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2020.08.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<200号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
とんでもなく暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(3件)について
見ていきたいと思います。
今回のウォーニングレターも、前回同様、特別に難しい要求事項についての不備ではなく、入荷時
や出荷時の試験が不十分であったり、品質部門が機能していなかったりという、ごくごく基本的な
不備に対する指摘です。
皆様の会社の状況と照らし合わせながら、お読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-20-32■
ルーマニアの製造所の査察(2019/9/9~2019/9/13)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2020/3/31付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は出荷前に医薬品の各ロットについて、各有効成分の同一性や濃度を含む製品の最終規格へ
の一致に関し、試験による判断を怠った。
<指摘1詳細>
貴社は直腸鎮痛軟膏と医薬品XXを製造している。貴社は、同一性と濃度の試験を実施せずに製品を
出荷した。例えば貴社は、有効成分:カンフル、ワセリン、XX、ラノリンの同一性と濃度の試験を
せずに出荷した。
出荷前に同一性と濃度に関して各ロットを試験することは、貴社が製造した医薬品が適切な規格を
満たすかどうかを判断するために必須である。
貴社は回答の中で、存在する試験方法に従って、有効成分の試験をするつもりであると述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社には、貴社が製造した製品が規格を満たすことを保証するために、
出荷前に各ロットの濃度と同一性の試験が実施されたことを保証する責任がある。これは、試験
方法が制定されていない場合は、適切な方法を開発することを要求するものである。さらに、貴社
は回答の中で、アメリカに出荷され使用期限内の医薬品の全ての保管サンプルの試験を実施すると
約束しなかった。貴社の回答は、試験手順方法、実施のタイムライン、または、貴社が実施しよう
としている試験の詳細な記述(例:同一性、濃度、純度)を含んでいなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
・出荷判定前に、医薬品の各ロットを分析するために用いられる試験方法を含む、化学及び微生物
の規格の一覧。以下の情報も含めよ。
〇この文書の日付において使用期限内にあるアメリカに出荷された医薬品の全てのロットの品質
を判断するために保管サンプルの全ての化学及び微生物試験を実施するためのアクションプラン
とタイムライン
〇各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ。
もしそれらの試験で医薬品の基準を満たさない品質が明らかになった場合、顧客への通知や
製品の回収など迅速な是正処置をとれ。
・貴社の試験の実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づいて、貴社の試験システムを改善しその効果の評価をするための詳細な計画を
提出せよ。
・貴社の代わりに契約試験機関で実施される全ての試験方法を保証するための、使用前に適切に
バリデートされている貴社の手順
●指摘2
貴社は、同一性と、純度・濃度・品質に関する適切に文書化された全ての規格への一致について、
各成分のサンプルを試験することを怠った。また貴社は、適切な間隔で成分の供給者の分析試験を
バリデートし信頼性を証明することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、同一性、濃度、純度、その他の品質特性に関し、入荷した成分(例:カンフル)の試験を
怠った。代わりに貴社は、適格性を評価していない供給者の分析証明書(COA)を信頼した。
同一性試験は、医薬品の製造に使用する前に各成分について求められている。また貴社は、適切な
間隔での供給者の試験結果のバリデーションを通じてのみ、成分のその他の属性に関するCOAを
信頼することができる。
貴社は回答の中で、貴社の供給者の適格性評価の手順は、受け取った製品が貴社の“購買文書”
に概説された条件に従うかどうかのアセスメントと評価を必要としていると述べた。しかしこの
手順は、貴社が、医薬品の製造に使用する前に受け取った成分が制定した規格を満たすことを証明
するために、化学及び微生物試験を実施することを保証していなかった。貴社は、供給者によって
提供された成分のCOAを受け入れるために医薬品の各成分の同一性を検証するよう少なくとも1つ
の試験を実施するつもりであると述べた。貴社は、入荷した原材料と有効成分の全てのロットに
ついて、使用前に、同一性、純度、“耐性”、品質を試験すると約束した。
貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、貴社が使用前に各成分が同一性、濃度、その他の品質
特性を持っていることをいかに保証するつもりかの十分な記述に欠けていた。また、貴社は試験
方法がバリデートされている、または、使用に適しているというエビデンスも提供しなかった。
さらに、もし貴社が供給者のCOAを信頼することを選ぶなら、貴社は、改訂された手順、または、
貴社がいかに供給者の適格性を評価し、供給者のCOAを検証するかの詳細を提出しなければなら
ない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・成分、容器、蓋の全ての供給者が適格性を評価され、原材料には適切な使用期限またはリテスト
日付が割り当てられているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立
したレビュ
・入荷した成分の各ロットを製造に使用するために試験しリリースするための、貴社が用いる化学
及び微生物の品質管理の規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致に関し、成分の各ロットを以下に試験
するかの記述
もし貴社が各成分のロットの濃度、品質、純度を試験する代わりに、供給者のCOAの全ての結果
を受け入れるつもりなら、貴社は初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて
供給者の分析結果の信頼性をいかに確実に証明するかを明記せよ。さらに、入荷した成分の
各ロットについて少なくとも1つの同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。
・各成分の製造業者から得たCOAの信頼性を評価するために、全ての成分の試験から得られた結果
のサマリこのCOAのバリデーションプログラムを述べた貴社のSOPを含めよ。
●指摘3
貴社は、適切は品質管理部門を制定することを怠り、品質管理部門に適用可能な責任と手順が
文書化され遵守されていなかった。
<指摘3詳細>
貴社の品質部門(QU)は、その権威と/または責任を完全に果たしていなかった。貴社のQUは、貴社
が適切な手順を持つことを保証せず、貴社の製造活動の適切な監督を行わなかった。例えば:
・貴社のQUは、ロットのリリース前に、すべての製造と管理の記録、試験記録の完全なレビュを
実施することを怠った。例えば、製造の職員は、QUの代わりに、製品の出荷許可のために微生物
試験の最終結果を受け取ってレビュし、製造データのシートにサインをした。
・貴社のQUよりむしろジェネラルマネージャが製造と品質に関する手順をレビュし承認している。
QUは、貴社の医薬品の同一性、濃度、品質に影響のある文書や手順の最終的なレビュと承認が
不足していた。
・貴社には、受取、文書化、調査、苦情と重大な有害事象の報告に関する貴社と貴社の顧客である
XXの間の役割と責任を詳しく説明した手順が欠けていた。
貴社は回答の中で、手順にQUの責任者がロットのリリースと出荷判定の最終承認をすることを明記
するつもりであると述べた。また貴社は受取、文書化、苦情と有害事象の調査及び教育の実施に
関する手順のレビュをすることを約束した。
貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、QUの監督の不足と、貴社の医薬品の同一性、濃度、
品質に影響する文書と手順のレビュと承認の不足の影響に適切に対処していなかった。
