 ある。もし、以前出荷したロットに関する試験でOOS(規格外試験)の結果を得たら、顧客への通知や回収
 の開始を含む貴社がとろうとしている是正処置を示せ。
3.貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされている同一性、含量、品質、純度を持つことを保証
  するために設計された製造と工程管理に関する文書化した手順の制定を怠った。
貴社は、4つの有効成分を含むOTC医薬品の工程の性能適格性評価の実施を怠った。貴社は、均一な性質と品質
の医薬品を一貫して生産するために、貴社の製造工程に再現性があり、管理されていることを示さなかった。
また、貴社は装置の適格性評価も実施しなかった。
貴社は回答の中で、秤量と製造の指図を準備して記録し、製造工程中に品質の管理をするつもりであると述べ
たが、貴社は、詳細な工程の適格性評価の手順とバリデートされた工程の継続的な維持管理を保証するための
全体的なプログラムを提出することを怠った。
この文書への回答の中で下記の情報を提供せよ。
・貴社の工程の性能と装置の適格性評価の手順
・アメリカ市場に出荷される全ての製品の完成に関するタイムラインのレポート
・継続的な管理状態を保証するために、バッチ内及びバッチ間のばらつきの定期的なモニタリグに関する
 アプローチの詳細なサマリ
4.貴社は医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件や使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用する
  ように設計された文書化された試験プログラムを制定してそれに従うことを怠った。
貴社は、貴社のOTC医薬品XXの使用期限を裏付ける安定性のデータを持っていない。貴社は、ラベルに記載され
た使用期限を通じて、医薬品の中に残る有効成分の化学的な特性が許容範囲内にあることを示すことを怠った。
従って、貴社の医薬品が使用期限内にその安定性を維持できるという保証がない。
貴社は回答の中で、今後は新しい開発の段階で、適切な使用期限を決定するためのデータを生成し達成するつも
りであると述べた。また、貴社は、存在している安定性試験の項目に、機能的な含有物が保持されるかどうか
判断するための分析項目を追加するつもりであると述べた。
貴社は、貴社の医薬品が、ラベルに記載された使用期限を通じてその規格を満たすことを示すための安定性試験
の手順や試験結果を含めなかったので、貴社の回答は不十分である
この文書への回答の中で、タイムラインと共に、完全な安定性プログラムを開発し実施するための計画を提出
せよ。この計画には、使用期限内で現在アメリカ市場にある貴社の医薬品の保管サンプルの試験による安定性
の評価を含めるべきである。もし既に出荷したロットがOOS(規格外試験)の結果になった場合、顧客への通知
を含め、貴社がとろうとしている是正処置を示せ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝いを
するために21CFRの211.34章に示す適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
また、我々は、貴社が、適格性のあるサードパーティが、CGMPの遵守に関し貴社の全ての作業の包括的な監査
を実施し、貴社が実施した是正処置及び予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣に
は、全ての違反を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●未承認の新薬
製品XXのラベルやWebサイトの宣伝文句は、FD&C Act(連邦食品・医薬品・化粧品法)で定義された医薬品に
あたる。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発
を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2018年11月26日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としての
いかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm628847.htm

