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2020.10.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<204号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
日に日に秋も深まってまいりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(2件)について見ていき
たいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-20-47■
カナダの製造所の査察(2020/3/2~2020/3/6)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について出された
2020/9/24付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、医薬品の製造、加工、包装、保持において、適切な設計と適切なサイズで、意図した使用目的に
対応し、洗浄・メンテナンスの作業を円滑に進めるために適切に配置された装置を使用することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、子供を含む消費者向けのOTC医薬品を製造している。貴社の非無菌医薬品の主要な成分はXXである。
貴社は、洗浄と製造作業のためのXXを生成するためのXXシステムを使用していた。我々は、このXXシステム
からくる約XXフィートの硬いパイプとホースをみつけた。それは、使用しない場合はXXを流れなくするので、
生体膜を持つ可能性がある。2017年のFDAの査察に続き、貴社は、XXの微生物の属性に関し試験をすること
を文書で約束した。しかし、現在の査察中、我々は、貴社が新しい滑剤XXを設置した時にXXのみ試験して
いることを発見した。さらに貴社の試験結果は、XXがXXに関するアメリカ薬局方(USP)の規格を一貫して
満たしていないことを示した。XXに関するXXの規格は25℃で、最高でXXμS/cm である。貴社の試験データは、
製造されたXXが既にUSP要件を満たしていなくても、25℃でXXμS/cmに近づいたレベルで貴社が滑剤XXを変更
していることを示していた。
貴社は回答の中で、XXの規格を制定し、XXのXXとプレートの総数を試験し、XXμS/cmを超えるXXは医薬品に
使用されていなかったと述べた。
貴社のXXはXXに関するUSPの要求を満たしていないし、貴社は貴社のXXの微生物の属性を定期的に試験すると
約束しなかったので、貴社の回答は不十分である。さらに、貴社の非無菌医薬品の中の主要な成分はXXなので、
XXシステムの微生物試験の一環として試験をしていなバークホルデリア・セパシア(B.セパシア)のような
好ましくない微生物の汚染の可能性がある。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・XXシステムの設計、コントロール、維持に関する包括的で独立した改善の計画
・確認された設計の問題が全て完全に是正され、全ての維持補修が完了した後に得られたXXシステムに
関するバリデーション報告
システムのバリデーション手順、完全な試験結果、最終的なバリデーション報告を含めよ。
・継続的なコントロールと維持のためのプログラムに対して行われた改善のサマリ
・貴社で製造される医薬品の各ロットに使用するための合格基準を満たすことを保証するためにXXの定期的
な微生物試験の実施を明記したXXシステムのモニタリングに関する手順
・改善されたシステムが、USPの規格XXと、適切な化学及び微生物の上限を満たすXXを一貫して製造すること
を保証する継続的なコントロール、維持、モニタリングに関するプログラムを管理する手順
・このシステムが貴社の各医薬品の使用目的に合ったXXを製造することを保証するための、適切な化学的属性
と、微生物の総数を示すデータ
・現在アメリカで流通していて使用期限内の製品の全てのロットの品質に、貴社が使用するXXが与える潜在的
な影響に対処した詳細なリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて、顧客への通知や製品の回収といった貴社がとるであろうアクションを明記
せよ。
●指摘2
貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとうたっている同一性、濃度、品質、純度を実際に持っている
ことを保証するために設計された製造と工程管理に関する文書化した手順を制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、プロセスバリデーションプログラムが欠けていた。
A.製造工程の不十分な管理
我々の査察中、貴社は、貴社が現在製造しているOTC医薬品XXに関して実施されたプロセスバリデーションが
無いと報告した。貴社は、前回の査察の後、文書で、プロセスバリデーションを実施すると約束した。しかし、
貴社は、約束した是正処置を最後まで実施しなかった。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクルを通じて、工程の設計や管理状態を評価する。製造工程の
それぞれの重要な段階が適切に設計され、入荷した原材料、中間材料、最終製品の品質を保証しなければ
ならない。工程の適格性評価は、最初の管理状態が確立しているかどうかを判断する。上首尾な工程の
適格性評価は、商品の流通前に必要である。その後、製品のライフサイクルを通じて、貴社が安定した製造
作業を維持していることを保証するために、継続的で慎重な工程性能と製品品質の監視が必要である。
FDAがプロセスバリデーションの要素と考えるプロセスバリデーションの一般的な原則とアプローチに関して、
FDAのガイダンス文書“Process Validation : General Principles and Practices”を見よ。
B.XXシステムの不十分な管理
XXは貴社の医薬の製造において主要な成分として使用されている。貴社は、XXシステムのバリデーションが
不足していた。貴社は、貴社がシステムを効果的に設計・コントロール・維持・モニタ出来ているので、
少なくともXXに関するUSPの規格と適切な化学及び微生物の限度を満たすXXのグレードの医薬品を一貫して
製造しているということを示さなかった。
貴社は回答の中で、プロセスバリデーションの活動を開始すると述べた。
貴社はプロセスバリデーションの活動に関する貴社の計画について十分な詳細の情報を提供しなかったので、
貴社の回答を完全に評価できない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じて、関連する手順と連動して管理状態を保証するためのバリデーションプロ
グラムの詳細なサマリ
継続的な管理状態を保証するための工程の性能適格性評価(PPQ)に関する貴社のプログラムと、ロット内
及びロット間のばらつきの継続的なモニタリングについて述べよ。
・販売されている貴社の各医薬品に関するPPQの実施のタイムライン
・貴社の工程の性能のプロトコル、装置や設備の適格性評価に関する文書化された手順を含めよ。
●指摘3
貴社は、装置や器具を、医薬品の性質に応じて洗浄・維持し、医薬品の公もしくはその他の要件を超えて、
安全性、同一性、濃度、品質、純度を変える誤作動や汚染を防ぐために適切な間隔で消毒・殺菌すること
を怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、共有の装置を使って多数のOTC医薬品を製造する。査察中、貴社は、貴社の製造及び充填作業に
関する洗浄バリデーションデータが利用できないと報告した。貴社は前回のFDA査察の後、文書で洗浄
バリデーションを実施することを約束した。しかし貴社は、約束した是正処置を最後まで実施しなかった。
貴社は回答の中で、洗浄バリデーションの活動を開始すると述べた。
貴社は洗浄バリデーションの活動に関する貴社の計画について十分な詳細の情報を提供しなかったので、
貴社の回答を完全に評価できない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の医薬品製造作業内のワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を置いた、
貴社の洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
これに限定されないが、以下のワーストケースの特定と評価を含むべきである:
〇高い毒性を持つ医薬品
〇高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする部分の拭き取り場所
〇洗浄前の最大保留時間
・更に、新しい製造装置や新しい製品の導入前に貴社の変更管理システムでとられるべきステップについて
述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションに関するプログラムが整っていることを保証する
最新のSOPのサマリ
●指摘4
貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切は保管条件と使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用
するように設計し文書化した試験プログラムを制定しそれに従うことを怠った。
<指摘4詳細>
貴社は、貴社の医薬品に関し、貴社のXX年の使用期限を裏付ける適切な安定性のデータが不足していた。
我々の査察中、貴社は、安定性プログラムはないので、どのように安定性プログラムが実施されているかを
知らないと報告した。適切な安定性のデータもなしに、貴社は、貴社の医薬品に付与された保管期間を通じて、
制定された規格と全ての事前に定められた品質特性を満たすことを保証することはできない。
貴社は、前回のFDAの査察の後、文書で安定性プログラムを制定すると約束した。しかし、貴社は、約束
した是正処置を最後まで実施しなかった。
貴社は回答の中で、安定性プログラムを開始すると述べた。
貴社は、回答に市場にある製品の暫定的な使用期限や製品の品質の正当性を裏付けるための加速試験を
含めなかったので、貴社の回答を完全に評価できない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
・貴社の安定性プログラムが適切であることを保証するための包括的で独立したアセスメントと是正処置・
予防処置(CAPA)の計画
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下の情報を含むべきである:
〇安定性を示す方法
〇販売許可前の各製品の容器施栓系の安定性の検証
〇保管期間が妥当か判断するために、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加されるような継続的
なプログラム
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
・アメリカ市場向けに貴社の設備で製造された全ての医薬品の安定性試験データ
・貴社の医薬品の全ての規格と、該当する場合、上限レベルと下限レベルを含む、各規格のレンジに関する
正当性
●指摘5
貴社は、各成分のサンプルについて、同一性と、純度・濃度・品質に関し、適切に文書化された全ての規格
への一致を試験することを怠った。また、貴社は、適切な間隔で成分の供給者の分析試験の信頼性を検証し
証明することを怠った。
<指摘5詳細>
貴社は貴社のOTC医薬品の製造に使用される入荷した成分の同一性、純度、濃度、品質を判断することを怠り、
原材料の供給者に関するベンダの適格性評価プログラムを制定することを怒った。
代わりに貴社は、入荷した成分の各ロットについて、適切なバリデーションを通じて供給者の分析の信頼性
を確認することもなく、また、少なくとも1つの同一性試験を実施することもなく供給者の分析証明書
(COA)の結果を使用した。連邦規制基準21 CFR 211.84(d)(2)のもとで、貴社は、成分の同一性を確認する
ために供給者のCOAをあてにしてはいけない。
さらに、貴社は、グリセリンを含む多数の医薬品を製造しているにもかかわらず、ジエチレングリコール
(DEG)とエチレングリコール(DG)に関する同一性試験を実施しなかった。DEGで汚染されたグリセリンの
使用は、世界中の人のさまざまな致死中毒事件を引き起こしてきた。
グリセリンを含む医薬品を製造する場合、貴社がCGMPの要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書
“Testing of Glycerin for Diethylene Glycol”を見よ。
貴社は回答の中で、グリセリンを含む全ての添加剤の同一性試験を実施することを約束した。
貴社は、貴社の成分供給者の適格性評価に関する計画についても、アメリカに出荷された貴社の医薬品の
全てのロットのDEG及びEGについて試験するかどうかにも回答しなかったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・全ての成分、容器、蓋の供給者が適格性を評価され、原材料に適切な使用期限またはリテストの日付が
指定されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
レビュは、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために、入荷した原材料の管理が適切であるかも判断
するべきである。
・適切に試験・適格性評価がされていない成分を使用して製造された医薬品の完全なリスクアセスメント
を提出せよ。貴社のリスクアセスメントは、使用期限内にあり、アメリカに出荷された全ての製品に対処
すべきである。
供給者の適切な選択、サプライ・チェインの継続的な監視、入荷したロットの適切な管理を保証するため
に、迅速な是正処置・予防処置をとり、また貴社の今後のアクションについて述べよ。
●指摘6
貴社は、適切な品質部門とその責任を定めることを怠り、品質管理部門に適用される手順の文書化と完全な
順守がされていなかった。
<指摘6詳細>
査察中、我々査察官は、貴社の品質部門(QU)が貴社のOTC医薬品の製造に関し、適切な監視をしていない
ことを発見した。例えば、貴社のQUは以下のことを保証することを怠った:
・外部の試験機関で実施された試験を含む、実施された製造と包装の記録のレビュが、貴社の医薬品の
出荷のためのリリース前に実施されていること
・貴社の医薬品の容器、蓋のサンプリング、試験、リリースが、製造に使用される前に実施されていること
・逸脱及び規格外(OOS)試験のログが貴社の手順で要求されている通りに保持されていること
・医薬品の苦情の記録を維持することを義務付ける適切は苦情対応手順が策定されていること
貴社は回答の中で、貴社のQUの不具合に対処するための品質マネージャの採用を含む多数の是正処置を
提出した。
貴社の回答は不十分である。貴社はQUの不備の範囲をレビュし、貴社の医薬品の製造工程を適切に管理
することを保証するために貴社が立案し実施した手順のエビデンスを提出することを怠った。また、貴社
は、品質の監督の欠如が、貴社が製造し使用期限内にある医薬品の品質に与える潜在的な影響に対処する
ことを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社のQUが効果的に機能するために、権限とリソースを与えられていることを保証するための、包括的
で独立したアセスメントと改善の計画
アセスメントには、これに限定されないが以下のことを含めるべきである:
〇貴社により使用されている手順が安定していてい適切であるかどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するための、貴社のあらゆる作業のQUの監督の規定
〇QUの判定の前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUの監督と調査の承認と、他の全てのQUの
職務の解放
貴社の品質システムは不十分である。CGMPの規制要件を満たすために品質システムとリスクマネジメント
アプローチの実装の助けとしてFDAのガイダンス文書“Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations”を見よ。
●繰り返しの所見と製造の中止
2020年8月19日、貴社は、Brampton工場(かつてのBurlington工場)での医薬品製造を中止し、全ての
医薬品製造作業をMississauga工場に移した。Brampton工場での繰り返しの所見と、Brampton工場及び
Burlington工場で実施すると文書で約束した様々な是正処置の実施の不履行に基づけば、貴社には貴
社の医薬品の製造を監督し管理する適切な経営管理がない。
もし貴社がBrampton工場でアメリカ市場向けの医薬品製造を再開するつもりなら、作業の再開前にこの
オフィスに通知し、2020年3月25日以降の是正処置の確認書も含めよ。
