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2019.12.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<184号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
株式会社プロス
太田和宏様
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今年も残り少なくなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回も、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(3件)
について見ていきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-20-04■
バハマの製造所の査察(2019/5/20~2019/5/24)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反
に関する2019/10/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つことを
保証するために設計した製造と工程管理に関して文書化した手順を定めることを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、請負で、毒性成分XXから得られるホメオパシー医薬品XXを製造している。貴社は、貴社
の製造工程が、それが持つとされる品質や安全性を持つホメオパシー医薬品を製造できることを
示す適切なプロセスバリデーションのデータもなく、アメリカにこのホメオパシー医薬品を販売
した。
特に、貴社のデータは、貴社の製造した医薬品が製品ラベルに明記された濃度であることを裏付
けていない。貴社は、最終製品の濃度を裏付けるデータに関してFDAの査察官に質問された時、
正当な説明を提出できなかった。貴社は、情報を得るために顧客XXに連絡をした。
査察中、貴社は顧客XXから、貴社の製造所で使用されている製造工程は、最終的にXXmcg/mLの
溶液濃度を生産するだろうという文書を受け取った。この濃度はおおよそ、ホメオパシーの
希釈物XXと同等である。しかし、貴社が販売した医薬品に貼られているラベルは、XXとなって
いる。これは、貴社が有効成分濃度が10進数でXX桁、または、XX倍の医薬品を製造していること
を意味する。貴社は、貴社が販売したホメオパシー医薬品の毒性成分XXに関する本当の濃度を
知らなかった。貴社のForm FDA 483に対する回答は、貴社が現在アメリカ市場向けに医薬品を
製造していないと述べていたので、我々は貴社が今後アメリカ市場向けに製品を製造することは
考えにくいと認識している。FDAは2019年9月25日に貴社に輸入警告措置66-40をとった。
もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりなら、この文書の回答の中で以下
の情報を提供せよ。
・製品のライフサイクルを通して、関連する手順と共に管理状態を保証するためのバリデー
ション計画の詳細
貴社の工程の性能適格性評価(PPQ)と、管理状態が継続していることを保証するための
ロット間及びロット内のばらつきの継続的なモニタリングに関する貴社のプログラムについて
述べよ。
・各製品に関し適切なPPQを実施するためのタイムライン
・継続的な管理状態を保証するためのロット間及びロット内のばらつきの慎重なモニタリングを
含む、各製造工程の設計、バリデーション、維持、コントロール、モニタリングに関する詳細
なプログラム
・貴社の製造工程が適切な規格と製造の基準を一貫して満たすように、全てのばらつきを特定し
管理するデータ駆動型で科学的に理にかなったプログラムがあることを保証するための製造
工程のアセスメント
アセスメントには、これに限定されないが、装置の使用目的への適合性の評価、貴社のモニタ
リングと試験のシステムの検出能力の十分性、入荷原料の品質、各製造工程のステップと
コントロールを含めよ。
●指摘2
貴社は医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。
また貴社は、適切な間隔で、貴社の成分供給者の分析試験の信頼性をバリデートし証明すること
を怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、毒性成分XXを含む成分を、最終製品XXを製造するために製品のオーナから受け取った。
しかし、貴社は、製造に使用するために成分のリリースに先立ち同一性試験を実施しなかった。
さらに貴社は、適切なバリデーションを通じて供給者の分析の信頼性を確認せずにXXを含む成分
に関する分析証明書(COA)の結果を使用した。
21 CFR 211.84(d)(2)のもとでは、成分の同一性を確認するために供給者のCOAを信頼してはいけ
ない。
さらに、貴社は、XXの溶液XXに関し、供給者からCOAや適合証明書を受け取っていない。
もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりなら、この文書の回答の中で以下
の情報を提供せよ。
・貴社が入荷した成分の各ロットを試験しリリースするために使用する化学及び微生物の品質
管理の規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致に関し、成分のロットをいかに試験
するつもりかの記述
もし貴社が濃度、品質、純度に関し、成分のロットの試験をする代わりに供給者のCOAの結果を
受け入れるつもりなら、貴社が初期のバリデーションと、定期的な再バリデーションを通じて、
いかに供給者の分析結果の信頼性をしっかりと確認するかを明確に述べよ。更に、入荷した
成分のロットについて、少なくとも1つの同一性試験を常に実施する誓約を含めよ。
・各成分の製造業者から得られたCOAの信頼性を評価するための、全成分の試験から得られた結果
のサマリ
COAのバリデーションプログラムを述べた標準操作手順書(SOP)を含めよ。
・貴社が製造した製品を試験する契約設備の適格性評価をし、監督をするための貴社の手順の
サマリ
・成分、容器、蓋の全ての供給者がそれぞれ適格性評価をされ、原材料は適切な使用期限と
リテスト日付が割り当てられているかを判断するための原材料システムの包括的で独立した
レビュ
レビュには、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために入荷した原材料の管理が適切である
かどうかの判断もすべきである。
●指摘3
貴社は、契約のもとで他社で製造された製造、加工、包装された医薬品を含む、全ての成分、
医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の承認・不承認を行う責任と権限を
持った適切な品質管理部門と、その品質管理部門に適用可能な手順を制定することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社には、製造活動に関係する役割と責任を保証するために、個々の部門に関して詳細が記述
された文書化されたSOPが欠如していた。
全てのシステム(設備、装置、原材料、製造、試験管理、包装、ラベリング)に関連する貴社の
作業が適切に計画され、承認され、実施され、モニタされていることを保証することと、最終的
に、貴社がよい品質の製品を一貫して製造できることを保証するために、適切な品質部門の制定
は不可欠である。
もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりなら、品質部門が効果的に機能
するための権限とリソースが与えられていることを保証するために、包括的なアセスメントと
