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2022.01.15

【令和2年薬事工業生産動態統計】ASTROM通信<234号>

こんにちは

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

少し日が長くなってきたと感じるこの頃ですが、いかがお過ごしですか?

 

さて、今回は、20211228日に厚生労働省から発表された令和2年(2020)の薬事工業生産動態統計

年報について取り上げたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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令和2年薬事工業生産動態統計年報

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20211228日に厚生労働省より令和2年の薬事工業生産動態統計年報が発表されました。

以下に主な内容をピックアップしました。

出典:令和2年薬事工業生産動態統計年報の概要|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

■医薬品■

1.生産金額について

令和2年の医薬品の国内生産金額は、93,054億円で、前年の94,860億円と比べると、1.9%の減

少となっています。

内訳は、医療用医薬品は1.7%の減少、要指導医薬品・一般用医薬品は4.5%の減少、要指導医薬品・一般

用医薬品のうちの配置用家庭薬は9.7%の減少となっています。

国内の医薬品生産金額は落ち込んでいるのかと思われるかもしれませんが、これは平成30年から令和元年

37.3%という大幅な伸びを示したために落ち込んだように見えるだけで、平成30年の69,077億円から

比べると34.7%の伸びになっています。ただ、配置用家庭薬については、平成30年から比べて82.7

の大幅な減少となっています。

生産金額の多い医薬品(薬効大分類別)は、以下のようになりました。

1位 その他の代謝性薬品(12,436億円、前年比+7.6%)前年2

2位 腫瘍用薬(12,160億円、前年比+4.7%)前年1

3位 中枢神経系用薬(1570億円、前年比-5.8%)前年3

4位 循環器官用薬(9,394億円、前年比-5.8%)前年4

5位 血液・体液用薬(6,413億円、前年比-6.1%)前年5

 

生産金額の多い医薬品薬効中分類は以下の通りです。

1位 その他の腫瘍用薬(11,591億円、前年比+6.6%)前年1

2位 他に分類されない代謝性医薬品(6,814億円、前年比+6.1%)前年2

3位 糖尿病用剤(4,256億円、前年比+12.3%)前年4

4位 血液凝固阻止剤(3,746億円、前年比-2.2%)前年3

5位 血圧降下剤(3,372億円、前年比+3.7)前年6

医薬品薬効中分類別で生産金額の増減を見てみますと、59分類のうち24分類で増加していました。前年

に対して増え方が多いのは、多い順に、

主としてカビに作用する抗生物質製剤 前年比+137.3

外皮用殺菌消毒剤 前年比+37.5

甲状腺,副甲状腺ホルモン剤 前年比+25.8%、

その他の外皮用薬 前年比+16.7%、

血液製剤類 前年比+14.7

で、逆に減り方が多いのは、多い順に、

抗ウイルス剤 前年比-43.6

代謝拮抗剤 前年比-38.7

混合ビタミン剤(ビタミンA・D混合製剤を除く。) 前年比-23.2

生化学的検査用剤 前年比-22.3

呼吸促進剤 前年比-20.3

でした。

 

2.輸出入金額

医薬品の輸出金額は、5,125億円、前年比+15.8%で、金額で見た主な輸出国は

1位 スイス(1,547.4億円、前年比+22.0%

2位 アメリカ(1,074.0億円、前年比+50.4%)

3位 中国(703.7億円、前年比+10.5%)

4位 台湾(227.1億円、前年比+6.6%)

5位 韓国(226.8億円、前年比+1.4%)

でした。

輸入金額は、28,534億円、前年比+3.6%で、金額で見た主な輸入国は

1位 ドイツ(5,975億円、前年比-0.5%)

2位 アメリカ(5,365億円、前年比-2.8%)

3位 スイス(3,202億円、前年比-6.1%)

4位 ベルギー(2,215億円、前年比+30.3%)

5位 イギリス(2,121億円、前年比+39.8%)

でした。

 

