ASTROM通信バックナンバー

2019.03.01

【FDA発出データ・インテグリティに関するガイダンス最終版】ASTROM通信<165号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

少しずつ暖かくなってきましたが、いかがお過ごしですか?

ご存知の通り、昨今、データの信頼性を保証するために、データ・インテグリティ(データの完全性)
が強く求められるようになってきており、EMA(欧州医薬品庁)、MHRA (英国医薬品庁)、
FDA(米国食品医薬品局)、PIC/Sなどから、データ・インテグリティに関するガイドラインが続々と
発出されています。

そこで、今回は、FDAより2018年12月13日に発出された
Data Integrity and Compliance With Drug CGMP Questions and Answers Guidance for Industry
(データ・インテグリティ及びCGMP準拠 質疑応答 業界向けガイダンス)を取り上げたいと思い
ます。

このガイダンスは、2016年4月14日に出されていたドラフト版を更新した最終版で(2016年5月13日
発送 ASTROM通信<98号>参照)、データ・インテグリティに関するFDAのベストプラクティスな
現在の考え方を織り込むために改訂され、システムの設計、運用、モニタリングと、データ・インテ
グリティを維持するための管理を含んでいます。

<原文>
https://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM495891.pdf?utm_campaign=CDER%20New%2012%2F13%2F2018&utm_medium=email&utm_source=Eloqua&elqTrackId=da2db2c9b49a43ef913038fa12edfe94&elq=f0dbce4fd0224520a622b08d692ce608&elqaid=6270&elqat=1&elqCampaignId=5102


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ガイダンスの序論及び背景の抜粋
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I.序論
このガイダンスの目的は、21 CFR Part 210,211,212(米国連邦規則21条第210章、211章、212章)
で求める薬のCGMPにおけるデータ・インテグリティの役割を明確にすることにある。
FDAは、データが信頼できて正確であることを期待する。CGMPの規則及びガイダンスは、データ・
インテグリティに関する問題を防ぎ、問題を見つけるために、柔軟なリスクベースの戦略を認めて
いる。会社は、プロセスの理解と、技術とビジネス・モデルのナレッジ・マネジメントに基づいて、
データ・インテグリティのリスクを管理するための有意義で効果的な戦略を実施すべきである。
有意義で効果的な戦略は、患者、工程、製品へのリスクに基づき、設計、運用、システムと管理の
モニタリングについて検討すべきである。これらの戦略への経営者の参加と影響は、データ・
インテグリティ問題につながりうる状態を予防し是正するために不可欠である。データ・インテ
グリティが組織のコア・バリューで、従業員はデータ・インテグリティの問題を特定してすぐに
報告することが奨励されることを、従業員が理解しているクオリティ・カルチャーを作ることは、
経営責任を持つ経営者の役割である。クオリティ・カルチャーに経営者のサポートがなければ、
品質システムは壊れ、CGMP不遵守につながる。
FDAのガイダンス文書は法的強制力のある責任を定めない代わりに、当局の現在の考え方を述べた
勧告とみなされるべきである。

II.背景
ここ数年FDAは、CGMP査察の中でデータ・インテグリティを含むCGMP違反を年々見つけている。
データ・インテグリティを保証することは、医薬品の安全性、効能、品質を保証する業界の重要
な責任であり、公衆衛生を守るためのFDAの重要な機能でもあるため、これは気がかりな状況で
ある。これらのデータ・インテグリティに関係するCGMP違反は、ウォーニングレター、輸入警告、
同意判決といった多数の規制措置につながっている。


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質疑応答
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1.CGMPの記録に関する下記の用語について明確にしてください。
a.Data integrity(データ・インテグリティ)とは何ですか?
データ・インテグリティは、データの完結性、一貫性、正確性をさす。
完結し、一貫していて、正確なデータは、出処がわかり、読みやすく、同時に記録され、オリジ
ナルもしくは真正なコピーであり、正確でなければならない。(ALCOA)
※ALCOA:Attributable(帰属性)、Legible(判読性)、Contemporaneous(同時性)、
         Original(原本性)、Accurate(正確性)の頭文字をとった言葉。

