ASTROM通信バックナンバー

2019.04.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<167号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

いよいよ新元号が発表される日となりましたが、皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回も、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から、製薬会社向けに出されたウォーニングレター(4件)に
ついて見ていきたいと思います。
ウォーニングレターに挙げられている指摘内容には、どこの会社様にも起こりうることが含まれていますので、
是非参考にして頂ければと思います。


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最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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■WL:320-19-09 中国の製造所の査察(2018/4/16~2018/4/20)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に
関する2018/12/14付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社には、無菌またはパイロジェンフリー(エンドトキシンフリー)をうたう製品の各ロットについて、最終の
  規格を満たすことについての適切な試験室の判断がない。
貴社は、OTC医薬品を、全ての品質特性に関する各ロットの試験をせずにアメリカ市場に出荷した。例えば、貴社は、
無菌試験を実施せずに、無菌をうたうXXの複数ロットを出荷した。代わりに、貴社は、XX CFU/mL未満という規格
の微生物の計数試験を実施した。微生物の計数試験は製品の無菌試験には不十分である。さらに、貴社は、製品XXの
出荷前に粒子状物質の試験を実施しなかった。物理及び微生物の品質特性に関する適切な試験がなく、貴社の品質
部門には、適切な出荷判定をするために必要とされる根本的な安全情報が不足していた。
貴社は回答で、顧客の要求ではないので無菌試験を実施しなかったと述べたが、“無菌試験のための保管サンプル
を取り、顧客に提供するつもりである”と述べた。貴社の回答は、誰が保管サンプルの試験をし、どの試験方法を
使用するかを含む詳細の情報に欠けているので不十分である。
この文書への回答の中で、
・出荷前の製品の各ロット用の、微粒子試験や無菌試験の方法など貴社の新しく制定した試験方法と、医薬品の物理
 的性質の分析のための規格を提出せよ。
・OTC医薬品の全ての無菌試験結果を提出し、それらが米国薬局方(USP)の無菌試験に従っているかどうかを示せ。
・制定した品質基準を満たさない製品のロットについては、顧客への通知または製品の回収を含む、貴社の是正処置
 の詳細な計画を提出せよ。
2.貴社は、無菌をうたう製品の微生物汚染を防ぐための、無菌工程のバリデーションを含む、文書化された手順を
  制定してそれに従うことを怠った。
貴社は、貴社の無菌工程が貴社の眼科用医薬品の微生物汚染を防ぐ能力があることを示すことを怠った。
〇不適切な装置の消毒
貴社は、貴社の工程がXX装置の無菌状態を保証する能力があることを示さなかった。貴社は、製造前に装置を消毒
するために、XXの混合物を使用すると述べた。我々査察官が、この工程で用いられるXXの濃度をたずねた時、貴社は
濃度の情報の提供も製造前の装置の消毒を裏付ける文書の提出もできなかった。
さらに、この装置の消毒の方法が適格で再現可能であることを評価する文書もバリデーションも不足していた。貴社
のXX装置は、貴社の医薬品が患者によって使用されるために安全であることを保証するために適切でしっかりとした
消毒の方法を使って消毒されなければならない。
貴社は回答で、2018年6月15日までに、XX装置の無菌能力をバリデートするつもりであると述べた。貴社は、医薬品
が進む装置の経路全体を消毒するための適切でしっかりとした手順の使用を示すデータを提出することを怠った。
貴社はまた、“最終の無菌保証レベルは、防腐剤により保証されている”と述べたが、医薬品の無菌性を保証する
ために防腐剤に頼ることはできない。
〇培地充填研究の不足
貴社は、無菌工程のシミュレーション(即ち、培地充填の研究)を実施していなかった。査察中、我々査察官は貴社に、
OTC医薬品XXを製造するために使用される機会CCに関するプロセスシミュレーションが実施されていたかをたずねた。
貴社は、培地充填のシミュレーションが実施されていなかったが、今後実施する計画を立てると述べた。無菌を
うたう製品の無菌性を保証するために、無菌充填と密閉の作業は製造及び出荷の前に適切にバリデートされなければ
ならない。適切な培地充填の検証では、実際の製造中に遭遇するかもしれないいかなる介入も含む、無菌処理ライン
の活動と状態を正確にシミュレーションするものである。これらの検証は、各無菌処理ラインが管理し続けられて
いて、患者の使用のために安全な無菌医薬品を確実に生産しているかどうかを評価するために、少なくとも年2回
実施されるべきである。貴社の回答は、貴社のXX作業をバリデートするために使用する予定の培地充填プログラム