3.都道府県ランキング

生産金額の多い都道府県は、

1位 埼玉県(9,187億円、前年比+1.9%)前年1

2位 栃木県(8,675億円、前年比+0.4%)前年2

3位 静岡県(8,396億円、前年比+0.2%)前年3

4位 富山県(6,609億円、前年比-4.7%)前年4

5位 滋賀県(4,997億円、前年比-8.3%)前年5

でした。

生産金額の前年からの増加率が大きい都道府県のトップ5は、

1位 大分県 前年比+61.6%

2位 新潟県 前年比+51.0%

3位 群馬県 前年比+34.0

4位 鳥取県 前年比+22.0

5位 高知県 前年比+21.3

でした。逆に前年からの減少率が大きい都道府県のトップ5は、

1位 岩手県 前年比-30.9%

2位 沖縄県 前年比-18.1%

3位 宮城県 前年比-17.1

4位 石川県 前年比-16.3

5位 鹿児島県 前年比-14.7

でした。

 

 

■医療機器■

1.生産金額について

令和元年の医療機器の国内生産金額は、24,263億円で、前年の25,221億円と比べると、3.8%の

減少となっています。

医療機器の生産金額も医薬品と同様、平成30年から令和元年に29.4%という大幅な伸びを示したため、

平成30年の19,490億円から比べると24.5 %の伸びになっています。

生産金額の多い医療機器類は以下の通りでした。

1位 医療用鏡(2,850億円、前年比+17.8%)前年3

2位 医療用嘴管及び体液誘導管(2,746億円、前年比-2.8%)前年1

3位 内臓機能代用器(2,545億円、前年比-1.8%)前年2

4位 医療用エックス線装置及び医療用エックス線装置用エックス線管

2,103億円、前年比-6.9%)前年4

5位 血液検査用器具(1,796億円、前年比-1.4%)前年5

 

2.輸出入金額

医療機器の輸出金額は、9,909億円で前年比+2.0%で、金額で見た主な輸出国は

1位 中国(1,709億円、前年比+67.5%)

2位 アメリカ(1,199億円、前年比-10.9%)

3位 ドイツ(595億円、前年比-13.8%)

4位 オランダ(472億円、前年比+5.5%)

5位 韓国(402 億円、前年比-13.3%)

でした。

輸入金額は、26,373億円、前年比-3.1%で、金額で見た主な輸入国は

1位 アメリカ(9,861億円、前年比-6.2%)

2位 アイルランド(2,752億円、前年比-7.1%)

3位 中国(2,306億円、前年比+15.4%)

4位 ドイツ(1,615億円、前年比-12.9%)

5位 メキシコ(864億円、前年比-5.6%)

でした。

 

3.都道府県ランキング

医療機器の生産金額の多い都道府県は、

1位 静岡県(3,654億円、前年比-9.2%)前年1

2位 栃木県(2,266億円、前年比+1.4%)前年2

3位 福島県(2,013億円、前年比+20.6%)前年4

4位 茨城県(1,609億円、前年比-14.4%)前年3

5位 埼玉県(1,429億円、前年比-9.0%)前年5

でした。

生産金額の前年からの増加率が大きい都道府県のトップ5は、

1位 三重県 前年比+49.1%

2位 東京都 前年比+30.5%

3位 徳島県 前年比+24.2

4位 福島県 前年比+20.6

5位 和歌山県 前年比+10.6

でした。逆に生産金額の前年からの減少率が大きい都道府県のトップ5は、

1位 山口県 前年比-56.4%

2位 鳥取県 前年比-29.8%

3位 福井県 前年比-26.9

4位 岩手県 前年比-26.8

5位 沖縄県 前年比-22.6

でした。

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

2020年の医薬品と医療機器の生産金額は、共に2019年に比べて減少していましたが、2018年から2019年に

かけて物凄い伸びを示しているので、2018年と比べてみると2018年からも大幅に増加をしており、生産は

引き続き好調な状態にあります。

ただ、この先どうなっていくかは全くわかりません。

この先も、業界の動向を知るうえで、1年遅れとはいえ薬事工業生産動態統計には注視していく必要がある

と思います。

 