改善計画を提出せよ。
アセスメントには、これに限定されないが下記のことも含めよ。
・貴社で使われている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
・適切な手順の順守を評価するための、品質部門による貴社の作業全体の監督に関する情報の
提供
・品質部門のロットの処遇の判断前の、各ロットとそれに関連する情報の完結した最終的な
レビュ
・品質部門の調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための
品質部門のその他の職務からの解放
21 CFR のPart210と211の要件を満たすための品質システムとリスクマネジメントアプローチを
実装する助けとして、FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の
製造を再開
するつもりなら、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている
適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
また我々は適格性のあるコンサルタント雨がCGMP順守に関し、貴社の作業全体の包括的な監査
を実施し、貴社がFDAとコンプライアンス状態を解決しようとする前に、コンサルタントが貴社
の是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社がアメリカ向けの医薬品の製造と出荷を再開するつもりなら、システム的な改善と、
グローバルなアセスメントと、貴社の製造作業の改善を含む包括的な是正処置を提出すべきで
ある。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
貴社の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任
が残る。
●受託業者としての責任
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が、製造設備、
試験機関、包装、ラベル貼りのように、独立した受託業者を使用していることを知っている。
FDAは受託業者を製造業者の延長としてみなす。
貴社はプロダクトオーナーとの契約の有無に関わらず、受託製造所として、貴社が製造する
医薬品の品質に責任がある。貴社には、医薬品が安全性、同一性、濃度、品質、純度に関し、
FD&C Actの501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証する必要がある。FDAのガイダンス
文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年9月25日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品
製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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■WL:320-20-06■
アメリカの製造所の査察(2019/5/27~2019/6/5)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2019/11/5付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
原材料の入荷、識別、試験、取扱いに関する文書化された手順の不履行
<指摘1詳細>
貴社の原材料の入荷、識別、試験、取扱いに関する手順は、N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)と
N‐ニトロソジエチルアミン(NDEA)のようなニトロソアミンの不純物による汚染及び交叉汚染の防止
を含む、製造に使用される原材料の適合性を保証するために不適切である。貴社は原薬製造工程の
アセスメントに基づき、NDMA及びNDEAの不純物の存在を予想していなかった。
貴社は、ロットの大多数で限界値を超えたレベルでNDEAの汚染を含んでいると判断された試験の後、
2018年12月までに貴社のバルサルタン原薬のロットを全て回収した。貴社の2018年11月21日付の
調査及び2019年1月1日付の添付書類は、回収された溶媒XXからNDEAの汚染が生じたと結論づけた。
ニトロソアミンの汚染に関する貴社の調査で、他の回収溶媒XXも貴社の定めた限界値である0.08ppm
の40倍以上の3.38ppmのNDEAを含んでいることを発見した。適切な科学的に正当な理由もなく、
貴社は、高いレベルのNDEAを含む回収された溶媒XXは、貴社の原薬のNDEAの著しいレベルの原因
ではないと結論づけた。
さらに貴社は、低いレベルのNDMAを貴社のパルサルタン原薬内で発見した。貴社は、このニトロ
ソアミンの不純物は、回収された汚染溶媒XXを経由して取り込まれたと結論づけた。特に貴社は
2019年9月13日にFDAに提出したField Alert Report(FAR)の中で、不合格にしたバルサルタン原薬
の中で発見されたニトロソアミンの汚染の1つの有力な根本原因は、0.629ppmと同等のレベルの
ニトロソアミンを含む回収溶媒XXだと述べた。
貴社は、複数の外部の委託製造業者から得たXXを含むXXやXXなどの回収溶媒を使用していた。
2019年1月に貴社はXXからの全てのバルサルタン関連の原材料の調達を制限し、2019年3月に貴社は
承認された製造リストからXXを除去した。顧客に供給した溶媒のニトロソアミンの不純物の汚染に
つながる不適切な溶媒回収作業を含むCGMPの不備により、FDAはXXにXX付で輸入警告措置66-40を
とり、ウォーニングレターをXX付で発行した。
複数の委託製造業者はニトロソアミンに汚染された溶媒を供給した。しかし貴社には、どのタンク
がこれらの溶媒を保管するために使用されたかの文書が不足していた。貴社は回収された溶媒の
各タンクの使用の記録がなかったことを認めたが、貴社の回答はタンクの数、識別、使用を回顧的
に照合しようとした十分な情報を提出しなかった。さらに貴社は、その他の原薬が、回収されたXX
やその他のバルサルタン原薬の工程の溶媒を保管するタンクの使用により影響を受けた可能性が
あるか判断するための調査の情報を提供しなかった。
バルサルタン原薬に関し、契約製造業者からの回収溶媒の使用を停止した後、貴社は、社内の回収
溶媒XXに頼り始めた。貴社は、最新の工程でニトロソアミンの不純物を生成する機会のない状態を
維持していたのに、社内の回収溶媒XXに関する工程の性能適格性評価のレポートで、溶媒が貴社の
検知レベルを超えるNDMAと、貴社の規格の限界を超えるレベルのNDEAを発見した。
貴社は回答の中で、ニトロソアミンの汚染の最も確からしい原因は、破棄の目的で保管されていた
原材料を使用したXXの使用だったと説明した。貴社は、新しいXXに切り替えたと述べたが、貴社の
回答は、同様の装置も交換または修正される必要があるかの判断に取り組んでいない。
さらに、貴社は、ニトロソアミンの不純物の管理に関し、社内の溶媒回収工程のバリデートができ
るまで、新しい溶媒を使用し続けるつもりであると述べた。貴社は原薬の製造に使用するための
リリースの前に、ニトロソアミンに関し、新しい溶媒と回収溶媒の試験をすると誓約していなかっ
たので、貴社の回答は不十分である。
変異原性の不純物の存在に関するアプローチに関し、FDAのガイダンス文書M7(R1)Assessment and Control of DNA Reactive (Mutagenic) Impurities in Pharmaceuticals to Limit Potential Carcinogenic Riskを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・これに限定されないが、XXとXX、貴社で製造された全ての原薬の中のNDMA、NDEA、その他の