この文書への回答の中で、Mississauga工場への全ての装置の移転に関する変更管理文書を提出せよ。さら
に、上に記載された全てのCGMPの懸念事項がMississauga工場で評価され、Mississauga工場でCGMPに
則って作業を行っていることを示す文書を提出せよ。FDAは、次のMississauga工場の査察で、是正処置と
製造の変更管理を検証することを計画している。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝いを
するために21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
また、我々は、貴社がFDAとコンプライアンス状態を遵守しようとする前に、適格性のある第三者が、
貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施してきた全ての是正処置・予防
処置の完了と効果を評価することを勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の
義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP
順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の逸脱を防止する責任がある。
さらに、貴社が製造しているOTC医薬品のいくつかは、化粧品としても規制を受けている。貴社の製造する
OTC医薬品の品質を落とす原因となる消毒状態のいくつは化粧品の品質も落とすかもしれない。
FDAは2020年7月14日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者として
のいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■WL:320-20-48■
インドの製造所の査察(2020/2/10~2020/2/20)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について出された
2020/9/24付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料科、ラベル、製品が同一性、濃度、品質、純度の基準に一致
していることを保証するために設計された科学的に妥当で適切な規格、基準、サンプリング計画、試験
手順を含む試験の管理を確立することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、無菌処理作業で採取した微生物の同定のデータが欠けている。
貴社の微生物の試験室は、貴社の環境モニタリングプログラムで回収した微生物の特定に関して責任が
ある。貴社の手順は、以前に特定された分離株と形態学的に異なるとみなされた生物分類の属(そして、
できれば、種)レベルで分離株を特定することを求めている。
しかし、貴社は、無菌工程作業で回収された微生物を滅多に特定せず、無菌処理室内の微生物の重要な
データが不足していた。特に2019年、貴社は、ISO 7エリアから取り出した6360の微生物からわずか1つの
微生物を特定した。
さらに貴社は、単なるXXの微生物からなる不完全で未処理な写真のライブラリを使って、回収した微生物
を視覚的に特定しようとした。
無菌処理作業から得た微生物の特定データの不足に加えて、貴社の試験室は、基本的な微生物の識別情報
を保持することを怠った。例えば、貴社はしばしば細菌のグラム染色データを記録すること、微生物が
胞子菌かどうか判断すること、または、その他の重要な識別データを提供することを怠った。
回収された分離株の所定の特性評価は、無菌作業において汚染の可能性のあるルートを迅速に検出するため
に重要なデータを提供する。貴社は環境モニタリングによる微生物識別データが不足しているので、貴社
の無菌製造作業における継続的な管理状態を評価するために必要な基本的情報が不足している。
貴社は回答で、コロニー形態に基づいて環境の分離株を識別し、仮定して特定するつもりであると述べた。
さらに貴社は、ISO 5及びISO 7エリアから回収された分離株でグラム染色を行うつもりであると述べた。
貴社は、無菌加工室で回収された全ての分離株を、少なくとも属のレベル(可能であれば種)まで識別
すると約束しなかったので、貴社の回答は不十分である。
また貴社は、付属のクリーンルームに関し、十分な微生物識別プログラムを実施する約束をしなかった。
付属のクリーンルームにおける分離株の識別は、微生物相の最新のデータベースを整えるために適切な
頻度で行われるべきである。また、これらのエリアのその他の分離株は、現在記述されている貴社の手順
より高度の特定性で識別されるべきである。
■エンドトキシン分析
査察中、我々は、エンドトキシンに関するゲル化法を使った水のサンプルとXXのサンプルの分析を見た。
我々は、分析者がボルテックスのサンプルに関する重要な手順の実施を怠っていることを発見した。
さらに、分析者は、手順の中でタイミングの時間をはかるのに、校正されたタイマーを使用することを怠
り、代わりに、校正されていない壁の時計を使用していた。
試験が誤った陰性の結果にならないことを保証するために、この方法においてボルテックスもタイミング
を計ることも重要な手順である。貴社のゲル化法は十分な指示を含んでもいなかった。
貴社は回答で、貴社の方法は不十分であったことを認め、ボルテックスの手順も含めて、校正された外部
温度計と外部タイマーを使うために貴社の手順を改訂するつもりであると述べた。また貴社は、製品への
影響を評価するための調査の一貫で、XX mg/vialの注射剤XXの全ての商用ロットの保管サンプルを分析し、
全てのロットは合格基準に適合していたと述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社は、これに限定されないが、試験方法の適切性を含む貴社の試験手順の
回顧的レビュの実施を怠った。また、貴社は、分析者の能力と訓練の十分性の評価を提出しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:
・貴社の試験業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善するための詳細計画と、その効果の評価を提出せよ。
貴社の回顧的アセスメントと、是正処置・予防処置(CAPA)の重点部分の計画には、これに限定され
ないが、以下のことを含むべきである。
〇再現性を保証し、特定された条件のギャップを改善するための、全ての試験方法のレビュ
〇試験装置(例:加熱ブロック温度計)に関する適切なキャリブレーションの頻度を保証せよ。改訂された
頻度に関するSOPを含めよ。
●指摘2
貴社は、無菌処理エリア内の環境条件をモニタリングするためのシステムを制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社はアメリカ市場向けにXX mg/vialの注射剤XXを製造している。我々の査察は、貴社の無菌処理設備
の不十分な継続的モニタリング及びコントロールを明らかにした。
■圧力差
貴社は、貴社の無菌処理設備内の圧力差の適切なコントロールを保証するための効果的なシステムが不足
していた。貴社は、XXの間におよそXX回、クリーンルームとの圧力差を手作業で記録していた。
また貴社は、圧力の逆転を含むXXまでの逸脱も認めていた。特に、XXを超える逸脱については、逸脱/
インシデントを“提出してもよい”ことになっている。
また、貴社は、XXの間の部屋の圧力差の頻繁な記録、継続的な冷暖房空調設備(HVAC)の管理の精査、逸脱
対応の開始、圧力の逸脱発生時の適切なアクションのための統合されたシステムが不足していた。
不十分な圧力差システム、圧力コントロール問題の調査開始に関する不十分な手順により、貴社は、無菌
処理作業で使用されるHVACシステムに関して継続的な管理が維持されていたというエビデンスに欠けて
いる。
適切な設備モニタリグシステムは、貴社のクリーンルーム全体の適切な空気の品質を維持するために重要
である。制定されたリミットからの全ての警告と逸脱は、設備の環境を損なう可能性のある普通でない変化
を迅速に検知するために適切に調査されなければならない。低圧の問題の発生の迅速な検知は、重要な
部屋に品質の低い空気が入ることを防ぐために重要である。
貴社は回答で、XX(充填ライン)の圧力差のオンラインのモニタリングに重点的に取り組んだ新しいシステム
を実装しているところであると述べた。しかし、貴社は、無菌処理設備の全てのクリーンルームの環境