に関する詳細が不足している。例えば、貴社が提案した培地充填の検証は、貴社がアメリカ市場向けに製造する全て
の容器のサイズを包含していない。培地充填の検証は、全ての容器のサイズ、充填速度、及び、貴社の製造工程で
用いられるその他のパラメータを表したものでなければならない。
この文書への回答の中で、
・XX製造装置をいかに消毒するかを述べよ。詳細の消毒の方法、この方法を使って消毒される全ての装置のリスト、
 バリデーション手順、工程のバリデーション報告を提出せよ。
・商用生産における最悪ケースの状態の適切なシミュレーションを確実に行う培地充填プログラムの包括的なサマリ
 を提出せよ。
3.貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1回の試験を実施することを怠った。
  また貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性を検証し証明することを怠った。
貴社は、XXを含む入荷した原材料について、同一性、純度、含量、その他の品質特性に関し、試験をすることを
怠った。代わりに貴社は適格性を評価していない供給者から得た分析証明書(COA)を信頼した。我々の査察中、
貴社は査察官に、供給者が登録されGMP適合証明書を持っているかどうかで、適格性があるとみなすと言った。FDA
は、医薬品の製造に使用される各成分のロットの同一性試験を要求する。そして、貴社が適切な間隔で供給者の試験
結果を適切にバリデートすることにより、貴社は各成分の特性に関しCOAを信頼することができる。
貴社は回答の中で、その信頼性を確認するため、各検査品を調べることをサードパーティに委ねるつもりであると
述べた。しかし、貴社は、この試験に関する詳細を回答することを怠り、何の試験を実施するつもりであるかを
述べていない。また、貴社は、いかにサードパーティの研究所の適格性を評価するかや、いかに入荷した原材料が
米国薬局方の試験の要件を満たすことを保証するかについて詳細を述べていない。
この文書への回答の中で、
・全ての入荷した成分の品質管理のリリースの規格と、各ロットについて貴社が実施した試験を提出せよ。
・原材料の各製造業者から得たCOAをバリデートするために、全ての入荷した成分の包括的な試験から得た試験結果
 のサマリを提出せよ。
・入荷した成分と貴社が製造した製品の試験を行う契約設備の適格性の評価と監督に関する手順のサマリを提出せよ。
・各供給者から得た全ての容器、蓋、含有物が適切に評価されているか、それらが適切な使用期限やリテスト日を
 割り当てられているか、また、不適切や容器や蓋や成分の使用を防ぐために入荷した原材料のロット管理が適切か
 を判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュを提出せよ。
4.貴社は、貴社の医薬品が、適切な安定性試験により裏付けされた使用期限を持っていたことを保証することを
  怠った。
貴社は安定性プログラムを制定していなかった。貴社は、貴社のOTC医薬品XXの、無菌性を含む化学的・物理的・
微生物学的な特性が、ラベルに表示された使用期限を通じて許容できることを示すデータに欠けていた。
貴社は回答の中で、すぐにOTC医薬品XXの長期安定性試験を制定するつもりで、貴社の試験室は長期安定性試験の
ための装置を手に入れる必要があると述べた。貴社は回答に、全ての関連する特性と合格基準を含む適切な安定性
試験の手順を含めることを怠り、貴社の試験方法が適切な安定性を示す保証を提供することを怠ったので、貴社の
回答は不十分である。
この文書への回答の中で
・貴社の医薬品XXの化学的・物理的・微生物学的な特性がラベルに表示された使用期限を通じて許容できることを
 示す安定性のデータを提出せよ。
・貴社の安定性プログラムの包括的なアセスメントとCAPAを提出せよ。CAPAには、これに限定されないが、安定性
 プログラムを述べた修正されたSOP、安定性を示す方法、出荷許可前の容器密閉システム内の各医薬品を支える
 安定性の研究、主張する保管期間が正しいか判断するために毎年各製品の代表ロットを追加する継続的なプログラ
 ム、各工程で試験されるべき特性を含めるべきである。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをする
ために21CFRの211.34章に示す適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社が、FDAと共に
CGMP状態を遵守しようとする前に、適格性のあるコンサルタントが、(1) CGMPの遵守に関し貴社の全ての作業の
包括的な監査を実施し、(2) 貴社が実施した是正処置及び予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、
全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を
防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2018年8月17日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としての
いかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm630718.htm