変異原性の不純物の存在を防ぐための是正処置・予防処置(CAPA)の計画を含む回収溶媒に関す
る調査の最新情報
・原薬と回収溶媒に関する工程の性能適格性評価に関する貴社のプログラムと、継続した管理状態
を保証するためのロット間及びロット内のばらつきの継続的なモニタリング
全原薬の不純物のプロファイルのライフサイクルを通じた継続的な評価に関するプログラムを
含めよ。
・これに限定されないが、原材料が混同しない保証を含む、入荷した原材料の管理の手順
さらに、汚染された溶媒XXとXXを保持していた保管タンクの分析結果と、それらのタンクの
原材料が貴社により製造された他の原薬を製造するために使用されたかどうかの情報を提出せよ。
・原薬製造工程内において、新しい溶媒及び回収溶媒のリリースに使用される試験方法を含む規格
貴社の回答は、これに限定されないがニトロソアミンを含む、広範囲の不純物や汚染の可能性の
検知と定量化の能力に触れるべきである。
・貴社の原材料システムの包括的なサード・パーティによるレビュ
これに限定されないが、以下の情報を含むシステムの適格性を評価した報告書を提出せよ。
○不適切な原材料の使用を防ぐための入荷ロットの管理
○適切な使用期限やリテスト日付けの付与
○最初の供給者の選択に関する適格性評価の基準と、持続した供給者の能力を保証するための
ライフサイクルを通じた評価を含む、継続的な全ての原材料供給者の能力と容認性の品質上
の監督
○標準操作手順書(SOP)や経営陣の監督の改善など、実施された全てのCAPA
●指摘2
公式もしくはその他の制定した規格を超えて原薬の品質を変える可能性のある原材料の汚染や
キャリーオーバーを防ぐための装置や器具の洗浄の不履行
<指摘2詳細>
貴社の洗浄方法が、装置を清潔にし、非専用装置で製造される医薬品の汚染やキャリーオーバー
を防ぐために適切であるという保証がない。我々査察官は、非専用装置XX1102とXX1506に、
洗浄済であるとラベルが貼られているのを発見した。しかし、XXの傾斜台の内側表面が糸くず
のない布で拭かれた時、XXのシミがみつかった。後で貴社が実施した試験で、シミはバルサル
タン原薬の残留物であると判明した。
貴社は回答の中で、装置の粗い表面の残留物の沈着のせいであるとした。また、すぐ後にとった
アクションとして、同様にシミXXが発見されたXXの傾斜台XXの内側表面を磨き、滑らかな表面に
した。貴社は、洗浄手順の改訂も行った。
貴社は、苦情と規格外(OOS)の調査のレビュに基づき、製品品質には最低限の影響であったと
判断した。また、貴社は、全てのバルサルタンのロット及び製造された他の製品は、“本題とは
無関係のこと”のために試験され、不具合はなかったと報告した。貴社の回答は不適切である。
交叉汚染は均一に分布すると仮定することはできないし、試験だけでは汚染の危険を軽減する
ことはできない。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・交叉汚染の危険の範囲を評価するための貴社の洗浄の効果の包括的で独立した回顧的レビュ
残留物の特定、不適切に洗浄されていたかもしれない他の製造装置、交差汚染された製品が
出荷のためにリリースされたかどうかのアセスメントを含めよ。そのアセスメントは、
洗浄手順と作業の不適切さを特定し、2製品以上の製造に使用される製造装置の各部品も含めよ。
○リスクアセスメントの1つの要素として、交差汚染の予防と洗浄に不備のある貴社のシステム
に起因するニトロソアミンのような不純物に関し、非専用装置で製造された全ての原薬を試験
するつもりかどうかを述べよ。リスクアセスメントは貴社の回答の裏付けとなるべきである。
・貴社の医薬品製造におけるワーストケースとして特定された状態に特別な重点を置いた、洗浄
バリデーションプログラムの適切な改善
改善には、これに限定されないが、全てのワーストケースの特定と評価を含めるべきである:
*高い毒性を持つ医薬品
*高い有効性を持つ医薬品
*洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
*洗浄を難しくする特性をもった医薬品
*洗浄を最も難しくする部分に関する拭き取り場所
*洗浄前の最大保留時間
さらに、新しい製造装置または新しい製品の導入前の変更管理システムでとられるはずの
ステップについて述べよ。
*製品、工程、装置の洗浄手順の確認とバリデーションに関し、適切なプログラムが実施される
ことを保証する改訂されたSOPのサマリ
*設備や装置に関する定期的で慎重な作業の管理監督を実施するためのCAPAの計画
この計画は、とりわけ、装置/設備の性能の問題の迅速な検知、交換の効果的な実施、適切な
予防保全のスケジュールの順守、装置/設備のインフラのタイムリーな改善、継続的なマネジ
メントレビュのために改善されたシステムについて、保証すべきである。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した逸脱の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
貴社の作業を評価する適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社
の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●追加の原薬CGMPのガイダンス
FDAは、原薬がCGMPに従って製造されているかどうかを判断する際、ICH Q7に要点が述べられている
期待を検討する。原薬の製造のために、FDAのガイダンス文書Q7 Good manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredientsを見よ。
●結論
この文書で挙げた逸脱は、貴社の製造所に存在する逸脱の包括的なリストではない。貴社には、
これらの逸脱を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の逸脱を防止する責任がある。
貴社が全ての逸脱を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造
業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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■WL:320-20-07■
貴社の販売ネットワークに医薬品を供給する海外の複数の医薬品製造業者のCGMP違反の状態
と、本社の査察(2019/1/14~2019/1/18)、配送センターの倉庫の査察(2019/1/14~2019/1/17)
に基づいて発行された2019/11/6付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●委託製造業者及び供給者からの不良医薬品の受領
輸入データの査察とレビュは下記のことを明らかにした。
1.レビュされた輸入記録は、貴社が2017年10月9日と2017年11月3日にS社からXXを受領したこと
を示した。2017年4月の査察で、S社は、成分の同一性試験の不履行と、販売前の好ましくない
微生物に関する各ロットの試験の不履行を含む重大なCGMP違反が明らかになっていた。
これらとその他の違反の結果、S社には2017年9月14日に輸入警告措置66-40がとられ、2018年
2月7日にはウォーニングレターが発行されていた。FDAは、貴社のCOOにウォーニングレターの
コピーを送っていた。
2.レビュされた輸入記録は、貴社が2018年10月から12月に、H社から、医薬品XXとXXを受領した
ことを示した。2018年4月のH社の査察は、医薬品の各ロットについてリリース前に規格への
一致を試験することの不履行を含む重大なCGMP違反が明らかにしていた。これとその他の違反