また、苦情と有害事象への対応方法のせいで、貴社の回答は不十分である。貴社は、契約にてXX
が“正式代表者”であると明記するつもりであると述べたが、貴社の回答は、いかにXXが受け取り、
文書を作成し、調査し、苦情や有害事象を調査するかについての詳細に欠けていたので、不十分で
ある。さらに、貴社に貴社の顧客であるXXとの契約に関わらず、貴社はオーナーとして貴社の
医薬品の品質に責任がある。
この文書への回答の中で、貴社のQUに、独立して効果的に機能をするために、権限とリソースが
与えられていることを保証するために計画された是正処置・予防処置(CAPA)と共に、包括的な
アセスメントを提供せよ。そのアセスメントには、これに限定されないが、以下の情報を提供せよ。
・文書化手順が不十分な場所を判断するための、貴社の製造及び試験の作業全体に用いられる
文書化システムの完全なアセスメント
貴社が貴社の作業のはじめからおわりまで、帰属可能、判別可能、完全で、オリジナルで、正確
で同時性のある記録を保持することを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する
詳細なCAPAの計画を含めよ。
・貴社が使用する手順が安定していて適切かどうかの判断
・適切な手順の順守を評価するための貴社の作業全体にわたるQUの監視の規定
・QUの出荷判定の前の各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
・全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、調査の監督と承認及び、QUのその他
のすべての職務からの解放
●未承認の新薬の違反
XXは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図していて、かつ/または、体の構造や機能に影響
を与えることを意図しているので“医薬品”にあたる。
これに限定されないが、以下の記述は、製品のラベルの記述の例は、意図した使用のエビデンスで
ある:
“かゆさと不快感を救う。。。一時的に痛みをやわらげる。”
XXのような直腸用の医薬品として使用するOTC医薬品は、ヒト用OTC直腸医薬品の最終ルールの規制
の対象となる。しかし、XXは、以下の説明の通り、この最終ルールに則ったラベルの表示や説明が
されていない。
XXの処方は、直腸用の医薬品用に認められていない有効成分を含む。さらに、我々は、説明され、
ラベルに表示された通りにXXが安全で効能があると一般的に認められていることを示す十分なエビ
デンスを知らない。それ故にこの製品は新薬であり、アメリカで合法的に販売されていないかも
しれない。
XXはFDAの承認申請の対象ではないので、この製品の現在の売買はFD&C Actに違反する。そのよう
な製品の州間取引への導入はFD&C Actで禁止されている。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするため
に21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社
の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2020年3月17日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造
業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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■WL:320-20-33■
インドの製造所の査察(2019/10/15~2019/10/22)でみつかった医薬品及び原薬製造における重大
なCGMP違反に関する2020/4/15付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
■最終製品の違反
●指摘1
貴社は、権限のある職員のみが製造指図書原本またはその他の記録の変更を行うことを保証する
ために、コンピュータもしくは関連システムの適切な管理を実施することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、原薬及び医薬品の両方を分析する契約試験機関としてのサービスを提供している。貴社
は、このFDAの査察が通知された2019年10月11日もしくはその頃まで、高速液体クロマトグラフィ
(HPLC)の監査証跡機能を有効にしていなかった。貴社の分析者は査察中、HPLCの監査証跡機能
を2019年10月まで有効にしていなかったと認めた。これは、FDAの2016年8月の査察での所見の
繰り返しだった。
監査証跡をインストールするという査察後の文書化された約束にも関わらず、貴社は、HPLCを
含む多数の分析機器の監査証跡機能を有効にすることを怠った。
顧客は医薬品の品質に関する判断をするために貴社が生成する試験データの完全性を信頼して
いる。貴社の電子記録の全ての情報の追加、削除、変更が承認され適切に文書化されていること
を保証するために、CGMPの電子データは厳格な管理が維持されていることが重要である。
貴社は回答の中で、貴社の唯一の是正処置は、“装置の適切な動作のために定期的な検査を実施”
するよう機器の技術者を指名することだった。貴社が監査証跡の有効状態を維持し、貴社の
データの完全性が損なわれないようにすることを保証するために貴社が実施しようとしている
管理を記述することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下御の情報を提供せよ:
・貴社の試験の実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を
提出せよ。
●指摘2
貴社は、品質管理部門に適用可能な適切に文書化された責任と手順を制定し、それらの手順に
従うことを怠った。
<指摘2詳細>
貴社の品質部門(QU)は貴社の試験室の職員が文書化された手順に従うことを保証することを
怠った。例えば、我々の査察官は、2019年3月から2019年9月の間に試験された少なくともXX個の
規格外(OOS)の結果のサンプルが、貴社の手順で要求されている通りに調査されていないことを
発見した。品質保証の長は、査察中に我々査察官に、顧客の要求に基づいてのみ不具合が調査
されると告げた。更に、我々査察官は、分析のログブックと試験結果のレビュに関して守られて
いない手順を発見した。
これらの所見には、以下のことを含む:
・オリジナルの値の上の、接着した新しい紙で覆われた文書の誤り
・同時に記録されていない試験
・“サンプル記録一覧表”に入力されていないサンプルのID
・最終の試験結果を公開する前にレビュされていない、分析試験情報を裏付ける電子データ
貴社は回答の中で、OOSに関する手順は守られていなかったが、ゆくゆくは全てのOOSの結果は、
根本原因を特定するために調査されるだろうと述べた。さらに、貴社は、貴社の分析者のため
に、もっとCGMP文書の作成手順の教育を実施することを約束したOOS手順の順守の欠如と商用出荷
のために試験した製品の貧弱な文書化手順についてのリスクアセスメントの実施を怠っている
ので貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・文書化手順のどこか不十分かを判断するための、貴社の製造及び試験作業を通じて使用されて
いる文書システムの回顧的で独立したリスクアセスメント
貴社が、帰属可能・判読可能・完全・オリジナル・正確・同時性のある記録を貴社の作業全体
を通じて保持していることを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細な
CAPAの計画を含めよ。リスクアセスメントの結果に応じて貴社がとろうとしている、顧客への
通用のようなアクションを明記せよ。
・全ての試験に関する全てのOOSの結果の回顧的で独立したレビュ
査察初日より過去3年間のアメリカ市場向けの製品を特定し、各OOSに関する以下のことを含む
分析結果を確認せよ。
〇回顧的レビュによりみつかった全てのOOSの結果に関し、可能性のある根本原因を特定し、
貴社の顧客が不具合を通知されているかどうかを示せ。
オリジナルの試験、試験日、試験結果、顧客、調査を開始した理由も含めよ。
・試験の不適合を通知された時の顧客から得た文書の回答
・QUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための改善計画の
包括的なアセスメント
アセスメントにはこれに限定されないが、以下のことを含めよ:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するために貴社作業のあらゆる箇所をQUで監視するための規定
