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2020.11.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<206号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
新型コロナウイルス感染の再拡大が気になるところですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)からアメリカ国内の製造所向けに出されたウォーニングレター
(2件)について見ていきたいと思います。
インドや中国の製薬会社ではなくアメリカ国内の製薬会社に対しFDAがどのような指摘をしている
のか確認していきます。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■CMS#586153■
ニューヨーク州の製造所の査察(2019/3/25~2019/4/19)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反
について出された2020/3/12付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は無菌処理エリア内の環境状態のモニタリングに関する適切なシステムを設置することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、FDAの承認が必要なヒト及び動物用の無菌の眼科用の医薬品を製造している。さらに貴社は
無菌の眼科用OTC医薬品とホメオパシー薬品も製造している。
我々の査察で重大なデータ・インテグリティ違反と、環境及び職員のモニタリングに関する深刻な
違反が明らかになった。
我々は、ISO 5エリアから得た環境モニタリングプレートがアクション・リミットを超えているのを
発見したが、貴社は調査を開始することを怠った。
さらに検査助手は貴社の無菌処理施設内で、継続的な管理状態を維持することが重要なこのデータを
偽造した。例えば、環境モニタリングプレートは、貴社の検査助手により、生育可能な表面のモニタ
リングレポートのフォームに“O”と記録された。捨てられたプレートは同じ日に回収され、数えら
れないほど多数のコロニーを含んでいることが発見された。
さらに、貴社は、活動後1年にわたって職員のモニタリングをすることを怠っていたが、貴社の助手
は職員のXXレポートフォームに繰り返し“O”の結果を記録していた。職員のモニタリングのサンプル
は無菌処理環境内の職員が品質に悪影響を与えているかどうかを示すので、重要である。
無菌処理作業を行う職員の微生物コントロールに関して信頼できるデータがない事により、貴社には
無菌処理の管理状態を判断するための基本の情報が不足している。貴社には1年にわたり職員により
もたらされる微生物汚染のリスクを確認するための能力がなかった。
確実なデータの記録の不履行という体制上の不備と、十分な調査の不足が、貴社の作業全体のデータ
の完全性に疑念を生じさせる。
貴社は回答の中で、これらの重大な違反の調査を開始したと述べ、さらに貴社は“環境のモニタリ
ングと職員のモニタリングの問題は過去12ヶ月の間に発生したと信じている”と述べた。貴社は、
貴社のQCの微生物ラボは、そのようなサンプリングが行われていなかったならば、過去の活動結果の
記録をすぐにやめていると述べた。貴社の調査の一部として、貴社は職員のモニタリングに関する
責任を持つ微生物学者達にインタビューした。これらの職員達は、前の管理者と前の検査助手が、
活動前のサンプリングのみ実施し、職員のXXレポートフォームの全ての欄を記入するように指示して
いたと述べた。これは、微生物試験が実際に実施されていないにも関わらず活動後の結果を記録する
ことを含んでいた。
貴社は回答の中で、貴社の施設の改善を手伝う第三者のコンサルタントを雇うことを約束した。
また、貴社は、QCの微生物部門の職員の組織的な再教育を実施した。しかし、貴社の回答は、貴社
がいかに環境モニタリング及び職員のモニタリングデータの違反の範囲と原因を回顧的に評価する
かの詳細に欠けていた。貴社は、正しい文書化手順とデータ・インテグリティ手順を定めて実装する
つもりであると述べたが、信頼できない記録を生成する貴社の手順の蔓延した本質やクオリティ・
カルチャの欠如に対処することを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ;
・文書化手順のどこが不十分かを判断するための、貴社の製造及び試験の作業を通じて使用されて
いる文書システムの完全で独立したアセスメント
貴社が作業全体を通じて、帰属性、判読性、完全性、原本性、正確性、同時性を持った記録を
保持することを保証するために貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を含めよ。
・文書化されたプログラム全体の適格性と、その実際の業務を含む、貴社の環境モニタリングプロ
グラムと職員のモニタリングプログラムの包括的で独立したアセスメント
これに限定されないが、今後は、環境/職員のモニタリング用プレート写真を義務付ける手順を
約束することを含む徹底したCAPAの計画を提出せよ。
・微生物試験の結果の回顧的なレビュ
2018年1月からこの文書の日付までの間で、アクション・レベルを超えたコロニーを含むことが
みつかった環境/職員のモニタリングのサンプルや全ての規格外(OOS)の微生物試験の結果に
関して貴社が蓄積可能だった全ての詳細情報を提出せよ。
〇偽造されたり、誤って報告されたり、無効化されたものを含む全ての試験結果を含めよ。貴社
の製造作業におけるOOSの試験または微生物学的な逸脱の根本原因の調査及び回顧的な評価を
詳しく述べよ。
・貴社の、調査、逸脱、相違、苦情、OOSの結果、不具合に関する全体的なシステムの包括的な
アセスメント
このシステムを改善するための詳細なCAPAの計画を提出せよ。貴社のCAPAの計画は、これに限定
されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質保証部門の監督、
文書化された手順の大幅な改善を含めるべきである。貴社が、調査の全てのフェーズが適切に
実施され、CAPAが効果的であるということをいかに保証するつもりかについても取り組むべきで
ある。
・下の“データ・インテグリティの改善”で挙げられている各項目に取り組むための包括的な改善
についての情報を提供せよ。以下に詳細に述べたことに特に重点をおけ:
〇これに限定されないが、貴社が回答の中で参照している12ヶ月を含む、貴社の微生物試験エリア、
化学試験エリア及び製造エリア内の問題の範囲
〇貴社のさらなる評価と改善の努力により特定されたその他の逸脱はもちろん、環境及び職員の
モニタリングに関して発生したデータ・インテグリティの不備の詳細なリストとアセスメント
●指摘2
貴社は、成分、製品の容器、蓋、中間材料、ラベル、医薬品が同一性、濃度、品質、純度の適切な
基準に一致することを保証するために設計された、科学的に理にかなっていて適切な規格、標準、
サンプリング計画、試験手順を含む試験室の管理を確立することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、無菌の眼科用医薬品のロットのリリースを判断するために用いられるデータを偽造した。
さらに貴社は、XXが生育可能な微生物を含んでいるかどうかを判断するために義務付けられたXX試験
を実施しなかった。貴社は、無菌をうたう製品に関して正確で信頼できる分析が欠けていたにも
関わらず、市場にこれらの製品を出荷した。
特に、貴社の検査助手は、検査中に混濁していることがみつかった無菌試験培地について、XXは
ゼロ成長(“NG”)と記録した。XXが混濁しているとみつかったにも関わらず、貴社は製品が無菌で
ないと判断するか、または、XXの固有な濁りの問題と思われる場合に重要な追加のXX手順を実施する
ということをしなかった。XXの固有な濁りの問題と思われ、試験室が濁りは非細菌性の可能性がある
と疑った場合、固有の濁りが微生物の成長を隠していないことを保証するためにXXが実施されること
になっている。
貴社は、無菌試験の培地の準備に関する不完全な試験手順が無菌試験の容器の濁りを引き起こすと
信じている。貴社は、査察時、“XXは微生物がない状態で準備されていない”し、XXは時々小さな
黒い微粒子が見えると述べた。貴社は、その原因は、ガラス容器の過熱で、容器の底で媒体の一部
が焦げたことによると判断した。貴社の回答は、“いつどのようにXXを実施するか”についての
手順を正式なものにするつもりであると述べた。
我々は、貴社が、現在有効期限内にある全ての製品について、外部の試験機関により無菌性を試験
すると約束したことも知っている。最終製品の無菌試験には制約があることに注意せよ:汚染は通常、
一様に分布しないので、規定のロットの全てのユニットの無菌性は立証できない。無菌試験と共に
評価される他の重要な情報の例として、製造のサイクルに関する設備及び工程の状態のデータだけで