■320-19-08 中国の製造所の査察(2018/4/17~2018/4/20)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反
に関する2018/12/14付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、設備の洗浄とメンテナンスに関する文書化された手順を制定し、それに従うことを怠った。貴社
  は、貴社の設備で製造された製品同士の交叉汚染を防ぐために、非専用の製造設備の洗浄手順が適切である
  と示すための適切な洗浄バリデーションの研究が実施されていなかった。査察中、我々は貴社がXXを含む
  いくつかのOTC医薬品を、XXを含む非医薬品に使用する共有設備で製造していることを発見した。
貴社は回答の中で、製品の残留物が洗浄中に取り除かれていることを示すために、現在の非専用設備の洗浄手順
を回顧的にバリデートするつもりであると述べた。しかし、今日まで、貴社は、是正処置に関する情報やそれを
裏付ける文書を提出していない。
CGMP上、貴社がXXの製造に使用するのと同じ装置を使用して医薬品の製造を続けることは受け入れられない。
この文書への回答において、医薬品と非医薬品を、貴社の製造所の共有設備で製造することを中止せよ。もし
貴社が貴社の製造所で医薬品と非医薬品の両方の製造を続けるつもりなら、医薬品とXXの製造作業のための専用
の製造装置を維持するために、いかに製造エリアを分離するかの計画を提出せよ。
更に、過去にXXと一緒に共有設備で製造した全ての医薬品のリスクアセスメントを実施せよ。各製品について、
共有設備による潜在的汚染のリスクを評価し、回収や市場からの撤退を含む、販売中の全ての製品の品質と患者
の安全のリスクに取り組むための計画を提出せよ。
2.貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の合格、不合格を判断するための
  責任と権限を持った品質管理部門を制定することを怠った。
貴社の品質部門は、承認し、リリースし、出荷を許可する権限を行使することを怠った。更に貴社は、最終の
規格を満たさないOTC医薬品を承認しリリースした。例えば:
・XXのXXロットに関し、貴社の営業部長は、貴社の契約研究所からXXの分析に関し、規格外の試験結果を提供
 された。それらのロットは、試験の不合格結果について品質部門にレビュされることなく出荷された。
・貴社が分析試験結果を受け取る前に、XXの1ロットは2017年8月3日に品質部門によりリリースされ、
 2017年8月7日に出荷された。
貴社は回答の中で、改訂した標準操作手順と、不適切な品質の見落としをしたOTC医薬品の出荷に関する教育
記録を提出した。
しかし、貴社はこの違反の根本原因を究明していないので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、
・その権限の行使に関する品質部門の不備を招いた根本的な要因を究明するために根本原因の評価を実施せよ。
 これには、役割と責任を明確にするために、貴社の顧客との品質協定との徹底的な評価を含めよ。
・貴社が、制定した規格や適切な製造標準に従わなかったOTC医薬品を更に出荷したかを判断するために、
 アメリカに出荷された使用期限内のOTC医薬品の全てのロットのレビュを実施せよ。貴社のレビュの結果に
 基づき、顧客への通知や製品の回収のような速やかで適切な是正処置をとれ。
3.貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に、各有効成分の同一性、含量を含む最終規格に一致するという
  試験室の判断を怠った。また、貴社は、好ましくない微生物が含まれないことが求められる医薬品の各
  ロットについて、必要な試験を行うことを怠った。
貴社は有効成分の同一性、含量、純度、品質の試験をせずに、XXのロットXXとXXのロットXXをアメリカのサプ
ライチェインに出荷した。加えて貴社の全てのOTC医薬品は、XXのない規格であり、この試験は、最終製品試験
で実施されなかった。
さらに、貴社は全てのOTC医薬品に使用されているXXに関する試験規格を制定せず、試験を実施しなかった。
貴社は回答の中で、アメリカに出荷された使用期限内の製品の分析試験結果を提出した。しかし、これらの製品
は、XXのない規格を含むなど、全ての規格による試験がされていなかった。さらに、貴社は全てのOTC医薬品に
使用されているXXに関する、制定された成分の規格を提出しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。
・アメリカに出荷された使用期限内の全てのOTC医薬品の保管サンプルの試験から得られる試験結果のサマリ
 サマリに有効成分の同一性と含量、その他の適切な化学及びXXの品質特性に関する試験結果を含めよ。
・OTC医薬品を製造するために使用されるXXに関する貴社の成分の規格
4.貴社は医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件や使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用する
  ように設計された文書化された試験プログラムを制定してそれに従うことを怠った。
貴社は、ラベルに記載された使用期限を通じて、OTC医薬品の化学及びXXの特性が許容範囲内にあることを示す
ための適正な安定性試験プログラムを持っていなかった。例えば、貴社の安定性試験プログラムは貴社のOTC
医薬品に含まれる有効成分の分析の規定を含んでいない。貴社は回答の中で、現在市場にある貴社のOTC医薬の
適格性を保証するために、保管サンプルの試験はもちろん、OTC医薬品の使用期限と保管条件を正当化するため
の適切な安定性の研究を実施すると約束した。我々は貴社が貴社のOTC医薬品のアメリカでの販売をやめること
を承知した。しかし、貴社は、使用期限内の現在市場にあるOTC医薬品の暫定措置の実施していない。
この文書への回答の中で、
・試験結果が規格を満たすかどうかを判断するための安定性を示す方法を使い、使用期限内のアメリカに出荷
 された貴社の全てのOTC医薬品の安定性試験結果を提出せよ。もし、規格外の結果を得たら、顧客への通知や
 製品の回収などの、速やかで適切な是正処置をとれ。
・貴社の安定性プログラムの適格性を確実にするための包括的なアセスメントと是正処置・予防処置(CAPA)
 を実施せよ。貴社のCAPAには、これに限らないが、貴社の安定性プログラム、安定性を示す方法、出荷許可
 前に容器の密閉システムを保証するための製品の安定性の研究、保管期間が正当であるか判断するために製品
 の代表ロットが毎年追加されるような継続的なプログラム、各工程で試験される指定された特性を述べた改訂
 された標準操作手順書(SOP)を含めるべきである。
●CGMPコンサルタントの推奨
もし貴社がアメリカ市場むけの医薬品の製造を再開するのであれば、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP
要件を満たす手伝いをするために21CFRの211.34章に示す適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社
のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、
全ての違反を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る
●受託業者としての責任
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が、製造設備、試験機関、
包装業者、ラベル業者などの独立した受託業者を使用していることを知っている。FDAは、受託業者を製造業者の
延長としてみなす。
貴社には、プロダクトオーナーとの契約があるかどうかに関わらず、受託設備として、貴社が製造した医薬品の
品質に関する責任がある。貴社には、医薬品が安全性、同一性、含量、品質、純度に関し、連邦食品・医薬品・
化粧品法(FD&C Act)に従って製造されたことを保証することが求められる。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を
防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2018年10月5日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としての
いかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm628942.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。

