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2022.07.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<246号>
こんにちは。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
猛暑はおさまったものの、不安定な天気が続いていますが、いかがお過ごしですか。
さて今回も、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国内の製薬会社向けに出したウォーニングレター
2件を見ていきたいと思います。
FDAがどのような点を問題視して指摘しているかをご確認いただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
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■CMS#622087■
2021年10月4日~10月13日のミズーリ州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に
ついて発した2022年3月31日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、ラベル、製品が同一性、濃度、品質、純度の適切な規格
に準拠していることを保証するために設計された科学的に妥当で適切な規格、標準、サンプリング計画、
試験手順を含む試験管理を制定することを怠った。(21 CFR 211.160(b))
<指摘1詳細>
貴社は、塩化ベンザルコニウムベースの手指の消毒剤を含むOTC医薬品を製造している。水は、貴社の
OTC手指消毒製品の成分である。貴社の水システムのサンプリング計画は、システム全体を表現する
ものではなく、システムのばらつきを検出するために意味のある結果を提供するのに適切ではない。
具体的には、製造作業のXXにおける化学及び微生物的属性に関し、ユースポイントのXXのポートから
しかサンプルを取っていない。しかし、我々査察官は、貴社が医薬品の製造のために少なくとも
ユースポイントのXXのポートから水を得ていることに気付いた。
さらに、貴社は何度も最終製品からバークホルデリア・セパシア(B.セパシア)を検出した。B.セパシア
は、水媒介生物であるため、この繰り返しの製品汚染は、貴社の水システムの不十分なモニタリングと
管理の影響を示している。貴社には、貴社の水システムにおけるB.セパシアの有害なパターンを特定
するための適切な限界値を持っていないし、バリデートされた方法でB.セパシアの存在について貴社の
水システムを定期的に試験してもいなかった。
貴社は回答の中で、水システムの図面を更新し、少なくともユースポイントのXXのポートを確認する
ようにしたと述べた。また貴社は、貴社がサンプルを取る追加の水のポートの適切な数を判断するため
にXXを実施するつもりであるとも述べた。さらに、貴社は水試験にB.セパシアが存在しないことを確認
するための規格を追加するつもりであると述べた。貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の
水システムの設計が、意図された用途に適していて、適切に維持され、サンプリングされ、管理状態
から外れている可能性がある場合に迅速な検出を可能にするためのより徹底的な検査の対象とすること
を保証する方法を含むXXに関する詳細を提供しなかった。
水は貴社の非無菌医薬品の成分として使用されているので、水システムの管理状態に関するデータの
欠如は、貴社の製品に好ましくない微生物汚染を取り込む潜在的なリスクをもたらす。医薬品用水は、
意図された用途に適していて、適切な化学及び微生物学的属性の継続的な適合を保証するために定期的
にテストされなければならない。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社が製造に使用するための成分の各入荷ロットの試験及びリリースに使用している化学及び微生物
学的な品質管理の規格
・貴社で製造する医薬品の各ロットで使用されるための合格基準を保証するための水の日常の微生物
試験を詳細に記述した水システムのモニタリングの手順
・現在の水システムで使用される微生物総数及び好ましくない微生物の現在のアクション/アラート限界
貴社のシステムの微生物総数に限界が、貴社で製造される各製品の使用目的の観点で厳格であることを
保証せよ。
・システムがアメリカ薬局方モノグラフの精製水の規格、適切な微生物限界を満たす水を一貫して精製
することを保証する継続的な管理、保全、モニタリングのためのプログラムの適用手順
・全ての微生物学上の危険の詳細で徹底的なレビュを伴う貴社の製造作業の設計と管理の包括的で独立
したアセスメント
・好ましくない微生物汚染の可能性がある医薬品を販売することによりもたらされる危険に対応した詳細
なリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社がとろうとしている顧客への通知や製品回収などのアクションを明記
せよ。
・好ましくない微生物汚染の可能性がある、または、微生物試験の結果が規格外(後で無効化されたか
どうかに関わらず)の全てのロットの完全な調査
調査では、汚染の根本原因に関する貴社の調査結果を詳細に記述すべきである。
・貴社の各医薬品の適切な微生物のロットのリリース規格(すなわち、微生物総数、好ましくない微生物
を検知するためのバイオバーデンの特定)
・貴社の各医薬品を分析するために使用されている全ての化学及び微生物の試験方法
・使用期限内の全ての医薬品のロットの保管サンプルの試験から得られた結果のサマリ
貴社は、これに限定されないが、各ロットの有効成分の同一性、濃度、微生物学的品質(微生物総数、
好ましくない微生物を検知するためのバイオバーデンの特定)を含む、全ての適切な品質特性を試験
すべきでる。試験でOOSの結果が得られた場合、顧客への通知や回収の開始など、貴社がとろうとして
いる是正処置を示せ。
●指摘2
貴社は、装置の洗浄及び保全に関する適切に文書化された手順を制定し順守することを怠った。
(21 CFR 211.67(b))
<指摘2詳細>
我々査察官は、貴社の装置の保全及び洗浄プログラムでいくつかの不備を記録した。例えば、水の精製
システム内のポンプからの漏れをみつけた。2021年5月7日付の作業指示書は漏れを記録していたが、
品質部門は査察日において貴社の手順で要求された通り漏れを通知していなかった。従って、逸脱の
調査は開始されていなかった。XXの2回目の漏れでは、漏れを阻止する吸水性パッドで発見された。その
漏れは記録されていなかった。貴社の水システムの操作手順では、漏れのチェックはXXに実施されなけ
ればいけないことになっている。貴社には、これらの水漏れの発生を裏付ける文書が不足していた。
水漏れは増殖した微生物の侵入の可能性のあるエリアで、成分である水を汚染し、その後、貴社で製造
された医薬品の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
査察官はタンク#422の上にある原材料移送マニホールドのバルブから原材料が漏れているのも発見した。
漏れの下にあるバケットは、緑青のゼラチン状の物質と思われるもので、半分くらいいっぱいになって
いて、バケツの外側は、シロと茶色の汚れで覆われているようだった。この物質は界面活性剤XXと特定
された。原材料の保管に関する貴社の手順は、装置の適切な洗浄と保全を十分に保証していない。
我々は、試験室の薄板上の気流フードに錆があることも発見した。貴社の試験室のメンテナンス状態は、
その信頼性を保証するために重要である。
貴社は回答の中で、新しい職員は、貴社の手順で指定された通りにアサインされたりXXの確認で教育