なく、無菌製品を製造する工程の能力のデータを含む。
さらに、貴社の契約試験機関について貴社が提出した方法の適合性のデータXXは、不十分である。
これに限定されないが、バリデートされ貴社の医薬品の分析にあった方法と装置の使用を含む、
契約試験機関の適格性を保証するのは貴社の責任である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の(微生物学及び化学の両方の)試験の業務、手順、方法、装置、分析者の能力の包括的で
独立したレビュ
このレビュに基づき、貴社の試験システムを完全に改善するための詳細なCAPAの計画を提出せよ。
貴社の計画には、実施されたCAPAの効果を評価するために貴社が使用するつもりのプロセスも含む
べきである。もし契約設備が貴社の代わりに試験機能を果たすつもりなら、同じ包括的なアセス
メントを実施し、適切な供給者のCAPAを実装し、貴社の活動のサマリを提出せよ。
・全ての微生物試験の方法を徹底的に評価した包括的な第三者の報告
みつかった全ての不備に関するCAPAを含めよ。
・貴社の試験室が貴社の製品の無菌試験を再開する時または再開する場合に、FDAに通知するという
約束
●指摘3
貴社は、医薬品を汚染から守るために、製造職員が適切な衣服を着ることを保証するの怠った。
<指摘3詳細>
不適切な衣服を着た作業者が、ハイリスクで製品を汚染する可能性のある無菌作業を実施している
のがみつかった。例えば:
・無菌作業で使用される個別に包装されていない手袋は、貴社で消毒されていた。作業者は、無菌性
の低下した手袋を、無菌の主要部に入る前にバルク容器から回収していた。
・クリーンルームで製造中にみつかった3人の作業者は、体に合わないフードとゴーグルのせいで、
額、鼻、顔の横を含む肌を露出していた。
貴社は回答で、XX手袋と、頭をより覆う新しいフードを調達中であると述べた。貴社は、更衣の
適格性評価を行っている最中である。
また貴社は、2019年3月25日に製造された製品ロットに関し、製品への影響の可能性について、職員
のバイオバーデンと環境データのレビュを含む調査を開始したと述べた。しかし貴社は、貴社の
不適切な更衣の実施が、いかに製品の他のロットに影響を与えるかを確認することを怠った。
この文書への回答の中で、製造中の適切な無菌手順とクリーンルームでの動きを保証するための
貴社の計画を提出せよ。全ての製品ロットの所定の効果的な監督上の監視を保証するための手順を
含めよ。また、無菌作業中または他の作業中の品質部門の監視の頻度(例:監査)についても述べよ。
●指摘4
貴社は、無菌をうたう製品の微生物汚染を防ぐために設計された、無菌及び滅菌工程のバリデー
ションを含む、適切な文書化した手順を定めてそれに従うことを怠った。
<指摘4詳細>
貴社の培地充填プログラムは、工程のリスクの十分なアセスメントと、シミュレーションされた
注入の記録が欠けていた。例えば、培地充填のロットの記録は、定期的注入を示す個々の番号と
タイプと、各ランで発生する複雑な情報を含んでいなかった。また、非定期的注入や事象(例:
メンテナンスや装置の調整)も含んでいなかった。培地充填プログラムが、実際の製品の最近の
暴露が入念にシミュレートされた汚染リスクの要因を含んでいなければ、工程管理の状態と
無菌保証は正確に評価できない。
さらに貴社は、無菌工程の管理状態を評価するために、XXの培地充填を行うことを怠った。特に、
XX無菌処理室は、貴社のSOPで義務付けられている少なくともXXの培地充填を実施することを
怠った。さらに、少なくとも2つの部屋で、1年間培地充填が全く行われなかった。
貴社は回答において、実施されなかった再適格性評価を特定するために、過去の培地充填検証データ
をレビュすることを約束した。また貴社は、クリーンルームXX内のラインについて再度適格性を評価
するつもりであると述べた。
しかし、貴社の回答は、継続的な無菌製造能力の信頼性のレベルに影響を与える培地充填プログラム
におけるこれらの深刻な不備にいかに対処することを怠った。さらに、2019年の残りの期間の培地充填
のタイムラインを作り始めるつもりであると述べたが、貴社は、作業の管理状態を正確に評価し製品の
無菌性を評価するために、適切な培地充填をすぐに実施することを約束しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の培地充填プログラムの包括的で独立した第三者のレビュ
・独立したレビュでの調査結果に対処するための、タイムラインを含むCAPAの計画
・それぞれの無菌処理ラインのXX培地充填を実施するという誓約
・貴社の製造及び品質の管理が、よりよい設計と製造の実施の監督と、継続的な管理状態を裏付ける
ための定期的な精査の保証をするつもりかを述べた総合的なマネジメント戦略
●指摘5
貴社は、意図した使用・洗浄・保全のための作業を円滑に進めるために、製品の製造、加工、包装、
保管において、適切な設計と適切なサイズで、適切に配置された装置を使用することを怠った。
<指摘5詳細>
装置は適切に保全され、容易に洗浄可能な状態でなかった。査察中、我々は、貴社の充填ライン上で、
アルミホイルや粘着テープが貼られた装置をみつけた。貴社の製造職員は、貴社はホッパーからボトル
の蓋が落ちるのを防ぐためにアルミホイルを使っていると述べた。さらに、貴社のクリーンルーム内
のXXとXXを含む運搬用カートが汚れていた。
貴社は回答の中で、品質保証部門の監督のもとで保全部門はXX内のホッパーに付けられたテープと
ホイルを取り除き、ボトルの蓋が落ちる問題を確認するつもりであると述べた。また貴社は、運搬用
カートのXXを交換し、クリーンルーム内の汚れたXXが範囲内で機能するかどうか判断するつもりである
と述べた。しかし貴社は、無菌処理ラインとクリーンルームの設計、管理、保全の包括的なアセスメ
ントに関する詳細な計画を提出することを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:
・これに限定されないが以下のことを含む、貴社の無菌工程、装置、設備に関する全ての汚染の危険
に関する包括的な第三者によるリスクアセスメント:
〇ISO5エリア内の全ての人の相互作用
〇装置の配置と人間工学
〇ISO5エリアとその周辺の部屋の中の空気の品質
〇設備のレイアウト
〇(無菌作業を実施しサポートするために使用される全ての部屋のあらゆる場所の)職員の移動と
原材料の移動
・汚染の危険のリスクアセスメントにおける調査結果に取り組むためのタイムラインを含む詳細な
CAPAの計画
無菌工程作業の設計と管理をいかに改善するつもりかについて述べよ。
・貴社の設備と装置の所定の慎重な作業のマネジメントの監督を行うためのCAPAの計画
この計画は、装置/設備の性能の問題の迅速な検知、交換の効率的な実施、適切な予防保全計画の
順守、装置/設備のインフラへのタイムリーは技術的な改善、継続的なマネジメントレビュのために
改善されたシステムを保証するべきである。
・全ての無菌処理ラインのための新しいXXレポート
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性
を適切に保証していない。CGMPのデータ・インテグリティの手順を定めてそれに従うために、FDAの
ガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社が貴社の作業を監査し、FDAの要求を満たす助けをするためのコンサルタントを使って
いることを知っている。我々は、貴社の改善を支援する適切なコンサルタントを使用することを勧め
る。
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。
A.貴社のデータのレビュと公開に基づいて最終的に承認される申請の一部としてFDAに提出される
全てのデータの不備を含む、データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査
貴社の調査には下記の情報を含めよ:
〇調査手順と方法論の詳細;アセスメントの対象となる全ての試験室、製造作業、システムの概要;
貴社が除外を提案している作業の正当性を示す理由
〇データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接
我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。
〇貴社の製造所におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント
記録の省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。
貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての製造所の操作を述べよ。
〇製造データのインテグリティの欠陥の性質についての包括的な回顧的評価
我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識を持った適格な第三者が、すべてのデータ・
