ASTROM通信バックナンバー

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2020.09.15

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<202号>

 

~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

9月になって少し過ごしやすくなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(3)について

見ていきたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。

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WL:320-20-39

インドの製造所の査察(2019/11/252019/11/28)でみつかった原薬製造における重大なCGMP違反

に関する2020/6/17付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

溶媒を原薬製造に再利用する前に、溶媒が基準を満たすことを保証するために溶媒回収手順を管理

しモニタすることの不履行

<指摘1詳細>

我々査察官は、貴社が貴社の顧客の原薬XXの製造のための溶媒回収の契約製造所としての機能を

果たしていることに気が付いた。貴社の製造所の回収溶媒はXXを含んでいる。

貴社は、貴社の溶媒回収作業に関連する不純物のリスクを評価し管理する手順を制定してそれに

従うことを怠った。例えば:

〇回収溶媒の不適切な試験

貴社は、回収されたXXに関し、ガス・クロマトフィ(GCの試験手順に従うことを怠った。手順は、

ロットが回収溶媒のGCの同定規格を満たすことを保証するために基準を使用することを求めている。

我々は、2019年に貴社により処理された回収溶媒XXのおおよそXX個のロットに関する分析用の

データパッケージをレビュし、それらに基準の使用を示すクロマトグラムが欠けていることを発見

した。さらに貴社は、2018年と2019年に、回収されたXXGCの分析中に基準が使用されなかった

ことを査察官に述べた。

貴社は回答の中で、この逸脱に関する説明を提出せず、その他の試験方法または手順が遵守されて

いないかどうかを判断するために逸脱の範囲を調査することを約束しなかった。また貴社の回答は、

製品への影響の可能性を判断するためのリスクアセスメントも不足していた。

 

〇回収溶媒に関する不純物プロファイルの検証またはクロマトグラムの異質なピークの調査の

 不履行

 貴社は回収溶媒に関する不純物プロファイルの検証と、未知の不純物の管理に関する作業の監督

 を継続することを怠った。異質のピークは、2018年から2019年の間に貴社の製造所で処理された

 回収溶媒XXXXロット以上で発見された。それらのロットは、調査することなく貴社により

 リリースされ、貴社は顧客に不純物の可能性を知らせることを怠った。貴社は、貴社の顧客が

 貴社に回収溶媒の示すピークにのみ着目するよう指示したと説明したが、これは不適切である。

 回収溶媒のクロマトグラムで発見された未知のピークは、貴社の顧客の原薬の品質に影響を与え

 うる予期せぬ不純物を示しているかもしれず、未知のピークは徹底的に調査されるべきである。

 貴社の回答は不十分である。回収溶媒のクロマトグラムで発見された異質のピークについての

 貴社の評価は包括的ではなく、貴社の溶媒回収作業が回収溶媒の不純物の一因となるかを判断

 するための製造の徹底的な評価を含んでいなかった。

 査察中に貴社は、貴社が顧客のための溶媒回収処理を既に終了していたと述べた文書を提出

 した。しかし、貴社の回答の中で、貴社は今後の全ての顧客の製品は品質協定を含む予定である

 と示し、それは、貴社が今後、溶媒回収作業を再開しるかもしれないことを示唆している。貴社

 は不純物または溶媒回収処理に関連した交叉汚染を予測し、管理し、試験し、防ぐ能力を示す

 ための十分な説明または手順を提供しなかった。

 

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

・試験方法を含む社内の手順遵守の不履行に関する包括的な調査

 貴社の過失の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。また、調査完了のためのタイムラインと

 共に全ての関連する是正処置をリストアップせよ。

・溶媒回収処理中の安定した製造と予期せぬ不純物を防ぐことを確実にするために、溶媒回収作業

 のモニタリングプロセス管理の効果を評価するための継続的なプログラムをいかに実装するかの

 詳細な計画の記述

・全ての溶媒回収作業に関する不純物プロファイルの分析とリスクアセスメントに必要な手順

 手順には、回収溶媒の内部及び外部の使用を含めるべきである。

・クロマトグラムの未知のピークの取扱いに関する最新の手順

 

●指摘2

原薬の品質を変えうる汚染または原材料のキャリーオーバーを防ぐための適切な洗浄手順を持つ

ことの不履行

<指摘2詳細>

XXを含む顧客の溶媒の回収に使用される貴社の非専用の製造装置の洗浄が不十分である。貴社は、

使用済みの溶媒を回収するために使用される非専用装置について、貴社の洗浄手順がキャリー

オーバーや汚染を防ぐのに十分であることを保証することを怠った。貴社は査察中にこれらの要件

が満たされていないと述べた。さらに、貴社は、製品の切替の洗浄を含む、回収された溶媒を処理

するための非専用装置の洗浄を文書化した記録がないと述べた。

貴社は回答の中で、装置の洗浄記録のサンプルを提出したが、査察中、貴社がなぜこれらの文書が

存在しないかについて我々査察官に説明も理由も提出しなかった。

また貴社の回答は、非専用の保管場所、受入、充填タンクを含む全ての装置が、承認された手順に

従って適切に洗浄されていることを保証するための十分な評価を含めることも怠った。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・回顧的なアセスメントに基づく、貴社の洗浄手順と実務の改善と完了までのタイムラインを含む

 是正処置・予防処置(CAPA)の計画

 装置の洗浄のライフサイクルマネジメントにおける貴社の手順の脆弱性の詳細を提出せよ。洗浄

 効果の向上、全ての製品と装置に関する適切な洗浄実施の改善された継続的な確認、その他の

 必要な全ての改善を含む、洗浄プログラムに対する改善をについて述べよ。

・貴社の医薬品製造におけるワーストケースとして特定された条件に重点をおいた洗浄プログラム

 の改善

 さらに、新しい製造装置または製造作業の導入前に変更管理システムでとられるべき手順を述べ

 よ。

・製品、工程、装置の洗浄手順について適切なプログラムが整えられていることを保証する最新の

 SOPのサマリ

・貴社のCGMPの文書化手順の包括的な調査

 貴社の文書化の欠落の範囲と根本原因の詳細な記述と、完了までのタイムラインを添えた全ての

 関連する是正処置のリストを提出せよ。

 

●指摘3

承認されないアクセス、データの変更を防ぐためのコンピュータ化システムの十分な管理の不履行

と、データの不備を防ぐための適切な管理の不履行

<指摘3詳細>

貴社は、以下のデータを含む、貴社の製造所で生成されたデータの完全性を保証するための適切な

管理を実施することを怠った:

・回収された溶媒の試験に関して紛失していたローデータのファイルが、GC装置につながったオペ

 レーティングシステムのローカルのハードドライブのフォルダ内でみつかった。貴社は削除され

 たファイルがみつかったと述べた。

・品質管理の分析者たちは、各ワークステーションとGCのための分析ソフトウエアについて、同じ

 ユーザ名とパスワードを共有していた。

GCのためのスタンドアローンのコンピュータ化システムにある回収溶媒のデータは、貴社の承認

 された手順通りにバックアップされていなかった。

・貴社は、監査証跡の管理またはその保持に関する手順を持っていなかった。査察中、GCの分析

 ソフトウエアは、XXのためだけに監査証跡を保持するための設定がされていた。

貴社は、データ・インテグリティの管理が貴社の全体に適用されていることを保証するために貴社

の業務や手順を評価するための包括的で体系立てられた計画を整備することを怠った。さらに、

貴社は、不十分なデータ・インテグリティの管理の結果として製品にもたらされる可能性のある

影響についてのリスクアセスメントを実施することを怠った。

 

●データ・インテグリティの改善

貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・

完全性を適切に保証していない。CGMPのデータ・インテグリティの手順を定め、それに従うため

に、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。

我々は、貴社の改善を支援する適切なコンサルタントを使用することを勧める。

この文書への回答において、次の情報を提供せよ。

・アメリカ市場に出荷された医薬品のデータのレビュ結果を含む、データの記録と報告における

 不正確さの範囲に対する包括的な調査

 データ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。

・貴社の医薬品の品質で発見された問題に関する影響の可能性についての現在のリスクアセス

 メント

 アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた

 患者のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。

・全体的な是正処置及び予防処置(CAPA)の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略

 詳細の是正処置の計画は、微生物データ、分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータ

 を含む、貴社が生成した全てのデータの信頼性と網羅性を保証するために貴社がどのようにする

 つもりかを述べるべきである。

 

CGMPコンサルタントの推奨

我々が貴社で確認した逸脱の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために

21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、

貴社がFDAとコンプライアンス状態を遵守しようとする前に、適格性のあるコンサルタントが、

貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施してきた全ての是正処置

・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社

の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

 

●溶媒回収作業の終了

我々は、貴社がアメリカ市場向けにこの製造所で顧客のために回収溶媒を処理することを終了する

と約束したと認識している。もし貴社がアメリカのサプライチェイン向けに回収溶媒の製造を再開

することを計画する場合は、文書で通知せよ。

 

●結論

この文書で挙げた逸脱は、貴社の製造所に存在する逸脱の包括的なリストではない。貴社には、

これらの逸脱を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の逸脱を防止する責任がある。

FDA2020414日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。

貴社が全ての逸脱を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造

業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/vega-life-sciences-private-limited-604469-06172020

 

 

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WL:320-20-40

メキシコの製造所の査察(2019/12/162019/12/20)でみつかった原薬製造における重大なCGMP違反

に関するカナダの製薬会社向けの2020/7/14付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられ

ています。

 

●指摘

規格外 (OOS : Out-of-Specification) の結果を適切に調査し、是正処置を行うことの不履行

<指摘詳細>

OOSの試験結果についての貴社の調査は不十分である。貴社は、根本原因の可能性の根拠を示す

こと、影響を受けた可能性のある全てのロットに調査を広げること、適切な是正処置・予防処置

(CAPA)を行うことを怠った。

a.プロセスバリデーションの一環で20181月に実施された、アメリカ薬局方XXロットXX

  リリース試験中に物質XXに関するOOSの結果を得た。貴社のフェーズ1の試験室の調査でOOS

  結果を確認した。貴社は、不十分な化学反応XXの根本原因として挙げられた複数の仮説の製造

  の調査を開始した。貴社の調査は、適切な裏付けとなるエビデンスもなく、不純物のOOS

  潜在的な根本原因は、不適切なXXであると最終的に結論づけた。

貴社は後でこの根本原因は根拠がないと気づいた。貴社の調査は不十分で、適切な是正処置を

含んでいなかった。

FDA-483への回答の中で、貴社は製造の調査を再開した。貴社は最新の調査の中で、温度のデータ

と原材料の問題を強調した。貴社は、ロットが作業用の温度範囲内にあるのに、“異常パターン”

を示すことを発見した。貴社は以前、温度範囲が品質に影響を与える可能性のある重要な管理パラ

メータであることを確認していた。また、貴社の調査は、このロットの収率がわずかに低いことに

気付き、それは、原材料XXの問題に関係するかもしれなかった。貴社のCAPAは、再開された調査後

に温度範囲の引き締めをしたが、根本原因が適切に解決されたかは不明確なままである。

このロットから得られた不合格の不純物のデータは、プロセスバリデーションXXを裏付けるための

ものだったが、貴社は、この原薬の製造の過程で、いくつかのさらなる不具合を経験した。

これらのバリデーションの中で得られた少なくとも1つの原薬のロットはアメリカ市場に出荷され

た。

貴社は回答の中で、不具合を再現する多変数の組み合わせの評価を保証するために追加の実験的な

設計検証を実施するつもりであると述べた。しかし貴社の回答は、CAPAの効果を保証するための

範囲、タイムライン、計画についての十分な情報が不足している。

 

b.貴社は、201810月に実施されたアメリカ薬局方XXロットXXのリリース試験中にOOSの分析結果

  を得た。その後、貴社は、再試験で合格の結果を得て、オリジナルのOOSの結果を無効化した。

  貴社は、秤量室内の分析者が多すぎたので、分析天秤の不安定さが根本原因の可能性があると

  述べた。室内の多数の分析者の存在が分析天秤の感度に影響を与え、OOSの結果をもたらしたと

  いうエビデンスはなかった。

また、貴社の試験室の調査で、貴社の工場長がOOSの結果に影響しうる逸脱を報告しなかったことを

示した。査察中、それ以上の製造の評価の文書は利用できず、また、さらなる文書は査察官に対し

て提供されなかった。貴社には、有意義な、または、正式なフェーズ2の調査が欠けていて、ロット

XXはその後、リリースされた。

試験のエラーの決定的なエビデンスが欠けている調査についてはいつでも、製造の原因の可能性の

徹底的な調査がされるべきである。

我々は、貴社が調査プログラムを修正し改善するための努力を開始していると認識している。

しかし、貴社の回答は、修正のアプローチの詳細が欠けている。さらに、貴社のアセスメントの

範囲が不十分である。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・逸脱、食い違い、苦情、OOSの結果、不具合を調査するための貴社の総合的なシステムの包括的で

