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2019.11.15

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<182号>

 

~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

あっという間に、今年も残すところ1ヶ月半となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて、今回も、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から製薬会社向けに出されたウォーニングレター(3)

について見ていきたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。

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WL:320-19-41 中国の製造所の査察(2019/3/192019/3/21)でみつかった医薬品製造における重大な

CGMP違反に関する2019/8/29付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

1.貴社は、出荷前に、製品の各ロットについて、各有効成分の同一性・濃度を含む、最終規格に一致する

  かの試験室での判断の実施を怠った

貴社は、有効成分XXの同一性と濃度に関する適切な試験を実施せずに、OTC医薬品XXをアメリカ市場に出荷

した。貴社は、実施したOTC医薬品内の有効成分に関する同一性と有効性を示す試験結果のデータを提供

できなかった。

出荷前の各ロットの完全な試験は、貴社が製造した医薬品が適切な規格を満たすかどうかを判断するために

不可欠である。

さらに、貴社は、我々査察官に、XXの処方はラベルに表示された有効成分を含まないと述べた。貴社の

医薬品は、それが持つとされる濃度と異なる、または、純度や品質を下回っているので、FD&C Act

501(c)21 U.S.C. 351(c)のもとで、品質が落ちている。

この文書への回答の中で

・ロットの処遇の判断をする前に、貴社の医薬品の各ロットの分析に使用されている全ての分析試験の

 方法と規格のリストを提供せよ。関連する文書化された手順を含めよ。

・貴社の試験の活動、手順、方法、装置、分析者の能力の包括的で独立したレビュを実施せよ。

 このレビュに基づき、貴社の試験システムを完全に改善するための詳細の是正処置・予防処置(CAPA

 の計画を提出せよ。貴社の計画には、実施されたCAPAの効果を評価するために貴社が使用しようとして

 いる手順も含めるべきである。

・アメリカ市場に販売された使用期限内の全ての製品の処方と保存サンプルの試験から得られる試験結果

 のサマリを提供せよ。処方のレビュと保存サンプルの試験結果には、有効成分の同一性と濃度と、その

 他の全ての品質特性を含むべきである。もし、処方のレビュと試験から、貴社が有効成分の同一性また

 は濃度の規格を満たさない製品を出荷したことが明らかになった場合、顧客への通知または製品の回収

 などの、貴社がとった、もしくは、とろうとしている是正処置を示せ。

2.貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。

貴社は、同一性、純度、濃度、その他の品質特性に関し、入荷した有効成分XXとその他の成分の試験を

することを怠った。貴社は、OTC医薬品XXに使用される成分の試験をせず、ラベルに表示された有効成

分の受入を示す記録を提供することができないと述べた。

さらに、貴社は、XXのようなグリセリンを含む医薬品を製造している。ジエチレン・グリコール(DEG)

エチレン・グリコール(EG)が存在するかどうかを判断するためのグリセリンの各ロットの分析の不履行

は、患者をリスクにさらす。医薬品内のDEGの汚染は、世界中の人に、さまざまな死に至る中毒事件を

引き起こす。グリセリンを含む医薬品を製造するときにCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス

文書“Testing of Glycerin for Diethylene Glycolを見よ。

我々はXXXXブランドは、過去のDEG汚染に関係していることに気付いている。輸入警告66-74

Detention Without Physical Examination of Dentifrice Products Containing Diethylene

Glycol(DEG)を見よ。

この文書への回答の中で、

・各供給者から得た全ての容器・蓋・成分が、適切に評価され、適切な使用期限またはリテストの日付

 が与えられ、入荷した原材料の管理が、不適切な容器・蓋・成分の使用を防ぐために適切であること

 を判断するために、貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュを実施せよ。

・各成分のロットが、同一性、濃度、品質、純度に関する規格に一致することをいかに試験するかを述

 べよ。もし、貴社が、各成分の純度、濃度、品質の試験をする代わりに、供給者の分析証明書(COA

 の試験結果を受け入れるつもりであれば、最初のバリデーション(定期的な再バリデーションも含む)

 で、これらの属性に関する供給者の試験結果の信頼性と一貫性を、はじめにいかに証明するかを明記

 せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの同一性試験は常に実施する約束

 も含めよ。

・製造に使用するために、入荷した成分の各ロットのリリースを承認するために使用する化学及び微生

 物の品質管理の規格を提出せよ。

・各成分の製造業者から得たCOAの信頼性を評価するために、全成分の完全な試験から得られた試験結果

 をまとめよ。このCOAのバリデーションプログラムについて述べた標準操作手順書(SOP)も含めよ。

・貴社のグリセリンを含む製品について、全てのグリセリンのロットの保存サンプルを、DEGEGに関し

 て速やかに試験せよ。

・グリセリンを含み、アメリカ市場内にある使用期限内の製品の詳細なリスクアセスメントの結果を

 提出せよ。リスクアセスメントに基づき、適切な是正処置をとれ。

3.貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するために

  設計し文書化した製造の手順と工程管理を制定することを怠った。

貴社は、アメリカ市場向けのOTC医薬品を製造するために使用される工程をバリデートすることを怠っ

た。例えば、貴社は、工程の性能適格性評価(PPQ)の実施も、安定した製造作業と一貫した製品品質

を保証するための工程管理のモニタリングの厳格で継続的なプログラムを持つこともしなかった。

貴社は、品質のよい医薬品を一貫して供給できることを示さなかった。FDAがプロセスバリデーションの

基礎と考える一般的な原則とアプローチに関するFDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・貴社の製造工程が一貫して適切なパラメータと製造の基準を満たすような、ばらつきの全ての原因を

 特定し管理する、データ駆動型で科学的に合理的なプログラム

 プログラムには、これに限定されないが、装置の使用目的への適合性の評価、投入する原材料の品質

 の保証、各製造工程のステップと管理の能力と信頼性の判断を含めよ。

・貴社の医薬品のPPQの実施のタイムライン

4.貴社は、医薬品が安定性試験によって裏付けられた使用期限を持つことを保証することを怠った。

貴社のOTC医薬品XXは、使用期限を裏付けるデータが不足し、文書化された安定性プログラムを制定し

ていなかった。さらに、貴社は、貴社のOTC医薬品の安定性を評価するための安定性試験を実施する能力

欠けていると述べた。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・貴社の安定性プログラムの適格性を保証するための包括的で独立したアセスメントとCAPA

 貴社のCAPAには、これに限定されないが、安定性プログラムについて述べた修正されたSOP、安定性

 を示す方法、出荷許可前の容器密閉システムを保証するための安定性の研究、品質保証期間が正当で

 あるか判断するために各製品の代表的なロットが毎年追加されるような継続的なプログラム、各工程

 で試験される特定の属性を含めるべきである。

・科学的に検証されラベルに表示された使用期間を通じて、貴社のOTC医薬品の化学的、物理的、微生物

 的属性が許容できる状態であることを示す安定性のデータ

●製造所の繰り返しの違反

先の2016328日~41日の査察で、FDAは、同様のCGMP違反を指摘した。貴社は、回答の中で、

これらの違反に関し、明確な改善を提案した。繰り返される不具合は、医薬品の製造に関する経営陣の

監督と管理が不十分であることを示している。

●医薬品製造の停止

我々は、アメリカへ販売するための医薬品の製造を停止するという貴社の誓約を認める。

この文書への回答の中で、今後、この製造所で、医薬品の製造を再開するつもりかどうかを明確にせよ。

もし、アメリカへ販売するための医薬品の製造を再開するつもりなら、貴社の作業を再開する前に我々の

オフィスに通知せよ。

CGMPコンサルタントの推奨

我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社が、アメリカ市場向けの医薬品の製造を再開

するつもりなら、CGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサル

タントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようと

する前に、適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、

貴社の是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の

経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

●未承認の新薬の容疑

XXロールオンは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能

に影響を与えることを意図しているので“医薬品”にあたる。特にこの製品は、発汗抑制を意図している。

XXロールオンのような発汗抑制を目的としたOTC医薬品は、ヒト用発汗抑制OTC医薬品の最終ルールの規制

を受けるが、この製品は、最終ルールに従っていなかった。

●虚偽表示の容疑

XXスティックは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能

に影響を与えることを意図しているので“医薬品”にあたる。特にこの製品は、発汗抑制を意図している。

XXスティックは、ラベルに属性の完全な記述をしていないうえに、責任者が重大な副作用の報告を受ける

ための国内の住所と電話番号を開示していないので虚偽表示に該当する。

●化粧品の違反

XXのような製品は、医薬化粧品で、医薬品と化粧品両方の管轄になり規制の対象となるが、以下のFD&C

Actの違反が見つかっている。

1.化粧品の汚染を防ぐための、装置表面の洗浄と洗浄を行っていない。

我々査察官は以下のことをみつけた:

・ゴミと汚れとちりの層で覆われたXXの製造エリアと充填エリア

・白とXX色の屑の積層または別の日の製造の残留物で覆われたXXの底

・充填前にXXの保管に使用される金属製の小型容器は、XXと白い残留物で覆われていた。

 容器とXXは洗浄され、使用準備ができていると考えられていた。

2.貴社は、建物、備品、その他の物理的な設備を衛生的な状態に保ち、品質を落とすことを防ぐために

  修理することを行っていなかった。

我々査察官は以下のことをみつけた:

・製造エリアのXXの下の亀裂

・床に清掃後に製品の積み上がった残留物と思われるものがあった

3.化粧品の製造に使用される装置と器具は設計されていないし、効果的に清掃できるような材料や

  施工になっていないし、汚染を防ぐために維持されていない。

我々査察官は、特に以下のことをみつけた:

・内部にゴミのついたXXが、製品容器に化粧品を充填する前の保管に使用されている。

 外部の起伏のある溶接と、本体と首の部分のへこみと、腐食のサインは、表面を簡単に洗浄できなくし、

 微生物汚染の疑いを抱かせる

・使用されている製造装置XXの外部とてっぺんで、堆積物と原材料で覆われた層が発見された

・化粧品XXを充填するのに使用されるテーブルXXは、破損し、使い古され、簡単に洗浄できない状態

 だった。

・部屋と冷蔵室XXの間に位置した製品を充填するためのテーブルの上の黒い屑、汚れ、汚いぼろ切れ、

 ごみの蓄積

・いくつかの個人の飲料用カップとタバコの吸い殻が、製造と包装用のXXフロアの床でみつかった。

 カップの1つは、包装中の化粧品包装ラインに直接置かれていた。

●結論

この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、

再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

FDA2019730日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者

としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/hangzhou-badi-daily-use-chemical-company-580819-08292019

 

WL:320-19-42 中国の製造所の査察(2019/4/12019/4/5)でみつかった原薬製造における重大な

CGMP違反に関する2019/9/10付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

1.貴社の原薬が制定した品質と純度の標準に一致することを確実にするための、全てのサンプリング

  計画と試験手順が科学的に合理的で適切であるという保証の不履行

貴社はアメリカに輸入され調剤薬局に供給されている、米国薬局方(USP)のリストにある複数の原薬を

製造している。原薬XXについて、使用期限を裏付ける試験室の安定性試験の手順は、2015年の中国薬局方

の方法と規格に基づいている。貴社は、使用している試験がUSP 42の方法と同等か、もしくはそれより

良いと証明することができなかった。FDAは、中国薬局方に基づく貴社の試験方法と、USPの現在の標準

を比較した。我々は、規格と試験方法で多数の違いを発見した。また、我々は、USPで品質の属性に関し

て要求している試験が中国薬局方または貴社の安定性試験の手順にないことを発見した。これは、CGMP

からの逸脱を超えて、濃度、品質、純度がFD&C Actの公定書の標準を下回り、貴社の医薬品の品質を落

とす原因にもなっている。

さらに、強制分解試験は、バリデートされていなかった。

貴社は回答の中で、貴社の方法を改訂し、貴社の試験方法と現在のUSPの方法の比較を実施し、現在の

USPの標準に対して保存サンプルの試験を実施し終えるまで、供給を中止すると述べた。貴社は、

アメリカに販売した使用期限内の製品に問題があれば適切なアクションをとると述べた。

この文書への回答の中で、以下のものを提出せよ。

・他の代替方法がUSPの方法と同等か、それより良いと証明されるまで、現在のUSPの方法を使用すると

 いう誓約

・貴社が現在のUSPの方法を使っていないのであれば、貴社の原薬に関する試験方法が、USPの方法と同等

 か、それより良いと判断するための包括的な検証

 貴社の代替方法がUSPの方法と同等か、それより良いかを評価する中でみつかった全ての発見と逸脱を

 含めよ。分析試験方法のバリデーションに関するFDAの現在の考えについては

 “Analytical Procedures and Methods Validation for Drugs and Biologicsを見よ。

・貴社の医薬品が同一性、濃度、品質、純度の標準に一致することを保証するために、アメリカ市場に

 出荷された使用期限内の全医薬品の全保存サンプルに関する、バリデートされた試験方法(例:USP

 方法)を使って最新化された試験結果

・アメリカに販売された貴社の製品に関する製品品質や患者の安全性のリスクに対処するための、潜在

 的な顧客への通知、回収、市場からの撤退を含む貴社のアクションプラン

・試験の管理手順からの逸脱の文書化と調査に関する手順

2.手順に照らした規格外の試験結果(OOSOut-Of-Specification)の調査と文書化の不履行 及び

  是正処置の不履行

我々査察官は、原薬XXのバッチXXは、色と透明性の溶液試験中の異物により、最終のリリース試験が

不合格になっていることを発見した。調査OOS-201607109OOS-201608130は、根本原因と異物の発生源

を特定することに失敗した。

貴社は回答の中で、試験室の調査の評価、顧客の苦情、逸脱に関する手順を見直すと述べた。また、貴社

は、全てのOOSの結果をレビュすると約束した。合格の試験結果がUSPの基準と比較してOOSであるか

どうかを判断するために、non-USPの方法を使ってアメリカ向けサプライチェインに出荷するために行っ

ていた分析試験結果をレビュしていないので、貴社の回答は不十分である。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・アメリカ市場に原薬を出荷するために使用している試験方法とUSPの基準の比較

 異なる規格の試験について、貴社がOOSの原材料をリリースしたか調査せよ。

・現在アメリカ市場にある使用期限内の製品に関する、バリデートされていないOOSの結果(工程内試験

 及び最終試験)の回顧的で独立したレビュ

 バリデートされていないOOSの結果に関し、科学的な正当性とエビデンスが決定的なものかどうかを

 評価せよ。試験室を根本原因とする調査に関し、同じ根本原因に対して脆弱な他の試験方法が改善の

 ために特定されていることを確実にせよ。

・結論が出ていない、または、根本原因が特定されていないOOSの結果に関する製造の徹底的なレビュ

 (例:ロットの製造記録、製造段階の適格性、原材料、工程の能力、逸脱の履歴、ロットの不合格の履歴)

・製造の根本原因を特定し、有意義な改善を明確にする是正処置・予防処置(CAPA)の計画

OOSの結果の調査に関する貴社のシステムのレビュと改善

 OOSの対処を改善するためのCAPAの計画を提出せよ。貴社のCAPAの計画は、改訂されたOOSの調査手順が

 以下のことを含むことを保証すべきである。

 ○試験室の調査についての品質部門の改善された監督

 ○試験室の管理の悪い傾向の確認

 ○試験室のばらつきの原因の解明

 ○試験室の原因が最終的に特定できなかった時の、製造の原因の可能性の調査

●是正処置が実行されるまでの医薬品の出荷の停止

我々は、貴社が、CAPAの計画を完了し、その効果を確認するまで、当該製造所で製造された医薬品の

アメリカ市場への出荷を停止するという誓約を認める。

この文書への回答の中で、FDAが貴社のCAOAの適格性を確認し終えるまで、アメリカ市場向けの医薬品

の製造を再開しないことを承認せよ。貴社の是正処置を完了したら、このオフィスに文書で通知せよ。

●結論

この文書で挙げた逸脱は、包括的なリストではない。貴社には、これらの逸脱を調査し、原因を判断し、

再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者

としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/jiangsu-nhwa-pharmaceutical-co-ltd-582511-09102019

 

WL:320-19-43 インドの製造所の査察(2018/11/262018/12/4)でみつかった原薬製造における

重大なCGMP違反に関する2019/9/10付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

1.貴社は、ロットが既に出荷されたかに関わらず、説明のつかない食い違いや規格を満たさない

  ロットまたはその成分の徹底的な調査を行うことを怠った。

規格外(OOSOut-Of-Specification)の分析試験結果に関する貴社の調査は不十分である。2016

以来、貴社は、XXを含む複数の医薬品XX(例:XXmg/XXml)のOOSの分析の相当な数の調査を開始した。

貴社はしばしば、帰することができる根本原因なしに、これらのOOSの調査を終了し、合格の再試験結果

に基づいて、ロットをリリースした。貴社は、しばしば、OOSが試験室由来なのか製造由来なのかを判断

するための十分な調査に欠け、適切な是正処置・予防処置(CAPA)を実施することを怠った。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・最終的にアメリカに出荷されたかどうかに関わらず、201671日以降に製造された全てのアメリカ