今回取り上げた4件のウォーニングレターのうち3件に、安定性試験に関する指摘が含まれていました。
安定性の管理、製造に比べると手薄になることが多いように思いますが、皆様の会社はいかがでしょうか。
試験を忘れたり、検体が行方不明になったりということもあるかと思います。

今回のウォーニングレターから、出荷までの品質管理はもちろんのこと、出荷後の管理についても細心の注意が
必要であると改めて感じました。

☆次回は、4/1(月)に配信させていただきます。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お礼
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
先月のインターフェックス大阪では、弊社ブースにお立ち寄り頂きまして誠にありがとうございました。
普段はお目にかかることがないため、直接お会いすることができて何よりでした。
7月3日~7月5日は東京ビッグサイトにてインターフェックスジャパンに出展いたします。
ご都合が合えば、是非ご来場いただければ幸いです。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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【発行責任者】 
株式会社プロス 
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2019.03.01

【FDA発出データ・インテグリティに関するガイダンス最終版】ASTROM通信<165号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

少しずつ暖かくなってきましたが、いかがお過ごしですか?

ご存知の通り、昨今、データの信頼性を保証するために、データ・インテグリティ(データの完全性)
が強く求められるようになってきており、EMA(欧州医薬品庁)、MHRA (英国医薬品庁)、
FDA(米国食品医薬品局)、PIC/Sなどから、データ・インテグリティに関するガイドラインが続々と
発出されています。

そこで、今回は、FDAより2018年12月13日に発出された
Data Integrity and Compliance With Drug CGMP Questions and Answers Guidance for Industry
(データ・インテグリティ及びCGMP準拠 質疑応答 業界向けガイダンス)を取り上げたいと思い
ます。

このガイダンスは、2016年4月14日に出されていたドラフト版を更新した最終版で(2016年5月13日
発送 ASTROM通信<98号>参照)、データ・インテグリティに関するFDAのベストプラクティスな
現在の考え方を織り込むために改訂され、システムの設計、運用、モニタリングと、データ・インテ
グリティを維持するための管理を含んでいます。

<原文>
https://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM495891.pdf?utm_campaign=CDER%20New%2012%2F13%2F2018&utm_medium=email&utm_source=Eloqua&elqTrackId=da2db2c9b49a43ef913038fa12edfe94&elq=f0dbce4fd0224520a622b08d692ce608&elqaid=6270&elqat=1&elqCampaignId=5102


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ガイダンスの序論及び背景の抜粋
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I.序論
このガイダンスの目的は、21 CFR Part 210,211,212(米国連邦規則21条第210章、211章、212章)
で求める薬のCGMPにおけるデータ・インテグリティの役割を明確にすることにある。
FDAは、データが信頼できて正確であることを期待する。CGMPの規則及びガイダンスは、データ・
インテグリティに関する問題を防ぎ、問題を見つけるために、柔軟なリスクベースの戦略を認めて
いる。会社は、プロセスの理解と、技術とビジネス・モデルのナレッジ・マネジメントに基づいて、
データ・インテグリティのリスクを管理するための有意義で効果的な戦略を実施すべきである。
有意義で効果的な戦略は、患者、工程、製品へのリスクに基づき、設計、運用、システムと管理の
モニタリングについて検討すべきである。これらの戦略への経営者の参加と影響は、データ・
インテグリティ問題につながりうる状態を予防し是正するために不可欠である。データ・インテ
グリティが組織のコア・バリューで、従業員はデータ・インテグリティの問題を特定してすぐに
報告することが奨励されることを、従業員が理解しているクオリティ・カルチャーを作ることは、
経営責任を持つ経営者の役割である。クオリティ・カルチャーに経営者のサポートがなければ、
品質システムは壊れ、CGMP不遵守につながる。
FDAのガイダンス文書は法的強制力のある責任を定めない代わりに、当局の現在の考え方を述べた
勧告とみなされるべきである。