b.メタデータとは何ですか?
メタデータとは、データを理解するために必要な、前後関係を示す情報である。データ値は、
データについての追加の情報がなければそれ自身は無意味である。メタデータはしばしばデータに
ついてのデータと評される。
メタデータは、データを類型化したり、説明したり、検索したり、使用したり、管理したりする
ための構造化された情報である。
例えば、数値の”23”は、単位の”mg”というメタデータがなければ意味がない。
ある種のデータに関するメタデータには、いつデータが取得されたかを示す、日付/時間のタイム
スタンプ、誰がデータを生成するテストまたは分析を実施したかを示すユーザID、データの収集
に用いられた機器のID、機器のステイタス・データ、原材料の識別番号、監査証跡等を含む。
データは、CGMP活動の再現に必要な関連するメタデータと共に記録の保持期間を通して保持されな
ければならない。データとメタデータの関連性は、安全で追跡可能な方法で維持されなければなら
ない。

c.監査証跡とは何ですか?
監査証跡とは、このガイダンスの目的のために、電子記録の生成、修正、削除に関する経過の再現
を可能にする、安全な、コンピュータで生成された、タイムスタンプのついた電子記録を意味する。
監査証跡は、記録の“誰が、何を、いつ、なぜ”の年代記である。
例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の監査証跡は、ユーザ名、実行の日時、使用された
積分パラメータ、再処理の詳細を含む。文書には、再処理に関する変更の正当な理由を含んでいな
ければならない。
監査証跡は、データの生成、修正、削除のトラック(例:処理パラメータと結果)と、レコード
またはシステムレベルのトラックの作用(例:システムへのアクセスやファイルの名前の変更・
削除の試み)を含む。
CGMPに従ったレコード保持行為は、データが失われたり不明瞭になったりすることを防ぎ、活動が、
その実施された時に文書化されていることを保証する。監査証跡を含む電子の記録保持システムは、
CGMP要件を下支えすることができる。

d.FDAは、記録形式に関する“静的”と“動的”という用語をどのように使っているのですか?
このガイダンスの目的のために、紙の記録または、電子画像のような不変のデータの文書を示す
のに“静的”という用語が使われる。また“動的”とは、ユーザと記録コンテンツの間で相互作用
があるものをさす。たとえば、動的なクロマトグラフィーの記録は、ユーザがベースラインを変え
てクロマトグラフィーデータの再処理ができるため、結果のピークは、より小さくも大きくもなる。
また、計算式やテスト結果を計算するためのスプレッドシートの入力値等をユーザが変えることが
できる。

e.FDAは、211章68(b)の“バックアップ”という用語をどのように使っているのですか?
FDAは、211章68(b)にて、バックアップを、記録の保持期間を通して安全に保持されているオリジ
ナルデータの真正なコピーと呼んでいる。バックアップデータは、正確で、完全で、変更・不注意
な削除や紛失から保護されていなければならない。バックアップファイルは、メタデータに関連する
データを含み、オリジナルのフォーマット、もしくは、オリジナルフォーマットと互換性がなければ
ならない。
FDAの“バックアップ”という用語の使用は、FDAの業界向けガイダンス及びスタッフ向けの
”ソフトウエアのバリデーションの一般原則の中で使用されている“アーカイブ”という用語と一致
している。
一時的バックアップコピーは、データのバックアップファイルを保持せよという211章68(b)の要件を
満たさない。

f.211章68の“システム”と“コンピュータまたは関連システム”とは何ですか?
米国規格協会(ANSI)は、システムを、人 と 機械 と 特定の機能を遂行するためにまとめられ
た方法 と定義している。コンピュータまたは関連システムとは、ハードウエア、ソフトウエア、
周辺機器、ネットワーク、クラウドインフラ、人員、関連する文書(ユーザマニュアルや標準操作
手順書)ということができる。