の結果、H社は2018年9月28日に輸入警告措置66-40がとられ、2018年11月27日にウォーニング
レターが発行されていた。FDAは貴社のCOOにウォーニングレターのコピーを送っていた。
我々は貴社の本社の査察中に、貴社が、貴社の供給者や委託製造業者の1つにウォーニングレター
が発行されたことに気付いたら、それ以上、その委託製造業者からOTC医薬品を買わないだろうと
述べたことを書き留めている。さらに、2019年2月5日の貴社の回答の中で、貴社は、“もし医薬品
に輸入警告措置66-40がとられたら、その会社からの医薬品の輸入を中止する”と述べた。
上の詳細な輸入データは、これが当てはまらないことを示している。
我々は、貴社が様々な時点で、重大なCGMP違反の医薬品の経歴を持つ委託製造業者や供給者を使っ
ていたことに気付いている。例えば、我々査察官は、上記に述べた製造所以外でも、貴社が以下
の委託製造業者や供給者を使用していたことを明らかにしている。
1.とりわけ、医薬品の製造前の原材料の試験の不実施、出荷前の最終製品の試験の不実施により、
XX付でウォーニングレターを発行されたXX社
2.2017年8月11日にウォーニングレターを発行されたB社
この会社は、とりわけ、出荷前の最終製品の試験の不実施と、製造設備のあらゆるところで
ネズミのフンがみつかり、2017年6月29日に輸入警告措置66-40がとられている。
3.XX付でウォーニングレターを発行されたXX社
この会社は、とりわけ、試験結果の偽造と、通常の効力より弱い医薬品をアメリカ市場に出荷
してXX付で輸入警告措置66-40がとられている。FDAは貴社のCOOにウォーニングレターのコピー
を送っていた。
4.2019年8月13日にウォーニングレターを発行されたN社
この会社は、とりわけ、医薬品の製造前の同一性に関する原材料の試験の不実施、出荷前の
最終製品の試験の不実施により、2019年6月10日に輸入警告措置66-40がとられている。FDAは
貴社のCOOにウォーニングレターのコピーを送っていた。
FD&C ActのSection 501(a)(2)(B)の目的の中でCGMPの順守の不履行に関する輸入警告措置66-40で
リストに記載された製造業者に関し、FDAは、輸入警告の中で、医薬品が不良であると思われる
エビデンスを持っている。貴社には、貴社が販売する医薬品は、医薬品に関する全てのCGMPに
従って製造されたことを保守する責任がある。輸入警告に関する情報はFDAのウェブサイトで
見つけられる。
FDAが貴社のサプライチェインの中に重大なCGMP違反をした医薬品製造業者を発見したことを考慮し、
この文書への回答の中で、FD&C Act Section 301(c)、21 U.S.C.331(c)に違反した不良医薬品の
受領と、州間の商取引において不良医薬品の販売をしないことを保証するための詳細な計画を提出
せよ。
貴社の計画の中にある品目は、供給者監査の計画を含む貴社の供給者および委託製造業者の評価
プログラムに含めるべきである。さらに、貴社は、全ての会社や医薬品がFDAの輸入警告措置の
対象になっているかの照合だけでなく、上記製造業者から得た医薬品が貴社の所有の中に残って
いるか、販売ネットワークまたは小売店にあるか、または、貴社のネットワーク内の他の小売店
ブランドにあるかの完全な照合を含めるべきである。FDAは、単に医薬品の販売に関する製造に
従事している会社(例:卸業者、ブローカ、自社ブランドの卸業者、販売店ブランドの卸業者)
にも、FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements
の勧告に従うことを促している。
●医薬品の試験を実施するための検査認証機関Bureau Veritasの使用
貴社は、Bureau Veritas(BVS)と、貴社が販売する品目の試験を実施するための関係がある。
前述の委託製造業者及び供給者に対するFDAの査察は、貴社が、貴社の委託製造業者及び供給者に
契約試験機関としてBVSを使用することを指示していたことを明らかにした。FDAは、BVSの試験
機関の査察において、貴社が貴社の委託製造業者及び供給者に、貴社により販売される医薬品を
試験するためにBVSを使用することを要求する貴社の品質マニュアルのコピーも集めた。
貴社の供給者に対する査察中、上に挙げられた会社のいくつかは、アメリカ市場への医薬品の
出荷と販売を支持する貴社とBVSのロゴがついた技術的な試験レポートを信じているとFDAに対し
て強く主張した。FDAは、2018年2月に、そのような技術的なレポートを作成しているBVSの1カ所
を査察し、BVSが使用している医薬品の分析のための試験方法に関し、複数の不備を発見した。
このFDAの査察中と、後でFDAに提出された回答文書は、共に、BVSの代表は、BVSの試験方法は
医薬品のCGMPの目的に適していないので、その試験結果は医薬品をアメリカのサプライチェイン
に販売するリリース判断をするのに適していないと強く主張した。
貴社の購入契約は、BVSが医薬品の品質の適切な判定を提供できないという事実にもかかわらず、
販売された医薬品の合格判断の目的のためにBVSの試験を使用することを供給者に求めている。
この試験はFDAの規制の下で求められている試験の代わりとして使用することはできない。貴社
は、貴社が販売する医薬品が、貴社に医薬品を供給する全ての医薬品製造業者がCGMPの要件に
従ってリリース試験を実施したという保証も含め、不良でないことを保証する責任がある。
●規制当局との打ち合わせ
この文書への貴社の回答の提出をもとに貴社が不良品を州間の商取引に導入し続けることを防ぐ
ために貴社が提案した是正処置の適格性を議論するための打ち合わせを計画するために連絡せよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、上記の違反及びFD&C Actに対する
その他の違反をすぐに是正し対処する責任がある。違反の迅速な是正の不履行は、更なる通知や
制限なしの差し押さえや強制命令を含む法的措置につながるかもしれない。
さらに、貴社が輸入している製品のいくつかは化粧品として規制されているものでもある。例えば、
B社から輸入した製品は、OTC医薬品と化粧品にあたる。FD&C Act Section 601(c)のもとで、もし
化粧品が、ごみが混入したり健康上有害な状態になったりする可能性のある不衛生な条件のもので、
調合され、包装され、保管されたら、その化粧品は混ぜ物をされているとみなされるだろう。
OTC医薬品の品質を悪化させるいくつかの衛生状態は、化粧品の品質を悪化させる原因にもなりうる。
FD&C Act Section 301(a)のもとで、品質の悪い化粧品を州間の商取引への導入のために紹介・
配達・受領することは禁止されている行為である。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
これまでのウォーニングレターは、中国・インドの企業に対するものが多かったのですが、
今回取り上げた3件のうち2件はアメリカの企業に対するもので、なかなか興味深いもので
した。
2件目は、発ガン性物質として注目されているニトロソアミンに関連した指摘でした。
原材料の不十分な管理や、非専用設備の不十分な洗浄のリスクをあらためて実感しました。
3件目は、アメリカ国内で有名な小売の販売ネットワークに医薬品を供給している企業が、
輸入警告措置やウォーニングレターを受けた企業から医薬品を調達していることについて
の指摘でした。
供給者の管理という視点で参考にしていただければと思います。
☆次回は、1/1(水)に配信させていただきます。
2019.12.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<183号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