II.背景
ここ数年FDAは、CGMP査察の中でデータ・インテグリティを含むCGMP違反を年々見つけている。
データ・インテグリティを保証することは、医薬品の安全性、効能、品質を保証する業界の重要
な責任であり、公衆衛生を守るためのFDAの重要な機能でもあるため、これは気がかりな状況で
ある。これらのデータ・インテグリティに関係するCGMP違反は、ウォーニングレター、輸入警告、
同意判決といった多数の規制措置につながっている。


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質疑応答
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1.CGMPの記録に関する下記の用語について明確にしてください。
a.Data integrity(データ・インテグリティ)とは何ですか?
データ・インテグリティは、データの完結性、一貫性、正確性をさす。
完結し、一貫していて、正確なデータは、出処がわかり、読みやすく、同時に記録され、オリジ
ナルもしくは真正なコピーであり、正確でなければならない。(ALCOA)
※ALCOA:Attributable(帰属性)、Legible(判読性)、Contemporaneous(同時性)、
         Original(原本性)、Accurate(正確性)の頭文字をとった言葉。

b.メタデータとは何ですか?
メタデータとは、データを理解するために必要な、前後関係を示す情報である。データ値は、
データについての追加の情報がなければそれ自身は無意味である。メタデータはしばしばデータに
ついてのデータと評される。
メタデータは、データを類型化したり、説明したり、検索したり、使用したり、管理したりする
ための構造化された情報である。
例えば、数値の”23”は、単位の”mg”というメタデータがなければ意味がない。
ある種のデータに関するメタデータには、いつデータが取得されたかを示す、日付/時間のタイム
スタンプ、誰がデータを生成するテストまたは分析を実施したかを示すユーザID、データの収集
に用いられた機器のID、機器のステイタス・データ、原材料の識別番号、監査証跡等を含む。
データは、CGMP活動の再現に必要な関連するメタデータと共に記録の保持期間を通して保持されな
ければならない。データとメタデータの関連性は、安全で追跡可能な方法で維持されなければなら
ない。

c.監査証跡とは何ですか?
監査証跡とは、このガイダンスの目的のために、電子記録の生成、修正、削除に関する経過の再現
を可能にする、安全な、コンピュータで生成された、タイムスタンプのついた電子記録を意味する。
監査証跡は、記録の“誰が、何を、いつ、なぜ”の年代記である。
例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の監査証跡は、ユーザ名、実行の日時、使用された
積分パラメータ、再処理の詳細を含む。文書には、再処理に関する変更の正当な理由を含んでいな
ければならない。
監査証跡は、データの生成、修正、削除のトラック(例:処理パラメータと結果)と、レコード
またはシステムレベルのトラックの作用(例:システムへのアクセスやファイルの名前の変更・
削除の試み)を含む。
CGMPに従ったレコード保持行為は、データが失われたり不明瞭になったりすることを防ぎ、活動が、
その実施された時に文書化されていることを保証する。監査証跡を含む電子の記録保持システムは、
CGMP要件を下支えすることができる。

d.FDAは、記録形式に関する“静的”と“動的”という用語をどのように使っているのですか?
このガイダンスの目的のために、紙の記録または、電子画像のような不変のデータの文書を示す
のに“静的”という用語が使われる。また“動的”とは、ユーザと記録コンテンツの間で相互作用
があるものをさす。たとえば、動的なクロマトグラフィーの記録は、ユーザがベースラインを変え
てクロマトグラフィーデータの再処理ができるため、結果のピークは、より小さくも大きくもなる。
また、計算式やテスト結果を計算するためのスプレッドシートの入力値等をユーザが変えることが
できる。

e.FDAは、211章68(b)の“バックアップ”という用語をどのように使っているのですか?
FDAは、211章68(b)にて、バックアップを、記録の保持期間を通して安全に保持されているオリジ
ナルデータの真正なコピーと呼んでいる。バックアップデータは、正確で、完全で、変更・不注意
な削除や紛失から保護されていなければならない。バックアップファイルは、メタデータに関連する
データを含み、オリジナルのフォーマット、もしくは、オリジナルフォーマットと互換性がなければ
ならない。
FDAの“バックアップ”という用語の使用は、FDAの業界向けガイダンス及びスタッフ向けの
”ソフトウエアのバリデーションの一般原則の中で使用されている“アーカイブ”という用語と一致
している。
一時的バックアップコピーは、データのバックアップファイルを保持せよという211章68(b)の要件を
満たさない。