余談ですが、私の住む静岡は、医薬品生産金額の都道府県ランキングは3位、医療機器生産金額の都道府県

ランキングは1位と去年と変わらない状態で、少しうれしかったです。

 

 

☆次回は、2/1(月)に配信させていただきます。

 

 

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インターフェックスWeek大阪のご案内

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202239日~11日に、インターフェックスWeek大阪(インテックス大阪)に出展いたします。

ご来場される方は、是非、弊社ブースにもお立ち寄りいただければ幸いです。

2022.01.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<233号>

明けましておめでとうございます。

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

20203月にWHOが新型コロナのパンデミックを発表してから2年近くたってしまいましたが、今年も

頑張っていきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

本来はFDAが海外の製造所向けに出したウォーニングレターを取り上げたいところなのですが、未だに

件数が少ないため、今回もアメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレターを2件取り上げ

たいと思います。

アメリカの製薬会社の状況を知るのも興味深いものです。是非、お読みいただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

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WL#615066

2021329日~42日のカリフォルニア州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に

ついて発した2021924日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●不衛生な状態

貴社の手指の消毒剤は、不衛生な状態で調製、包装、保持されたので、FD&C Act 501(a)(2)(A) のもとで

不良品である。貴社は照明のついていないXXの中で、手指の消毒剤のロットを製造した。XXXXでなく、

その結果、外部の環境にさらされていた。充填は、準備中に外部環境に開放されたバルク医薬品用トート

に手動ポンプで挿入する方法で実施された。貴社は、製造環境や医薬品の汚染を防ぐための管理を行って

いなかった。

 

CGMP違反

我々は、フォームFDA 483への回答を2021423日に詳細にレビュした。

査察中、我々の査察官は、これに限定されないが、以下の具体的な内容を含む違反に気付いた。

 

●指摘1

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従っていることと、同一性、濃度、品質、純度に

関して制定された規格を満たすことを保証する責任を果たさなかった。

<指摘1詳細>

我々査察官は、貴社の品質部門(QU)が貴社のOTC医薬品の製造に関する適切な監督を行っていないことに

気付いた。貴社は、入荷した成分の同一性試験を実施せず、供給者の分析証明書(COA)の検証もせずに、

手指の消毒剤を製造した。さらに貴社は医薬品に関する規格を制定せず、リリース試験を実施せずに

手指の消毒剤を出荷した。

貴社は回答の中で、顧客との契約で、手指の消毒剤のGMPの遵守と有効性に関する責任は顧客にあると

規定していると述べた。特に、入荷した成分の品質と、最終製品の規格の制定を確実に行うことは、

顧客の責任であると述べた。さらに貴社は、貴社の顧客が手指の消毒剤の処方を最終決定せず、最終製品

の規格を提供しなかったと述べた。受託製造業者としてCGMPのもとで、貴社は、運用や規格等の主要な

品質要件が定まるまで製造を開始すべきではない。

貴社のQUは、貴社の製造所で用いられている成分の品質を保証し、各ロットについて合格/不合格の判定

をするために最終製品の品質を評価する責任がある。貴社は、手指の消毒剤について、いくつかの顧客と

品質契約を締結している。受託製造業者として、品質契約を、CGMPに従うための法定または規制上の責任

を委譲するために用いることはできない。貴社には、製品オーナーとの契約に関わらず、受託製造所と

して貴社が製造した医薬品の品質に責任がある。貴社には、安全性、同一性、濃度、品質、純度に関して、

FD&C Act 501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証することが求められている。FDAのガイダンス