されたりしていないと述べた。更に、貴社は、貴社の手順は品質モニタリングプログラムの責任に
関する十分に詳細な記述が欠けていると述べた。また、貴社は、漏れたXXとポンプは故障し、交換の
ための変更管理オーダーが提出されたと述べた。さらに、貴社の水システムの”投資計画“に備えて
貴社の水システムの図面は更新されQUとエンジニアリング部門によりレビュされた。界面活性剤XXの
漏れに関して、貴社はバルブの交換のための作業指示が提出され、配管を交換するつもりであると
述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、貴社が完全に水システムを改善し、さまざまな漏れが
製品品質に影響を与えなかったことを保証するのに十分な詳細の説明が不足していた。貴社は貴社の
設備や装置の保全に関する同様の問題が再発しないことをいかに保証するかを論じることも怠った。
貴社の洗浄と保全の手順が適切で、貴社の医薬品の汚染を防ぐために遵守されていることを示すことは
重要である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・水システムの設計、管理、保全の包括的で独立したレビュと広範囲の改善計画
・精製水システムのバリデーションレポート
システム設計と、継続的な管理や保全のためのプログラムになされた全ての改善のサマリも含めよ。
・指摘された水システムの不具合が、現在アメリカ市場にある製品の全てのロットの品質に与えた可能性
のある影響に対する詳細なリスクアセスメント
・医薬品を作るために貴社が使用した水システムの配管計装図を含む、構成の詳細な記述
XXと、それが直列か並列かの状態を記述せよ。さらに、改善されたシステムに関する最新の配管計装
図の情報と、配管計装図が実際の水システムの設計と一致することを確認するアセスメントを含めよ。
・施設と装置の日常の慎重な運用管理・監督を実装するための是正処置・予防処置(CAPA)の計画
この計画は、とりわけ、装置/施設の性能の問題の迅速な検知、修理の効果的な実施、適切な予防保全
スケジュールの遵守、装置/施設のインフラストラクシャへのタイムリーな技術的アップグレード、
継続的なマネジメントレビュのためのシステム改善を保証するべきである。
●指摘3
貴社は、ロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、ロットやその成分の、規格との説明のつか
ない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。 (21 CFR 211.192)
<指摘3詳細>
貴社は、OOSの結果や苦情を適切に調査することを怠った。例えば:
・B.セパシアが貴社の局所接近剤のロットXXで見つかった。貴社はこのロットを処分したが、微生物
汚染の根本的原因を適切に調査しなかった。査察中、貴社は移送ホースでB.セパシア、生産ラインの
ボトルホッパーXXの中でコレラ菌を発見した。貴社は最終的に、循環中に複数回アラームを発した
水システムの浄化サイクル内の不具合が根本原因であると判断した。
しかし、貴社は、水システムがB.セパシアで汚染されているかどうか、また、水システムの
浄化サイクルが複数回アラームを発した理由を特定しなかった。また、貴社は、移送ホースとボトル
ホッパー内の汚染源を特定しなかった。貴社のCAPAは、水システムの浄化サイクル中のアラームを
クリアするためだけに従業員の再訓練することになっていた。
・貴社は手指消毒泡XXロット0480285のロットコードが欠落していることに関する苦情の調査を開始
した。根本原因はボトルの過剰充填で、それによりロットコードが拭き取られたと判断された。
コードを消す結果となった過剰充填に関し、製造ログは他に9つの停止イベントがあることを示して
いたにも関わらず、ボトルの過剰充填の根本原因は適切に調査されなかった。QUは、これらの9つの
停止イベントに気付いていなかった。
・貴社は製品XXロット0520546の判読できないロットコードに関する苦情の調査中、適切なCAPAを実施
しなかった。貴社は、ロットコードが不鮮明になった“最も可能性の高い原因”は、過剰充填による
と結論づけた。しかし我々査察官は、適切に調査されていない、消えたり判読できないロットコード
に関する複数の苦情を指摘した。
貴社は回答の中で、管理者だけが“アラームの確認”へのアクセスができるよう、製造中のユーザ
アクセスを変更したと述べた。さらに、貴社は、苦情の手順を見直し、傾向分析を加え、使用期限内
にある全ての製品を対象とする“重大な”苦情の回顧的レビュを実施するつもりであると述べた。
また、貴社は、現在のリスクアセスメントの手順のギャップ分析をし、リスクの文書化を確実にする
つもりであるとも述べた。また、それらが完了したら、全ての手順は改訂され、貴社のチームは
これらの変更を教育される予定であると述べた。貴社の回答は不十分である。貴社は、QUの役割と
責任のレビュや、貴社の調査結果の顧客への通知について検討しなかった。更に、貴社は、製品品質
への影響を判断するために、“重大”な苦情だけでなく全ての苦情をレビュすべきである。
不十分な調査は、不適合の根本原因の特定や根本原因の軽減をしない可能性があり、安全で有効な
製品の一貫した製造を保証しない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・逸脱、不一致、苦情、OOSの結果、不具合の調査に関する貴社のシステム全体の包括的で独立した
アセスメント
このシステムを修正するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランはこれ
に限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質の監督、文書化
された手順の著しい改善を含めるべきである。調査の全てのフェーズが適切に実施されていることを、
貴社がいかに保証するつもりか述べよ。
・貴社の変更管理システムの包括的で独立したアセスメント
このアセスメントは、これに限定されないが、変更が貴社のQUによって正当である根拠が示され、
レビュされ、承認されていることを保証するための貴社の手順を含めるべきである。貴社の変更管理
プログラムは変更の効果を判断するための規定も含めるべきである。
・貴社のQUが効果的に機能するための権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的な
アセスメントと改善の計画
アセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含めるべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
〇適切な手順の遵守を評価するための貴社の作業全体のQUの監督の規定
〇QUの出荷判定前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための調査の監督と承認及びその他のQUの職務の
遂行
●指摘4
貴社は、権限のある職員のみが製造指図記録書原本及びその他の記録の変更を行うことを保証するため
にコンピュータ及び関連システムの適切な管理を怠った。 (21 CFR 211.68(b))
<指摘4詳細>
貴社は、貴社の電子データの完全性を裏付け、適切な個人のみが管理者権限を持つことを保証するため
の適切な管理を怠った。 例えば、製品のリリース試験に使用される貴社の微生物試験装置XXは、試験の
ローデータの削除を防止するための適切な管理が整っていないスタンドアロンのコンピュータによって
管理されていた。全てのQUユーザは、ファイルの変更や削除ができる管理者権限を持つ共有の汎用アカ
ウントを利用してコンピュータにアクセスしていた。査察中、貴社の職員の一人がコンピュータの