f.211章68の“システム”と“コンピュータまたは関連システム”とは何ですか?
米国規格協会(ANSI)は、システムを、人 と 機械 と 特定の機能を遂行するためにまとめられ
た方法 と定義している。コンピュータまたは関連システムとは、ハードウエア、ソフトウエア、
周辺機器、ネットワーク、クラウドインフラ、人員、関連する文書(ユーザマニュアルや標準操作
手順書)ということができる。

2.いつ、CGMPの試験結果を無効にし、バッチの適合性の判断からCGMPの試験結果を除外することが
    許されるのですか?
CGMP記録の一部として生成されたデータは、出荷基準の一部として品質部門により評価され、保持
されなければならない。CGMP要件を満たすために生成された関連するメタデータを含む電子データ
には、記録内のCGMP活動を復元することが求められる。品質部門の規格への一致についての判断から
除外するために試験結果を無効化するには、正当で文書化され、科学的に理にかなった正当性が求め
られる。
たとえ試験結果が科学的に理にかなった調査に基づいて合法的に無効化された場合でも、品質部門
に提供される全てのCGMPのバッチの記録に、結果を無効化したことを正当化する調査報告と一緒に
オリジナルの無効化されたデータも含むことになる。記録の保持とレビュの要件は、データの
フォーマットよって変わらない。即ち、紙ベースの記録でも、記録保持システムの電子データでも、
同じ要件の対象である。

3.コンピュータシステムのワークフローはバリデートされている必要がありますか?
はい、電子の製造指図記録の原本(MPCR : Master of Production and Control Record)のような
ワークフローは、用途通りのコンピュータシステムであることが、バリデーションを通じてチェック
されなければならない。バリデーションの範囲は、自動化システムによる引き起こされるリスクに
一致していなければならない。同じシステムがCGMPとnon-CGMP機能の両方で使われる場合、
non-CGMP機能がCGMPの運用に影響を与える可能性が評価され、影響が適切に緩和されなければなら
ない。
もし、コンピュータシステムをバリデートしても、その用途に関するバリデートをしていなければ、
ワークフローが正しく動作するかわからない。例えば、製造実行システム(MES : Manufacturing Execution System)
のプラットフォームの適格性評価で、MESが関連する要件と規格を満たすことを保証しても、MESで
生成されたMPCRが正しい演算を含んでいるかを示していない。この例では、ワークフローのバリデー
ションが、MPCRの中の意図したステップ、要件、演算が正確で正しく動くことを保証する。これは
MPCRが実行される前に、紙のMPCRをレビュし、全ての必要な手順が整っていることを保証すること
と同様である。
FDAはシステムの各要素のリスクを管理するための適切なコントロールを実施することを推奨する。
用途に応じてシステムをバリデートするために適切に設計されたコントロールは、ソフトウエア、
ハードウエア、職員、文書が対象となる。

4.CGMPコンピュータシステムへのアクセスはどのように制限されるべきですか?
コンピュータ化されたMPCRや、その他のCGMP記録や、コンピュータ化された記録の中に入力された
試験データに対する変更が権限を与えられた人によってのみ為されることを保証するための適切な
コントロールを実施しなければならない。権限を与えられた人に限定するコントロールの他の例
には、自動化された外観試験の記録、電子化された原材料管理システムの記録、自動調剤システム
の秤量記録がある。FDAは、可能であれば、技術的な方法で、規格やプロセスパラメータ、データ、
製造や試験方法を変更する能力を制限することを推奨する。(例:設定やデータの変更の許可を
制限すること)
ファイルや設定を変えることを含むシステム管理者の権限は、記録の中身に責任を負う職員と独立
した職員に割り当てられるべきである。アクセスのコントロールを助けるために、製造業者は、
使用中の各CGMPコンピュータシステムに関し、権限を与えられた職員のアクセス特権を文書化する
ための方法を定めて実施することが重要である。(例:権限を与えられた個人のリストを保持する
こと)

