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2019.06.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<171号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

だんだん暑くなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回は、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から、製薬会社向けに出されたウォーニングレター
(2件)について見ていきたいと思います。
ウォーニングレターに挙げられている指摘内容には、どこの会社様にも起こりうることが含まれています
ので、アメリカへの輸出があるなしに関わらず、是非参考にして頂ければと思います。


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最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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■WL:320-19-17 インドの製造所の査察(2018/8/13~2018/8/29)でみつかった医薬品製造における重大
なCGMP違反に関する2019/3/21付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は医薬品の製造、加工、包装、保持に使用される建物を清潔で衛生的な状態に保ち、ネズミ・鳥・
  虫・その他の害獣がいない状態を維持することを怠った。
原材料の保管室において、我々査察官は、多数の飛んでいる虫を発見した。FDAは、この部屋の中で貴社
の従業員が製造に使用するための原材料XXロット#XXを分配し、この原材料の中に生きた蛾が浮いてい
るのを見た。貴社はホメオパシー医薬品を製造するためにXXを使用する。査察官が原材料XXの中にこの
蛾の存在を指摘した時、貴社はその虫の含まれた原材料をホメオパシー医薬品の製造に使用し続けた。
さらに、いくつかの黄麻布に詰められたさまざまな原材料が隔離保管室中に散在していて、この部屋の
天井にはカビと思われる染みがついていた。倉庫内で原材料が漏れている容器が他の原材料の近くでみつ
かり、多数ホメオパシー医薬品の製造に使用される製造エリア内の換気口に未確認のXXが付着していた。
貴社は回答で、査察結果の各要素について是正処置・予防処置(CAPA)を行い、是正処置の1つとして
手順を改訂し、教育を作業者に行うと述べた。
貴社は回答内に、改訂した手順を裏付ける文書やこれらの是正処置の実施のタイムラインを含めなかった
ので、我々は貴社の回答の妥当性を評価できない。
この文書への回答の中に以下の情報を含めよ。
・ロットの処理やこの成分が使用された最終製品のロットの情報を含む、原材料XXロット#XXの回顧的レビュ
・貴社の医薬品製造エリアに虫やその他の害獣がいないことを保証する有害生物駆除や製造手順のレビュ
・貴社が建物を有害生物がいない状態に保ち清潔で衛生的な状態を維持できるということを示した詳細手順
・虫やその他の害獣に汚染された可能性のある原材料を使用し、アメリカ市場に出荷され、使用期限内に
 ある全ての製品に関するリスクアセスメント
2.貴社は、公式のまたはその他の制定された条件を越えて、医薬品の安全性、同一性、含量、品質、純度
  を変える可能性のある誤動作や汚染を防ぐために、装置と器具を清潔にし、メンテナンスし、医薬
品の性質に応じて適切な間隔で消毒・殺菌することを怠った。
貴社は、XXとラベルを付けられたXXを含むXXをホメオパシー医薬品の成分として使用するために貴社
の製造所で生成する。査察中、査察官は、製造所の屋根にあるXXシステムのための保管タンクにひびが
入り、外部環境にさらされていることを発見した。さらに、XXシステムのパイプは、システムが過去の
ある時点に漏れていたことを示すように、テープまたは布状の素材で継ぎが当てられていた。
貴社のXXシステムの破損の状態から、査察官は、XXシステムの2018年の微生物試験の結果を求めたが
