ASTROM通信バックナンバー

2023.01.15

【令和3年薬事工業生産動態統計】ASTROM通信<258号>

 

こんにちは

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

2023年がいよいよ動き出しましたが、いかがお過ごしですか?

 

さて、今回は、20221223日に厚生労働省から発表された令和3年(2021)の薬事工業生産動態統計

年報について取り上げたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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令和3年薬事工業生産動態統計年報

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20221223日に厚生労働省より令和3年の薬事工業生産動態統計年報が発表されました。

以下に主な内容をピックアップしました。

出典: https://www.mhlw.go.jp/topics/yakuji/2021/nenpo/

■医薬品■

1.生産金額について

令和3年の医薬品の国内生産金額は、91,802億円で、前年の92,641億円と比べると、0.9%の減

少となっています。

内訳は、医療用医薬品は0.6%の減少、要指導医薬品・一般用医薬品は4.7%の減少、要指導医薬品・一

般用医薬品のうちの配置用家庭薬は3.1%の増加となっています。

国内の医薬品生産金額は、令和2年に引き続いての減少となります。配置用家庭約は、ずっと減少し

続けてきましたが、令和3年に増加に転じているのが興味深いです。

生産金額の多い医薬品(薬効大分類別)は、以下のようになりました。

1位 その他の代謝性薬品(13,425億円、前年比+7.9%)前年1

2位 腫瘍用薬(12,990億円、前年比+8.1%)前年2

3位 中枢神経系用薬(9,400億円、前年比-11.2%)前年3

4位 循環器官用薬(8,987億円、前年比-4.3%)前年4

5位 血液・体液用薬(6,168億円、前年比-3.8%)前年5

 

生産金額の多い医薬品薬効中分類は以下の通りです。

1位 その他の腫瘍用薬(12,377億円、前年比+8.1%)前年1

2位 他に分類されない代謝性医薬品(7,768億円、前年比+14.0%)前年2

3位 糖尿病用剤(4,383億円、前年比+3.0%)前年3

4位 血液凝固阻止剤(3,678億円、前年比-1.8%)前年4

5位 血圧降下剤(3,228億円、前年比-4.3%)前年5

医薬品薬効中分類別で生産金額の増減を見てみますと、58分類のうち23分類で増加していました。

前年に対して増え方が多いのは、多い順に、

一般検査用剤 前年比+55.8%

免疫血清学的検査用剤 前年比+31.1%

利尿剤 前年比+29.6%

甲状腺、副甲状腺ホルモン剤 前年比+25.9%

ワクチン類 前年比+22.6%

で、逆に減り方が多いのは、多い順に、

総合感冒剤 前年比-46.9%

ビタミンA及びD剤 前年比-44.2%

主としてグラム陽性・陰性菌に作用する抗生物質製剤 前年比-26.7%

その他の化学療法剤 前年比-26.1%

抗ウイルス剤 前年比-25.2%

でした。

 

2.輸出入金額

医薬品の輸出金額は、5,631億円、前年比+9.9%で、金額で見た主な輸出国は

1位 スイス(1,466.1億円、前年比-5.3%

2位 アメリカ(1,395.0億円、前年比+29.9%

3位 中国(777.3億円、前年比+10.5%

4位 台湾(258.4億円、前年比+13.8%

5位 韓国(242.4億円、前年比+6.9%

でした。

輸入金額は、3393億円、前年比+5.6%で、金額で見た主な輸入国は

1位 アメリカ(6,883億円、前年比+28.3%

2位 ドイツ(6,344億円、前年比+5.9%

3位 スイス(3,778億円、前年比+16.1%

4位 アイルランド(2,077億円、前年比+31.9%

5位 イギリス(1,864億円、前年比-12.1%

でした。

 

3.都道府県ランキング

生産金額の多い都道府県は、

1位 埼玉県(8,465億円、前年比-3.5%)前年1

2位 栃木県(8,127億円、前年比-6.3%)前年2

3位 静岡県(6,998億円、前年比-16.5%)前年3

4位 山口県(6,933億円、前年比+45.4%)前年6

5位 富山県(6,204億円、前年比-6.1%)前年4

でした。

生産金額の前年からの増加率が大きい都道府県のトップ5は、

1位 山口県 前年比+45.4%

2位 群馬県 前年比+34.9%

3位 石川県 前年比+26.6%

4位 島根県 前年比+12.8%

5位 山形県 前年比+12.6%

でした。逆に前年からの減少率が大きい都道府県のトップ5は、

1位 福井県 前年比-58.2%

2位 長崎県 前年比-35.9%

3位 岩手県 前年比-22.4%

4位 鹿児島県 前年比-20.9%

5位 愛知県 前年比-19.4%

でした。

 

