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2020.03.15

【PIC/Sドラフト:変更管理関連のPQS評価】ASTROM通信<190号>

 

~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM
通信担当の橋本奈央子です。

 

WHOが新型コロナウイルスのパンデミックを宣言し、国内でも、時差出勤・在宅勤務・小中高一斉休校等これまで経験したことのない事態が発生していますが、皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

今回は、20191128日にPIC/Sが発表した、“リスクベースの変更管理との関連で、PQS(医薬品品質システム)の効果の評価・実証方法の提言”のドラフト(PI-054-1(Draft 1))について見ていきたいと

思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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“リスクベースの変更管理との関連で、PQSの効果の評価・実証方法の提言”のドラフト

(PI-054-1(Draft 1))
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※1章 文書履歴、2章 序論 省略

3章 目的

3.1 この文書の目的は、リスクベースの変更管理との関連で、PQS(医薬品品質システム:Pharmaceutical Quality System)の効果を評価し実証する指針を提供することにある。

  これは、PIC/S GMPガイドラインが企業に対し、PQSの効果を示し、変更管理活動にQRM(品質リスクマネジメント)の原則の適用を求めていることによる。

 

3.2  PIC/S GMPガイドライン1章では、PQSの効果と計画された変更に関し、以下のように述べていることに注意したほうがいい。

  ●原則

GMPQRMを取り入れ、包括的に設計され、正しく実装されたPQSがあるはずである。それは

完全に文書化され、その効果がモニタされているはずである。

  ●1.3

   システムの効果は、通常は、現場レベルで実証される。

  ●1.5

   経営層は効果的なPQSが実施されていることを保証する最終的な責任を持つ。

  ●1.4(xii)章 

   計画された変更の予想される評価と実施前の承認のための取り決めがされていなければならない。

 

3.3 変更管理に関連しPIC/S GMPガイドラインのAnnex15は以下のことを述べている。

  ●11.1

   変更管理は、ナレッジ管理の重要部分であり、医薬品品質システムの中で管理されるべきであ

る。

  ●11.4

品質リスクマネジメントが、計画された変更の評価、必要なプロセスバリデーション、検証または、再適格性評価の取り組みを計画するために使用されるべきである。

  ●11.7

   変更の効果の評価が実施されるべきである。

 

3.4 この文書の5章のガイダンスは、以下の点に対応している:

  ●リスクベースの変更提案に含まれている可能性がある重要な要素

  ●変更提案を行った医薬品製造業者による、変更提案のリスク視点からのアセスメント

その厳しさ、取り組み、文書作成は、リスクのレベルに釣り合っていて、変更による製品品質、安全性、効能、他の製品、工程、システムに対する潜在的なリスクと利点を適切に評価したリスクアセスメントを行っていること

●リスクレベルに基づく、医薬品製造業者による変更のカテゴリ化

●リスクアセスメントの結果と割り当てられたリスクレベルが、変更計画、優先順位付け、実施とそのタイムラインをコントロールするような変更の計画と実施の役割

  ●医薬品製造業者における変更のレビュと効果のアセスメント

変更が意図した目的と事前に定義した効果の基準を満たすかという観点で、残りのリスクが評価され、許容可能なレベルになるよう管理され、管理状態の維持を保証するために変更が継続的なモニタリングシステムによってモニタされていること

 

3.5 5章以下で立案されているガイダンスの製薬会社による適用は、リスクベースの変更管理に関連して、企業で、PQSの効果のエビデンスを提供することが検討されている。もし、そのようなリスクベースの変更管理システムが企業のPQSにあるならば、よりよい品質と製造能力、継続的な改善とイノベーションはもちろん、製品品質、患者の安全性に対する迅速なリスク管理にもつながるはずである。

 

3.6 前述のPIC/S GMPの要求の文脈だけでなく、効果的なPQSがあること(Appendix 1参照)を示したようなリスクベースの管理を述べたICH Q10の文脈も重要である。このガイダンスは、変更管理の承認後に関して、現在ICHで開発中のICH Q12のガイドラインの原則やコンセプトの実施をサポートするのにも有効かもしれない。