 向けの医薬品に関する全てのバリデートされていないOOSの結果(工程内試験及び最終試験)の回顧的

 で独立したレビュ

 バリデートされていないOOSの結果に関し、科学的な正当性とエビデンスが決定的なものかどうかを

 評価せよ。試験室を根本原因とする調査に関し、同じまたは類似の根本原因に対して脆弱な他の試験

 方法が改善のために特定されていることを確実にせよ。レビュで見つかった結論が出ていない、または、

 試験室の根本原因が特定されていない全てのOOSの結果に関し、製造の徹底的なレビュ(例:ロットの

 製造記録、製造段階の適格性、装置/設備の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、

 苦情の履歴、ロットの不合格の履歴)を含めよ。

・貴社の作業XXの総合的な傾向の分析と、試験または製造の過度のばらつきの一因となりうる全ての

 システム的な要因の特定

・逸脱、普通でない事象、苦情、OOSの結果、不具合の調査に関する貴社システムの包括的で独立した

 評価

 貴社のCAPAの計画には、これに限定されないが、調査、根本原因の分析、文書化された手順、職員の

 能力(例:潜在的な根本原因の評価能力)、品質部門の監督を含めるべきである。また、CAPAの効果

 に関する貴社の手順を含めよ。

2.貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するために

  設計し文書化した手順と工程管理を制定することを怠った。

貴社のXXのプロセスバリデーションは不十分である。貴社は、ばらつきの原因を適切に特定し、有効

成分が処方の少ない割合(XX%)であるこの工程の継続的な管理状態を示すことをしなかった。貴社は

XXから複数の個々の工程内の容器までのXX工程の評価が欠けていた。貴社の混合品のサンプルの試験は、

最大ホールドタイムの後のことを含む、均一でない可能性についての不十分な情報を提供した。さらに

貴社は、根本原因が不明のロットの不具合が起きたにもかかわらず、製品のライフサイクル中の、工程

の一貫性やロットの均一性に影響を与えるファクタの再評価を怠った。

貴社の回答は不十分である。貴社は、XXに関する製造工程の管理状態と、重大な製造の脆弱性を持って

いるかもしれない他の製品の包括的な評価を提出しなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・現在の管理状態を判断し、工程の改善や新しいバリデーションが必要かどうかを判断するための、

 貴社の製造工程の包括的で独立したアセスメント

 このアセスメントには、これに限定されないが、XXの全ての適切な属性に関するロット内/ロット間

 の均一性や、堅牢性(例:XX)が欠けているかもしれない他のXXを大々的に評価するための検証を含め

 るべきである。CAPAの計画とタイムラインを含めよ。

・全ての製品の製造ライフサイクルを通じた継続的な監督の保証

 製造と包装工程が適切な製造の基準とパラメータを満たすことを保証することにより、工程のばら

 つきを特定し管理する、データ駆動型で科学的に合理的なプログラムを提出せよ。プログラムは、

 これに限定されないが、装置の使用目的への適合性の評価、投入原材料の品質の保証、工程の性能と

 製品の品質の慎重なモニタリング、各製造工程のステップとその管理の能力と信頼性の判断を含む。

3.貴社は、公的又はその他の制定した要件を超えて製品の安全性、同一性、濃度、品質、純度を変え

  うる誤動作や汚染を防ぐために、装置や器具を洗浄・維持し、医薬品の性質に応じて、適切な間隔

  で・消毒・殺菌することを怠った。

貴社の製造装置の洗浄手順は不十分である。

20181126日、我々査察官は、洗浄済のラベルが貼られているが、複数の製品の接触面状に未知

の残留物XXがある非専用装置(打錠機)を発見した。不十分に洗浄され維持されている装置は、交叉

汚染や、医薬品の粗悪な品質につながる。

貴社は、回答の中で、手順が守られていない、または、求められている洗浄後のチェックが不十分で

あったことを認めた。貴社は、打錠機は再洗浄され、作業者は再訓練されたと付け加えた。

貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の洗浄手順の包括的な評価を提出せず、残留物の正体を確認

せず、その他の製造装置が不適切に洗浄されていたかどうかの判断をせず、交叉汚染された製品が出荷

のためにリリースされたかどうかを評価しなかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・貴社の洗浄手順と作業の包括的で独立した回顧的なアセスメント 及び 交叉汚染の危険の範囲の

 評価をするためのバリデーション

 残留物の正体、不十分に製造された可能性がある他の製造装置、交叉汚染された製品が出荷のために

 リリースされたどうかのアセスメントを含めよ。アセスメントは、原薬や医薬品を含む複数製品の

 製造に使用される各装置を対象にすべきである。

・貴社の洗浄手順と作業の適切な改善、完了のタイムラインを含む、回顧的なアセスメントに基づく

 CAPAの計画

 装置の洗浄のライフサイクル管理に関する貴社の手順の詳細なサマリも含めよ。全ての製品に関し、

 適切な洗浄が一貫して実施され、いかなる改善も実施されていることの継続的な検証に関する規定

 を述べよ。

・貴社の医薬品の製造作業のワーストケースと判断された状態を組み込むことに重点を置いた洗浄

 バリデーションプログラムの適切な改善

 改善には、これに限定されないが、以下のことを含めよ。

 〇より高度な毒性の医薬品

 〇より高度な有効性を持つ医薬品

 〇洗浄溶媒に、より低溶解度を持つ医薬品

 〇洗浄を難しくする特性を持つ医薬品

 〇最も洗浄が難しいエリアの拭き取りの位置

 〇洗浄までの最大ホールド時間

 さらに、新しい製造装置や新製品を導入する前に貴社の変更管理システム内でとられる手段を述べよ。

・製品、工程、装置に関する洗浄手順の検証、バリデーションに関し、適切なプログラムが実施される

 ことを保証する改訂されたSOPのサマリ

●繰り返される違反

FDAは、貴社の製造ネットワーク内の他の2つの製造所で同様のCGMP違反を挙げた。2017116日、

我々は、貴社の2つの製造所にウォーニングレターを発行している。

複数の製造所で繰り返されるこれらの不具合は、医薬品の製造の監督と管理が不適切であることを示す。

貴社は、システム、貴社の製造する製品がFDAの要件に従うことを保証するために、貴社のグローバル

な製造作業を早急に包括的に評価すべきである。

●結論

この文書で挙げた違反と逸脱は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反と逸脱を調査し、

原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者

としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/lupin-limited-572345-09102019

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

今回の3件のウォーニングレターは、中国・インドの製造所の、不十分な受入試験や出荷前試験、

OOSの不十分な調査、不十分な洗浄など、基本的な部分の指摘でした。

自社の手順の再確認はもちろんですが、海外の供給者の適格性の確認が不可欠であることをあら

ためて感じました。

 

☆次回は、12/1(日)に配信させていただきます。

2019.11.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<181号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM
通信担当の橋本奈央子です。

 

巨大な台風に、1ヶ月分の雨が半日で降ってしまうような豪雨と、災害が続いていますが、皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて、今回も、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から製薬会社向けに出されたウォーニングレター(3)について見ていきたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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WL:320-19-38 韓国の製造所の査察(2019/3/112019/3/15)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2019/8/15付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

CGMP違反

1.貴社は、出荷前に、製品の各ロットについて、各有効成分の同一性・濃度を含む、最終規格に一致するかの試験室での判断の実施を怠った

貴社は、少なくとも製品XXに使用される有効成分XXの同一性・濃度の試験をせずに、XXを含む複数の

OTC医薬品をアメリカ市場向けに出荷した。貴社は、2017年から2018年に製造された少なくともXXロッ

トは、含有量、鉛、ヒ素の試験を満たしていたと報告した。しかし、これらの試験結果に関するローデー

タは、査察中レビュに利用できなかった。

貴社の職員は、含有量に関しそれまでに一貫して合格の結果を得ていたため、2017915日以降、XX

の試験を止めたことを認めた。各ロットの試験をしなければ、貴社は出荷前にアメリカ市場向けの全ての

製品が規格を満たすという科学的なエビデンスを持っていない。

貴社は回答の中で、アメリカの提携企業に売ったOTC医薬品XXを回収し、これらの分析をすることを約

束したと述べた。貴社は、貴社の製品が適切であることを分析するために用いた方法を示す文書を提供で

きなかったので、貴社の回答は不十分である。貴社は、委託試験機関XXを使用するつもりであると述

べた。しかし、貴社は、商用の出荷試験の実施のためにXXの適格性評価をどのように実施するかの詳細

を提出しなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・ロットの処遇を決める決定をする前に各製品のロットの分析に使用される化学及び微生物の試験方法