2.いつ、CGMPの試験結果を無効にし、バッチの適合性の判断からCGMPの試験結果を除外することが
    許されるのですか?
CGMP記録の一部として生成されたデータは、出荷基準の一部として品質部門により評価され、保持
されなければならない。CGMP要件を満たすために生成された関連するメタデータを含む電子データ
には、記録内のCGMP活動を復元することが求められる。品質部門の規格への一致についての判断から
除外するために試験結果を無効化するには、正当で文書化され、科学的に理にかなった正当性が求め
られる。
たとえ試験結果が科学的に理にかなった調査に基づいて合法的に無効化された場合でも、品質部門
に提供される全てのCGMPのバッチの記録に、結果を無効化したことを正当化する調査報告と一緒に
オリジナルの無効化されたデータも含むことになる。記録の保持とレビュの要件は、データの
フォーマットよって変わらない。即ち、紙ベースの記録でも、記録保持システムの電子データでも、
同じ要件の対象である。

3.コンピュータシステムのワークフローはバリデートされている必要がありますか?
はい、電子の製造指図記録の原本(MPCR : Master of Production and Control Record)のような
ワークフローは、用途通りのコンピュータシステムであることが、バリデーションを通じてチェック
されなければならない。バリデーションの範囲は、自動化システムによる引き起こされるリスクに
一致していなければならない。同じシステムがCGMPとnon-CGMP機能の両方で使われる場合、
non-CGMP機能がCGMPの運用に影響を与える可能性が評価され、影響が適切に緩和されなければなら
ない。
もし、コンピュータシステムをバリデートしても、その用途に関するバリデートをしていなければ、
ワークフローが正しく動作するかわからない。例えば、製造実行システム(MES : Manufacturing Execution System)
のプラットフォームの適格性評価で、MESが関連する要件と規格を満たすことを保証しても、MESで
生成されたMPCRが正しい演算を含んでいるかを示していない。この例では、ワークフローのバリデー
ションが、MPCRの中の意図したステップ、要件、演算が正確で正しく動くことを保証する。これは
MPCRが実行される前に、紙のMPCRをレビュし、全ての必要な手順が整っていることを保証すること
と同様である。
FDAはシステムの各要素のリスクを管理するための適切なコントロールを実施することを推奨する。
用途に応じてシステムをバリデートするために適切に設計されたコントロールは、ソフトウエア、
ハードウエア、職員、文書が対象となる。

4.CGMPコンピュータシステムへのアクセスはどのように制限されるべきですか?
コンピュータ化されたMPCRや、その他のCGMP記録や、コンピュータ化された記録の中に入力された
試験データに対する変更が権限を与えられた人によってのみ為されることを保証するための適切な
コントロールを実施しなければならない。権限を与えられた人に限定するコントロールの他の例
には、自動化された外観試験の記録、電子化された原材料管理システムの記録、自動調剤システム
の秤量記録がある。FDAは、可能であれば、技術的な方法で、規格やプロセスパラメータ、データ、
製造や試験方法を変更する能力を制限することを推奨する。(例:設定やデータの変更の許可を
制限すること)
ファイルや設定を変えることを含むシステム管理者の権限は、記録の中身に責任を負う職員と独立
した職員に割り当てられるべきである。アクセスのコントロールを助けるために、製造業者は、
使用中の各CGMPコンピュータシステムに関し、権限を与えられた職員のアクセス特権を文書化する
ための方法を定めて実施することが重要である。(例:権限を与えられた個人のリストを保持する
こと)

5.FDAはなぜコンピュータシステムの共有ログインアカウントの使用を心配するのですか?
ログイン資格が共有されると、ログイン時に、一人の個人を特定できず、システムは211章、212章
のCGMP要件を満たさなくなるだろう。FDAは、製品品質を保証するために、文書管理を含むシステム
のコントロールがCGMPに一致するよう設計されることを求めている。例えば、質問4に述べられた
ようなアクションが特定の個人に起因することを保証する文書管理を実装しなければいけない。
共有されたデータや設定の変更を許さない閲覧のみのユーザアカウントは、データを見ることに
ついては許容できるが、特定の個人に帰属可能な第二の職員のレビュのような行動に関する211章
及び212章の要件には一致しない。

6.未記入用紙(ブランクフォーム)はどのように管理されるべきですか?
製品品質を保証するための文書管理がなければならない。例えば、公式な使用の際には文書管理
グループによるスタンプが押される、綴じられて頁番号のふられたノートは、ページ数のギャップ
はもちろん、スタンプにより非公式なノートの使用の容易な検知を可能にするので、適切な文書管理
となる。もしブランクフォームが使用されるなら、ブランクフォームは、品質部門や、別の文書管理
の方法により、コントロールされるべきである。必要に応じて、番号のふられた未記入用紙が適切に
発行され、全ての発行用紙の使用が終わったら照合されるべきである。未完成または記入を誤った
用紙は、その理由の正当性の文書と共に、不変の記録の一部として保管され、CGMPの活動を再現する
ために必要な全てのデータは、完成した記録の一部として保持されなければならない。