コントロールを改善するための貴社の設備のモニタリングとHVACシステムを包括的にレビュすると約束
しなかった。
■生育不能微生物粒子のモニタリング
無菌処理作業中の、XX NVP>=0.5μm/ft3 という貴社のアクションレベルを超える生育不能微生物粒子
(NVP)の取扱いに関する適切なシステムが欠けていた。
このリミットは、2019年5月以後に製造されたXX mg/vialの注射剤XXのXXロットのうち7件が超えていた。
貴社は、ISO5無菌加工作業内で発見された高い微生物粒子のレベルに対応した調査が不足していた。
貴社のNVPモニタリング手順では、逸脱がXX以上継続しなければ調査は必要とされなかった。
ISO5の環境内の過度の微生物粒子は、無菌医薬品内への生育不能微生物または生物学的汚染につながる。
貴社は回答で、逸脱発生時に充填機械を止めることを可能にする生育不能微生物粒子のカウンタのXX内
への実装の実現可能性について評価中であると述べた。
貴社は生育不能微生物粒子のモニタリングプログラムを改善することを約束したが、調査を開始するパラ
メータの十分な情報に欠けていた。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の圧力差システムに関する徹底的で独立したアセスメントとCAPA
アセスメントの中で、モニタリング、記録、警報の文書、逸脱の文書、データの保持、全体的なシステム
のコントロールについての包括的な評価を含めよ。これに限定されないが以下のCAPAを提出せよ:
〇クリーンエリア間のエアバランスの管理状態と、各HVACシステムの実装の適切性
〇事象の長さや場所に関わらず、全ての警報に関する文書とデータの保持
〇制定されたリミットからの逸脱に関する改善された調査の手順と、圧力の逆転が発生した事象の
取扱いに関する具体的な対策
〇1つまたは複数のクリーンルームの、同時の、普通でない圧力の変化を迅速に検知する改善されて設備
モニタリングシステム
〇貴社の設備内の各クリーンルームをサポートする全てのHVACシステムの無停電電源装置(UPS)を、貴社が
いかに保証するかの詳細な記述
・貴社の無菌工程、装置、設備に関する全ての汚染の危険の包括的なリスクアセスメント
独立したアセスメントには、これに限定されないが以下のことを含めよ:
〇ISO5エリア内の全ての人の相互作業
〇装置の配置と人間工学
〇ISO5エリアとその周辺の部屋の空気の品質
〇設備の配置
〇 (無菌作業を実施・サポートするのに使用される全ての部屋の至る所の) 職員の流れと原材料の流れ
〇製造中の無菌手順とクリーンルームでのふるまい
〇貴社の無菌処理作業の内在または外因性の微粒子のリスクの特定
現在のISO5エリアの微粒子モニタリング手順(これに限定されないが、微粒子の逸脱警報が出る前に
経過する最大時間の評価を含む)の適格性も評価せよ。
・汚染の危険のリスクアセスメントで見つかったことに対処するための、タイムライン付きの詳細な改善
計画
無菌処理作業の設計とコントロールに為される具体的な改善を述べよ。
貴社が、無菌工程で無菌医薬品を製造する際のCGMP要件に従うための助けとして、FDAのガイダンス文書
“Sterile Drug Products Produces by Aseptic Processing – Current Good Manufacturing Practice”を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣
には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者として
のいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
2件目のインドの製薬会社に対するウォーニングレターで、下記のアナログ作業に対し指摘がされている点に
少し驚きました。
・時間をはかるのに、校正されたタイマーを使用せず壁の時計を使っている
・クリーンルームとの圧力差の記録を手作業で残していて、適切なコントロールを保証するための効果的な
システムが不足している
これらの作業が大きなリスクにつながっていたのかもしれませんが、どこの製薬会社様でも多かれ少なかれ
アナログ作業は残っていると思います。この先、こういった部分も指摘がされるようになっていくのか
気になります。今後のウォーニングレターの動向を注意していく必要があるのではないでしょうか。
それから、システムの無停電電源装置(UPS)をいかに保証するかの記述が不足しているという指摘も印象的
でした。指摘の背景はわかりませんが、UPSについていかに保証するかというのは、かなり難しい内容の
ように思いました。このあたりも、今後のウォーニングレターの傾向を見ていきたいと思います。
☆次回は、11/1(日)に配信させていただきます。
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『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2020.10.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<203号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
いつの間にか肌寒さを感じる季節になってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出されたウォーニングレター(3件)について
見ていきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-20-43■
インドの製造所の査察(2020/2/10~2020/2/19)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に
ついてアメリカの製薬会社に出された2020/8/13付ウォーニングレターには、下記の指摘事項が
あげられています。
●指摘1
貴社は、そのロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、ロット又はその成分の、規格との
食い違いや不合格の徹底的な調査を行うことを怠った。
<指摘1詳細>
貴社の培地充填ユニットの汚染の調査は、科学的な裏付けのある結論を含まず、是正処置・
予防処置(CAPA)に欠けており、汚染されている可能性のある全てのロットに対処することを怠って
いる点で不十分である。
2019年11月、貴社は、XXライン上で培地充填を実施した。培養のXXにおいて、貴社は、XX個を
超える汚染されたユニットを発見した。貴社の培地充填の不具合の調査は不十分であった。貴社は、
XXの処理ラインの一部だけが、ラルストニア・ピケッティ(細菌)の汚染源の可能性であると考えた。
しかし貴社の調査は、範囲の狭い絞り込みと他の意味のある欠陥モードの除外についての科学的な
正当化の理由に欠けていた。貴社の調査は、潜在的な根本原因を解決するためのCAPAを決定せず、
そのラインで製造された他のロットがいかに汚染されたか、または、汚染されるかを十分に評価
することなく調査を終了した。
代わりに、貴社は、2019年のその後の培地充填の合格結果を引き合いに、製品品質に影響はないと
結論づけた。
貴社の回答は不十分である。貴社は回答で、この調査に関して、明確な根本原因につながらなかっ
たため対処しなかったので、正式にCAPAを記録しなかったと述べた。さらに貴社は、調査の中で
“最も可能性の高い”根本原因だけが確認されたと述べた。可能性のある根本原因だけが確認され
た時でも、貴社の調査で改善のためにエリアを特定することが重要である。そのようなリスクの
緩和なしに、最初の不具合を引き起こした過度のばらつきと同じ原因から不具合が再発することを
防げる保証がない。貴社の回答は、貴社が決定的な根本原因を発見しなかった場合にCAPAを決定し
実施したことを保証するための、調査の回顧的な評価を含んでいなかった。
同様の不具合は2019年6月に新しい無菌充填ラインの適格性を評価するために用いられた培地充填の
別の不具合の調査で発見された。この調査も、適切なCAPAを含む潜在的な根本原因を徹底的に調査
し、汚染されたユニット数を特定することをしなかった。我々は、この新しい充填ラインは今まで
アメリカ向けに商業的に出荷する製品のために使用されていなかったことには気付いている。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・逸脱、食い違い、苦情、規格外の結果、不具合の調査のための総合的なシステムの包括的で独立