だんだん冬らしい気候になってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回も、FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から製薬会社向けに出された
ウォーニングレター(3件)について見ていきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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■WL:320-19-44■
韓国の製造所の査察(2019/3/25~2019/3/29)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2019/9/12付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は全ての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の承認・不承認
を行う責任と権限を持った適切な品質管理部門を制定することを怠った。また、貴社は、
品質管理部門に適用する文書化された責任と手順を制定し、それに従うことを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、OTC医薬品の受託製造業者である。貴社の品質部門は、十分な製品の品質試験が完了
した時のみ出荷することを保証するのを怠った。レビュした41ロットのうち、半分以上の
26ロットは、微生物試験が完了する前に出荷されていた。貴社は査察中、貴社の顧客がこの
手順に同意していたと述べた。全ての必要な試験が完了する前に医薬品を出荷することは
受け入れられないし、品質を満たさない医薬品が顧客に出荷されるリスクを増す。貴社の
医薬品XXのいくつかは、子供用としてラベル表示されていることに気を配ることが大切で
ある。
貴社は回答の中で、貴社の手順を改訂し、“協力の公式文書”のサインをもらっている
ところであると述べた。貴社の回答は不適切である。貴社の手順は既に全ての試験が完了
するまで製品を保管することを求めている。貴社の提案したアクションがいかに品質を示す
ための完全なデータがない状態で製品が出荷されることを防ぐか不明確である。さらに、
貴社は試験の完了前に出荷した過去のロットが全て品質を満たしているというエビデンスを
提出することを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・全ての規格を満たしたこと保証するための、出荷された全てのロットの回顧的レビュ
・使用期限内の全ての製品の保存サンプルから得られた試験結果のサンプル
貴社はこれに限定されないが、同一性、有効成分の濃度、微生物特性(総菌数、好ましく
ない微生物を検知するためのバイオバーデンの確認)を含む全ての品質特性の試験をする
べきである。もし、ロットの試験で規格外(OOS)の結果が得られたら、顧客への通知や
回収の開始を含む貴社がとろうとする是正処置を示せ。
・貴社の品質部門がその機能を効果的に果たすために権限とリソースを与えられている
ことを保証するための是正処置・予防処置(CAPA)を伴った包括的なアセスメント
そのアセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含めよ。
○貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
○適切な手順の遵守を評価するための貴社の作業全体の品質部門による監督に関する規定
○品質部門の判断の前に実施する各ロットとその関連情報の完全で最終的な再レビュ
CGMPの要件を満たすために最新の品質システムとリスクマネジメントのアプローチを実装
する助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●指摘2
貴社は、医薬品の安定性を評価し適切な保管条件と使用期限を決定するために計画された
安定性試験の結果を使用するための文書化された試験プログラムを制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社の安定性プログラムは、使用期限内に貴社が製造した医薬品の品質を示すのに十分で
ない。安定性プログラムは安定性サンプルの分析試験を含んでいなかった。プログラムは、
医薬品の使用有効期間を通して、有効成分の量と、成分が制定された規格と予め決められた
全ての品質基準を満たすことを確認しなければならない。さらに、貴社は、各医薬品に
ついて、安定性プログラムに1ロットのみをセットし、継続的な安定性プログラムを持って
いなかった。
貴社は回答の中で、安定性の手順を改訂するつもりであると述べた。また、貴社は、顧客
からの次の注文時は、貴社が製造した各医薬品につき3ロットを安定性プログラムにセット
すると約束した。貴社は、各試験間隔で、新しい未開封の製品サンプルを使用して安定性
試験を行うとも述べた。貴社は、改訂された安定性プログラムについて述べていないし、
実施のタイムラインを提出していないので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、安定性プログラムの適切性を保証するために包括的で独立した
アセスメントとCAPAの情報を提出せよ。貴社のCAPAには、これに限定されないが以下の
情報を含めるべきである。
・安定性プログラムについて述べた、改訂された標準操作手順書(SOP)
・安定性を示す方法
・出荷許可前に容器密閉システムの各製品を保証する安定性の研究
・使用有効期間が妥当かどうかを判断するために、毎年、各製品の代表的なロットが
プログラムに追加されるような継続的なプログラム
・各タイミングで、試験される特定の属性
●指摘3
貴社は医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを
怠った。また貴社は、適切な間隔で、貴社の成分供給者の分析試験の信頼性をバリデート
し証明することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、入荷した原材料と有効成分(例:XX)の同一性に関する試験を怠った。代わり
に、貴社は、適格性評価のされていない供給者の分析証明書(COA)を信頼した。同一性試験
は、医薬品製造に使用される前に、各成分のロットに求めれられていて、適切な間隔での
供給者の試験結果のバリデーションを通じてのみ、他の成分の属性に関するCOAを信頼する
ことができる。
さらに、XXは貴社が製造する多数の製品の成分である。貴社の供給者のCOAは、XXに関する
XXの限界試験のエビデンスを示しているが、貴社は、XXまたはXXが存在するかどうかを
判断するためにXXの全てのロットの全ての容器の試験をすることを怠った。
貴社は回答の中で、供給者の適格性評価と原材料の試験に関する手順を改訂するつもりで
あると述べた。
また、貴社は、貴社の顧客の次の注文時に原材料の同一性試験を実施することも約束した。
貴社は、貴社がいかに供給者の適格性評価を行い、供給者のCOAを確認するかの改訂された
手順や詳細を提出していないので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、
・各成分のロットの同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致をいかに試験
するかを述べよ。もし貴社が各成分のロットの同一性、濃度、品質、純度の試験をする
代わりに、供給者のCOAの試験結果を受け入れるつもりなら、最初のバリデーションと
その後の定期的な再バリデーションで、これらの属性に関する供給者の試験結果の
信頼性と一貫性をいかに確認するかを述べよ。さらに、入荷する成分の少なくとも1つ
の同一性試験を実施し、試験方法を提出ることを約束せよ。