〇QUのロットの処遇の判断の前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、調査の監督と承認及び、QUの
その他のすべての職務からの解放
●規格外の試験結果
不合格、規格外、傾向外、その他の予期せぬ結果と調査の文書化に関する更なる情報については、
FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production
を見よ。
●品質システム
貴社の品質システムは不適切である。CGMPの規制21 CFR part210, 211を満たすための品質システム
とリスクマネジメントの実装の助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
■原薬の逸脱
3.貴社の原材料と原薬が、品質と/または純度に関して制定された規格に一致することを保証する
ために全ての試験規格が科学的に理にかなって適切であることを保証することの不履行
我々査察官は、分析に先立つシステムの適合性試験の完了がしていない分析機器で試験された
アメリカ薬局方(USP)のラベルが貼られた原材料の複数事例を発見した。例えば、2019年1月15日に
システムの適合性試験の確認なしに、USP XXのサンプルのロットXXは原子吸光分析装置を使って
試験された。これは、FDAの2016年8月の査察での所見の繰り返しだった。
前の査察後、貴社はUSP試験の分析の前に、全ての分析機器の必要なものはすべてシステムの適合性
試験を実施することを約束した。さらに貴社は、分析証明書を発行する前に試験室で試験方法を
文書化することを怠った。貴社には、USPのラベルが貼られた製品がUSPの方法で試験されたことを
裏付ける文書が不足している。
システムの適合性試験は、細かい要件を満たしているかを判断し、分析機器がサンプルの分析の前
に意図した試験に合っていることを保証する。機器が適切に機能しない場合、サンプルが誤って
合格になる可能性を防ぐために貴社のシステムが目的に合っていると示すことは重要である。
顧客は製品とその成分の品質についての重要な情報に関し、貴社の試験データを信じる。従って、
貴社の分析機器が使用目的にあっていることと、貴社の顧客が適切な判断(例:バッチの出荷)を
することを可能にするために貴社が適切な試験方法を使用していることが重要である。
貴社は回答で、分析の前に貴社の試験機器のシステム適合性試験を実施すると約束した。更に
貴社は、分析を実施する前に方法の検証を実施する必要性を顧客に通知することを約束した。
貴社の回答は、装置が適していて、方法が製品を試験し続ける間安定していることを保証する
ための当座の方策が欠けていた。
更に貴社は、システム適合性試験をせずに実施されたUSP試験に関するリスクアセスメントを実施
しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・試験方法を文書化せず、試験前に分析機器のシステム適合性試験を実施せずに顧客に有効成分
と製品のUSP試験結果を提供するにことにより引き起こされる危険に対処した回顧的で独立した
リスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社が実施する予定の、顧客への通知等のアクションについて明記
せよ。
・貴社の試験の実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づいて、貴社の試験システムの詳細な改善の計画とその効果の評価を提出せよ。
このアセスメントにはこれに限定されないが以下の情報を提供せよ:
〇貴社の試験機器について、分析前に行うシステム適合性試験に関する貴社の手順
〇貴社の試験室内で実施される現在及び新しい試験方法の検証に関する貴社の手順
〇貴社と貴社の顧客の間で実施する方法の検証の責任の規定に関する貴社の手順
●製造所における繰り返しの所見
2016年8月2日~5日の前の査察において、FDAは同様のCGMPの所見を挙げた。貴社は回答の中で
これらの所見に関する改善を提案した。
繰り返される不具合は、医薬品の製造に関する経営時の監督と管理が不十分であることを示して
いる。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反と逸脱の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いを
するために21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
貴社の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が
残る。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・
完全性を適切に保証していない。CGMPのデータ・インテグリティの手順を定め、それに従う
ために、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社の改善を支援する適切なコンサルタントを使用することを勧める。
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。
A.データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査
調査には下記を含めよ。
・調査手順と方法論の詳細:アセスメントの対象となる全ての試験室とシステムの概要、貴社が
除外を検討している作業の正当性を示す理由
・データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接
我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。
・貴社の設備におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント
データの省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。
貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての設備の操作を述べよ。
・試験データのインテグリティの欠陥の性質についての包括的な回顧的評価
我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識をもった適格な第三者が、すべてのデータ・
インテグリティの欠陥について評価することを推奨する。
B.商用の出荷のために貴社が試験した薬の品質で発見された問題に関する影響の可能性に
ついての現在のリスクアセスメント
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた
患者のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略
貴社の戦略には下記のことを含めよ。
・分析データ、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性と網羅性
を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた是正処置計画の詳細
・現在の行動計画の範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合うこと
を示すエビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述
データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データに
依然影響を与えるかどうかを示すこと。
・顧客への通知、追加試験の実施のような、患者を保護し、薬の品質を保証するためにとられた
処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段
・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、
システム、経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の改善)の強化を述べた長期的手段
・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告
●結論
この文書で挙げた違反や逸脱は、貴社の製造所に存在する違反や逸脱の包括的なリストではない。
貴社には、これらの違反や逸脱を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反や逸脱を
防止する責任がある。