したアセスメント
このシステムを修正するための詳細なアクションプランを提出せよ。
貴社のアクションプランは、これに限定されないが、調査能力の著しい改善、範囲の決定、根本
原因の評価、CAPAの効果、品質部門の監督、文書化された手順を含むべきである。貴社が調査の
全てのフェーズが適切に実施されることをいかに保証するつもりかについて述べよ。
・貴社の培地充填の詳細で独立した回顧的な評価を含む、培地充填の不具合についての最新の調査
サードパーティが、貴社の今までの調査を監督し、これら、及び、これに限定されないが以下の
調査を含むその他の調査の独立した評価を提出せよ:
〇バッチがアメリカに出荷されたかどうかに関わらず、過去4年間の全ての無菌性が陽性の事象
及び エンドトキシンの規格外の結果
〇過去4年間の培地充填の不具合
〇これらの事象に関連した全ての潜在的な欠陥モードの特定
〇これに限定されないが、XXタンクと充填ラインの前後でされている結合を含む、XXラインの
ためのXXのXXにされた無菌の結合部分の詳細な記述
●指摘2
貴社は、無菌をうたう製品の微生物汚染を防ぐために設計された、無菌及び滅菌工程のバリデー
ションを含む文書化された手順に従うことを怠った。
<指摘2詳細>
◎不十分な煙の検証
貴社のXXの無菌処理作業について実施された煙の検証は、無菌製造作業中に発生した介入やその
他の関連する活動のシミュレーションが不足していた。
我々は、根本的な汚染リスクとなる、クリーンルームと無菌処理ラインの設計の複合的な状況が
存在していたことに気付いている。貴社の煙の検証は、以下のことを示した:
・無菌処理ラインの最低限の保護しかなかった。
・無菌処理ラインに広範囲に及ぶマニュアルの干渉があり、無菌医薬品と容器/蓋が露出していた。
・XX内に非一方向流があり、重要なXX処理エリアのまわりには限られたスペースしかなかった。
・職員は、XX無菌処理エリアを囲むエリアにアクセスするために使用されるXXの内部と不注意に
接触している。
・これらのXXの時に、過度の乱流を引き起こす広範囲の気流の変化がある。
我々はこれらの不備と十分な適格性評価の欠如を発見していたが、貴社がクリーンルームとライン
の設計を修正するための努力をしていたかは不明である。
貴社の回答は不十分である。貴社は回答の中で、追加の煙の検証を実施し、気流のパターンは
一方向であると結論を出したと言及した。これらの煙の検証は不十分である。例えば:
・煙の検証で、無菌処理作業における気流の可視化を行わなかった。
・貴社のレポートの中で不正確に扱われている通り、動的な状態のもとで煙の検証が実施されな
かった。
・貴社は、天井のHEPAフィルタと最初の空気の混合の間の隙間を通って進む煙に対処しなかった。
無菌製品が露出するのでXXエリアは重要であり、汚染に脆弱である。貴社の無菌製造工程は、貴社
の無菌製品に対する汚染の危険を防ぐために設計され、作業が実施されるべきである。
クリーンルームと無菌処理ラインの設計の不具合、または、無菌作業の不適切な実施は、重要な
XX処理エリアに汚染物質の流入を促進しうる。
◎不適切な培地充填
培地充填は、商業用の作業を適切にシミュレーションすべきである。我々の査察は、培地充填中の
シミュレーションされた注入及びその他の作業は、商業用の無菌製造を十分に表象していないこと
に気付いた。
我々は、貴社の培地充填の検証が商業用の製造作業を表象していたという貴社の最初の回答に異論
を唱える。貴社は、全ての注入及び培地充填のシミュレーションを完全に修正するための、商業用
の作業中の無菌処理ラインに近い場所で実施される活動の包括的で回顧的なレビュの情報を提出
しなかった。
もし培地充填プログラムが汚染リスクのファクタを具体化し、実際の製品の露出を入念にシミュレ
ーションしていないのであれば、工程管理の状態と無菌保証は正確に評価できない。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・重要な充填エリア内での、無菌の注入と作業者の位置決めの詳細で完全な評価を伴った、動的
状態のもとでの煙の検証
貴社の無菌作業の修正後、気流を視覚化した煙の検証結果を提出し、一方向流を厳しく評価せ
よ。貴社の動的な煙の検証のビデオも提出せよ。
・これに限定されないが、以下の独立したアセスメントを含む、貴社の無菌工程、装置、設備に
関する全ての汚染の危険のリスクアセスメント:
〇XXエリア内の全ての人の介入
〇装置の配置と人間工学
〇XXエリア内及び周辺の部屋の空気の品質
〇設備のレイアウト
〇建物の管理システム(例:差圧の記録頻度の不十分さへの対応)
〇無菌作業を実施しサポートするために使用される全ての部屋のあらゆる場所の人の流れと
原材料の流 れ
・汚染の危険のリスクアセスメントでの指摘事項に対処するためのサードパーティのレビュと推奨
に基づく、タイムライン付きの詳細な修正計画
無菌処理作業の設計と管理をいかに改善するつもりかを述べよ。特に、貴社の無菌処理ラインと
クリーンルームの設計の包括的な改善を含めよ。
貴社の大々的に改善された作業の適格性評価とバリデーションに関する計画も述べよ。
・貴社の培地充填プログラムのサードパーティによる最新のアセスメント
最新の培地充填に関するサードパーティのアセスメントと、アセスメント内の推奨事項の実施の
ための計画を提出せよ。
・貴社が提出したXXの製造ラインで実施する最新の培地充填と、実施される注入の頻度と継続時間
のアセスメント
製造中に発生するXXゾーンに隣接した場所での介入や活動をより正確に適切にシミュレートする
ために行われる改善について述べよ。
●無菌工程の追加のガイドライン
貴社が無菌工程を使って無菌医薬品を製造する場合のCGMP要件を満たす助けとして、
FDAのガイダンス文書Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processingを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社
の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造
業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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■WL:320-20-45■
インドネシアの製造所の査察(2019/11/11~2019/11/15)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反
について出された2020/8/24付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に、各有効成分の同一性と濃度を含む、製品の最終規格
への一致の試験室の判断を行うことを怠った。また、貴社は、試験方法の精確さ、感度、特異性、
再現性を証明することを怠った。
<指摘1詳細>
◎リリース前の不十分な試験
貴社は、十分な最終製品の試験をせずにOTC医薬品XXをアメリカにリリースし出荷した。2019年8月
14日付のロットのリリース文書は、XXのXX%の分析結果(規格はXX~XX%)を示していた。貴社は、
査察中、この試験はリリース文書の日付及び医薬品のリリース後の2019年11月に実施されたことを
認めた。ロットのリリース文書の食い違いは、貴社のCGMPの記録の正当性に関する懸念を示す。
◎不十分な方法のバリデーション
貴社には、出荷のためのリリース前に製品の合格を判断するのに使用される分析試験方法の適切な
バリデーション(またはアメリカ薬局方(USP)に要約された方法に関する検証)が不足していた。
査察中、貴社は、貴社の最終製品内の有効成分に関する分析試験はUSPの方法ではなく、高速液体
クロマトグラフィ(HPLC)によるバリデートされた試験方法も持っていないことを認めた。
分析方法は、それが使用目的に合っていることを示すためにバリデートされ、USPに要約された方法
と同等またはそれより良い方法でなければならない。貴社の試験方法の精確さ、感度、特異性、
再現性を検証することは、貴社が製造した医薬品が、制定された化学及び微生物の特性に関する
規格を満たすかどうかを判断するために不可欠である。
貴社は回答の中で、有効成分XXの標準品を買い、定められた方法のバリデーションを実施するつもり
であると述べた。また、貴社は、2020年4月30日までにXXの残っている在庫について試験を実施する
つもりであると述べた。
貴社は、最終製品の適切なリリース試験を実施するのを怠ったことに対処しなかったので、貴社の
回答は不十分である。また、貴社は、XXの同一性と濃度に関する試験方法のバリデーション又は