 

3.7 この提言とこのガイダンスで見込まれる利点の背景に関するより多くの情報は、PIC/S Concept Note PS/INF 88/2019(https://picscheme.org/en/publications)で提供されている。

 

4章 範囲

この文書は、医薬品と原薬の製造業者のGMP査察に適用される。

 

5章 リスクベースの変更管理との関連でPQSの効果の評価と/または実証のガイダンス

―以下のチェックリストはこの評価のために使えるツールである。

5.1 変更提案―いつ変更が必要かの判断

  □ 変更のトリガと、それに関連するエビデンスが明確に文書化されている。

    変更を引き起こすライフサイクルのファクタは以下のものを含む:

    ・装置や設備のアップグレード

    ・原材料の改善

    ・製造の能力と(ばらつきを減らし、生産量を向上するため等の)一貫性の改善

    ・生産能力の増強

    ・品質問題の是正

    ・逸脱、苦情/有害事象、是正処置・予防処置(CAPA)、製品品質レビュ、運用レビュ、マネジ

     メントレビュ、新しい法規制、適合性のギャップ

    ・イノベーションの実装または継続的な改善構想

  □ 提案された変更の目標、範囲、期待される結果、予想される利点が文書化されている。

  □ 提案された変更の、他の製品、工程、システム、製造所への潜在的な影響が評価され、論理的根

拠が文書化されている。

  □ 変更提案の作成と承認に、関連する専門家や利害関係者(例:さまざまなSME(主題専門家:Subject Matter Expert)、特定の部署)が関わっている。

  □ 保留中/承認された提案書類や規制上の義務に対処されている。

  □ システムは、変更がタイムリーに提案され、提案された変更が正式に評価され、提案の受理/

下が文書化されていることを保証している。却下された変更提案に関し、システムは、それらの却下の論理的根拠が文書化され、継続するリスクが適切に管理されていることを保証している。

 

5.2 変更のリスクアセスメント

  変更は通常は、変更管理システムの中で影響評価がされている。しかし、提案された変更に関する影響評価は、リスクアセスメントのように包括的でないことがしばしばある。影響評価は、変更を進めるために提案された変更を分類し、それらの影響等を判断する。しかし、提案された変更に発生するかもしれない問題にいつも完全に対処しているわけではない。また、現在の製品や工程の知識、管理戦略、製品ライフサイクルの状況のもとで、改善できることにしばしば対処していない。

  そのために、変更に関する体系的なリスクアセスメントが実施されるべきであり、可能であれば、変更は製品の品質リスクと/または患者の安全上の危険を減らすべきである。少なくとも、変更は、現在のレベルを超えてリスクを増やすべきでないし、工程のばらつきが起こる可能性があってはならない。

  変更管理システムは、下記のポイントを考慮し、変更に関する科学とナレッジベースのリスクアセスメントが実施され、文書化されていることを保証する:

   厳しさ、取り組み(例:試験、バリデーション、レビュ)と文書化がリスクのレベルに一致している。

   リスクアセスメントが、変更による、製品品質、安全性、有効性に対する潜在的なリスクと利点を評価している。

   リスクアセスメントが、他の製品、工程、システムに対する潜在的なリスクと利点を評価している。

   リスクアセスメントが現在のリスク管理及び必要とされるリスク管理を特定し文書化している。

   現在の製品と工程の知識を使って、変更とそれらのリスクが評価されている。適切なデータと情報がそれらのリスクアセスメントを裏付けるために使用(または、必要であれば生成)されている。

   変更の分類が適切でリスクのレベルに基づいている。

 

5.3 変更の計画と実施

  □ リスクアセスメントの結果と、割り当てられたリスクレベルが変更の計画、優先順位付け、実施

とそれらのタイムラインを決定している。

   許容基準や変更の効果の基準はもちろん、変更を裏付けるデータが、変更計画の中で予め定義されている。これらは、リスク管理の定量的な評価を助けるための継続的なプロセスバリデーション(CPV)や、統計的な評価(例:CpK/PpK)等を含んでいる。