 独立したアセスメント

 このシステムを修正するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプラン

 に、これに限定されないが、調査能力の大幅な改善、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、

 品質保証部門の監督、文書化手順を含むべきである。調査が全てのフェーズで適切に実施されて

 いることを貴社がいかに保証するつもりかを述べよ。

・貴社がCAPAの効果、調査の傾向の定期的なレビュ、必要に応じてCAPAプログラムの改良の実施、

 品質保証部門の決定権を保証しているか、また、経営陣により完全にサポートされていることを

 保証しているかを含む、CAPAプログラムの独立したアセスメントと改善計画

・ロットが最終的にアメリカに出荷されたかに関わらず、アメリカ向け製品に関する、無効化され

 た全てのOOS(工程内と、リリース/安定性試験を含む)の回顧的で独立したレビュと、各OOS

 以下の詳細な表を含む、分析の結果の報告のサマリ:

 〇無効化されたOOSの結果に関する科学的に正当な理由とエビデンスが試験室の問題が原因である

  と決定的もしくは非決定的に示しているかどうかを判断せよ。

 〇試験室が最終的に根本原因であると決定した調査について、論理的根拠を提出し、同じまたは

  類似の根本原因に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されていることを保証

  せよ。

 〇回顧的レビュで発見された、根本原因が非決定的もしくは特定されていない全てのOOSの結果

  について、徹底的な製造のレビュ(例:製造記録、製造手順の適切性、装置/設備の適合性、

  原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)を含めよ。

  各調査について、製造の根本原因の可能性と製造作業の改善をまとめよ。

 〇このレビュは、過去3年(すなわち、20171月以降)をカバーし、この期間を超えてみつか

  ったその他の共通の問題を評価すべきである。

・全てのロットのXXとそのXXの履歴、ロットの処遇の判断、全ての工程と処理で発生した不具合の

 結果に関する詳細を提出せよ。

・貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画

 CAPAは、これに限定されないが以下のことへの対応を含めるべきである。

 〇試験室の調査の品質部門による監督

 〇試験管理の良くない傾向の特定

 〇試験のばらつきの原因の解決

 〇試験が最終的な原因と特定できない場合はいつでも製造の原因の可能性の徹底的な調査を開始

  すること

 〇各調査とそのCAPAの適切な範囲の決定

 〇これら及びその他の改善を含む改訂されたOOSの調査手順

 

●複数の製造所での繰り返しの違反と逸脱

FDAは、貴社の組織内の他の製造所で同様のCGMPの逸脱を指摘している。複数の製造所でのこれら

の繰り返しの不具合は、経営者の医薬品の製造の監督と管理が不十分であることを示している。

貴社の経営陣には、全ての不備を完全に解決し、継続的なCGMPの順守を保証する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた逸脱は、貴社の製造所に存在する逸脱の包括的なリストではない。貴社には、

これらの逸脱を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の逸脱を防止する責任がある。

貴社が全ての逸脱を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造

業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/signa-sa-de-cv-605219-07142020

 

 

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WL:320-20-41

メキシコの製造所向けの2020/7/23付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられていま

す。

 

貴社は、最近ヒト用医薬品の製造業者として登録された。FDAは、貴社の製造所で製造されたという 

ラベルが貼られた製品の試験を実施した。これらの製品は、貴社の製造所で製造されたという

ラベルが貼られていて、アメリカで輸入しようとされたが国境で引き留められ、輸入が拒否された。

FDAの試験結果は、XXは、FD&C Act 501(d)(2)章の範囲内で不純物が加えられていることを示して

いる。さらに、貴社の製造所内の品質保証はCGMP要件に従って機能していないことを示し、これら

の製品は、501(a)(2)(B)章の範囲内で不良である。

 

FD&C Act 501(d)(2)501(a)(2)(B)のもとでの不良品

貴社の製造所で製造されたというラベルが貼られた手の除菌用医薬品XXは、ラベルに有効成分75%

(v/v)のエチルアルコール(エタノール)を含むと表示されている。しかし国境で引き留められた

この製品のロットのFDAの試験では、平均で39%のエタノールと28%(v/v)のメタノールを含んでいる

ことを発見した。

さらに、貴社の製造所で製造されたというラベルが貼られた別の手の除菌用医薬品XXは、ラベル

に有効成70%(v/v)のエタノールを含むと表示されている。しかし国境で引き留められたこの製品

のロットのFDAの試験では、0%のエタノールと83%(v/v)のメタノールを含んでいることを発見した。

よって、これらの手の除菌用医薬は、有効成分エタノールが、完全に、または、一部が、ヒトの

肌に触れたり摂取されると危険な化学物質メタノールに置き換えられていて、FD&C Act 501(d)(2)

のもとで不純物が加えられていることを示している。

メタノールは、手の除菌用として容認できる成分ではなく、その有害な作用のために使用される

べきでない。メタノールへの皮膚の露出は、全身毒性の経皮吸収だけでなく皮膚炎を引き起こす

かもしれない。相当な量のメタノールにさらされると、吐き気、嘔吐、頭痛、かすみ目、永久的

失明、発作、昏睡、神経系への永久的な損傷、または死を招くかもしれない。これらの製品を

手に使用した全ての人にリスクがあるが、うっかりこれらの製品を摂取した幼児や、これらの

製品をアルコールの代用品として飲んだ未成年や大人は、メタノール中毒により大きなリスクに

さらされる。

2020617日、FDAは登録された貴社の米国のエージェントとテレビ会議を行った。我々は、

現在アメリカ市場で販売されている貴社の全ての手の除菌用医薬品を取り除くことを検討するよ

勧めた。貴社は我々の要求に応じた行動を起こさなかったので2020619日、FDAは、ウエブで

貴社の手の除菌用医薬品はメタノールの汚染について公表した。

FDAの公への通知後、いくつかの販売業者は、貴社で製造された手の除菌用医薬品を回収した。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・貴社の製造所で製造されエタノールを含むとラベルが貼られた手の除菌用医薬品に、どのよう