のリストと、それに関連する文書化された手順

・完了した、化学及び微生物の分析方法のバリデーション、装置のバリデーション、改訂された試験方法

 ロットの処遇を決める決定前に製品が一致しなければならない規格も提出せよ。

・アメリカに販売され使用期限内にある全ての製品の保管サンプルの試験から得られた試験結果のサマ

 リ

 これらの試験結果には、有効成分の同一性、濃度、その他全ての化学及び微生物的品質特性を含めなけ

ればならない

・製品の回収されたロットの処遇に関する情報(例:破壊の記録)

2.貴社は、全ての成分、容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の合格・不合格を判断する責任と権限を持った適切な品質管理部門の制定を怠った。

査察中、我々査察官は、貴社の品質部門が、貴社のOTC医薬品の製造に関し監督不足であることを発見し

た。例えば:

・貴社の品質部門は、リリース判断をする前に、ローデータと精度の計算を含む、全てのバッチレコード

のレビュを怠っていた。

・貴社のバッチレコードは、値が記録される前に、分析結果が規格内であることを示す“承認済”の文字

が印刷されていた。

・ラベルのレビュとライン・クリアランスが実施されず、製造指図記録書に記録されていなかった。

貴社は、貴社の作業を監査するコンサルタントを雇うと回答した。貴社の回答は、製品の製造における品

質部門の不十分な監督の影響に適切に取り組んでいない。

この文書における重要な指摘事項は、貴社の品質部門がその権限・責任を完全に果たせていないことを示

している。貴社は、その責任を果たし、医薬品の品質を一貫して保証するために適切な権限と十分なリソ

ースを持った品質部門を備えなければならない。

この文書への回答の中で、貴社の品質部門が効果的に機能するために権限とリソースを与えられているこ

とを保証するための是正処置・予防処置(CAPA)の独立した包括的なアセスメントを提出せよ。これらの

アセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含めよ。

・貴社で使用されている手順が安定していて適切であること

・手順を評価するための、品質部門の作業全体の監督に関する対策

・調査の監督と承認、及び、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための品質部門の他の職

務の放免

・貴社の独立したサードパーティの手順と、FDAの査察の指摘に基づく貴社のCGMP作業の評価報告

CGMPの規制要件21CFR Part210,211を満たすための品質システムとリスクマネジメントアプローチを実

装する助けとして、FDAのガイダンス文書“Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP

Regulations”を見よ。

3.貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するために

設計し文書化した手順と工程管理を制定することを怠った。

貴社は、貴社のOTC医薬品を製造するために使用する工程をバリデートしていなかった。例えば、貴社

は、工程の性能適格性評価を実施していなかった。貴社には、安定した製造作業と一貫した製品品質を保

証するための工程管理のモニタリングに関する継続的なプログラムが欠けていた。FDAの業界向けガイダ

ンス“Process Validation : General Principles and Practices”を見よ。

貴社の回答は、改善の分野を特定していた。しかし、貴社は、製品のライフサイクルを通じてバリデート

された工程を維持することを保証するための詳細な工程の運用手順と総合的なプログラムの提出を怠った

ので、貴社の回答は不十分である。さらに、貴社は、使用期限内にあるアメリカ市場に既に販売された製

品に関するリスクアセスメントの実施を怠り、回収ができなかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・貴社のバリデーション及び適格性評価の手順

・ロットのばらつきを最小化し、一貫した製品品質を保証するために、製品のライフサイクルを通じて、

 貴社の作業のばらつきの原因をどのようにモニタするかの説明

 貴社の製品の工程性能適格性評価の実施に関するタイムラインを含めよ。

4.貴社は、医薬品の安定性を評価するために設計された文書化された試験プログラムを制定し、適切な保管条件と使用期限を判断するために安定性試験の結果を使用することを怠った。

貴社は、設定された使用期限を通じて製品の化学及び微生物的特性が許容可能であることを示すための安

定性データを持っていなかった。例えば、貴社の最初の安定性試験では、使用期限を制定するために適切

な間隔で含有量と不純物に関する製品の分析を怠った。

この文書への回答の中で、貴社の安定性プログラムの適格性を保証するための包括的なアセスメントと

CAPAの計画を提出せよ。貴社のCAPAの計画には、これに限定されないが、以下のことを含めよ:

・貴社の安定性プログラムを述べた標準操作手順

・安定性を示す方法

・各安定性プログラムの間隔で試験されるべき特性

・出荷が許可される前の、各製品の容器密閉システムの安定性の研究

・品質保持期間が正当であるかどうかを判断するための、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追

加されるような継続的なプログラム

5.貴社は、権限を与えられた職員のみが製造指図記録の原本及びその他の記録の変更を行うことを保証するために、コンピュータ及び関連システムの適切な管理を行うことを怠った。

我々査察官は、原材料及びバッチのリリース試験に使用される試験室の装置にアクセス制限が欠けている

ことを発見した。例えば、貴社の試験室の職員は、HPLCに、上書き、削除、コピー、原材料の名前の変

更をする無制限のアクセス権を持っている。さらに、監査証跡がオフにされていて、レビュのために利用

できない。

貴社は回答の中で、新しいソフトウエアを購入し、既存のソフトウエアをアップグレードしたと述べたが

CGMP作業で使用されている全ての試験室のコンピュータ化システムで生成された全てのデータの包括的

なアセスメントと回顧的レビュを実施するという約束に欠けているので、貴社の回答は不十分である。

●データ・インテグリティの改善

貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を適切に保証していない。CGMPを遵守したデータ・インテグリティの手順を制定して遵守するためのガイダンスとして、FDAのガイダンス文書“Data Integrity and Compliance With Drug CGMP”を見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

A.アメリカに販売された医薬品に関するデータレビュの結果を含む、データレコードの不正確の範囲の包括的な調査

  貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。

B.貴社の医薬品の品質に発見された不具合の潜在的な影響に関する現在のリスクアセスメント

  貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷により患者に

引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきであ

る。

C.グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略

  是正処置の計画の詳細では、微生物及び分析のデータ、製造記録、FDAに提出された全てのデータを含む貴社により生成される全てのデータの信頼性と網羅性を貴社がいかに保証するつもりかを述べるべきである。

CGMPコンサルタントの適格性評価

我々は早くから貴社がコンサルタントを雇っていることに気付いていた。我々は、我々が貴社で確認した

違反の性質に基づき、貴社が、CGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている

適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようと

する前に、適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴

社の是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経

営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

●ラベル貼付の懸念

査察中に発行されたFDAForm483に対する貴社の回答の一部として、XXに関する改訂された製品ラベ

ルが提出された。

XXは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能に影響を与

えることを意図しているので医薬品にあたり、医薬品に対する全ての要件に従わなければならないが、以

下の点でそれを満たしていない。

Drug Factsがない

 ※Drug Factshttps://www.fda.gov/drugs/drug-information-consumers/otc-drug-facts-label

  をご参照ください

・ラベルに英語と韓国語で情報がのっている

 英語と他の言語のラベルは、21 CFR 201.15に従っている場合に許可されるが、そうでなければ虚偽か

誤解を招く表示となる。

●事業所登録と医薬品届出

FDAはアメリカ向けの医薬品の積み荷に関する登録と、貴社の事業所登録及び医薬品届出についての情報

をレビュした。このレビュで、貴社がFD&C Actが定める登録と届出を履行していないことが明らかにな

った。

我々の記録は、貴社が事業所登録を保持せずに、少なくとも2018年にアメリカへの輸入、もしくは輸入

用に提供するにXXの製造、調合、繁殖、合成、加工を続けたことを示している。さらに、医薬品届出の

情報がXXに提出されなかった。

FD&C Actにより、貴社はアメリカへの輸入、もしくは、輸入用に提供する医薬品XXの製造、調合、繁

殖、合成、加工のために所有または取引している海外の施設に関し、毎年、電子的な方法で登録情報を提

出することが求められている。

貴社はFD&C Act 510章で求められている通り、アメリカへ輸入、もしくは、輸入用に提供される、貴社

が製造する医薬品をリストに載せることを怠った。適切にリストに載せることを怠ることは、FD&C Act

502(o)の不正商標表示の状態にもなる。

医薬品がリストに載せられ、登録された施設で、製造・調合・繁殖・合成・加工されなければ、医薬品を

アメリカへ輸入もしくは輸入のために提供されることはできない。輸入者、荷主、荷受人が、製造された

施設の登録の提示ができなければ、FD&C Act 510章により、アメリカに輸入用に提供された医薬品の輸

入は許可されない。同様に、もし医薬品が不良もしくは不正商標表示であると思われれば、FD&C Act 801

(a)(3)により、輸入用に提供された医薬品の輸入は許可されない。

●結論

この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

FDA2019715日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/enprani-co-ltd-580548-08152019