   現在のリスク(変更が実施されるまで)と、変更の過程で一時的にもたらされるリスクが適切に評価されている。

   現在の状況(変更が実施されるまで)と関連するリスクをモニタし、リスクを軽減するために、暫定的な管理(短期的処置)がタイムリーに特定され実施されている。

   発見されたリスク管理の方法がタイムリーに適切に実施されている。

   システムは、変更の実施を進めるための承認が文書化されていることを保証している。

   変更が実施された後、関連するリスクアセスメントがレビュされ、改訂されている。

   妥当と判断された場合は、関連するタイムリーな改訂が文書にされている。

(例:年次報告は関連する全ての変更を含んでいなければならない)

 

5.4 変更のレビュと有効性

●変更の完了前

   変更が、意図した目的と予め定義された有効性の基準を満たしている。それらの基準からのいかなる逸脱も適切に評価/承認され、管理/妥当である根拠が示されている。可能であれば定量的なデータが、変更の有効性(例:統計的な信頼度と範囲)を客観的に判断するために活用されている。

   品質リスクマネジメント活動の一環として、残存リスクが評価され、許容可能なレベルまで管理され、適切な手順の適応と管理が実施されている。

   変更の結果として生じた意図しない結果やリスクは評価され、文書化され、承認され、適切に処理され、予め定義されたモニタリングの時間枠の対象となっている。

 

 ●変更管理前または変更完了後

  □ 必要とされる実施後のアクション(予め定義された許容基準からの逸脱と/またはCAPAを含む)が特定され、適切に完了している。

  □ 有効性のアセスメント後に、関連するリスクアセスメントが更新されている。

    それらのリスクアセスメントに起因する新しい製品/工程の知識は、品質及び作業の文書(例:SOP、報告書、製品管理戦略文書等)に保存されている。

   管理状態の維持を保証するために、変更は継続的なモニタリングシステムによって監視されていて、学んだ教訓が保存され、共有され伝えられている。

 

5.5 結論

上記ガイダンスの適用には、効果的で科学的なリスクベースの変更管理システムの十分なエビデンス

を提供しなければいけない。それは、可能であれば、製品品質と患者の安全性のリスクの適切でタイ

ムリーな管理を通じて、よりよい品質性能、製造実績、継続的な改善とイノベーションを保証するた

めのリスク軽減につながらなければならない。

 

 

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まとめ
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この文書は、医薬品及び原薬製造業者に対するGMP査察官向けに作られた、リスクベースの変更管理に関連して医薬品品質システムが効果的に運用されているかを評価するためのガイダンスのドラフトで、正式版の適用はまだ先の話となります。

 

ドラフトというだけあって、わかりづらい部分もあるのですが、5章は、リスクベースで変更管理が正しく行われているかを評価するためのチェックリストとして利用できそうです。

 

変更というと、どうしても、変更前後の状態に注目しがちですが、5.3章で変更の過程(変更の実施中)のリスクにも注目している点が参考になります。

 

次回は、4/1(水)に配信させていただきます。

2020.03.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<189号>

 

~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM
通信担当の橋本奈央子です。

 

新型コロナウイルスの感染が広がっていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(2)について見ていきたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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WL:320-20-10

オーストラリアの製造所の査察(2019/5/202019/5/24)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2019/12/5付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、権限のある職員のみが製造指図書原本及びその他の記録の変更を行えることを保証するために、