■WL:320-19-10 中国の製造所の査察(2018/8/7~2018/8/9)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に
関する2019/1/29付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に、各有効成分の同一性、含量を含む最終規格に一致するかどうか
  について試験室の判断を怠った。
貴社は、OTC医薬品XXを、これだけでないが、有効成分XXの同一性の試験を含む適切な品質管理部門のリリース
試験を実施せずに出荷した。
更に我々は貴社の最終製品の試験結果の正当性について懸念がある。貴社の契約研究所から受け取ったレポート
は、アメリカ市場に販売するために出荷された医薬品XXのロットXXと同一の有効成分XXの含量の試験結果と、
微生物試験の結果(バクテリアの総数と、真菌計数の総数)を含んでいた。
2.貴社は医薬品の各成分の同一性を検証するために少なくとも1試験を実施することを怠った。貴社は、成分
  の供給者の分析試験を適切な間隔でバリデーションして信頼性を確認することを怠った。
貴社には、貴社の医薬品の製造に使用される、有効成分及び他の成分を含む入荷した原材料の、同一性、含量、
その他の品質特性に関する試験が不足していた。貴社は、また、適切なバリデーションを通じて供給者の分析
の信頼性を検証せずに供給者の分析証明書(COA)を信頼した。
3.貴社は、医薬品が、適切な安定性試験により裏付けされた使用期限を持っていたことを保証することを
  怠った。
貴社は、文書化された手順を含め、安定性プログラムを制定していなかった。また貴社は、貴社のOTC医薬品
に付けられた有効期限を裏付ける安定性データを持っていなかった。安定性データなしに、貴社は、ラベルに
表示された保管期間を通じて製品の品質を保証することができない
4.貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされている同一性、含量、品質、純度を持つことを保証
  するために設計し文書化した製造手順や工程管理を制定していなかった。
貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用される工程をバリデートしていなかった。貴社は、工程の適格性
評価を実施せず、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための工程管理のモニタリングに関す
る継続的なプログラムが欠けていた。
5.貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の合格、不合格を判断するための
  責任と権限を持った品質管理部門を制定することを怠った。
貴社には適切は品質部門が欠けている。貴社は、これに限らないが、品質部門の作業、ロットの出荷判定、
変更管理、苦情管理、供給者の適格性評価、回収、年次製品照査を含む品質部門の非常に多くの機能に関する
文書化された手順を制定することを怠った。査察中、貴社は、成分及び最終製品の試験に関し、
貴社及び貴社の契約研究所が守るべき役割、責任、手順を述べた品質協定に欠けていると述べた。
●契約研究所の使用
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が、製造設備、試験機関、
包装業者、ラベル業者などの独立した受託業者を使用していることを知っている。FDAは、受託業者を製造
業者の延長としてみなす。そのため、貴社は、最終の出荷判定に関する責任を負う。貴社には、貴社の受託
設備との契約に関わらず、貴社が製造した医薬品の品質に関する責任がある。貴社には、医薬品が安全性、
同一性、含量、品質、純度に関し、連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)に従って製造されたことを
保証することが求められる。
●品質システムのガイダンス
貴社の品質システムは不十分である。CGMPに準拠した品質システムを制定して従うためのガイダンスを見よ。
●不適切な回答
貴社のFDA査察に対する回答は、貴社がCGMPを遵守することを確実にするために貴社の作業を修正するつもり
であるという詳細な情報やエビデンスを提供していなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。
・出荷前に製品の各ロットを分析するために使用する、化学及び微生物学的な品質特性を含む試験方法と
 規格
 使用期限内にあるアメリカ市場向けの医薬品の全てのロットの試験から得られた全ての試験結果のサマリ
 を含めよ。出荷前に、ロットのリリース規格に従って、最終製品の各ロットの試験を行っていることを
 保証する手順を含めよ。
・使用期限内のアメリカ市場に出荷された全ての製品の保管品の、微生物総数と好ましくなく微生物の結果
 を含む、有効成分の同一性・含量、微生物学的品質に関する試験の計画
 もし、OOS(規格外)のロットを出荷していたら、顧客への通知や製品の回収のような、貴社がとる
 つもりの是正処置を示せ。
・XXを含む全ての入荷した成分のロットのリリース規格
 入荷した成分の各ロットの分析手順と、リリースや使用前の成分に必要な試験の手順を含めよ。
・XXのように、試験をしていない成分の影響を判断するために、使用期限内のアメリカ市場に出荷された
 全ての医薬品のリスクアセスメントを提出せよ。
・タイムラインと一緒に、完全な医薬品の安定性プログラムを開発して実装するための計画
 この計画には、使用期限内のアメリカ市場内の貴社の製品の保管サンプルの試験による安定性の評価を
 含めるべきである。もしOOSの結果が見つかったら、顧客への通知を含め、貴社がとろうとしている是正
 処置を示せ。
・適切な安定性試験による裏付けのない使用期限内のアメリカ市場に出荷された製品のリスクアセスメント
・貴社の製品に関する工程の適格性評価
 バッチ内及びバッチ間のばらつきの定期的なモニタリグに関するアプローチの詳細なサマリ
・その責任を果たし医薬品の品質を一貫して保証するために適切な権限と十分なリソースを持った効果的
 な品質管理部門の制定に関する是正処置・予防処置(CAPA)
 新たに制定した手順と改訂された手順を含めよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし、貴社がアメリカ市場向け医薬品の製造を再開するので
あれば、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21CFRの211.34章に
示す適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守する
ための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守
を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、
再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2018年12月13日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者と
してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm631451.htm