・各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するために、全ての成分の全ての試験から得ら
れた試験結果をまとめよ。このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社の
SOPを含めよ。
・XXに関し、全てのグリセリンの保管サンプルの試験をせよ。XXがXXのロットに存在する
かどうかを示せ。もし、貴社の試験でOOS(Out-of-Specification)の結果があったら、
顧客への通知や回収の開始を含む貴社がとろうとしている是正処置を示せ。
XXでXXを含む医薬品を製造する場合のCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス
文書Testing of XXを見よ。
●指摘4
貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つ
ことを保証するために設計した製造と工程管理に関して文書化した手順を定めることを
怠った。
<指摘4詳細>
貴社は、OTC医薬品XXに関する製造工程をバリデートしていなかった。
プロセスバリデーションでは、工程が、一貫して品質のよい製品を供給する能力があると
いう科学的なエビデンスを作る。中間材料と製品のサンプリングと試験には、生産活動を
モニタし、医薬品の性質のばらつきの原因となりうる製造工程の性能をバリデートする
ための管理手順を必要である。サンプルは、ロットの代表で、統計的信頼を提供し、
予め定めた規格を満たさなければならない。
貴社は回答の中で、21 CFR 210, 211章に従い、バリデーションのマネジメント手順を
定めるつもりであると述べた。貴社は、医薬品XXの顧客の次の注文時、プロセスバリ
デーションを実施することを約束した。
貴社は、製品のライフサイクルを通じて、バリデートされた工程の維持を保守するため
の総合的なプログ
ラムの詳細を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。さらに、貴社は、バリデ
ーションを実施するための詳細なタイムラインを提出しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・工程管理手順と、装置及び設備の適格性評価に関する文書化された手順を含む詳細な
バリデーション計画
FDAがプロセスバリデーションの要素として考える一般原則とアプローチについて、
FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。
●指摘5
貴社は、装置の洗浄とメンテナンスに関する文書化された手順を定め、それに従うこと
を怠った。
<指摘5詳細>
貴社は、チューブ充填や封緘機などの非専用の製造装置の洗浄に関して使われる洗浄手順
をバリデートしていなかった。洗浄中の製造装置の製品の接触面の残留物の不十分な除去
は、非専用装置で次に製造される製品を汚染する可能性がある。貴社は、装置の洗浄活動
が行われた時に適切に記録することも怠った。
貴社は回答の中で、貴社の装置の洗浄手順をレビュして改訂し、装置の洗浄活動を記録した
装置のログブックの使用を取り入れると述べた。また、貴社は貴社の製造装置の洗浄バリデ
ーションを実施すると約束した。
貴社は、貴社の非専用装置の適切な洗浄を保証する手順をいかに改訂するかを述べなかった
ので、貴社の回答は不十分である。また貴社は、完了のタイムラインと一緒に洗浄バリデー
ションプログラムの詳細を提出しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。
・2製品以上を製造するために使用される製造装置の洗浄手順、業務、バリデーションの
適切性を評価するための包括的な計画
・貴社の洗浄手順が適切に評価されていることを保証するための貴社の洗浄バリデーション
の戦略に関する科学的で論理的な根拠
・ワーストケースとして認識されてる状態をより組み込んだ、貴社の改訂された洗浄バリデ
ーション手順のサマリ
手順には、これに限定されないが、最高の毒性の医薬品、洗浄用の溶媒への溶解が最低
の医薬品、洗浄を難しくする性質の医薬品、洗浄が最も難しい装置の場所の拭き取りを
含めるべきである。
・新しい製品、工程、装置に関する洗浄手順の検証とバリデーションに関して適切なプロ
グラムを保証するために改訂されたSOPのサマリ
・製造装置の微生物試験の頻度に関する科学的な論理的根拠
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをする
ために21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものでは
ない。貴社の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を
保証する責任が残る。
●受託業者としての責任
医薬品は、CGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が、
製造設備、試験、包装、ラベル貼りのように、独立した受託業者を使用していることを知って
いる。
貴社と貴社の顧客XXは、医薬品の製造に関する品質協定を締結している。貴社はプロダクト
オーナーとの契約の有無に関わらず、貴社は受託製造所として、貴社が製造する医薬品の品質
に責任がある。貴社には、医薬品が安全性、同一性、濃度、品質、純度に関し、FD&C Actの
501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証する必要がある。
FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangementを見よ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年7月19日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品
製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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■WL:320-20-01■
インドの製造所の査察(2019/4/15~2019/4/20)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2019/10/3付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘
貴社は、ロットが既に出荷されたかに関わらず、説明のつかない食い違いや規格を満たさない
ロットまたはその成分の徹底的な調査を行うことを怠った。
<指摘詳細>
貴社は、根本原因を特定するための調査を確実にすることを怠り、持続的な是正処置・予防
処置(CAPA)を実施することを怠った。
a. 貴社は、局所用クリームXXのざらつきについての多数の苦情を十分に調査することを
怠った。
2017年11月以来、貴社は20ロットを不合格し、製品に関し少なくとも38件の苦情を受け
取った。製品のざらつきは、2010年以来、継続的な製剤の問題で、貴社の製造所の前回
の査察で、不備が指摘されていた。貴社は当時、回答の中で、この処方の問題について、
改善を提案した。一番最近の査察への貴社の回答では、2018年11月の製品の処方変更中
に製品のざらつきの問題は改善されたと述べた。貴社は新しい処方の構造安定性を示す
十分なデータを提供しなかったので、貴社の回答は不十分である。
我々は2019年7月に、もともとの処方を使って製造された使用期限内の全てのロットを
回収したことを知っている。しかし、処方変更と、マーケティング活動はタイムリーな
方法で実施されていなかった。