文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

QUが効果的に機能することを保証するために権限とリソースが与えられていることを保証するための、

 包括的なアセスメントと改善の計画

 アセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含むべきである。

 〇貴社で用いられている手順が安定していて適切であるかどうかの判断

 〇適切な手順の順守を評価するための貴社の作業全体のQUの監督に関する規定

 〇QUがロットの処遇を判断する前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ

 〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUの調査の監督・承認、及び、QU

  その他の職務からの解放

・製品のロットの処遇を判断する前に各ロットを分析するために使用されている貴社の化学及び微生物

 の試験方法と規格のリストと、関連する文書化された手順

・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格への一致について、貴社が各成分をいかに試験

 するつもりかの記述

 もし貴社が成分の各ロットについて、濃度、品質、純度を試験する代わりに貴社の供給者のCOAの結果

 を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通して貴社の供給者

 の結果の信頼性をいかに確実に立証するかを明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、

 少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。

・各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られた結果のサマリ

 このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社の標準操作手順書も含めよ。

・貴社が製造した医薬品を試験する契約施設の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ

 

●指摘2

貴社は、装置の洗浄と保全に関する適切に文書化された手順を制定し従うことを怠った。

<指摘2詳細>

貴社は、ボトル充填のために、バルク医薬品用トートに手動ポンプを取り付けることで、手指の消毒剤

のロットを製造していた。査察中、貴社は、手動ポンプの洗浄記録を提出できなかった。さらに貴社は、

この装置の洗浄の手順と洗浄バリデーションの報告書を提出できなかった。手動ポンプはプラスチック

のテープとゴム手袋で包まれていて、照明のついていないXXに置かれていた。手指の消毒剤のバルクは

この装置を使って充填されていた。

さらに、貴社は非医薬品(即ち、ボトル詰めの飲料水)を製造するためにも使用されている充填ラインXX

で、手指の消毒剤を製造していた。査察中、貴社は、適切な洗浄を保証する詳細情報が不足した暫定的な

洗浄手順を提出した。また貴社は、この洗浄手順に関して、手指の消毒剤とボトル詰めされた水の間で

交叉汚染が起きないことを保証するためのバリデーション報告書を提出することも怠った。

貴社は回答の中で、洗浄水がXXに達し、微生物試験に合格するまでXX水でポンプをゆすぐということを

記載した手動ポンプの洗浄手順を提出した。貴社は、この方法のバリデーション報告書を提出せず、この

方法の化学的なキャリーオーバーを防ぐ妥当性について対処しなかった。貴社の回答は、貴社の様々な

医薬品と非医薬品の間の交叉汚染のリスクの回顧的な分析を含んでいなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・交叉汚染の危険を評価するための、貴社の洗浄の効果の包括的で独立した回顧的アセスメント

 残留物と不適切に洗浄されていた可能性のあるその他の製造装置の特定、交叉汚染された製品が販売の

 ために出荷されたかどうかのアセスメントを含めよ。アセスメントは洗浄手順と実務の不適当な点を

 特定し、非医薬品と医薬品の両方の製造を含む、2製品以上を製造するために使用されている製造装置

 の個々の部品も網羅せよ。

・貴社の洗浄プログラムの回顧的なアセスメントに基づく是正処置・予防処置(CAPA)の計画

 計画には、貴社の洗浄手順と実務の適切な改善と、完了までのタイムラインを含めよ。

 装置の洗浄のライフサイクル管理に関する貴社の手順の脆弱性の詳細なサマリを提出せよ。洗浄効果の

 強化、全ての製品と装置のための適切な洗浄実施の継続的な改善された検証、その他の必要な改善を

 含む、貴社の洗浄プログラムの改善について述べよ。

 

〇虚偽表示の違反

FD&C Act 201(g)(1)(B)21 U.S.C.321(g)(1)(B)で定義されている通り、手指の消毒剤は、診断、治癒、

緩和、利用、または疾病の予防のための使用を目的とし、身体の構造または機能に影響を与えることを

意図しているので、“医薬品”である。

もともと飲料水を包装するのに使用されたプラスチックのボトルに似たボトル容器に充填された手指の

消毒剤は、FD&C Act 301(a)21 U.S.C.331(a)のもとで虚偽表示である。

 

●品質システム

貴社の品質システムは不十分である。21 CFR parts 210211CGMP規制要件を満たすために、

品質システムとリスクマネジメントの実装の助けとして、

FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストでもない。貴社には、違反を

調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、

強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決

の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に

完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての

新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を

完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/chameleon-beverage-co-inc-dba-chameleon-sanitizer-corporation-615066-09242021