インテグリティの欠陥について評価することを推奨する。
B.発見された不具合の貴社の医薬品の品質への影響の可能性に関する現在のリスクアセスメント
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた
患者のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略
貴社の戦略には下記のことを含めよ。
〇分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性
と網羅性を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた詳細な是正処置計画
〇現在のアクションプランの範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合う
ことを示すエビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述
データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データに依然
影響を与えるかどうかを示すこと。
〇顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラムへのロット
の追加、医薬品の申請アクション、改善された苦情のモニタリングのような、患者を保護し、薬の
品質を保証するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段
〇貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、
システム、経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の改善)の強化を述べた長期的手段
〇上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告
●無菌処理の追加のガイダンス
無菌工程を使って無菌医薬品を製造する際にCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書
Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing - Current Good Manufacturing Practice
を見よ。
●コンサルタント
貴社は、コンサルタントを雇うことを約束した。我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々
は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために貴社の作業を評価する適格なコンサルタントを雇う
ことを強く勧める。また、我々は、適格なコンサルタントがCGMP順守について貴社の作業全体の
包括的な監査を実施し、コンサルタントが貴社の是正処置・予防処置の完了と有効性を評価すること
を勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMPの順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が
残る。
●繰り返しの査察結果
2017年3月9日、2015年12月15日、2013年8月8日に、FDAは同様のCGMPの査察結果を挙げた。貴社は
回答の中でこれらの査察結果に関し特定の改善を提案した。繰り返される不具合は医薬品の製造
に対する経営層の監督と管理が不十分であることを示している。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を
判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反を即座に是正せよ。これらの違反の即座の是正の不履行は、更なる通知
や、制限・差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニング
レター内の違反の未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、貴社の製造所の薬の申請リストの承認を保留する。我々は、貴社が
是正処置を完了したことを確認するために再査察を実施するだろう。我々は、貴社の輸出証明の
要求も拒絶するだろう。
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■CMS#598537■
ニュージャージー州の製造所の査察(2019/10/15~2019/10/29)でみつかった原薬製造の重大な
CGMP違反について出された2020/4/24付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社の品質部門の、医薬品が適切に試験され、その結果が報告されることを保証することの不履行
<指摘1詳細>
貴社の品質部門は試験作業の適切な監督を行わなかった。いくつかのサンプルのクロマトグラフの
注入と、OOS(Out-of-Specification)の調査に関する基準は、貴社の品質部門によりレビュされる
調査に含まれず、貴社の顧客に連絡されなかった。
例えば、2017年10月24日のOOSの分析に関し、4つのXXのサンプルが試験された。OOSの調査の一部
としてそれらは2017年11月11日に全て試験された。4つのサンプルの1つで、XXのサンプルID XX
は、同じ日の約14時間後に、別の分析のシリーズにて重複して再注入された。2番目のデータセット
は、分析者のノートに記録されず、貴社の文書化されたOOSの調査の一部として含まれておらず、
貴社の品質部門はサンプルの再注入に気付かなかった。
さらに、XXのサンプルID XXは、”実験用“とラベルをつけられ、2回注入試験がされ、未知の結果
を得たが、貴社の公式なOOSの調査の一部として含まれていなかった。
仮説試験、明らかなエラーや不合格、合格、疑わしいデータを含む全てのデータは、保管され、
レビュの対象とされるCGMPの記録に入れられ、管理のために貴社の顧客に提供されなければならない。
貴社は回答の中で、監査者が、サンプル溶媒の再試験や試験的な注入が実施されていないことを
チェックするだろうと述べた。しかし貴社は、この手順の範囲と影響を判断するためにクロマトグラ
フの電子データのレビュを実施しなかったので、貴社の回答は不十分である。さらに、貴社の回答に
含まれている改訂された手順は、サンプルの注入はシステムの安定を確認するために使用できない
ことを含んでいなかった。試験、準備、または、平衡ランで試験されたロットの実際のサンプルを
使用する手順は、試験が適合であると偽装するのに使用される可能性があるので、この方法は受け
入れられない。
この文書への回答の中で:
・貴社が試験的な注入を実施しないことと、適格な参照基準のみがクロマグラフの試験装置の適合性
を確認するために使用されることを明記したクロマトグラフの分析に関する改訂された手順を提出
せよ。
・”実験用“または同様の注入による結果が、顧客に通知された結果を損なうことがわかった場合、
とられたアクションや顧客への通知について、我々に通知せよ。
・貴社の品質部門が効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するための、
包括的なアセスメントや改善計画を提出せよ。アセスメントは、これに限定されないが以下の情報
を含めよ:
〇貴社で使用される手順が安定していて適切であるかどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するために、貴社の作業全体の品質部門の監督の規定
●指摘2
原薬のロットの規格からの重大な逸脱や不具合を調査するための文書化された手順の制定と順守の
不履行
<指摘2詳細>
貴社のOOSの結果の調査は、適切で科学的に正当な理由もなく完了された。例えば、2017年10月24日
に開始されたアメリカ薬局方(USP)の4つのサンプルXXの試験中に、OOSの結果が得られた。貴社の
調査は、XXのピークと一緒に、共溶出の未知のピークがあったと判断した。しかし、この判断は、
科学的に正当な根拠が示されていなかった。サンプルの溶媒は、試験された時に約15日古い共溶出の
ピークがあると判断された。貴社には、共溶出のピークがサンプル溶媒の古さによることを示すため
の溶媒の安定性のデータが不足している。
この査察中及び貴社の回答の中で、貴社は、貴社が貴社の顧客に、サンプルが新しくないためにXXの
ピークが2つのピークに分解したかもしれないと伝えたが、貴社の顧客が溶媒の安定性の検証の正当性
を認めることを拒否したことに言及した。また貴社は、顧客の許可と承認なしに貴社が不合格のサン
プルを試験することは制限されているとも述べた。
貴社の回答は不適切である。受託分析試験機関は、顧客との話し合いがあるかどうかに関わらず、
実施した作業のCGMPへの順守に関して責任がある。そのような試験機関は、データ・装置・試験結果