b. 貴社は、貴社の製品の配送中に発生した複数の温度逸脱の適切な調査を怠った。貴社の
温度逸脱の調査は、再発を防ぐためのタイムリーな活動を含んでいなかった。
例えば、2018年5月、XX%米局方クリームXXのロットは、アメリカへの輸送中にXX℃から
XX℃に至る温度の逸脱にさらされた。2018年7月には、XX%米局方XXのロットは、アメリカ
への輸送中XX℃からXX℃にさらされた。製品XXは、XX℃の間で保管されなければならな
い。これらのXXロットはアメリカ市場に出荷された。
温度逸脱の不十分な調査は、継続的な問題であり、貴社の製造所の前回の査察で不備が
挙げられていた。貴社はXX%米局方クリームXXにおける上昇した温度の影響を判断する
ための検証を実施した。検証はXX℃での製品の相分離を示した。
貴社は回答の中で、長期の安定性試験と同様、追加の温度逸脱の検証を実施するつもり
であると述べた。また貴社は、温度逸脱検証中に確認された全てのOOSについて調査し、
FDAに通知するつもりであると述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社は、ラベルに表示された保管条件を超える温度にさら
された出荷済ロットのリスクアセスメントを提出しなかった。また、貴社の回答は、
温度逸脱から貴社の製品を守るための新しい出荷手順の実装に触れていたが、タイムリ
ーな方法では実装されていない。
c. 貴社はXXのような重要な製品の属性に関する多数のOOSの試験結果を適切に調査してい
ない。例えば2018年4月XXのロットXXは、XXで不合格になった。更に、2019年2月、
XX%米局方軟膏XXはXXで不合格になった。これらのロットは最終的に不合格になった。
しかし、これらの不具合に関する貴社の調査は根本原因を判断せず、効果的なCAPAを
保証しなかった。
貴社は回答で、貴社の調査の品質を高めるためにコンサルタントを雇うことを計画して
いると述べた。貴社は、製品品質への潜在的な影響を評価せず、可能性のある根本原因
の確認を怠ったので、貴社の回答は不十分である。
d. 貴社は、これに限定されないが、XX%米局方軟膏XX、XX%米局方クリームXX、XX%米局方
軟膏XXを含む様々な製品に関し、破裂、ひび割れ、XXの穴に関する70件以上の顧客の
苦情を適切に調査することを怠った。貴社の調査は、影響範囲とこれらの重大な
容器/密閉システムの欠陥の原因に対処し、苦情と類似の製品品質の問題を持つその他
の製品や同じ供給者を使用している製品を評価することを怠った。
貴社は回答の中で、苦情の根本原因は、顧客による、XXの不適切な折り畳みによる取扱い
だと述べた。さらに貴社は、苦情率はささいなので出荷されたロットへのリスクはないと
述べた。しかし、貴社は、同様の品質の不具合の再発を防止するためのCAPAを行わずに
50件以上の苦情を終了させた。
貴社の調査に関する品質システムは不十分で、安全で効果のある安定した製品を保証して
いない。貴社は繰り返し、根本原因の判断とこれらの深刻な製品品質の不具合の再発を防止
するためのCAPAを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・貴社の逸脱、食い違い、苦情、OOSの結果、不具合の調査に関するシステムの包括的で独立
したアセスメント
このシステムを改善するための詳細なアクションを提供せよ。貴社のアクションプランには、
これに限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質部門の
監督、文書化された手順の大幅な改善を含むべきである。調査の全ての段階が適切に実施
されることをいかに保証するかについても取り組め。
・貴社のCAPAプログラムの独立したアセスメントと改善
貴社が、いかに効果的に、根本原因の分析、CAPAの効果の保証、調査の傾向の定期的な
レビュ、職員の能力の向上、必要な場合CAPAプログラムの改善の実施、品質部門の判断権の
保証を実施するつもりかということと、それが経営陣により完全にサポートされていること
を要約せよ。
・XX%米局方クリームXXの新しい処方の構造安定性の詳細なレビュ
レビュには、これに限定されないが、全ての製造及び品質のデータを含めよ。(例:苦情、
OOS、逸脱、不合格、安定性、新しい処方が安定しているかどうかを評価するためのデータ)
・成分、容器、蓋の全ての供給者が適格性を評価され、原材料には適切な使用期限とリテスト
日付が付与されるかどうかを判断するための貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
レビュでは、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために入荷した原材料の管理が適切か
どうかも判断せよ。
・貴社の工程の管理状態を判断するための、全ての工程の独立したレビュ
貴社の製造工程の設計、バリデーション、維持、管理、継続的な管理状態を保証するための、
ロット間、ロット内のばらつきの慎重な監視を含むモニタリングに関する詳細なプログラム
も提出せよ。また、貴社の装置と設備に関する適格性評価プログラムも含めよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品
製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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■WL:320-20-03■
インドの製造所の査察(2019/4/8~2019/4/16)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2019/10/8付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つ
ことを保証するために設計した製造と工程管理に関する文書化した手順を定めることを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、代替の原薬の適格性を評価するために、3つの連続するロットが品質特性を満たすこと
を求める文書化され承認されたプロセスバリデーション(PV)の手順に従わなかった。貴社の手順
に従わずに、新しい代替原薬を使って、錠剤XX50mgと錠剤XX 100mgのいくつかのPVロットが製造
された。
特に、最初の3つのPVロットで溶解、分析、XXで不合格になった後、貴社は文書化された手順は
別として、4つ目のロットを追加した。多数のOOSの調査が開始され、品質部門は4つのPVロット
を不合格にした。
貴社は、代替原薬を商用に使用することを正当化するための新しい内部手順を作り、新しい代替
原薬を使用して貴社の工程が品質のよい原材料を製造することはできないと示すデータを持って
いるのにもかかわらず、オリジナルの手順を回避した。多数の錠剤XX50mgと錠剤XX 100mgの商用
ロットは、この新しい代替原薬を使って製造され、PVは不合格にもかかわらず、アメリカ市場に
出荷された。さらに、XXの多数のロットは、ニトロソアミンの不純物の許容できない量により
回収された。
貴社の回答は、貴社が文書化され承認されたバリデーション手順に従わなかったことを認めて
いた。また貴社は原薬の変更は、製造工程と最終製品の品質に影響を与えなかったと述べた。
貴社は、最初のPVロットの不具合に関する根本原因の提供を怠ったので、貴社の回答は不十分
である。また、貴社は、PVで不合格の代替原薬の承認を裏付けるプロセスバリデーションの手順
の正当化の理由を提出することを怠った。
プロセスバリデーションは、ライフサイクルを通じて、工程の設計と管理状態の安定性を評価
するものである。製造工程の重要なステップは、適切に設計され、入荷した原材料、中間材料、
最終製品の品質を保証しなければならない。工程の適格性評価の検証は、初期の管理状態が定着
したかを判断するものである。