貴社が全ての逸脱や違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認する
まで、FDAはいかなる新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。
出典:
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■WL:320-20-34■
インドの製造所の査察(2019/11/11~2019/11/14)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2020/4/23付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、適切な設計、十分なサイズ、使用目的と洗浄や保全のための作業を円滑に進めるために
適切に配置された装置を使用することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、XXを治療することを目的としたOTC局所薬を製造している。貴社は、この医薬品の成分と
して、貴社の製造所で製造されたXXを使っている。貴社のXXシステムは、その使用目的にあった
XXを一貫して製造することを保証するために、適切に設計・保全・モニタされていなかった。
〇不適切なXXシステムの設計特性と保全
貴社のXX分配システムは、菌膜を育てる可能性のあるの多数の設計の不備と適切な保全の欠如が
あった。例えば:
・貴社は我々査察官に、使用しない時はXXシステムを止めると言った。
・貴社の保全記録は、XXは2014年8月に最後に変えられたことを示している。
・貴社のXXは、使用中盛んに漏れているのがみつかった。
・貴社の洗浄手順は貴社の保管タンクの消毒方法に適切に対応していなかった。
〇不適切なXXシステムのモニタリング
貴社のXXシステムの試験の手順は、化学的な分析のための使用ポイントのXXのサンプリングと微生物
の分析のためのXXのサンプリングを必要としていた。貴社のXXのサンプリングの間隔は、製造活動の
ためにそれを使う前にXXが規格を満たすことを保証するのに不十分であった。
貴社は回答の中で、製品の微生物試験の結果を提出した。貴社の回答は不十分である。貴社の製品の
微生物のリリース試験の結果は、不十分に設計されて維持されているXXシステムを補うのには使え
ない。
さらに、貴社はバイオバーデンを管理するためにシステムを設計しなかったと述べた。しかし、
貴社は微生物負荷を管理するためにXXシステムのろ過部品とXXの消毒プログラムに頼っているとも
述べた。また貴社は、必要とされる設計変更、変更の実施、システムの再バリデートを特定するため
にXXシステムを評価することを約束した。
貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、XXからの漏れや、継続的な循環の欠如に対処していな
かった。貴社の回答は、これに限らないが消毒プログラムを含む全体的な保全プログラムの科学的
な詳細も不足している。
また、貴社はXXの基準でXXは試験されたと述べたが、貴社の回答に含まれている改訂されたサンプ
リングプログラムは、貴社の微生物のモニタリングの間隔を改訂していない。貴社のサンプリング
の間隔は不十分なままである。貴社の医薬品のために、それを成分として使用するために貴社のXX
が制定された限度を満たすことを保証するために、XXシステムを貴社が使用する全てポイントで
もっと頻繁に微生物のモニタリングをすることが必要である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・XXシステムの設計、管理、維持に関する包括的な改善計画
・XXシステムのバリデーションレポート
システムの設計に対してされた全ての改善(例:新しく設された装置、たまり場の除去)や、継続的
な管理や維持のためにプログラムに対してされた全ての改善のサマリ
・このシステムが貴社の各製品や原薬のための使用目的にあったXXを製造しているかどうかをモニタ
するための微生物総数や好ましくない微生物の限界
・現在アメリカに販売されている医薬品の全てのロットの品質への不適切なモニタリングの影響の
詳細のリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社がとろうとしている、顧客への通知や製品の回収などのアク
ションを明記せよ。
・貴社で製造される医薬品の各ロットへの使用の適合性を保証するために、XXの使用ポイントの定期
的な微生物試験を明記した貴社のXXシステムのモニタリングの手順
・改善されたシステムが一貫してXX、USPの規格、微生物の限度を満たすXXを一貫して製造すること
を保証する、継続的な管理、保全、モニタリングに関する貴社のプログラムを運用する手順
・貴社のXXの試験方法に焦点をおいた試験の手順と能力の包括的で独立したレビュ
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善しその効果を評価するための詳細な計画を提出
せよ。
●指摘2
貴社は、同一性と、純度、濃度、品質に関して文書化された全ての規格への一致について、各成分
のサンプルを試験することを怠った。また貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性
をバリデートし、立証することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、入荷した成分(例:XX)の同一性を試験することを怠った。同一性の試験は、医薬品の製造
に使用する前に、各成分に求められている。例えば、貴社はXXの製造に使用されるXXについて、
同一性試験を実施しなかった。
さらに貴社は、貴社の医薬品の成分として、XXの工業用のグレードを使用した。貴社は、医薬品の
製造に使用する前に、XXの入荷ロットについてジエチレン・グリコール(DEG)の存在とXXに関する
分析を怠った。貴社のXXの供給者の分析証明書はDEGに関する試験を含んでいなかった。
DEGの汚染は、世界中の人の死に至るさまざまな事象を引き起こしてきた。グリセリンを含む医薬品
を製造する場合にCGMPの要件を満たす助けとして、
FDAのガイダンス文書Testing for Glycerin for Diethylene Glycolを見よ。
貴社は回答の中で、全ての原材料の規格の見直しを行い、同一性試験を含むよう規格を改訂すると
約束した。また、貴社は、DEGの不純物試験と、XXのXX以下 (NMT:Not More Than)という規格の
不純物の試験を含めるよう規格を改訂した。さらに、関連する物質の不純物に関し、貴社は、
アメリカに販売されたロットの評価を行うと約束した。最後に、貴社は、受け取った分析証明書の
信頼性を検証するために、全ての原材料(成分)の製造業者と関連する供給者の適格性評価を求める
ように、ベンダの適格性評価手順を改訂した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、使用期限内に製品のロットが期待される品質であることを
保証するために保管サンプルの全ての成分のロットを試験すると約束しなかった。さらに貴社は、
規格を満たさない成分のロットに関するアクションプランを提出しなかった。最後に、貴社のDEG
とXXに関する規格は、現在のUSPのNMTと違っている。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・成分、容器、蓋の全ての供給者の適格性が評価され、原材料に適切な使用期限またはリテスト日
が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的なレビュ
このレビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切か
どうかも判断すべきである。
・製造に使用する前に、成分の入荷ロットの処遇を決定するために貴社が使用する化学及び微生物
の品質管理の規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する規格への一致について、各成分のロットをいかにテストする
かの記述
もし貴社が、濃度、品質、純度に関して各成分のロットを試験する代わりに供給者の分析証明書
の結果を受け入れるつもりなら、いかに貴社が初期のバリデーションと定期的な再バリデー
ションを通じて、供給者の分析結果の信頼性を確実に検証するかを明記せよ。さらに、入荷した
成分のロットについて、少なくとも1つの同一性試験を常に実施することの約束を含めよ。
・原材料の各製造業者から得た分析証明書をバリデートするための全ての入荷した成分の包括的
な試験から得られた試験結果のサマリ
・この先、医薬品グレードのみ使用するという約束