検証に関する十分な情報を提供しなかった。更に貴社は、CGMP作業で使用されている全てのコン
ピュータ化された試験システムから生成された全てのデータの包括的なアセスメント回顧的なレビュ
が不足していた。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力に関する包括的で独立したアセス
メント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを修正し、その効果を評価するための詳細ブランを
提出せよ。
・貴社の製品の出荷判定前に各ロットを分析するために使用されている、試験方法を含む、化学
及び微生物の規格のリスト
〇アメリカに出荷され使用期限内にある製品の全てのロットの品質を判断するための、保管サン
プルの全ての化学及び微生物の試験を実施するためのアクションプランとタイムライン
〇各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もし試験が医薬品の品質が標準を満たさないことを示した場合、顧客への通知や製品の回収
といった迅速な是正処置をとれ。
・有効成分の同一性、濃度を含む適切な試験をせずに以前に出荷された、使用期限内にある
アメリカ向け医薬品のロットの総合的な品質を判断するために貴社がとろうとしているアクション
・同一性、濃度、品質、純度に関しアメリカ向け医薬品の各ロットを試験するために貴社が使用
しようとしている全ての分析方法のバリデーションのサマリ
●指摘2
貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。
また貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性を確認して証明することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の医薬品の製造に使用する、入荷した原薬XXについて、同一性、純度、濃度、その他
の規格への一致を判断するための試験を行うことを怠った。代わりに、貴社は、適切なバリデー
ションを通じて供給者の分析の信頼性を確認することも、各ロットについて少なくとも1つの同一性
試験を確実に実施することもなく、ただ供給者の分析証明書(COA)に基づき、医薬品の製造のために
原薬をリリースした。
貴社は回答の中で、標準品XXを買い、残っている原薬の在庫について同一性試験を実施するつもり
であると述べた。
貴社は、貴社の医薬品の製造に使用する前に、原材料の新しく入荷した全てのロットの試験を実施
することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。更に貴社は、貴社の供給者の分析の信頼性を
どう確認するつもりかを明確に述べなかった。また、貴社は、既に市場にある医薬品に関して
いかなるアクションもとらなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・全ての成分、容器、蓋の供給者が適格性を評価され、原材料に適切な使用期限またはリテストの
日付が指定されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立した
レビュ
レビュは、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために、入荷した原材料の管理が適切であるか
も判断するべきである。
・入荷した各ロットを製造に使用するために試験しリリースするのに使用している化学及び微生物
の品質管理の規格
・各成分のロットについて、貴社が、同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致を
いかに試験するつもりかの記述
もし貴社が、各成分のロットの濃度、品質、純度を試験する代わりに、供給者のCOAの結果を
受け入れるつもりなら、最初のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、供給者の
分析結果の信頼性をいかに確実に確認するつもりかを明記せよ。更に、入荷した成分の各ロット
について、少なくとも1つの同一性試験を常に実施することを約束せよ。
・各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
COAのバリデーションプログラムについて述べた貴社のSOPを含めよ。
・貴社が製造した医薬品を試験する契約施設の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ
●指摘3
貴社は、貴社が製造した医薬品が持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するめに設計され
た製造及び工程管理に関する文書化された手順に従うことを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は貴社の医薬品XXに関するプロセスバリデーションの手順を実施することを怠った。更に、
貴社に貴社のXXシステムと洗浄プログラムをバリデートすることを怠った。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクルを通じて、工程の設計の安定性と管理状態を評価
するものである。製造工程のそれぞれの重要な段階は適切に設計され、入荷した原材料、中間材料、
最終製品の品質を保証しなければならない。工程の適格性の検証は、最初の管理状態が定着して
いることを判断するものである。
商業用の出荷の前に、上首尾の工程の適格性の検証が必要である。その後は、貴社が製品のライフ
サイクルを通じて安定した製造作業を維持していることを保証するために、工程の性能と製品品質
の継続的で慎重な監視が必要である。FDAがプロセスバリデーションの要素として考える一般原則
とアプローチに関しては、
FDAのガイダンス文書Process Validation: General Principles and Practicesを見よ。
貴社は回答の中で、プロセスバリデーションを実施するつもりであると述べた。更に貴社は、
XXシステムを再設計し、適格性評価のプロトコルを整える計画があると述べた。また貴社は、洗浄
バリデーションのプロトコルを定め終え、検証を実施するつもりであると述べた。
貴社は、貴社が計画しているバリデーション活動の、完了までのタイムラインを含む、十分な情報
を提供しなかった。さらに貴社は、プロセスバリデーションの欠如の、市場にある使用期限内の
製品への影響について取り組まなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、関連する手順を含むバリデーション
プログラムのサマリ
工程の性能適格性評価のための貴社のプログラムと、連続した管理状態を保証するための、
ロット内とロット間のばらつきの継続的なモニタリングについて述べよ。
・販売されている貴社の各医薬品に関する工程の性能適格性評価の実施のタイムライン
・貴社の工程の性能に関するプロトロコルと、装置と設備の適格性評価に関する文書化された手順
・継続的な管理状態を保証するためのロット内とロット間のばらつきの慎重なモニタリングを含む、
貴社の各製造工程の設計、バリデーション、維持、管理、モニタリングのための詳細プログラム
貴社の装置と設備の適格性評価のためのプログラムも含めよ。
・XXシステムの設計、管理、維持に関する包括的な修正の計画
適切に設計されたシステムが設置された後に得られたXXシステムに関するバリデーション報告を
含めよ。システムのバリデーションプロトコル、完全な試験結果、最終的なバリデーション報告
を含めよ。
・このシステムが、貴社の各製品の使用目的にあったXXを製造しているかどうかをモニタするため
の微生物総数の上限
・発見されたXXシステムの不具合が、現在アメリカにある、または、使用期限内の医薬品の
全ロットの品質に与える潜在的な影響に関する詳細なリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社がとろうとしている、顧客への通知や成否の改修といった
アクションを明記せよ。
・貴社で製造される医薬品の各ロットに使用する妥当性を保証するための、XXの定期的な微生物
試験を明記した、XXシステムのモニタリング手順
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションに関するプログラムが整っていることを
保証する最新のSOPのサマリ