ゴミ箱を開き、約XXのファイルとフォルダが削除されていることに気付いた。さらに、これらの削除
されたアイテムには、貴社の職員がXXのデータファイルの可能性が高いと述べた、少なくともXXの
XX形式のファイルを含んでいた。それらの削除されたフィルのXXの名前は、2017年以降に製造された
製品の処方に類似していた。
さらに、貴社の分析ソフトXXについて、QUの管理者は、ロットのリリースの前に製品試験に関するHPLC
の監査証跡のレビュをしなかった。QUはXXベースでのみ監査証跡をレビュした。これは2017年の査察
から繰り返されている違反である。
貴社は回答の中で、共通ユーザのログインは中止され、管理者権限がQU外のIT職員にアサインされたと
述べた。さらに、貴社は、貴社のソフトウエアはアップデート中で、ユーザアクセスを管理する新しい
手順を作る予定であると述べた。また貴社は、貴社のソフトウエアXXは新しいバージョンにアップ
デート中で、各サンプルの監査証跡は印刷され、別の装置とQAレビュのためにデータパケットに追加
されると回答した。
ソフトウエアXXと関連するスタンドアロンのコンピュータを保護するための十分な是正処置を提出しな
かったので、貴社の回答は不十分である。貴社は、ユーザのアクセスレベル、アクセス権、データを
収集、レビュ、他の機能を実施するためにXXシステムに関して権限を与えられたユーザについて説明
していなかった。一人の微生物学者のみがシステムにアクセスすることを許可することにより、データ・
インテグリティを維持するための計画は、貴社のデータの完全性を保護するためのアクセスレベルと
権限のシステムを作っていないので、安定した戦略ではない。また貴社は、データへの不適切な
アクセスや削除を防ぐためにデータがどこに保存される予定であるかも説明しなかった。更に、貴社の
回答は、装置XXで収集された医薬品のリリースデータの回顧的アセスメントや、システムセキュリティ
の脆弱性がデータ・インテグリティにどのように影響した可能性があるかの広範囲な評価に欠けていた。
最後に、我々は、説明されたソフトウエアXXの改善を確認した。しかし、貴社が提案したデータレビュ
の手順は不十分である。試験記録(クロマトグラムの生の記録、処理されたクロマトグラム、監査証跡)
の静的コピーの使用は、リリースのためのQAのレビュ手順の一部であるべき、全ての分析試験結果の動
的なレコード形式を保持していないので不適切である。貴社は、紙及び電子記録を含むオリジナルの
試験記録が全ての試験結果と関連する情報が報告されていることを保証するために、QAがレビュする
対象となっていることを保証しなければならない。
貴社の品質システムは、貴社が製造した医薬品の安全性、効能、品質を裏付けるためにデータの正確性
と完全性を適切に保証していない。CGMPに則ったデータ・インテグリティの手順を制定して遵守する
ガイダンスとして、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
コンピュータシステムのセキュリティと完全性に関する包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画
設計と管理の脆弱性を特定したレポート、貴社の試験室の各コンピュータシステムの適切な修正を
含めよ。これには、以下のことも含めるべきである:
・貴社の試験室内の、全ての装置(スタンドアロンとネットワークの両方)を含む全てのハードウエア
のリスト
・ネットワークシステムと非ネットワークシステムの両方を含む、ハードウエア及びソフトウエアの
脆弱性の特定
・ソフトウエアの構成 (装置のソフトウエアとLIMS XXの両方)とバージョンの全てのリスト、全ての
ユーザ権限の詳細、各試験システムの監督責任
ユーザ権限については、試験室のコンピュータシステムにアクセスできる全ての職員に関する役割と
関連するユーザ権限(管理者権限を持つ全ての人に許可されている具体的な権限を含む)及び職員の
組織の所属と役職を明記せよ。また、試験職員に、管理者権限や、データの保持や信頼性を損なう
その他の許可が与えられていないことをいかに保証にするかについて述べよ。
・これに限定されないが、ユニークなユーザ名/パスワードが使用され、それらの機密性が保護されて
いるかどうかを含む、システムセキュリティ規定
・監査証跡データの安定した利用とレビュの詳細な手順、及び、貴社の各システムの監査証跡の実装
状況の現在のステイタス
・試験データの管理、レビュ、完全な保全のための暫定的な措置と手続き上の変更
・スタンドアロン装置(例:天秤、pHメータ、含水率試験)から電子システムを通して生成されたデータ
のネットワークXXへの統合を拡大するための技術的改善
・これに限定されないが、不正アクセスを防止するためのシステムセキュリティの管理、適切なユーザ
の役割の付与、全ての分析の2次レビュ、その他のシステム管理を含む貴社の手順の改訂と関連する
教育の詳細なサマリ
・貴社のレコード内の情報の全ての追加、削除が承認され、全てのデータが保持されていることを保証
するために、電子及び紙ベースのデータの厳格な継続的管理を保証するために修正されたプログラム
貴社の全てのCAPAの計画と、これまでに行われた全ての改善を提出せよ。
●不良化粧品:不衛生な状態
貴社が製造する化粧品(ボディウォッシュ、ローション、バブルバス)は、21 U.S.C.361(c)の601(c)の
意味で、不衛生な状態で調製され、包装され、保持されているため、汚染されているか健康に害を与える
可能性があり不良品である。具体的には、貴社の施設の査察中、我々査察官は貴社の化粧品製造に使用
されている水システムXXはグラム陰性細菌の潜在的な汚染源の可能性があると指摘した。製造エリア内
で、淀んだ水と処理ラインの漏れが見つかった。貴社には、微生物汚染の根本原因を適切に判断したり、
効果的なCAPA(例:潜在的に病原性の細菌がいないことの定期的な検査を含む)を実施したりしていない
ように見受けられる調査の履歴がある。さらに、化粧品の製造で使用される装置の不十分な洗浄/消毒も
見受けられる。
●好ましくない微生物
非滅菌の水性の医薬品のB.セパシアの複合体や、その他の好ましくない汚染の深刻さに関する更なる情報
は、2021年7月7日のFDAの通知を見よ。
●効果のない品質システム
これらの違反は、貴社の経営陣の、医薬品製造の適切な監督と管理の不履行を示している。貴社はシス
テム、工程、そして最終的には製品がFDAの要件に従っていることを保証するために、貴社の製造作業を
すぐに包括的に評価すべきである。
回答の中で、貴社のトップマネジメントは、これに限定されないが、新たに発生した製造及び品質の問題
に積極的に対処するためのタイムリーなリソースの提供と継続的な管理状態の保証を含んだ、QAと信頼
できる作業を下支えするための方法について述べよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために21 CFR
211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタント
の使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的な
CGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反を調査
し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の
違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に完全
に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての新しい申請
やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを
確認するために再査察を行うかもしれない。
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■CMS#623476■
2021年8月5日~9月16日のマサチューセッツ州の製造所の査察でみつかったPET医薬品製造の重大な
CGMP違反について発した2022年4月11日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社の施設は、製品の品質に有害な影響を及ぼすと合理的に予想される物質、職員、環境条件による装置
や製品の汚染の防止を保証するのに不十分である。全ての装置が清潔で、使用目的に合い、適切に設置さ
れ、維持され、妥当な結果を繰り返し生成できると保証する手順が適切に遵守されていない。
(21 CFR 212.30(a)&(b))
<指摘1詳細>
貴社は、無菌処理のために適切に設計され管理されていない施設の中で、非経口投与用のPET医薬品を
製造している。さらに、貴社は、貴社の装置が無菌作業に適していることを保証していない。
●施設の適合性
貴社は、汚染防止のための適切な施設を整えることを怠った。
2020年7月1日頃から2020年10月1日まで、貴社の施設で、貴社の技術用通路の中及び周辺で、連続して
水の浸潤があった。水の浸潤は、ホットセル、生物学的安全キャビネット、層流フードを含むPETの
無菌製造作業で使用される装置の後ろと上の、制御も分類もされていないエリアで発生した。査察中、
頭上の給水管が貴社の原材料保管エリア内の床に盛んに漏れているのを発見した。さらに環境モニタ
リングプログラム(EM)は、注射用医薬品に使用されるホットセルのようなISO5 に分類される貴社施設の
環境内で、いくつかの真菌種を明らかにした。貴社の調査で、ISO5に分類される環境内での真菌の回収
を水の浸潤のせいにした。貴社の調査は、水の浸潤は、貴社の製造エリアの上の機械室と、クリーン
ルームの上のプレナムスペースにつながる屋根の貫通に関連した複数の不具合によるものであると述べ
た。特に、EMデータは、水の浸潤の問題は菌の検出日より前に発生し、貴社の無菌製造施設内の環境管理
の喪失を表している。施設の適切な設計と維持の不具合は管理の欠如につながり、医薬品を汚染リスクに
さらした。
●装置
2020年6月29日から2020年11月25日まで、貴社のEMは、貴社の施設のISO5エリアから繰り返し、
いくつかの真菌生物を含む微生物を回収した。重要なエリアでの空気モニタリングでは通常、微生物
汚染を生じるはずはない。貴社のEMプログラムは、隣接したISO7エリアでも多数の同じ細菌を回収した。
この間、貴社は注射用医薬品のXXロットと、注射用医薬品のXXサブロットを含む医薬品を製造した。
貴社は回答の中で、貴社の生物学的安全キャビネットとホットセルのあるISO5エリア内で使用される
胞子消毒剤の最小接触時間を適用することを怠ったことを認めた。また、我々は貴社の作業者が、洗浄
や消毒処理を行う間、生物学的安全キャビネットに上半身と頭を入れているのを見た。更に、2019年の
査察からの繰り返しの問題になるが、全ての作業者が、制定された再適格性評価期間内に、培地充填の
適格性評価を完了していることを保証することを怠った。最後に、貴社はアクションレベルを超えた
ISO5のEMのそれぞれの結果について、製品への影響を判断し、根本原因を特定し、効果的な是正処置・
予防処置(CAPA)を実施するための調査手順に従うことを怠った。
貴社は回答の中で、エンジニアリング部門が水の浸潤に対し、迅速な緊急修理を実施し、2020年11月に
は、施設は管理状態を回復したと述べた。しかし、貴社は2022年2月に完了される“包括的”修繕プロ
ジェクトのために、更なる修繕を停止した。貴社の回答は、貴社が施設の改善の間も、PET医薬品の
製造を続けるつもりであることを示している。貴社は、汚染の防止を含むPET医薬品の製造の妥当性に
ついて、貴社の施設と技術用通路を積極的に評価するための計画について議論しなかった。貴社の施設
が堅牢に設計され維持されていることを保証する十分な計画を含んでいなかったので、貴社の回答は
不十分である。さらに貴社は、修繕をしつつ製造を続ける間、汚染を防ぐために貴社がとろうとして
いる追加の手順について説明しなかった。貴社の回答は、消毒頻度の増加の可能性、重要な環境や周辺
環境の全ての表面の消毒剤のより包括的な適用の保証、より効果的な消毒を保証するためのその他の
手段など、堅牢性を改善するためのISO5の汚染除去プログラムに十分に対処することも怠った。
貴社の回答は、品質関連のイベントを調査することの必要性も認めた。是正のために、貴社は、貴社の
環境管理SOPと陽性結果の培地の解釈/調査SOPで要求されている、全ての品質関連のイベントの調査と
報告を強化するために品質マネジメントシステムSOPを改訂した。貴社は制定された手順の遵守を怠った
理由も、貴社の文書化された手順が今後一貫して遵守されることを以下の保証するつもりかも述べなか
ったので、貴社の回答は不十分である。
PET医薬品の有効期限は短い。その結果、PET医薬品は、ロットの特定の無菌試験とEMの結果がわかる
前にリリースされ投与されている、貴社の継続的なEMプログラムは、タイムリーに貴社の製造環境内の
製品汚染の危険の可能性を検知し対応するのに不可欠である。無菌製造施設内の環境管理の喪失は、
最終的に患者に深刻な危険をもたらす可能性がある。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の無菌工程、装置、施設に関する、これに限定されないが下記の独立したアセスメントを含む、
全ての汚染の危険の包括的なリスクアセスメント
〇ISO5エリア内の人の相互作用
〇装置の配置と人間工学
〇ISO5エリア及び周辺エリア内の空気の品質
〇施設のレイアウト
〇職員のフローと原材料のフロー(無菌作業を実施しサポートするために使用される全ての部屋の全体)
〇施設の管理システムと環境管理(例:温度、湿度、空気処理、異なる分類のエリアの相互作用)
・汚染の危険の独立したリスクアセスメントで見つかったことに対応するための、タイムラインを含む
詳細な改善計画
無菌工程作業の設計、管理、保全に対して行う具体的な改善について述べよ。
・貴社の施設の修繕活動中のPET医薬品の製造に関し、適切な管理状態が維持されたかどうかの評価の
計画と結果
・2020年11月以降ISO5及びISO7エリアに関し、アラート及びアクションリミット外にある全ての環境
モニタリングの結果のリスト
・施設及び装置の定期的で慎重な作業管理を実施するための貴社のCAPAの計画
この計画は、とりわけ、装置/施設の性能問題の迅速な検知、装置及びシステムのタイムリーな改良、
適切な予防保全計画の遵守、交換の効果的な実施、継続的なマネジメントレビュのためのシステムの
改善を確実にするべきである。
・汚染の危険を軽減するために貴社の施設の交換の状態を評価するための、適切な頻度での定期的な施設
の実地検証を実施するための貴社の手順
・全ての分類されたエリアで使用される洗浄及び消毒の方法(例:薬剤、手順、頻度)が効果的であるか
どうかの評価
・貴社の施設の適格性評価、培地充填、改良中及び改良後の、生物学的安全キャビネット及び層流フード
の両方で実施された最新の静的・動的煙検証
・微生物汚染の可能性がある全てのロットの調査を完了せよ。
調査は、汚染の根本原因に関して見つかったことの詳細を記述すべきである。
・各医薬品に関する、原材料、工程内原料、ロットのリリースに関する微生物の規格(例:無菌性、
エンドトキシン、総菌数、工程内のバイオバーデンの微生物の適切な特定)
・貴社の職員が制定された手順を順守することを保証するための貴社の計画
●指摘2
貴社は、製像ロットまたはロットの成分の規格を満たさない不具合が発生した際、適切な調査の実施や
適切な是正処置をとることを怠った。(21 CFR 212.20(d))