・貴社の医薬品を製造するために使用されたXXの全てのロットの保管サンプルのDEG及びXXの試験
結果
・XXを含み、アメリカ市場にある使用期限内の医薬品に関する完全なリスクアセスメント
迅速な是正処置・予防処置をとり、貴社の供給者の適切な選択、サプライチェインの継続的な
監視、適切な入荷ロットの管理を保証するための貴社の将来のアクションについて詳細を述べよ。
・アメリカ市場にある使用期限内で、同一性試験をしない成分ロットで製造された医薬品の完全な
リスクアセスメント
迅速な是正処置・予防処置をとり、貴社の供給者の適切な選択、サプライチェインの継続的な
監視、適切な入荷ロットの管理を保証するための貴社の将来のアクションについて詳細を述べよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社
の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、
FDAはいかなる新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
冒頭にも書きましたが、今回取り上げたウォーニングレターも前回同様、基本的な不備を指摘する
ものでした。また3件のうち2件は、ALCOA(Attributable, Legible, Contemporaneous, Original, Accurate)
を満たしていないという、データ・インテグリティに関する指摘であり、特に2件目は、システム
の監査証跡の機能を有効にしていないという指摘でした。
身近な内容ですので、是非参考にしてみていただければと思います。
☆次回は、9/1(火)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールをお願い
いたします。
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2020.08.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<199号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
例年とは全く違う夏を迎えていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(3件)について見ていき
たいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■WL:320-20-29■
デンマークの製造所の査察(2019/9/16~2019/9/19)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
2020/3/10付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は出荷前に医薬品の各ロットについて、各有効成分の同一性や濃度を含む製品の最終規格への一致に関し、
試験による判断を怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、OTC医薬品XXについて、出荷前に有効成分の同一性と濃度に関する試験を怠った。この医薬品は子供用
と表示されている。貴社が製造した医薬品が、使用目的にあった所定の全ての品質特性に一致することを保証
するためには試験は不可欠である。製品の各ロットに関する適切な試験が欠けているので、貴社は、製品が
全ての規格に一致するかどうか知らないし、消費者への出荷に適しているかもわからない。
この文書への回答の中で、貴社は今後の出荷ではXXの分析/有効性の試験を含める予定であると述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社はアメリカの商品流通用に出荷されたロットについて、保管サンプルの試験
など、以前に出荷されたロットに対応することを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の試験の実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力についての包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。
・ロットの出荷判断をする前に医薬品の各ロットを分析するのに使用されている試験方法を含む化学及び
微生物の規格の最新の一覧
・このウォーニングレターの日付時点で使用期限内にあるアメリカへ販売された医薬品の全てのロットの品質
を判断するために、保管サンプルの全ての化学及び微生物試験を実施するためのアクションプランとタイム
ライン
・各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験で、基準を満たさない品質の医薬品の存在が明らかになった場合、顧客への通知や製品の
回収などの速やかな是正処置をとれ。
●指摘2
貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。また貴社
は、適切な間隔で成分の供給者をバリデートし信頼性を証明することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、XXの製造に使用する成分として原材料XXを受け入れる。この原材料は、最終製品内の有効成分XXを
含むXXである。貴社は、供給者の分析証明書と一緒にこの原材料を受け入れているが、貴社は、最終製品の
製造に使用される前に同一性の確認を含む受入時の分析を実施したことがなかった。また、貴社は、適切な
間隔で成分の供給者の分析試験の信頼性を検証せずに供給者の分析証明書を信頼した。
査察中、貴社は、原材料は品質部門によりサンプリングされるが完全には試験されず、外観試験のみ実施され
ていると述べた。さらに貴社は、この成分の供給者は適格性が評価されているので、この原材料の入荷試験を
実施しなかったと述べた。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・成分、容器、蓋の全ての供給者の適格性が評価され、原材料に適切な使用期限またはリテスト日が付与され
ているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的なレビュ
このレビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かどうかも判断
すべきである。
・製造に使用するために、成分の入荷ロットを試験しリリースするのに貴社が使用する化学及び微生物の
品質管理の規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する規格への一致について、各成分のロットをいかにテストするかの記述
もし貴社が、濃度、品質、純度に関して各成分のロットを試験する代わりに供給者の分析証明書の結果を
受け入れるつもりなら、いかに貴社が初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、供給者
の分析結果の信頼性を確実に検証するかを明記せよ。さらに、入荷した成分のロットについて、少なくとも
1つの同一性試験を常に実施することの約束を含めよ。
●指摘3
貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされている同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証する
ために設計し文書化された製造手順と工程管理を制定することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、出荷前に、貴社の医薬品XXを製造するために使用される工程をバリデートしなかった。査察中、貴社
は、我々査察官に、XXの製造に関しXXのバッチサイズがあるが、どのバッチサイズもバリデートされていない
と話した。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクル全体で、工程の設計と管理状態の安定性を評価する。製造
工程の重要なステージは、適切に設計され、原材料、中間材料、最終製品の品質を保証しなければならない。
プロセスバリデーションの検証は、初期の管理状態が確立されているかどうかを判断する。商品流通の前に、
上首尾のプロセスバリデーションの検証が必要である。その後は、製品のライフサイクルを通じて安定した
製造作業が維持されることを保証するために、工程性能と製品品質の継続的で慎重な監視が必要である。
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチについて、FDAのガイドライン
