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2020.05.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<194号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
39県について、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除され、少し光が見えてきたと思いたいところです
が、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(2件)について見ていき
たいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-20-18■
中国の製造所の査察(2019/7/15~2019/7/18)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
2020/1/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は出荷前に、製品の各ロットについて、有効成分の同一性・濃度を含む最終規格に一致するかを試験室
で判断することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社はロットの出荷判定の前に、最終製品の重要な品質管理試験を実施することを怠った。例えば、我々
の査察は、貴社のOTC医薬品“Magic Spray for Pain Relief”の各ロットの同一性と濃度の試験が不足して
いることを発見した。
各ロットの完全で適切な試験は、貴社の製造した医薬品が適切な規格を満たしていることを保証するための
たくさんの必須要素の中の1つである。
貴社の職員は査察中、入荷した成分(例:原料)のロットの適合性についても評価しなかったと述べた。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、是正処置・予防処置(CAPA)の効果を評価するための
詳細な計画を提出せよ。
・ロットの処遇を判断する前に医薬品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を含んだ、化学
及び微生物の規格のリスト
規格のリストには以下の情報を含めよ。
〇この文書の日付時点で使用期限内のアメリカに出荷された医薬品の全てのロットの品質を判断するために、
保管サンプルの全ての化学及び微生物試験を実施するための行動計画とタイムライン
〇各ロットの保管サンプルから得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験で品質基準を満たさない医薬品があることが明らかになった場合、顧客への通知や
製品回収などの迅速な是正処置をとれ。
・どの文書化手順が不十分か判断するための、貴社の製造及び試験の作業全体で用いられている文書システム
の完全なアセスメント
貴社が、作業を通じて、帰属可能、判読可能、完全で、原本性があり、正確、同時性のある記録を保持して
いることを保証するために貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を含めよ。
・成分、容器、蓋の全ての供給者が適格で、原材料に適切は有効期限またはリテストの日付が付与されている
かどうか判断するための貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
レビュでは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かどうかの判断も
すべきである。
・貴社が製造に使用するための成分の入荷した各ロットの試験とリリースに使用している化学及び微生物の
品質管理の規格
・貴社が、同一性、濃度、品質、純度に関する規格への一致について、各成分のロットをいかに試験するつもり
かの記述
もし、貴社が、各成分のロットの濃度、品質、純度の試験をする代わりに供給者の分析証明書(COA)の結果を
受け入れるつもりなら、貴社が、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、供給者の
分析結果の信頼性をいかに確実に立証するかを明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、少なく
とも1つの同一性試験を常に実施することを約束せよ。
・各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するために、全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
このCOAのバリデーションプログラムについて説明した貴社のSOPも提出せよ。
●指摘2
貴社は全ての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の承認・不承認を行う責任と権限
を持った適切な品質管理部門を制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、独立して活動している品質部門を定めることを怠った。例えば、貴社は、これに限定されないが以下
の基本的な品質部門の責任を果たすことを怠った:
・全ての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の承認・不承認
・全ての製造及び管理の記録のレビュ
・適切なバッチレコードの作成を確実に行うこと
・全ての医薬品の同一性、濃度、純度、品質に影響を与える手順及び規格の承認
特に、貴社は、適切な製造と試験室の記録が不足していた。貴社は、医薬品のロットが文書化された手順に
従って製造されたことを保証するための適切な管理を証明しなかった。重要な製造記録を利用できなかった
ので、もし欠陥が発生した場合、ロットがリリースされる前に完全に調査されているという保証がない。
さらに、貴社の試験室の技術者は、オリジナルのローデータは定期的に廃棄されると述べた。
貴社の品質部門は、製造部門から独立していなかった。例えば、査察中、製造作業に責任を持つ工場長は品質
の監督者としての役割も果たしていた。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の品質部門が効果的に機能するために権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的な
アセスメントと改善の計画
アセスメントにはこれに限定されないが、以下のことも含めるべきである:
〇貴社で使われている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するための、品質部門による作業全体の監督に関する規定
〇品質部門によるロットの処遇の判断の前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、品質部門による監督と調査の承認 及び