が、CGMPの要件に従って信頼性があり維持されていることを保証するために、適切な管理手段を用い
なければならない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・過去3年の間に実施された医薬品と原薬の試験について全ての無効化されたOOSの結果の回顧的で
独立したレビュと、分析で発見されたものを要約したレポート
各OOSに関し以下の情報を含めよ:
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的に正当な根拠やエビデンスが、最終的または非最終的に、
試験のエラーが原因であると示しているかどうかの判断
〇最終的に試験が根本原因とされた調査に関し、論理的根拠を提出し、同じもしくは同様の根本
原因に対して脆弱な全ての他の試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。
〇回顧的なレビュで発見された、非最終的な原因が特定されているか試験の根本原因が特定されて
いない全てのOOSの結果に関し、顧客に送られた通知を含めよ。
・貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画
是正処置・予防処置(CAPA)の計画は、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:
〇品質部門の、試験の調査の監督
〇試験室の管理の良くない傾向の確認
〇試験のばらつきの原因の解決
〇各調査の適切な範囲の決定と、そのCAPA
〇これら及びその他の改善をした、改訂されたOOSの調査の手順
●指摘3
分析方法の適合性の確認の不履行
<指摘3詳細>
貴社は、医薬品のサンプルの分析に使用されている方法が、使用目的に適していることが立証されて
いることを保証することを怠った。例えば、貴社は、実際の使用状態のもとでの適合性を検証する
ことなく、USP法に従ったXX原薬の複数のサンプルのXX分析、XX分析、A同一性試験を実施した。
貴社は回答の中で、全ての試験方法は、方法の中で述べられたシステムの適合性の要求を満たすこと
により、実際の条件のもとで適合性が確認されていると述べた。システムの適合性は、方法の確認
で代用することはできない。例えば、貴社は、適合性に合格したシステムであるにも関わらす、
OOSの調査の一部でUSPサンプルXXの適切なピークの分離をするために、流量を変更しなければいけ
なかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・方法の適合性(即ち、方法の検証、顧客に提供された方法を使用する際の方法のバリデーション)
を判断するために全ての医薬品の試験方法の包括的で独立したアセスメントの結果
もし検証やバリデーションが必要な場合、適切な活動の完了のための計画とタイムラインを提出
せよ。
・試験方法の検証やバリデーションが発生した場合、全ての試験方法の適合性をいかに判断するか
を文書化した最新の手順と、それに付随する訓練記録
●指摘4
不許可のアクセスやデータの変更を防ぐためのコンピュータ化システムの十分な管理の実施の不履行
及びデータの脱落を防ぐための適切な管理の実施の不履行
<指摘4詳細>
貴社は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)及びガスクロマトグラフィ(GC)システムにより生成された
電子の試験データの完全性を保証するための管理が不足している。例えば、査察中、我々査察官は、
HPLCとGCのランに使用されるスタンドアロンのコンピュータは、医薬品のサンプルを試験する分析者
に、ローデータのファイルを消し、日付とタイムスタンプを変更することを許していることを発見
した。さらに、監査証跡が有効にされていなかったので、分析者がデータを操作したかどうかを判断
する方法がない。
顧客は貴社が生成したデータの完全性を信じている。また、貴社は、調査目的の活動のトレーサビリ
ティが必要である。貴社の電子記録内の情報の全ての追加、削除、変更が許可され、適切に文書化
されていることを保証するために、CGMPの電子データへの厳格な管理を維持することが重要である。
貴社は回答の中で、貴社は、分析者達のために異なる管理用のアカウントを作ったと述べた。しかし、
貴社は監査証跡の不足に適切に対処していないので貴社の回答は不十分である。監査証跡は、堅牢で、
コンピュータにより生成され、電子記録の生成、修正、削除に関する成り行きの復元を可能にする
タイムスタンプ付き電子記録でなければならない。また貴社は、各分析に関する全てのクロマト
グラフを印刷する是正処置を含めたが、電子記録は動的で、プリントアウトまたは静的な記録は、
完全なオリジナルの記録の一部である動的な記録のフォーマットを維持しない。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の試験室の実務・手順・方法・装置・文書・分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善するための詳細な計画を提出し、その効果を評価
せよ。
・全ての適用可能な電子試験データシステムの、監査証跡を有効にするための、タイムライン付きの
アクションプラン
貴社の暫定的な管理について述べ、全ての監査証跡のレビュのための手順がいつ実装されるかを
明記せよ。
・HPLCとGCの注入の順序が、品質部門のレビュを受ける全てのデータパケットに含まれていること
を保証するための改訂された手順
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社がテストした薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・
完全性を適切に保証していない。CGMPのデータ・インテグリティの手順を定めてそれに従うために、
FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社の改善を支援する適切なコンサルタントを使用することを勧める。
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。
A.データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査
貴社の調査には下記の情報を含めよ:
〇調査手順と方法論の詳細;アセスメントの対象となる全てのシステムの概要;貴社が除外を提案
している作業の正当性を示す理由
〇データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接
我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。
〇貴社の設備におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント
記録の省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。
貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての設備の操作を述べよ。
〇試験データのインテグリティの欠陥の性質についての包括的な回顧的評価
我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識を持った適格な第三者が、すべてのデータ・
インテグリティの欠陥について評価することを推奨する。
B.発見された不具合の貴社の医薬品の品質への影響の可能性に関する現在のリスクアセスメント
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた試験により引き起こされた
患者のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略
貴社の戦略には下記のことを含めよ。
・分析データ、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性と網羅性
を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた詳細な是正処置計画
・現在のアクションプランの範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合う
ことを示すエビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述
データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データに依然
影響を与えるかどうかを示すこと。
・顧客への通知、製追加試験の実施、医薬品の申請アクションのような、患者を保護し、薬の品質を
保証するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段
・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、