 

WL:320-19-39 コスタリカの製造所の査察(2019/2/42019/2/8)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2019/8/22付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

1.貴社は、出荷前に、製品の各ロットについて、各有効成分の同一性・濃度を含む、最終規格に一致するかの試験室での判断の実施を怠った。

貴社は局所鎮痛剤、抗真菌剤、ニキビ薬、皮膚保護クリームとXXをアメリカ市場向けに製造している。

我々の査察で、貴社はアメリカ市場への出荷前に、各ロットが有効成分の同一性と濃度の規格を満たすか

の判断をするためのOTC医薬品の試験をしなかったことを発見した。

出荷前の完全な試験は、貴社が製造した製品が適切な規格を満たすかどうかを判断するために不可欠であ

る。

貴社は回答の中で、安定性の加速試験のために制定された分析方法を使って最終製品の中の有効成分の同

一性を試験するためにサードパーティの試験機関を使用するつもりであると述べた。また、貴社は、最終

製品の純度の試験を実施すためにサードパーティの試験機関と討議を始めたと伝えた。

貴社の回答は、手順、方法、または、サードパーティの試験機関が実施する試験(例:同一性、濃度、純

度)の詳細の記述を含むサードパーティに関する情報を含んでいなかったので、不十分である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ。

・ロットの処遇の判断をする前に貴社の製品の各ロットを分析するために用いられる分析試験方法と規格

のリスト

関連する文書化された手順も含めよ。

・アメリカに販売された全ての医薬品のロットの保管サンプルの回顧的試験結果のサマリ

 有効成分の同一性、濃度、その他の、化学及び微生物的特性に関する試験結果を含めよ。

 もし規格外のロットを出荷していたら、顧客への通知や製品回収といった貴社がとるつもりの是正処置

を示せ。

・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、分析者の能力の包括的で独立したレビュ

 このレビュに基づき、貴社の試験システムを完全に改善するための詳細な是正処置・予防処置(CAPA

を提出せよ。貴社の計画には、実施したCAPAの効果を評価するために貴社が使おうとしている手順を

含めるべきである。

・使用前に貴社の代わりに契約試験機関により実施される試験方法が適切にバリデートされていることを

保証するための貴社の手順

2.貴社は医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。貴社はまた、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性を確認することを怠った。

貴社は製造に使用される、入荷した有効成分やその他の原材料の同一性、純度、濃度、その他の品質特性

を判断するために試験をすることを怠った。代わりに貴社は、適切なバリデーションを通じて供給者の分

析の信頼性を確認することなく、成分の供給者の分析報告のみに基づいて製造に使用される原薬やその他

の原材料をリリースした。貴社は、各ロットに関し、少なくとも1つの同一性試験が実施されることを保

証しなかった。

貴社は回答の中で、簡単な方法を用いて原材料の同一性の試験をするつもりであると述べた。貴社は、社

内及び委託分析試験機関を通して、同一性試験を制定するために6ヶ月の猶予を要求した。我々は、供給

者の適格性評価プログラムを定めようとする貴社の試みを認める。

貴社は、製造に使用する前に求められる原材料の同一性試験を実施するまで、医薬品の製造を止める約束

をしなかったし、既にアメリカ市場に出荷された製品のリスクアセスメントを実施しなかったので、貴社

の回答は不十分である。貴社はまた、貴社の供給者の分析の信頼性を確認するための適切な手順を提出し

なかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。

・製造に使用する前に、各成分の入荷したロットの処遇を決定するために貴社が使うつもりである化学及

び微生物上の品質管理の規格

・貴社が各成分のロットの同一性、濃度、品質、純度に関する規格への一致をいかに試験するつもりかの

記述

 貴社が各成分のロットの純度、濃度、品質を試験する代わりに供給者の分析証明書(COA)の試験結果を

受け入れるつもりであれば、貴社が、初期のバリデーションを通じて、これらの属性に関する供給者の

試験結果の信頼性と一貫性をはじめにいかに確認するつもりであるかを述べよ。

・各成分の製造業者から得たCOAの信頼性を評価するために、全ての成分の完全な試験から得られた試験結果のサマリ

 このCOAのバリデーションプログラムの標準操作手順を含めよ。

・各供給者から得た全ての容器、蓋、成分が適切に評価されているかどうか、それらに使用期限またはリ

テスト日が適切に割り当てられているかどうか、不適切な容器、蓋、成分の使用を防ぐために入荷し

た原材料のロット管理が適切かどうかを判断するための、貴社の原材料システムの独立したレビュ

3.貴社は、製品が適切な安定性試験によって裏付けされた使用期限を持つことを保証することを怠った。

貴社は、適切な安定性プログラムを制定していなかった。ラベルに表示された3年の使用期限を通じて、

貴社のOTC医薬品が、化学的・物理的・微生物的属性が好ましい状態にあることを示すためのデータに

欠けている。

貴社は回答の中で、貴社の製品の1つのプロセスバリデーションのロットで加速安定性分析のみを実施し

たことを認め、サードパーティが製品Kの加速安定試験を実施するだろうが、貴社が既に販売したその他

の製品に関する試験は財務的制約により2020年まで完了しないと述べた。また、貴社は回答の中で、加

速安定性のための製品Kのプロセスバリデーションのサンプルは混合方法に技術的な問題があり、プロセ

スバリデーションの要件を立証するために新しい材料を準備する必要があるだろうと述べた。

貴社は、全ての関連する品質属性、許容可能な範囲を含む安定性試験の手順を提供することを怠り、貴社

の試験方法が適切な安定性を示すという保証を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。さら

に、貴社は、販売された医薬品が、ラベルに表示された使用期間を通し、品質属性を維持することを保証

するためにとるいかなるアクションも示さなかった。貴社はまた、工程のPQ手順の詳細と、製品のライ

フサイクルを通じてバリデートされた工程の維持を保証するためのプロラムを提出しなかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:

・安定性のプログラムの適格性を保守するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画

 貴社のCAPAの計画には、これに限定されないが、以下の情報を含むべきである。

 ○貴社の安定性プログラムを述べた改訂されたSOP

  ○安定性を示す方法

  ○出荷が許可される前の、容器密閉システムにおける各医薬品の安定性の研究

  ○保管期間の範囲が妥当であるかどうかを判断するために、各製品の各ロットが毎年プログラムに追加されるような継続的なプログラム

 ○各工程で、試験される特定の属性

  ○製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するためのバリデーションプラン

   貴社の各製品について、適切な工程のPQPPQ)を実施するためのタイムラインを含めよ。

   継続的な管理状態を保証するためのバッチ間のばらつきをモニタリングするための貴社のプログラムについて述べよ。

   FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチに関するFDAのガイダンス文書“Process Validation : General Principles and Practice”を見よ。

4.貴社は、装置の洗浄と維持に関する文書化された手順を制定してそれに従うことを怠った。

貴社は、製品間の交叉汚染を防ぐためのバリデートされた洗浄手順もなしに、複数の局所用OTC医薬品の製造をするために非専用装置を使用している。さらに、貴社の装置の洗浄手順は、一貫して効果的な洗浄をするための詳細に欠けている。

貴社は回答の中で、貴社の改訂された装置の洗浄手順のコピーを提供し、洗浄バリデーションが完了していなかったことを認めた。

貴社は、共有の製造装置に関する洗浄バリデーションの手順とその実施を完了するためのタイムフレーム

を提出することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。回答の中で提出された改訂された装置の洗浄