コンピュータ及び関連システムの適切な管理を実施することを怠った。

<指摘1詳細>

貴社は、局所用OTC医薬品XXの製造を契約している。貴社は、出荷前に製品を試験するために使用さ

れているガス・クロマトグラフィ(GC)の機器の十分な管理が欠けていた。特に貴社は、Empowerクロマ

トグラフィソフトウエアデータシステムを使って日常の分析試験を行っている分析者に管理者の特権を与

えていた。

貴社の医薬品に関連し、Empowerクロマトグラフィソフトウエアの監査証跡のレビュ中、我々査察官は、

貴社が201710月以来、100件以上の試験結果を削除したことを発見した。また、貴社は同じ期間に調

査をせずに100件以上のサンプルの試験を中断した。

貴社の品質システムは、貴社が製造した医薬品の安全性、効能、品質を裏付けるためのデータの精確性と

完全性を保証していない。完全で精確なレコードなしに、貴社は出荷判定、製品の安定性、及びその他の

継続的な品質の保証の基本となる事に関する適切な判断を保証できない。

貴社は回答で、分析者がデータの削除の意味を理解していないことと、貴社のデータ・インテグリティの

教育の欠如に原因があることを認めた。また貴社は、標準操作手順(SOP)の中に監査証跡の定期的な

レビュがなかったと述べた。

貴社は、手順の改訂には、ユーザの管理、管理者特権の割り当て、管理者権限を使える場合の状況のガイ

ダンスを含めるだろうと述べた。しかし、貴社が改訂した手順はまだ、分析者が通常の分析とは分けたフ

ォルダ内に保持する意図の “試験的な作業”を実施することを許している。

これは受け入れられない手順である。医薬品のサンプルの分析から得られる全てのデータは、保持されレ

ビュされることが絶対不可欠である。

貴社は以前に削除されたデータと中断されたサンプルの試験を調査することを約束した。貴社はこの調査

の結果により、さらなるアクションをとるつもりであるとも述べたが、貴社の回答は不十分である。貴社

は、品質への影響がないことを保証するため、または、貴社の試験室で生成された全てのデータのより広

範囲のレビュをすることに責任を持つために、アメリカ市場に販売された製品の全てのロットに関する

GCデータを評価しなかった。貴社の回答は、これに限定されないが、品質管理データの削除につながっ

た行動や判断の発端の評価を含む独立したレビュに欠けている。

貴社は、貴社の将来のデータ・インテグリティの問題を防ぐための改善と経営層の監督の範囲の詳細を提

供しなかった。この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・貴社の試験の活動、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント

 このレビュに基づき、貴社の試験システムの効果を改善し評価するための詳細な計画を提出せよ。

・貴社の品質部門が効果的に機能するために権限とリソースが与えられていることを保証するための包括

的なアセスメントと改善の計画

 そのアセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含めるべきである。

 〇貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの判断

 〇適切な手順の順守を評価するための貴社の作業全体の品質部門の監督の体制

 〇品質部門がロットの処遇を判断する前の各ロットの完全な最終のレビュとそれに関連した情報

 〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための品質部門の監督の調査の承認及び他の全ての職務からの解放

 〇これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に取り組み、継続した管理状態を保証するためのタイムリーなリソースの提供を含んだ、トップの経営層がいかに品質保証と信頼できる作業をサポートするかについても述べよ。

・コンピュータシステムの性能と安全性の包括的で独立したアセスメント

 設計、管理の中の脆弱性を確認するレポートと、以下の要素に取り組む試験室の各コンピュータシステ

ムの詳細な是正処置・予防処置の計画

 〇貴社の試験室で使用される全てのハードウエア(スタンドアロンとネットワークの両方)とソフトウエアのリスト

 〇これに限定されないが、構成設定、管理者の権限、パスワードの管理、監査証跡の機能と、各システムの実装の状態、適格性評価/バリデーションの状態、逸脱の履歴、バックアップの機能、ネットワーク要件、データの記録の完全性、使用目的に関する現在のハードウエア/ソフトウエアの適合性、変更管理、管理者の監督を含む、これら全てのコンピュータシステムの性能と安全性に関する脆弱性の特定と評価

