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2019.07.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<174号>
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
うっとうしい梅雨空が続いていますが、いかがお過ごしでいらっし
さて今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から、製薬会
について見ていきたいと思います。
ウォーニングレターに挙げられている指摘内容には、どこの会社様
ので、アメリカへの輸出があるなしに関わらず、是非参考にして頂
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言
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■WL:320-19-24 インドの製造所の査察(2018/12/17~2018/12/
なCGMP違反等に関し、2019/5/31付ウォーニングレタ
●CGMP違反
1.貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、
関する規格を満たすことを保証するための責任を果たすことを怠っ
査察中、我々の査察官は、貴社の品質部門が、貴社のOTC医薬品
ことを発見した。例えば、貴社の品質部門は、以下のことを保証す
・ロットのリリースの前に全ての試験が実施されレビュされている
・契約試験機関が適切に評価されていること
・不合格品及び原材料の保管に関し適切な管理が行われていること
・安定性プログラムが制定されていること
貴社は、貴社の作業を監査するためのコンサルタントを雇ったと回
医薬品の製造に関して不十分な品質部門の監督による影響に適切に
この文書への回答の中で、貴社の品質部門が効果的に機能するため
ことを保証するための是正処置・予防処置(CAPA)の包括的な
には、これに限定されないが、以下のことを含めよ。
・貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの
・貴社の業務全体を通して、適切な手順の遵守を評価するための品
・品質部門が出荷判定をする前の、各ロット及びそれに関連する情
・貴社の業務に関するコンサルタントの評価
2.貴社は、公式の、もしくは、その他の制定された条件を越えて
純度を変える可能性のある誤動作や汚染を防ぐために、装置や器具
ナンスし、医薬品の性質に応じて消毒/滅菌することを怠った。
貴社は、製品同士の交叉汚染を防ぐための製品の切り替えに関する
多数の局所用OTC医薬品を製造するために非専用装置を使用して
我々の査察官は、器具、調剤室のドア、調剤やサンプリングに使用
設備で、乾いた白いXXを発見した。
また、我々の査察官は、貴社の従業員が洗浄のログブックに事前に
の記録を偽造していることを発見した。例えば、2つのスクープ(
時間に記録され、設備が閉じていたにもかかわらず2018年の9
貴社は回答で、専用のスクープを使用し、層流ブースの洗浄の頻度
XXの使用と洗浄に関するSOP”に含めるつもりであると述べた
交叉汚染を防ぐために洗浄について十分に取り組んでいないかった
非専用装置の不十分な洗浄は製品同士の交叉汚染を招く可能性があ
この文書への回答の中で、下記の内容を提出せよ。
・2製品以上の製造に使用される各製造装置の洗浄手順と訓練とバ
な計画
・新しい製品や工程、装置に関する洗浄手順の検証とバリデーショ
されていることを保証する標準操作手順のサマリ
3.貴社は、権限のある職員だけが製造指図記録原本またはその他
ために、コンピュータ及び関連システムの適切な管理を実施するこ
我々の査察官は、品質管理の試験室内の試験装置とコンピュータに
した。例えば、貴社のラボの職員はHPLCの装置にアクセスする
とパスワードを共有している。
更に、分析証明書(COA)を含む電子書類及びスプレッドシート
削除されたりできた。OTC製品XX(ロットNo:XX)の分析
いない電子文書の中にあった。
貴社は回答で、ユーザはユニークなログインIDを割り当てられ、
対して行われ、ユーザがファイルを削除するのを防いでいることを
“セキュリティアクセスとデータの管理に関するSOP”を制定し
コンピュータのセキュリティ管理がデータや文書の操作を防ぐのに
エビデンスを含む、裏付けの文書に欠けていた。また、貴社は、貴
されたり削除されたりしたかどうかの評価を含む、不十分なシステ
アセスメントを実施しなかった。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を
切に保証していない。FDAのガイドラインを見よ。
我々は、貴社が、貴社の作業を監査し、FDAの要件を満たすこと
いることを認識している。
この文書への回答において、以下の情報を提供せよ。
A.データの記録及び報告の不正確さの範囲の包括的な調査
貴社の調査には以下のことを含むべきである:
・調査手順と方法の詳細、全ての試験室、製造作業、アセスメント
貴社が除外を提案している作業の正当化の理由
・データの不正確さの性質、範囲、根本原因を特定するための、現
我々はこれらのインタビュが、適格性のあるサードパーティによっ
・貴社の製造所におけるデータ・インテグリティの欠落の範囲のア
省略、変更、削除、記録の破壊、非同時の記録の完成、その他の不
データ・インテグリティの欠落している貴社の製造所の全ての作業
・試験と製造に関するデータ・インテグリティの欠落の性質の包括
我々は、潜在的な不履行が確認された分野の専門知識を持った適格
のデータ・インテグリティの欠落を評価することを勧める。
B.貴社の医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響
貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を
引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされ
C.グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社の
貴社の戦略には、以下のことを含めるべきである。
・分析データ、製造記録、FDAに提出される全てのデータを含む
と網羅性を、貴社がどのように保証するかを述べた詳細な是正処置
・現在のアクション・プランの範囲と深さが、調査で発見されたも
釣り合うエビデンスを含むデータ・インテグリティの欠落の根本原
データ・インテグリティの欠落の責任がある個人が、貴社でCGM
に影響を与えることができる状態のままかどうかを示せ。
・顧客への通知や製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証する
の追加、製品の申請アクション、強化した苦情モニタリングなど、
を保証するために、貴社がとった、または、とろうとしているアク
・貴社のデータの完全性を保証するための、手順、工程、方法、管
(例:教育、職員の改善)に対する改善努力と強化を述べた長期の
・既に進行中または完了した上記の全ての活動に関する状況報告
●未承認の新薬の製造、不正商標表示の医薬品
未承認の新薬の製造、不正商標表示の医薬品の製造に関する指摘が
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、貴
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止
FDAは2019年4月17日、貴社に輸入警告措置66-40を
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認す
してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留とする。
出典:https://www.fda.gov/inspect
■WL:320-19-25 中国の製造所の査察(2019/1/7~2019/1/10)で
CGMP違反に関する2019/6/10付ウォーニングレターに
1.貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に各有効成分の同一
どうかについて試験室の判断を怠った。また貴社は、好ましくない
の各ロットについて、適切な試験室の試験を実施することを怠った
貴社は、XXを製造し、アメリカ市場向けに出荷した。我々の査察
出荷する前に、各ロットが、同一性と含量の規格を満たすかどうか
の試験をしなかったことを発見した。
さらに貴社は、微生物の特性に関する信頼性のある試験が不足して
関する培地の成長促進試験の適切なプログラムを持っていなかった
各ロットの完全な試験は、貴社が製造した医薬品が化学及び微生物
どうか判断するために不可欠である。
回答の中で、貴社は、出荷前に有効成分の同一性と含量に関する試
の各ロットを送るつもりであると述べた。また貴社はクロマトグラ
と述べた。
われわれは、貴社が微生物試験の結果を保証するために各ロットの
したと認識している。
既に市場にある製品に関し、是正処置をとり、サードパーティの試
は、追加試験に使用される手順を提供するという約束をしなかった
貴社は、出荷前に貴社の製品の各ロットが全ての化学及び微生物の
ない。
この文書への回答の中で、下記の情報を提供せよ。
・ロットの出荷判定前に製品の各ロットを分析するために使用され
規格のリストと、関連する文書化された手順
・アメリカ市場に販売された全ての製品のロットの保管サンプルの
サマリ
有効成分の同一性と含量に関する試験結果、及び、その他全ての化
もし、規格外でロットを出荷していたら、顧客への通知や製品の回
処置を示せ。
・貴社の試験室の訓練、手順、方法、装置と分析者の能力の包括的
このレビュに基づき、貴社の試験室のシステムを完全に修正するた
(CAPA)を提出せよ。貴社の計画には、実施されたCAPAの
手順も含めるべきである。
・貴社の代わりに契約試験設備により実施される全ての試験方法が
されていることを保証するための貴社の手順を提出せよ。
2.医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試
は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性をバリデート
貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用する入荷した原薬、及
同一性、純度、含量及びその他の適切な品質特性を判断するための
なバリデーションを通じて供給者の分析の信頼性を証明せずに、単
した。
貴社は回答の中で、適切な会社から原薬を購入するつもりであると
詳細な試験データと共に分析レポートを提出するよう要求すること
された規格に従うかどうか判断するために、今後購入される包装材
実施すると約束した。
貴社は、医薬品の製造に使用する前に、原材料の各ロットの試験(
いない分析証明書の全ての特性の試験)をすることを約束しなかっ
さらに、貴社は、いかに貴社の供給者の分析の信頼性を証明するつ
貴社は既に市場にある製品に関するいかなるアクションもとらなか
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・入荷した成分を製造に使用する前に各ロットのリリースを判断す
品質管理の規格
・各成分が同一性、含量、品質、純度に関する全ての適切な規格に
記述
もし貴社が、各成分のロットの純度、含量、品質を試験する代わり
試験結果を受け入れるもりであれば、初期のバリデーション(その
を通じて、これらの特性に関する供給者の試験結果の信頼性と整合
せよ。更に、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの
・各成分の製造業者から得られる分析証明書の信頼性を評価するた
得られる試験結果のサマリ
分析証明書のバリデーションプログラムについて記述した貴社の標
・各供給者から得た全ての容器、蓋、成分が適切に適格性を評価さ
付与され、不適切な容器、蓋、成分の使用を防ぐための入荷した原
するための原材料システムの包括的で独立したレビュ
3.貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされる同一性