貴社は提出できなかった。貴社は回答の中で、2017年11月から2018年3月までの間、微生物試験を実施
していなかったことを認めた。XXシステムの適切なモニタリングと管理をせずに、貴社は、バリデート
された状態が維持されていたと保証することはできない。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・XXシステムの改善、設計、管理、メンテナンスに関する包括的なCAPAの計画
・XXシステムのバリデーション報告書
 継続的な管理とメンテナンスのために、システムの設計とプログラムに行われた改善の概要も含めよ。
・このシステムが医薬品の使用目的にあったXXを製造していることを保証するための適切な微生物の総数
 を示すデータ
・発見された水システムの不具合の、現在アメリカに流通し使用期限内の全ての医薬品のロットの品質へ
 の影響の可能性に関する詳細なリスクアセスメント
3.貴社は、すべての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の合格、不合格を
  判断するための責任と権限を持った品質管理部門を制定することを怠った。
査察中、我々査察官は貴社の品質部門が貴社のホメオパシー医薬品の製造に適切な監視を行っていないこ
とを発見した。例えば、貴社の品質部門は、以下のことを保証することを怠った。
・貴社のホメオパシー医薬品の製造に使用されるXXが、リリース前に微生物的特性に関する分析が行わ
れていること
・製造エリアがその使用目的にあい、適切に清掃され消毒されていること
貴社は回答の中で、上で指摘した品質部門の不具合の例に対処するための多数のCAPAを提出したが、それ
を裏付ける文書を回答に含めていなかったので、貴社の回答は不十分、もしくは、完全に評価することが
できない。貴社は、貴社の品質管理部門の不備の範囲をレビュして、医薬品製造工程の適切な管理を保証
する手順を起草し実施していることを示すエビデンスを提出することを怠った。また貴社は、品質管理
の不足が、貴社が製造し使用期限内の医薬品の品質に与える影響の可能性に対処することも怠った。
この文書への回答の中で下記の情報を提供せよ。
・貴社の品質部門が21 CFR 211.22(a)章に従って効果的に機能するために権限とリソースが与えられて
 いることを保証するためのCAPAの包括的なアセスメント
このアセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含めよ。
・貴社で用いられる手順が強固で適切かどうかの判断
・適切な手順に忠実であることを評価するための、品質部門による作業全体の監督に関する規定
・適切な微生物試験をせずにリリースされたロットについて、リスクアセスメントを含む、規格を満たし
ていたかを判断するための回顧的レビュ
●ホメオパシー医薬品の不正商標表示
省略
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社は回答の中で、第三者のコンサルタントを雇うと述べた。我々は、我々が貴社で確認した違反の性質
に基づき、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34章に示す適格なコンサルタント
を雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようとする前に、適格なコン
サルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施してきた全て
の是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、貴社の全ての製造所において、これらの
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年1月9日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者と
してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/b-jain-pharmaceuticals-private-limited-567957-03212019