システム、経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の改善)の強化を述べた長期的手段
・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告
●受託試験機関の責任
FDAは、受託業者を製造所自身の設備の拡張とみなす。貴社のCGMPの不遵守は、貴社が顧客のため
に試験した医薬品の品質、安全性、効能に影響を与える可能性がある。FDAのガイダンス文書
Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。
貴社は、CGMPを完全に順守して行動するために貴社の責任を理解することと、医薬品の試験中に
みつかったOOSの結果や重大な問題を貴社の全ての顧客に伝えることが絶対不可欠である。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した逸脱の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために貴社の
作業を評価する適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社
の経営陣には、継続的なCGMPの順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する
責任が残る。
●結論
この文書で挙げた逸脱は、貴社の設備に存在する逸脱の包括的なリストではない。貴社には、
これらの逸脱を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の逸脱を防止する責任がある。
この文書で指摘した逸脱を即座に是正せよ。これらの逸脱の即座の是正の不履行は、更なる通知
や、制限・差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニング
レター内の逸脱の未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の逸脱が解決されるまで、貴社の設備の、供給者または製造業者としての新薬の申請や
リストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを確認するために
再査察を実施するだろう。
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まとめ
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今回も、Center for Drug Evaluation and Researchから発行された海外の製造所向けのウォーニング
レターではなく、Division of Pharmaceutical Quality Operationsから発行されたアメリカ国内の
製造所向けのウォーニングレターを取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか。
取り上げた2件とも、データ・インテグリティの指摘があった点が印象的でした。
日本はアメリカに比べ規模が小さい製薬会社が多いと言われるため、そこから、アメリカの製薬会社
は日本より電子化・自動化が進んでいるイメージを持っていたのですが、前回と今回、アメリカ国内
向けのウォーニングレターを確認したことにより、そうでないことがわかってきて、なかなか新鮮
です。
余談ですが、Google Mapで住所を検索してみると、工場はさほど大きくなく、外観からすると建屋
も新しくはなさそうでした。
FDAの査察対策として、海外の製造所向けだけでなくアメリカ国内向けのウォーニングレターを見る
のも結構参考になるのではないかと思いました。
ところで、前回と今回のウォーニングレターで、分析方法や試験方法の適合性についての指摘を
見かけて気になりました。
考えてみると、装置や設備の使用目的への適合性の検討に比べると、分析方法・試験方法の適合性の
検討がクローズアップされることが少ないように思うのですが、いかがでしょうか。
分析方法・試験方法の選択基準や適合性の評価手順を見直してみるのもよいかもしれません。
☆次回は、12/1(火)に配信させていただきます。
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今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールをお願い
いたします。
hashimoto@e-pros.co.jp
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2020.11.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<205号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今年も残すところあと2ヶ月となってしましましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)から出されたウォーニングレター(2件)について見ていきたいと思います。
ただ、今回はいつもの海外の製造所向けに出されたウォーニングレターではなく、アメリカ国内の製造所向け
に出されたウォーニングレターを取り上げます。
インドや中国の製薬会社ではなくアメリカ国内の製薬会社に対しFDAがどのような指摘をしているのか確認して
いきます。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■CMS#592387■
ペンシルベニア州の製造所の査察(2019/4/9~2019/4/16)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について
出された2020/2/11付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、試験方法の精度、感度、特異性、再現性を定めた文書を制定することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、フェンテルミンHCLカプセルの不純物試験において、共溶出のピークの適切な分析を怠り、貴社の分析
において、製品の少なくとも1ロットの規格外(OOS:out-of-specification)の検出に失敗した。
貴社は、2016年にこの問題を自社で確認した。貴社は、逸脱報告の中で、分析者達は、“XX法”を使っていて、
報告された不純物のレベルは、医薬品内でみつかった本当の濃度を反映していないかもしれないと書いていた。
貴社は、2016年5月24日に教育を実施し、それによれば、医薬品の不純物分析において、適切に積分し、共溶出
のピークを注意深く測定するように分析者達を教育した。この教育にも関わらず、2016年12月、貴社の分析者
は、フェンテルミンHCLカプセルのロット12456Aの不純物に関する安定性試験においてピーク面積を計算する
ためにXX積分を実施した。適切なXX積分が実施されていたら、製品のロットの試験結果は、不純物の規格の限度
を超えていただろう。このロットは、2017年1月20日の不純物のXX安定性試験で不合格になるまで市場にあった。
貴社の12月の分析の第二の品質レビュでもエラーの検出に失敗した。査察中、共溶出のピークの積分の失敗の
多数の例を発見した。
貴社は回答の中で、存在している試験方法を適応させるべきか、フェンテルミンHCLカプセルの分析を改善する
ために新しい方法を開発すべきかを判断するための是正処置・予防処置(CAPA)計画を開始したと主張した。
貴社は回答の中で、貴社が使用した積分方法は、特定の保管期間中に、未知の不純物に関し、実際より低い
不純物の結果を報告する可能性があることを認めたが、“対応が遅くなる可能性はあるが、不純物の定量化
戦略により、不合格のロットは最終的に市場から回収されるので、影響は小さい”と続けた。貴社は回答の中
で、共溶出ピークについて、分析者、レビュ者、監督者の再教育を計画しているとも述べた。しかしながら貴社
は、前回の教育でなぜこの問題が適切に是正されなかったかを説明しなかった。
FDAは、貴社の品質部門により問題ないとされた試験方法“XX”をレビュし、手順で提供された積分例が不適切
であることを指摘する。その例は、不純物のOOS値を隠す可能性を含み、不純物を実際より少ない値で報告する
結果になりうる不適切な積分パラメータを含んでいる。我々は、この標準操作手順(SOP)が、貴社が試験方法
の不適切な積分手順を是正することを約束した後に、貴社の品質部門により問題ないとされていることを心配
している。
不純物の検知の不具合と測定の不具合、不適切な積分や不適切な分析試験方法は、市場に不良品を出荷し、製品
が表示された使用期限中に規格を満たしていないのに市場に残る結果につながる可能性がある。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・科学的に理にかなっていない積分手順の使用を防ぐための、詳細に述べられた適切な方法と手順