 〇各システムのユーザの権限に関する詳細

  *試験室のコンピュータシステムへのアクセス権を持つ全ての職員の役割と関連する権限を述べよ。

   また、組織的な所属、責任と肩書を提出せよ。管理者権限を持つ全ての職員を明確に述べよ。

  *ラボの試験に関連する貴社の職員について、管理者の権限からの分離をいかに保証するかを十分に

述べよ。管理者権限を持つことを許された全ての職員の役割に関し、特権の範囲とタイプを明確

に述べよ。 

 〇ユニークなユーザ名とパスワードが使用されているかどうかを判断するために各システムを評価せよ。

 〇監査証跡、データ削除の禁止、結果の変更に特に重点を置いた、コンピュータとデータガバナンスに関するポリシーと手順を評価せよ。貴社がデータの削除と、文書化されていない/不適切なデータの修正をいかに防ぐかを明確に述べよ。また、オリジナルのデータと情報が常に保存されていることをいかに保証するかにつても述べよ。監査証跡のレビュの手順を提出せよ。

 〇全ての試験システムのデータの保持とバックアップに関する要件を提出せよ。

 〇全ての品質管理試験が分析者により実施され、分離された権限のある個人(例:ラボの管理者)による二番目のレビュを受けることを貴社がいかに保証するかを述べよ。関連する手順を提出せよ。

 〇CAPAの計画を実施しながら、信頼できる性能と安全性を保障するための貴社の内部の管理についてまとめよ。

 

●指摘2

貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証するた

めに設計された製造と工程管理に関する文書化された手順を制定することを怠った。

<指摘2詳細>

貴社は、貴社の製品を製造するために使用されるXXのような装置の適格性評価をしていなかった。さら

に貴社は、バッチレコードの中で、製造中の各段階で使用されるXXXXを記録していなかった。

医薬品のバッチレコードは、XXXXにおける成分のXXを必要とするが、貴社のXXXXの値を保証せ

ず、XXの保証もせず、代わりに、XXによりXXの範囲XXからXXの最大値XXに一致していると示した。

貴社は回答の中で、装置が意図した使用に適合していることを示すために、タンクXXXXの適格性を評

価をするつもりであると述べた。特に貴社は、タンクXXXXを正確にセット出来ることを保証するた

めにXXの適格性を評価する計画をしている。貴社は、過去のプロセスバリデーションの研究を使用する

ことにより、XXの値の適格性を評価した。

貴社は回答の中で、異なる目盛りの設定でスピードを決定したと述べ、装置が意図した使用に適している

ことを保証するために適格性の検証を実施するつもりであると述べた。貴社の回答は不十分である。貴社

は、もしXXが、プロセスバリデーション中に定められたXXの値で機能しなかった場合の品質(例:XX)

の潜在的な影響を評価していなかった。過去に販売されたロットが、意図した使用に適し、適格性の評価

された装置で製造されたという保証はない。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・貴社の製造及び包装工程が適切な製造基準とパラメータを満たすような、データ駆動型のばらつきを特

定し管理する科学的に合理的な適格性評価プログラム

 プログラムはこれに限定されないが、装置の意図した目的への適合性の評価、投入原料の品質の保証、

各製造工程のステップと管理の能力と信頼性の判断を含むべきである。

・既に販売された貴社の医薬品のアセスメント

 販売された全ての製品で確認された製品の品質リスクに対応するための貴社の計画を提出せよ。

 