他の全ての職務の免除
・経営陣が、これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に対処し、継続的な管理状態
を保証するためのリソースのタイムリーな提供を含む品質保証と信頼できる作業をいかに支えるかについて
も述べよ。
●指摘3
貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するために策定・
文書化した製造と工程管理の手順を制定することを怠った。
<指摘3詳細>
*製造工程の不十分な管理
貴社には、安定した製造作業を保証するための工程管理のモニタリングに関する継続的なプログラムが
不足している。貴社は、貴社の製造工程が、均一な性質と品質の医薬品を一貫して製造する能力がある
ことを示していなかった。特に、貴社は、OTC医薬品の局所液体スプレー“Magic Spray”の製造工程
をバリデートしていなかった。
査察中、貴社は、バリデーションのプロトコルの記録を提出することを怠り、文書化された製造及び
工程管理の手順が不足していた。
FDAのガイダンス文書“Process Validation : General Principles and Practices”を見よ。
この文書への回答の中で、全ての製品の製造のライフサイクル全体の継続的な管理をより確実にする改善
計画を提出せよ。工程のばらつきの発生源を特定し、作業を含む製造を保証し、適切なパラメータと
品質基準を満たすような、データ駆動型で、科学的に理にかなったプログラムを提出せよ。プログラム
は、これに限定されないが、意図した目的のための装置の適合性の評価、投入する原材料の品質の保証、
各製造工程のステップとその管理の能力と信頼性の判断、工程の性能と製品品質の慎重で継続的なモニタ
リングを含む。また、以下の情報を提出せよ:
・製品のライフサイクルを通じて、管理状態を保証するためのバリデーションプログラムの詳細
継続した管理状態を保証するための、工程の性能適格性評価、ロット内及びロット間のばらつきの継続的
なモニタリングに関する貴社のプログラムについて述べよ。
・貴社が販売している各医薬品の工程の性能適格性評価の実施に関するタイムライン
・工程の性能評価のプロトコル、装置及び設備の適格性評価に関する文書化された手順を含めよ。
・貴社の各製造工程の設計・バリデーション・保全・管理、継続的な管理状態を保証するためのロット内
及びロット間の慎重なモニタリングを含む製造工程のモニタリングの詳細なプログラム
貴社の装置及び設備の適格性評価のプログラムも含めよ。
*XXシステムの不十分な管理
貴社の非専用装置を洗浄するために使用されているXXは、バリデートされていないシステムから生じる。
貴社は、XXの品質が医薬品用に適していると証明しなかった。特に貴社は、XXシステムがXXに関し、
USP(米国薬局方)モノグラフと微生物の上限を満たすXXを一貫して製造することを保証するために、
XXシステムが適切に設計され、管理され、保全され、モニタされていることを立証しなかった。
貴社は、XXシステムのバリデーションの検討を実施することも怠った。貴社は、XXシステムは使用後は止め、
XXが必要とされるときだけ運転すると述べた。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・XXシステムの設計・管理・保全に関する包括的な改善計画
システムの設計と管理が完全に修正された後にのみ実施されたXXシステムのバリデーション報告を
含めよ。システム設計と継続的管理と保全のためのプログラムに対して実施された全ての改善をまとめよ。
・改善されたシステムが一貫してXX、USPモノグラフの規格、微生物の上限を満たす水を精製することを保証
する継続的な管理・保全・モニタリングのためのプログラムを規定した手順
●未承認新薬と虚偽表示の責任
“Magic Spray for Pain Relief”は、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図していて、かつ/または、
体の構造や機能に影響を与えることを意図しているので“医薬品”にあたるが、その説明と表示は
TFM(Tentative Final Monograph)に合わない。
さらに、我々は、“Magic Spray for Pain Relief”が、一般的に、安全でラベルに表示された症状に効果が
あると認められたという判断を裏付ける公表された文献内の適切な臨床試験を知らないし、アメリカ市場で
入手可能、または、説明や表示が類似のOTC医薬品を知らないので、FD&C法201(p)の意味で新薬である。
”新薬“は、FDAに承認された申請がなければ州際通商の対象にはならないので、導入・販売が禁止されて
いる。
“Magic Spray for Pain Relief”は、21 CFR 201.66に従っていないので、虚偽表示である。特に、
薬剤情報を含んでいない。表示上に載せることが求められている情報が目立つように配置されていないし、
購入及び使用の普通の条件下で普通の個人により読まれ理解される状態になっていない。
さらに、医薬品の重大な副作用の報告を受けることのできる国内の住所または電話番号の開示を怠っている
ので、FD&C法、21 U.S.C. 352(x)の502(x)のもとで虚偽表示である。
虚偽表示は、アメリカ国内での販売は禁止され、FD&C法に違反する。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの精確性・完全性を適切
に保証していない。CGMPを遵守したデータ・インテグリティの手順を制定して遵守するためのガイダンスと
して、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社が貴社の改善の手伝いをするための適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。この文書
への回答の中で以下の情報を提供せよ。
A.アメリカ市場に販売された医薬品のデータのレビュ結果を含む、データの記録と報告の不正確性の範囲
の包括的な調査
貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。
B.貴社の医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響に関する現在のリスクアセスメント
貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷により患者に
引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきである。
C.グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略
詳細な是正処置の計画には、貴社が微生物及び分析のデータ、製造記録、FDAに提出される全てのデータ