<指摘2詳細>
貴社は、エンドトキシンに関する
複数の規格外(OOS)について、効果的なCAPAの実施を含む、適切な調査を実施することを怠った。
例えば、注射用医薬品XXロット13NNH3210511-Aの分析で、エンドトキシンに関しOOSの結果を示した
が、ロットは適切な調査もなくリリースされた。最初のOOSのテスト結果は、システムの適合性の
不具合のせいで無効化された。システムの適合性を満たした2回目の分析は、30.7EU/mL(貴社の
XXU/mLの規格を超えている)のOOSの結果を得た。貴社は最終製品のバイアルから再度サンプルを
抜き取り、別の試験を実施し、それは規格を満たした。貴社は分析を繰り返し、合格の結果も得た。
貴社は、合格の結果に基づき、ロットと後続のサブロットをリリースした。
貴社は、汚染源の可能性について適切な調査を実施せず、OOSの結果を無効化し、“XXの新ボトルを
使用しているXXの懸念は確認された”と結論づけた。貴社の調査は、貴社が想定したOOSの原因を
裏付けるために、XXの最初の試薬のボトルの試験を含めることを怠った。貴社の調査は、OOSの原因
として、XXの取り扱いにおける試験室のエラーを明確に特定しなかった。貴社の調査は、是正処置も
予防処置も特定しなかった。試験の原因を明確に確認できなかったにも関わらず、貴社は、製造の
原因の可能性に調査を広げなかった。調査は、製造装置、原材料、処理状態または作業環境を含む
上流工程からのエンドトキシン汚染の潜在的な原因を評価することを怠った。
貴社は、FDAの業界向けガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production
のコンセプトを含むために貴社の品質マネジメントシステムSOPを
改訂し、貴社の報告フォーマットを標準化したと回答した。しかし、貴社は、エンドトキシンのOOS
の結果の回顧的な評価を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。貴社のピロゲン試験SOPは、
実施可能なリテスト回数の制限もなく、依然、合格結果XXが得られるまでエンドトキシンのOOSの結果
の試験を許しているので、貴社の品質マネジメントシステムSOPの改訂を受けてピロゲン試験SOPを改訂
したかどうかもはっきりしない。
ピロゲンとエンドトキシンの試験の更なる情報については、FDAの業界向けガイダンス文書
Pyrogen and Endotoxins Testing : Questions and Answersを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・PET医薬品に関し無効化された全てのOOS(工程内試験、リリース試験、安定性試験を含む)の結果の
回顧的レビュと、以下の各OOSを含む分析でみつかったものをサマリした報告
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的正当性とエビデンスが決定的または非決定的でも、原因と
なる試験のエラーを示しているかどうかの判断
〇決定的に試験の根本原因を確証した調査に関し、論理的根拠を提出し、同じまたは類似の根本原因
に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。
〇回顧的レビュで、試験の根本原因が非決定的、または、根本原因がないと判明した全てのOOSの
結果について、製造の徹底的なレビュ(例:バッチの製造記録、製造手順の妥当性、装置/設備の
適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)を
含めよ。
各調査に関し、潜在的な製造の根本原因と、製造作業の改善のサマリを提出せよ。
・貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画
CAPAには、これに限定されないが、以下の対処を含めよ。
〇試験の調査の品質部門の監督
〇有害な試験の管理傾向の特定
〇試験のばらつきの原因の解決
〇試験の原因が決定的に特定できない場合はいつでも潜在的な製造の原因の徹底的な調査の開始
〇各調査とそのCAPAの適切な範囲の決定
〇これら及びその他の改善を含む改訂されたOOSの調査の手順
●Positron Emission Tomography(PET)医薬品のガイダンス
PET医薬品を製造する際に、貴社がCGMP要件を満たすための助けとして、FDAのガイダンス文書
PET Drugs-Current Good Manufacturing Practiceを見よ。この文書は、PET医薬品の製造に適用
する可能性がある追加の概念や期待に関し、FDAのガイダンス文書
Sterile Drug Products by Aseptic Processing - Current Good Manufacturing Practiceも
参照している。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために
適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守
するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証する
ために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関係のある施設に存在する違反の包括的なリストではない。
貴社には、違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決
の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に
完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての
新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を
完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
今回のウォーニングレターは2件とも、設備の衛生上の管理の不備が指摘されていました。
インド・中国の製造設備の不衛生な状態に対する指摘はよくみかけましたが、アメリカでも同様である
ことに少し驚きました。
ただ、日本でも、老朽化した工場では同様の問題が起こりうると思います。また、水や環境のモニタ
リングが十分に行われていないケースもあるのではないでしょうか。
決して他人事ではないように思いました。
また、1件目のウォーニングレターには、システムのアクセス権限の管理についての指摘がありました。
FDAが、どんな点をデータ・インテグリティの不備と見ているのか、参考にしていただければと思います。
☆次回は、8/1(月)に配信させていただきます。
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本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日に配信いたしております。
今後メルマガが必要ない方は、お手数ですが下記まで配信停止依頼のメールをお願いします。
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2022.07.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<245号>
こんにちは。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
梅雨が明ける前からとんでもなく暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか?