5.FDAはなぜコンピュータシステムの共有ログインアカウントの使用を心配するのですか?
ログイン資格が共有されると、ログイン時に、一人の個人を特定できず、システムは211章、212章
のCGMP要件を満たさなくなるだろう。FDAは、製品品質を保証するために、文書管理を含むシステム
のコントロールがCGMPに一致するよう設計されることを求めている。例えば、質問4に述べられた
ようなアクションが特定の個人に起因することを保証する文書管理を実装しなければいけない。
共有されたデータや設定の変更を許さない閲覧のみのユーザアカウントは、データを見ることに
ついては許容できるが、特定の個人に帰属可能な第二の職員のレビュのような行動に関する211章
及び212章の要件には一致しない。

6.未記入用紙(ブランクフォーム)はどのように管理されるべきですか?
製品品質を保証するための文書管理がなければならない。例えば、公式な使用の際には文書管理
グループによるスタンプが押される、綴じられて頁番号のふられたノートは、ページ数のギャップ
はもちろん、スタンプにより非公式なノートの使用の容易な検知を可能にするので、適切な文書管理
となる。もしブランクフォームが使用されるなら、ブランクフォームは、品質部門や、別の文書管理
の方法により、コントロールされるべきである。必要に応じて、番号のふられた未記入用紙が適切に
発行され、全ての発行用紙の使用が終わったら照合されるべきである。未完成または記入を誤った
用紙は、その理由の正当性の文書と共に、不変の記録の一部として保管され、CGMPの活動を再現する
ために必要な全てのデータは、完成した記録の一部として保持されなければならない。

7.誰が監査証跡をレビュするのですか?
監査証跡のレビュは、データのレビュ時に紙のバツ印を評価するのと似ている。CGMPのもと、記録の
レビュの責任を負う職員は、残りの記録をレビュする時に、記録に関連する変更の監査証跡をレビュ
すべきである。例えば、監査証跡を含む全ての製造指図記録は、レビュされて、品質部門により承認
されなければならない。連邦規則は、情報を直接監視またはチェックする職員により、一部の活動の
レビュをする柔軟性を提供する。FDAは、CGMPの記録の監視とレビュの実施について、品質システム
のアプローチを推奨する。

8.監査証跡はどれくらいの頻度でレビュされるべきですか?
CGMPの中で、データのレビュの頻度が明記されている場合は、監査証跡のレビュの頻度もそれを遵守
せよ。例えば、211.188(b)章は、製造、加工、包装、保持の各重要なステップの後のレビュを要求し、
211.22章は出荷判定の前のデータレビュを要求している。これらの場合、監査証跡も同じレビュの
頻度を適用することになる。
CGMPの規則にデータのレビュ頻度が明記されていない場合は、プロセスに関する知識やツールの
リスクアセスメントを使って監査証跡のレビュ頻度を決定すべきである。リスクアセスメントには、
データの重要性、コントロールのメカニズム、製品品質への影響の評価を含むべきである。
監査証跡のレビュへのアプローチとその実施の頻度は、CGMPの要件を満たし、適切なコントロールが
実施され、レビュの信頼性が証明されていることを保証すべきである。

9.電子的コピーは紙または電子記録の正確な複製物として使うことができるのですか?
はい。電子的コピーが、関連するメタデータを含み、もともとの記録の静的または動的性質を保ち、
オリジナルデータの内容や意味を保っているのであれば、電子的コピーは、紙または電子記録の
真のコピーとして使用することができる。
動的な電子記録の真のコピーは、オリジナルの記録のフォーマット、または、適切なリーダ及び
コピー機器が容易に利用可能であれば、オリジナルの記録の内容と意味が守られるフォーマットで
作成されて保持してよい。

10.フーリエ変換赤外分光光度計のようなスタンドアロンのコンピュータ化された試験機器から
      得られたオリジナルの電子記録のかわりに、紙の印刷物や静的記録を保持することが許され
      ますか?
紙の印刷物や静的記録が、オリジナルの記録もしくはオリジナルの記録の完全なコピーであれば、
保持の要件を満たすであろう。データの収集中、例えば、pH計や秤は、オリジナルの記録として
紙の印刷物や静的記録を作るかもしれない。この場合は、紙の印刷物や静的記録、または、真の
コピーが保持されなければならない。
しかし、ある種の試験機器から得られる電子記録は、それがスタンドアロンでもネットワークに
つながっていても、動的であり、完成したオリジナルの記録の一部として印刷物または静的記録
は動的形式を保持しないので、CGMPの要件を満たさない。例えば、FT-IR(フーリエ変換赤外分光
光度計)によって作られたスペクトラルのファイルは動的で再処理ができない。しかし、静的記録
または紙の印刷物は固定され、オリジナルの記録、または、真のコピーを保持するというCGMP要件
を満たさないかもしれない。また、完全なスペクトラムが印刷物に表示されなければ、不純物が
除外されるかもしれない。
紙の記録であっても電子記録の記録であっても、オリジナルの試験の記録は、全ての試験結果と
関連する情報が適切に報告されたことをよく確かめるために、第二の職員のレビュの対象である。
同様に、微生物試験でも、試験と同時に文書化されたペトリ皿のコロニー計数の記録は保持され、
記録は、第二の職員のレビュの対象となる。