を含む貴社によって生成される全てのデータの信頼性と完結性を、貴社がいかに保証するつもりかを
述べるべきである。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に
規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
また、我々は、適格性のあるコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、
貴社がFDAのコンプライアンス状態を遵守しようとする前に、貴社が実施してきた全ての是正処置・予防処置
の完了と効果を評価することを勧める。
もし貴社がアメリカへ向けの医薬品の製造と出荷を再開するつもりなら、組織的な改善及びグローバルなアセス
メントと貴社の製造作業の6つのシステム全ての改善を含む包括的な是正処置の情報を提出しなければならない。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣に
は、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関連した製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年11月13日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としての
いかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:
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■WL:320-20-19■
ドイツの製造所の査察(2019/7/15~2019/7/19)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
2020/1/16付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するために
策定・文書化した製造と工程管理の手順を制定することを怠った。また貴社の品質管理部門は、変更を含む
手順のレビュと承認をしなかった。
貴社は、医薬品を製造するために使用される工程を適切にバリデートすることを怠った。
<指摘1詳細>
*不適切な製造工程の管理
貴社は、工程の性能適格性評価の検討を実施せず、アメリカ市場に出荷される製品に関する安定した製造作業
と一貫した製品品質を保証するための工程管理のモニタリングに関する継続的なプログラムも持っていなかった。
貴社のプロセスバリデーションは、最初の生産ロットを試験することと、その後の研究開発(R&D)部門及び
品質保証部門の間のロットを出荷するかどうかの共同判断から成っていた。
さらに、貴社は、合格の結果を得るために、ロットの製造指図から著しく逸脱しなければならなかった。
例えば、XXのバルクのロットに関する規格外(OOS:out-of-specification)の結果は、粘度と密度に関する
合格結果を得るようXXが必要だった。貴社の手順“不整合の管理”は、製品が品質要求を満たさない場合に
根本原因の調査と確認を求めず、合格結果を得るまで、繰り返しの試験と調整を許すので、不適切である。
貴社は回答の中で、以下のように述べた。
・ばらつきのせいで、製造工程は概してバリデートできなかった。かわりに、全ての関連するパラメータは、
測定により管理されている。
・小さな逸脱は、製品の一般的な有用性には影響しないので、許容可能とみなされる。
各製品の適切なプロセスバリデーションを実施することと、調査に関し貴社システムを完全に改善すること
を約束しなかったので、貴社の回答は不十分である。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクルを通じて、工程の設計と管理状態の安定性を評価する。
製造工程の重要な各ステージは、適切に設計され、投入する原材料、中間材料、最終製品の品質を保証しな
ければならない。工程の適格性評価の検討は、初期の管理状態が達成されていたかどうかを判断するもので
ある。
好結果の工程の適格性評価は、商品流通の前に必要である。その後、製品にライフサイクルを通じて、
貴社が安定した製造作業を維持していることを保証するために、継続的で慎重な工程の性能と製品品質
の監視は必要である。
FDAのガイダンス文書“Process Validation : General Principles and Practices”を見よ。
欠陥、OOS、傾向外(OOT : out-of-trend)、その他の予期しない結果と調査の文書化の取扱いに関する更なる
情報は、FDAのガイダンス文書“Investigating Out-of-Specification Test Results for Pharmaceutical Production”
を見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・製品の工程が一貫して規格と製造の標準を満たすよう、全てのばらつきの発生源を特定し管理するデータ
駆動型で科学的に理にかなったプログラムがあることを保証するための医薬品の工程のアセスメント
アセスメントには、これに限定されないが、装置の使用目的への適合性の評価、貴社のモニタリング及び
試験システムの検出能力の十分性、投入原料の品質、製造工程の各段階の手段と管理の信頼性を含む。
・製品のライフサイクルを通じて、関連する手順と共に、管理状態を保証するための、貴社のバリデーション
プログラムの記述
継続的な管理状態を保証するための、工程の性能適格性評価、ロット内及びロット間のばらつきの継続的
なモニタリングに関するプログラムについて述べよ。また、貴社の装置及び設備の適格性評価に関する
プログラムも含めよ。
貴社の工程性能プロトコル、装置と設備の適格性評価に関する文書化された手順を含めよ。
・アメリカ向けに販売される医薬品に関する工程の性能適格性評価の実施に関するタイムライン
・逸脱、不一致、苦情、OOSの結果、不具合の調査に関する総合的なシステムの包括的で独立したアセスメント
このシステムを改善するための詳細な行動計画を提出せよ。貴社の行動計画は、これに限定されないが、
調査能力、調査範囲の決定、根本原因の評価、是正処置・予防処置(CAPA)の効果、品質保証部門の監督、
文書化の手順の大幅な改善を含むべきである。貴社が調査の全てのフェーズで適切に実施されていることを
どのように保証するつもりかについても述べよ。
*不十分なXXシステムの管理
貴社は貴社の医薬品の成分及び製造装置の洗浄のためにXXを使っている。貴社は、XXシステムが、一貫して
USP(米国薬局方)のモノグラフの規格と微生物の上限を満たすXXを製造することを保証するために、XXシステム
が適切に設計され、管理され、保全され、モニタされていることを証明していなかった。貴社のXXシステムは、
XXを製造するためにバリデートされていなかった。また、貴社は、システムから得られるXXの試験も不足して