・効果的なCAPAの一環として実施される試験室の教育の補助文書
・貴社の全ての商業用医薬品の溶解のレビュのために使用することを計画している方法論
・貴社の製造所で全ての医薬品を試験するためのクロマトグラフィの方法において、ピーク間の溶出のレビュ
に使用することを計画している方法論
適用される方法論と、市場のその他の製品を試験するための高速液体クロマトグラフィ(HPLC)のレビュに
おける合格基準を含む、調査結果のサマリを提供せよ。アメリカ薬局方621“General Chapter for
Chromatography”は、その方法の安定性により適用可能なパラメータの最大範囲に関する情報を提供する
だろう。貴社の研究は、全てのケースにおける方法依存の側面を評価し、ばらつきを厳しく最小化し、個々
の方法の安定性を保証する厳格な範囲を制定すべきである。
・貴社の試験の実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力に関する包括的で独立した第三者のアセスメント
このレビュに基づき、詳細な改善の計画と、貴社の試験システムの効果の評価を提供せよ。
●指摘2
貴社は、そのロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、規格を満たすためにロットやその成分の説明
のつかない食い違いや不具合を徹底的に調査することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は充填工程中に、メチルフェニデート経口液剤5mg/5mlのロット15315Aで見つかった異物を適切に調査する
ことを怠った。貴社はXXを実施し、異物をろ過し、目視検査を実施し、そのロットをリリースした。貴社は、
その異物の発生源と性質の適切な調査と、医薬品の品質への影響を十分に調査せず、このロットをリリースし
た。貴社はその異物を、装置の洗浄中の拭き取り繊維から出たものであるとした。
貴社の手順C Policy 001逸脱管理によれば、貴社は逸脱報告を完成させ、追加の調査手順を実施しなければ
ならない。我々は、適切に文書化・調査がされていない、いくつかの他の重大な製造の逸脱を発見した。我々
の査察とその後の貴社とのやりとりの結果、貴社は、2019年11月4日にメチルフェニデート経口液剤5mg/5ml
ロット15315Aの回収を開始した。
貴社は回答の中で、Form FDA 483で特に言及された製造の逸脱の対応を開始したと述べた。しかし貴社は、
使用期限内の類似の性質の医薬品の全ての製造の徹底的なレビュを実施することを約束しなかった。
さらに、貴社が提供した文書は、今後この目的のために拭き取り繊維が使用されないことを保証するための
方策を講じる計画をしたことを示していた:貴社は異物のエビデンスのために保管サンプルを調査したが、
異物が拭き取り繊維から生じたと結論づける十分なエビデンスを提供することを怠った。さらに貴社は、
この問題及び他の重要な問題が発生時に適切に調査されなかった理由を適切に説明しなかった。また貴社は、
この事象に関して作成した逸脱報告のコピーを提供することを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・全ての改訂を含む、ロット15315Aに関する是正処置の効果を示した、逸脱DEV-2019-0107のコピー
・貴社が医薬品内で発見したさまざまな異物に関する、顕微分析と化学分析を含む科学的なデータ
・CAPAの対象とすべきだった製造の事象が見落とされたかどうかを判断するための過去4年間の製造記録の
包括的で独立したアセスメント
見つかった問題と、必要とされ実施された適切なCAPAをまとめよ。
・貴社の、逸脱、食い違い、苦情、OOSの結果、不具合に関する総合的なシステムの包括的で独立したアセス
メント
このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランは、これに
限定されないが、貴社の調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質保証部門の監督、
文書化された手順の大幅な改善を含めるべきである。調査の全てのフェーズが適切に実施されていること
を貴社がいかに保証するつもりかを述べよ。
●指摘3
貴社は、権限を与えられた職員だけが、製造指図書原本またはその他の記録の変更を行うことを保証するため
に、コンピュータ及び関連システムの適切な管理を実施することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社の試験室の試験システムから生成されたデータは削除または変更から適切に保護されていなかった。
例えば、貴社の品質保証の職員のXXは、最終製品のHPLC分析と不純物分析に使用されるXXクロマトグラフ試験
のソフトウエアXXの管理者のアクセス特権を持っていた。
さらにXX分光光度計、フーリエ変換赤外分光高度計を含むスタンドアロンの試験装置のXXデータファイルは、
監査証跡もなく変更や上書きが可能だった。
前のFDAの査察中に、我々は、貴社のスタンドアロンの分析装置の1つのXX分光光度計の機器は、それが生成
するGMPデータに関して適切な管理を行っていないことを通知した。貴社はこの問題に取り組むために、XXを
期日とする、全てのスタンドアロンの試験装置の是正処置への拡張を含む、CAPA18-072を開始した。しかし、
2019年4月の査察時点で、貴社は全てのスタンドアロンの試験装置に是正処置を実施していなかった。貴社は、
自身で提案した是正処置を完了することを怠った。
貴社は回答の中で、XXソフトウエアにおける品質部門の職員XXの管理者特権を外したと書いた。また貴社は、
スタンドアロンの装置の適切な構成設定を義務付けるために、2019年3月29日にCAPA-2019-0007を開始したと
報告した。貴社は、“21 CFR Part211”に準拠したマニュアルのシステムを使っていると述べたが、貴社の
システムの暫定的な管理の詳細を提出しなかった。貴社の回答は、CAPAの効果を評価するための適切な裏付け
の文書を提出することを怠った。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を適切に
保証していない。CGMPのデータ・インテグリティの手順を定めてそれに従うために、
FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社の改善を支援する適切なコンサルタントを使用することを勧める。
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。
A.データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査
調査には下記を含めよ。
・調査手順と方法論の詳細:アセスメントの対象となる全ての試験室、製造作業、システムの概要;貴社
が除外を提案している作業の正当性を示す理由
・データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接
我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。
・貴社の製造所におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント
データの省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。
貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての製造所の操作を述べよ。
・試験データのインテグリティの欠陥の性質についての包括的な回顧的評価
我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識を持った適格な第三者が、すべてのデータ・インテ
グリティの欠陥について評価することを推奨する。
B.発見された不具合の貴社の医薬品の品質への影響の可能性に関する現在のリスクアセスメント
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた患者の
リスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略
貴社の戦略には下記のことを含めよ。
・分析データ、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性と網羅性を保証
するために貴社がどのようにするつもりかを述べた是正処置計画の詳細
・現在のアクションプランの範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合うこと
を示すエビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述
データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データに依然影響