7.誰が監査証跡をレビュするのですか?
監査証跡のレビュは、データのレビュ時に紙のバツ印を評価するのと似ている。CGMPのもと、記録の
レビュの責任を負う職員は、残りの記録をレビュする時に、記録に関連する変更の監査証跡をレビュ
すべきである。例えば、監査証跡を含む全ての製造指図記録は、レビュされて、品質部門により承認
されなければならない。連邦規則は、情報を直接監視またはチェックする職員により、一部の活動の
レビュをする柔軟性を提供する。FDAは、CGMPの記録の監視とレビュの実施について、品質システム
のアプローチを推奨する。

8.監査証跡はどれくらいの頻度でレビュされるべきですか?
CGMPの中で、データのレビュの頻度が明記されている場合は、監査証跡のレビュの頻度もそれを遵守
せよ。例えば、211.188(b)章は、製造、加工、包装、保持の各重要なステップの後のレビュを要求し、
211.22章は出荷判定の前のデータレビュを要求している。これらの場合、監査証跡も同じレビュの
頻度を適用することになる。
CGMPの規則にデータのレビュ頻度が明記されていない場合は、プロセスに関する知識やツールの
リスクアセスメントを使って監査証跡のレビュ頻度を決定すべきである。リスクアセスメントには、
データの重要性、コントロールのメカニズム、製品品質への影響の評価を含むべきである。
監査証跡のレビュへのアプローチとその実施の頻度は、CGMPの要件を満たし、適切なコントロールが
実施され、レビュの信頼性が証明されていることを保証すべきである。

9.電子的コピーは紙または電子記録の正確な複製物として使うことができるのですか?
はい。電子的コピーが、関連するメタデータを含み、もともとの記録の静的または動的性質を保ち、
オリジナルデータの内容や意味を保っているのであれば、電子的コピーは、紙または電子記録の
真のコピーとして使用することができる。
動的な電子記録の真のコピーは、オリジナルの記録のフォーマット、または、適切なリーダ及び
コピー機器が容易に利用可能であれば、オリジナルの記録の内容と意味が守られるフォーマットで
作成されて保持してよい。

10.フーリエ変換赤外分光光度計のようなスタンドアロンのコンピュータ化された試験機器から
      得られたオリジナルの電子記録のかわりに、紙の印刷物や静的記録を保持することが許され
      ますか?
紙の印刷物や静的記録が、オリジナルの記録もしくはオリジナルの記録の完全なコピーであれば、
保持の要件を満たすであろう。データの収集中、例えば、pH計や秤は、オリジナルの記録として
紙の印刷物や静的記録を作るかもしれない。この場合は、紙の印刷物や静的記録、または、真の
コピーが保持されなければならない。
しかし、ある種の試験機器から得られる電子記録は、それがスタンドアロンでもネットワークに
つながっていても、動的であり、完成したオリジナルの記録の一部として印刷物または静的記録
は動的形式を保持しないので、CGMPの要件を満たさない。例えば、FT-IR(フーリエ変換赤外分光
光度計)によって作られたスペクトラルのファイルは動的で再処理ができない。しかし、静的記録
または紙の印刷物は固定され、オリジナルの記録、または、真のコピーを保持するというCGMP要件
を満たさないかもしれない。また、完全なスペクトラムが印刷物に表示されなければ、不純物が
除外されるかもしれない。
紙の記録であっても電子記録の記録であっても、オリジナルの試験の記録は、全ての試験結果と
関連する情報が適切に報告されたことをよく確かめるために、第二の職員のレビュの対象である。
同様に、微生物試験でも、試験と同時に文書化されたペトリ皿のコロニー計数の記録は保持され、
記録は、第二の職員のレビュの対象となる。