いた。例えば、貴社は、システムから精製されたXXの伝導度試験を実施していないと認めた。
製剤用のXXは、化学及び微生物的な属性に継続的に一致することを保証するために、用途に適し、定期的に
試験されなければならない。
貴社は回答の中で、現在、XXを製造するための手段がないと認め、可能な代替手段をチェックすることを約束
した。貴社は、XXが貴社の医薬品の製造に使用されることをいかに保証するつもりか述べることを怠ったので、
貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・サンプリング及び消毒の日付を含む過去3年間のXXシステムから得られた全ての微生物のモニタリング試験
の結果
・貴社の医薬品の製造に、適切な品質特性を持ったXXが使用されていることを保証するために実施される予定
の暫定的な手段
・適切なXXシステムを設置して運転するための詳細な改善計画
新しいシステムが、XX、USPモノグラムの規格及び適切な微生物の上限を順守したXXを一貫して製造する
ことを保証するための安定した継続的な管理、保全、モニタリングのプログラムを含めよ。
・適切に設計されたシステムが設置された後に得られたXXシステムに関するバリデーション報告
システムのバリデーションプロトコルと完全な試験結果を含めよ。
・微生物の測定及び微生物同定試験のためにXXシステムから得られるXXのサンプル収集を求める規定を含む、
最新のXXシステムに適用される改善された手順
・貴社が設置した改善されたXXシステムが、XX、USPモノグラムの規格及び適切な微生物の上限(総数と好まし
くない微生物数の両方を含む)を満たすXXを一貫して製造することを保証する継続的な管
理、保全、モニタリングに関する効果的なプログラム
後者に関しては、貴社のXXに関する微生物の総数の上限が貴社で製造される医薬品に使用されることを
考慮して適切であることを保証せよ。
・現在アメリカの流通にある全ての製品のロットの品質に不具合を与えるXXシステムで発見された潜在的な
影響に対処する詳細なリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社がとろうとしている、顧客への通知や製品回収などのアクションを明記
せよ。
●指摘2
貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件と使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用する
目的で策定・文書化した試験プログラムを制定しそれに従うことを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社のOTC医薬品の化学及び微生物上の性質がラベルに表示された使用期限まで許容可能な状態で
あることを示すための適切な安定性試験プログラムを持っていない。
A.貴社は、貴社の製品XXに決められた3年の使用期限を裏付ける長期の安定性試験データを持っていない。
貴社の製品の使用期限は、わずか3ヶ月の加速度試験に基づいていた。貴社の加速度試験のデータは、
適切な間隔でなく、XXの時のみのサンプルを試験しているので、適切でない。さらに、貴社は、3ヶ月の
加速度安定性試験を完了する前にアメリカ市場にXXの業務用サイズのパックを出荷した。
B.貴社の安定性プログラムは、各医薬品の適切な数のロットを含んでいなかった。例えば、貴社の安定性
プログラムは、研究開発の1ロットとXXの商用ロットしか含むんでいなかった。製品のライフサイクル
を通じて安定性プログラムに追加のロットはなかった。
さらに、製造後XXで試験されたXXのロット番号XXの保管サンプルは、XXの量の著しい減少を示した。
貴社は、使用期限を裏付ける他のデータが不足していた。
貴社は回答の中で、アメリカ市場向けにかかる追加の出荷時間により出荷作業を延期できなかったので、
出荷作業と並行して安定性試験を実施しなければならなかったと述べた。貴社はラベルに表示された3年の
使用期限を裏付けるデータもなしに、販売のために製品を出荷したので、貴社の回答は受け入れられない。
貴社は、アメリカ向け製品の安定性試験はXXの安定性試験と追加の測定を盛り込むために改訂されるだろう
と述べた。しかし、貴社はこの件を改善するためのタイムラインを添えたCAPAの計画を提供しなかった。
貴社の加速度安定性試験データに関し、貴社は、“XXの減少を確認したが”、XXに関するXXの濃度が安定
しているので、組成は“十分に安定している“と判断した。貴社は、この件により製品を再形成するつもり
であると加えた。
貴社は、発見されたXXの濃度の減少と、ラベルに表示された3年の有効期限の影響について対処するための
データ付きの説明を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、XXの濃度の低下の調査と、この低下が販売された製品に与える影響のアセスメント
を提出せよ。また、以下の情報を提供せよ。
・貴社の安定性プログラムの精確性を保証するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画
改善されたプログラムには、これに限定されないが、以下のことを含めるべきである:
〇安定性を示す方法
〇出荷が許可される前の容器密閉システムの中の各製品の安定性の検討
〇各製品の代表的なロットについて、宣伝されている使用期限が妥当かどうかを判断するために毎年
安定性プログラムに追加されるような継続的なプログラム
〇各時点で試験されると特定の属性の詳細な定義
・貴社の改訂された安定性プログラムの全ての要素を記述した全ての手順
●指摘3
貴社は、同一性、純度・濃度・品質に関して文書化された全ての規格への一致に関し、各成分のサンプルを
試験することを怠った。また、貴社は、貴社の成分の供給者の分析試験の信頼性を、適切な間隔でバリデート
し、立証することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は入荷した有効成分(API)XXの同一性、純度、その他の品質特性を判断するための試験が不足していた。
さらに、貴社は、適切なバリデーションを通じて供給者の分析の信頼性を立証していなかった。
貴社は、有効成分XXの同一性を確認するために供給者の分析証明書(COA)を信頼してはいけない。
貴社は回答の中で、貴社の全ての原材料は、長年にわたって信頼される供給者から供給されていると述べた。
貴社は、有効成分XXの供給者が適格であることを示すことを怠ったので、貴社の回答は受け入れられない。
さらに、貴社は、有効成分XXの入荷した各ロットについて少なくともXXの同一性試験を実施することを約束
しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・成分、容器、蓋の全ての供給者がそれぞれ適格で、原材料は適切な使用期限またはリテスト日付を割り当て
られているかどうかを判断するための貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