手順も、詳細のレベルで不十分である。

この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。

・複数製品の製造に使用される製造装置のそれぞれの洗浄手順と実施とバリデーションを評価するための

包括的な計画

・貴社の洗浄手順が効果的であることを保証するための洗浄バリデーションの戦略に関する科学的な論理

的根拠

・貴社の洗浄バリデーションの手順のコピー

・新しい製品・工程・装置に関する洗浄手順の検証とバリデーションに関し、適切なプログラムが実施さ

れていることを保証する改訂されたSOPのサマリ

●品質システムのガイダンス

貴社の品質システムは不適切である。CGMPの規制要件21CFR 210章、211章の要件を満たすために品

質システムとリスクマネジメントアプローチを実装するための助けとして、FDAのガイダンス文書

Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations”を見よ。

CGMPコンサルタントの適格性評価

我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向けに医薬品の製造を再開するつ

もりであれば、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている適格なコ

ンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようとする前

に、適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社の是

正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経

営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

●繰り返される査察の観察結果

FDA20174月の査察において、同様のCGMP違反を挙げた。貴社は、回答の中で、これらの違反につ

いての具体的な改善を提案した。繰り返される不具合は、医薬品の製造に関する経営陣の監督と管理が不

適切であることを示している。

●未承認の新薬と虚偽表示の容疑

製品Bは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能に影響

を与えることを意図しているので医薬品にあたり、特にこの製品は、外用の鎮痛剤としての使用を目的と

しているが、条件を満たしていない。

FDAは、臨床試験が、製品Bがラベルに示した通りに安全で効果的であると評価されたことを認識してい

ないし、同様のOTC医薬品が、OTC医薬品レビュの開始時または開始前にアメリカ市場で利用可能だとい

うことを認識していない。

以上のことから、製品BFD&C Act201(p)章内の新薬にあたる。新薬はFD&C Act505章のもと

で、FDAに新薬として承認されないと導入されたり、導入のために配送されたりしてはならない。

また、製品Bのラベルは、21 CFR 201.61章で求められる記述を怠っているので、虚偽表示にあたる。

製品kは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能に影響

を与えることを意図しているので医薬品にあたり、特にこの製品は、爪の局所用抗真菌薬としての使用を

目的としている。21 CFR 310.545(1)(22)(iii)のもとで、頭皮や爪用の製品は、FD&C Act201(p)章内

の新薬にあたり、承認が必要となるが承認がないため、21 CFR 355(a)505(a)に違反する。

製品Kは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能に影響

を与えることを意図しているので医薬品にあたり、特にこの製品は、外用のニキビ薬としての使用を目的

している。外用のニキビ薬は、FD&C Act502章の要件に従わないといけないが、要件を満たしていな

い。

●結論

この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

FDA2019711日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

出典: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/polimeros-y-servicios-sa-586323-08222019

 

WL:320-19-40 中国の製造所は、計画されていた承認前査察(2018/11/292018/12/4)を拒絶した。

貴社は、原薬の特性評価・複数の新薬の簡略承認申請を裏付けるための同一性試験を提供する委託試験機関としてリストアップされている。

FD&C ACT 21 U.S.C.351(j)501(j)に基づき、もし、医薬品が施設内で製造・加工・包装・保管され、

オーナ、作業者、エージェントが査察を遅延させる・認めない・制限する・拒絶する場合、医薬品は不良とみなされる。

FDAが貴社の設備の査察を認められ、CGMPを遵守していると確認するまで、貴社のオフィスは、医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認の保留が勧告される。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/shanghai-institute-pharmaceutical-industry-574821-08292019

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
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いかがでしたでしょうか。

 

今回の3件のウォーニングレターのうちの2件には、安定性管理の不備に関する指摘が含まれていました。製造までの品質管理に比べて、安定性の管理は、どうしても手薄になりがちではないでしょうか。

今回のFDAの指摘内容を参考にしていただければ幸いです。

 

次回は、11/15(金)に配信させていただきます。

2019.11.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<181号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM
通信担当の橋本奈央子です。

 

巨大な台風に、1ヶ月分の雨が半日で降ってしまうような豪雨と、災害が続いていますが、皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて、今回も、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から製薬会社向けに出されたウォーニングレター(3)について見ていきたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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WL:320-19-38 韓国の製造所の査察(2019/3/112019/3/15)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2019/8/15付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

CGMP違反

1.貴社は、出荷前に、製品の各ロットについて、各有効成分の同一性・濃度を含む、最終規格に一致するかの試験室での判断の実施を怠った

貴社は、少なくとも製品XXに使用される有効成分XXの同一性・濃度の試験をせずに、XXを含む複数の

OTC医薬品をアメリカ市場向けに出荷した。貴社は、2017年から2018年に製造された少なくともXXロッ

トは、含有量、鉛、ヒ素の試験を満たしていたと報告した。しかし、これらの試験結果に関するローデー

タは、査察中レビュに利用できなかった。

貴社の職員は、含有量に関しそれまでに一貫して合格の結果を得ていたため、2017915日以降、XX

の試験を止めたことを認めた。各ロットの試験をしなければ、貴社は出荷前にアメリカ市場向けの全ての

製品が規格を満たすという科学的なエビデンスを持っていない。

貴社は回答の中で、アメリカの提携企業に売ったOTC医薬品XXを回収し、これらの分析をすることを約

束したと述べた。貴社は、貴社の製品が適切であることを分析するために用いた方法を示す文書を提供で

きなかったので、貴社の回答は不十分である。貴社は、委託試験機関XXを使用するつもりであると述

べた。しかし、貴社は、商用の出荷試験の実施のためにXXの適格性評価をどのように実施するかの詳細

を提出しなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・ロットの処遇を決める決定をする前に各製品のロットの分析に使用される化学及び微生物の試験方法

のリストと、それに関連する文書化された手順

・完了した、化学及び微生物の分析方法のバリデーション、装置のバリデーション、改訂された試験方法

 ロットの処遇を決める決定前に製品が一致しなければならない規格も提出せよ。

・アメリカに販売され使用期限内にある全ての製品の保管サンプルの試験から得られた試験結果のサマ

 リ

 これらの試験結果には、有効成分の同一性、濃度、その他全ての化学及び微生物的品質特性を含めなけ

ればならない

・製品の回収されたロットの処遇に関する情報(例:破壊の記録)

2.貴社は、全ての成分、容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の合格・不合格を判断する責任と権限を持った適切な品質管理部門の制定を怠った。

査察中、我々査察官は、貴社の品質部門が、貴社のOTC医薬品の製造に関し監督不足であることを発見し

た。例えば:

・貴社の品質部門は、リリース判断をする前に、ローデータと精度の計算を含む、全てのバッチレコード

のレビュを怠っていた。

・貴社のバッチレコードは、値が記録される前に、分析結果が規格内であることを示す“承認済”の文字

が印刷されていた。

・ラベルのレビュとライン・クリアランスが実施されず、製造指図記録書に記録されていなかった。

貴社は、貴社の作業を監査するコンサルタントを雇うと回答した。貴社の回答は、製品の製造における品

質部門の不十分な監督の影響に適切に取り組んでいない。

この文書における重要な指摘事項は、貴社の品質部門がその権限・責任を完全に果たせていないことを示

している。貴社は、その責任を果たし、医薬品の品質を一貫して保証するために適切な権限と十分なリソ

ースを持った品質部門を備えなければならない。

この文書への回答の中で、貴社の品質部門が効果的に機能するために権限とリソースを与えられているこ

とを保証するための是正処置・予防処置(CAPA)の独立した包括的なアセスメントを提出せよ。これらの

アセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含めよ。

・貴社で使用されている手順が安定していて適切であること

・手順を評価するための、品質部門の作業全体の監督に関する対策

・調査の監督と承認、及び、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための品質部門の他の職

務の放免

・貴社の独立したサードパーティの手順と、FDAの査察の指摘に基づく貴社のCGMP作業の評価報告

CGMPの規制要件21CFR Part210,211を満たすための品質システムとリスクマネジメントアプローチを実

装する助けとして、FDAのガイダンス文書“Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP

Regulations”を見よ。

3.貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するために

設計し文書化した手順と工程管理を制定することを怠った。

貴社は、貴社のOTC医薬品を製造するために使用する工程をバリデートしていなかった。例えば、貴社

は、工程の性能適格性評価を実施していなかった。貴社には、安定した製造作業と一貫した製品品質を保

証するための工程管理のモニタリングに関する継続的なプログラムが欠けていた。FDAの業界向けガイダ

ンス“Process Validation : General Principles and Practices”を見よ。

貴社の回答は、改善の分野を特定していた。しかし、貴社は、製品のライフサイクルを通じてバリデート

された工程を維持することを保証するための詳細な工程の運用手順と総合的なプログラムの提出を怠った

ので、貴社の回答は不十分である。さらに、貴社は、使用期限内にあるアメリカ市場に既に販売された製

品に関するリスクアセスメントの実施を怠り、回収ができなかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・貴社のバリデーション及び適格性評価の手順