さて今回も、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国内の製薬会社向けに出したウォーニングレター2件
を見ていきたいと思います。
FDAがどのような点を問題視して指摘しているかをご確認いただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
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■CMS#615236■
2021年4月6日~4月27日のカリフォルニア州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に
ついて発した2022年3月1日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、貴社が、それが持つとうたわれている、または、表示されている同一性、濃度、品質、純度を持つ
医薬品を製造していることを保証するために設計した製造及び工程管理のための手順を文書化して制定する
ことを怠った。(21 CFR 211.100(a))
<指摘1詳細>
貴社は、貴社のOTC医薬品の製造工程がバリデートされていることを示すためのデータを提供することを
怠った。査察中、貴社は、各OTC医薬品の製造条件を示す文書を提供することができなかった。各医薬品が
事前に定められた品質要件を一貫して確実に満たすことを示すための適格性評価のプロトコル、レポート、
研究がなかった。さらに貴社は、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための工程管理を
モニタリングする継続的なプログラムを持っていなかった。
貴社は回答の中で、製造工程のバリデーションは文書化されておらず、少なくともXXロットを評価する
ことで回顧的なバリデーションを実施するつもりであると回答した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、全てのばらつきの原因を特定するために行うバリデーションや
アクションのための詳細な工程性能プロトコルの提供を怠った。さらに、貴社の回答は、貴社の各医薬品の
予測的なPPQ(process Performance Qualification)の完了までのタイムラインを提出することを怠った。
回顧的バリデーションのアプローチの使用は受け入れられない。最後に、貴社は、現在市場にあるこの
違反の製品への影響に言及しなかった。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクルを通じて工程の設計と管理状態の安定性を評価するもの
である。製造工程の重要な段階は適切に設計され、投入原材料、中間材料、最終製品の品質を保証しなけ
ればならない。工程の適格性評価は、初期の管理状態が定着しているかどうかを判断するものである。
商用販売の前に、工程の適格性評価を成功させる必要がある。その後、製品のライフサイクルを通じて、
安定した製造作業を維持していることを保証するために、継続的で慎重な工程性能と製品品質の監視が
必要である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための貴社のバリデーションプログラムの詳細な
サマリ
工程の設計、工程性能適格性評価、ロット内およびロット間のばらつきの慎重で継続的なモニタリング
に関する貴社のプログラムを述べよ。
・販売されている貴社の各医薬品に関する適切な工程性能適格性評価(PPQ)を実施するためのタイムライン
・貴社の工程性能プロトコル、装置及び施設の適格性評価のための文書化された手順を含めよ。
●指摘2
貴社は、装置の洗浄と保全のための適切に文書化された手順を制定しそれに従うことを怠った。
(21 CFR 211.67(b)
<指摘2詳細>
ヒトの医薬品と化粧品に使用される混合タンクXXのような非専用の製造装置の洗浄に使用される洗浄手順
をバリデートしなかった。さらに、XXに関するXX試験を通して微生物汚染に関する洗浄の効果を評価する
業務はバリデートされていなかった。
非専用の製造装置の表面からの微生物及び製品の残留物の不十分な除去は、その後にその装置で製造され
る医薬品の汚染につながりうる。
貴社は回答の中で、貴社の洗浄手順を評価するためのバリデーションプロトコルを文書化して実行し、
さらにXX試験をバリデートする予定であると述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社は全ての装置の洗浄手順の包括的なアセスメントや、洗浄バリデー
ションのプロトコル、レポートを提出しなかった。さらに、貴社は非専用の製造装置が適切に洗浄されて
いることを保証するために、洗浄バリデーションが完了するまでの暫定的な手段を提出しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を
置いた貴社の洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善
改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:
〇より高い毒性を持つ医薬品
〇より高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所
〇洗浄前の最大保持時間
さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順を
述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されていること
を保証する最新のSOPのサマリ
・貴社の洗浄プログラムの回顧的なアセスメントに基づく洗浄手順と実務の適切な改善と、完了までの
タイムラインを含むCAPAの計画
装置の洗浄のライフサイクル管理における貴社プロセスの脆弱性の詳細なサマリを提出せよ。洗浄効果
の強化、全ての製品と装置に関する適切な洗浄の実行の継続的な検証の改善、その他全ての必要な改善
を含む貴社の洗浄プログラムへの改善について述べよ。
●指摘3
貴社は、各有効成分の同一性と濃度を含む、各医薬品の最終規格への一致について、リリース前に試験の
判断を実施することを怠った。 (21 CFR 211.165(a))
<指摘3詳細>
貴社は、全ての品質管理試験の完了とレビュの前に局所用のOTC医薬品をリリースした。具体的には、
医薬品XXロットNo.XXは、20220年7月2日に貴社の品質部門によってリリースされたが、有効成分の分析と
微生物学的品質に関する契約試験機関の最終試験は、それぞれ、2020年7月20日と7月22日まで貴社に
報告されていなかった。
ロットの出荷前の試験は、貴社が製造した医薬品が、使用目的に合った、化学及び微生物の規格を含む、
所定の品質属性に従うことを保証するために不可欠である。
貴社は回答の中で、全ての品質管理試験の完了前に医薬品をリリースする根本原因は、”顧客の承認に
より次のステップに進むことが出来るという信頼による“ものだったと述べた。さらに貴社は、医薬品の
リリースのプロセスに関する標準操作手順書を改訂した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、品質管理試験の完了の前に品質部門によりリリースされた製品内
の他の事象を特定するために、使用期限内の全ての製品のロットの回顧的レビュを実施することを怠った。
特にこれは2018年5月8日から5月15日のFDA査察の査察結果の繰り返しであった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、詳細なCAPAの計画と、その効果の評価の規定を提出せよ。
・バッチの処遇を判断する前に貴社の製品の各ロットを分析するために使用される試験方法を含む、
化学及び微生物の規格の最新のリスト
・適切なQUのレビュの前にリリースされた使用期限内のアメリカ向け医薬品のロットの全体的な品質を
判断するために貴社がとろうとしているアクション
具体的には、QUのロットの処遇の判断前に各ロットとそれに関連する情報が効果的かつ完全にレビュ
されたかどうかを判断せよ。さらに、全ての不備を改善するために、CAPAの中でロットの処遇に関す
る貴社の現在のシステムの独立したサードパーティによるアセスメントを提出せよ。
●指摘4
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関して制定され