レビュは、入荷した原材料の管理が、不適合な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かどうかも判断
すべきである。
・各成分のロットが、同一性、濃度、品質、純度の全ての規格に一致することをいかにテストするつもりかの
記述
もし貴社が、各成分の同一性、濃度、品質、純度試験をする代わりに供給者のCOAの結果を受け入れるつもり
なら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて供給者の結果の信頼性をいかに確実に
立証するつもりか明記せよ。さらに、入荷した成分のロットのXXに関する少なくともXXの同一性試験を
常に実施するという約束を盛り込め。
・各成分の製造業者かのCOAの信頼性を評価するために、全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社のSOPを含めよ。
・医薬品の製造に使用するためにロットをリリースする前に、ジエチレン・グリコールとエチレン・グリコール
の存在に関して入荷した原材料のグリセリンのロットをいかに試験するかの記述
●グリセリンを含む製品
貴社はグリセリンを含む医薬品を製造している。ジエチレン・グリコールで汚染されたグリセリンの使用は
世界中の人の様々な致死の中毒事件を引き起こした。グリセリンを含む医薬品を製造する場合、CGMP要件を
満たす助けとしてFDAのガイダンス文書“Testing of Glycerin for Diethylene Glycol”を見よ。
●品質システム
貴社の品質システムは不十分である。CGMPの規制要件21 CFR parts 210,211を満たすために、品質システム
とリスクマネジメントアプローチを実装する助けとして
FDAのガイダンス文書“Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations ”を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
もし貴社がアメリカ市場向けに医薬品の製造を再開するつもりなら、貴社で確認した違反の性質に基づき、
我々は貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている
適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
また、我々は、適格性のあるコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、
貴社がFDAのコンプライアンス状態を遵守しようとする前に、貴社が実施してきた全ての是正処置・予防処置
の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣
には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関連した製造所に存在する違反の包括的なリストではない。
貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2020年1月10日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者と
してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:
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まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
1件目の中国の会社への主な指摘事項は①出荷前の試験の不足②品質管理部門の不備③製造・工程管理の
文書化手順の不備。2件目のドイツの会社への主な指摘事項は①製造・工程管理の文書化手順の不備、
品質管理部門の手順のレビュ・承認の不備②安定性試験関連の不備③入荷した有効成分の管理の不備でした。
勝手なイメージかもしれませんが、ドイツの会社にこのような指摘がされるのは少々意外でした。
ただ、概して、安定性試験の管理が手薄になっている会社様は結構多いように思います。また、長年に
わたって付き合いのある原材料の供給者に関する適格性評価が不十分になっているケースもある程度想像
できます。皆様の会社でも同様の不備がないかを、ドイツの会社に対する指摘を参考に再確認されてみる
のもよいのではないでしょうか。
☆次回は、6/1(月)に配信させていただきます。
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『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2020.05.01
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こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
先の見えない新型コロナウイルス問題。
在宅勤務が進む中、医薬品・医療機器の供給を止めないために通常通りの勤務を続け、やっと
ゴールデン(?)ウィークで休めるという方もいらっしゃると思いますが、皆様いかがお過ごしですか?
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(2件)について見ていき
たいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-20-16■
中国の製造所の査察(2019/7/1~2019/7/5)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
2020/1/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は出荷前に、製品の各ロットについて、有効成分の同一性・濃度を含む最終規格に一致するかを
試験室で判断することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社の契約では、特に子供向けを含むOTC医薬品XXを製造することになっている。貴社は、各有効成分
の同一性及び濃度の試験を含む適切な試験をせずに製品を出荷した。例えば貴社は、出荷前に医薬品XX
のラベルに表示された有効成分XXに関する試験を実施しなかった。
出荷前の各ロットの完全な試験は、貴社が製造した医薬品が適切な規格を満たすかどうかを判断するのに
不可欠である。
貴社は回答の中で、医薬品XXのロットXX及びXX、医薬品XXのロットXXに含まれるXXに関するサード
パーティの分析試験結果を提出した。また貴社は、これらの両医薬品に関する今後の出荷前の分析試験
用に、要求事項を加えて改訂された規格を提出した。
貴社の回答は不十分である。貴社の試験は分析に限定されていて、貴社の製造する医薬品のロットXXの
中の有効成分を含むXXの同一性を確認するために、少なくとも1つの試験を指定して実施することを怠