11.製造指図記録の原本に関し、手書きのサインのかわりに電子署名を用いることができますか。
はい。適切に管理のされた電子署名は、CGMPが要求する記録において、手書きのサインまたは
イニシャルの代わりに使用することができる。
211.186(a)章は、「手書きされた完全なサイン」と明記しているが、サインを、関連した記録と
安全に接続する適切なコントロールを持つ電子署名は、この要件を満たす。
電子記録を使用する企業は、記録に電子的にサインした特定の人物を割り出せることを保証する
ための管理について文書化しなければならない。

12.電子データはいつCGMP記録になるのですか?
データがCGMP要件を満たすように生成された時、全てのデータはCGMP記録となる。記録を生成する
作業が実施されたと同時に、CGMP要件に従って、データは文書化もしくは保存されなければなら
ない。
FDAは、要求されるデータが生成され、修正の記録なしに修正されずに保持されるようプロセスが
設計されることを期待する。たとえば、クロマトグラフィーのデータは、注入の終了時の代わりに、
各ステップの完了時または注入時(例:ピークの積分、またはプロセスのステップ;注入の終了/
未完了/中止)に耐久性のある媒体に保存されるべきである。また、クロマトグラフィーのデータ
や注入順序の変更は、監査証跡の中に記録されるべきである。中止や未完成の注入は、監査証跡に
記録され、調査され、その正当性が説明されるべきである。
データが不変のラボのノートに転記された後も、紙上の記録データが捨てられることは受け入れら
れない。同様に、不変の記録が作られずに改ざんを許す方法で電子記録が保管されることも受け
入れられない。
電子システムに関するCGMPの文書化の手順を満たすように技術と手順上のコントロールを組み合わせ
て採用してもよい。例えば、ラボ情報管理システム(LIMS : Laboratory Information Management System)
や電子的バッチ記録(EBR : Electronic Batch Record)システムのようなコンピュータシステムは、
それぞれの入力の後に自動的に保存されるよう設計してもよい。これは、CGMP要件を満たすために、
紙のバッチ記録に、消えないように同時に入力するのと類似しているだろう。
上に述べたコンピュータシステムは、データが生成された時にすぐにデータの入力を要求する手順
または入力される手順の組み合わせでよい。

13.なぜFDAは、ウォーニングレターの中で、「システムの適合性試験」または、試験/予備試験
      /平衡ランにおいて、実際のサンプルの使用を問題としてあげるのですか?
FDAは特定の結果を得ることを目的とする、または、受け入れられない結果を打ち消すためのサンプ
リングやテストを禁止する。(例:望ましい合格結果が得られるまで異なるサンプルでテストする
こと)
この手順は、“適合のための試験(testing into compliance)”とも呼ぶが、CGMPと一致しない。
いくつかの場合、システムの適合性試験のために実際のサンプルを使用することは、適合のための
試験の手段として用いられてきた。FDAは、実際のサンプルを試験/予備試験/平衡ランに使用する
ことは、適合のための試験の方法として、違反手順とみなす。
アメリカ薬局方によれば、システムの適合性試験には、精度の要求を満たすかどうかを判断する
ために、標準試料または、標準溶液の繰り返しの注入を含むべきである。システムの適合性試験は、
注入される試料の同一性と、その選択の合理性が記載され、会社の制定した文書化された手順や、
承認された申請または適用できる承認基準に従って行われるべきである。
もし実際のサンプルがシステム適合性試験に使用されるのであれば、適切に特徴づけられた補助的
な基準、文書化された手順が制定され、その手順に従うべきであり、サンプルは、試験されたもの
ではなく異なるバッチから取られるべきである。CGMPのオリジナルの記録は完成され、適切な
レビュの対象とされるべきである。透明性が必要である。明らかなエラー/不合格/合格/疑わしい
データを含む全てのデータは、保持され、レビュや監視の対象となり、CGMP記録の中に含まれる
べきである。文書による調査において、無効とされたデータや、バッチの規格への適合性の判断に
使用されなかったデータに関し、科学的に合理的な正当な理由が必要である。