・ロットのばらつきを最小化し、一貫した製品品質を保証するために、製品のライフサイクルを通じて、

 貴社の作業のばらつきの原因をどのようにモニタするかの説明

 貴社の製品の工程性能適格性評価の実施に関するタイムラインを含めよ。

4.貴社は、医薬品の安定性を評価するために設計された文書化された試験プログラムを制定し、適切な保管条件と使用期限を判断するために安定性試験の結果を使用することを怠った。

貴社は、設定された使用期限を通じて製品の化学及び微生物的特性が許容可能であることを示すための安

定性データを持っていなかった。例えば、貴社の最初の安定性試験では、使用期限を制定するために適切

な間隔で含有量と不純物に関する製品の分析を怠った。

この文書への回答の中で、貴社の安定性プログラムの適格性を保証するための包括的なアセスメントと

CAPAの計画を提出せよ。貴社のCAPAの計画には、これに限定されないが、以下のことを含めよ:

・貴社の安定性プログラムを述べた標準操作手順

・安定性を示す方法

・各安定性プログラムの間隔で試験されるべき特性

・出荷が許可される前の、各製品の容器密閉システムの安定性の研究

・品質保持期間が正当であるかどうかを判断するための、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追

加されるような継続的なプログラム

5.貴社は、権限を与えられた職員のみが製造指図記録の原本及びその他の記録の変更を行うことを保証するために、コンピュータ及び関連システムの適切な管理を行うことを怠った。

我々査察官は、原材料及びバッチのリリース試験に使用される試験室の装置にアクセス制限が欠けている

ことを発見した。例えば、貴社の試験室の職員は、HPLCに、上書き、削除、コピー、原材料の名前の変

更をする無制限のアクセス権を持っている。さらに、監査証跡がオフにされていて、レビュのために利用

できない。

貴社は回答の中で、新しいソフトウエアを購入し、既存のソフトウエアをアップグレードしたと述べたが

CGMP作業で使用されている全ての試験室のコンピュータ化システムで生成された全てのデータの包括的

なアセスメントと回顧的レビュを実施するという約束に欠けているので、貴社の回答は不十分である。

●データ・インテグリティの改善

貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を適切に保証していない。CGMPを遵守したデータ・インテグリティの手順を制定して遵守するためのガイダンスとして、FDAのガイダンス文書“Data Integrity and Compliance With Drug CGMP”を見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

A.アメリカに販売された医薬品に関するデータレビュの結果を含む、データレコードの不正確の範囲の包括的な調査

  貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。

B.貴社の医薬品の品質に発見された不具合の潜在的な影響に関する現在のリスクアセスメント

  貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷により患者に

引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきであ

る。

C.グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略

  是正処置の計画の詳細では、微生物及び分析のデータ、製造記録、FDAに提出された全てのデータを含む貴社により生成される全てのデータの信頼性と網羅性を貴社がいかに保証するつもりかを述べるべきである。

CGMPコンサルタントの適格性評価

我々は早くから貴社がコンサルタントを雇っていることに気付いていた。我々は、我々が貴社で確認した

違反の性質に基づき、貴社が、CGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている

適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようと

する前に、適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴

社の是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経

営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

●ラベル貼付の懸念

査察中に発行されたFDAForm483に対する貴社の回答の一部として、XXに関する改訂された製品ラベ

ルが提出された。

XXは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能に影響を与

えることを意図しているので医薬品にあたり、医薬品に対する全ての要件に従わなければならないが、以

下の点でそれを満たしていない。

Drug Factsがない

 ※Drug Factshttps://www.fda.gov/drugs/drug-information-consumers/otc-drug-facts-label

  をご参照ください

・ラベルに英語と韓国語で情報がのっている

 英語と他の言語のラベルは、21 CFR 201.15に従っている場合に許可されるが、そうでなければ虚偽か

誤解を招く表示となる。

●事業所登録と医薬品届出

FDAはアメリカ向けの医薬品の積み荷に関する登録と、貴社の事業所登録及び医薬品届出についての情報

をレビュした。このレビュで、貴社がFD&C Actが定める登録と届出を履行していないことが明らかにな

った。

我々の記録は、貴社が事業所登録を保持せずに、少なくとも2018年にアメリカへの輸入、もしくは輸入

用に提供するにXXの製造、調合、繁殖、合成、加工を続けたことを示している。さらに、医薬品届出の

情報がXXに提出されなかった。

FD&C Actにより、貴社はアメリカへの輸入、もしくは、輸入用に提供する医薬品XXの製造、調合、繁

殖、合成、加工のために所有または取引している海外の施設に関し、毎年、電子的な方法で登録情報を提

出することが求められている。

貴社はFD&C Act 510章で求められている通り、アメリカへ輸入、もしくは、輸入用に提供される、貴社

が製造する医薬品をリストに載せることを怠った。適切にリストに載せることを怠ることは、FD&C Act

502(o)の不正商標表示の状態にもなる。

医薬品がリストに載せられ、登録された施設で、製造・調合・繁殖・合成・加工されなければ、医薬品を

アメリカへ輸入もしくは輸入のために提供されることはできない。輸入者、荷主、荷受人が、製造された

施設の登録の提示ができなければ、FD&C Act 510章により、アメリカに輸入用に提供された医薬品の輸

入は許可されない。同様に、もし医薬品が不良もしくは不正商標表示であると思われれば、FD&C Act 801

(a)(3)により、輸入用に提供された医薬品の輸入は許可されない。

●結論

この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

FDA2019715日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/enprani-co-ltd-580548-08152019

 

WL:320-19-39 コスタリカの製造所の査察(2019/2/42019/2/8)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2019/8/22付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

1.貴社は、出荷前に、製品の各ロットについて、各有効成分の同一性・濃度を含む、最終規格に一致するかの試験室での判断の実施を怠った。

貴社は局所鎮痛剤、抗真菌剤、ニキビ薬、皮膚保護クリームとXXをアメリカ市場向けに製造している。

我々の査察で、貴社はアメリカ市場への出荷前に、各ロットが有効成分の同一性と濃度の規格を満たすか

の判断をするためのOTC医薬品の試験をしなかったことを発見した。

出荷前の完全な試験は、貴社が製造した製品が適切な規格を満たすかどうかを判断するために不可欠であ

る。

貴社は回答の中で、安定性の加速試験のために制定された分析方法を使って最終製品の中の有効成分の同

一性を試験するためにサードパーティの試験機関を使用するつもりであると述べた。また、貴社は、最終

製品の純度の試験を実施すためにサードパーティの試験機関と討議を始めたと伝えた。

貴社の回答は、手順、方法、または、サードパーティの試験機関が実施する試験(例:同一性、濃度、純

度)の詳細の記述を含むサードパーティに関する情報を含んでいなかったので、不十分である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ。

・ロットの処遇の判断をする前に貴社の製品の各ロットを分析するために用いられる分析試験方法と規格

のリスト

関連する文書化された手順も含めよ。

・アメリカに販売された全ての医薬品のロットの保管サンプルの回顧的試験結果のサマリ

 有効成分の同一性、濃度、その他の、化学及び微生物的特性に関する試験結果を含めよ。

 もし規格外のロットを出荷していたら、顧客への通知や製品回収といった貴社がとるつもりの是正処置

を示せ。

・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、分析者の能力の包括的で独立したレビュ

 このレビュに基づき、貴社の試験システムを完全に改善するための詳細な是正処置・予防処置(CAPA

を提出せよ。貴社の計画には、実施したCAPAの効果を評価するために貴社が使おうとしている手順を

含めるべきである。

・使用前に貴社の代わりに契約試験機関により実施される試験方法が適切にバリデートされていることを

保証するための貴社の手順

2.貴社は医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。貴社はまた、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性を確認することを怠った。