た規格を満たすことを保証するための責任を果たすことを怠った。 (21 CFR 211.22)
<指摘4詳細>
貴社には適切な品質管理部門(QU)が欠けていた。例えば、貴社の品質部門は、QUの役割、責任、権限を
記述した手順を制定することを怠った。さらに、貴社の医薬品製造作業に対するQUの監督は不十分で
あった。例えば、貴社のQUは以下のことを行うことを怠った:
・職員への適切なCGMPの教育の実施
・不一致や規格外の結果の評価と調査
・顧客の苦情の保持と調査
・貴社の契約試験機関との、品質協定のような適切な手順の制定と維持
貴社は回答の中で、COVID-19パンデミックの間にQUが機能するために適格性のある職員を募集すること
の難しさに直面していたと述べた。
貴社の回答は不適切である。QUの多数の不具合は、2018年5月8日から5月15日までの前回の査察中に発見
されている。その査察から、貴社の約束の多数は実施されていなかった。
この文書への回答の中で、貴社のQUが効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを
保証するための包括的で独立したアセスメントと改善の計画を提出せよ。アセスメントは、これに限定
されないが以下のことも含むべきである:
・貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
・適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業を通したQUの監督に関する規定
・調査の監督と承認及び全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するめのQUのその他の全ての
職務の遂行
また、経営陣が、これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に対処し、継続的
な管理状態を保証するための、タイムリーなリソースの提供をいかにサポートするかについて述べよ。
●委託製造業者の使用
医薬品は、CGMPに従って製造さればければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が製造設備、試験
機関、包装業者、ラベル貼付業者などの独立した請負業者を使用していることを認識している。FDAは
請負業者も製造業者の延長とみなす。
貴社は、貴社のCMOとの契約に関わらず、医薬品の品質に責任がある。貴社には、医薬品の安全性、同一
性、濃度、品質、純度を保証するために、医薬品がFD&C Act 501(a)(2)(B)に従って製造されているこ
とを保証することが求められている。
FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。
●品質システム
貴社の品質システムは不適切である。CGMPの規定21 CFR part210,211の要求を満たすために、品質
システムとリスクマネジメントアプローチを実装するための助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●製造所での繰り返しの査察結果
2018年5月8日から5月15日までの前回の査察で、同様のCGMPの査察結果を挙げた。貴社は、回答の
中でこれらの査察結果に対する具体的な改善を提案した。繰り返される不具合は、貴社の経営陣の医薬品
製造の監督と管理が不十分であることを示している。
●コンサルタントの推奨
貴社が繰り返しの違反の是正を怠っていることから、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援する
ために21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●未承認の新薬の違反
省略
●不正商標表示の医薬品
省略
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反を調査
し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の
違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に
完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての
新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了
したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■CMS#621656■
2021年9月8日~9月20日のカリフォルニア州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に
ついて発した2022年3月28日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●CGMP違反
●指摘1
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPを遵守し、同一性、濃度、品質、純度に関して制定
された規格を満たしていることを保証することを怠った。(21 CFR 211.22)
<指摘1詳細>
貴社は、貴社の医薬品を製造するために複数の委託製造業者(CMOs)を使用し、製造に使用するための成分
の少なくとも1つを提供している。更に、委託製造業者の1社との契約では、貴社が市場への医薬品の
リリースの責任を負うことが規定されている。貴社は、品質部門(QU)を持たず、貴社のために製造された
全ての医薬品が適切な品質属性を持つことを保証するための適切な手順を持つことを怠った。例えば、
貴社は、貴社のCMOに提供する成分の承認、規格外の結果の調査、顧客の苦情の評価に関する手順を制定
することを怠った。さらに、貴社は、貴社の医薬品を商業的にリリースするために貴社のCMOによって
使用されている規格を提供することができなかった。
貴社は回答の中で、QU、全てのCMOとの品質協定、規格を制定するつもりであると述べた。さらに、貴社は、
品質マネージャを雇い、サードパーティのコンサルタントのサービスを使用した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、医薬品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための規格もなく、
医薬品を市場にリリースしたことの潜在的な影響に対応した詳細なリスクアセスメントを提出しなかっ
た。さらに、CGMPの規制の遵守を保証するためにCMOの適格性評価とCMOを監督をするための詳細が不
足していた。また、貴社の品質システムが効果的に機能するための包括的なアセスメントと改善計画を
提出しなかった。
貴社の品質システムは不適切である。CGMPの規定21 CFR part210,211の要求を満たすために、
品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装するための助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社のQUが効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的で
独立したアセスメントと改善の計画
アセスメントは、これに限定されないが以下のことも含むべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇医薬品の品質に影響を与える可能性のある機能内での適切な手順の遵守を評価するための、貴社と
貴社の委託製造業者作業を通したQUの監督に関する規定
〇調査の監督と承認及び全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するめのQUのその他の全ての
職務の遂行
・ロットの処遇を判断する前に貴社の医薬品の各ロットを分析するために使用されている化学及び
微生物の試験方法と規格のリストと、関連する文書化された手順
・CMOがCGMPを順守して作業をしていることを保証するために、CMOの監査を実施するための手順と
プロセスの詳細な記述
・市場に出荷された製品の規格の影響を判断するための詳細なリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社がとるつもりの、顧客への通知や製品の回収などのアクションを
明記せよ。
●指摘2