を与えるかどうかを示すこと。
・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラムへのロットの
追加、医薬品の申請アクション、改善された苦情のモニタリングのような、患者を保護し、薬の品質を
保証するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段
・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、システム、
経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の改善)の強化を述べた長期的手段
・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの違反
を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反を即座に是正せよ。これらの違反を即座の是正の不履行は、更なる通知や、制限・
差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニングレター内の違反の未解決
な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、輸出証明の要求の承認や、貴社の製造所の、供給者または製造業者としての新薬
の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを確認するために再査察を
実施するだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■CMS#598733■
カリフォルニア州の製造所の査察(2019/9/25~2019/9/30)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について
出された2020/5/5付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、そのロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、規格を満たすためにロットやその成分の説明の
つかない食い違いや不具合を徹底的に調査することを怠った。
<指摘1詳細>
A.貴社の規格外(OOS:out-of-specification)試験結果の調査が不十分であった。例えば、貴社は
Terpenicol 13% 塗り薬、ロットBL2534のバルク段階の粘度試験の不具合を適切に調査しなかった。貴社の
品質部門は製品の不具合に気付いていたが、製造の調査を実施せず、ロットは顧客へのリリースを承認され
た。
粘度の不具合の不適切な調査は、2015年11月の査察でも指摘されていた。
B.Tineacide Antifungalクリーム13%、ロットBL1684TPは、外観・粘度の長期安定性試験XXで不合格になり、
外観・粘度・分析の長期安定性試験XXで不合格になった。貴社はこれらの不具合を調査しなかった。
C.貴社の原材料XX、ロットXXは、酵母菌の総数に関する微生物の規格で不合格になった。貴社はOOSの試験
結果を適切に調査することを怠った。貴社はXXにRevitaDerm Wound Care、ロットBL2696とBL2697を製造
するためにこの原材料を使用した。これらのロットは、リリースされ、顧客に出荷された。
貴社は回答の中で、バルク製品の“OOSシステムを実装する”つもりであり、貴社の職員はOOSの結果が調査
されることを保証するために教育を受ける予定であると述べた。貴社の回答は不十分である。貴社には、貴社
の調査プログラムの適切な改善が欠けていた。また貴社は、
不具合が適切に修正されていることを保証するために(原材料を含む)製造工程を適切に評価しなかった。
貴社は、根本原因を特定し、適切な是正処置・予防処置(CAPA)を実施しているかどうかを評価するために貴社
の全ての医薬品についての回顧的なレビュを行うことを約束しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・この文書の日付において使用期限内でアメリカ市場にある製品について、全ての破棄されたOOSの結果(工程
内試験及びリリース/安定性試験を含む)の回顧的で独立したレビュと、各OOSについて、以下のことを含む、
分析で発見したことをまとめたレポート:
〇破棄されたOOSの結果に関し、科学的に正当化する理由やエビデンスが、最終的に、または、決定的では
なく、試験室でのエラーを原因としたかどうかを判断せよ。
〇最終的に試験室を根本原因とした調査について、論理的根拠を提出せよ。また、同じか類似の根本原因に
対して脆弱である他の全ての試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。
〇回顧的なレビュで根本原因が決定的でないか、または根本原因が特定されていないことがみつかった全て
のOOSの結果について、製造(例:ロットの製造記録、製造手順の適切性、装置・設備の適合性、原材料の
ばらつき、工程の性能、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)の徹底的なレビュを盛り込め。
各調査における製造の根本原因の可能性のサマリと、製造作業の改善のサマリを提出せよ。
・貴社の、逸脱、食い違い、苦情、OOSの結果、不具合に関する総合的なシステムの包括的で独立したアセス
メント
このシステムを改善するための詳細なCAPAの計画を提出せよ。貴社のCAPAの計画には、これに限定されない
が、貴社の調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質保証部門の監督、文書化された手順
の大幅な改善を含めるべきである。また、調査の全てのフェーズが適切に実施され、CAPAが効果的であること
を貴社がいかに保証するつもりかを述べよ。
●指摘2
貴社が製造する医薬品が、それが持つとうたわれている同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証するため
に設計された製造と工程管理に関する適切に文書化された手順を制定することを怠り、貴社の品質管理部門は、
変更を含むそれらの手順をレビュ・承認しなかった。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の医薬品の製造工程をバリデートすることを怠った。例えば、貴社は、局所抗真菌の溶剤または
クリーム、鎮痛ジェル、乾癬クリーム、疣贅除去溶剤、創傷治療ジェルのプロセスバリデーションが欠けて
いた。また貴社は貴社の製品を製造するために使用される装置の適格性評価を行うことを怠り、長い保持時間
(例:複数月)の適格性評価を怠った。プロセスバリデーションの欠如は2015年11月の査察中にも指摘されて
いた。
更に、貴社は、貴社の装置の洗浄プロセスをバリデートすることを怠った。
プロセスバリデーションと洗浄バリデーションを実施するための貴社のアプローチに関する詳細な記述に欠け
ていたので貴社の回答は不十分である。
プロセスバリデーションは、ライフサイクルの初めから終わりまでの、設計の安定性と工程の管理状態を評価
する。製造工程のそれぞれの重要な段階は適切に設計され、入荷した原材料、中間材料、最終製品の品質を
保証しなければならない。これらの検証の不履行は、製品品質の不具合のリスクを増す工程のばらつきの理解
の欠如につながりうる。
工程の適格性評価は、初期の管理状態が定着しているかどうかを判断する。上首尾の工程の適格性評価は、
商品流通の前に必要である。その後、製品のライフサイクルを通じて安定した製造作業が維持されていること
を保証するために、工程の性能と製品の品質の継続的で慎重な監督が必要である。
FDAのプロセスバリデーションのガイダンス文書:General Principles and Practices for general principles and approachesを見よ。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するためのバリデーションプログラムの、関連する手順も
添えた詳細なサマリ
工程性能の適格性評価のプログラムと、管理状態が続いていることを保証するためにロット内及びロット間
のばらつきを継続的にモニタリングするためのプログラムについて述べよ。
・貴社の販売されている各製品について、工程性能の適格性評価(PPQ)を実施するためのタイムライン
・工程性能の適格性評価のプロトコルと、装置及び設備の適格性評価の文書化された手順を含めよ。
・貴社の医薬品製造作業内のワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を置いた、
貴社の洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
これに限定されないが、以下のワーストケースの特定と評価を含むべきである:
〇高い毒性を持つ医薬品