■WL:320-19-11 インドの製造所の査察(2018/2/21~2018/2/24)でみつかった原薬製造における重大な
CGMP違反に関する2019/1/29付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.原薬製造業者から受け取った全ての品質及び規制情報を顧客に伝えることを怠った。
貴社の品質部門は、顧客に対して発行する分析証明書(COA)上から貴社の原薬のオリジナルの製造業者の
名前と住所を削除した。たとえば、XXのバッチXXに関する分析証明書に、オリジナルの原薬製造業者に
名前と住所がなかった。
FDAは、この供給者が2017年10月10日に査察を拒否したため輸入警告措置99-32をとっていた。貴社は、
供給者から原薬を購入して販売する前に、供給者の規制状態に気付くべきである。顧客と規制当局は、
医薬品とその成分の品質と供給源について、COAを信頼している。COAから情報を削除することは、
サプライチェインの信頼性やトレーサビリティを損ない、消費者を危険にさらすかもしれない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・貴社が生成し発行したCOAがオリジナルの製造業者について必要とされる情報を含むことを証明するために
 貴社が実行に移した管理を含むCOAの作成に関する文書化された手順
・貴社が提供を怠った必要な情報が医薬品の品質にいかに影響を与えたかを判断するための回顧的レビュ
・顧客への通知や医薬品の回収、ラベルに表示されたリテスト日付内の医薬品に関して以前発行された分析
 証明書の無効化など、貴社がとった、または、とろうとしているアクション及び必要な情報を含んだ最近
 発行された分析証明書
2.貴社の製造所で製造された原薬が品質と純度に関する制定された規格を満たすことを保証するために
  必要な手順や工程を持つことを怠った。
〇バッチの管理
貴社は、バッチの製造記録(BMRs)の発行、使用、照合を管理するための手順を持っていない。貴社の製造の
職員は、個人のノートまたはBMRsのドラフトに製造活動を記録している。それから製造部長が別のBMRに
データを転記し、製造作業者と製造管理者に、サインのために回覧される。製造部長は、ドラフトはバーナー
の中で焼却処分されると述べた。貴社の代表は我々査察官に、なぜそのような運用に問題があるのかとたずね
た。
〇調査
貴社は、逸脱、規格外(OOS)結果、トレンド外(OOT)結果、安定性の不具合の調査のための手順がない。
この文書への回答の中で、下記の情報を提供せよ。
・これに限らないが、報告されたデータの完結していること、矛盾がない事、正確であることを判断するため
 に文書の徹底的なレビュを含む、製造記録の包括的で独立したリスクアセスメント
 貴社が医薬品の出荷判定に使用したデータに帰属性があること、判読できること、同時に記録されている
 こと、オリジナルまたは真のコピーであること、正確であることをいかに判断したかを示せ。
・文書化の手順が不十分でないかを判断するための、製造及び試験室の作業を通じて使用される文書システム
 の完全なアセスメント
 総合的に文書化の手順を修正し、貴社が完全で同時に作成され正確な記録を保持していることを保証する
 詳細な是正処置・予防処置を含めよ。
・逸脱、相違、苦情、OOSの結果、安定性の不具合の調査に関する貴社のシステムの包括的なアセスメント
 アメリカ市場に出荷された全ての医薬品に関する製造及び試験室の記録の回顧的レビュを含めよ。もし、
 相違がみつかったら、関連する調査、根本原因の分析と製品への影響のアセスメントを提出せよ。
3.装置の洗浄と、それを原薬の製造に使用するためのリリースに関する適切に文書化された手順を制定
  し、それに従うことを怠った。
洗浄に水だけが使用されることが示された洗浄手順が原薬製造エリア内の壁に貼られていた。貴社の製造部長
は原薬の製造装置にこの洗浄手順は一般的であると述べた。貴社は、これが適切であると示すためのデータを
持っていなかった。
我々査察官は、貴社が原薬XXを製造するために使用する製造装置は、XXとXXの残留物で目に見えるほど黒く
覆われているのに、“XX”とタグが付いているのを発見した。また、我々は、他の装置や設備の洗浄やメンテ
ナンスの問題だけでなく、原薬と接触するろ過ユニット及び混合タンクの表面にさびを発見した。
この文書への回答の中で下記の情報を提供せよ。
・1つだけでない製品の製造に使用される製造装置の各部品に関する洗浄手順、業務、バリデーションの適切
 性を評価するための包括的な計画
・貴社の洗浄手順の有効性が適切に評価されていることを保証するための、貴社の洗浄バリデーションの
 戦略に関する科学的な論理的根拠
・最悪のケースと判断される状態を取り入れた洗浄バリデーション手順のサマリ
 これに限定されないが、サマリには、最も高い毒性のある医薬品、洗浄溶剤内で溶解度がもっとも低い
 医薬品、洗浄を難しくする性質を持つ医薬品、洗浄が最も難しい装置の場所の拭き取りを含めるべきで
 ある。
4.原薬の製造に使用される水が、その使用目的に合っていることを示すことを怠った。
貴社は、XXより前に設置された水システムXXをバリデートしていなかった。貴社は、最低でも米国薬局方
のXX水に関する基準を満たした医薬品グレードの水を一貫して製造できるように、システムを効果的に管理
し、メンテナンスし、消毒し、モニタできていることを示さなかった。貴社は医薬品の成分として、この
バリデートされていないシステムからの水を使用している。
貴社のこのシステムにより製造された水の限定された試験は不適切である。貴社が全有機炭素や伝導率など
の化学的特性や微生物学的特性に関して水を定期的に試験することは義務である。
この文書への回答の中で、貴社の水システムをバリデートし、水システムの適切な設計、管理、メンテナス、
モニタリングを保証するための計画とタイムフレームを提出せよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝い
をするために適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社が、FDAと共にCGMP状態
を遵守しようとする前に、適格性のあるコンサルタントが、CGMPの遵守に関し貴社の全ての作業の包括的な
監査を実施し、貴社が実施した是正処置及び予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣
には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、
再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2018年7月11日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者として
のいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm631267.htm