った。さらに貴社は、同一性や分析に関して制定された規格を満たすかどうかを判断するために使用有効
期限内のXXを含む医薬品の全ての保管サンプルを試験することを怠った。また、貴社の回答は、試験手
順、方法、または貴社が実施するつもりの試験(例:同一性、濃度、純度)の詳細な記述に関する十分
な情報を含んでいなかったので、不十分である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・ロットの処遇を決定する前に貴社の製品の各ロットを分析するために使用される試験方法を含む化学
及び微生物の規格のリスト
〇この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに販売された医薬品の全てのロットの品質を判断
するために、保管サンプルの全ての化学及び微生物の試験を実施するための行動計画及びタイムライン
〇各ロットの保管サンプル試験から得られた全ての試験結果のサマリ
もしそれらの試験で貴社の製品が基準未満であると明らかになった場合、顧客への通知や製品の回収
等の迅速な是正処置をとれ。
・貴社の試験業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムの効果を改善し評価するための詳細な計画を提出せよ。
・貴社の代わりに契約試験機関により実施される全ての試験方法が実施前に適切にバリデートされている
ことを保証するための貴社の手順
●指摘2
貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用される入荷した成分の同一性を判断するための試験を実施
することを怠った。例えば、貴社は、有効成分XXの各ロットに関して少なくとも1つの特定の同一性試験
が実施されたことを保証しなかった。
貴社は回答の中で、同一性試験を含めるように、入荷した有効成分(例:XX)に関する規格を改訂したと
述べた。貴社は、原材料XXのロットXXの中に含まれるXXに関するサードパーティの試験室の試験報告の
サンプルに加え、XXの改訂された仕様書のサンプルを提出した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用する全ての成分の同一性を確認
するために少なくとも1つの試験を指定して実施することを怠った。さらに貴社は、同一性に関して制定
された規格を満たすかどうかを判断するために、医薬品の製造に使用される有効成分の保管サンプルの
試験を実施することを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・製造に使用するために、入荷した成分の各ロットを試験しリリースするために使用する化学及び微生物
の品質管理の規格
〇アメリカに販売された使用期限内の医薬品の製造に使用された有効成分の全てのロットの品質を判断
するために、原薬の保管サンプルの全ての化学及び微生物の試験を実施するための行動計画とタイム
ライン
〇原薬の保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験で医薬品の物質の品質が基準未満であると明らかになった場合、顧客への通知や
製品の回収等の迅速な是正処置をとれ。
・同一性、濃度、品質、純度の全ての規格への一致に関して、貴社がいかに各成分の試験を実施するかの
記述
もし貴社が、濃度、品質、純度に関する各成分のロットの試験を実施する代わりに、供給者の分析証明
書(COA)から得られる全ての結果を受け入れるつもりであれば、初期のバリデーション及び定期的な
再バリデーションを通して、供給者の結果の信頼性を貴社がいかに確実に証明するかを明記せよ。さらに、
入荷した成分の各ロットについて少なくとも1つの同一性試験を常に実施する約束を含めよ。
・各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られる結果のサマリ
COAのバリデーションプログラムを説明した標準操作手順(SOP)を含めよ。
・貴社が製造する医薬品を試験する契約施設の適格性を評価し監督するための貴社のプログラムのサマリ
●指摘3
貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件と使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用
する目的で策定・文書化した試験プログラムを制定しそれに従うことを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、ラベルに表示された有効期限を通して、製品の化学及びXXの特性が許容範囲にあることを示す
ための適切な安定性試験プログラムを持っていなかった。貴社は、36ヶ月までの指定された使用期限を
裏付ける適切な安定性データを持っていない。
貴社は回答の中で、新しい医薬品のサンプルについて安定性の加速度試験を3ヶ月から6ヶ月に広げるこ
と、製品に関する36ヶ月の実時間の安定性の義務付け、モニタリングを伴う適切な湿度・温度における
安定性の調査の実施を含む安定性試験の手順の改訂を約束した。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的で独立したアセスメントと予防処置・是正
処置(CAPA)の計画
改訂された貴社のプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである。
〇安定性を示す方法
〇出荷が許可される前の、販売されている容器栓システムによる各医薬品の安定性の調査
〇各製品の代表的なロットについて、宣伝されている使用期限が妥当かどうかを判断するために毎年
安定性プログラムに追加されるような継続的なプログラム
〇貴社の改訂された安定性プログラムの全ての要素を記述した全ての手順
●指摘4
貴社は、貴社が製造した製品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するために
策定・文書化した製造の手順と工程管理を制定することを怠った。
<指摘4詳細>
貴社は貴社の医薬品の製造工程を適切にバリデートすることを怠った。貴社は、貴社の医薬品のうちの
わずか1製品だけのプロセスバリデーションを実施した。しかし、貴社は、異なる処方で多数の有効成分の
大量の医薬品を製造している。査察中、貴社は、各有効成分はその化学的特性が類似し、実際の製造中に
処方を試験し医薬品は規格にあっていたことを述べて、この手順の論理的根拠を提出した。しかし、
上で述べた通り、処方の中の有効成分の1つは、最終製品のロットの試験を怠ったXXであった。
貴社は回答の中で、1製品のプロセスバリデーションを再実施すると約束したが、医薬品の各処方
に関する工程の性能適格性評価(PPQ)の手順や調査報告を提出しなかったので貴社の回答は不十分である。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクルを通じて、工程の設計と管理状態の安定性を評価する