4.医薬品の生産規模別構成

製造のあった製造業者数は、前年は1,212でしたが、令和3年は1,181と減少しています。

1カ月間における自社 生産金額及び受託生産金額1億円未満の製造業者数は78066.0%)ですが、

その生産金額 は1,370億円で自社生産及び受託生産の総額の1.5%にすぎません。これに対し、

1億円以上の 製造業者数は50134.0%)ですが、その生産金額は9432億円で98.5%を占めています。

(全体版一部引用)

 

 

■医療機器■

1.生産金額について

令和元年の医療機器の国内生産金額は、26,019億円で、前年の24006億円と比べると、8.4%

増加となっています。

生産金額の多い医療機器類は以下の通りでした。

1位 医療用鏡(3,606億円、前年比+26.5%)前年1

2位 医療用嘴管及び体液誘導管(2,576億円、前年比-6.2%)前年2

3位 医療用エックス線装置及び医療用エックス線装置用エックス線管

2,566億円、前年比+21.6%)前年4

4位 内臓機能代用器(2,306億円、前年比-0.3%)前年3

 

5位 血液検査用器具(1,638億円、前年比-8.8%)前年5

 

2.輸出入金額

医療機器の輸出金額は、130億円で前年比+3.0%で、金額で見た主な輸出国は

1位 アメリカ(1,619億円、前年比+35.1%

2位 中国(1,251億円、前年比-26.8%

3位 ドイツ(672億円、前年比+12.9%

4位 オランダ(462億円、前年比-2.2%

5位 ベルギー(289 億円、前年比-14.3%

でした。

輸入金額は、28,151億円、前年比+8.4%で、金額で見た主な輸入国は

1位 アメリカ(9,616億円、前年比-2.9%

2位 アイルランド(3,267億円、前年比+18.7%

3位 中国(2,593億円、前年比+12.8%

4位 ドイツ(1,979億円、前年比+22.5%

5位 タイ(1,063億円、前年比+22.2%

でした。

 

3.都道府県ランキング

医療機器の生産金額の多い都道府県は、

1位 静岡県(3,391億円、前年比-7.2%)前年1

2位 栃木県(2,744億円、前年比+21.1%)前年2

3位 福島県(2,521億円、前年比+25.2%)前年3

4位 茨城県(1,519億円、前年比-5.6%)前年4

5位 埼玉県(1,516億円、前年比+6.9%)前年5

でした。

生産金額の前年からの増加率が大きい都道府県のトップ5は、

1位 神奈川県 前年比+62.8%

2位 鳥取県 前年比+57.6%

3位 青森県 前年比+40.2%

4位 新潟県 前年比+26.9%

5位 福嶋県 前年比+25.2%

でした。逆に生産金額の前年からの減少率が大きい都道府県のトップ5は、

1位 沖縄県 前年比-100.0%

2位 和歌山県 前年比-17.1%

3位 熊本県 前年比-14.2%

4位 徳島県 前年比-10.9%

5位 岩手県 前年比-10.3%

でした。

 

4.医療機器の生産規模別構成

製造のあった製造業者数は前年は1,707でしたが、令和3年は1,716とわずかに増加しています。

1カ月間における生産金額 1億円未満の製造業者数は1,49787.2%)ですが、

その生産金額は2,117億円で自社生産及び受託生産の総額の8.1%にすぎません。これに対し、

1億円 以上の製造業者数は21912.8%)ですが、その生産金額は23,902億円で91.9%を占めて

います。(全体版一部引用)

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

令和3年は、山口県の医薬品生産金額が大幅に増加しており、日本の製薬業界が新型コロナウイルス

の影響を受けていることをあらためて実感しました。

 

私の住む静岡は、医薬品生産金額の都道府県ランキングは3位、医療機器生産金額の都道府県ランキング

1位と去年と変わらない状態ですが、医薬品生産金額が1,386億円と大幅に減少している点が気になり

ました。