 

 

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CMS#615153

202153日~514日のミズーリ州の製造所の査察でみつかった原薬製造の重大なCGMP違反について

発した2021930日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社の製造所で製造された原薬が品質及び純度に関して制定された規格を満たすことを保証するために

必要な手順とプロセスを持つことの不履行

<指摘1詳細>

貴社は、貴社の顧客が手術前の準備製品を製造するために使用する原薬ポビドンヨードを製造している。

査察中、我々は貴社の品質部門(QU)が、重大な逸脱が調査され解決されていることを保証するための適切

な手順とプロセスもなく、原薬のロット100017872R100017911Cを出荷したことに気付いた。

202034日ポビドンヨードのロット100017872Rの製造中に、貴社の製造職員は、化学反応装置の棚で

ポビドンヨードがくすぶっていることを発見した。差し迫った火災のリスクに対応するために、製造職員

は消火器を使用した。この事象により、製造は通常通りに進行しなかった。関連する医薬品は、一貫性の

ない温度にさらされ、追加の処理と保持時間を経験した。貴社は、利用可能なヨウ素の割合を調べるため

に影響を受けた原材料のドラムのみを試験し、更なる製造のためにそれらをリリースした。

同様に、2020818日のポビドンヨードのロット100017911Cの製造中に、貴社の製造職員は、化学反応

装置の棚XXが煙を出していることに気付いた。製造は止められ、原材料は未確認の状態で保持された。

貴社は再び、利用可能なヨウ素の割合を調べるために単に影響を受けた原材料のドラムのみを試験し、

更なる製造のためにそれらをリリースした。

両事象において、貴社は、逸脱レポートを作成したが、単に利用可能なヨウ素の合成結果に基づいて

医薬品をリリースした。貴社の医薬品は、過度の熱、火、煙、及び破片にさらされた。消火器の使用に

より追加の汚染やその他の微粒子も、原材料の品質を損なったかもしれない。さらに、関連する医薬品は、

バリデートされた通常の状態を超える製造パラメータを経験した。

貴社は、原薬が有害な微粒子やその他の汚染により汚染されていないことを確認するためにロット

100017872R100017911Cの追加試験を実施しなかった。さらに貴社は、事故による外部の破片や汚染

物への原薬の暴露を評価するためのリスクや影響のアセスメントが不足していた。QUは、重大な逸脱が

完全に解決され、全ての残留している化学的汚染物質や微粒子のリスクに完全に対処されているという

保証もなしに、ロット100017872R100017911Cをリリースした。

貴社は、回答の中で 現在、この問題に対処するための最善の道筋を判断するためにコンサルタント

からのアドバイスを求めている”と述べた。貴社の回答は不適切である。貴社は、貴社がリリースした

影響を受けたロットを評価した裏付け文書を提出しなかった。特に貴社は、無菌医薬品の使用の可能性

を含む、原薬の使用目的を考慮した、原材料に潜在的に危険な微粒子やその他の汚染物質が含まれて

いないことを保証する裏付け文書を提出しなかった。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

QUが効果的に機能することを保証するために権限とリソースが与えられていることを保証するための、

 包括的なアセスメントと改善の計画

 アセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含むべきである。

 〇貴社で用いられている手順が安定していて適切であるかどうかの判断

 〇影響を受けたロット100017872R100017911Cに関する現在の安定性データを提出せよ。

 〇適切な手順の順守を評価するための貴社の作業全体のQUの監督に関する規定

 〇QUがロットの処遇を判断する前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ

 〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUの調査の監督・承認、及び、QU

  その他の職務からの解放

 〇経営陣が、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に取り組み、継続的な管理状態を保証する

  ために、これに限定されないが、リソースのタイムリーな提供を含む、品質保証と信頼できる作業

  をいかにサポートするかについても述べよ。

・潜在的な顧客への通知や回収または市場からの撤退を含む、アメリカで流通している全ての製品の

 品質、または、ポビドンヨードのロットによる患者の安全性のリスクに対処するための貴社の

 アクションプラン

 