・貴社の洗浄の手順と業務に対する修正を含む、回顧的アセスメントに基づく是正処置・予防処置
(CAPA)と完了までのタイムライン
装置の洗浄のライフサイクルマネジメントにおける手順の脆弱性の詳細を提出せよ。洗浄効果の
向上、洗浄の改善された継続的な検証を含む貴社の洗浄プログラムの改善について述べよ。
●指摘4
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関する制定
された規格を満たすことを保証するための責任を果たすことを怠った。
<指摘4詳細>
貴社には適切な品質部門(QU)が欠けていた。例えば、貴社の品質部門は、QUの役割、責任、権限を
述べた手順を制定することを怠った。さらに、貴社の医薬品製造作業に対するQUの監視は不十分
だった。例えば、QUは以下のことを行うことを怠った:
・製造指図書原本の制定
・製造指図書の管理と発効
・コンピュータ化システムの試験記録の監視
・食い違いや規格外(OOS)の結果の評価
貴社は回答の中で、QUの責任に関する手順を文書化し、訓練を実施し、セキュリティシステムを
インストールしたと述べた。
回答には使用期間を通じて製品が品質特性を満たすことを保証するために現在市場にあるロットを
試験するという約束が欠けていたので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられている
ことを保証するための包括的なアセスメントと改善の計画を提出せよ。アセスメントには、これに
限定されないが以下の内容も含むべきである:
・貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
・貴社の作業が適切な手順を遵守しているか評価するために貴社の作業のいたるところをQUが監視
するための規定
・QUの出荷判定の前の、各ロットの完全で最終のレビュとそれに関連する情報
・全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUの監督と調査の承認 及び QUの
他の全ての職務の放免
また、経営陣が、これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に取り組み、
連続的な管理状態を保証するためのリソースのタイムリーな提供を含む、品質保証と信頼できる
作業をいかにサポートするかについても述べよ。
●指摘5
貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切は保管条件と使用期限を決定するために安定性試験の結果
を使用するように設計し文書化した試験プログラムを制定しそれに従うことを怠った。
<指摘5詳細>
貴社は、貴社の医薬品に関する適切な安定性プログラムを持っていなかった。査察中、医薬品の
安定性の加速試験と長期試験を実施するための手順とプロトコルがないことがわかった。
貴社は回答の中で、加速試験と長期試験を含む安定性試験の手順を改訂したと述べた。貴社は、
XXの使用期限を裏付けるために、有効成分及びその他の規格の試験を実施するつもりであると述べ
た。
回答には貴社の安定性プログラムの徹底的なアセスメントが欠けているので、貴社の回答は不十分
である。貴社は、安定性の全ての試験規格を提出せず、販売された製品の使用期限を裏付けるため
に保管サンプルを試験するという約束をしなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
・貴社の安定性プログラムが適切であることを保証するための包括的で独立したアセスメントと
CAPAの計画
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下の情報を含むべきである:
〇安定性を示す方法
〇販売許可前の各製品の容器施栓系の安定性の検証
〇保管期間が妥当か判断するために、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加される
ような継続的なプログラム
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した医薬品の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・
完全性を適切に保証していない。CGMPのデータ・インテグリティの手順を定め、それに従うために、
FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社の改善を支援する適切なコンサルタントを使用することを勧める。
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。
・アメリカに出荷された医薬品のデータのレビュ結果を含む、データの記録と報告における不正確さ
の範囲に対する包括的な調査
データ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。
・発見された不具合の、貴社の医薬品の品質への潜在的な影響についての現在のリスクアセスメント
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた
患者のリスクと、継続的な作業によるリスクの分析を含めるべきである。
・全体的な是正処置及び予防処置(CAPA)の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略
是正処置の詳細な計画には、微生物データ、分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータ
を含む、貴社が生成した全てのデータの信頼性と網羅性を保証するために貴社がどうするつもり
かを述べるべきである。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社
の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の逸脱を防止する責任がある。
FDAは2020年6月18日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造
業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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■WL:320-20-46■
インドの製造所の査察(2020/2/17~2020/2/20)でみつかった医薬品製造と原薬製造の重大なCGMP
違反について出された2020/9/4付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
◎医薬品の違反
●指摘1
貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。
また貴社は、各成分が、純度、濃度、品質に関する全ての規格に一致するか試験することも怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、ホメオパシー薬の中間材料を製造するために使用される入荷した成分と完成した
ホメオパシー医薬品の同一性、純度、濃度、品質を判断するための試験を怠った。例えば、貴社は、
XXを含み、XXに使用されるXXの同一性に関する試験をしなかった。また、貴社は、XXのような製品
に使用されるXXの同一性試験を実施することも怠った。
さらに貴社は、使用前に、XXのような各成分が純度、濃度、品質の規格を満たすかどうか判断する
ことを怠った。貴社は、貴社の製品に使用される成分の供給者の適格性を評価せず、成分が適切な
規格に一致しているという科学的なエビデンスを提出することができなかった。貴社の医薬品は、
ホメオパシー医薬品XXのXXの開発に使用されていた。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社が製造に使用するために、入荷した成分の各ロットを試験しリリースするために使用して
いる化学及び微生物の品質管理の規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致に関し、貴社が各成分をいかに試験する
つもりかの記述
もし貴社が、各成分のロットの濃度、品質、純度に関する試験をする代わりに、供給者の分析
証明書(COA)から得られた結果を受け入れるつもりなら、貴社が最初のバリデーションと定期的
な再バリデーションを通じて、供給者の結果の信頼性をいかに確実に保証するかについて明記
せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの同一性試験を常に実施する