貴社は製造に使用される、入荷した有効成分やその他の原材料の同一性、純度、濃度、その他の品質特性

を判断するために試験をすることを怠った。代わりに貴社は、適切なバリデーションを通じて供給者の分

析の信頼性を確認することなく、成分の供給者の分析報告のみに基づいて製造に使用される原薬やその他

の原材料をリリースした。貴社は、各ロットに関し、少なくとも1つの同一性試験が実施されることを保

証しなかった。

貴社は回答の中で、簡単な方法を用いて原材料の同一性の試験をするつもりであると述べた。貴社は、社

内及び委託分析試験機関を通して、同一性試験を制定するために6ヶ月の猶予を要求した。我々は、供給

者の適格性評価プログラムを定めようとする貴社の試みを認める。

貴社は、製造に使用する前に求められる原材料の同一性試験を実施するまで、医薬品の製造を止める約束

をしなかったし、既にアメリカ市場に出荷された製品のリスクアセスメントを実施しなかったので、貴社

の回答は不十分である。貴社はまた、貴社の供給者の分析の信頼性を確認するための適切な手順を提出し

なかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。

・製造に使用する前に、各成分の入荷したロットの処遇を決定するために貴社が使うつもりである化学及

び微生物上の品質管理の規格

・貴社が各成分のロットの同一性、濃度、品質、純度に関する規格への一致をいかに試験するつもりかの

記述

 貴社が各成分のロットの純度、濃度、品質を試験する代わりに供給者の分析証明書(COA)の試験結果を

受け入れるつもりであれば、貴社が、初期のバリデーションを通じて、これらの属性に関する供給者の

試験結果の信頼性と一貫性をはじめにいかに確認するつもりであるかを述べよ。

・各成分の製造業者から得たCOAの信頼性を評価するために、全ての成分の完全な試験から得られた試験結果のサマリ

 このCOAのバリデーションプログラムの標準操作手順を含めよ。

・各供給者から得た全ての容器、蓋、成分が適切に評価されているかどうか、それらに使用期限またはリ

テスト日が適切に割り当てられているかどうか、不適切な容器、蓋、成分の使用を防ぐために入荷し

た原材料のロット管理が適切かどうかを判断するための、貴社の原材料システムの独立したレビュ

3.貴社は、製品が適切な安定性試験によって裏付けされた使用期限を持つことを保証することを怠った。

貴社は、適切な安定性プログラムを制定していなかった。ラベルに表示された3年の使用期限を通じて、

貴社のOTC医薬品が、化学的・物理的・微生物的属性が好ましい状態にあることを示すためのデータに

欠けている。

貴社は回答の中で、貴社の製品の1つのプロセスバリデーションのロットで加速安定性分析のみを実施し

たことを認め、サードパーティが製品Kの加速安定試験を実施するだろうが、貴社が既に販売したその他

の製品に関する試験は財務的制約により2020年まで完了しないと述べた。また、貴社は回答の中で、加

速安定性のための製品Kのプロセスバリデーションのサンプルは混合方法に技術的な問題があり、プロセ

スバリデーションの要件を立証するために新しい材料を準備する必要があるだろうと述べた。

貴社は、全ての関連する品質属性、許容可能な範囲を含む安定性試験の手順を提供することを怠り、貴社

の試験方法が適切な安定性を示すという保証を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。さら

に、貴社は、販売された医薬品が、ラベルに表示された使用期間を通し、品質属性を維持することを保証

するためにとるいかなるアクションも示さなかった。貴社はまた、工程のPQ手順の詳細と、製品のライ

フサイクルを通じてバリデートされた工程の維持を保証するためのプロラムを提出しなかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:

・安定性のプログラムの適格性を保守するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画

 貴社のCAPAの計画には、これに限定されないが、以下の情報を含むべきである。

 ○貴社の安定性プログラムを述べた改訂されたSOP

  ○安定性を示す方法

  ○出荷が許可される前の、容器密閉システムにおける各医薬品の安定性の研究

  ○保管期間の範囲が妥当であるかどうかを判断するために、各製品の各ロットが毎年プログラムに追加されるような継続的なプログラム

 ○各工程で、試験される特定の属性

  ○製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するためのバリデーションプラン

   貴社の各製品について、適切な工程のPQPPQ)を実施するためのタイムラインを含めよ。

   継続的な管理状態を保証するためのバッチ間のばらつきをモニタリングするための貴社のプログラムについて述べよ。

   FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチに関するFDAのガイダンス文書“Process Validation : General Principles and Practice”を見よ。

4.貴社は、装置の洗浄と維持に関する文書化された手順を制定してそれに従うことを怠った。

貴社は、製品間の交叉汚染を防ぐためのバリデートされた洗浄手順もなしに、複数の局所用OTC医薬品の製造をするために非専用装置を使用している。さらに、貴社の装置の洗浄手順は、一貫して効果的な洗浄をするための詳細に欠けている。

貴社は回答の中で、貴社の改訂された装置の洗浄手順のコピーを提供し、洗浄バリデーションが完了していなかったことを認めた。

貴社は、共有の製造装置に関する洗浄バリデーションの手順とその実施を完了するためのタイムフレーム

を提出することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。回答の中で提出された改訂された装置の洗浄

手順も、詳細のレベルで不十分である。

この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。

・複数製品の製造に使用される製造装置のそれぞれの洗浄手順と実施とバリデーションを評価するための

包括的な計画

・貴社の洗浄手順が効果的であることを保証するための洗浄バリデーションの戦略に関する科学的な論理

的根拠

・貴社の洗浄バリデーションの手順のコピー

・新しい製品・工程・装置に関する洗浄手順の検証とバリデーションに関し、適切なプログラムが実施さ

れていることを保証する改訂されたSOPのサマリ

●品質システムのガイダンス

貴社の品質システムは不適切である。CGMPの規制要件21CFR 210章、211章の要件を満たすために品

質システムとリスクマネジメントアプローチを実装するための助けとして、FDAのガイダンス文書

Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations”を見よ。

CGMPコンサルタントの適格性評価

我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向けに医薬品の製造を再開するつ

もりであれば、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている適格なコ

ンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようとする前

に、適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社の是

正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経

営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

●繰り返される査察の観察結果

FDA20174月の査察において、同様のCGMP違反を挙げた。貴社は、回答の中で、これらの違反につ

いての具体的な改善を提案した。繰り返される不具合は、医薬品の製造に関する経営陣の監督と管理が不

適切であることを示している。

●未承認の新薬と虚偽表示の容疑

製品Bは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能に影響

を与えることを意図しているので医薬品にあたり、特にこの製品は、外用の鎮痛剤としての使用を目的と

しているが、条件を満たしていない。

FDAは、臨床試験が、製品Bがラベルに示した通りに安全で効果的であると評価されたことを認識してい

ないし、同様のOTC医薬品が、OTC医薬品レビュの開始時または開始前にアメリカ市場で利用可能だとい

うことを認識していない。

以上のことから、製品BFD&C Act201(p)章内の新薬にあたる。新薬はFD&C Act505章のもと

で、FDAに新薬として承認されないと導入されたり、導入のために配送されたりしてはならない。

また、製品Bのラベルは、21 CFR 201.61章で求められる記述を怠っているので、虚偽表示にあたる。

製品kは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能に影響

を与えることを意図しているので医薬品にあたり、特にこの製品は、爪の局所用抗真菌薬としての使用を

目的としている。21 CFR 310.545(1)(22)(iii)のもとで、頭皮や爪用の製品は、FD&C Act201(p)章内

の新薬にあたり、承認が必要となるが承認がないため、21 CFR 355(a)505(a)に違反する。

製品Kは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図している、かつ/または、体の構造や機能に影響

を与えることを意図しているので医薬品にあたり、特にこの製品は、外用のニキビ薬としての使用を目的

している。外用のニキビ薬は、FD&C Act502章の要件に従わないといけないが、要件を満たしていな

い。

●結論

この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

FDA2019711日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

出典: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/polimeros-y-servicios-sa-586323-08222019

 

WL:320-19-40 中国の製造所は、計画されていた承認前査察(2018/11/292018/12/4)を拒絶した。

貴社は、原薬の特性評価・複数の新薬の簡略承認申請を裏付けるための同一性試験を提供する委託試験機関としてリストアップされている。

FD&C ACT 21 U.S.C.351(j)501(j)に基づき、もし、医薬品が施設内で製造・加工・包装・保管され、

オーナ、作業者、エージェントが査察を遅延させる・認めない・制限する・拒絶する場合、医薬品は不良とみなされる。

FDAが貴社の設備の査察を認められ、CGMPを遵守していると確認するまで、貴社のオフィスは、医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認の保留が勧告される。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/shanghai-institute-pharmaceutical-industry-574821-08292019

 

 

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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

 

今回の3件のウォーニングレターのうちの2件には、安定性管理の不備に関する指摘が含まれていました。製造までの品質管理に比べて、安定性の管理は、どうしても手薄になりがちではないでしょうか。

今回のFDAの指摘内容を参考にしていただければ幸いです。

 

次回は、11/15(金)に配信させていただきます。