●指摘3

貴社は、成分・製品が、同一性、濃度、純度の規格を満たすことを保証するために設計された科学的に

合理的で適切な規格、標準、サンプリング計画、試験手順を含む試験室の管理方法を制定することを怠っ

た。

<指摘3詳細>

貴社は、XXに関する分析の計算を行うために使用されたExcelのスプレッドシートをバリデートするこ

とを怠った。貴社の手順には、計算シートをいかにチェックし手動で検証するかについてのガイダンスが

欠けていた。査察中、我々査察官は、スプレー度シート内に計算エラーを発見した。内部標準のピークエ

リアの平均に関する不正確な式が使われていた。

記録された関連する分析結果が信頼出来て精確である保証はない。

貴社は回答の中で、過去に正しい手順を使って市場にある製品を回顧的に試験していたと述べたうえで、

バリデーションの範囲の中に、スプレッドシートが含まれていることを保証するために、バリデーショ

ン・マスタ・プランを改訂するつもりであると述べた。貴社は、ファイルを偶然の変更から守るだけでな

く、スプレッドシードのバリデーションのアプローチについて詳細に述べた新しい手順を作った。また

貴社は、ロットXXに関する全てのExcelのスプレッドシートの計算は回顧的にレビュされたと述べた。

レビュ中、貴社は、Excelのスプレッドシート内に別のエラーを発見した。ロットXXXXに関する分析

試験結果は有効なピークエリアの書き写し入力エラーにより不正確だった。貴社は新しいスプレッドシー

トを使い、正しい有効なピークエリアの入力をした。結果は再計算され、その最終結果が報告された。

製品は、再計算された試験結果も規格内にあったのだが、正しくない計算を使った試験結果と一緒に既

にリリースされていた。貴社はスプレッドシートがバリデートされるまで計算を手動でチェックすると約

束していた。

貴社は、分析の計算をし、最終のロットリリースのために報告された結果を判断するためのEXCELのスプレッドシートを信頼していた。貴社のコンピュータ化システムは満足のいくように機能を果たさなければいけない。しかも、貴社は継続的で適切なシステムの動作を保証するために文書化されたプログラムを制定しなければならない。

貴社の回答は不十分である。貴社は、重要なCGMPの機能に関し、バリデートされておらず、安全でないスプレッドシートから得られるデータを使用することの潜在的な影響を完全に評価していなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・貴社の試験室の活動、手順、方法、装置、分析者の能力の包括的なレビュ

 レビュに基づき、貴社の試験システムを改善するための詳細なCAPAの計画を提出せよ。貴社の計画

は、実施されるCAPAの計画の効果を評価するために貴社が使用するつもりの手順を含めるべきで

ある。

・文書化の手順が不十分な箇所を判断するために、貴社の製造及び試験の作業全体で使用される文書化シ

ステムの完全なアセスメント

 貴社が作業を通して、帰属可能・判読可能・完結した原本性のある正確で同時に作成した記録を保持す

ることを保証するために、貴社の文書化の手順を包括的に改善する詳細な是正処置・予防処置(CAPA)

計画を含めよ。

 

●受託業者としての責任

医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多くの医薬品製造業者が、製造設備、試

験機関、包装、ラベル貼りのように、独立した受託業者を使用していることを知っている。FDAは受託業

者を製造業者の延長としてみなす。

貴社はプロダクトオーナーとの契約の有無に関わらず、受託製造所として、貴社が製造する医薬品の品質

に責任がある。貴社には、医薬品が安全性、同一性、濃度、品質、純度に関し、FD&C Act

501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証する必要がある。FDAのガイダンス文書Contract

Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。

 

●データ・インテグリティの改善

貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの精確性・完全性を適切に保証していない。CGMPを遵守したデータ・インテグリティの手順を制定して遵守するためのガイダンスとして、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。

我々は、貴社が貴社の作業を監査しFDAの要件を満たす手伝いをするためのコンサルタントを雇っていることを知っている。この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

A.アメリカ市場に販売された医薬品のデータのレビュ結果を含む、データの記録と報告の不正確性の範囲の包括的な調査

  貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。

B.貴社の医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響に関する現在のリスクアセスメント

  貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷により患者に引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきである。

C.グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略

  詳細な是正処置の計画には、貴社が微生物及び分析のデータ、製造記録、FDAに提出する全てのデータを含む貴社によって生成される全てのデータの信頼性と完結性を、貴社がいかに保証するつもりかを述べるべきである。

  

●グリセリンを含む製品

貴社の医薬品XXはグリセリンを含む。ジエチレン・グリコール(DEG)で汚染されたグリセリンの使用は、

世界中の人にさまざまで多大な被害をもたらす可能性のある中毒事件を引き起こす。

グリセリンを含む医薬品を製造する場合、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするためのFDAのガイダン

ス文書Testing of Glycerin for Diethylene Glycolを見よ。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・貴社の医薬品を製造するために使用される全てのグリセリンのロットの保管サンプルの中のDEGEG

 に関する試験結果

・アメリカ市場にある、使用期限内のグリセリンを含む医薬品の完全なリスクアセスメント

 迅速に是正処置・予防処理をとり、供給者の適切な選択、継続的のサプライチェインの精査、適切な入

荷ロットの管理を保証するための貴社の今後のアクションの詳細を述べよ。

 

●未承認新薬の違反

“Thursday Plantation Tea Tree Antiseptic Cream”は、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図

していて、かつ/または、体の構造や機能に影響を与えることを意図しているので“医薬品”にあたる

が、OTCTFMTentative Final Monograph)で提案された状態でないし、臨床試験の記録がないし、ア

メリカ市場内で類似のOTC医薬品で市販されていることを知らない。

“Thursday Plantation Tea Tree Antiseptic Cream”は、科学的専門家の間で安全で効果があると認め

られていないので“新薬”であり、“新薬”はFDAに承認された申請がなければ州際通商の対象にはなら

ないので、販売が禁止されている。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/tismor-health-and-wellness-pty-limited-588104-12052019

 

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WL:320-20-12

アメリカの会社の運営と監督のもとで医薬品を製造しているメキシコの製造所の査察(2019/7/82019/7/12)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関し、アメリカの会社に出された2019/12/13付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、ロットが既に出荷されたかに関わらず、説明のつかない食い違いや規格を満たさないロットまた

はその成分の徹底的な調査を行うことを怠った。

<指摘1詳細>

貴社は、XX CFU/gと同等の高い結果を含み、不合格にしたOTC医薬品XXXX個のロットの規格外

(OOS)の微生物汚染について適切に調査しなかった。しかし一方で、貴社は年次製品レビュの中にこれ

らのOOSの結果を記録した。貴社は、アメリカ市場向けに製造する製品において、再発もしくは微生物汚

染を防ぐために適切な調査をすることを怠った。

我々は、貴社の医薬品の微生物試験は、貴社の契約試験施設により、“修正されたUSP61”と記載されて

いることにも気付いている。貴社の医薬品の微生物試験の文書化された手順は、アメリカ薬局方

(USP)<61>章で定義した微生物試験に関する培養パラメータXXでサンプルの総生菌数に関する培養を指定

しているが、それは貴社の実際の手順と異なっている。医薬品の各ロットが、微生物の品質規格に一致す

るか判断するために適切に試験されることは絶対不可欠である。

貴社は回答の中で、“エラー、OOS、不合格の製品の調査を完全にとらえるために”文書化された手順を

制定するつもりであると述べた。さらに貴社は、“全てのOOSと不合格の製品”を調査すると述べた。

貴社の回答は不十分である。貴社は微生物汚染の源の調査の詳細情報について提出を怠った。また貴社は

微生物汚染により品質が損なわれているかもしれない、既に出荷された製品のロットの対処をしなかっ

た。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・逸脱、食い違い、苦情、OOSの結果、不具合に関する総合的なシステムの包括的なアセスメント

 このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランには、こ

れに限定されないが、調査の能力、範囲の決定、根本原因の評価、是正処置・予防処置(CAPA)の効

果、品質部門の監督、文書化された手順の大幅な改善を含むべきである。また、調査の全ての段階が適

切に実施されていることを貴社がいかに保証するつもりか述べよ。

・総菌数または好ましくない微生物のみつかった全てのロットの完全な調査

 改善された調査は、汚染のもっともありうる根本原因の調査結果を明記すべきである。調査に応じて貴

社がとろうとしている顧客への通知や製品の回収を含むアクションを明記せよ。

・貴社の各医薬品のロットの微生物の出荷基準(すなわち、総菌数、好ましくない微生物を検知するため

のバイオバーデンの確認)