文書:General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じて、関連する手順と共に管理状態を保証するための、貴社のバリデーション
プログラムの詳細なサマリ
工程の性能適格性評価(PPQ : Process Performance Qualification)と、ロット間及びロット内のばらつき
の継続的なモニタリングに関する貴社のプログラムを述べよ。
・貴社の市販されている製品の各ロットについてのPPQを実施するためのタイムライン
貴社の装置と設備の適格性評価をするための工程性能プロトコルと文書化された手順を含めよ。
・継続的な管理状態を保証するための、ロット間及びロット内のばらつきの慎重なモニタリングを含む製造
工程の設計・バリデーション・保持・管理・モニタリングに関する詳細なプログラム
また、貴社の装置と設備の適格性評価に関する貴社のプログラムを含めよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAと
コンプライアンス状態を遵守しようとする前に、適格性のあるコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP
順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施してきた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価する
ことを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣に
は、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの違反
を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2020年3月9 日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者として
のいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■WL:320-20-30■
中国の製造所の査察(2019/9/11~2019/9/17)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
2020/3/13付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、好ましくない微生物が無いことが求められる製品の各ロットについて、必要に応じて試験室の試験を
実施することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社の契約は、OTC医薬品XXを製造することになっている。貴社はこれらの製品をそれらが好ましくない微生物
を含まないことを保証せずに出荷した。
さらに、貴社の製品は、貴社が微生物の汚染をモニタすることを怠っているXXで形成されている。不十分に
管理されているXXシステムは、貴社の製品に汚染をもたらす可能性のある好ましくない微生物を寄生させる
可能性がある。
各ロットの微生物試験は、医薬品が好ましくない微生物を含まず、出荷に適していることを保証する一連の
CGMPの最後の管理である。
この文書への回答の中で、貴社は貴社のOTC医薬品に関する規格を制定するつもりであると述べた。しかし、
貴社が制定した規格は適切であるという十分な論理的根拠を提出しなかったので、貴社の回答は不十分で
ある。
さらに貴社は、現在使用期限内のアメリカ市場内にあるOTC医薬品の回顧的レビュとリスク評価を実施しな
かった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・貴社のXXシステムに限定されない、全ての微生物の危険に関する詳細で徹底したレビュを含む、貴社の製造
作業の設計と管理の包括的で独立したアセスメント
・好ましくない汚染の可能性がある医薬品を販売することにより引き起こされる危険を考慮した詳細なリスク
アセスメント
顧客への通知や製品の回収等、リスクアセスメントの結果に応じて貴社がとる予定のアクションを明記せよ。
・貴社の各医薬品を分析するために用いられている全ての化学及び微生物試験の方法
・貴社の各医薬品の微生物に関するロットのリリースの規格(即ち、総数、好ましくない微生物を検知する
ためのバイオバーデンの確認)
・使用期限内の全ての医薬品の保管サンプルの試験から得られた結果のサマリ
貴社は、これに限定されないが、有効成分の同一性、濃度、微生物の品質(総数、好ましくない微生物を
検知するためのバイオバーデンの確認)を含む全ての品質特性を試験するべきである。もし試験で、
規格外(OOS :Out-Of-Specification)の試験結果が得られたら、顧客への通知や回収の開始など、
貴社がとる予定の是正処置を示せ。
・システムがUSPモノグラフの規格XXと、適切な微生物の許容限度を満たすXXを一貫して製造することを保証
する、継続的な管理、保全、モニタリングに関するプログラムを運用する手順
・過去2年間に貴社のXXシステムの試験で収集した化学及び微生物のモニタリングに関する表形式のサマリ
表には以下のことを含めよ:
〇試験された属性の規格
〇サンプリングの日付
〇サンプルが収集されたユースポイント
●指摘2
貴社は、同一性と、全ての文書化された純度、濃度、品質の規格への一致について、各成分のサンプルの試験
をすることを怠った。また、貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性をバリデート
し、検証することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、有効成分を含む入荷した成分について、同一性、濃度、純度、その他の品質特性に関し、試験を適切
に行うことを怠った。代わりに、貴社は、適格性を評価していない供給者の分析証明書(COA)を信頼した。
医薬品の製造に使用される各成分のロットの同一性試験が必要で、貴社は、適切な間隔で供給者の試験結果を
適切にバリデートすることにより、同一性以外の成分の特性についてはCOAを信頼することができる。さらに
入荷した有効成分のCOAは微生物試験が不足している。
貴社は回答で、供給者が送る“各成分のパーセンテージのレポート”を保証するつもりであると述べている。
しかし、供給者のバリデーションプログラム、または、入荷した成分の積荷のロットの試験を行う計画に
関する詳細な記述が不足していたので、貴社の回答は不十分である。さらに貴社の回答は、制定された規格に
一致することを保証するための試験を適切に実施していない成分を含む、アメリカ市場に出荷されたOTC医薬品
の回顧的なアセスメントに取り組んでいなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・製造に使用するために、入荷した成分の各ロットを試験しリリースするための化学及び微生物の品質管理規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致について、各成分のロットをいかに試験するかの記述
もし、貴社が濃度、品質、純度について各成分のロットの試験をする代わりに、供給者の分析証明書の結果を
受け入れるつもりであれば、貴社がいかに初期のバリデーションと定期的な再バリデーションにより供給者の
結果の信頼性を確実に確認するつもりかを明記せよ。さらに、入荷した各成分のロットについて、少なくとも
1つの同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。
・各成分の製造業者から得た分析証明書の信頼性を評価するために実施した、全ての成分の試験から得られた
結果のサマリ
・貴社の製造した医薬品を試験する契約機関の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ
・貴社の試験の実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的なアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。
●指摘3
貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされている同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証する
ために設計し文書化された製造手順と工程管理を制定することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は貴社の医薬品を製造するために使用される工程をバリデートすることを怠った。貴社は、工程の適格性