ものである。製造工程の重要なステージは適切に設計され、入荷した原材料、中間材料、最終製品の品質
を保証しなければならない。工程の適格性評価の調査は、初期の管理状態が達成されているかを判断する
ものである。
上首尾の工程の適格性評価の調査は、商品流通の前に必要である。その後、貴社が製品のライフサイクル
を通じて安定した製造作業を維持していることを保証するために、工程の性能と製品品質の継続的で慎重
な監督が必要である。
FDAのガイダンス文書“Process Validation : General Principles and Practices for general principles and approaches”
を見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、貴社のバリデーションプログラムを記述
した、関連手順を添付したサマリ
・貴社の販売されている各製品に関する適切なPPQを実施するためのタイムライン
・貴社の工程の性能と、装置と施設の適格性評価に関する手順と文書化された手順
●指摘5
貴社は、製造、加工、包装、医薬品の保持において、適切な設計、適正なサイズ、意図した使用目的と
洗浄及び保全のための作業を円滑に進められるように適切に設置された装置の使用を怠った。
<指摘5詳細>
貴社は、貴社のXXが使用目的に合い一貫してXXを製造することを保証するために、適切に設計され、
管理され、保持され、モニタされていることを証明しなかった。例えば、XXの適格性評価もXXの定期的な
モニタリングもXXに関するXXのテストを含んでいなかった。
貴社は回答の中で、XXに関するXXのモニタリングとテストの頻度を月に2回に改訂したと述べた。また
貴社は、貴社の代わりにこれらの試験を実施するサードパーティの試験機関から得た試験レポートを提出
した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社のXXシステムが、USP(アメリカ薬局方)モノグラフ及び適切な
微生物規格を一貫して満たす、再現可能な方法でXXを製造する能力があることを示すための提出を怠った。
更に、貴社は、貴社が製造した医薬品における基準を満たさないXXの潜在的な影響を判断するための
リスクアセスメントの実施を怠った。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・貴社のXXの設計、管理、保全に関する包括的で独立したアセスメント
・それから、XXの設計、管理、保全に関する包括的な改善計画
〇改善されたシステムの設計が、XXの、USPモノグラフの規格、微生物の上限を順守しながらXXを一貫
して製造することを評価するためのXXのバリデーションレポートが続く。
システム設計及び、継続的な管理と保全のための全ての改善のサマリも含めよ。
・改善されたシステムが、USPモノグラフの規格、微生物の上限の条件を満たすXXを一貫して製造する
ことを保証する、継続的な管理、保全、モニタリングのプログラムを運営するための手順
・貴社が過去2年間に貴社のXXの試験から得られた化学及び微生物のモニタリング結果をまとめた表
表には以下のことを含めよ:
〇試験された属性に関する規格
〇サンプリングの日付
〇サンプルが収集されたユースポイント(POU)
更に、XX試験中のXXの記述と一緒に、各POUの場所と、それが医薬品の製造でどのように使用されて
いるかの記述を提出せよ。
・現在アメリカで流通している全ての製品のロットの品質において発見されたXXの不具合の潜在的な影響
に対応した詳細なリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社が実施ようとしている、顧客への通知や製品回収などのアクションを
明記せよ。
●グリセリンに関する懸念
貴社が製造する医薬品は原料としてグリセリンを含む。ジエチレン・グリコール(DEG)に汚染された
グリセリンの使用は、世界中の人の致死毒事件を引き起こした。
FDAのガイダンス文書“Testing of Glycerin for Diethylene Glycol”を見よ。
●受託業者としての責任
貴社は、製品のオーナーとの契約に関わらず、受託製造所として貴社が製造する医薬品の品質に責任が
ある。貴社はFD&C Act501(a)(2)(B)に従って医薬品が作られていることを保証することが求められて
いる。FDAのガイダンス文書“Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements”
を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34
に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAとコンプライ
アンス状態を遵守しようとする前に、適格性のあるコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守に
ついて包括的な監査を実施し、貴社の是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年11月8日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者と
してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:
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■WL:320-20-17■
韓国の製造所の査察(2019/7/15~2019/7/17)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
2020/1/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は全ての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、製品の承認・不承認を行う責任と
権限を持った適切な品質管理部門を制定することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、品質管理の職務を実施する適切な品質部門(QU)を制定することを怠った。例えば、貴社は、貴社
のOTC医薬品に関し、分析試験が実施され、その結果が出荷判定前にレビュされていることを保証すること
を怠った。査察時、貴社には、貴社の受託製造所により実施される医薬品製造と試験作業の適切な管理
を行うQUが欠けていた。全ての製造記録と試験結果が適切にレビュされ、承認され、全ての医薬品のロ
ットは、十分な製品品質試験が終わっている時にのみ出荷許可されることを保証するのは貴社の責任で
ある。
さらに、貴社の供給者の監督は不完全である。貴社は、FDAの輸入警告措置66-40がとられている委託
製造業者により製造されたOTC医薬品をアメリカ向けに出荷した。査察中、貴社は、貴社の供給者XXに