14.再加工されたラボのクロマトグラフィーから得られた最終結果のみを保存するのは認められ
      ますか?
いいえ。分析方法は正確で詳細でなければならない。ほとんどの試験の分析では、再加工データは
法的には必要ではないかもしれない。クロマトグラフィーが再処理されたら、文書化された手順が
作られ、それに従ってテストされ、得られた結果はレビュのために保持されなければならない。
FDAは、これに限定されないが、ノート、ワークシート、グラフ、チャート、スペクトル、その他、
試験機器から得られた全てのタイプのデータを含む試験記録の完全なデータを求める。

15.データの改竄の可能性等、品質問題に関わる内部情報は、文書化されたCGMPの品質システム外
      で非公式に取り扱うことができますか?
いいえ。その意図や、いかに、または、どこから情報が得られたかに関わらず、偽造が疑われるもの、
または、既知の偽造、または、記録の改変は、患者の安全、製品品質、データの信頼性への影響を
判断し、根本原因を見つけ出し、必要な是正処置がとられることを保証するために、CGMP品質システム
のもとで、210章、211章、212章に基づいて完全に調査されることが求められる。
FDAは医薬品の安全性、同一性、含量、品質または純度に影響を与えうる、データ・インテグリティが
疑われる問題を報告する個人に、DrugInfo@fda.hhs.govを案内する。“CGMPデータ・インテグリティ”
をメールのタイトルに含めよ。この報告の方法は、他のFDAのレポート(例:Field Alert Report
またはProduct Deviation Report)に優先するものではない。

16.CGMPの定期的訓練プログラムの一部として、職員は、データ・インテグリティの問題を防ぎ、
       発見するために訓練をされるべきですか?
はい。データ・インテグリティの問題を防ぎ、発見するための職員教育は、職員について述べられた
211.25章、212.10章に基づき、職員は、与えられた職務を遂行するために教育、訓練、経験、または
その組み合わせを受けなければならない。

17.FDAは、電子記録を見ることが許されますか?
はい。CGMPで求められる全ての記録は、FDAの査察対象である。これは、CGMP活動を支える電子的
コミュニケーションを含むコンピュータ化システムで生成され保持されている記録に適用する。
例えば、バッチのリリースを許可する電子メールはFDAがレビュする可能性があるCGMPの記録である。
企業は、電子データのコピーを含む強制査察、レビュ、記録のコピーを許可しなければならない。

18.データ・インテグリティの問題について、FDAは、どのように対処されることを勧めるか?
FDAは、問題の範囲と根本原因を究明し、その影響(FDAへの提出物を立証するデータへの影響を含む)
の可能性について、科学的に理になかったリスクアセスメントを実施し、根本原因に取り組む、
包括的な是正処置を含む管理戦略を実施することにより、企業が、査察でみつかった問題が効果的に
修正されたことを証明することを奨励する。これは、第三者の監査役の採用、データ・インテグリティ
の欠如に責任のある個人を、会社のCGMP関連または薬の申請データに影響を与えうる地位から移動
させることを含むかもしれない。また、品質の監督の向上、コンピュータシステムの改善、再発を
防止しデータ・インテグリティの違反に取り組む仕組みの作成を含むかもしれない。(例:匿名の
報告制度、データ・ガバナンスの職員やガイドライン)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。

このガイダンスは、FDAの見解がQ&A方式でのっているので、規制要件がひたすら書かれているガイド
ラインよりも読みやすくて有難いです。

2016年のドラフト版と比べてみると、用語の定義が変わったというような大きな変更はないのですが、
要求が厳しくなっていると感じる箇所がいくつかありました。
例えば、Q&A No.4。ドラフト版では、少数の従業員の小さな操作や設備でシステム管理者と記録の
責任者が独立していることが実用的でない場合は、第二のレビュ者による管理も一部認めていましたが、
今回の最終版では、システム管理者と記録の責任者が独立していることを求めています。
また、Q&A No.17 には、コンピュータシステムだけでなく、CGMPに関連する電子メールもFDAの査察
対象とすると書かれています。(これは少し怖いと思うのは私だけでしょうか)
このように厳しくなっているのは、FDAが以前にも増してデータ・インテグリティを重視していること
の現れだと思います。

FDAの査察を受ける可能性のある会社様はもちろんですが、それ以外の会社様も、データ・インテグリ
ティに関する規制動向を把握するうえで、是非ご一読いただければと思います。


☆次回は、3/15(金)に配信させていただきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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