■WL:320-19-12 スペインの製造所の査察(2018/6/11~2018/6/14)でみつかった医薬品製造における重大な
CGMP違反に関する2019/2/13付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に、各有効成分の同一性、含量を含む最終規格に一致する 
かどうかについて試験室の判断を怠った。
貴社は同一性と含量の試験をせずにOTC医薬品を出荷した。我々査察官は、貴社が、最終製品の特定の重さ、
pH、屈折値、微生物試験に関してのみ試験を行っていると記録した。
貴社は回答の中で、今後、貴社の契約研究所が製造された製品の同一性と含量の試験をするよう依頼する
つもりであると示した。貴社は、このアクションについてのタイムラインを提出せず、アメリカ市場に出荷
された使用期限内の製品の保管サンプルの試験をする計画を含めていないので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・製品の規格や試験方法はもちろん、最終製品の同一性や含量を含むリリース試験に関する、改訂された
 貴社の標準操作手順書(SOP)
 これらの是正処置の実施に関するタイムラインを提出せよ。
・市場にある使用期限内の、全ての出荷された製品の保管サンプルの完全な試験を実施する計画
2.貴社は製品の安定性を評価するために設計された文書化された試験プログラムに従うことを怠った。
貴社は、3ヶ月目、6ヶ月目、1年目、2年目で行う安定性試験を含む、安定性プログラムの試験のタイム
ポイントに従わなかった。特に、貴社のXXの、あるロットについて、貴社は、そのロットが包装されたのと
同じ日に3ヶ月目の安定性試験を実施し、6ヶ月目の安定性試験を最初の安定性試験の9ヶ月後に実施した。
貴社は回答の中で、改訂された“製品の安定性報告”手順を提出した。しかし、この手順は各タイムポイ
ントでの有効成分の同一性と含量の試験を含んでいなかった。さらに、貴社は、製品が貴社の手順に記述
されている、残っている安定性の間隔の間で製品が試験されたことを保証するために安定性プログラムに
行われた変更を示さなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・使用期限内の全てのロットの安定性データの全サマリ
 微生物学的試験及び化学的試験のタイムポイントと方法、貴社で守っている文書化された安定性試験の
 手順、貴社の製品の有効性が、保管期間を通じて保たれているかを判断するために用いられている最新
 の試験データ
・貴社の安定性プログラムの適格性を保証するための包括的なアセスメントと是正処置・予防処置(CAPA)
 貴社のCAPAの計画には、これに限定されないが、貴社の安定性プログラムを述べた修正されたSOP、
 安定性を示す方法、出荷が許可される前の容器の密閉システム内にある各製品を支える安定性の研究、
 保管期間が正当であるか判断するために製品の代表ロットが毎年追加される継続的なプログラム、各
 タイムポイントで試験される指定された特性について含めるべきである。
3.貴社は、製造された医薬品の各ロットの製造指図及び記録に関する完全な情報と共に、ロット製造指図
  記録を作成することを怠った。
貴社のロット製造指図記録は完全な情報を含んでいない。
我々査察官は、いくつかのロットの記録をレビュし、修正液の使用、あいまいなデータ、濃度試験の結果や
ロットの承認日のように見つからない情報があることを発見した。いくつかの記入はサインや日付や説明も
なく上書きされたり、上に線を引いて削除されたりしていた。
さらに、試験結果(例:粘度、濃度、外観、匂い)には、オリジナルの記録が正確性、完全性、制定された
規格への一致に関してレビュされたことを示す第二の職員のイニシャルまたはサインがなかった。
貴社は回答の中で、いくつかの重要な製造段階における日付、サイン、第二の職員の確認を追加した“製造
のガイドライン”というタイトルのついた文書を提出した。このガイドラインには、重要な段階での確認
のサインが欠けているXXのロットの記録が含まれていた。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を適切
に保証していない。我々は、貴社の改善を助ける適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。
A.アメリカに出荷された医薬品のデータのレビュ結果を含む、データの記録と報告における不正確さの