FDAの輸入警告措置が取られていることを、査察中に知るまで気づかなかったと述べた。
求められているCGMPの作業を実施するために、適切なリソースと教育された職員を持つことは貴社の
責任である。FDAは、多くの会社が製造設備、試験機関、包装、ラベル貼りのような独立した受託業者を
使用していることを知っている。FDAは受託業者を製造業者の延長としてみなす。
貴社は受託製造所との契約の有無に関わらず、貴社の医薬品の品質に責任がある。貴社には、医薬品が
安全性、同一性、濃度、品質、純度に関し、FD&C Act501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証
する必要がある。
FDAのガイダンス文書“Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements“を見よ。
貴社は回答の中で、貴社の4製品の中の3製品の有効成分について求められている通りに出荷前に試験を
行っていなかったことと、貴社が貴社の医薬品の中の有効成分を分析するためにサードパーティの試験
機関を使用する計画をしていることを認めた。さらに、貴社はFDAの医薬品の規制の理解の不足が、専門
の品質部門を制定していないかった一因だったと述べた。
貴社はまた、貴社の受託製造所がFDAの輸入警告措置を出すに至ったFDAの指摘事項に対処するまで、
アメリカ市場向けに貴社の医薬品の一つであるXXを販売することをやめると約束した。
貴社は、包括的な品質部門を制定するための暫定的な行動計画の詳細を提出しなかったので、貴社の回答
は不十分である。適切なQUなしに、貴社は貴社の医薬品が、安全性、同一性、濃度、純度、品質に関して
求められる規格と製造の基準を満たすことを保証することはできない。
FDAのガイダンス文書“Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations“を見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・貴社のQUが効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するための、包括的
で独立したアセスメントと改善計画
アセスメントはこれに限定されないが以下のことも含むべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
〇適切な手順を忠実に守っていることを評価するための、医薬品の販売を通じたQUの監督に関する規定
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、調査の監督と承認と全ての他のQUの職務の
解放
・アメリカ市場にある貴社の医薬品の回顧的な評価
貴社は、適切な品質の監督不足による潜在的な影響を含む医薬品の品質と患者の安全性のリスクに取り
組むべきであり、全ての逸脱、OOS(規格外)の結果、または、その他の製造品質問題の調査の適切性を
評価すべきである。評価には、品質又は安全性のリスクを持っているかもしれない医薬品に関する全て
の是正処置・予防処置(CAPA)も含めよ。
・ロットの処遇を決定する前に貴社の医薬品の各ロットを分析するために用いられる、試験方法を含む、
化学試験の規格のリスト
これらの分析を実施する予定の全ての委託製造業者の責任を明記せよ。
〇この文書の日付において使用期限内にあるアメリカ市場に販売された医薬品の全てのロットの品質を
判断するために保管サンプルの全ての化学試験を実施するための行動計画とタイムライン
〇各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験で基準を満たしていない品質の医薬品が明らかになったら、顧客への通知や製品
回収などの迅速な是正処置をとれ。
・同一性、濃度、品質、純度の基準を満たすために最終製品の製造に使用される成分の各ロットの継続的
なアセスメントに関する詳細な計画
貴社の供給者の監督が最終製品へのリスクに釣り合っていることをいかに保証するかを明記した供給者
の適格性評価と監査プログラムの詳細を含む、供給者の適格性評価の安定したプログラムを制定する
貴社の計画の要点を述べよ。
●FDAの輸入警告措置66-40を受けた製造業者からの医薬品の購入と販売
我々は、XXを含む貴社の供給者のリストをレビュした。XXはGMPを満たしていない医薬品の物理的試験
のない出荷により、2017年12月27日以来、FDAの輸入警告措置66-40を受けている。輸入警告措置66-40
はFDAの公のウェブサイトで見つけられる。
輸入警告措置66-40は、FDAの査察で、CGMPに従って稼働しておらず、その医薬品が不良であると思われ
ることを明らかにした企業を含む。もし貴社が直接または間接的にCGMPを満たさない組織から供給を
受けているのなら、貴社の医薬品も輸入警告措置の対象になりうる。FDAは、貴社が、CGMPによって要求
されている通りに、貴社の全ての供給者を適切に評価し適格性を評価していることを保証し、必要に
応じて供給源を変更することを勧告する。輸入警告措置66-40を受けているこの供給者の使用は、貴社
の医薬品が不良であると思わせる。
FDAは2019年11月12日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34
に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAとコンプライ
アンス状態を遵守しようとする前に、適格性のあるコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守に
ついて包括的な監査を実施し、貴社の是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年11月12日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者と
してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
出典:
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
1件目は、製品の出荷前の試験・原料の入荷時の試験・安定性試験が不十分、かつ、工程の管理も装置の
管理も不十分という指摘。2件目は、適切な品質部門を制定していない、供給者が輸入警告措置を受けて
いると知らなかったという指摘で、どちらも強烈な内容でした。
新型コロナウイルスの影響で供給者の査察もままならない状況なだけに、こういう指摘を見ると非常に
心配になります。
医薬品の品質は、これまで以上に製薬会社様にかかっているのではないでしょうか。
ついつい注意力も散漫になりがちですが、こんな時だからこそ、定められた手順を忠実に実践していく
必要があると思われます。
☆次回は、5/15(金)に配信させていただきます。
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