するための文書化された製造の手順と工程管理を制定することを怠
貴社には、安定した製造作業を保証するための工程管理のモニタリ
いる。貴社は、貴社の製造工程が同一の性質と品質の医薬品を一貫
〇製造工程の不十分な管理
貴社は、貴社のOTC医薬品を製造するために使用される工程をバ
XXの重要工程パラメータの定義もしくは特定をしていなかった。
した医薬品の品質を保証するための工程管理のモニタリングの継続
貴社は回答の中で、XXのための製造工程をバリデートするつもり
貴社は詳細の工程の性能適格性評価の手順と、製品のライフサイク
することを保証するための全体的なプログラムを提出しなかったの
貴社はアメリカ市場に既に出荷された医薬品のリスクアセスメント
この文書への回答の中で、製品のライフサイクルを通じて管理状態
提出せよ。貴社の医薬品の工程の性能適格性評価の実施に関するタ
〇XXシステムの不十分な管理
貴社の医薬品を製造し、製造装置を洗浄するためのXXをバリデー
XXの米国局方モノグラフと微生物の規格に一致する、製薬の使用
保証が不足していた。
貴社は回答の中で、XXシステムを改良するための変更を実施する
貴社は、XXシステムの包括的な設計レビュとバリデーションプラ
不十分である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ。
・XXシステムの設計、管理、メンテナンスに関する包括的で独立
・XXシステムの設計、管理、メンテナンスを修正するための包括
・貴社のXXシステムのバリデーションレポート
また、システムの設計の改良と、継続的な管理とメンテナンスのプ
・このシステムが貴社の各製品の使用にあったXXを製造すること
総数の上限は、貴社のアクション及びアラートの上限より厳しい上
あることに注意せよ。
4.貴社は、全ての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料
と権限を持った適切な品質管理部門の制定を怠った。
貴社には、適切な品質部門が欠けている。例えば、貴社の品質部門
安定性プログラムのような様々な責任に関する文書化された手順を
貴社は回答の中で、試験室の管理手順を改善するつもりで、CGM
述べた。
貴社は、実施しようとしている手順の適格性を含む情報やAPRに
の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・品質部門の役割と責任を述べた新しい改訂された手順と、これら
エビデンス
・完全な医薬品の安定性プログラムを開発し実施するための、タイ
この計画には、現在アメリカ市場にある医薬品の安定性のアセスメ
・貴社の品質部門が、その機能を効果的に果たすために必要な権限
保証するための是正処置・予防処置(CAPA)の包括的なアセス
・貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの
・適切な手順の遵守を評価するための品質部門による作業全体の監
・品質部門が出荷判定をする前の、各ロットの完全で最終的なレビ
・全ての製品の同一性、含量、品質、純度を保証するための調査の
の実施
●品質システム
貴社の品質システムは不十分である。CGMP要件を満たすよう、
アプローチの実施を助けるために、FDAのガイダンスを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社がCGM
21 CFR 211.34章に示す適格なコンサルタントを雇うことを強く勧め
状態を遵守しようとする前に、適格なコンサルタントが、貴社の全
監査を実施し、貴社が実施してきた全ての是正処置・予防処置の完
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証す
●不正商標表示の医薬品の違反
不正商標表示の医薬品の製造に関する指摘がされています。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、貴
の違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防
FDAは2019年4月12日、貴社に輸入警告措置66-40を
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認す
してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留とする。
出典: https://www.fda.gov/inspection
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
1件目のレターのデータ・インテグリティの指摘。
当然のことではありますが、
・システムにアクセスする際のログインID・パスワードの使い回
・製造記録や分析の記録にアクセス制限をせず、変更の記録なしに
はデータ・インテグリティの観点から認められないということを、
あります。
2件目のレターの供給者の分析試験の信頼性の定期的なバリデート
ウォーニングレター上でよく見かける指摘ですが、身近なところで
定期的にバリデートしていないことが結構あると思われます。
定期的に供給者監査を実施していても、分析試験の信頼性がバリデ
ので、注意が必要なのではないでしょうか。
☆次回は、8/1(木)に配信させていただきます。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お礼
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2019年7月3日~7月5日のインターフェックスジャパンでは
お立ち寄りいただきまして、誠にありがとうございました。
十分にご挨拶が出来なかった方、大変申し訳ありません。
今後とも本メールマガジンをどうぞよろしくお願いいたします。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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『ASTROM通信』担当 橋本奈央子