という約束も含めよ。
・各成分の製造業者から得られたCOAの信頼性を評価するために全ての成分の試験から得られた
結果のサマリ
このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社の標準操作手順書(SOP)を含めよ。
・貴社が使用する原材料と貴社が製造した医薬品を試験する契約施設の適格性評価と監督に関する
貴社のプログラムのサマリ
●指摘2
貴社は、貴社が製造した医薬品が持つとされる同一性、濃度、品質、純度を保証するめに設計され
た製造及び工程管理に関する文書化された手順を制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の製造工程をバリデートすることなく、毒性成分を含む医薬品の多数のバッチを
リリースした。例えば貴社は、医薬品の品質と均質性を裏付けるデータもなしに、XXを製造し
アメリカに出荷した。
貴社は回答で、プロセスバリデーションの計画を立てたと述べたが、貴社は、貴社の医薬品XXに
関するバリデーションプロトコルのみを提出した。貴社は、全ての医薬品がバリデートされた
工程を使って製造されたことを保証するためのタイムラインと詳細な計画を提出しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、関連する手順を含むバリデー
ションプログラムのサマリ
工程の性能適格性評価のための貴社のプログラムと、連続した管理状態を保証するための、
ロット内とロット間のばらつきの継続的なモニタリングについて述べよ。
・販売されている貴社の各医薬品に関する工程の性能適格性評価の実施のタイムライン
貴社の工程の性能に関するプロトロコルと、装置と設備の適格性評価に関する文書化された手順
を含めよ。
●指摘3
貴社は、医薬品の製造、加工、包装、保管において、適切な設計、サイズで、使用目的及びその
洗浄と維持のために作業を円滑に進めるために適切に配置された装置を使用することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社のいくつかのホメオパシー医薬品の製造のためにXXを提供するXXシステムは、XXを一貫して
製造するために設計されていなかった。我々査察官は、溜まり、XXの液だれ、ねじ切られたパイプ
を発見した。医薬品のXXシステムに、ねじ継手はあるべきでない。
貴社は回答の中で、設計の不備の深刻さを減少させるように見えるXXシステムの設計の修正を示し
た写真を提出したが、それらは解決しない。貴社はまた、詳細なギャップと影響のアセスメントを
開始したと述べたが、それを裏付ける文書を提出しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
・XXシステムの設計、管理、維持に関する包括的な修正プラン
・特定された全ての設計の問題が完全に是正され、全ての保守が完了した後に得られたXXシステム
に関するバリデーション報告
システムのバリデーションプロトコル、完全な試験結果と最終的なバリデーション報告を含めよ。
・XXシステムで発見された不具合が現在アメリカで流通している全ての製品のロットの品質に与え
る潜在的な影響の詳細なリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社がとろうとしている、顧客への通知や製品の回収といった
アクションの詳細を述べよ。
・貴社のXXシステムで使用されている、総菌数及び好ましくない微生物に関する現在のアクション
及びアラートのリミット
貴社のXXの総菌数のリミットが貴社で製造される各医薬品の使用目的の観点で適切な厳しさである
ことを保証せよ。
・改善されたシステムがその意図した目的に合ったXXを一貫して製造することを保証するような、
継続的な管理、維持、モニタリングに関するプログラムを管理する手順
◎原薬の逸脱
●指摘1
公的またはその他の制定した規格を超えて原薬の品質を変えうる、原材料の汚染またはキャリー
オーバーを防ぐための装置及び器具の洗浄の不履行
<指摘1詳細>
貴社は、さまざまな原材料からホメオパシー医薬品の中間材料とXXを製造している。我々査察官は、
XXを含むXXを含んだホメオパシーXXのための多数の原材料を加工するのに使用される装置XXのXX内
に、正体不明の破片を発見した。この装置は、洗浄済と印がついていた。
貴社は回答で、逸脱を申請し、職員を再教育したと述べていた。貴社は発見された破片を特定し、
この汚れた装置を使って製造された医薬品の影響評価を行うことを怠ったので、貴社の回答は
不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:
・交叉汚染の危険の範囲を評価するための、貴社の洗浄の効果の包括的で独立した回顧的アセス
メント
残留物の特定、不適切に洗浄されている可能性のある他の製造装置、交叉汚染された製品が
出荷のためにリリースされたかどうかのアセスメントを含めよ。アセスメントは、原薬と医薬品
の両方を含んだ、洗浄手順と作業の不十分さを特定し、2製品以上を製造するために使用されて
いる製造装置を網羅せよ。
・洗浄プログラムの回顧的アセスメントに基づく、洗浄手順と作業の適切な改善、完了までの
タイムラインを含んだ、是正処置・予防処置
装置の洗浄のライフサイクルマネジメントにおける手順の脆弱性の詳細を提出せよ。洗浄効果
の向上、全ての製品・装置の洗浄の改善された継続的な検証、その他の必要とされる全ての修正
を含む、貴社の洗浄プログラムの改善について述べよ。
●指摘2
装置の洗浄と原薬の製造に使用するための装置リリースに関する文書化された手順の制定の不履行
<指摘2詳細>
貴社は、複数のホメオパシー医薬品を製造するために使用する装置に関する適切な洗浄手順を持って
いない。貴社は、装置を洗浄するために用いていた方法をバリデートしていなかった。洗浄中の
製造装置からの原材料と残留物の不十分な除去は、貴社のホメオパシー医薬品XXに使用される原材料
の交叉汚染につながる。
貴社は回答で、洗浄手順を改訂したと述べたが、貴社が回答内で提出した洗浄手順は、我々が査察中
に集めたものと同じで、改訂の表示はなかった。また貴社は、洗浄バリデーションプログラムに
関する計画または裏付けとなる文書を提出することを怠った。回答は、交叉汚染を防ぐための貴社
の洗浄プログラムに関する体系的な手順や管理を定めていないので、この回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の医薬品製造作業内のワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を
置いた、貴社の洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
これに限定されないが、以下のワーストケースの特定と評価を含むべきである:
〇高い毒性を持つ医薬品
〇高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする部分の拭き取り場所
〇洗浄前の最大保留時間
・更に、新しい製造装置や製品の導入前に貴社の変更管理システムでとられるべきステップについて
述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションに関するプログラムが整っていることを
保証する最新のSOPのサマリ
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の逸脱を防止する責任がある。
FDAは2020年7月13日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造
業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
2件目の、出荷後に最終製品の試験が実施されていたという指摘はなかなかすごかったですが、
それ以外は、
・不具合発生時の徹底的な調査や、その後のCAPAの不履行
・供給者の分析結果のみに頼り、入荷品の同一性試験を1つも行っていない
・不十分な安定性試験
といったよくある指摘事項が挙がっていました。
不具合発生時、明確な根本原因が特定できない場合の対処というのは非常に難しい問題ですが、
とは言いつつ、ここでどう対処するかが再発防止のための重要なポイントであり、査察側から
しても気になる部分なのだと思います。
☆次回は、10/15(木)に配信させていただきます。
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