正しい工程の適格性評価の検証が、医薬品の商用の販売の開始前に必要である。その後、製品の
ライフサイクルを通じて貴社が安定した製造作業を維持していることを保証するために、工程の
性能と製品品質の継続的で慎重な管理が必要である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、関連手順も含めた貴社のバリデー
ションプログラムの詳細なサマリ
工程の性能適格性評価と、管理状態の継続を保証するためのロット間及びロット内のばらつき
の継続的なモニタリング関する貴社のプログラムを述べよ。
・貴社が販売している各製品に関する適切な工程の適格性評価(PPQ)を実施するためのタイムラ
イン
・商業的に出荷された医薬品に関する貴社のプロセスバリデーションを裏付ける全てのデータの
レビュ
FDAがプロセスバリデーションの基礎と考える一般的な原則とアプローチに関するFDAのガイダン
ス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。
●指摘2
貴社は、ロットが既に出荷されたかに関わらず、説明のつかない食い違いや規格を満たさない
ロットまたはその成分の徹底的な調査を行うことを怠った。
<指摘2詳細>
貴社のOOSの試験結果の調査は不十分である。分析、XX, 溶解に関する多数のOOSの調査は、理由
となりそうな根本原因の特定もなしに、または、根本原因の科学的な正当性に欠けた状態で、
完了された。不適切なOOSの調査にもかかわらず、貴社は、最初のOOSの結果を無視し、リテスト
の結果をもとにロットをリリースした。
例えば、XXの分析値の高さにより、ロット番号BP02D026の錠剤XXとXXに関するOOSの
調査OOS/IN/F/FP/17/238が2017年7月4日に開始された。その結果はXX~XX%の規格に対してXX%と
ものすごく強力だった。このOOSの結果は、根本原因の特定がない状態で、貴社のフェーズ1のラボ
の調査中に確認された。貴社のフェーズ2の調査中、製造及び試験室のエラーは最終的に確認され
なかった。可能性のある根本原因が見つからないまま、最初の高いOOSの結果は無効化され、XXは
リテストされた保存サンプルの結果に基づきリリースされた。その結果、最終製品のロットは
アメリカ市場に出荷された。
他の医薬品でも、最初の不合格のOOSの結果の不適切な無効化に関する複数の例がみつかった。
2017年1月から2019年3月の間に、貴社が最初のOOSの試験結果が無効化する率は60%~70%と高か
った。
貴社の回答は、適切な調査もせずに無効化されたOOSの試験結果の率の高さを認識していることを
示していた。貴社は、2017年1月~2019年3月の間に、貴社はOOSの無効化を77%から41%に低下
させたと述べた。主な原因は、ヒューマンエラー、機器/カラムのエラー、方法のエラーとされた。
貴社は、根本原因を適切に特定しているか、OOSの結果を正しく報告しているか、適切な是正処置
・予防処置(CAPA)を実装しているかを判断するために、全ての医薬品の回顧的なレビュの結果
を提出することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。
これはFDAの貴社の製造所における2017年4月17日~28日の査察からの繰り返しの所見である。
FDAは2019年3月11日~19日の貴社の別の製造所での不適切な調査に関する同様のCGMPの所見を
挙げている。
複数の製造所での繰り返される不具合は、貴社の経営陣の医薬品製造の監督と管理が不十分で
あることを示している。
貴社の経営陣には、全ての不備を完全に解決し、継続的なCGMP遵守を保証する責任がある。
貴社は、システム、工程、製造された製品がFDAの要件に従っていることを保証するために、
貴社の製造作業の全体をすぐに包括的に評価しなければならない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・全ての無効化されたOOS(工程内及びリリース/安定性試験を含む)の回顧的でサード・
パーティによるレビュ
この文書の日付時点で使用期限内にありアメリカ市場にある製品の結果
以下のOOSを含む、分析で見つかったことをまとめたレポート、
〇無効にされたOOSの結果に関する科学的な正当的理由とエビデンスは最終的なものか、
それとも、結論に到達せずに試験室のエラーを原因として示したのかを判断せよ。
〇結論に到達せずに試験室を根本原因とした調査に関し、論理的な根拠を提出し、改善
のために、同じまたは類似の根本原因に対して脆弱な他の全ての試験方法が特定されて
いることを保証せよ。
〇回顧的なレビュにより発見され、試験室での根本原因が決定的でない、または、特定されて
いない全てのOOSの結果について、製造の徹底的なレビュを含めよ。(例:バッチの製造記録、
製造ステップの適格性、装置/設備の適合性、原材料のばらつき、工程の性能、逸脱の履歴、
苦情の履歴、ロットの不合格の履歴)
個々の調査に関し、製造の潜在的な根本原因と、製造作業の改善をまとめよ。
〇OOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善プラン
CAPAはこれに限定されないが、以下のことを含むべきである。
・試験室の調査の品質部門の監督
・試験室の管理の悪い傾向の識別
・試験室のばらつきの原因の解明
・試験室の原因が最終的であると特定できない場合はいつでも製造の潜在的な原因の徹底的
な調査の開始
・各調査とそのCAPAの適切な範囲の決定
・これらとその他の改善と一緒となった、OOSの改訂された調査手順
不合格、OOS、OOTまたはその他の予期しない結果や、調査の文書の取扱いに関するより多くの
情報については、
FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Resultsfor Pharmaceutical Production
を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、貴社がコンサルタントを雇ったことを知っている。貴社の不十分な調査による貴社の
コンプライアンス状態の履歴により、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
21 CFR 211.34に規定
されている適格なコンサルタントを雇うことを勧める。貴社のコンサルタントの監査の後、
その報告のサマリを提出せよ。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
貴社の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任
が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品
製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
今回のウォーニングレターでも、逸脱の管理、安定性モニタリング、供給者の管理、外部委託
業者の管理に関する指摘がみられました。
逸脱の管理は、PIC/Sガイドラインでも、1章にて、根本原因の特定や是正処置・予防処置(CAPA)
の実施を求めています。
また、安定性モニタリングは、PIC/Sガイドライン6章、供給者の管理は5章、外部委託業者は7章
にうたわれていて、今年度内に発出が予定されている改正GMP省令にも盛り込まれる予定となって
います。
是非、参考にしてみていただければと思います。
それから、2つ目のウォーニングレターに、配送中に発生した温度の逸脱に関する指摘がみられ
ました。これまでウォーニングレターの中でGDPに関わる指摘を目にした記憶がなかったので、
興味深かったです。医薬品の品質という観点からすると、製造だけでなく配送も重要であること
をあらためて感じました。
☆次回は、12/15(日)に配信させていただきます。