11.製造指図記録の原本に関し、手書きのサインのかわりに電子署名を用いることができますか。
はい。適切に管理のされた電子署名は、CGMPが要求する記録において、手書きのサインまたは
イニシャルの代わりに使用することができる。
211.186(a)章は、「手書きされた完全なサイン」と明記しているが、サインを、関連した記録と
安全に接続する適切なコントロールを持つ電子署名は、この要件を満たす。
電子記録を使用する企業は、記録に電子的にサインした特定の人物を割り出せることを保証する
ための管理について文書化しなければならない。

12.電子データはいつCGMP記録になるのですか?
データがCGMP要件を満たすように生成された時、全てのデータはCGMP記録となる。記録を生成する
作業が実施されたと同時に、CGMP要件に従って、データは文書化もしくは保存されなければなら
ない。
FDAは、要求されるデータが生成され、修正の記録なしに修正されずに保持されるようプロセスが
設計されることを期待する。たとえば、クロマトグラフィーのデータは、注入の終了時の代わりに、
各ステップの完了時または注入時(例:ピークの積分、またはプロセスのステップ;注入の終了/
未完了/中止)に耐久性のある媒体に保存されるべきである。また、クロマトグラフィーのデータ
や注入順序の変更は、監査証跡の中に記録されるべきである。中止や未完成の注入は、監査証跡に
記録され、調査され、その正当性が説明されるべきである。
データが不変のラボのノートに転記された後も、紙上の記録データが捨てられることは受け入れら
れない。同様に、不変の記録が作られずに改ざんを許す方法で電子記録が保管されることも受け
入れられない。
電子システムに関するCGMPの文書化の手順を満たすように技術と手順上のコントロールを組み合わせ
て採用してもよい。例えば、ラボ情報管理システム(LIMS : Laboratory Information Management System)
や電子的バッチ記録(EBR : Electronic Batch Record)システムのようなコンピュータシステムは、
それぞれの入力の後に自動的に保存されるよう設計してもよい。これは、CGMP要件を満たすために、
紙のバッチ記録に、消えないように同時に入力するのと類似しているだろう。
上に述べたコンピュータシステムは、データが生成された時にすぐにデータの入力を要求する手順
または入力される手順の組み合わせでよい。

13.なぜFDAは、ウォーニングレターの中で、「システムの適合性試験」または、試験/予備試験
      /平衡ランにおいて、実際のサンプルの使用を問題としてあげるのですか?
FDAは特定の結果を得ることを目的とする、または、受け入れられない結果を打ち消すためのサンプ
リングやテストを禁止する。(例:望ましい合格結果が得られるまで異なるサンプルでテストする
こと)
この手順は、“適合のための試験(testing into compliance)”とも呼ぶが、CGMPと一致しない。
いくつかの場合、システムの適合性試験のために実際のサンプルを使用することは、適合のための
試験の手段として用いられてきた。FDAは、実際のサンプルを試験/予備試験/平衡ランに使用する
ことは、適合のための試験の方法として、違反手順とみなす。
アメリカ薬局方によれば、システムの適合性試験には、精度の要求を満たすかどうかを判断する
ために、標準試料または、標準溶液の繰り返しの注入を含むべきである。システムの適合性試験は、
注入される試料の同一性と、その選択の合理性が記載され、会社の制定した文書化された手順や、
承認された申請または適用できる承認基準に従って行われるべきである。
もし実際のサンプルがシステム適合性試験に使用されるのであれば、適切に特徴づけられた補助的
な基準、文書化された手順が制定され、その手順に従うべきであり、サンプルは、試験されたもの
ではなく異なるバッチから取られるべきである。CGMPのオリジナルの記録は完成され、適切な
レビュの対象とされるべきである。透明性が必要である。明らかなエラー/不合格/合格/疑わしい
データを含む全てのデータは、保持され、レビュや監視の対象となり、CGMP記録の中に含まれる
べきである。文書による調査において、無効とされたデータや、バッチの規格への適合性の判断に
使用されなかったデータに関し、科学的に合理的な正当な理由が必要である。