 に、一部または全てのメタノールが用いられたかの詳細な調査

・供給者の名前、住所、連絡先情報を含む、貴社の全ての手の除菌用医薬品を製造するために

 使用された全ての原材料のリスト

・貴社により、アメリカに出荷された全ての手の除菌用医薬品の全てのロットのリストと、貴社

 が販売した全ての原材料の突合せ

・アメリカに出荷された全てのロットの完全なロットの記録のコピー

・登録された貴社の米国のエージェントとの2020617日のテレビ会議中に、貴社は、手の除菌

 用医薬品の試験を行っていて、それらはFDAの要件に従っていたと述べた。FDAの試験結果は

 貴社の主張と真っ向から矛盾し、エタノールの代わりにメタノールが代用されたことを示して

 いるので、FDAは貴社の製造所または貴社の代わりに試験を行った他のものにより生成された

 試験結果の妥当性を疑う。貴社の試験業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の完全な

 包括的で独立したアセスメントを提出せよ。このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善

 し、その効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。

貴社の製造所で製造されたというラベルが貼られた手の除菌用医薬品のメタノールの代用または

汚染は、貴社の製造所内の品質保証が、CGMPの要件に従って機能していないことを示している。

よって、もし、この手の除菌用医薬品がラベルに表示された通り、貴社の製造所で製造されている

のならば、それは、貴社の製造所がFD&C Act 501(a)(2)(B)のもとでCGMPを遵守していないエビ

デンスである。

 

●未承認の新薬と不正商標表示の違反

XXXXは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図していて、かつ/または、体の構造や機能

に影響を与えることを意図しているので“医薬品”にあたる。

ラベルに指示、推奨または提案された条件の下での使用に関し、それらが安全で効能があると

一般的に認められていないので、これらの手の除菌用医薬品は新薬である、FDAの承認なしに、

新薬の導入や、販売のための配送は禁止されている。

エタノールを含むとラベル表示されて、それを含まず、メチルアルコールの存在を明らかにして

いないXXXXは、不正商標表示になる。

不正商標表示された医薬品の受け渡しや、受け渡しのための州内への配送は、FD&C Act 301(a)

で禁止されいている。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、

これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

FDA2020715日、貴社に輸入警告措置66-78をとった。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/eskbiochem-sa-de-cv-608690-07232020

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

1件目は、コンピュータ化システムの管理とデータ・インテグリティに関する指摘が含まれて

いました。

コンピュータ化システムについては、ユーザIDとパスワードを使い回しや、データへの不十分な

アクセス管理が指摘されていました。このあたりができていなければ、データの完全性を担保する

ことは難しくなります。自社のコンピュータ化システムの管理に抜けがないことをしっかり

チェックしておく必要があると思います。

 

3件目は、タイムリーな手の除菌用医薬品に関する指摘でした。

最近ドラッグストアで普段は見かけない除菌用医薬品を見かけますが、不純物は混ざっていない

だろうかとちょっと心配になってしまいました。

 

☆次回は、10/1(木)に配信させていただきます。

 

 

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【発行責任者】

株式会社プロス

ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2020.09.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<201号>

 

~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

9月になってもまだまだ暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(3)について見て

いきたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。

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WL:320-20-35

韓国の製造所の査察(2019/10/172019/10/25)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に

関する2020/5/13付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、試験方法の精確さ、感度、再現性を立証して文書化することを怠った。

<指摘1詳細>

貴社はアメリカへ販売するために製品XXを製造し、無菌で充填している。貴社の最終製品XXの最終リリ

ース試験のために使用される無菌試験の方法の適合性を検証していなかった。さらに、貴社は、各製品

に関して実施される工程内のバイオバーデンの適合性を判断していなかった。

適合性試験は無菌試験の方法が妥当であることを保証するために各製品に関して適合性試験を実施しな

ければならない。適合性試験は汚染が存在すれば検知することを確証するものである。適合性試験中に

阻害があれば、試験方法の変更を認める。

貴社は回答で、方法のバリデーションは、貴社の契約書の中の“特別な要件の不足により”、実施されて

いなかったと述べた。製品のオーナーとの契約が整っているかどうかに関わらず、貴社には、貴社が契約

施設として製造し試験した医薬品の品質に関して責任があることを思い出してもらいたい。貴社には、医

薬品が安全性、同一性、濃度、品質、純度に関して、FD&C Act501(a)(2)(B)章に従って作られていること

を保証することが求められている。

FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。

さらに、貴社は回答で、2020330日までにアメリカ市場向けに製造された各OTC医薬品について、

“無菌方法のバリデーションのプロトコル”を準備し実施するつもりであると述べた。貴社は20205

30日までに適切な方法を使って全ての市場に出たロットのリテストをすると提案した。

貴社の回答は不十分である。貴社は無菌試験方法の適合性を検証する前にリリースされアメリカに出荷さ

れた製品にもたらされる当面のリスクに対処することを怠った。同様に、貴社は工程内のバイオバーデン

の試験の適合性の保証不履行による潜在的な影響に対処することも怠った。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的なアセスメント

 このレビュに基づき、貴社の試験システムの改善をし、それを評価するための詳細な計画を提出せよ。

・貴社のバリデーションの検証(適合性試験を含む)の結果に基づいて改訂された方法と前に制定した方法

 になされた全ての変更のサマリ

・この文書の日付において有効期限内のアメリカに販売された全ての保管ロットの回顧的な無菌試験の結

 果

 保管ロットの試験に関するプロトコルとタイムライン、全ての試験結果のサマリを含めよ。

 もし試験からOOSの結果が得られたら、顧客への通知や回収の開始を含む、貴社がとろうとしている

 是正処置を示せ。

・この文書の日付において有効期限内でアメリカに販売された医薬品のロットのリスクアセスメント

 