■WL:320-19-18 マレーシアの製造所の査察(2018/12/10~2018/12/14)でみつかった医薬品製造に
おける重大なCGMP違反に関してシンガポール本社に発行された2019/4/4付ウォーニングレターには、下記
の指摘事項があげられています
1.貴社は、出荷前に、医薬品の各ロットについて各有効成分の同一性、含量を含む最終の規格を満たす
  かどうか試験室の判断を行うことを怠った。
貴社は、出荷前に、有効成分の同一性、含量を判断するために、最終製品を試験しなかった。
この文書への回答の中で、アメリカ市場に出荷された使用期限内の全ての製品の保管サンプルの試験から
得られた結果のサマリを提出せよ。製品内の、薬理活性があるかもしれない全ての成分を含む有効成分の
同一性と含量に関する結果を含めよ。また、その他のすべての化学的品質特性と微生物品質特性を含めよ。
また、薬理活性のある全ての有効成分を確認するために、処方を評価せよ。
2.貴社は、貴社が製造した医薬品が、そううたっているまたは有すると表示している通りの同一性、
  含量、品質、純度を持っていることを保証するために設計された製造と工程の管理に関する文書化
  された手順を制定することを怠った。また、貴社の品質管理部門は、変更を含むこれらの手順のレビュ
  と承認をしなかった。
貴社は、貴社製品の製造工程をバリデートすることを怠った。プロセスバリデーションは設計とライフ
サイクルを通じた工程の管理状態の正当性を評価するもので、製造工程の各重要な段階は適切に設計され、
投入される原材料、中間材料、製品の品質が保証されなければならない。工程の適格性評価は、初期の
管理状態が確立されたかどうかを判断する。
貴社は回答で、バリデーションマスタプランを提出したが、詳細に欠け、貴社のバリデーションプログラム
の一部として適格性を評価しようとしている装置の一例をリストにしただけである。
良好な工程の適格性評価は商用販売の前に必要である。その後、工程の性能と製品品質の継続的で慎重な
監視は、製品のライフサイクルを通じて安定した製造作業の維持を保証するために必要である。
この文書への回答の中で、製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するためのバリデーションプラン
を提出せよ。各製品の工程の性能適格性評価実施のタイムラインを含めよ。継続的な管理状態を保証する
ために、ロット間のばらつきをモニタリングするためのプログラムを述べよ。また、工程の実施手順と、
文書化された装置及び設備の適格性評価に関する手順を含めよ。
3.貴社は、公式のまたはその他の制定された条件を越えて、医薬品の安全性、同一性、含量、品質、
  純度を変える可能性のある誤動作や汚染を防ぐために、装置と器具を清潔にし、メンテナンスし、
  医薬品の性質に応じて適切な間隔で消毒・殺菌することを怠った。
貴社は貴社製品の製造に使用される装置の洗浄バリデーションの実施を怠った。貴社は、XXでだけ洗浄
しすすいだ。
貴社は回答の中で以下の情報を提出せよ。
・2つ以上の製品を製造するために使用される製造装置についての洗浄手順、洗浄基準、バリデーション
 を評価するための包括的な計画
・貴社の洗浄手順が効果的であることを保証するための洗浄バリデーションの戦略の科学的で論理的な
 根拠
・最悪のケースと特定される条件を含んだ洗浄バリデーション手順の改訂のサマリ
 サマリには、これに限定されないが以下のことを含めよ。
 〇最も毒性の高い医薬品の評価
 〇洗浄溶剤内で最も低い溶解度の医薬品の評価
 〇洗浄を難しくさせる特性の医薬品の評価
 〇洗浄が最も難しい装置のふきとりの位置
4.貴社は、すべての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の合格、不合格を
  判断するための責任と権限を持った品質管理部門を制定することを怠った。
査察中、我々査察官は貴社の品質部門が貴社の医薬品の製造に適切な監視を行っていないことを発見
した。例えば、貴社の品質部門は、以下のことを保証することを怠った。
・含量及び同一性に関する適切な最終製品の規格が開発され、アメリカ市場に出荷される前に全ての規格
 を満たしていたこと
・アメリカ市場に製品が販売される前に、品質部門によりプロセスバリデーションがレビュされ承認され
 ていること
・共有の装置を使って製造された他の製品からの交叉汚染の可能性を防ぐことができることを保証する
 ための洗浄バリデーションが実施され、レビュされ、承認されていること
貴社の品質システムは不十分である。CGMP要件を満たすよう、品質システム及びリスクマネジメントの
アプローチの実施を助けるために、FDAのガイダンスを見よ。
この文書への回答の中で、貴社の品質部門が効果的に機能するために権限とリソースが与えられている
ことを保証するための是正処置・予防処置の包括的なアセスメントを提出せよ。そのアセスメントには、
これに限定されないが、以下のことも含めよ。
・貴社で用いられる手順が強固で適切かどうかの判断
・手順を評価するための、品質部門の作業全体の監督に関する規定
・品質部門が処理の決定をする前の、各ロットとそれに関連する情報の全ての最終的なレビュ
・調査の監督と承認
全ての製品の同一性、含量、品質、純度を保証するために品質部門の他の全ての任務の放免
●繰り返しの違反
2015年5月の査察で、FDAは同様のCGMP違反の所見をあげた。貴社は回答の中でこれらの所見に対し、
具体的な改善を提案した。
繰り返される不具合は、医薬品の製造に対する経営陣の監視と管理が不十分であることを示している。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開
するつもりなら、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34章に示す適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようとする前に、適格
なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施して
きた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●新薬承認の違反
省略
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、貴社の全ての製造所において、これらの
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年3月29日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者
としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/luen-fook-medicine-sdn-bhd-572963-04042019


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

ウォーニングレターを見ると、建物や設備の管理状態のひどさ、品質管理のずさんさが読んでとれます。
原材料に蛾が混ざっているということはないかもしれませんが、出荷前の試験の不足、プロセスバリデー
ションや洗浄バリデーションの不足は、意外に起きているかもしれません。
自社に同様の不備がないか、確認されることをお勧めします。

☆次回は、6/14(金)に配信させていただきます。


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