評価もしていないし、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための工程管理をモニタリングする
ための厳格で継続的なプログラムを持っていない。
貴社は回答の中で、“特性のばらつきを管理するための工程に関する操作ガイド”のドラフトを作成するつもり
であると述べた。貴社は、安定して一貫した工程を保証するための工程に関するバリデーションプログラムの
詳細を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。また、貴社は、前に製造された製品が、適切な工程な
工程管理のもとで製造されたことを保証するための計画を検討しなかった。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクル全体で、工程の設計と管理状態の安定性を評価する。製造工程
の重要なステージは、適切に設計され、原材料、中間材料、最終製品の品質を保証しなければならない。これら
の検証の不履行は製品の品質特性の不具合につながる。工程の適格性評価は、初期の管理状態が確立されている
かどうかを判断する。商品流通の前に、上首尾のプロセスバリデーションの検証が必要である。その後は、製品
のライフサイクルを通じて安定した製造作業が維持されることを保証するために、工程性能と製品品質の継続的
で慎重な監視が必要である。
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチについて、FDAのガイドライン
文書:General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・継続した管理状態を保証するための、ロット間、ロット内のばらつきを慎重にモニタリングすることを含む、
貴社の各製造工程の設計、バリデーション、保全、管理、モニタリングに関する詳細のプログラム
また、貴社の装置・設備の適格性評価に関するプログラムを含めよ。
・貴社の製造工程が、適切な規格と製造標準を一貫して満たせるよう、ばらつきの全ての原因を特定し管理する、
データ駆動型で科学的に理にかなったプログラムがあることを保証するための、各医薬品の製造工程のアセス
メント
アセスメントには、これに限定されないが、装置の使用目的の適合性の評価、モニタリング及び試験システム
の検知能力の十分性、投入原材料の品質、各製造工程の手順と管理の信頼性を含む。
・管理状態が適切/完全に確立していない市販されている医薬品の工程の性能適格性評価完了のタイムライン
●指摘4
貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件と使用期限を判断するために安定性試験の結果を使うために、
文書化された試験プログラムを制定しそれに従うことを怠った。
<指摘4詳細>
貴社は貴社の医薬品が表示されたXXの使用期限を通じて化学及び微生物の特性が基準を満たしていることを示す
ための適切な安定性試験プログラムを持っていない。適切な安定性のデータなしに、貴社は、貴社の医薬品が、
使用期限を通じて、制定された規格と全ての事前に定義された品質基準を満たすことを保証できない。
貴社は回答の中で、“製品の安定性規格”を起草し、既に安定して出荷されている特定のバッチ数を設定する
つもりであると述べた。貴社は、関連する全ての品質基準が新しい安定性プログラムに組み込まれていることを
保証する安定性試験の手順などの詳細を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。さらに、貴社は、
アメリカに出荷された医薬品の化学及び微生物の特性が、24ヶ月間を通じて安定していることを保証または
証明するためのいかなるアクションも示さなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的で独立したアセスメントと、是正処置・予防処置
(CAPA)の計画
貴社の改善されたプログラムはこれに限定されないが、以下の情報を含むべきである。
〇安定性を示す方法
〇販売許可前のコンテナ密閉システム内の各製品の安定性の検証
〇保管期間が妥当か判断するために、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加されるような継続的
な計画
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
●品質システム
貴社の品質システムは不十分である。CGMP 21CFR part210,211の要件を満たすために、品質システムとリスク
マネジメントのアプローチを実装する助けとして、
FDAのガイドライン文書:Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開する
つもりなら、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAとコンプライアンス状態を遵守しようとする前に、
適格性のあるコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施
してきた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣に
は、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●受託業者としての責任
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多くの医薬品製造業者が、製造設備、試験機関、
包装、ラベル貼りのように、独立した受託業者を使用していることを知っている。FDAは受託業者を製造業者
の延長としてみなす。
貴社と貴社の顧客XXには、貴社が代わりに製造する医薬品に関する品質協定がある。貴社は受託製造所と
してXXとの契約の有無に関わらず、貴社が製造する医薬品の品質に責任がある。貴社には、医薬品が安全性、
同一性、濃度、品質、純度に関し、FD&C Actの501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証する必要が
ある。
FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの違反
を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2020年3月9日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者として
のいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■WL:320-20-31■
アメリカ製薬会社のインドの製造所の査察(2019/8/29~2019/9/6)でみつかった医薬品製造における重大な
CGMP違反に関する2020/3/25付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、それが既に出荷されたかどうかに関わらず、ロットまたは成分の、説明のつかない規格との食い違い
や不合格の徹底的な調査を行うことを怠った。
<指摘1詳細>
貴社の製造所は、注射製剤XXを製造している。貴社は、効果的な是正処置・予防処置(CAPA)の計画のタイム
リーな実施を含む、適切な調査を実施することを怠った。
〇不履行の無菌試験
貴社は、無菌試験XXに関する不具合に対処するための根本原因の調査とCAPAの実施をしなかった。例えば、
2019年2月に、貴社は、注射製剤XXロットXXの無菌の不具合を調査した。貴社は、無菌の不具合のもっとも
可能性の高い根本原因は、“安定したXXの完全性の試験の不足と、製品のバイアルの不完全な可能性”と
判断した。また、貴社は、微生物の汚染源は、不完全なXXの可能性があると述べた。このロットは不合格に
なった。しかし、貴社は、同じXXとXXを使用し続け、疑わしいXXの交換を含む是正処置を行う前に、相当
な数の無菌試験を実施した。
貴社は回答で、2020年7月に自動の完全性の試験XXを実装するつもりであると述べた。以前、貴社は自動の
完全性の試験が不足しており、代わりに、目視試験に頼ったが、それは、確実にXXを検知するのには不十分
だった。
貴社はまた、2020年1月に無菌状態を導入する前に、完全性について無菌試験サンプルの検査を行うつもり
であると述べた。
これらの重大な根本原因を解決するためのCAPAのタイムラインは不十分だった。貴社の回答は、CAPAの実施
の遅れに適切に対処していない。また、貴社は回答で、貴社が調査の改訂を行い、それらの改訂は
2019年9月27日に完了したと述べた。しかし、貴社の回答には、改訂された調査と、CAPAの進捗状況が不足
していた。
〇環境モニタリングプログラム
貴社は、微生物の試験条件と手順の重大な不具合を適切に調査しなかった。不具合の中で、無菌試験XXの