●指摘2

貴社は、無菌処理エリアの環境条件をモニタリングするための適切なシステムを制定することを怠った。

<指摘2詳細>

貴社は、貴社の無菌医薬品が充填される無菌処理エリアの環境モニタリング中に回収した分離株を定期的

に確認しなかった。貴社の手順“微生物の識別管理に関するSOP(QS-508)により、回収した分離株は

視覚的な形態によりグループ化されているが、似た形態の分離株のグルーピングのうち1つの分離株だけ

が定期的に種を確認されていた。

さらに、貴社の職員モニタリングプログラムは、XXのサンプルを含む、無菌処理作業における職員の作業

に関し、それぞれ、3CFU/Plate4CFU/Plateを、アラート及びアクションのリミットと指定している。

無菌処理作業空間で作業を行う製造の職員は通常、作業の間、汚染のないXXを維持しなければならない。

適切にアクションリミットを設定することは重要である。

不適切な環境と職員のモニタリング手順は、貴社の無菌処理設備内の微生物汚染のタイプとレベルを不明確

にする可能性がある。慎重な環境及び職員のモニタリグは、貴社の設備の管理状態に関する継続的な情報

を提供する。ISO5エリア内で活動を行う職員から採取されたXXサンプルで発見された増殖は適切な調査の

トリガになるべきである。

貴社は回答の中で、貴社の“Grade A及びGrade Bエリアから採取した全ての分離株の特定と、全て

のその他の分離株の形態分析及び顕微鏡調査の文書化を義務付けるために、微生物の特定に関する手順を

改訂するつもりであると述べた。貴社は、さらに、“エリア、作業状態、空間の分類、異なる採取方法

(落下菌測定プレート、空中サンプル、表面のモニタリング、職員のモニタリング)と形態のタイプ

基づく分離株のグルーピングを改良することを提案した。

貴社は、環境及び職員のモニタリグの不備や、出荷された製品の品質へのそのような不備の影響について

包括的に取り組んでいないので貴社の回答は不十分である。また貴社は、最新の正しいデータを維持する

ための、無菌処理室外の付属的なクリーンルームにおける種(または、属)レベルの微生物の特定の頻度の

条件を含めていなかった。

この文書への回答の中で、2018年以降の職員及び環境のモニタリングデータの包括的で独立した回顧的

レビュの情報を提供せよ。このレビュは、是正処置・予防処置 (CAPA)が貴社の無菌処理設備の安定した

環境管理をサポートしていることを保証するために、貴社の環境モニタリング(職員のモニタリングを

含む)に関する貴社のアセスメントとCAPAを含めるべきである。独立したレビュから生じた勧告を含む

アセスメントとCAPAは、サンプリングの場所、サンプリングの頻度、アラート及びアクションのリミット、

サンプリング技術の適切性、訓練プログラムの正当性を含めるべきである。

貴社が無菌処理を使って無菌医薬品を製造する際のCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書

Sterile Drug Products Produces by Aseptic Processing Current Good Manufacturing Practice

を見よ。

 

●指摘3

貴社は、医薬品の製造、加工、包装、保管に従事する各職員が、アサインされた任務を果たすことが可能

なように、教育、訓練、経験または、それらの組み合わせを積んでいることを保証することを怠った。

<指摘3詳細>

貴社は、全ての職員が適切に適切に訓練されていることを保証することを怠った。訓練の不足は、管理・

製造・品質保証・品質管理の持ち場で見つかっている。例えば、医薬品XXのマニュアルの目視検査を行う

職員は、貴社のSOPで指定された間隔で訓練されていなかった;異物混入試験(可視の粒子)の分析者は貴社

SOPで求められた通りに認定されていなかった;一部の職員は訓練記録が欠けていた。

また我々は査察中、試験データの不備を発見し、それを貴社は、不十分なSOP、ソフトウエア、訓練の

せいにした。

訓練は、職員の監督と管理の責任者を含む貴社の職員の職務権限の適切な遂行を保証するために不可欠

である。

貴社は回答の中で、定められた訓練を実施するために、不備の調査を開始していて、全ての職員の教育表

を改訂するつもりであると述べた。さらに、貴社は、必要な全ての教育を行われることを保証すると

述べた。

貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の教育プログラムの監督の欠落の原因に取り組まず、貴社の

教育の効果を評価するための詳細な計画を提出しなかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。

・どこで文書化手順が不十分かを判断するための貴社の製造及び試験の作業全体で使用されている文書

 システムの完全なアセスメント

 貴社の作業全体で、帰属可能、判別可能、完全で、オリジナルで、正確で同時性のある記録を保持する

 ことを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を含めよ。

・手順、記録、職員の能力、貴社の作業全体の有効性を含む、貴社の訓練プログラムの包括的なアセス

 メントとCAPA

 以下のことを保証するために、貴社のプログラムの機能を評価した後、改善のために具体的な欠落部分

 が特定されるべきである。

 〇職員の能力が安定しているかどうかをモニタするために継続的な基準に基づいて、職務権限と教育訓練

  の必要性がレビュされていること

 〇職員が適用される全てのCGMP要件の理解を保っていることを保証するために十分な頻度で教育訓練が

  実施されていること

 〇CGMPの業務を実施または監督する全ての職員が適切にCGMPを教育訓練され、医薬品の安全性、同一性、

  濃度、品質、純度を保証する方法で貴社の作業がされていること

 〇適切な人間が教育訓練を実施していること

 〇職員の理解、教育訓練の効果を評価し、必要とされる適切な改善を保証するための規定が施行されて

  いること

・貴社の現在の教育訓練プログラムのサマリ

・貴社の教育訓練プログラムの監督を改善するための貴社の計画

・販売された医薬品への教育訓練不足の影響のアセスメント

 

●中止された医薬品の製造

我々は、貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を中止したことを認識している。この文書への回答の中

で、今後この設備でアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりかどうか明確にせよ。

もしアメリカ市場向けの医薬品製造を再開するつもりなら、作業を再開する前に通知せよ。

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりなら、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをする

ために21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の

経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの

違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者と

してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/samchundang-pharm-co-ltd-599255-05132020

 

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WL:320-20-36

カナダの製造所の査察(2019/11/182019/11/22)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に

関する2020/5/29付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

CGMP違反

●指摘1

貴社は制定した規格や基準に一致することを保証するために必要な全ての試験から得られる完全なデータ

を含む試験の記録を保証することを怠った。

<指摘1詳細>

貴社は、はっきりとした目的もなく、不明瞭な分類で、余分なインジェクションを実施した。

貴社は、“非公式”の結果を得るつもりでサンプルを注入し、かつ/または、1回の注入がHPLCが使用

に適しているかどうかを判断するための基準であるかどうかを明確に示すことを怠った。例えば:

a)2019425 PM3:37、貴社は、サンプル名称欄が空欄の状態で、HPLCの注入を実施した。その

  後貴社は、XXに、ロットXXのサンプルセットXXの分析を実施した。最初の注入とサンプルセットXX

  共に類似のクロマトグラムと保持時間であったが、XXから得られた結果のみ最終結果として報告された。

b)2019919 PM2:52、貴社は、サンプル名称欄にXXの名前の入ったHPLCの注入を実施した。

  その後、貴社は、鎮痛薬XXロットXXXXに関するXXPM4:19XXに実施した。その日に実施された

  このシリーズの注入のすべてのXXは、類似のクロマトグラムと保持時間であったが、PM4:19XX

  得られた結果のみ最終結果として報告された。

我々は、品質と製造に関する、破られた文書をゴミ箱の中から発見した。

貴社は回答で、非公式の注入に関し、逸脱の申請を行い、是正処置を行うつもりであると述べた。

貴社は、“XXと名付けられた注入は、基準だったと述べた。しかし、その日の基準のランはStd

というラベルが付けられていた。

貴社は、XXの基準で監査証跡をレビュすると約束した。

品質と製造の記録の不適切な廃棄に関し、貴社は、文書の管理・複製・アーカイブに関する手順を改訂し、

全ての職員を再教育すると述べた。貴社の短い回答には、これに限定されないが、試験及び文書システム

の脆弱性の包括的なレビュを含む、是正処置・予防処置の詳細が欠けている。

非公式のサンプルの注入は受け入れられない。全ての分析データは、公式な記録の一部として保管され

レビュされるべきである。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・第三者により実施された、非公式の注入のアセスメントと、その他のデータ・インテグリティのアセス