14.再加工されたラボのクロマトグラフィーから得られた最終結果のみを保存するのは認められ
      ますか?
いいえ。分析方法は正確で詳細でなければならない。ほとんどの試験の分析では、再加工データは
法的には必要ではないかもしれない。クロマトグラフィーが再処理されたら、文書化された手順が
作られ、それに従ってテストされ、得られた結果はレビュのために保持されなければならない。
FDAは、これに限定されないが、ノート、ワークシート、グラフ、チャート、スペクトル、その他、
試験機器から得られた全てのタイプのデータを含む試験記録の完全なデータを求める。

15.データの改竄の可能性等、品質問題に関わる内部情報は、文書化されたCGMPの品質システム外
      で非公式に取り扱うことができますか?
いいえ。その意図や、いかに、または、どこから情報が得られたかに関わらず、偽造が疑われるもの、
または、既知の偽造、または、記録の改変は、患者の安全、製品品質、データの信頼性への影響を
判断し、根本原因を見つけ出し、必要な是正処置がとられることを保証するために、CGMP品質システム
のもとで、210章、211章、212章に基づいて完全に調査されることが求められる。
FDAは医薬品の安全性、同一性、含量、品質または純度に影響を与えうる、データ・インテグリティが
疑われる問題を報告する個人に、DrugInfo@fda.hhs.govを案内する。“CGMPデータ・インテグリティ”
をメールのタイトルに含めよ。この報告の方法は、他のFDAのレポート(例:Field Alert Report
またはProduct Deviation Report)に優先するものではない。

16.CGMPの定期的訓練プログラムの一部として、職員は、データ・インテグリティの問題を防ぎ、
       発見するために訓練をされるべきですか?
はい。データ・インテグリティの問題を防ぎ、発見するための職員教育は、職員について述べられた
211.25章、212.10章に基づき、職員は、与えられた職務を遂行するために教育、訓練、経験、または
その組み合わせを受けなければならない。

17.FDAは、電子記録を見ることが許されますか?
はい。CGMPで求められる全ての記録は、FDAの査察対象である。これは、CGMP活動を支える電子的
コミュニケーションを含むコンピュータ化システムで生成され保持されている記録に適用する。
例えば、バッチのリリースを許可する電子メールはFDAがレビュする可能性があるCGMPの記録である。
企業は、電子データのコピーを含む強制査察、レビュ、記録のコピーを許可しなければならない。

18.データ・インテグリティの問題について、FDAは、どのように対処されることを勧めるか?
FDAは、問題の範囲と根本原因を究明し、その影響(FDAへの提出物を立証するデータへの影響を含む)
の可能性について、科学的に理になかったリスクアセスメントを実施し、根本原因に取り組む、
包括的な是正処置を含む管理戦略を実施することにより、企業が、査察でみつかった問題が効果的に
修正されたことを証明することを奨励する。これは、第三者の監査役の採用、データ・インテグリティ
の欠如に責任のある個人を、会社のCGMP関連または薬の申請データに影響を与えうる地位から移動
させることを含むかもしれない。また、品質の監督の向上、コンピュータシステムの改善、再発を
防止しデータ・インテグリティの違反に取り組む仕組みの作成を含むかもしれない。(例:匿名の
報告制度、データ・ガバナンスの職員やガイドライン)


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

このガイダンスは、FDAの見解がQ&A方式でのっているので、規制要件がひたすら書かれているガイド
ラインよりも読みやすくて有難いです。

2016年のドラフト版と比べてみると、用語の定義が変わったというような大きな変更はないのですが、
要求が厳しくなっていると感じる箇所がいくつかありました。
例えば、Q&A No.4。ドラフト版では、少数の従業員の小さな操作や設備でシステム管理者と記録の
責任者が独立していることが実用的でない場合は、第二のレビュ者による管理も一部認めていましたが、
今回の最終版では、システム管理者と記録の責任者が独立していることを求めています。
また、Q&A No.17 には、コンピュータシステムだけでなく、CGMPに関連する電子メールもFDAの査察
対象とすると書かれています。(これは少し怖いと思うのは私だけでしょうか)
このように厳しくなっているのは、FDAが以前にも増してデータ・インテグリティを重視していること
の現れだと思います。

FDAの査察を受ける可能性のある会社様はもちろんですが、それ以外の会社様も、データ・インテグリ
ティに関する規制動向を把握するうえで、是非ご一読いただければと思います。


☆次回は、3/15(金)に配信させていただきます。


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