・製品のバイオバーデンの回収や、微生物が製品の意図した使用に関して好ましくないかどうかの判断

や、薬の投与経路、患者(すなわち消費者)の個体数の判断ができるUSP<61><62>に従った微生物試

験の方法

・ロットの処遇の最終判断をする前に、最終製品の規格に一致することを保証するために適格性な方法を

使って各ロットの試験をするという約束

・微生物のコントロールと汚染の防止に重点を置いた貴社の製造作業の包括的なアセスメント

 

●指摘2

貴社は、医薬品の各ロットの製造、加工、包装、保持の各重要なステップの完了の文書化を含む製造指図

記録を作成することを怠った。

<指摘2詳細>

貴社のバッチレコードは、これに限定されないが、充填作業の重要なステップの確認、医薬品製造の重要

な各ステップを行った職員を含む製造の詳細な情報を含んでいない。この文書は、製造工程が一貫して進

められ、再現可能であることを証明するために必要である。

貴社は回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・重要でバリデートされている各ステップを完全に記録していることを示すための貴社の医薬品に関す

る製造指図記録

・文書化手順が不十分かどうかを判断するための貴社の製造作業全体で使用されている文書化システムの

完全なアセスメント

 貴社が作業を通して、帰属可能・判読可能・完結した原本性のある正確で同時に作成した記録を保持す

ることを保証するために、貴社の文書化の手順を包括的に改善する詳細な是正処置・予防処置(CAPA)

計画を含めよ。

 

●指摘3

貴社は、装置の洗浄とメンテナンスに関する文書化された手順を制定することを怠った。

貴社は共有装置を使ってさまざまな医薬品を充填し包装する。貴社は、貴社の医薬品が同じ装置で製造さ

れた他の医薬品によって汚染されていないことを保証するために洗浄手順を適切にバリデートしていなか

った。

貴社は回答の中で、XXに関する作業、保持、洗浄の手順を改訂し、洗浄バリデーションの検証のチェッ

クリストを作成するつもりであると述べた。

貴社は、潜在的な交叉汚染のリスクと、その製品品質への影響と、この共有装置で製造された医薬品の販

売されたロットを評価することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・貴社の製造作業のワーストケースとして特定される状態を組み込むことに特に重点を置いた洗浄バリデ

ーションプログラムの改善

 改善には、これに限定されないが、全てのワーストケースの特定と評価を含めるべきである。

*高い毒性を持つ医薬品

 *高い有効性を持つ医薬品

 *洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品

 *洗浄を難しくする特性を持った医薬品

 *洗浄を最も難しくする部分の拭き取り場所

 *洗浄前の最大保留時間

加えて、新しい製造装置または新しい製品の導入前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順を

述べよ。

・製品、工程、装置に関する洗浄手順を確認しバリデートするため適切なプログラムが整っていることを

保証する改訂されたSOPのサマリ

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR

211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、

適格性のあるコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が

実施してきた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経

営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/baja-fur-sa-de-cv-590791-12132019

 

 

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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

 

2つ目のウォーニングレターの製造指図記録が適切に作られていないというのは、ありえない内容かと思いますが、1つ目のウォーニングレターの

・監査証跡の定期的なレビュがない

Excelのスプレッドシートがバリデートされていない

という指摘は、非常に身近な内容だと思います。

どこの会社様でも、複数のシステムやExcelのスプレッドシートをお使いだと思いますので、この機会に是非、それらの管理について不備がないかを確認していただければと思います。

 

次回は、3/15(日)に配信させていただきます。

 

 

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インターフェックス大阪について

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2020226日~228日のインターフェックス大阪ですが、最終日は新型肺炎の状況を考慮し、出展を急遽中止させていただきました。弊社ブースにお立ち寄りいただきました方には心よりお詫び申し上げます。

また、26日、27日も、ブースの説明員を減らして出展させていただいていたため、十分なご対応ができず

申し訳ございませんでした。