 メントの最新版

 貴社の手順のコピーと、暫定及び最終の報告を含めよ。

追加の要求に関し、この文書のデータ・インテグリティの改善の記述を見よ。

・どこで文書化手順が不十分かを判断するための貴社の製造及び試験の作業全体で使用されている文書

 システムの完全なアセスメント

貴社の作業全体で、帰属可能、判別可能、完全で、オリジナルで、正確で同時性のある記録を保持する

ことを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細な是正処置・予防処置(CAPA)の計画

を含めよ。

 

●指摘2

貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料科、ラベル、医薬品が同一性、濃度、品質、純度の基準に

一致していることを保証するために設計された科学的に妥当で適切な規格、基準、サンプリング計画、

試験手順を含む試験管理を制定することを怠った。

<指摘2詳細>

貴社は、製品に関する不純物試験が不足し、不完全な試験方法を使用していた。例えば:

a)貴社の製品に関して、これに限定されないが、XXXXを含む不純物試験が不足していた。XXは、

  発がん性の可能性があるXXと呼ばれるものを含んでいたかもしれない。貴社がXXに関する試験を実施

  しなかったので、ユーザが触れる最終製品の中のXXの量がわからない。

b)これに限定されないが、原材料内のXXAM-011の判断と、HPLCによるXXを含む貴社の分析試験方法には

  不備がある。精密さと精度を考慮した値域が適切に評価されなかった。プラセボの入った製剤の精度が

  わからなかった。最終製品と同種ではない標準的な溶液で精度試験が実施された。さらに、値域の分析

  のためのキャリブレーション機能を判断するために使用される低濃度/高濃度の精度が報告されなかった。

貴社は回答の中で、最終製品の不純物試験を調査するつもりであると述べた。貴社は、USP法に対する貴社の

原材料の方法を試験すると述べた。貴社の回答は、最終製品の不純物試験に関する具体的な方法や、いかに

貴社が貴社の原材料及び最終製品の試験を改訂した、または、改訂しようとしているかの詳細が不足して

いた。

回答の中で以下の情報を提供せよ。

・出荷を判断する前に最終製品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を含む、化学及び

 微生物の規格のリスト

・この文書の日付において使用期限内にあるアメリカに出荷された製品の全てのロットの品質を判断する

 ために、保管サンプルの全ての化学及び微生物試験を実施するアクションプランとタイムライン

・各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ

 もし試験で医薬品の品質が基準を満たさないことが明らかになったら、顧客への通知や製品の回収など

 の迅速な是正処置をとれ。

・貴社の試験の実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント

 このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。

・貴社の原材料及び最終製品の試験手順の改訂の最新の進捗と、全ての方法のバリデーションと検証の状況

FDAが方法のバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチに関しFDAのガイダンス文

Analytical Procedures and Methods Validation for Drug and Biologicsを見よ。

 

●指摘3

貴社は、医薬品の安定性を評価するために設計された文書化された試験プログラムを制定し、それに従う

ことを怠った。

<指摘3詳細>

貴社は、貴社の最終製品の試験において、安定性を示す方法が不足していた。また貴社は、最終製品の

強制分解試験が欠けていた。

貴社は回答の中で、貴社の製品XXの安定性について加速試験とXX試験を実施したと述べ、また、製品XXにも

実施するつもりであると述べた。貴社は安定性を示す試験方法の不足に対処していないので、貴社の回答

は不十分である。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・貴社の安定性プログラムの適切性を保証するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画

 これに限定されないが、貴社の改善されたプログラムには以下のことを含むべきである:

 〇安定性を示す方法

 〇出荷許可前に、販売されたコンテナ密閉システム内の各製品の安定性の検証

 〇保管期間が妥当か判断するために、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加されるような

  継続的な計画

 〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義

・貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順

 

●指摘4

貴社は、それが既に出荷されたかどうかに関わらず、ロットまたは成分の、説明のつかない規格との

食い違いや不合格の徹底的な調査を行うことを怠った。

<指摘4詳細>

貴社の規格外(OOS)の試験結果の調査は不十分である。例えば貴社はXXの原材料の試験中、有効成分の

分析でOOSの結果を得た。貴社のOOS番号169の調査報告の中で、貴社は、想定される希釈物のエラーを

根本原因とし、新しいサンプルを準備して、新しい試験を実施した。有効成分XXの新しい試験は合格

になり、貴社は、アメリカ市場向けのXXを製造するためにXXを使用した。新しい試験を実施する前に、

貴社は、オリジナルのサンプルのXXは試験中に損なわれたことに気付いた。貴社はオリジナルのサンプル

の試験をせず、損なわれたXXの調査をしなかった。貴社の調査は、希釈物のエラーがOOSの結果の根本原因

だったことを科学的に示すための仮設検定を含んでいなかった。

実際の溶液、試験ユニット、ガラス製品の再分析は、試験室のエラーが起きていたかどうかを判断する

ための調査の不可欠な部分である。最初の再試験で根本原因が明らかにならなかったら、仮説検定と

並行してこのアセスメントは試験室に問題があったかどうかを判断するのに役に立つ。試験室のエラー

の確証がない場合でも、製造・品質の原因の可能性の徹底的な調査は、試験された原材料の供給源により、

貴社内部と供給者の両方で実施されなければならない。

貴社は、オリジナルのサンプルの無効化に関する正当性がないことを認め、リテストのために新しい

サンプルを用意する前に適切な調査を実施するために、分析者の再教育を実施するつもりであると述べた。

貴社のOOSのレビュは、我々査察官により挙げられたサンプルに限定されているので、貴社の回答は不十分

である。貴社は不十分なOOSの調査を包括的に特定するためのアセスメントを広げなかった。

不合格、規格外、傾向外、またはその他の予期しない結果の取扱いと、貴社の調査の文書化に関するより

多くの情報については、

FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production

を見よ。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・この文書の日付においてアメリカ市場にあり使用期限内にあるアメリカ向け製品で、査察の初日から過去