●指摘2

原材料、中間体、原薬と接触する装置の表面が、公的または他の制定された規格を超えて中間体や原薬

の品質を変えないことを保証することの不履行

<指摘2詳細>

貴社の製品の接触表面が、相互的で、吸収力があり、反応性が高いので、貴社の装置の構造は不適切で

ある。査察中、我々は、XX混合機、XX、ホッパー、XX等のポビドンヨードの重要な製造装置が変色し、

さびていることに気付いた。さらに、貴社は、腐食やさびXXを取り除くために、貴社の装置をXXする

ためにサードパーティを雇った。製品の接触面XXから腐食をXXしなければならないと仮定すると、

接触面は製品の微粒子(例:さび)の汚染を引き起こす可能性があるため、欠陥がある。

さらに、貴社は、XX段階で製品をさらに処理するためにトレイを使用している。この処理中、貴社は、

プラスチックライナーでトレイを包む。これらのプラスチックライナーは、ポビドンと直接接触する。

FDAの査察官は、プラスチックライナーはボロボロに裂かれ、破れ、プラスチックの微粒子が製品に

さらされていることに気付いた。

貴社は回答の中で、XXは腐食を除去するのに適していて、プラスチックライナーの使用を評価する

つもりであると述べた。XXが適切であるという貴社の主張の科学的な正当性や、裏付けをする文書が

不足しているので、貴社の回答は不十分である。さらに、FDAは、201912月の査察と20227月の

規制会議の中で、これらの懸念を指摘したが、貴社はそれらの適切に対処することを怠った。

この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

・相互的で、吸収力があり、反応性が高い因子に焦点をあてた、製造所内のすべての製品表面の、

 装置の材料の完全な評価と、販売された医薬品の汚染につながる可能性があるかの評価

・製造所と装置の定期的で慎重な運用管理の監督作業を実装するための貴社の是正処置・予防処置

 (CAPA)の計画

 この計画は、とりわけ、装置/設備の性能問題の迅速な検出、効果的な修理の実施、適切な予防的

 保全計画の順守、装置/設備インフラのタイムリーな技術的アップグレード、継続的なマネジメント

 レビュのために改善されたシステムを保証すべきである。貴社の計画は、適切なアクションが会社

 のネットワーク全体でとられることも保証すべきである。

 

●追加の原薬CGMPガイドライン

FDAは原薬がCGMPに従って製造されていることを判断する際、ICH Q7にまとめられている期待を考慮

する。原薬製造のためにCGMPに関するガイダンスに関して、

FDAのガイダンス文書Q7 Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredients

を見よ。

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社で確認した逸脱の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝いを

する適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また我々は、貴社がFDAと共に貴社のコンプライ

アンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサルタントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全て

の作業の包括的な監査を実施し、貴社の是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。

貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の

経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた逸脱は、貴社の製造所に存在する逸脱の包括的なリストでもない。貴社には、逸脱を

調査し、原因を判断し、再発やその他の逸脱の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、

強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の

逸脱は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

逸脱への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての逸脱に

完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての

新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が逸脱に対する是正処置を完了した

ことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/marcus-research-laboratory-inc-615153-09302021

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

・照明のない部屋での製造作業

・リリース試験をせずに出荷

・消火器の使用された部屋に保管されていた原材料の、十分な確認をしない状態での使用

・業者を雇ってさび取りをするほどの装置を使った製造

と、今回はびっくりする指摘内容が含まれていました。

アメリカの製薬会社でもこうなのかと衝撃を受けると共に、日々使用している手指の消毒剤は安全

なのだろうかとふと不安になりました。。。

 

次号は、もう少し身近にありそうな指摘がされているウォーニングレター探して取り上げたいと思います。

 

☆次回は、1/15(土)に配信させていただきます。

 

 

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インターフェックスWeek大阪のご案内

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202239日~11日に、インターフェックスWeek大阪(インテックス大阪)に出展いたします。

ご来場される方は、是非、弊社ブースにもお立ち寄りいただければ幸いです。