環境モニタリング(EM)サンプルの高レベルの汚染は、陰性対照プレートで過度に発生し、プレートの測定
の遅れによりEMデータは無視されていた。もっと具体的に言うと:
・貴社は、無菌試験をサポートするために使用されているXXの中で発見された、環境の良くない傾向を
徹底的に調査しなかった。XXの中で、ある時は3ヶ月以上、非常に高レベル(数えきれない
(TNTC:too-numerous-to-count)CFU/m3)の状態を含む、繰り返しの復調がみられた。
・貴社は陰性対照プレート上の微生物の成長のたくさんの事例について、1年以上調査を適切に行わなかっ
た。これらのプレートは、製造エリアと試験エリアの両方で、EMプログラムを裏付けるために使用され
ていた。
・貴社は、微生物試験の結果を適切な科学的正当性もなく無効にした。2018年9月26日から12月23日の間
で貴社の微生物品質試験はEMと、手順で制定された日を超えて培養された貴社の製造所のモニタリング
するために使用される試験プレートを許可した。貴社は、この再発する問題を適格な職員が不足している
せいにした。これらのプレートは、XXのEMに限らず、陰性対照プレート、バイオバーデンの分析も含んで
いた。潜在的に妥当な汚染により引き起こされたリスクと関連する影響は十分に対処されず、試験結果
はカウント数が信頼できないとして繰り返し無効にされた。この期間におよそXXロットが製造された。
延長されたプレートの培養についての調査は、“XX”の根拠で読み替えられていることを示した。貴社は
プレートをXXで読んでいると言いながら、延長された培養時間の前に前もって読み取りが行われたという
文書が欠けていた。また、調査では、増殖しすぎたプレートが他のプレートを汚染するという、同じ
バッグ内の培地プレートの混合も議論された。
試験室のデータの精度の欠如は、2018年9月の査察でも挙げられていた。
貴社は回答の中で、陰性対照プレートの再発する増殖の根本原因に対処するための継続的な調査を行っている
と述べた。貴社は、新しい培地ベンダの追加や、培養器のメンテナンスの改善など、初期の対策をとっている
と述べた。
貴社の無菌試験XXにおける環境モニタリングの著しい有害な傾向に関し、貴社の回答では、CAPAを開始して
以来、XXの中での新たなEMの逸脱は発生していないと述べた。CAPAの手段は、XXへのXXの追加、供給品のさら
なる消毒、XXの動き、再教育を含んでいた。
貴社はまた、試験の能力と調査システム全般の改善をしていると述べた。
しかし、貴社の回答は、不完全な試験の管理、不十分な調査、CAPAの実装の遅れがいかに貴社の微生物管理
プログラムを損なっているかについて取り組んでいなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・貴社の逸脱・食い違い・苦情・制限を超えた結果、規格外の結果、不具合の調査に関する全体的なシステム
の包括的なアセスメント
このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランは、これに
限定されないが、調査能力、範囲の判断、根本原因の評価、CAPAの効果、品質部門の監督、文書化された
手順の大幅な改善を含むべきである。貴社が、調査の全ての段階が適切に実施されたことをいかに保証する
つもりかについても検討せよ。
・貴社のCAPAプログラムのアセスメントと改善計画
根本原因の分析を効果的に実施しているか、CAPAの効果を保証しているか、調査の傾向を定期的にレビュ
するか、必要な場合はCAPAプログラムの改善を実施するか、品質部門の適切な決定権を保証するか、決定権
が経営陣により完全に保証されているかを評価するレポートを提出せよ。
・文書化手順が不十分な箇所を判断するための、製造及び試験の作業を通じて使用されている文書化システム
の完全なアセスメント
貴社が帰属可能・判読可能・完全・オリジナル・正確・同時性のある記録を貴社の作業を通じて保持している
ことを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を含めよ。
・貴社の試験実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力、リソースに関する包括的で独立したアセスメント
リソースについてのアセスメントは、サンプルの追跡の管理や、試験結果のタイムリーな読み取りはもちろん、
適切なタイムライン内で信頼できる結果を生むことが必要とされる職員の適格性にも取り組むべきである。
このレビュに基づいて、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。
・無菌の不具合や無菌試験XXにおける環境コントロールの欠如に関する貴社の最新の調査
最新の調査では、これに限定されないが以下のことを含めるべきである。
〇XXの完全性、是正処置、貴社の再適格性評価が損なわれる可能性のある全てのファクタの最終的なサマリ
〇無菌の不具合の原因として排除されたような、製品のコンテナ密閉の完全性の問題の潜在的な根本原因に
関する更なる説明
過去2年のロットの記録からコンテナ密閉の完全性に関連した欠陥及び逸脱のレートの詳細なサマリを提出
せよ。さらに、コンテナ密閉の完全性に影響を与えうる標準に合致しない製造条件を説明せよ。
・査察の終了時に継続中であり、既に完了した陰性対照プレートの調査のサマリ
・EMの結果を無効にすることになった、延長された培地プレートの培養に関する貴社の回答
回答には、各プレートが読み取りを行った日付、各プレートの読み取りが計画されていた日付、実際の日付
と計画された日付の日数の差を記録したワークシートを含めよ。
貴社が培養期間中に複数回微生物プレートのサンプルを読み取り記録していたか、また、貴社が結果を都度
記録していたかどうかを明確にせよ。また、PR#2466588に記録されたTNTCの結果に関する調査の情報も提出
せよ。バイオバーデン、希釈、微生物のカウントで使用される方法も含めよ。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を適切に
保証していない。CGMPを遵守したデータ・インテグリティの手順を制定して遵守するためのガイダンスとして、
FDAのガイダンス文書:Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社が貴社の作業を監査し、FDAの要件を満たす助けに、コンサルタントを雇ったと認識している。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ。
・アメリカに出荷された製品に関するデータレビュの結果を含む、データの記録と報告の不正確性の範囲の包括
的な調査
貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。
・貴社の医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響に関する現在のリスクアセスメント
貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷により患者に引き
起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきである。
・グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略
詳細な是正処置の計画には、微生物及び分析試験のデータ、製造記録、FDAに提出される全てのデータを
含む貴社により生成される全てのデータの信頼性と完全性を、貴社がいかに保証するつもりであるかについて
述べるべきである。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの違反
を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者としての
いかなる申請やリストの補完の承認を保留する。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
3件のウォーニングレターは、特別に難しい要求事項についての指摘ではなく、入荷時・出荷時の試験や逸脱
発生時の調査が不十分であることを指摘する内容でした。
これらは、新型コロナウイルスの流行前でこの状態だとすると、ウイルスの流行で混乱し、査察も十分に行わ
れていない現在、これらの製造所の管理はどうなっているのかが、少々不安になります。
この先、各製造所でワクチン製造が急ピッチで行われることと思いますが、無菌状態が確保されていることを
願います。
☆次回は、8/15(土)に配信させていただきます。
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