 3年前までの全ての無効化されたOOS(工程内のリリース/安定性試験を含む)の結果の回顧的で独立した

 レビュと、各OOSに関する以下のことを含む分析結果をまとめたレポート

 〇無効化されたOOSの結果に関する科学的に正当な理由とエビデンスが、決定的でも非決定的でも原因と

  なる試験室のエラーを示しているかどうかを判断せよ。

 〇試験室を決定的な根本原因と証明した調査について、論理的根拠を提出し、同じまたは類似の根本原因

  に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されることを保証せよ。

 〇試験室内で根本原因が非決定的または特定されていない、回顧的なレビュによりみつかった全てのOOS

  の結果に関し、製造の徹底的なレビュ(例:製造記録、製造手順の妥当性、装置/設備の適合性、原材料

  のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)を含めよ。各調査に関し、

  製造において可能性のある根本原因のサマリと、製造作業の改善の情報を提出せよ。

・貴社のOOSの結果の調査システムの包括的なレビュと改善計画

 CAPAには、これに限定されないが、以下のことへの対処を含めるべきである。

 〇試験の調査の品質部門の監督

 〇試験管理の良くない傾向の特定

 〇試験のばらつきの原因の解決

 〇試験の原因が決定的に特定されない場合はいつでも製造の原因の可能性の徹底的な調査の開始

 〇各調査とそのCAPAの適切な範囲の決定

 〇これら及びそれ以外の改善を含む、改訂されたOOSの調査手順

 

●未承認の新薬と不正商標表示の違反

XXは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図していて、かつ/または、体の構造や機能に影響を

与えることを意図しているので“医薬品”にあたる。

我々は、説明されラベルに表示された通りにXXが安全で効能があると一般的に認められていることを示す

十分なエビデンスを知らない。それ故にこの製品はFD&C Act 201(p)21 U.S.C.321(p)の意味で新薬で

あり、XXFDAの承認申請の対象ではないので、この製品の現在の売買はFD&C Act 301(d)21 U.S.C.331(d)

で禁止されている。

XXは、健康上危険な可能性があるので、FD&C Act 502(j)21 U.S.C.352(j)のもとで、不正商標表示と

なる。不正商標表示された医薬品の受け渡しや、受け渡しのための州内への配送は、FD&C Act 301(a)

21 U.S.C.331(a)で禁止されいている。

 

CGMPコンサルタントの推奨

我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために

21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の

経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。

 

●データ・インテグリティの改善

貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を

適切に保証していない。CGMPのデータ・インテグリティの手順を定め、それに従うために、FDA

ガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。

我々は、貴社の改善を支援する適切なコンサルタントを使用することを勧める。

この文書への回答において、次の情報を提供せよ。

A.アメリカ市場に出荷された医薬品のデータのレビュ結果を含む、データの記録と報告における

  不正確さの範囲に対する包括的な調査

  データ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。

B.貴社の医薬品の品質で発見された問題に関する影響の可能性についての現在のリスクアセスメント

  アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた

  患者のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。

C.全体的な是正処置及び予防処置(CAPA)の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略

  詳細の是正処置の計画は、微生物データ、分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータを

  含む、貴社が生成した全てのデータの信頼性と網羅性を保証するために貴社がどのようにするつもり

  かを述べるべきである。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、

これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者

としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cosmaceutical-research-lab-inc-600121-05292020

 

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WL:320-20-38

カナダの製造所の査察(2019/9/162019/9/24)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する

2020/6/11付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、無菌をうたう製品の微生物汚染を防ぐために設計された、無菌及び滅菌工程のバリデーションを

含む文書化された手順に従うことを怠った。

<指摘1詳細>

貴社は、無菌製造工程の適切なバリデートを行わずに注射用ホメオパシー薬品を製造し、販売した。

◎工程シミュレーション(培地充填)

貴社は、手順を定め、マニュアルの無菌充填と作業停止の評価をするための培地充填を実施することを

怠った。

◎フィルタの適合性

貴社は、貴社の注射用医薬品の除菌用フィルタの使用の適格性評価を行った。無菌医薬品の製造のため

に、滅菌フィルタを使うのではなく、除菌用フィルタとしてXXフィルタを使用した。また貴社は使用後

にフィルタの完全性の試験も怠った。

◎不十分な無菌法

貴社は無菌の注射用医薬品を製造するために適切な無菌法の使用を保証することを怠った。我々査察官

は、気流XXの道をふさぐ、マニュアル充填及び作業停止における職員の動作を発見した。

20191014日、貴社は、貴社が製造した全ての無菌の注射用医薬品を回収した。しかし貴社が提出

した是正処置は、貴社の医薬品を滅菌するための不適切なフィルタの継続使用を許可した。また貴社の

回答は、培地充填の実施の頻度に対処することも怠った。

無菌工程のバリデーションは、個別の工程が予め定められた規格と品質特性を満たす製品を一貫して製造

することを高度に保証する文書化されたエビデンスを定めることを要求している。これに限定されない

が、注射用医薬品が無菌であることを保証するために、培地充填や様々なシステム上の管理は、厳格な無

菌工程の標準の日々の厳守、適切な設備、安定した環境の管理、十分な製品の無菌試験の組み合わせにな

る。もし注射用医薬品が無菌でなければ、感染症を含む容認できないリスクを患者にもたらす。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・これに限定されないが、以下の独立したアセスメントを含む、貴社の無菌工程、装置、設備に関し、

 全ての汚染の危険の包括的なリスクアセスメント

 〇ISO5エリア内の全ての人の相互作用

 〇装置の配置と人間工学

 〇ISO5エリア内と周辺の部屋の空気の品質

 〇設備のレイアウト

 〇職員の流れと原材料の流れ(無菌作業を実施しサポートするために使用される全ての部屋のあらゆる

  場所)

・独立した汚染の危険のリスクアセスメントで見つかったことに対処するための、タイムラインを含む

 詳細な改善計画

 無菌処理作業の設計と管理になされた具体的な有形の改善を述べよ。

・製造中の適切な無菌手順とクリーンルームでの動作を保証するための貴社の計画

 全ての製造ロットに関する所定の効果的な管理の監視を保証するための手順を含めよ。また、無菌処理

及びそれをサポートする作業中の品質部門の監督(例:監査)の頻度についても述べよ。

・全ての無菌法に関する安定した無菌処理を保証するための貴社の計画

 全ての無菌作業の適格性評価とバリデーションに関する貴社のプログラムを提出せよ。また、以下の

 ことを保証する殺菌消毒ろ過に関する是正処置・予防処置(CAPA)を提出せよ:

 〇医薬品の殺菌のための適切なXXフィルタの選択

 〇各製品の、ワーストケースのろ過状態を含む、ろ過の効果のバリデーションプロトコル

 〇適切な処理に関する責任、完全な文書、レビュ、これらの検証の承認

 〇製品が、完全で適切な検証がされる前に出荷されないこと

 

●指摘2

貴社は、医薬品を汚染から守るために、製造職員の適切な衣服の着用を保証するのを怠った。

<指摘2詳細>

貴社は、無菌の注射用ホメオパシー薬品を製造するための適切な更衣を持つことを怠った。手袋の除外と

共に、貴社は、非無菌の更衣を用い、無菌作業を行うのにこれらの更衣の資材を再利用した。また我々

査察官は、無菌処理が行われるISO5の排気口のフードのすぐ隣で、向きだしの顔面皮膚や、素手の上に

無菌手袋を着用している職員を発見した。

貴社の回答は、製造のために無菌更衣を使用するつもりであると述べた。しかし、貴社の回答の中で描か

れている更衣は、例えば、作業者の顔の肌がむき出しになっているので、無菌の注射用医薬品の製造には

適切でない。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・貴社が使用しようとしている更衣の資材のリスト(例:無菌のつなぎのガウンや、フェイス・マスク、

 フード、あごひげ/口ひげのカバー、保護ゴーグル、手袋のような肌・髪のカバー)

・最初と、定期的に定められた更衣の適格性評価プログラム

 無菌法に従い、完全な無菌ガウンを適切に着用するための個人の能力

・ガウンの供給者の選択と継続的な適格性の判断に関する品質部門の役割

 品質部門が、供給者の選択、製造に使用される原材料及び供給品(例:衣服)のリリース、供給者の責任

 に関するその他の継続的は判断を含む最終決定を行うことを保証せよ。

・貴社が適切な更衣、訓練、更衣の適格性評価、継続的な基準の監督をいかに確立するかについての詳細

 

●指摘3

貴社は、無菌状態を作るための、無菌処理エリアの環境条件をモニタリングするためのシステムや、部屋

や装置の洗浄及び殺菌に関する適切なシステムを制定することを怠った。

<指摘3詳細>

◎洗浄及び殺菌

貴社の洗浄及び殺菌の手順は不十分である。例えば、貴社は、化学物質XXの使用頻度を保証するための

手順が欠けていた。また貴社は、洗浄と殺菌の一貫した文書化を怠った。

◎環境条件

貴社は20195月に貴社の設備の最初の適格性評価を実施中、環境モニタリングを実施した。しかし貴社

は定期的な環境モニタリングをせず、20199月まで製造を続けた。また貴社には、環境モニタリングに

関する文書化された手順が不足していた。

環境モニタリングプログラムは、無菌処理環境とクリーンエリアの品質についての意味ある情報を提供する。

貴社は環境モニタリングプログラムの詳細または手順を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。

また、貴社は、貴社の製造環境が継続的な管理状態のもとにあるというエビデンスを提出しなかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ。

・洗浄/殺菌手順と実務の改善、完了までのタイムラインを含む、貴社の洗浄及び殺菌プログラムの回顧

 的なアセスメントに基づくCAPAの計画

 装置の洗浄及び殺菌のライフサイクルマネジメントの手順における脆弱性のサマリを提出せよ。洗浄

 効果の向上、全ての製品と装置の洗浄及び殺菌の実施の改善された継続的な検証、その他の全ての必要

 とされる改善を含む、貴社の洗浄及び殺菌のプログラムに対する改善について述べよ。

・これに限定されないが、頻度、場所、タイプ、モニタリングの方法を含む、貴社の設備の包括的な環境

 モニタリングプログラム

 プログラムは、日々の結果と傾向を注意深くモニタするための対策も含めるべきである。

・無菌処理作業を行う作業者のための、包括的な職員モニタリングプログラム

 

●指摘4

貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、ラベル、医薬品が同一性、濃度、品質、純度の基準に一致

していることを保証するために設計された科学的に妥当で適切な規格、基準、サンプリング計画、試験

手順を含む試験管理を制定することを怠った。

<指摘4詳細>

貴社は、貴社の無菌試験手順のバリデートを怠り、また、貴社の無菌の注射用ホメオパシー医薬品の

無菌試験用の適切な培地を使用することを怠った。さらに貴社は、無菌の注射用ホメオパシー医薬品の

エンドトキシン及び粒状物質の試験を行うことを怠った。

貴社の回答は、複数製品のサードパーティの分析証明書を含んでいたが、貴社の無菌試験方法のバリ

デーションには対処していなかった。各ロットの無菌試験は、製品が無菌で、出荷に適していることを

保証する重要な一連のCGMP管理の最後の段階である。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・貴社の試験の業務・手順・方法・装置・文書・分析者の能力の包括的で独立したアセスメント

 このレビュに基づき、貴社の試験システムの改善と、その効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。

・貴社で使用されている全ての試験方法とそのバリデーションの状態の最新情報

 

●無菌処理の更なるガイドライン

貴社が無菌処理を使って無菌医薬品を製造する際のCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書

Sterile Drug Products Produces by Aseptic Processing Current Good Manufacturing Practice

を見よ。

上のCGMP違反の対処に加え、貴社により販売されている医薬品は、下記の未承認の新薬の章に書かれて

いるものを含むFD&C Actで適用される全ての要件に一致しなければならない。

 

●未承認の新薬

複数の製品は、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図していて、かつ/または、体の構造や機能に

影響を与えることを意図しているので“医薬品”にあたる。さらにそれらは、ラベルに表示された通りに

安全で効能があると一般的に認められてないので、はFD&C Act 201(p)21 U.S.C.321(p)の意味で新薬で

あり、新薬はFDAの事前の承認なしに、受け渡しや、受け渡しのための州内への配送がされてはならない。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの

違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。

FDA2019109日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。

貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者と

してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/8046255-canada-inc-dba-viatrexx-596178-06112020

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

1件目のウォーニングレターの指摘1は、ASTROM通信で取り上げるウォーニングレターの中で、年に1

程度しか登場しない、試験方法の検証の不備に関するものでした。あまりない指摘なのですが、是非

内容を確認してみて頂ければと思います。

それから、今回も3件のうち2件は、データ・インテグリティに関する指摘でした。

データ・インテグリティが製薬会社様にとって重要課題であることをあらためて感じます。

 

☆次回は、9/15(火)に配信させていただきます。

 

 

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ASTROM通信』担当 橋本奈央子