  範囲の包括的な調査
  データ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な説明を含めよ。
B.貴社の医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響に関する現在のリスクアセスメント
  貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷により患者に
  引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきである。
C.グローバルなCAPAの計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略
  CAPAの詳細には、微生物及び分析のデータ、製造記録、及びFDAに提出される全てのデータを含む、
  貴社で生成される全てのデータの信頼性と完全性を貴社がいかに保証しようとしているかを述べるべき
  である。
D.合格/不合格の判断の権限、第二の職員の確認、文書作成基準(Good Documentation Practice)
  やALCOA(Accurate, Legible, Contemporaneously recorded, Original, Attributable)の原則を
  含む、責任と手順が明確に定義された品質部門の手順書
●品質システム
貴社の品質システムは不十分である。CGMPに準拠した品質システムを制定して従うためのガイダンスを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝い
をするために21CFRの211.34章に示す適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタント
の使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を
解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●虚偽表示の疑い
・貴社の液体石けんや、手の消毒液は、診断、治療、緩和、手当、病気の予防を目的とし、または/かつ、
 体の仕組みや機能に影響を与えることを目的としているので、医薬品である。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、
再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2018年11月16日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者として
のいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm631839.htm


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

今回のウォーニングレターでも、工程がバリデートされていない、原材料や製品について十分な試験を
行っていないという、品質管理の根本を指摘する内容が多いのが印象的でした。
国内の会社様でも実はかなりきわどいケースがあるように思いますが、皆様の会社は大丈夫でしょうか。
手順や教育も含め、ウォーニングレターの指摘にあるように包括的なレビュをするのもいいかもしれません。

それから、今回も、安定性の管理がされていないことを指摘する内容が多かったです。原材料や製品の
管理がうまくできていないのであれば、安定性の管理もうまくいっているわけがないということで、
セットで指摘されるのかもしれません。

☆次回は、4/15(月)に配信させていただきます。


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お礼
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先月のインターフェックス大阪では、弊社ブースにお立ち寄り頂きまして誠にありがとうございました。
普段はお目にかかることがないため、直接お会いすることができて何よりでした。
7月3日~7月5日はインターフェックスジャパン(東京ビッグサイト)に出展いたします。
ご都合が合えば、是非ご来場ください。

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