貴社は、ロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、ロットまたはその成分の規格に対する説明の
つかない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。(21 CFR 211.192)
<指摘2詳細>
貴社は、貴社のCMOのXXにより貴社のために製造された製品XXロット2010045で発生した微生物汚染の
徹底的な調査を実施することを怠った。貴社が主張する根本原因を裏付ける科学的な正当性が欠けて
いる。さらに、成分、装置、または製造環境などの他の潜在的な根本原因は十分に評価されなかった。
貴社は、貴社のために製造された他の医薬品内の潜在的な微生物汚染を判断するために、貴社のCMO
からの調査を提出することができなかった。
貴社は回答の中で、製品XXロット2010045の微生物汚染についての貴社による調査の文書化された記録
を準備するつもりであると述べた。我々は、貴社が製品XXロット2010045を自発的に回収したことを
認識している。また、貴社は、不具合の調査のための文書化された手順を制定するための貴社の計画
を共有した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、微生物汚染が1ロットに限られるという科学的な根拠を提出しなか
った。貴社は、同じ医薬品の他のロットと、微生物汚染に関係しているかもれない他の医薬品に調査を
広げることを怠った。さらに貴社は他に同様の問題が発生していたかを判断するための苦情の回顧的で
包括的なレビュを提出しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
・逸脱、不一致、苦情、OOSの結果、不具合の調査のための貴社のシステム全体の包括的で独立した
アセスメント
このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランは、
これに限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、是正処置・予防処置(CAPA)の効果、
品質部門の監督、文書化された手順の大幅な改善を含めるべきである。調査の全ての段階が貴社及び
貴社のCMOにより適切に実施されていることを貴社がいかに保証するつもりかを説明せよ。
・微生物汚染の可能性と、それが貴社の医薬品の品質にいかに影響したかを評価するために、現在
アメリカ市場にある、または、使用期限内の最終製品のロットの全てのCGMP文書の徹底的な回顧的で
包括的なリスクアセスメント
・リスクアセスメントで見つかったことに対処するための、タイムラインつきの詳細な改善計画
リスクアセスメントに応じて貴社がとろうとしている、顧客への通知や製品回収などのアクション
プランを明記せよ。
・貴社のCMOにより製造され、使用期限内にある医薬品の全てのロットの保管サンプルの試験を実施する
計画
●指摘3
貴社は、医薬品が、適切な安定性試験によって裏付けされた使用期限を持っていることを保証することを
怠った。 (21 CFR 211.137(a))
<指摘3詳細>
貴社は適切な安定性試験プログラムを制定していなかった。貴社は、貴社のOTC医薬品が、ラベルに表示
された3年の使用期間を通して、化学的、物理的、微生物学的な属性を保持することを保証するための
データに欠けている。
査察中、貴社の製品XXの安定性データについてたずねた時、貴社は加速条件XXをカバーした2016年に製造
された1ロットに関する外部試験機関のレポートを提出した。完全な使用期限の検証は実施されていな
かった。さらに、そのレポートは、事前に定められた許容範囲や、使用される容器/施栓システムの記述
を含んでおらず、含まれていたロットは貴社の現在のCMOによって製造されていなかった。
貴社は回答の中で、貴社の医薬品に関する安定性の規格を制定し、3年の製品の使用期限をカバーする
完全な検証を開始すると約束した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、関連する全ての品質属性と許容範囲を含む安定性試験のプロトコル
を提出することを怠り、貴社の試験方法が安定性を示すという保証を提出しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・アメリカ市場で使用期限が残っている、貴社のCMOによって製造された医薬品の全てのロットについて、
使用期限を通じた製品の適切性の包括的な評価
・貴社の安定性プログラムの適切性を保証するための、包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画
貴社の改善計画には、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:
〇安定性を示す方法
〇出荷が許可される前の、市販されている各医薬品の容器/施栓システム内の安定性の研究
〇うたわれている使用期限が妥当かどうかを判断するために各製品の代表的なロットがプログラムに
追加されるような継続的な安定性プログラム
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムのこれら及びその他の要素について述べた全ての手順
●規格外の試験結果
不合格、規格外、傾向外、または、その他の予期しない結果と、調査文書の取扱いに関する更なる情報
については、
FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production
を見よ。
●委託製造業者の使用
医薬品は、CGMPに従って製造さればければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が製造設備、試験
機関、包装業者、ラベル貼付業者などの独立した請負業者を使用していることを認識している。FDAは請負
業者も製造業者の延長とみなす。
貴社は、貴社のCMOとの契約に関わらず、医薬品の品質に責任がある。貴社には、医薬品の安全性、
同一性、濃度、品質、純度を保証するために、医薬品がFD&C Actの501(a)(2)(B)に従って製造されている
ことを保証することが求められている。
FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために
21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●未承認新薬の違反
省略
●栄養補助食品のラベリング
省略
●医薬品製造の停止
我々は、貴社のアメリカ市場向け医薬品の製造を一時的に停止するという約束を認識している。
もし貴社がアメリカ市場向け医薬品の製造の再開を計画するなら、貴社の作業の再開前に連絡せよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反を調査
し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の
違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に
完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての
新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了
したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
1件目のウォーニングレターに、コロナ下で適切な品質部門の職員の採用が難しいという製薬会社の話
がありました。この製薬会社の場合は、コロナ前から問題があったようですが、コロナによる品質業務
への影響はどこの会社にも少なからずあるのではないでしょうか。今後、コロナによる品質業務の低下
が顕在化してくるのはないかと気になるところです。
今回は2件とも委託製造業者の管理に関する指摘が含まれていました。
委託製造業者の管理については、日本でも取り上げられつつありますが、いろいろ課題があるように思い
ます。
委託製造業者に細かい要求をすると、製造を受けてもらえなくなる、費用が上がるなどの事情があると
思いますが、ここを改善しないと自社と同様の品質管理は難しいのではないでしょうか。
☆次回は、7/15(金)に配信させていただきます。
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