〇高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする部分の拭き取り場所
〇洗浄前の最大保留時間
さらに、新しい製造装置や新製品を導入する前にとられるべき変更管理システムのステップについて述べよ。
・製品、工程、装置に関する洗浄手順の確認とバリデーションに関する適切なプログラムが整っていることを
保証する、最新の標準操作手順書(SOP)のサマリ
・この文書を受領した5日以内に、抗真菌性薬と創傷治療ジェルを優先させて、使用期限内にあるすべての製品
の保管サンプルの試験を開始するための計画を提出せよ。これに限定されないが、各ロットの化学及び微生
物学上の品質(好ましくない微生物を検出するためのバイオバーデンの総菌数と微生物の特定)を含む全ての
品質特性をテストせよ。もし、テストでOOSの試験結果が生じたら、顧客への通知や回収の開始を含む、貴社
がとる予定の是正処置を述べよ。全ての試験結果を当局に伝達せよ。
●指摘3
貴社は、各成分のロットの使用前に、その使用目的に照らして、好ましくない微生物汚染の可能性について、
微生物試験を実施することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、使用目的への適合性を保証するために水システムXXを適切にモニタしなかった。このバリデートされ
ていないシステムから得る水は貴社の製品の成分と、貴社の製造装置の洗浄に使用されていた。また貴社は、
貴社の水システムXXが、基準XXを満たす水を一貫して精製することを保証するために、適切に設計・管理・
維持・モニタされている状態を確立していなかった。
製薬用の水は、その使用目的に合い、適切な化学及び微生物学上の属性への継続的な一致を保証するために
定期的に試験されていなければならない。
貴社は回答の中で、XXを確証するために水システムのベンダと連絡を取るつもりであると述べた。貴社は、
品質保証部門は貴社の水システムXXがXXするようにベンダと共に動いていて、貴社は、貴社の水システムを
テストするためにXXを制定しているところであると述べた。貴社の回答は不十分である。
貴社は貴社が継続的な管理状態を維持するための、改善されたシステムの設計を確立したことを証明しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・水システムの設計、管理、維持のための包括的な改善計画
システムの設計と管理が完全に改善された後に実施された水システムの検証のバリデーションレポートを
含めよ。システムの設計と、継続的な管理と維持のためのプログラムに対してされた全ての改善を要約せよ。
・改善されたシステムが使用目的に合った水を一貫して精製することを保証する、継続的な管理、維持、定期
的なモニタリングのためのプログラムを管理するための手順
・貴社の医薬品の製造に使用される成分(例:含有物)の各入荷ロットの試験及びリリースに用いる化学及び
微生物学上の品質管理の規格
●指摘4
貴社は、適切な品質部門とその責任を制定することを怠った。また、品質管理部門に適用する手順の文書化と
その完全な順守がされていなかった。
<指摘4詳細>
貴社の品質部門は、その権限と責任を完全に果たしていなかった。貴社の品質部門は、貴社が適切な手順を
持ち、製造作業を監督していることを保証することを怠った。例えば、貴社には、プロセスバリデーション、
装置の適格性評価、OOSの調査、安定プログラム、製造工程の変更管理について述べた、文書化されたまたは
承認された手順が不足していた。
貴社は、貴社のCGMPの記録の正確さを保証するための適切は文書化手順に従うことを怠った。例えば貴社は、
貴社の品質部門に承認されていないバルク原材料の試験レポートのテンプレートを複数バージョン持っていた。
更に貴社の文書の変更管理レポートは、貴社のバルク原材料の試験レポートのテンプレートに為された全ての
変更を適切に保存していなかった。
更に、貴社の品質管理試験の職員は、試験のローデータを記録する際に綴じられていない紙を使い、それは
後で試験レポートに転記されていた。その綴じられていない紙は保管もレビュもされず、ラボノートもワーク
シートも使われていなかった。試験室の職員は、第二の検証者もなしに自身の試験レポートに署名をしていた。
貴社の回答は、貴社が、製品の品質を保証するために適切なオペレーション機能、システム、プログラム、
関連する手順を制定していること裏付ける文書や十分な詳細説明に欠けていた。また貴社は、貴社が製造する
全ての医薬品の品質の監督が欠けていることの影響の可能性に対処することを怠った。
貴社は、その責任を果たし、一貫して製品品質を保証するために適切な権限と十分なリソースを持った品質部門
を定めなければならない。CGMPの規制要件を満たす品質システムのリスクマネジメントアプローチを実装する
助けとして、FDAのガイダンス文書:Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・品質部門が効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するための、包括的なアセス
メントと改善計画
アセスメントには、これに限定されないが以下の情報を含むべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するために貴社の製造作業をはじめから終わりまで監督する品質部門の制定
〇品質部門の出荷判定前の、各ロットの関連情報を含む完全な最後のレビュ
〇文書化手順が不十分な場所を判断するための、貴社の製造及び試験の作業を通じて使用されている文書化
システムの完全なアセスメント
貴社が作業全体を通じて、帰属性、判読性、完全性、原本性、正確性、同時性を持った記録を保持すること
を保証するために貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を含めよ。
●未承認の新薬
XXは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図していて、かつ/または、体の構造や機能に影響を与えること
を意図しているので“医薬品”にあたるが、医薬品に求められている表示をしていない。さらに、我々はXXが
安全で有効であるという十分なエビデンスを知らないので、XXは”新薬“にあたる。XXは新薬として承認なしに
アメリカ国内で販売されてはならない。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に
規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣に
は、継続的なCGMPの順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの違反
を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反を即座に是正せよ。これらの違反を即座の是正の不履行は、更なる通知や、制限・
差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニングレター内の違反の未解決
な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、輸出証明の要求の承認や、貴社の製造所の、供給者または製造業者としての新薬
の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを確認するために再査察を
実施するだろう。
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まとめ
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今回は、Center for Drug Evaluation and Research(CDER)から発行された海外の製造所向けの
ウォーニングレターではなく、Division of Pharmaceutical Quality Operationsから発行されたアメリカ国内
の製造所向けのウォーニングレターを取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか。
アメリカ国内の製造所の品質管理レベルはどれくらいなのか非常に興味を持って読んでみたのですが、OOSの
調査不足、バリデーションの不備、手順の不備、データ・インテグリティの欠落は、海外の製造所でもよく
見かける指摘で、あまり差がないことに正直驚きました。
また、アメリカの製造所はコンピュータのアクセス権限の管理や監査証跡は完璧なのだろうと想像していました
が、意外にそうでもないことがわかり、なんだか少し安心しました。
ただ、今回取り上げた2社だけでアメリカの製造所の様子を判断するわけにもいかないので、今後も、アメリカ
国内の製造所向けのウォーニングレターも取り上げていきたいと思います。
☆次回は、11/15(日)に配信させていただきます。
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